少女「生きていくためには仕方ないよ」 (201)


—— 青桜の娼館 ——



少女「……ん、あ!」

少女「はあはあ……ん! んんっ!」

少女「……くふ、ふあ……あんっ!」

少女「あっ……いや……っ」





客「ふぅ……まあまあだな」

少女「……あ、ありがとうございました……」

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少女「……」

姉「よお!」

少女「あねさん……」

姉「どうだい、さっきの客は?」

少女「ねちっこい」

姉「だろうねえ。見ていて思ったよ」

少女「……ん」


姉「あんたにゃちょっとばかしきつかったんじゃないのかい?」

少女「そんなことない」

姉「嘘を言うんじゃないよ。そんなちっこい体でよくもまあ」

少女「…私、風呂に行ってくるから」

姉「あっはっは。ご自慢の黒い長髪にも精液をかけられちまったのか」

少女「……」

姉「おっと、そんな怖い目で見るじゃないよ」


少女「……行ってくる」

姉「手伝いの妹たちに頼むんだよ。しっかりとこびり付いてもんを落とさなきゃ、次の客が嫌がる」

少女「わかってる」

姉「そうかい? ならいいんだよ」

少女「……じゃあ」

姉「あいよ」

 
姉「……まったく、あれはいつになったらあたいらに心を開くんかねえ」

館長「さあね」

姉「おや、館長じゃないか」

館長「調子はどうかな?」

姉「あたいの体を目当てにする客も多い。そこそこだよ」

館長「それはよかった」

姉「はっはっは!」


館長「ところで、さっき少女と話していたようだが」

姉「あれは会話じゃないさ。あたいが一方的に質問しただけ。キャッチボールではないね」

館長「……そうか」

姉「なあ館長。あの子は一体なんだい?」

姉「ここに来て半年、どんな客ですら受け入れるのはいいんだけどさー……。ちっとも笑いやしない」

館長「……なんだろうな」

姉「けっ! あの子の話になるとすぐにはぐらかしやがる!」


館長「なあに。いずれわかるさ」

姉「それなら良いんだけど」


??「あねさん! 客だよ! いつものでぶっちょだ!」


姉「あー……。まあたあのオッサンか……」

館長「あれは上客だ。搾り取れるだけ搾り取るんだよ。金も性もね」

姉「わかってるよ。んじゃ、ちょっくら行ってくるさ」


—— 風呂場 ——


少女「……」

妹「ああもう! せっかく綺麗な髪の毛なのに!」

少女「……」

妹「嫌にならないんですか!? いっつも……それ、かけられて……」

少女「別に」

妹「でも!」


少女「……んっ」

妹「あ、あそこから出てきてますね! ちょっと掻き出すんで、失礼します!」

少女「くふっ……んっ……」

妹「うわぁ、ねばねば……臭い……」

少女「……ふっ、んっ」

妹「……これくらいでいいかな?」


妹「まったくもう。もっと自分の体を大事にして下さい」

少女「……」

妹「聞いてますか!? 白くてきめ細かい肌なのに、荒れちゃったら勿体無いのに!」

妹「少女さんは勿体無いオバケに食べられちゃいますからね!」

少女「……」

妹「……もー。何か言ってくれたっていいのに……」


少女「……」

妹「でも、少女さんって本当に綺麗。どこか掴めない感じで、お人形さんみたい……」

少女「……」

妹「……すべすべな肌。髪もさらさらで、良い匂いです……」

妹「それなのに、あそこは淫靡で……」

少女「んっ……」


妹「同じ女なのに、嫉妬しちゃいます……」

少女「……やめて」

妹「え? あ! ごごご、ごめんなさい!! このことはお姉さまたちには!」

少女「言わない」

妹「あ、ありがとうございます……!」

少女「もう終わり……。私は行くわ」


妹「またですか? 今日だけで三人目なんですよ!?」

少女「……」

妹「せめて髪が乾いてからにして下さい! 風邪を引いちゃいます!」 

少女「……わかった」

妹「はぁ。わかってくれればいいんですよ……」


—— 部屋 ——


姉「ああ! いい、そこいいよっ!」

姉「んんんっ、ほら、どうだい? あんっ! わ、私の中は!」

姉「はあはあ……いい、そこいいっ! 気持ち良いよ! お客さんもあたいで気持ちよくなって!!」

姉「ああああん!」





姉「ふう。また来ておくれよ」

客「も、もちろんだよ……フ、フヒヒ!」


姉「まったく、気持ち悪いったらありゃしない」


太夫「それでも貴族たちを相手にするよりかはマシよ?」


姉「ねえさん!」


太夫「あちきたちは、貴族どものマニアックなプレイを相手をしなくちゃならないんだから」


姉「そんなことより、いつ帰ってきたんだい!」


太夫「さっきよ。もうくたくたよ……。三角木馬なんて初めて跨ったわよ」

姉「三角木馬って」

太夫「そうそう。あの黒い髪の子、どうかしら?」

姉「どうって?」

太夫「まだあちきたちと仲良くしそうにない? ってこと」

姉「そうだね。でも、あの見た目だろ? 客だけは徐々に増やしているさね」

太夫「へー」


姉「ここまま行けば、かなりのもんになるんじゃないかな」

太夫「あちきを超えそうかしら?」

姉「ねえさんだから言うけど、あたいが思うに……花魁級の遊女になるんじゃないかな……」

太夫「青の娼館の花魁ほどに?」

姉「ああそうさ。男を魅了する何かを持ってる。女のあたいでも、時々目を奪われる」

太夫「すごいわね。……館長は一体どこでそんな子を拾ってきたのかしら」

姉「さあ。いつ聞いてもはぐらかされるんだよ」

太夫「んー……」


姉「そんなことよりも、早く風呂に行ったらどうだい?」

太夫「やっぱり臭うかしら?」

姉「正直、かなり……」

太夫「そうよねー……。二日間、ヤラレ抜いたもの。薬を飲むのがやっとって所だったわ」

姉「薬を飲まなきゃ妊娠しちゃうからね」

太夫「あんな男どもの子種を孕むくらいなら、死んだほうがマシよ」

姉「あっはっは! そりゃ言えてる!」


太夫「あちきたちは、自分の体を売るしかないから」

姉「売れない体になっちまったら、捨てられるからね」

太夫「うちの館長はそんなことしないだろうけど」

姉「そこらの娼館だったら、すぐにでも捨てられるか、おろされるか」

太夫「いやな商売よ」

姉「でも、あたいらにはこれしかない」

太夫「そうよね」


姉「でも、あたいは結構この仕事も気に入ってるんだよ」

太夫「あら。何故かしら」

姉「そりゃあ、男どもがあたいの下でひいひい言ってるのを聞くと、征服したって感じになるからさ」

太夫「あら? いい趣味ね」

姉「そういうねえさんだって、苛められるのが好きなくせにさ」

太夫「言ってくれるわねー? まあ、そうよ。普通の性行為じゃ満足できないもの」

姉「あたいら自身も、かなりの問題を抱えているもんだね」


太夫「今さら言うの?」

姉「確かに! はははは!」

太夫「ふふふ」


少女「……」


姉「お、少女じゃないか」

少女「……」

姉「風呂は終わったのかい?」

少女「とっくに。あと、お帰りなさい太夫ねえさん」


太夫「あら? 挨拶をするなんて珍しいわね」

少女「あねさんに言われた。挨拶しないと、身内で干されると」

太夫「ええそうよ。ここは人間関係がとても良い場所だけれども、普通は目上に敬語、挨拶できないと生きていけないわ」

少女「それも教わったわ」

太夫「流石ね、あね」

姉「無理やり教え込んだんだよ。苦労したさ」


太夫「それで、あなたは何処へ行くつもり?」

少女「髪も乾いたし、客を取りに」

太夫「あの牢獄へまた入るつもり?」

姉「せめて鳥かごって言ってよ」

太夫「あら。店前で女の体を見世物にするあの籠を、牢獄と言わずになんて言うの?」

姉「確かにあの場所じゃ男どもに品定めされてるけどさ。でもあの場所は、客を取れるかどうかの勝負の場所さね」


少女「行ってくるわ」

太夫「今日で何人目?」

少女「三人には抱かれた」

太夫「がんばるわねー」

姉「がんばるって問題じゃないよ。今日はもう休みな」

少女「やだ」


姉「どうしてだい? そんな小さい体で無理するもんでもない」

少女「……」

太夫「男が好きなの?」

少女「太夫ねえさんはどうなの」

太夫「質問を質問で返すなんて失礼よ? でも、あちきは優しいから答えてあげるね」

太夫「正直どうでもいいわ。あちきを苛めてくれるなら、それは男でも女でもどっちでもいいの」

少女「変態」

太夫「ええそう。だからあちきは此処で春を売って自分を満足させるしかないのよ」


少女「あねさんは」

姉「あたいは男どもを泣かすのが好きだからさ」

少女「ふーん」

姉「あたいの話にもっと興味を持って欲しいさね……」

少女「……」

太夫「それで、あなたはどうして此処で自分を売っているのかしら?」


少女「私は……」

太夫「ええ」

少女「私はただ、生きたいだけ」

姉「なるほどね」

少女「……」

姉「でも、だからって頑張り過ぎだって言ってるんだよ。此処に暮らしてりゃ、ノルマさえこなせば金には苦労しないだろ」

少女「お金はどうでもいい」


姉「はあ!?」

少女「もう行く。ばいばい」

姉「な! まっ!」

太夫「あら、行っちゃったわね」

姉「あいつ、どういうつもりで此処にいるんだ?」

太夫「不思議な子ね。男好きでも、金好きでもない。それなのに積極的に抱かれに行くなんて」

姉「……全然わかんないねえ、あれの考えることが」


—— 店前 見世物籠 ——


少女「……」

男「おお! これはこれは……」

少女「……」

男「ほれ、俯いていないでこちを向け!」

少女「……」

男「年端も行かぬというのに。がはは、いっちょ俺がセックスの指導でもしてやろうか?」

少女「……」


男「へえ! 顔色一つ変えやしない!」

少女「……」

男「けっ! おめえなんて抱いてやるかよ!」

少女「……」

男「なんだよ、俺を見るなよ!」

少女「……」

男「……くそっ」

男(なんだこいつ……。で、でも……抱いてみてぇ……)


少女「……」

男「くそくそくそ!! ええい、受付!!」

「は、はい!?」

男「こいつを抱く! いいか!?」

「で、ではこちらへ!」

男「くっくっく、ひいひい言わせてやるから覚悟しな!」

少女「……おいでませ、お客さん」


—— 部屋 ——


男「やっときやがったか!」

少女「よろしくおねがいします」

男「その冷めた面を、泣かせてやらあ!」

少女「はい」

男(くっ。なんだこいつ……なんで俺、こんなガキを抱こうなんてしてるんだ……?」

少女「では、ご奉仕します」


少女「……もう、大きくなって」

男「ちょ!?」

少女「苦しそう。出させて頂きます」

男「な、な、な!?」

少女「……御立派な根でございます」

男(この俺が、こんなガキにいいようにされてるだと!?)

少女「まずは……小さい手ですが、精一杯ご奉仕致します」





男「く、くそっ!」

少女「じゅぷ、あむ……れろれろ……」

男「で、出る!!」

少女「んむむっ!?……んっ、んくんく……。美味しゅう御座いました」

男「……おめえ、本当にガキか?」

少女「ご想像にお任せ致します。では……どうぞ、私をお使い下さい」






男「はあはあ! くっそ、腰がとまんねえ!!」

少女「あ、あ、あ!」

男「出すぞ!! 中に出すからな!?」

少女「は、い……っ! んっ、ああんっ!」







男「ハアハア……も、もう出やしねえぞ……。けっ、でも勘違いすんなよ。てめえなんかで満足したわけじゃねえからな!」

男(こんなガキに溺れちまったら俺……)

少女「……はあはあ……あ、ありがとうございました……」





館長「本日の営業は終了しました。またのお越しをお待ちしております」



「あねの体はやっぱりいいねえ!」
「いやいや、あの子も……!」
「それよりも——」



館長「…………」


少女「……」

妹「少女さん!! 大丈夫ですか!?」

少女「……あ、妹」

妹「全然風呂場に来ないから心配してたら、こんな所で……!」

妹「それに全身どっろどろじゃないですか!」

少女「そだね……」

妹「なんでこんなになるまで……っ」

少女「……だって」


少女「生きていくためには仕方ないよ」


妹「だからって!」

館長「どうしたのかな」

妹「館長! 少女さんが!」

少女「……」

館長「これは酷いな……。とりあえず、風呂へ」

妹「は、はい! 少女さん、つかまって下さい!」

少女「いい。自分で歩けるから……」


館長「……」

少女「……あ」

妹「危ない!……もう、私が連れて行きますからね!?」

少女「ん……」

妹「ほら、妹の肩につかまって!」

少女「……」

妹「凄い臭い……。髪も、顔も、口も……あそこだけじゃんくて、お尻まで……」

館長「あの客は出禁だな……」


少女「……」

館長「だけど、お前も悪い。出来ないことは出来ないと言わねばならないんだ」

少女「……」

館長「その目を止めてくれ。死んだ魚でもなく、だからと言って生きている目でもない」

館長「真っ暗闇のその目を止めるんだ。それが、男を惑わす」

少女「……生まれ持ったものだから、仕方ない」

館長「そうは言うが……」

妹「館長……お風呂へ……」

館長「すまないな……。頼んだからね」

妹「はい」


館長「……あの子は、可哀想な子だ」

館長「……どうしたものか」




妹「服を脱がしますよ?」

少女「ん」

妹「すごい臭い……一人の男からこんなに出るものなの……?」

少女「……」


—— 明け方 ——


姉「うー、トイレで目覚めるのも嫌だねー……」

姉「ん、あそこに誰かいるのか?」


少女「……」


姉「ありゃ……」


姉「こんな所で何をしてるんさね」

少女「あねさん……」

姉「もう良い子は寝る時間だよ。というか、体力も使い果たして寝てしまう時間だ」

少女「……」

姉「なあ。ちょこっとはあたいたちを受け入れたらどうなんだい?」

少女「受け入れる?」


姉「そうさね。いつも一人でいるだろ?」

少女「……」

姉「なんでそんな態度なんだい? あたいらが怖いのか?」

少女「……」

姉「何か言ってくれないと困る」

少女「……あねさんは、誰かを信じられるの」

姉「質問を質問で返すの好きだねあんた……」


少女「……」

姉「あたいは信じているよ。太夫ねえさんも、館長も、手伝いの妹たちも」

少女「……」

姉「そうじゃないと、やっていけないからね」

少女「そう」

姉「あんたも此処で生きるしかないなら、せめて仲間くらいは信じたらどうさね」


少女「……」

姉「はあ」

少女「今」

姉「はい?」

少女「今の時間が、好き」

姉「え? どういうこと?」

少女「暁のこの時間が好き。そして、昇る太陽を見て、私は生きていると確認しているの」


姉「珍しいねえ。あんたが自分のことを語るなんて」

少女「……」

姉「もしかして、ちょっとはあたいを信じてくれたってことかい?」

少女「……好きに想像して」

姉「っ! あっはっは! あたい、あんたのそういうとこ、好きになれそう!」

少女「……なんで?」

姉「なんでもいいさね!……そっかそっか! あんた、誰かに甘える方法を知らないだけだったんだね!」

少女「甘える?」


姉「ほら、こうやって……」

少女「どうして抱きしめるの?」

姉「あったかいだろ?」

少女「うん」

姉「それと別に、変な温もりを感じやしないかい?」

少女「する」

姉「どこがさね」

少女「胸が、じんとする」


姉「誰かに甘えたとき、こんな気分になるんだよ」

少女「そうなんだ」

姉「今度から何かあれば、あたいにこうしてきな」

少女「……考えておく」

姉「そうかいそうか」

少女「……」

姉「さてと、そろそろ床に戻ろう。今日も忙しくなるだろうしね」

少女「うん」

とりあえずここまで
続けるか終わりにするか悩んでるだけ


—— 夜 見世物小屋 ——


少女「……」



デブ「ぐふふふ、これはいいおなごじゃな!」

チビ「うぇっへっへ。よいご趣味をお持ちで」

デブ「わしを誰だと思っておるのだ? んん?」

チビ「もちろん、忘れてやいやせんぜ! どうですかい、この辺りの遊女たちは」

デブ「よい! 流石はお主、こういうことに詳しいの!」


受付「どうするんですか、旦那」


デブ「そこのおなごは抱けるのか?」

受付「もちろんです」

チビ「抱けないと言われても、問題じゃねえ! こちらの方が抱きたいと言っているんだからなあ!」

デブ「よいよい。ぐふふふ。では、あの黒い髪の女子を頼む」

受付「わかました」

受付「少女、仕事だ」


少女「……ん」


受付「でも……本当にいいのか? あれはきっと……」

少女「いい」

受付「……何かあったら叫びなさい。昨日のあれで、少女をみんなで守ろうと決めたんだから」

少女「……」


デブ「まだか?」

チビ「待たせるじゃねえぞ!」


受付「……がんばってこい」

少女「ええ」


—— 部屋 ——


デブ「ぐふふふ。わしはの、普通の性交では満足できんのだ」

チビ「そうだぞ。こちらの方のご趣味の素晴らしさにとくと感動し打ち震えるがいい!」

デブ「ぐふふふふ!!」


少女「本日はよろしくお願いします」


デブ「ぐふ? ほほう、肝が据わっておると見える」

チビ「なんだその態度は!」


デブ「ぐふふふ。まあよいよい。では……チビ」

チビ「了解でごぜえやす! こちらですぜ、旦那」

デブ「おおお。これが例のムチか!」

チビ「ええ、ええ! 海の向こうから渡ってきた、打てば打つほど淫乱になるといわれるムチですぜ!」

デブ「では、さっそく使ってみようかの!」


少女「……」


デブ「では、脱げ」

少女「わかりました」


デブ「おおお! これは綺麗な肌だの! ぐふふふ!」

チビ「……ごくり」

デブ「この絹のような柔肌を傷つけていく背徳感、んーたまらん!」

チビ「どうです、旦那!」

デブ「ああ!」


バチン!!


少女「……」

デブ「……なんだ。叫ばんのか?」

少女「それがお望みであるならば」

デブ「ええい! いらん! わしはわしの手で泣き叫ぶ女がみたいのだ!」

チビ「女! 調子に乗ってるんじゃねえぞ!」

デブ「お前は黙っておれ!」

チビ「へ、へい……」


バチン!!
バチン!!

 ・
 ・
 ・

デブ「ハアハア! こ、これでどうだ!」

少女「ご満足頂ければ幸せで御座います、お客様」

デブ「ぬおおお!!」

チビ「だ、旦那……。それくらいにしておかねえと、取り返しの付かないことに!」


デブ「だからお前は黙っておれと言っている!!」

チビ「ひいっ」

デブ「ハアハア! ど、どうだ!? いやらしい気分にもなっただろう!? ぐふふふ」

少女「私のホトは濡れております」

デブ「どうだみたか! ぐふふふふふ! お主、苛められて嬉しいのか! どうなんだ!?」

少女「はい」

デブ「なっ!? なんだその目は!! まったく怯んでおらんではないか! それに怖がりもしない!」


少女「……」

デブ「ええい!! もう我慢ならん! 本気で行くぞ!!」

チビ「だ、旦那!!」

館長「その辺りでご勘弁くださいお客様」

デブ「ええい、誰だ!」

館長「私はこの青楼の娼館の館長で御座います」


デブ「なにぃ!? その館長がわしに何のようだ!」

館長「これ以上、うちの遊女を痛めつけるようであれば、それなりの対処を取らせて頂く次第で御座います」

チビ「こ、この方を誰だと思って——」

館長「いいですね? 勘定は結構です。どうぞお引取り下さい」

デブ「くそお! もうよいわ! わしは帰るぞ!」

チビ「あ、お待ちになってくだせえ旦那ァ!!」


館長「……どうして、助けを呼ばなかった」

少女「どうして」

館長「いたる所が傷だらけじゃないか」

少女「気にしない」

館長「次の客が気にするんだ」

少女「……」

館長「幸い、擦り傷はない。でも真っ赤になってしまったね……。このままじゃ、仕事はできないな」

少女「……」


館長「ただムチで叩かれただけ、か」

館長「湯浴みは、湯を体に流すだけにしておくんだよ。いいね」

少女「はい」

館長「それで、少女はその肌が元に戻るまで待機だからね。さっきの客が、ムチを扱うのが上手でよかった。不幸中の幸いだ」

少女「……」

館長「ほら、行っておいで」

少女「……ん」


—— 部屋 ——


太夫「もっと叩いてェ〜!」

太夫「私のはしたないだらしない殿部を、ああんっ!」

太夫「んんっ、ふあああん! そう、そう! いいっ、んんあああ!」





太夫「またのお越しをお待ちしています。道中、お気をつけて」


サスガハダユウダ
カレチマッタヨ!! グハハハハ!!


太夫「少し疲れたわね……」

太夫「数刻休み事にしようかしら」




少女「……」

太夫「あら?」


太夫「珍しいわね。こんな所で会うなんて」

少女「……」

太夫「どうしたのかしら」

少女「館長に休めと言われたの」

太夫「館長に? どうして?」

少女「……」


太夫「突然服を脱ぐからびっくりしちゃった。……でも、それってムチのあとね」

少女「ん」

太夫「叩いた人は上手だったのね。かすり傷一つないわ」

少女「わからない」

太夫「下手な人は、血潮を巻き上げることが性交だと思っているもの」

少女「そう」

太夫「それにしても、すごくいっぱい叩かれたのね……。白い肌に、真っ赤なラインが……」


少女「……んっ。どうして、触るの?」

太夫「だって綺麗だもの。綺麗なものには……触れていたいものよ……」

少女「……」

太夫「ああ、うっとりしちゃうわ……。こんなに……羨ましい……」

太夫「私だってこんなにされたことないのに……でも、綺麗……ああ……んちゅ」

少女「くふっ……。どうして、舐めて——」


太夫「れろ……えろれろ……んちゅ、ちゅっ……んむ、れろ」

少女「あっ……んっ!」

太夫「可愛いわ。それなのに……れろ……綺麗で淫靡……。なんて、すごいのかしら……」

太夫「舐めているだけなのに、私のほとも濡れて……んれろ……」

少女「っ! んんん! あんっ!」

太夫「すごい……あっ、んっ! れろ、んちゅ……」

少女「やっ……あああっ!」


姉「なんだか苦しそうな声が聞こえるけど、どうかしたのかい?」


太夫「な、なんでもないわよ!?」

太夫(間一髪で離れられたけど……。少女はまだ裸体……)

少女「あねさん……」

姉「なんで裸なのさね?」

太夫「——っ!」


少女「太夫ねえさんに、ムチのあとを見てもらってたの」

姉「なるほどねぇ。確かに、それ凄い跡だ……」

姉「どうしてそうなるまで助けを呼ばなかったんだい?」

少女「……」

太夫(……少女?)


姉「稀に、道具を持参する客もいる。この館は、よっぽどでない限り、持ち込みは許しているけど」

姉「だからって何でも許しているわけじゃないさね! 今日の明け方に言ったことを忘れたのかい?」

少女「……」

姉「うおっと? ど、どうした?」

少女「甘えたくなったら、こうしろって言ったよ」

姉「あ、ああそうだったね。……調子が狂うなぁ」

太夫「……」


姉「まあ説教は私がするような事でもないか」

少女「……」

姉「でも、先に服を着ろ」

少女「や!」

姉「まったく、あんたは子供かい?」

少女「……」


姉「はぁ……。あーもう、よしよし」

少女「……なにしてるの」

姉「頭を撫でてるんさね。気持ちいいだろ?」

少女「よくわかんない」

姉「そうかい」

少女「でも、もっとして」

姉「なんだい。気持ちいいんじゃないか」


太夫「あ、あら? すごく懐かれているみたいね」

姉「今日の明け方に、もっとうちらを頼れと言ったんだよねえさん」

太夫「それなら少女、私にも甘えてもいいのよ?」

少女「——違う」

太夫「え?」

少女「……甘えたいのは、そっち」


姉「あはははは! おいおい、太夫ねえさんが誰かに甘えたいなんてありえないだろ?」

姉「自分が甘えられないからって、無理に口実作るんじゃないよ」

少女「……」

太夫「そ、そうよ少女? まあ、甘えたくなったらいつでもおいでなさい」

少女「……」

姉「そんなにぎゅーっとしてくんなよ。あたいの服にしわができちまう!」

>>70-81
太夫 一人称 あちきに訂正


少女「……」

姉「もういいのか?」

少女「ええ」

太夫「……」

少女「……」

姉「さてと、じゃああたいは行ってくるさね!」


少女「がんばって」

姉「え?」

太夫「っ!」

少女「……?」

姉「あんたが、そんな事を言うなんて珍しいねえ!」

少女「そう」

姉「こりゃあ、お赤飯だ! あははは!」


太夫「……少女」

少女「なに、太夫ねえさん」

太夫「さっきあちきに言ったことだけど」

少女「ねえさんは、誰かに甘えて依存したいだけ」

太夫「……」

少女「でも、忘れてもらってもいいから」


太夫「どうして——」

少女「……」

太夫「どうしてそんなことを言うのかしら」

少女「見ていたらわかるから」

太夫「え」

少女「もういい?」


太夫「まだ話は!」


「太夫ねえさん! 仕事だ! 貴族の坊ちゃんがまた来たぞ、早く支度してくれ!」


太夫「こんなときにっ」

少女「……」

太夫「ま、またお話ししましょうね?」

少女「……ん」


少女「……ムチの跡」

少女「いずれは消える」

少女「誰かに支配されている、誰かを支配している赤い跡」

少女「太夫ねえさん。あなたは、それを望んでいる」

少女「そんな風に見える。私はそう思う……」


—— 部屋 ——


太夫「あんっ!! くっ、んあっ! あぁぁ!」

太夫「くっ、んふ……ふああ!……そこ、いいわっ!」


太夫(この客は私を縛らない、叩かない……)

太夫(縛られたい……。支配されたい……)

太夫(……そう。私はそれを望んでいるだけの弱い女だった……つまらない女……)


—— 館長室 ——


館長「——なるほど。借金のカタに売られてきたという訳か」

静「ええ」

館長「静、あなたは物静かな印象を受ける人。その顔を淫乱に歪ませようとする客が多い」

静「覚悟のうちです」

館長「それならいいんだが」


静「いつから静は働くようになるですか」

館長「まずは下働きだよ。遊女たちの世話、館内の掃除や案内」

静「わかりました」

館長「指導はについては、色んな子にさせるからね」

静「特定の自分からの指導、というわけではないのですね」


館長「そっちの方が、みんなと知り合えるだろ」

静「痛み入ります」

館長「堅苦しいのは止めてはどうだろうか」

静「こういう性分ですので」

館長「そうか。ならば何も言うまいよ」

静「ありがとうございます」


館長「まずは……風呂場へ行けばいいだろう。そこにいる妹に指導を頼んだ」

静「妹ですか?」

館長「正確には妹分だよ。でも、まだ子供だし、可愛いからみんな本当の妹だと思っている」

静「……」

館長「何か言いたそうだね」

静「いえ。普通、こういう場所では上下関係が激しいと思っていましたので」


館長「この館にいる遊女は、みんな最初から偉かったわけじゃない」

館長「だからって偉そうぶるのは違う。私はそういうのが嫌いでね。ここは、それぞれがそれぞれの理由で働く娼館さ」

館長「借金が返済できれば、すぐにでも出て行ってもらって構わない」


静「……少し、驚きました」

館長「そうだろうね。まあ、のんびり気楽にやっていってくれ」


静「はい」

館長「話はここまでだ。何か質問はあるかい?」

静「では……」

館長「何でも聞いてくれ」

静「ありがとうございます」

館長「従業員の質問くらい答えられなくて何が館長だ、ってね」


静「失礼ながら……。館長は男ですか、それとも女ですか?」

館長「よく聞かれるよ」

静「ならば」

館長「私はどちらでもあるし、どちらでもない」

静「……え?」

館長「両性具有のバイセクシャルさ。どちらにも属さない、男と女の狭間に生きている人間だよ」


静「うそ……」

館長「このことは、この娼館で働くものならばおそらく誰でも知っているだろうね」

静「……」

館長「さあもういだろう? 仕事の始まりだ」

静「……わかりました。まずは、風呂場へ行ってきます」


館長「がんばってくれ」

静「はい」




館長「……どちらにも私はなれない。だからこそ、この娼館を建てたんだよ」

館長「子は成せぬし造れぬ。しかし男も女も好きだ。だから、ここで偽りの愛を、夢の様な愛を売らせているんだ」

館長「そして遊女は、自分を売って自分を買う。静、お前はどうなるだろうな。ここに縛られるか、それとも——」

ここまで
書いてみた


—— 数日後 ——


妹「だいたいは覚えましたか静さん」

静「はい。ありがとうございます」

妹「物覚えがよくて羨ましいです!」

静「そんなこと……」

妹「他の子たちも、要領がいいって言ってましたよ?」


静「嬉しい……」

妹「だから、自信を持ってくださいね!」

静「……はい」

妹「静さんはすごい! きっと遊女としても立派にお勤めを果たせると思います!」

静「……あの、妹さん」

妹「はい! なんですか?」


静「妹さんはどうしてここに?」

妹「私も静さんといっしょですよ。借金のカタに奴隷市場に売り出されて、館長に買い取って貰いました」

静「そう」

妹「あ、でも静さんはここで働きながら借金を返すんでしたよね! じゃあ私とはちょっと違うかも」

静「……」


妹「ごめんなさい!」

静「えっと、むしろ私の方が悪かったくらいです……」

妹「えへへ。あとそうそう、静さんの方が年上なんですからタメ口で喋ってもいいんですよ?」

静「これが私の性格だから……」

妹「へえ。育ちがいいんですね!」

静「そんなことないです……」


妹「さてと、そろそろ風呂場に行かないと。おねえさま達がお客の相手を終えてやってきます」

静「はい」

妹「今日は私の所でお手伝いですよ!」

静「わかりました」

妹「それにしても、妹分はみんな言ってますけど……。料理も、着付けも、なんでもできるって本当に優秀です」

静「家が厳しかったもので」


妹「実はどこかの貴族出身じゃないかって噂なんですよ?」

静「それは……」

妹「でも、そこまで聞くのは野暮ですよね!」

静「ありがとうございます」

妹「えへへ! よし、働きますか!」

静「そうですね」


—— 風呂場 ——


少女「……」

妹「あ、少女さん! とうとう職場復帰したんですね!」

少女「ん」

静「……あ、あの、新人の静と申しますっ。少女ねえさんには——」

少女「いい」

静「え?」


少女「よろしく」

静「は、はい……」

妹「少女さんはムチの跡が中々引かなくて、ずっと出られなかったんですよね!」

少女「早くして」

妹「はあい! じゃあ、服を脱いでこっちに腰掛けてください」

少女「ん」


静「ずっとお見かけしていました。少女らしい可愛らしさと、娼婦らしい淫靡さを兼ね備えている」

少女「……何が言いたいの」

静「えっとその……」

妹「静さん、今は仕事中ですよ? 普段はこんなことしないのに、珍しいですね!」

静「と、遠目に見ていて憧れていましたっ」

少女「そう」


静「それだけです……。すみませんでした……」

少女「……」

妹「少女さん、何も言わないんですか?」

少女「……よろしく」

静「……っ。はい、お願いします……!」

静(私より若いのに、なんだかすごいな……)


妹「じゃあ静さんは少女さんの髪をお願いします」

静「わかりました」

少女「……」

静(綺麗な髪……。黒くて艶があって……ずっと触っていたい……」

妹「静さん?」

静「ご、ごめんなさい……っ!」


 ・
 ・
 ・

少女「ありがとう」

妹「いえいえ!」

静「……あの」

少女「……」


静「がんばってください……」

少女「……ん」

妹「ほらほら、次のねえさま達が待ってるんだから。早くしよ静さん」

静「はい」

少女「……」


姉「どうだい、あの新人さんは」

少女「あねさん」

姉「仲良くなれそうかい?」

少女「……」

姉「っと、なんだか最近あんた、あたいに抱きつくのがくせになってないか?」

少女「あったかい」


姉「もう。あたい以外とも仲良くしないといけないじゃないか」

少女「いらない」

姉「変な子さね」

少女「……」

姉「はいはい……。よしよし」

少女「ん」


「少女はいないか!!」


姉「どうしたんだろ?」

少女「さあ」


「少女を出せと煩い客がいるんだ! 館長が今相手にしているけど、にっちもさっちも行かねえ!」

「頼む、館の入り口まで行ってくれ!」


姉「どうするんだい?」

少女「行ってくる」


男「うおら! あの黒髪のちまっこい女はどこだ!」

館長「あなたは我が館の立ち入りを禁止しております」

男「知るか!! 俺は客だぞ、神様だ!」

館長「お引き取りくださいませ」

男「ええい! とにかく出せ、あの黒髪女は出しやがれ!!」


少女「……」

館長「少女! どうして来たんだ!」

「館長、……すみません」

館長「お前か……。来てしまったものは仕方ないか……」

男「くっくっく、会いたかったぜぇー?」

少女「……」


男「おら、金はたんまり用意してきた! 抱かせろ!」

少女「……」

館長「ですから」

男「お前は黙っていろ!!」

館長「そうは行きません。従業員を守るのも上の役目でして」

男「しゃらくせえ!」


ドゴ

館長「いっ!」

男「へっへっへ。殴られた感触はどうだぁ?」

館長「……」

少女「……こちらへ。お客様」

館長「少女!!」


少女「大丈夫、館長」

館長「だ、だが!」

男「ごだごだうるせえなあ! そっちの部屋を使うんだろ? いいぜ、さっさと行こうぜ!」

男「ほら、前払いだ! 金は余分に払ってるんだ。それにこいつも良いっつってんだ、文句はねえだろ!?」

館長「……くっ」

少女「……」


—— 部屋 ——


男「久しぶりだなぁー、んん?」

少女「……」

男「なんだその目は! 文句でもあんのか!」

少女「……あ」

男「ああん? あんだって?」


少女「あなたには抱かれない」

男「はあ!? うっせえよ、さっさと股を開きやがれ!!」

少女「……」

男「ははは、なんだよ。股は簡単に開くじゃねえか」

少女「夢も、一時の愛も、あなたには抱かせない」

男「ぬかせ! と、とにかく入れるぞ……げへへ……」


男「うおら! どうだ、気持ちいいだろ!?」

少女「……」

男「何か言ったらどうなんだよ!!」

少女「……」

男「はあはあ、おらおら、奥を付かれるのいいだろ!?」

少女「……」


 ・
 ・
 ・

男「くっそ、全然気持ちよくねえ!」

少女「……」

男「あんときの快楽はどうしちまったんだ俺……。こいつ、何にもおもろくねえ……!!」

少女「……」





男「何か反応しやがれ!! じゃねえと!」

少女「——」

男「おお! なんだ、何かあるなら言ってみろ! いや、言ってくれぇ!!」

少女「あなたは、つまらない」

男「なっ!!」

少女「殴るの? 別にいいわ。でも、あなたには二度と会わないと決める」


男「……く、くそが! 何が望みだ! どうしたらあのときの快楽を俺にくれるんだ!」

少女「一度、離して」

男「……くっ。これでいいか」

少女「……」

男「どうすればいい、俺はどうしたらいい!! 狂いそうなんだ!!」


少女「ここを、舐めて」

男「さ、さっきまで俺のを入れてたそこをか?」

少女「早く」

男「……し、仕方ねえ」

少女「……ん」


男「じゅる……じゅるじゅるっ……」

少女「……出る」

男「んあ?」

少女「小水が出るから、飲んで」

男「んあああ!? んごっ、んぐ!? ごくごくごくっ」

少女「一滴も零してはいけない」


男「んぐんぐ……ぷはぁあ!! こ、これでいいか!?」

少女「少し汚れた。綺麗にして」

男「あ、ああ!!」

少女「そう、それでいいわ……」

男「れろれろ……」


男「も、もう一度入れさせてくれ!」

少女「まだだめ」

男「なんでだ!」

少女「あなたは反省して。そして、次からは心を入れ替えて、遊女たちに優しくしなさい」

男「わかった! わかったから!!」


少女「今日は足だけ」

男「な!? 遊女ごときが男を足蹴にするというのか!」

少女「じゃあ帰って」

男「まままま、待て待て待て! いいだろう、俺にも非があったしな!?」

少女「……そこにあぐらをかいて座って」

男「お、おう!」


少女「……」

男「な、なんだこれ! 足でされるのが気持ちいいぞ!」

男「お前の足、すべすべだ!……!!」

男(こいつのまんこが、見え隠れしやがる! それが余計に淫靡で……っ)

少女「私のほと、気になる?」

男「あ、ああ! もっと見せてくれ、頼む!!」


少女「これでいい?」

男「うおおおお! 指で開いてくれるなんて、なんていやらしい!」

少女「そろそろ、イって」

男「あ? うお、おほお! 出る、出るぞ!!」

少女「……」

男「ハアハア」





男「館長」

館長「はい」

男「さっきはすまねえ。これは慰謝料だと思って受け取ってくれ」

館長「そんなことよりも、少女はどうしましたか」


男「けっ」

館長「お客様?」

男「俺はもう行く。でもよ、また来てもいいか?」

館長「少女がよいと言うならば」

男「あいよ。……くそ、酒を飲む金もねえな」

館長「……」


館長「……」

館長「少女!!」


館長「少女、大丈夫だったか!」

少女「平気」

館長「そ、そうか! それは良かった……!」


館長「ああいう客は、たまに遊女を使い物にするのもいるんだ。だからすごく心配したんだぞ」

少女「……」

館長「だが、何があった? あの乱暴者がしおらしく、慰謝料まで払って帰ったんだ」

少女「知らない。お願いしただけ、優しくしてと」

館長「……お前」


少女「私は風呂に行ってくる」

館長「……ああ」

少女「きっとあの男はまた来る」

館長「そうだろな」

少女「そのきは、私は遊女として受け入れるつもり」

館長「そうか……」


—— 風呂場 ——


妹「少女さん!」

静「少女ねえさん、大丈夫でしたか?」

少女「平気」

妹「そ、それならよかった! すっごく心配したんですよ!?」

静「はい。……本当によかった」


少女「何度も湯浴みをさせてる。ごめんなさい」

妹「それが私たちの仕事だから平気です! さ、こっちへ!」

静「静も、いずれは……。だからこそ、今しっかりとお手伝いします」

少女「そう」

妹「うん!」

静「はい」


太夫「姉、あなたは聞いたかしら」

姉「ああ。少女、問題の客をあっさりと片付けたらしいな」

太夫「凄いわね。あちきでも、難しいのに」

姉「あいつは本当に花魁級の遊女になるだろうな」

太夫「ええ」


太夫「そういえば知っているからしら、青の娼館のこと」

姉「花魁がいる娼館がどうかしたのかい?」

太夫「名前がね、藍紫の娼館に変わったのよ」

姉「藍紫の娼館? なんでまた」

太夫「この娼婦街で、一番のお店になったから記念に変えたらしいわ」


姉「どうでもいいね」

太夫「あら? 他の娼館の売り上げとか気にならないのかしら?」

姉「わたいは別に気にならないさね」

太夫「あちきは気になるけどね。やっぱり、負けたくないもの」

姉「よくわからんね」

太夫「ふふふ」


姉「それよりも、あたいの興味は少女にある」

太夫「……」

姉「あいつ、少しおっかない所もある」

太夫「……」

姉「太夫ねえさん?」

太夫「え? え、ええそうね!」


姉「ま、あたいはあいつの保護者みたいなもんになってきているし、ちゃんと見ておいてやるかねー」

太夫「……いいな」

姉「太夫ねえさん?」

太夫「なんでもないわ。まだまだ夜は長いもの、がんばりましょう」

姉「もちろんさね」

ここまで
感想あると嬉しい

いや、エロスは感じるんだがなんだろう
こう自家発電したくならないエロスというか・・・絵画を見た気分だ

是非続けてくれいやください

萌あるちめっと

>>151
そう言ってもらえると嬉しい。そういう雰囲気を出せていたならよかった

>>152
ぐぐったら、同人誌のサークルだね。東方(雛)×娼婦だね


—— 深夜 ——


少女「……すー……すー」

少女「んっ……」


太夫「……」


少女「……」

太夫(なんて可愛らしい寝顔かしら)

少女「……」

太夫(……あちきは、一体何をしているのよ)

少女「……そうね。何をしに来たのかしら」

太夫「っ! お、起きてたのね……」


少女「今起きたの」

太夫「ご、ごめんなさい……」

少女「それで、何をしにきたの。私の部屋に忍び込んで」

太夫「あなた、半年前に入ってきたというのに最初から個室を割り当てられていいわね」

少女「話を反らしてる」

太夫「……」


少女「ちなみに、この部屋は館長の計らい」

太夫「……普通、新人は相部屋の雑魚寝だものね」

少女「そんなことはどうでもいいの」

太夫「……」

少女「……夜這い?」


太夫「そうだとしたら、どうするつもりかしら」

少女「拒否する」

太夫「どうしてよ? 姉にはあれだけ懐いているくせに」

少女「それは嫉妬ね」

太夫「今日はすごく饒舌じゃない。ええそうよ、嫉妬。弱い女の醜い嫉妬。それだけでここまで来たわ、こんな時間に」

少女「月も沈んで、太陽も沈んでいるこんな時間」


太夫「あなたは美しいのよ。それが私を狂わせたの」

少女「同性愛者?」

太夫「そんなつもりはなかったのだけど、少女はあちきの心を見破ったの。あちきすら気付かなかった自分の心に」

少女「それでどうしたの」

太夫「そのとき気付いたわ。あちきは誰かに依存したいって」

少女「そう」


太夫「お願い、あなたに依存させて……。それだけであちきは」

少女「だから言っているの。否定する。拒否する」

太夫「どうしてよ!」

少女「私は、誰のものにもならない。誰かのものであると自覚させない」

太夫「私があなたのものになりたいの!」

少女「それは誰のために? それは私の所有物になりたい太夫ねえさんのため。ただ私をあなたは利用したいだけ」

少女「だから嫌」

太夫「そんなっ!」


少女「帰って。今夜のことは無かった事にしてあげるから」

太夫「ふふ、それは無理な話ね」

少女「え」

太夫「この体格差だもの。女とはいえど、私のほうが腕力はあるわ」

少女「……」

太夫「言ったわ、夜這いにきたと」

>>161
太夫「この体格差だもの。女とはいえど、私のほうが腕力はあるわ」

太夫「この体格差だもの。女とはいえど、あちきのほうが腕力はあるわ」


少女「私を組み伏せて、どうするの?」

太夫「片手でもあなたの両腕を封じることはできるわ」

少女「抵抗なんてしない」

太夫「聞き分けがいいのね? それとも、怖いのかしら」

少女「違う。でも……強く強く否定する。これは、生きる上に関係のないことだもの」

太夫「でもこれはあちきにとって重要なの。生きていくために」


少女「こんな小さな女を抱くことが、生きることに必要だなんて」

太夫「ええ。自分でも滑稽に思うわ」

少女「……お願い。太夫ねえさんを傷付けたくない」

太夫「でも、あなたのものになれないなら……」

少女「どちらにしても傷付くということね」

太夫「そうよ。あなたのものになって、あなたをあちきのモノにしたいのよ」


少女「ごめんなさい」

太夫「どうして少女が謝るの」

少女「私は、私を生かすために太夫ねえさんを傷付けるから」

太夫「え?」

少女「……おやすみ。目覚めはきっと心地よく。でも夢はもっと深い世界へ」

太夫「どういうこと?」


——っ!

——っ!!

——ってば!



??「起きなさいってば!!」

女「……ふえ?」


??「授業中に寝るって、どうしたの? 早く起きないと先生に気付かれちゃうよ!?」

女「えっと、あなたは……」

友「友だよ! 寝ぼけてないの!」

女「え? あ、あちきは……」

友「本当に寝ぼけているんだね? あちきって何よ、あはは!」


女「あ、うん……」

先生「こらー! そこ、私語はつつしめー!」

友「はーい!」

女(ここは……)

女(そうだ、私は女……。じゃあさっきのは全部夢?)


キーンコーンカーンコーン


女「……」

友「ねー! 女ー!」

女「あ、友……」

友「あ、友、じゃないよぉ! 女が居眠りするなんて珍しいね!」

女「そ、そうね……」


友「そうそう! 今日の授業は全部終わったんだし、これからマケド行こう!」

女「マケド?」

友「そう、マケド! 私お腹すいちゃった!」

女「で、でもあちきは……」

友「……ねぇ、そのあちきってなぁに?」

女「え? えっと……」


友「おもしろいね!」

女「う、うん。そうね……」

友「そんなことよりも、マケドだマケド!」

女「え、ええ……」

女(マケド……マーケット・オブ・ドーナッツの略……)

友「ぼーっとするなー!」


友「あちゃー、雨が降ってるねー」

女「そうね」

友「私、ちょっとコンビニに行って二人分の傘買ってくるよ!」

女「あ」

友「すぐそこだし、10分で戻ってくるから待ってて!」

女「……う、うん」


女「行っちゃった……」




先生「……女」

女「あ、先生」

先生「ちょっと来なさい」

女「でも……」


先生「いいから来なさい」

女「……はい」



先生「今日の授業、居眠りしていたな」

女「……」

先生「これはいけない。お仕置きだ」

女「先生?」


女「きゃあ!」

先生「はあはあ」

女「な、いつのまにあちき縛られて……!?」

先生「はあはあ」

女「それに、ここはどこ!?」


先生「さあ、脱がすぞ!」

女「え!? いやああ!!」

先生「破けた服から零れ落ちるおっぱい……おおおお!」

女「いや、気持ち悪い!! 舐めないで!!」

先生「こうされたかったんだろ!? ほら、下の口は正直だぞ!」

女「んあ! そ、そんな……」


教師「これはよい趣味ですな」

教頭「うひひ、よいよい」

先生「そうでしょうそうでしょう」

女「あ、あなた達は誰よ!!」

教員「お前が知る必要はないな」

担任「そうだ!」

女「い、いつのまにこんなに……」


教師「では私はムチを」

教頭「それはでは僕は蝋燭ですな」

担任「じゃあ……——」


女「い、いや……離して……許して……いやあああああ!!」





女「ああっ!! いやだ、いやだ、いやだ!! んあっ! あんっ! こわれりゅ、こわれりゅううう!」

女「痛い、痛いよぉ! 館長! 姉!! 少女!! 許して、もういやあああ!!」







女「れろ……じゅぷじゅぷ……いや、……んむっ!? えろれろ……ちゅぷ……」

女「んんんん!?……んくんく……ごくごっ、げほげほ! ごほっ!」







女「え? それ……やだ……もう、許して……」

女「許してよぉ……うわああああ!!!!」




女「あちきは、あちきはこんなの望んでない!!」

女「あちきが望んだのは、あちきが選んだ人からの支配なの!!」

女「誰でも良い訳じゃないの!! あんたたちなんかに、支配されたくない!! 依存したくない!!」

女「だからもう止めて!!」

少女「そう。あなたは、結局のところつまらない女」

女「……あ、あなたは」


少女「誰かに支配されたがる。だから遊女になった」

少女「なのに、結局は度が過ぎると逃げ出したくなる弱い女」

少女「そんな女に、私が寄り添うと思ったの?」

女「……」

教師「うひひひ」

教員「ぐへへへ」

女「い、いやっ……」

教頭「いひひひ!」


少女「あなたが見ているもの。考えているもの」

少女「そんなの私には知らない。知りたくない。私が知りたいのは、生きて行く術だけ」

少女「それは私だけが生きていける術。そこにあなたは必要じゃない」

女「んぶっ! あっ! んなああ!」

少女「どうして泣くの。この世界は、あなたのために用意したのに」

女「ぷはっ!……こ、こんなのあちきのためじゃない!! こんな世界認めない!!」


少女「じゃああの娼館が本物だと思うの?」

女「あっちの方がマシよ!!」

少女「夢の世界かもしれないのに」

女「この世界が現実ならば、私は否定する! 生きて行くうえで、こんなもの必要ないわ!!」

少女「そう。自分が生きるうえで必要ではない」

女「だから、消えてよ!! もうやめて! あちきの穴はあんたたみたいな気持ち悪い男に使わせるためにあるんじゃない!」


少女「それと同時に、私はあなたを喜ばすために存在しているわけじゃない」

女「あ……」

少女「目覚めよう。深い夢の現実から……」

太夫「ええ……え?」

少女「おやすみなさい。それからおはよう。目覚めは心地よく」

太夫「え? え? こ、ここは……青楼の娼館……?」

少女「そう」


太夫「さっきのは……」

少女「夢と現実の境。夢ではなく、現実でもない」

太夫「あなたは一体……」

少女「私は少女。それだけ」

太夫「……」

少女「まだ私をモノにしたいの? 私のモノになりたいの?」


太夫「もう……いいわ。あちきは、弱い女だった」

少女「そう」

太夫「ふふ、容赦ないわね……」

少女「……」

太夫「でも、じゃあどうすればあちきはあなたのモノになれるのかしら。あちきはあなたをモノにできるのかしら」

少女「私をモノと言っている間は無理よ」


太夫「……わかったわ。今は諦めてあげる」

少女「そう」

太夫「ええ……」

少女「でも」

太夫「え」

少女「その心に、本当の支配という意味がわかったとき、あなたを私のモノとして認めてあげる」


太夫「これは宿題かしら」

少女「……」

太夫「いつになったら解けるかしらね……あちき、バカだから」

少女「わからない」

太夫「ふふ……」

少女「……」


太夫「でも、あなたは本当に何者なの」

少女「だから言っている。ただの遊女よ」

太夫「……はぐらかすのね」

少女「……」

太夫「いいわ。でもいずれは聞き出してあげるから」

少女「……」


太夫「ところで」

少女「なに?」

太夫「今夜はここで眠らせてもらえないかしら? もう、すごく眠たくて」

少女「なぜ」

太夫「いいでしょ? あちきも部屋に戻るのがめんどうくさいのよ」

少女「……」


太夫「そんな顔しないでよ」

少女「あ、勝手に布団に入らないで」

太夫「変なものを見させてくれた仕返しよ」

少女「……」

太夫「ほら、おいでなさい……。支配なんてどうでもいいから、せめて甘えさせて……」

少女「私が怖くないの?」


太夫「少し怖いわ。でも、それ以上にあちきはあなたに惚れてしまったの」

少女「……」

太夫「これは同性愛かどうかわからない。でも、好きよ」

少女「わかった。甘えさせてあげる」

太夫「ありがと……」

少女「おやすみなさい。いい夢を」


太夫「……すぅ」

少女「……」

少女「……変なひと」

太夫「苛められるのが好きな変態だもの」

少女「狸寝入り……」

太夫「ふふ」


太夫「あなた、本当に小さいのね」

少女「……」

太夫「でも大きい。あちきなんかよりもずっと大きい」

少女「……」

太夫「……本当におやすみなさい。また明日よろしくね」

少女「うん」


館長「……偽りの夢を見せる黒い髪の少女」

姉「それが、あの子かい」

館長「そうだよ」

姉「やっとこさゲロってくれたさね」

館長「あなたもしつこいよ……。でも、あの子のお気に入りらしいし、仕方なく教えてあげた」

姉「ありがとさん」


姉「ところで、どこで拾ってきたんだい?」

館長「疫病で死んだ村の真ん中に一人ぽつんと立っていたんだ」

姉「え」

館長「だから誰にも教えなかった。疫病を持っているんじゃないかと噂されちゃ困るからさ」

姉「……なるほど」


館長「私も一度、あの子に夢を見させられた」

姉「どうなったんだい?」

館長「認めたくない自分の弱さを認めさせられたよ……」

姉「……」

館長「ほら、もう寝るんだ……。明日も仕事はあるんだからね。あと、このことは」

姉「もちろん秘密だ……。娼館の皆を怖がらせたくない……。じゃあ、おやすみ」

ここまで
感想あると嬉しい → 感想があるのは嬉しい、という意味だった。すまん

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