妹「兄を欲情させたら5億円!?」 (207)

立ったら書く

妹「暇だなぁ」

妹「なんか面白いことないのかなぁ……」

妹「ん?」

妹(新聞か……)

妹(マスコミってマスゴミって言われてるくらいだからなー)

妹「どれどれ」


新聞『~兄を欲情させたら5億円~』

妹「マジ……?」

妹「これって本当なのかな」

妹「ご……5億円」ゴクリ

妹(一生遊んで暮らせるんだろうな)ジュル

新聞『~先着555名様~』

妹「……555名?」

妹「結構募集してるんだな」

新聞『~期限は今年の12月31日まで~』

妹「意外と先だし……」

妹「……」ゴクリ

妹「チャ……チャンスはあるわけか……」

妹「でもねー」

妹「こんなことしやいけないでしょ、人として」

兄の部屋

妹「お兄ちゃーん、紅茶入れたよー」

兄「……」ジト

妹「何なのその目は?」

兄「なんで急にブリッ子してんだよ」

妹「は? してねーし」

兄「お、戻ったな」

妹「あのさ、アニキってさー」

妹(待てよ……あたし!)

妹(このままだといつものまま……)

妹(それだと確実に5億ゲットは不可能……っ!)

半分書きためです

妹「ごめん、お兄ちゃん」

妹(で、できるだけおしとやかに……)

兄「は?」ポカーン

妹「なんかちょっと兄モノのアニメ見ててさ」

妹「キモイよねあたし、ごめん」

妹「じゃ」ダッ

妹(今は撤退……っ!)ガチャ

兄「なんだったんだ、あいつ」ポカーン

部屋

妹「うーん対策が……」ゴロゴロ

妹「どうすれば……」

妹「くそぉ」

妹「誰かに聞くとか……」

妹(だ、ダメ)

妹(こんなアホなこと相談できるわけがない)

妹(あんな記事本気にしてるのあたしだけだろうし……)

妹「……」

妹「でもこれって本当なのかな」ビラ

妹「……えっとPC、PCと」

妹「ん? この記事主催者ってアメリカ人なんだ」

妹「投資家?」

妹「どんな人なんだろ」

妹「う、え、英語か……苦手……」

妹「ぐ、グーグル翻訳で、と」

妹「読みにくい……」

妹「……んと、パークアベニューでは……」

妹「パークアベニューってなんだろ」

妹「えと……ニューヨークでも同じ催しがあり」

妹「すでに200名近くの妹が5万ドル……5億円を手にしている」

妹「えっと……かつての富豪も今は隠居生活を迎えており……」

妹「うーんもうちょっと英語力があれば……」

妹「でもマジっぽい」

妹「各国でも募集している……か」

妹「この人の道楽だって書いてるけど……」

妹(そ、それにしても、ご……5億か)

妹(本当に実行してる人もいるんだ)ゴクリ

母「ご飯よー」

妹「!」

妹「あ、今行くー」

夕食後リビング

妹「ねえお兄ちゃん」

兄「なんだあ?」

妹「ちょっとさ話あるんだけど」

兄「はいはい」ポリポリ

妹(妹の前でお尻かいちゃって)

妹(現実ってこんなもんだよね)

妹「……」

妹「お兄ちゃん、あたしのこと好き?」

兄「なんだよキモイな」

妹「う」

妹「とにかく質問に答えて」

兄「家族として好き、おわり」

兄「これでいいか?」

妹「……うん」

妹(こんなもんだよね)トホホ

兄「なあ、なんかあったのか?」

妹「……別に」

妹(こりゃ無理かなぁ)

妹「部屋戻るよ」

兄「おう、おやすみ」

妹「おやすみ」

部屋

妹「お」

妹(メール入ってる)

妹(妹友ちゃんか)

妹「電話ください……か)

妹「よっと」ピピピ

妹「もしもし」

妹友『こんばんは』

妹「電話くれってメールだったけど」

妹「なんなの?」

妹友『う、うん』

妹友『あのわたし兄と付き合うことになって』

妹「はぁ!?」

妹「あんたのお兄さんって、大学の?」

妹友『う……うん』

妹「もしかして今朝の新聞見た?」

妹友『え、あ……妹ちゃんも?』

妹「じゃ、じゃあ5億……」

妹友『え……あ、あの……』

妹(そりゃ言いたくないか……)

妹「じゃあ口止め料として……」

ここまで書きためです

翌朝登校

兄「あのさ……」トコトコ

妹「なぁに、お兄ちゃん?」トコトコ

兄「なんで一緒に歩いてんの?」

妹「やだなぁ、お兄ちゃんと登校したいからに決まってんでしょ」

兄「……」

兄(なんでこいつは急にきもくなってしまったんだ……?)

妹「小学校のとき以来だね」

兄「そ、そうだな……」

妹のクラス

妹「妹友!」

妹友「あ、妹ちゃん」

妹「めっちゃ感触よかったよ!」

妹「いつもよりフレンドリーにしたらアニキも緊張してたし」

妹「このまま落とすのもチョロいかもね」

妹友「妹ちゃん……」

妹「何?」

妹友「本当にお兄さんのこと好き?」

妹「好き好き好き」

妹(5億も好き!!)

妹友「……」

妹友「……はぁ」

妹友「じゃあ、次はね……」

夕方リビング

兄「ただいま」ガラ

妹「ただいまー」

母「おかえりー」

母「あら、二人揃って帰ってくるとか久しぶりじゃない?」

兄「え、ああ、そうだな」

妹「ううん、そんなことないよー」

兄「……」

母「……」

母(妹ちゃん、大丈夫かしら)

母(昨日作った夕飯が悪かったの?)

夕食後 兄部屋

兄「……」

兄「なんだったんだ、今日の妹は?」

兄「絶対に裏がある……」

兄(俺の命でも狙っているのか?)

兄「ま、いいか」

兄「ただの遊びとか罰ゲームだろう」

兄「さて……」

兄(初音ミクでオナニーでもするかな)

兄(えっと、エロ画像エロ画像……)

兄「はぁはぁ……」ガサ

兄「う……う……」シコシコ

妹「お兄ちゃーんっ!!」ガチャ

兄「……あ」シコシコ ピタ

妹「……」

妹「……ご、ごめん」バタン

兄「……う」

兄(うああああああああああああああああん!!)

妹部屋

妹「はぁ……」

妹「あー、どうしてあのタイミングでしてるかなぁ……」

妹「あ、携帯……」ピピピピ

妹「もしもし」

妹友『もしもし、どう、順調?』

妹「いんや、全然」

妹「聞いてよ、さっきアニキったら部屋でオナニーしててさー」

妹友『え!?』

妹「あーあ、夢に出そう……」

妹友『……』

妹友『なんでそこで何もしなかったの?』

妹「は?」

妹「するって何するのよ?」

妹友『……』

妹友『妹ちゃん、本当にお兄さんのこと好きなの?』

妹「好きに決まってんじゃん」

妹友『じゃ、愛してる?』

妹「愛してる、愛してる」

妹友『だったら……その……オナニーの手伝いとかもできたはずだよ』

妹「はああああああああ?」

妹「何トチ狂ったこと言ってんの?」

妹「兄妹だよ、兄妹!」

妹友『でも本当に好きならなんでも出来るはずだよね』

妹「できないって」

妹友『じゃあ、口止め料の協力やめていい?』

妹友『やる気がない人にいくら協力しても無理だし……』

妹「!!」

妹(ご、5億が……!!)

妹「ご、ごめん! ちゃんとやるから!」

兄部屋

兄(しくしく……)

兄(母さんに言われたらどうしよう……)

兄(全部あの馬鹿妹が悪い!)

?「……」トントン

兄「ん? 母さん?」

妹「……ごめん、あたし」

妹「……さっきはごめん、入っていい?」

兄「……」

兄「いいよ」

妹「……お、お邪魔します」ガチャ

兄「……」

妹「……」

兄(重い……この空気をなんとかしてくれ……)

兄(それにしても妹はなんで家用にこんなおしゃれな服着てんだ?)

妹「あのさ……」

兄「な、なんだ?」

妹「あ、あの、あ……あたしも……お、お、お///」

兄「お?」

妹「お、オナニーするから、き、気にしなくてもいいよ……//////」

兄「……」

兄「いいって、さっきのは気にしてないから」

妹「う……うん、とりあえずそれだけ……///」

兄「……ああ」

妹「お、おやすみ」ガチャ

兄「あ、ああ、おやすみ」

寝る前に電話する妹

妹「あのさー、なんでアニキにあんなこと言わないといけなかったの?」

妹「醜態だよ! 一生の恥だよ! アニキにオナニーしてるとか言うって!」

妹友『落ち着いて、妹ちゃん』

妹「無理だって!」

妹友『でもお兄さんの妹ちゃんに対するイメージは凄く良くなってるはずだよ』

妹「……ぐ、そうなの?」

妹友『うん、そうなの』

妹「でも……」

妹友『それともここでやめちゃう?』

妹友『私はそれでもいいよ』

妹「やめない!」キッパリ

妹(5億円!!)

妹友『じゃあ、次はね……』

翌朝 休日のリビング

兄「ふわぁ……」

妹「おはよう、お兄ちゃん」

兄「……! お、おはよう」

兄「なんか気合い入ったファッションだけど、どっか行くのか?」

妹「あの……」

妹「え……と……」

妹「きょ、今日、あたしとデートしてくれないかな?」

兄「……」

兄「……は?」

妹「ちょ、ちょっと買いたいものがあるんだ……」

妹「女のあたしじゃわからないことがあるから……」

妹「アニ……お兄ちゃんに付いてきて欲しいの」

兄「……」

兄「……別にいいけど」

繁華街を歩く兄妹

兄「なあ」

妹「何?」

兄「なんかあったのか?」

妹「え?」

兄「昨日から変だし」

妹「べべべべ別に!///」

妹(5億円の事だけは隠さないと!)

兄「ふーん」

兄「で、何買うんだ?」

妹「ア……お兄ちゃんの……」

兄「いつもどおりのアニキでいいって」

妹「無理! ……じゃなくてダメ……じゃなくて、ああ……なんて言ったら……」

妹(落ち着け……落ち着けあたし……)

妹「ふー」スー

妹(妹友ちゃんが絶対にアニキって呼んじゃダメって言ったとか言えない……)

妹(何かテキトーな理由をつけて……)

妹「あ、あのさ、中学まではお兄ちゃんだったじゃん」

妹「アニキって言うのは高校入ってからだし」

妹「やっぱ家族仲良く暮らせた方が楽しいじゃん」

妹(うわ、超テキトー、恥ずかしくないのかあたし?)

妹「それにアニ、お兄ちゃんと離れていく感じがしてイヤだったから」

妹「妹友ちゃんとか、ほら、お兄さんと仲いいじゃん」

妹「だから……と、思っただけ」

兄「……」

妹「……」

妹(わざとらしかった?)

兄「……凄いなおまえ」

妹「え?」

兄「見直した」

兄「正直さ、おまえのことうざいと思ってたんだよ」

妹「……」

兄「でも、そんなこと考えてるとか知らなかった」

兄「俺、おまえが妹でよかったと思うよ」

妹「……!」ドキッ

妹「ち、ちが/// あたしそんなんじゃ///」

兄「ま、そんなこといっか」

兄「買い物行こうぜ」ニギ

妹「あ///」

妹(こうやって手繋ぐの何年ぶりだろ)

夕食後リビング
テレビを見てる二人

兄「はぁ……つまんねえな……」

妹「だよね……展開がちょっと……」

兄「今日、結構楽しかったよな」

妹「うん、友達とかなら気使っちゃうとこあるからね」

兄「小学生の頃の夏休みとか楽しかったよな」

妹「あはは、だよね」

兄「……それにしてもおまえが成長してて励みになったよ」

妹「そっかなー」

兄「あんなに考えてるとか思わなかった」

妹「え?」

兄「家族っていろいろあるじゃん。うざいし」

妹「……そうだね」

妹(なんで? なんで心が痛いの?
  あたしは別に家族のことなんか考えてる良い子じゃない……)

妹(あたしはアニキを騙してる?)

兄「俺、最近なんか兄妹いらないって思ってたんだぜ」

妹「……」

妹(あたしもだよ! でも! でも!)

兄「でもおまえの考え聞いて、俺もしっかりしなきゃって思った」

妹「……」

妹(違う! 違う! あたしは5億……お金のために……!)

兄「やっぱおまえといると楽しいわ、昔いじめて悪かったな」ニコ

妹「!!!」

妹「……」ダッ

兄「あれ?」

兄(どうしたんだあいつ?)

妹部屋

妹「何やってんの? あたし……」

新聞『~兄を欲情させたら5億円~』

妹「……」

妹「……」ピ ヒ ゚ピ プルルルル

妹友『はいもしもし』

妹「もしもし」

妹友『デートどうだった? 楽しかった?』

妹「……よかったよ……もの凄く良かった」

妹友『やったね!』

妹「よくないっ!!」

妹友『え?』

妹「もう、これ以上アニキを騙せない!」

妹友『……』

妹友『あきらめるの?』

妹「あきらめ……る……?」

妹友『そうだよ』

妹友『5億円はいらないってことだよね』

妹「……」

妹友『言っとくけど、こんなとこであきらめる人が5億貰えるとか甘いから』

妹「……ッ!」イラッ

妹友『お兄さんへの愛とかも所詮その程度だったんだね』

妹「何を言って……!」

妹友『5億円欲しいとかも嘘でしょ?』

妹「くっ……!」

妹友『……どうする?』

妹「やる……! こうなったらとことんやるわよ!」

妹友『……』

妹友『……ふーん。じゃあ、次はね……』

翌朝リビング

妹「う……頭痛い……」

妹(昨日はよく眠れなかった……)

兄「おはよう、妹」

妹「あ、う、あ、お、おはよう、お兄ちゃん///」

兄「大丈夫か? なんか顔色悪いぞ」

妹「だだだ大丈夫だって!」ドン

妹「……ゴホゴホ」

兄「自分の胸叩いてセキするとか、いつのギャグだよ……」

妹「う……///」

妹(なんでこんな意識してるの?)

兄「母さん!」

母「ん……なんだい?」

兄「妹、調子悪いみたいなんだけど」

母「そう言えば顔色よくないねえ」

妹部屋

ベッドに横たわる妹

妹「……別に大丈夫だってば」

兄「熱あんだから仕方ないだろ」

妹「だからって、か、看病しなくていいってば……」

兄「気にすんな」

妹(気になるのよ!!!)

兄「……」

兄「はい、おかゆ」

兄「あーん」

妹「あーん」

妹(って何やってるの! あたし!)

妹部屋

妹(……)

妹「……ん」

妹「……寝ちゃってたのか、あたし……」

妹「お兄ちゃんもいないし」

妹(はぁ……大変なことになった……)

妹(兄を欲情させたら……か……)

妹(やめた方がいいのかな……)

妹(はぁ……頭痛は引いたけど、頭痛いなぁ)

妹(まあ、いいや、明日だ明日……)

妹「ZZZ……」

ちょっと飯食ってきます

翌朝

妹「お兄ちゃん、いこっ」ガラ

兄「ん、ああ」タタ

妹「行ってきます」

兄「行ってくる」

母「ええ、行ってらっしゃい」

母「……」

母(仲良くなったわね)

母(なんだか昔を思い出すわ)

妹のクラス 休み時間

妹友「ふーん」

妹友「それで仲良くなったんだ」

妹「うん、凄くいい感じ」

妹「お兄ちゃんって言うのも慣れたよ」

妹友「幸せそうだね」

妹「そそそそっかなぁ///」

妹友「でも、そこで終ったらただの仲の良い兄妹止まりね」

妹「!!」

妹友「電話で話した次のステップ……」

妹友「……やってみる?」

妹「……」

妹「ど……どんと来い……!」

5日経過……

妹部屋

妹「ねえ、こんな地味なことやってていいの?」

妹友『地味って?』

妹「だって、お兄ちゃんとただ遊んで、喜ばせてあげればいいだけって……」

妹友『それがいいんだよ』

妹「でも……」

妹「この間にも全世界の妹が5億をゲットしていってるんじゃ……」

妹友『安心していいって。ホームページ上じゃまだこの間に3名しかゲットしてないから大丈夫』

妹友『そんな簡単に5億ゲットできたらこんな企画終ってるよ』

妹「でも、全然進んでないって」

妹友『自分の変化に気付いてないの?』

妹「え?」

妹友『アニキって言わなくなったとか、いろいろあるでしょ?』

妹「……あ……そういえば……」

?「……」コンコン

妹「!」

兄「おーい、妹いるかー?」

妹「あ、ちょっとまってー」

妹友『ふふ、こうやってお兄さんから妹ちゃんの部屋に来ることとかもなかったでしょ?』

妹「うん。じゃ、またね」

妹友『ごゆっくり』

妹「おまたせ、お兄ちゃん」ガチャ

翌日 繁華街

妹「デート日和だね。お兄ちゃん」

兄「そうだなー、まだ暑いけどなー」

妹「今日は何食べる?」

兄「そだな……」

兄「!」

友「よう」

友彼女「こんにちは」

兄「お、こんなとこで」

妹「こ、こんにちは」

兄「今日も暑いねー」

友「まあな」

兄「いや、おまえら二人が暑いんだよ。寄るなリア充ども」

友「またまたーこんな可愛い彼女連れちゃってー」
友彼女「そうだよー、あつあつじゃーん」

妹「……!」

1時間後 喫茶店に入る4人

兄・友・友彼女「……! ……! ……!」ワイワイ ガヤガヤ

妹(はぁ……そうだよね。彼女と勘違いされたけど、所詮、妹なんだよね)ガックリ

妹(それにしても、お兄ちゃん嬉しそうだな……)

妹(まさか友彼女さんのこと好きだったとか?)

妹(ありえる! 充分ありえる! くそ……)

妹「……」

妹(あれ? なんであたしが悔しがる必要あるの?)

3時間後

妹「……」トコトコ

兄「あいつら、この夏進んだんだろうな」トコトコ

妹「……」

兄「け……どうせ俺は……」

妹「……」

兄「なぁ? 妹はあいつらの関係どう思う?」

妹「……」

兄「おい、妹。大丈夫か?」トコトコ

妹「……」トコトコ

兄「妹さーん?」ピタ

妹「……」トコトコ

兄「……」

兄(どうしたんだろ……)

妹部屋

妹「……」ピピピ プルルルル

妹友『はい、もしもし』カチャ

妹「ねえ、どうしたらいい?」

妹友『は?』

妹「あたし……お兄ちゃんのこと本気で好きになったみたい……」

妹友『……』

妹友『よかったね……』

妹「そう……なのかな?」

妹友『どうする? 続ける? このまま続けたらもっときつくなるかも知れないよ?』

妹「……」ウルッ

妹「わからない……! わからないの……!」ウルウル

妹「自分がわからない……!」グス

妹友『そう……辛いね……』

妹「辛いよぉ…えぐ…ぐす……」

一ヶ月後

兄部屋

妹「お兄ちゃん。お兄ちゃんってば……」

兄「うーん、もうちょっと……」

妹「起きてよ!!」ガン

兄「いてえ!!」

妹「はい、学校行くよ」

兄「目覚まし時計で殴るなよ……」

妹「だって起きないし」

妹「痛かった? 大丈夫?」

兄「あ、ああ」

妹「ふふ、リビングで待ってるからね」

……月日はどんどん経っていく……

二ヶ月後 繁華街

兄「ここも飽きてきたな」

妹「どこが? 全然行ってないとこいっぱいあるじゃん」

兄「そっかあ?」

妹「そうだよ。お兄ちゃんの感性がどうかしてるんだよ」

兄「うわ、ひで……」

妹「ふん」

兄「じゃ、図書館にでも行くか」

妹「あ、中学校の頃よく行ってたトコ? いいじゃん!」

兄「ラノベでも借りてくるか」

妹「うん!」

兄「……」

兄(こいつ、ちょっと可愛くなった?)

兄(は? 何考えてんだ俺……)

そして……

新聞『~期限は今年の12月31日まで~』

……の12月突入

携帯「プルルルル」

妹「!」カチャ

妹「もしもし」

妹友『いよいよだけど……』

妹「わかってる」

妹友『ううん。妹ちゃんは何もわかってない』

妹「どういうこと?」

妹友『これまで私の忠告を無視し続けてきたよね?』

妹「……」

妹友『先着555名中524名』

妹「……」

妹友『本当に仲のいい兄妹のままで幸せなの?』

妹「……!」スッ

妹友『またその先を聞かずにケータイ切るつもり?』

妹「!」ピタ

妹友『私は自分の兄と結ばれて幸せだよ』

妹「……! ……!」

妹友『これが最後の忠告』

妹「……」

妹友『ちゃんと告白しなさい』

妹「……でも」

妹友『大丈夫。家族だからこそ大丈夫なのよ』

妹友『もし失敗しても笑い話にしてくれるだけ』

妹友『だから、やるだけやってみてよ』

妹友『ここまで来たらお金は関係ない』

妹「……」

妹「……わかった」

12月24日夜 妹部屋 シャンシャン

妹「雪かぁ」

妹「寒いなぁ」ブル

妹「ちょっと前まで暑かったのに……」

妹「もう、こんなに……」

兄「おまたー!」ガチャン

妹「!」

兄「待った?」

妹「う、ううん。待ってない」アセアセ

兄「はい、ケーキ」サッ

妹「わぁ! ありがと!」

兄「ひとりもの同志、仲良く兄妹でケーキ食うくらいしかないからな」

兄「世間はどいつもこいも性なる夜だからな。けっ……」ブツブツ

妹「あ……あのさ……」

兄「ん?」

妹「ひ、ひとりじゃ………ない……よ……」

兄「?」

妹「……あたしがいるじゃん」

兄「……」

兄「まぁ……確かに……」

妹「だからさ……ひとりじゃないよ……」

兄「でも恋人じゃ……」

妹「……」

兄「……」

妹「……」

兄「……」

妹「……その先言って?」

兄「恋人じゃ……ない……」

妹「……」ズキ

妹「……誰と誰が?」

兄「……」

兄「……今日は雪が綺麗だな」

妹「……」

妹「誰と誰が恋人じゃないの?」

兄「……」

兄「そこら中、カップルだらけでさ……」

妹「ごまかさないで」

妹「誰と誰が恋人じゃないの?」

兄「……」

兄「……俺と……おまえがだよ……」

妹「……」ウルッ

妹「……そう……」

妹「……でも……でもあたしは……!」

兄「……なあ?」

兄「それ以上はさ……やめようぜ?」

妹「!!!」

妹「や……やめない……!」

兄「おまえはさ。いい奴だと思うよ」

兄「でも、それは妹で……ん!?」

妹「ん……ちゅ……」チュ

妹「ん……んん……」チュル

兄「んんんん!!」チュ

兄「……ぷはぁっ!」

兄「……あのな! おまえ!」

妹「あたしはお兄ちゃんが好き!!!」

妹「悪い!!??」

妹「恋人として好きなの!!」

妹「だからお兄ちゃんもあたしもひとりじゃない!!!」

兄「……」

妹「……」

兄「……本気か?」

妹「……うん」

兄「でも、それはこの新聞広告のせいなんじゃないか?」パラ

妹「……え? それって……!?」

新聞『~兄を欲情させたら5億円~』

妹「……!!!」

兄「……どうなんだよ?」

妹「え、あ……いや……あの……」

兄「……どうなんだよ!?」

妹「そそそ……それもあったよ……でででも……」ガタガタ

兄「俺だっておまえが本気で好きだったらな……」

妹「好きだよ!!!」

兄「じゃあなんでこんな……!?」


 妹「もうそんなのどうでもよくなったんだよ!!!!!!!!!!!!!!」

兄「……」

兄「……声でかいって」

妹「……う……ぐす……」

妹「確かに最初は5億のためだったよ……」

妹「でも、途中で……ちゃって……ひぐ……」

兄「……」

兄「まず、落ち着けって……」

妹「……ごめん」ヒック

兄「……勝手に部屋にあるの読んで悪かったな」

妹「ううん……」

兄「あとさ」

妹「?」

兄「……いや、なんでもない」

妹「……」

兄「そっち行ってもいいか?」

妹「……うん」

妹「ねえ、お兄ちゃん」

兄「なんだ?」

妹「あたしは言ったよ?」

兄「……」

兄「……何を?」

妹「……」

妹「……ふん」プイ

兄「……」

兄「……好きだ」ボソッ

妹「聞こえません」

兄「好きだって言ってるだろ!」

妹「……!」

妹「……あたしも!!」ダキッ

兄「……途中から俺も好きになってたよ」ダキ

~ エピローグ ~

12月31日 大晦日 夜 神社

妹「結局、あの企画ってなんだったんだろうね」

兄「さあ? 金持ちの道楽だったんだろ」

妹「でも企画自体馬鹿げてるっていうか……」

兄「つかホントに5億はいいのかよ?」

妹「まあね」

兄「俺、おまえに欲情しっぱなしなんだけど……」

妹「……っ」ドン

兄「ぐふっ……」

妹「こんな人の多いところで言わないで」

兄「ず……ずみません……」

兄「あとさ……おまえ、新聞の5億円=5万ドルって横に書いてたけど」

妹「や、やめて……」

兄「5Mって5ミリオンって意味だからな」

妹「いや……」

兄「Mは万じゃないぞ」

妹「///////」

妹「あれ? 誰だろ……」プルルルル

妹「もしもし」カチャ

妹友『何やってるの!!!!!!!!!!!』

妹「……っ!」

妹「こ、声大きいって……」

妹友『早く行かないと手遅れになるわよ!!』

妹「ちょっと意味が……」

妹友『5億に空きが出たのよ!』
妹友『不正で空きが一つだけ!!』
妹友『あなたたちなら大丈夫だから行きなさい!!!』

妹「……嬉しいけど」

妹友『あ、ちょっと待って……』ガチャ

妹「はぁ……もったいなことしたかなぁ……」

妹「でも、まあいいか」

兄「……」

兄「さ、行くぞ」

妹「どこに?」

兄「決まってんだろ!」

妹「……?」

兄「5億ゲットしにだよ!」

妹「……ぷ」

兄妹「あははははははは!」



~おしまい~

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年10月20日 (月) 19:57:08   ID: WCv9kvDy

よかった

2 :  SS好きの774さん   2016年06月22日 (水) 22:03:02   ID: NqS9o0Yr

久々になんか良いものを見たきがする

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