男A「3年ぐらい前のVチューバーだって?」 (10)

男A「最近の事なら覚えちゃいるが、3年も前だと覚えてないな」

男A「たくさんのVチューバーがいたからさ」

男A「金髪の子?」

男A「そんなの大勢いたよ。名前もわからないんじゃ話にならない」

男A「悪いが、他をあたってくれ」

男A「ところで、あんた」

男A「今更、その子を調べてどうすんだ」

男A「もう消えてるVチューバーなんだろ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1709343840

女A「どの切り抜き動画で見たのさ?」

女A「ああ、この子ね。何となくだけど覚えてるよ」

女A「私の推しじゃなかったけど、他のVとの絡みが面白くてね。結構、好きだったよ」

女A「声が可愛い子だったね」

女A「公式サイトじゃもう消えてるけど、非公式サイトなら残ってるんじゃない」

女A「調べてみたら名前はわかると思うよ」

女A「ところで、あんた」

女A「今更、その子を調べてどうすんの」

女A「もう終わった話だし、蒸し返すような事はしないでよ」

男B「覚えてるよ。忘れる訳がない」

男B「いきなり契約解除の話を聞かされたからな」

男B「俺もあの時はずいぶんへこんだよ」

男B「仕方ないってわかってるけど、心はそんな風に割り切れなくて」

男B「アーカイブも保存して残してあったけど、迷った末に結局消した」

男B「見る度に辛くなったからさ。もういないんだなって実感させられて」

男B「ところで、あんた」

男B「今更、その子を調べてどうすんだ」

男B「いなくなった子の事はもういいだろ。別の人生を歩んでるんだから放っておいてくれないか」

女B「アーカイブを探してるんだって?」

女B「残念だけど、どこにもないと思うよ」

女B「まだ残ってるのは、誰かとのコラボ配信ぐらいじゃないかな」

女B「本人のチャンネルはとっくの昔に消されてるからさ」

女B「ただ、消される前に保存してた人は結構いたかもね」

女B「このサイトで聞いてみれば? 古参が多いはずだから」

女B「ところで、あんた」

女B「今更、その子のアーカイブ見てどうすんの」

女B「ずいぶん熱心に探してるみたいだけど」

名無し1『切り抜きならまだ保存してる奴は多いかもな』

名無し2『俺も切り抜きは残してある。これはずっと消せない』

名無し3『歌と歌枠は全部残ってる。好きだったから』

名無し4『ASMRなら何個かあるな。他にも晩酌配信と、最後の配信のやつ』

名無し5『だけど、流石にアーカイブ全部残してる奴はいないんじゃないか』

名無し6『お気に入りの分だけ残してる奴はまだ結構いるみたいだな』

名無し7『そいつらのを一つ一つ集めれば、全コンプ出来るかもしれないぞ』

名無し8『俺は協力してやってもいいけどな』

名無し9『だけど、その前に一つだけ聞かせてくれ。お前、本当にあの子のファンなのか』

名無し10『もうホロから消えて3年だぞ。なのに、新規がまだいるのか』

母「あんたさあ、いい加減にしてよ」

母「部屋で勉強するって言ったじゃない。確かにそうお母さんに言ったよね」

母「だから、夜食を持ってきてあげたのに、勉強もせずに隠れて動画なんか見て」

母「しかも、何これ? 昔のVチューバーの動画?」

母「こんなの見て、何の役に立つの。消しなさい」

母「わかってるの? あんたは今年受験なのよ。もし大学に受からなかったらどうするつもりなの」

母「昔は声優になるとか馬鹿な事言ってたし、それをようやく諦めたと思ったら、こんなVチューバーの動画なんか見てるし」

母「もっと現実を見なさい。大学行って、まともなところに就職して、きちんと自立して。これはあんたの為に言ってるのよ」

バイト仲間「やっほ。久しぶり」

バイト仲間「まだバイト続けてたんだね、あんた」

バイト仲間「で、書類選考は通ったの? まだ?」

バイト仲間「まあ、そんな甘いもんじゃないだろうね。倍率1000倍以上とかいう話なんでしょ」

バイト仲間「このままいくと大学卒業しちゃう方が先かもね」

バイト仲間「ん? ああ、そういう事。それで東京に引っ越す為のお金を貯めてるんだ。卒業したら向こうで一人暮らしするのね」

バイト仲間「ま、ほどほどに頑張りなよ。向こうに行っても応援だけはしてあげるからさ」

バイト仲間「ところで、あんた」

バイト仲間「何でそんなにVチューバーになりたがってんの? そういえば、理由を聞いた事なかったからさ」

女先輩「お疲れ様。今日の演技良かったよ」

女先輩「でも、初めての大役で緊張して疲れたみたいだね、その様子だと」

女先輩「うん、わかる。モブじゃなくてちゃんと名前のあるキャラだと、どうしても力が入っちゃうよね。セリフも結構あるし」

女先輩「でも、誉められてたよ。イメージ通りでピッタリだったって。そうそう、原作者の先生に」

女先輩「あなた、声がすごく可愛いし、感情の入れ方とか上手だからさ。この仕事、向いてると思うよ。You Tubeで見たけど、歌ってみたも再生回数かなり伸びてるんでしょ? そろそろ本格的にこっち系の仕事を考えてみたら?」

女先輩「そう? 今は別の夢があるんだ。それならしょうがないけど……。もったいないと思うんだよね、私は」

女先輩「あ、そうそう。そういえば一つ聞きたかった事があるんだけど」

女先輩「この前、最後の面接を受けに行くとかどうとか電話で言ってなかった? あれって何の面接なの?」

15期生の一人「あの人は、めちゃくちゃ憧れてた大先輩だったの」

15期生の一人「昔の切り抜き動画をたまたま見つけて、それを見た時から一瞬でファンになって」

15期生の一人「それからアーカイブを探しまくって、やっとの思いで全部集めて」

15期生の一人「何度も何度も見た」

15期生の一人「私もあの人みたいになりたかったの。天才過ぎて同じようには絶対無理だろうけど、それでも近付きたかった」

15期生の一人「それで私はホロライブに入ろうって思ったんだよ」

15期生の一人「だから、あの人がいなかったら、今の私はいないし、ここで配信してる事もないと思う」

15期生の一人「今の私がいるのは、あの人がここにいたからなの」





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