C.C. 『そろそろ子供が欲しい』ルルーシュ『……産めるのか?』 (19)

「陛下。フレイヤ発射準備完了しました」
「ご苦労さまです、枢木卿」

耳を澄ませると、盗聴中の睦言が聞こえる。

『ルルーシュ』
『なんだ、C.C.』
『そろそろ子供が欲しい』
『……産めるのか?』
『今なら産める気がする』
『そうか……ならば望み通り』

衣ずれの音。もう充分だろう。我慢の限界。

「爆破してください」
「はい、ナナリー皇帝陛下」

第一目標はお兄様が滞在中のロンドン全域。

「テムズ西岸、議事堂、ビッグベン、首相官邸、国防総省舎、バッキンガム宮、スコットランドヤード本庁、ウエストミンスター寺院、ピカデリー、ソーホー、シティー、サザーク、全て燃やしてください。中央政府院、セントポール大聖堂も忘れずに」
「陛下、キャビネットウォールムズは?」
「爆破してください。当然です。不愉快極まります。欠片も残さないでください」
「トラファルガー広場は如何しますか?」
「燃やしてください。ネルソン像は倒してください。ロンドン塔、大英博物館、大英図書館、全部破壊してください。不愉快です」
「タワーブリッジは?」
「ええ。もちろん落として構いません。ロンドン橋もです。歌のようにどうぞ」
「帝国戦争博物館は?」
「爆破してください。目についたものは片端から壊し、目についたものは片端から燃やしてください。存分に暴れ、存分に踏み躙るのです。この爛れた帝都は私の晩餐と成り果てるのです。さあ、枢木卿。乾杯しましょう」

宴はついに、今宵この時より開かれるのだ。

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『ルルーシュ、そこは違う穴だ』
『フハッ!』

掲げた杯を投げ捨てる。世界を粉々にする。

「プロージット!」
「プロージット!」

さようならお兄様。最期まで童貞でしたね。

『痛っ! だからそこは違うと言っている! ルルーシュ! お前、わざとやってるだろう!?』
『フハハハハハハハハハハハハッ!!!!』
『ん? 窓の外で何か今、光っ……』

耳障りな哄笑。お兄様の愉悦が不愉快です。

「目標、完全に消失しました」
「ふぅ……枢木卿」
「はい。如何しましたか、陛下」
「私の"目的"とはなんだったのでしょう?」

沈黙したスピーカー。静寂が清々しいです。

「恐れながら皇帝陛下は……"手段"のためなら"目的"を選ばない、どうしようもない皇族の血を色濃く引いておりますので」

子作りという"目的"を無視する兄のように。

「ふふっ。そうでしたね……私には"目的"など存在しないのでした。愚問でした」
「貴女は……狂っている」

息を吹き返したスピーカーから愛しい声が。

『どうやらナナリーに見つかったようだな』
『ああ。次はパリにでも身を隠すか』
『私はナポリがいい』
『お前はピザが食べたいだけだろう』

お兄様は不死身。何度でも甦る。何度でも。

「狂っている? 何を今更。枢木卿、貴方の正気はどこの誰が保証してくれるのですか?」
「口が過ぎました……どうかお許しを」
「では、向かいましょうか。パリでもナポリでも……どこへでもフレイヤを撃ち込みに」

何度でも何度でもお兄様の過ちを正します。


【コード○ヌス - 矯正のナナリー】


FIN

"我々には目的など存在しないのだよ。
『目的のためなら手段を選ぶな』……君主論の初歩だそうだがそんなことは知らないね。"

HELLSING - 少佐(モンティナ・マックス)

すみません!
これは冒頭のレスです
>>1レス目に書き込むのを忘れてました

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