【ヘンプリ】ソフリン「めっちゃ喧嘩するじゃんお前ら……」【ノア√】 (45)

Qruppo製作のエロゲ、「ヘンタイ・プリズン」の二次創作SSになります。
作中の紅林ノアルートのその後を描いた内容です。ネタバレ満載なので、これからプレイする方、プレイ中の方はブラウザバックを推奨致します。
私事ではありますが、SS投稿は5年ぶりですので、マナーを違えていた場合は温かく指摘いただければ幸いです。

ソフリン「いや、別に喧嘩する事自体を変に思ってる訳じゃないんだ」

ソフリン「喧嘩するほど仲がいいって言うしな。特にお前らにとっては悪い事じゃないと思う」

ソフリン「衝突し合う事でしか分からない事だってある。それは私たちが良く知ってる事だしな」

ソフリン「だからまぁ……喧嘩についてどうこう言うつもりはないんだけどさ……」



ノア「………っ!」

柊一郎「………ッ!」

ソフリン「こんな大通りの下で15分も睨み合ってるのは流石に止めて欲しいんだけど……?」


ソフリン「久々の妹と義弟との休日だって楽しみにしてたのに、なんでこんな殺伐としてるんだよ」

ノア「いやだってコイツが頑固だから」

柊一郎「そっちだって頑固」

ソフリン「そもそも原因はなんだ。私がトイレ行ってる間に何が起きた。何を言い争ってた」

ノア「お昼ご飯の献立」

ソフリン「しょうもな」

柊一郎「鎌倉山に行こう。あそこならノアちゃんでも食べられる納豆があるかもしれない」

ノア「腐った豆をどう工夫しようが腐った豆なんですよ。私は江ノ島周辺の店がいいって言ってんです。お姉ちゃんのしらす丼より美味いものはないって証明しに行きますよ」

ソフリン「たかがお昼どこにするかでそんな喧嘩するなよ……ノア、お前もうハタチ過ぎてるだろ?湊の言う通り、その歳の苦手意識はよくないぞ」

ノア「歳がどうこうなんて関係ないでしょう?お姉ちゃんだって三十路手前のくせして色恋沙汰苦手じゃないですか。世間一般からはお局扱いですよ?」

ソフリン「こいつ気にしてるところを的確に……!」

柊一郎「義姉さん、夕顔看守長の事お局かんぴょう女とか揶揄してましたけど今のお気持ちは?」

ソフリン「泣きそうだよ色んな意味で!」

ノア「お姉ちゃん、誰からも貰われなかったとしても私だけは相手してあげるからね……」

ソフリン「妹と義弟がいじめてくるぅー!!」

ソフリン「私を玩具にしたくせにまだ仲直りしないのかお前ら」

柊一郎「それとこれとは別なので」

ノア「私にだって譲れないものはあります」

ソフリン「たかが昼飯だけでそんな意固地になるなよ……」

ノア「あんなネバネバして臭っさいもの誰が好き好んで食べますか」

柊一郎「でもノアちゃんは俺のザー◯ン「臭っさ……?」って言いながら飲んでくれるじゃないか」

ソフリン「おい往来だぞここ」

ノア「アレは搾りたてフレッシュだから腐ってないはい論破」

柊一郎「くっ……!」

ソフリン「そんなんで納得するんじゃないよ」

柊一郎「でも納豆キナーゼは健康に良いってテレビでやってた……!」

ソフリン「反論が小学生」

ノア「確かに最近座り仕事ばかりで血行が悪くて肌荒れとかしてきたけど……!」

ソフリン「あれ?漫才始まってる?」

柊一郎「俺は……ノアちゃんに長生きして欲しい」

ノア「馬鹿ですね。女の平均寿命は男より長いんです。納豆食べないぐらいじゃ差分くらいにしかなりませんよ」

柊一郎「でも……」

ノア「大丈夫ですよ。たかが片手で数えられる程度の歳の差なんて誤差にしかなりませんって。柊一郎置いて先に死んだりしませんから」

柊一郎「ノアちゃん……」

ノア「柊一郎……」




バカップル「んっ………?」チュッ

ソフリン「めっちゃ他人のふりしたい」

ハートがハテナになってる……
再投稿します

テストスレで試行錯誤しましたが
スマホだと表示されないっぽいのでハートはやめにします
ぐだってすみません。。

ソフリン「私を玩具にしたくせにまだ仲直りしないのかお前ら」

柊一郎「それとこれとは別なので」

ノア「私にだって譲れないものはあります」

ソフリン「たかが昼飯だけでそんな意固地になるなよ……」

ノア「あんなネバネバして臭っさいもの誰が好き好んで食べますか」

柊一郎「でもノアちゃんは俺のザー◯ン「臭っさ……///」って言いながら飲んでくれるじゃないか」

ソフリン「おい往来だぞここ」

ノア「アレは搾りたてフレッシュだから腐ってないはい論破」

柊一郎「くっ……!」

ソフリン「そんなんで納得するんじゃないよ」

柊一郎「でも納豆キナーゼは健康に良いってテレビでやってた……!」

ソフリン「反論が小学生」

ノア「確かに最近座り仕事ばかりで血行が悪くて肌荒れとかしてきたけど……!」

ソフリン「あれ?漫才始まってる?」

柊一郎「俺は……ノアちゃんに長生きして欲しい」

ノア「馬鹿ですね。女の平均寿命は男より長いんです。納豆食べないぐらいじゃ差分くらいにしかなりませんよ」

柊一郎「でも……」

ノア「大丈夫ですよ。たかが片手で数えられる程度の歳の差なんて誤差にしかなりませんって。柊一郎置いて先に死んだりしませんから」

柊一郎「ノアちゃん……」

ノア「柊一郎……」



バカップル「んっ………///」チュッ

ソフリン「めっちゃ他人のふりしたい」


ソフリン「もしかしてさっきの喧嘩もそう言うプレイじゃないだろうな?」

ノア「そんな訳ないじゃないですか。わざとやつてたなら頭おかしいですよ」

ソフリン「お前らならやりかねないんだよ……!」

柊一郎「諍いなんて起こしたくて起こるような事じゃありませんよ」

ソフリン「そこはかとない上から目線が凄いムカつく」

ノア「それに、最近こういうのしょっちゅうですよ。しょっちゅう」

ソフリン「キスまでの一連の流れがしょっちゅうならそれはもうプレイだ」

柊一郎「しょっちゅうを何回も言うと、ちゅうしよって聞こえるから?」

ノア「熱中症をゆっくり言わせるより楽に相姦係数あげられそうですね」

ソフリン「担当抗弁で部屋に突き返せないかなこいつら」

ノア「でもまぁ実際のところ最近多いですよ。些細な事で喧嘩」

ソフリン「まぁ健全ではあるけどな……喧嘩自体は。内容は不健全だけど」

ノア「この前なんて、お風呂の後に下半身裸のままうろうろしてたら怒られまして」

ソフリン「早速不健全!」

ノア「どうせすぐ脱ぐんですから着る必要なくないですか?」

ソフリン「だからここ往来だって……!あとそういう問題でもない!」

ノア「そしたらこの人なんて言ったと思います?」

ソフリン「知らん。どうせ脱ぐなら上も脱げとかだろ」

ノア「風邪ひいちゃうから駄目だって」

ソフリン「なんでそこは常識的なんだよ!」

柊一郎「義姉さんは全裸族だった……?」

ソフリン「嬉しそうな顔するな!変な勘ぐりして悪かったから誤解するのはやめてくれ……!」

ノア「柊一郎は風呂上がり全裸なのに不公平だと思いません?」

柊一郎「風呂上がりが一番全裸を美しくしてくれる……」

ソフリン「全裸全裸口にするんじゃないよホラ周りの目が痛い……!」

ノア「とにかくずるいじゃないですか。あっちは脱いでるのにこっちは脱いじゃ駄目なんて。こちとらご立派見せられて股間のバスタオル手放せないんですよ」

柊一郎「この時期に曝け出すには訓練してないと危ないよ」

ノア「すぐにでもおっぱじめられるようにしてるいじらしさが伝わんないものですかね?」

柊一郎「まぁ服着ててもすぐ脱がしちゃうけど」

ソフリン「今からでも他人のふり出来ないかな」

柊一郎「それでも、風邪ひいてるノアちゃんなんて見てられない」

ノア「秘部丸出しで五日間凍えるような地獄味わったんだし訓練済みですよ私は。あれと比べたら天国ですよ天国」

柊一郎「だからって毎日長時間丸出しは身体に障る」

ノア「だからすぐにあそこ触って突っ込んで下さいっつってんですよあっついモノを」

柊一郎「そんなの毎日ヤってもいいっていってるようなものじゃないか!」

ノア「毎日ヤってもいいって言ってるんですよこっちは!」

柊一郎「わかった毎日ヤろうね!」

ノア「臨むところですよ!」




異常者共「んぅっ………///」チュッ

ソフリン「絵里子さん?今日暇?隣で盛ってる妹たちの相手して欲しいんだけど……チッ、切られた」


ソフリン「結局しらす丼なんだな」

柊一郎「なんだかんだ、義姉さんと食べる昼はしらす丼の方がしっくりきますね」

ソフリン「前は久しぶりに私が作ったけど、好評だったみたいで良かったよ」

ノア「お姉ちゃんのしらす丼は世界一ですからね!」

ソフリン「そういうのいい加減やめてくれない?」

柊一郎「実際、美味しかった」

ソフリン「まぁこういう店と比べられると困るけどな……うん、美味い」

柊一郎「ほんとだ。美味しい」

ノア「お姉ちゃんのには負けますけどね!」

柊一郎「味は確かに良いですけど、義姉さんの作ったしらす丼も好きですよ。家庭的な味がして」

ソフリン「家庭的って言われるとなぁ……。張り合うのもおかしいけど。でも、ありがとな」

ノア「お姉ちゃんのは比べ物にならないですもんね!」

ソフリン「それ褒めてる?」

柊一郎「誰が作ったかっていうのも、味覚の重要なファクターですよ」

ノア「柊一郎のを絞ったのが美味しいと感じるのと同じですね!」

ソフリン「だからこういう場でそういうのやめろって……!」

ノア「しらすだって白くていっぱいうじゃうじゃしてるし、お姉ちゃんのしらす丼はお姉ちゃんの精◯で出来てると言っても過言じゃないですね!」

ソフリン「お前もうマジ表出ろ」

ノア「まぁそれなりの店でしたね」

ソフリン「店員に強制退場させられなかった事深く感謝しろよ」

ノア「誠にごめんなさい」

柊一郎「ノアちゃん、言葉遣いが間違ってる」

ソフリン「お前が言うのか……」

ノア「はいはい、申し訳ありませんでした」

柊一郎「はいは一回」

ノア「もー煩い!歳下のくせに大人ぶらないで下さい!」

ソフリン「コラ、また始める気か?懲りないな」

ノア「みんなして私を叱ってくる!二人とももう知らない!」

ソフリン「おいノア!どこ行くんだ!」

ノア「トイレですよ!先行っててください!」

柊一郎「目的地までゆっくり歩いてくから焦らず来るんだよ」

ノア「はーい!」

ソフリン「喧嘩してたんだよな?」

柊一郎「そうです」

ソフリン「そうか……」



ソフリン「……で?」

柊一郎「なんです?」

ソフリン「さっきの喧嘩、見せたかったんだろ?その上で何を聞きたいんだ?」

柊一郎「…………」

柊一郎「気付いてたんですか?」

ソフリン「諍いなんて起こしたくて起こる訳じゃない。そう言ったお前が、わざわざあの子を煽るような事を言っていたのに違和感を感じてな」

ソフリン「普通の喧嘩の仕方が分からなかったから、普通の私に感想を聞きたかった。そんなところか?」

柊一郎「……ええ。その通りです」

ソフリン「最初はバカップル加減を自慢したいだけなのかと思ったよ。でも、どうやら単純な話じゃなさそうだ」

柊一郎「義姉さんにそうやって見透かされるのは、なんだか不思議な気分」

ソフリン「お前らとの付き合いも長いからな。ある程度理解もするさ」

柊一郎「これが年の功」

ソフリン「喧嘩売ってるのか?」

柊一郎「……正直、意外でした。それとなく喧嘩の様子について感想を聞き出そうと、話題を色々用意していたくらいで」

ソフリン「ほう、例えば?」

柊一郎「ノアと喧嘩した時の話とか?」

ソフリン「プリズンでやったのが初めてだぞ」

柊一郎「そうでした」

ソフリン「嘘つけ。知ってた上で聞いただろ」

柊一郎「まぁ、七ヶ浜時代の友達とか、そういう話に発展させようと」

ソフリン「なるほどな。…んー、まぁ、ありきたりの喧嘩だったよ。お前らじゃなければ、意図しなくても起きてしまうくらい普通だった」

ソフリン「……下品なのとキスの流れ以外はな」

ソフリン「でも、その分初めから違和感はあったよ。こういっちゃアレだけど、お前ららしくなかった」

柊一郎「……そうですか」

柊一郎「多分、ノアも気付いているんでしょうね」

ソフリン「どうだろうな……お前の事を誰よりも理解できる子だけど、その実誰よりも盲目的になってしまう子だから」

ソフリン「……何か、あったのか?」

柊一郎「夜中に、泣き叫ぶんですよ」

ソフリン「ノアが?」

柊一郎「ええ」

柊一郎「保護房の時を思い出して、泣くんです」



ノア『ぁあああああああぁアアアアアッッ!!』

柊一郎『ノア』

ノア『あ、ああっ、しゅ、柊一郎、柊一郎!どこっ、どこッッ!!』

柊一郎『ここにいる。ここに居るよ』

ノア『はっ、はっ、ううぅ、柊一郎。柊一郎ぉ……!』

ノア『鼓動を、鼓動を聞かせて……』

柊一郎『いくらでも』

ノア『……はぁ、す、スゥー、ハァー、スゥー、ハァー……』

柊一郎『落ち着いてきた?』

ノア『………まだ』

柊一郎『そう』

ノア『…………』

柊一郎『また、あの夢?』

ノア『……、うん』




ノア『あの、白くて明るい、地獄みたいな夢』

柊一郎「今が、幸せ過ぎるから。ノアはそう言ってました」

ソフリン「うん」

柊一郎「姉と和解して、理解してくれて、たまに会うこともできて好きな人ともずっと一緒に居られる。まるで都合のいい妄想みたいで、怖いと」

ソフリン「そうか」

柊一郎「実はまだ保護房に居て、幸せな今を夢見てるだけなんじゃないかって、不安になるそうです」

ソフリン「……」

柊一郎「自分が無能だったから、俺がノアを見捨てて独りぼっちになって、狂ってこんな妄想を夢想してるんじゃないかって」

ソフリン「湊」

柊一郎「どんなにそんな筈ないって言い聞かせても、俺が離れる筈ないって諭しても、どうしても信じられなくなる時があるって、ノアは泣いていました」

ソフリン「湊、もういい。ありがとう、相談してくれて」

柊一郎「……幸せ過ぎて現実を直視できないなら、幸せじゃない時もあればいい」

ソフリン「だから、最近喧嘩するようになったのか。意図的に」

柊一郎「でも、好きな人との喧嘩なんて分からない。嫌だと思う事はしなければいい。しないように行動すればいい」

柊一郎「意見の衝突はある。でも、合理的な意見の方に傾倒してしまう」

柊一郎「世間一般でいう喧嘩を、俺たちは今までした事がなかった」

柊一郎「気付いたんですよ。今まで友達も恋人も居なかった俺たちが、異常のまま普通の喧嘩なんてできる筈ない」

ソフリン「でも、出来ていたじゃないか。意図的だったかも知れないが、喧嘩できないなんて事はないだろう」

柊一郎「舞台で役を演じるような喧嘩になんの意味があります?」

ソフリン「それは……」

柊一郎「わかってはいたんです。こんなのはただの茶番だと」

柊一郎「今のノアは見ていられない。でも、幸せにしようとすればするほど、あの時のトラウマが牙を剥く」

柊一郎「まるで、俺がノアを苦しめているようだ」

ソフリン「湊……」

柊一郎「どうすればいいのか分からない。樋口先生は助けになってあげてと言うけれど、どうやって助けてあげればいいか分からないんです」

柊一郎「それを見つけるのが俺の役目なのは分かっているんです。樋口先生もそう言っていた。助言の通り色々試してる」

柊一郎「でも、分からない。ノアがどうしてそんなに怖がっているのか、俺には分からない」

柊一郎「義姉さん、俺は、どうすればいいんでしょう」

ソフリン「なるほど、な……」

ソフリン「済まない湊、私にもどうしてあげればいいのかわからないよ」

柊一郎「そう、ですか……」

ソフリン「でも」

ソフリン「ノアがどうしてそこまで怖がるのかは、私には分かるよ」

柊一郎「………!」

ソフリン「そんな複雑な表情するな。片割れだとしても分からない事だってあるだろ」

柊一郎「例えば」

ソフリン「あの子の女心」

柊一郎「難解……」

ソフリン「だろ?」

ソフリン「ノアは、自信がないんだよ。人間関係でもなんでも、施しにはリターンがあると考えてる奴だ。湊から受け取ったもの以上に返していないと落ち着かないんだよ」

柊一郎「俺は、ノアから沢山の愛情を受け取っています。生活だって、ノアが居ないと……」

ソフリン「それはノアも同じ事なのさ。それだけ、プリズンで得たものと今の生活が大きかったって事だろうな」

ソフリン「きっと、お前は優しいから。あの子の事をなんでも理解してあげられるから。居心地が良過ぎるんだろうなぁ」

ソフリン「だから、失うのが怖い。今ある現実が現実でない可能性を否定しきれなくて不安になってしまう」

柊一郎「………」

ソフリン「お前はそれが理解出来ないんだよな。ノアから離れる筈がない。今ノアと寄り添っている事こそが現実だと疑う事はない」

ソフリン「お前にとっては、ノアの傍にいる事は決定事項なんだ。だって、自分がノアを苦しめているかもしれないと言ったのに、離れるという選択は一度も考えた事なかったんだろう?」

柊一郎「……はい」

ソフリン「でもノアは違う。お前ほど強くない。その強さこそ、そっくりなノアとお前との決定的な違いなんだ」

ソフリン「あの子の弱さを理解してあげられない事が、お前自身を苦しめている」

柊一郎「……プリズンの独房で、ノアに言われた事があります。俺は彼女より欠けてるものが多いと」

柊一郎「欠けてるものが大き過ぎて、分かっても理解できない」

柊一郎「ノアの彼氏なのに、理解できないことを受け入れてやれない」

柊一郎「俺は、やっぱりどこまでいっても異常者なんですね」



ソフリン「は?」

柊一郎「え?」



ソフリン「いやいや、なんでそうなる?」

柊一郎「論理的に考えて?」

ソフリン「いやいやいや……湊、はっきり言ってやる」



ソフリン「今のお前、ただ拗ねてるだけだぞ」

ソフリン「まぁお前もまだ成人してないし、年相応といえば当然かぁ」

柊一郎「願います」
         0720番
ソフリン「どうした湊柊一郎」

柊一郎「どうしてそう思ったのか、説明願います」

ソフリン「そうか、では説明してやろう」

ソフリン「お前の悩み、別に異常者だとかそんなの全然関係ないよ?」

柊一郎「………」

ソフリン「まず、彼女の事を理解してやれないって言うけどな。そんなのは当たり前なんだよ。何でもかんでも理解出来てしまう方が異常なんだ。むしろ恋人としてあるべき姿ですらある」

ソフリン「理解出来ないことを受け入れてやれないと言ったな?その時点で、受け入れる努力はしたんだよ、お前は。努力をせずに切り捨てるのは怠慢だが、努力した上で悩むのは美徳だ」

ソフリン「それを自分が異常者だからって決めつけるのは、早計にも程がある」

柊一郎「でも……」

ソフリン「湊。的外れに聞こえるだろうし、ずけずけと言われて気分は良くないだろうが、言わせてくれ」

ソフリン「お前はな、ノアが自分を信じてくれない事に拗ねてるんだよ」

柊一郎「……」

ソフリン「じゃなきゃ、普通の喧嘩をすればいい、だなんて回りくどいことしないよお前は」

柊一郎「回りくどい?」

ソフリン「ああ。だって、さっき言ったじゃないか。わかってはいた、って」

ソフリン「普通の喧嘩をしようとしたって無意味だと気付いてたくせに、それでもやったって事はさ。合理性の欠片もないだろ?」

柊一郎「合理性……」

ソフリン「そして、それこそが」

ソフリン「お前が異常者じゃない、一般的な感性の持ち主だっていう証明にもなるんだよ」

ソフリン「拗ねるのなんて当たり前なんだ。完璧な相互理解なんてあり得ないんだよ。それが人なんだ。それでも相手を思い遣るのが愛なんだよ」

ソフリン「ひとつ、言わせてもらうなら」




ソフリン「その気持ちを、ノアにぶつけることができればいいのにな」

『---出航します。お乗りのお客様は、速やかに乗船願います。繰り返します。お待たせ致しました---』

ノア「お姉ちゃぁ~んおぐっえぐっ」

ソフリン「はいはい、次のまとまった休暇が取れたら連絡するから」

ノア「絶対ですよ?約束ですよ?破ったらハリセンボン飲ましにプリズンまで出向きますからね?」

ソフリン「ノアが言うと冗談に聞こえないよ……いやマジで」

ノア「やっぱ一緒に行くぅ~!」

ソフリン「ほら、良い子だから離しなさい。全く、甘えん坊は治らないな」

ノア「シスコンは不治の病なんですよ……」

ソフリン「妙に説得力のあるパワーワードだな……湊、頼む」

柊一郎「ノアちゃん、お姉ちゃんはお仕事に行くんだ、偉いよね」

ノア「うん、偉い……宇宙一偉い」

柊一郎「自慢のお姉ちゃんだ。そんなお姉ちゃんを応援してあげられるのはノアちゃんしかいない」

ノア「私だけ…私しか出来ない……」

柊一郎「さぁ、頑張れといってらっしゃいをしようね」

ノア「お姉ちゃんいってらっしゃい!がんばえー!」

ソフリン「あと20年くらい早ければなぁ……!」

柊一郎「それを今取り戻してるんですよきっと」

ソフリン「またなー!ノアー!」

ノア「………ッ!」ブンブンブンブン

柊一郎「手が残像みたいにみえる」

ソフリン「……湊ぉー!」

ソフリン「私は!誰がなんと言おうと!お前自身がどう思おうと!義弟はお前しかいないと思ってるからなー!!」

柊一郎「………」

柊一郎「義姉さぁーん!お元気でー!!」ブンブンブンブン

ボォー……

ノア「ああ……行ってしまいましたね」

柊一郎「そうだね」

ノア「寂しくなりますね」

柊一郎「そんな何日も居たような感じ出されても」

ノア「一日千秋の思いだったんですよ!」

柊一郎「使い方逆じゃない?」

ノア「今日は絶対身体洗わない。お姉ちゃんの匂いを堪能して眠るんだ……!」

柊一郎「シワになるから服は脱いでね」

ノア「それで」

柊一郎「?」

ノア「お姉ちゃんとの相談はうまく出来たんですか?」

柊一郎「………」

柊一郎「……やっぱバレてたの」

ノア「まぁ、私の為に色々考えてくれていた事ぐらいは。自惚れでなければ、ですけど」

ノア「何を相談していたのかは、まぁ……見当がつきます」

柊一郎「……義姉さんには、俺が拗ねているように見えたみたいだ」

柊一郎「その通りなのかもしれない。俺はノアちゃんがどうしてそこまで怖がるのか理解出来ない」

柊一郎「理解してあげられない事が……辛い」

ノア「……そうですか」

柊一郎「ノアちゃん、どうしてありもしない想像に怖がるんだ?」

柊一郎「どうしたら、君は俺の事を信じてくれる?」

ノア「………」

ノア「ねえ、柊一郎」

柊一郎「うん?」

ノア「私、面倒臭いですか?」

柊一郎「その質問自体が既に面倒臭い」

ノア「酷い……」

柊一郎「それに、今更」

ノア「もっと酷い…」

柊一郎「そういうところも好き」

ノア「落としてから上げるな、スケコマシ」

ノア「……もっと好きって言え」

柊一郎「大好き」

ノア「世界で一番?」

柊一郎「面倒臭い」

ノア「口答えすんな」

柊一郎「口答えしない」

ノア「……ねえ、柊一郎」

ノア「私のせいで、柊一郎が傷つくのは嫌です」

ノア「私が傍にいる事で、私が弱いせいで、柊一郎が悲しい顔するのは耐えられません」

ノア「きっと私は歪で、常人とはかけ離れてる」

ノア「それを許してくれる柊一郎がいるから私は私で居られる」

ノア「私は柊一郎に甘えてばかりで、負担をかけるだけ」

ノア「私が居ない方が、柊一郎はきっと幸せになれる」

ノア「私が、柊一郎を不幸にしている」

ノア「柊一郎」

ノア「ーーー私はあなたの隣に居るべきじゃない」

ノア「柊一郎」











ノア「私がそんな事を言うなんて、本気で思ってます?」






柊一郎「全然」

ノア「ほんとに?」

柊一郎「万に一つも」

ノア「0.01%以下でもあり得ません」

ノア「柊一郎が居ない世界なんて、私にとってはそれこそ地獄の底ですから」

ノア「柊一郎が傷つくのも、悲しい顔されるのは嫌です」

ノア「でも、それ以上に」

ノア「柊一郎の傍に居たい」

ノア「私が常人である筈なんてない。私は最初から狂っている」

ノア「私は、私の傍にあなたが居ないと生きていけない」

ノア「あなたの鼓動が聞けないだけで気が狂う」

ノア「あなたに抱かれないと夜も眠れない」

ノア「都合なんて関係ない。不幸だって止められない」

ノア「私が、信じられないのはーーー」




ノア「こんな、寄生虫みたいな自分が嫌だからですよ」




ノア「もっと普通の人間だったら、プリズンに行く前の自分だったら。もう少し太々しく生きられたのでしょうが」

ノア「私は、もう私を信じることができない」

ノア「柊一郎と違って中途半端な私は、原作と違ければシナリオライターに低評価連打仕掛けるキモオタに成り下がってしまうわけです」

ノア「幻滅、しますか?」

柊一郎「………」

柊一郎「なるほど」








柊一郎「ノアちゃん、拗ねてる?」

ノア「どうしたらそんな結論に至るんだお前」



ノア「根拠は?」

柊一郎「ノアちゃん、俺たちは片割れだ」

ノア「そうですね」

柊一郎「ノアちゃんの事なら大体わかる自信はある」

ノア「それで?」

柊一郎「でも、分からないこともある。今回の件なんて特にそう」

ノア「話の流れが掴めませんね。私の弱さをわかって貰えない事に拗ねてるとでも?」

柊一郎「それもあるかもしれない。けど、それよりも」





柊一郎「俺がノアちゃんの言葉に、全く共感しなかったことが原因だと思う」

柊一郎「不安に思うのは、それだけ大事だと思ってるから。俺の事をめちゃ大事に思ってくれてるから、めちゃ不安になってしまう」

柊一郎「でも、俺は全く不安に思ってない。隣にノアちゃんが居ないなんて微塵も想像できない」

柊一郎「ノアちゃんがこんなにも想って苦しんでいるのに、俺は苦しむ余地がない」


柊一郎「まるで大事に思ってないように感じるくらい」


柊一郎「少しぐらい共感してくれても良いんじゃないかって、ノアちゃんは思ってる」


柊一郎「違う?」

ノア「………」

ノア「違う……とは言い切れませんね」

ノア「典型的なメンヘラ女に陥るような理由でしたが……柊一郎が保護房の夢を見た事がない事に、思うところがなかったとは言えません」

ノア「私の事を大事に思ってくれてるのは分かってる。でも、柊一郎は私が居なくなっても生きていける人種だから。私だったら、壊れてしまうのに」

柊一郎「ノアちゃんが死んだら俺も死ぬよ」

ノア「死ぬことを選択する事と、死ぬしかなくなる事は違いますよ。柊一郎は、きっと前者なんでしょう。私が生きてと言ったら、何があっても生きるでしょうし」

ノア「フッ……私も、同じだったと言う事ですか。全く不安に思わない柊一郎が恨めしくて、拗ねていたんですね」

柊一郎「俺も、ノアちゃんが自分を信じてくれない事に拗ねてた。似たもの同士」

ノア「流石片割れですね」

柊一郎「世間一般のカップルでも同じような喧嘩するみたい」

ノア「世の夫婦はそれを乗り越えて添い遂げてると言う事ですか」

柊一郎「乗り越えてないかもしれない。一生ついて回るのかも」

ノア「難儀なことですね」

ノア「……私たちは、乗り越えられるでしょうか」

柊一郎「どうだろう、わからない」

ノア「そこで、嘘でも首を縦に振らないところ。変わりませんね、柊一郎は」

柊一郎「ーーーノアちゃん」

柊一郎「俺は多分、これからも不安に思う事はないと思う」

柊一郎「やっぱり俺にとって、君の隣に居る事は決定事項で、離れるなんて可能性は分母に京が付いたって足りない」

柊一郎「それが理由で、君を更に不安にさせる事もあるかもしれない」

柊一郎「でも」

柊一郎「君を大事に思う気持ちは。君への愛は」

柊一郎「君よりも大きい自信がある」


柊一郎「ああ……やっと分かった」



柊一郎「君が不安になる度に。君が俺を信じれない度に。何度だって、傍に居ると伝えよう」

柊一郎「離れる心配がなくなるくらい、愛していると抱きしめる」








柊一郎「勝負だ、ノアちゃん。俺の愛と、君の不安のどちらが勝つか」






ノア「………もう」

ノア「クサすぎ。どうして臆面もなくそんな恥ずかしい事が言えるんですかね」



ノア「でも、お前のそういうとこ……」



ノア「……大好き」





ノア「……なんか、妙にスッキリした気分です」

柊一郎「全部吐き出せたからかな」

柊一郎「つまり……賢者モード?」

ノア「私が言うのもなんですが、雰囲気ぶち壊す天才ですねお前は」

柊一郎「褒められた」

ノア「褒めてない」

柊一郎「俺も、やるべき事がわかって気分が良い」

ノア「そうですか。私も……何をするべきなのか、わかったような気がします」




ノア「私も、負けませんよ。柊一郎」


ノア「さて、晩御飯買って帰りますよ」

柊一郎「わかった。魚買って帰ろう、近くに市場がある筈」

ノア「いえ、時間はあります。来た道戻って江ノ島向かいますよ」

柊一郎「いいけど……どうして?」

ノア「あっちにも市場はありますし、それにーーー」






ノア「鎌倉山まで行く理由が出来ましたからね」





Fin



ヘンタイ懲役のピピタミーミの皆さんは、ノアちゃん風に感想をお願いします。
ぶっちゃけしらす丼の下りがやりたかっただけなのに、なんか半月以上かけて終盤のシリアスな展開ばっか考えてた。

ノア√は、アフターとvs我妻を除けばグランドより好きです。保護房のところなんて、何度見かえしたことか……。
そして満を持してのラブシーン。ティッシュは勿論上と下両方に使いましたよ、ええ。

取り敢えず、ちゃんと完結できて満足です。
ロスが酷いのでみんなも二次創作やってね。
クソ森とか組長√の10年とかマジで誰か書いて……

それでは、後読了ありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月19日 (火) 17:25:05   ID: S:Eclwms

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2 :  MilitaryGirl   2022年04月19日 (火) 21:47:35   ID: S:1VTh9B

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3 :  MilitaryGirl   2022年04月21日 (木) 07:20:17   ID: S:PwS6Eo

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