的場梨沙「お正月」二宮飛鳥「ハジマリノ」佐藤心「スウィーティー☆」 (15)

【新年ご挨拶】


梨沙「新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

梨沙「昨年もたくさんの方々に支えられ、私自身成長することができました。今年はさらなる飛躍の年にしたいと思います」

梨沙「今年はイノシシ年ということで、猪突猛進にトップアイドルを目指して……『邁進』? え、これなんて読むの? もうしん?」

飛鳥「まいしん」ボソッ

梨沙「あ、そうそう、マイシンしていく所存でございます」

梨沙「一年の刑は元旦にありと言われる通り、年の初めから気を引き締めていくのが大事ですわね」

心「桃華ちゃん、語尾に桃華ちゃん憑りついてる」ボソッ

梨沙「あー……大事ですね。それを踏まえて、私も皆さまのお力添えをいただきながら……」

梨沙「………」


梨沙「今年の抱負は『天下統一』! おしまいっ!!」

飛鳥「唐突なうえに壮大だな」

心「ていうかめんどくさくなって無理やり終わらせたなー?」

梨沙「あーもうっ! 新年のご挨拶って難しい!」



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心「これ、事務所の小学生組だけでやる新年会の挨拶で言うんでしょ? だったらここまで堅苦しくやる必要なくない?」

梨沙「そんなことないわよ! オトナばっかり新年会やってズルいってことでアタシ達もやろうってなったんだから、挨拶もオトナっぽくちゃんとやらなきゃ」

心「そういうもんかな?」

飛鳥「そういうものなんだろう。だからこそ、年上のボク達相手にリハーサルも頼んだんだろうし」

心「やぁん、はぁとってばオトナのレディーとして頼られてる~♪」

梨沙「昨日頑張って紙に書いたんだけど、ネットで調べながらいっぱい付け足したのが悪かったのかしら」

心「あー、だから読めない漢字が混ざったりしてたんだ」

梨沙「昨日は読めてたの!」

飛鳥「ここ、漢字が間違っているな。一年の『刑』は元旦にありになっている」

心「新年早々罪は背負いたくないね」

梨沙「あ、ほんとだ。直しとく。他は何か間違ってる?」

心「よし、推敲ならはぁとに任せとけ☆ まず開幕の一言を『明けましてスウィーティー』に」

梨沙「飛鳥、どう直したらいいと思う?」

心「新年初スルーいただきましたー☆ ノースウィーティー……」

飛鳥「そうだな……ちなみに、どのレベルで添削すればいい?」

梨沙「よくわかんないけど一番強いレベルで!」

飛鳥「理解った。ではまず、最初の一言を『セカイノハジマリ』に」

梨沙「ごめんやっぱりレベル下げていい?」

心「とりあえず一番でかいの頼んで後悔するパターン、あるあるだな☆ 大は小を兼ねない♪」


【餅】


飛鳥「………」モグモグ

梨沙「………」モグモグ

心「………」モグモグ


梨沙「なんか、おもち食べてる時って静かになるわよね」

心「食べるのに神経使うからね。特に冷凍あんこ餅を解凍したやつは」

梨沙「うわぁ、アンコがはみ出て皮だけになった!」

心「あはは、あるある♪ てかはぁとも今そうなった♪」

飛鳥「………」モグモグ

梨沙「飛鳥って食べるの上手よね」

心「餅に限らず食べ方上品だよねー。あれはご両親にしっかり教育受けてるタイプだわ」

飛鳥「服が汚れないように気を遣っているだけさ」

心「ひゅー、カッコイイ☆」

梨沙「なんでも上手に食べられそうな言い方ねー」

心「食べるの苦手なものとかあるの?」

飛鳥「肉が2段以上乗っているハンバーガー」

心「あ、お口が小さいから?」

飛鳥「ご明察」

P「ははっ。確かにこの前一緒にビッグサイズのハンバーガー食べた時、苦労してたな」

心「お、なんか知ってるの? レンジであっためすぎて餅べっちゃべちゃになってるプロデューサー」

P「その肩書き必要あります?」

梨沙「肉が分厚くないハンバーガーにすればよかったのに」

飛鳥「その先に待つものを理解していても、禁忌に惹かれてしまうのが人間の性なのさ」

梨沙「とか言って、ホントはプロデューサーと同じもの食べたかっただけとかじゃないの?」

飛鳥「………」

心「飛鳥ちゃん、あんここぼれそうになってる」

【羽根つき】


心「おりゃあっ!」カーン

梨沙「ふんっ!」キッ

心「どりゃあああ!!」ガンッ

梨沙「きゃっ」スカッ


心「いえーいはぁとの勝ちー☆ 5連勝~♪」

梨沙「くっ、強い……」

P「小学生相手に全力とは」

心「わかってないなぁプロデューサー☆ 相手が本気を望んでるなら本気でいくのが礼儀っしょ!」

梨沙「そうよ! 手加減されたって嬉しくないし!」

P「はは……まあ、梨沙ならそれが正しいか」

飛鳥「笑っているところ悪いけど、キミが負けたから墨だぞ、P」

P「変なものは描かないでくれよ」

飛鳥「心配しなくても、既に顔がほぼ黒で覆われているから変なものも描きようがない」

心「そういう飛鳥ちゃんの顔も漆黒に近いけどね♪」

梨沙「なんであっちのふたりあんなにすぐに黒くなってるのよ」

心「お互いラリーが続かないからすぐに勝敗決まっちゃうんじゃない?」

飛鳥「フフ……どれだけ闇に愛されようとも、キミが隣にいる限り、光は見失わないさ」

梨沙「闇を塗りたくってるのもプロデューサーだけどね」

梨沙「って、そろそろアタシも黒いところの方が多くなりそうなんだった」

心「んっふっふ~☆ 勝てるかな~?」

梨沙「……ちょっと作戦考えるわ!」

心「いいよいいよ♪ 次勝ったらはぁとからお年玉あ・げ・る☆」

梨沙「お年玉……?」

梨沙「………」


梨沙「飛鳥」

飛鳥「あぁ」


梨沙「ならダブルスでいくわ!」ドンッ


心「ええっ!? ちょっ、2対1!? さっきの真剣勝負的な流れはどこいったの!」

飛鳥「フッ。愚問だね、心さん。ボク達は」

梨沙「真剣に勝ちにいってるのよ!」

心「い、一切の乱れのない言葉……こうなったらプロデューサー! はぁとと一緒に迎え撃って?」

P「あ、ちひろさんから電話だ。ちょっと抜けますね」

心「オイィここでいつものパターンかよ! いつもいつも肝心な時に電話かかってくるパターン!」

梨沙「これってアレよね? 五右衛門風呂みたいなやつよね?」

飛鳥「………?」

飛鳥「……あ、呉越同舟か」


【宿題】


梨沙「書き初め、なんて書こうかしら」

飛鳥「冬休みの宿題か。まだ書いてなかったのかい?」

梨沙「一年の始まりの言葉って思うと、なかなか決められなくて」

飛鳥「真摯だな、キミは」

梨沙「アタシ女の子よ?」

飛鳥「紳士服の方ではないよ。褒めていると思ってくれればいい」

梨沙「ふーん。まあいいわ。飛鳥はなんて書いたの?」

飛鳥「ボクは書き初めが宿題になっていないから」

梨沙「あ、そうなんだ」

飛鳥「代わりに普通に問題集が多い」

梨沙「それもそれでイヤね。終わりそう?」

飛鳥「粗方終わったから、無事間に合うだろう」

梨沙「そっか……一緒に書き初めやらない? 誰かと一緒の方が覚悟決まって書きやすい気がするのよね」

飛鳥「ふむ……いいよ。宿題以外で書くのは初めてだ。束縛の存在しない環境での書き初めは、きっと新鮮に違いない」

梨沙「自由に書きすぎて紙からはみ出したりしないでよ?」

飛鳥「気をつけよう」

心「ふたりとも宿題頑張ってて偉いねー☆ はぁと感心しちゃう☆」

梨沙「ハートさんって昔は宿題すぐやるタイプだった? それともギリギリ? 意外と普通?」

心「『ちょっと』昔な? ん~、どうだったかな~? ていうか乙女の過去って簡単に話せるものでもないし~~」

飛鳥「梨沙、もしかすると今の三択に正解がないのかもしれないよ」

心「飛鳥ちゃんははぁとが宿題サボってたって言いたいのかな~?」ウリウリ

飛鳥「そうとは言っていないだろう」

心「ま、確実なのはちゃんと学校を卒業できたこと! そして今は宿題なんてないってこと☆ さいっこう♪」


ベテラントレーナー「あるぞ」

心「へ?」

ベテトレ「佐藤。プロデューサー殿から聞いたところによると、おせちお雑煮その他諸々の食べすぎによる正月太りが発生しているようだな。お前の宿題は、早急に体重を元に戻すことだ」

心「え? あっ……あいつチクったな! ナイショって言ったのに~!」

ベテトレ「さあ行くぞ! 私考案の正月太り解消スペシャルメニューだ!」

心「い、いや~~~やぁ↓~~~~ゃぁ↓~~~」ズルズルズル




梨沙「………」

飛鳥「………」

梨沙「ドップラー効果だ!」

飛鳥「勉強熱心だな」


【凧揚げ】


心「よーし、頑張って飛ばしてくぞー☆」

梨沙「パパに凧揚げのコツを教えてもらってきたわ! これで楽勝ね♪」

飛鳥「天候もいいし、風もいい具合に吹いている。うまくいくといいね」

心「よーし、じゃあ凧揚げ役は……梨沙ちゃん、任せたぞ☆」

梨沙「うんっ」

心「はぁとが凧持って一緒に走る役で、飛鳥ちゃんは全体の位置取りの調整よろしく♪」

飛鳥「あぁ」

心「よし、じゃあ早速」グゥ~~

心「………」

心「その前に腹ごしらえしよっか☆」

梨沙「腹が減っては戦ができぬってヤツね」

心「あったこ焼きの屋台ある! あれ買っちゃお☆」

飛鳥「タコ尽くしだね、今日は」

心「おお~~! 上がってる上がってる!」

梨沙「えっちょっ、結構風強くない?」

飛鳥「大丈夫? 手伝おうか」

梨沙「ううん、まだイケるから……負けないように糸を引っ張らないと」

心「ちょっとずつ糸伸ばしていくんだぞー」

梨沙「こ、こんな感じ?」

飛鳥「あぁ、いい感じだ。凧の高度が上がっていく」

心「梨沙ちゃん才能あるんじゃない? この前プロデューサーと一緒に凧揚げしたんだけど、あの時より高いとこいけるかも!」

梨沙「ホント? よーし、どんどんいくわよ!」

飛鳥「しかし、自作の凧がこれほどうまく揚がるとはね。時間をかけた甲斐があったか」

心「手先器用な女子が3人揃えば、ちゃんとした凧も作れるってこと☆」

心「ちなみにあの凧にはしゅがーはぁとのサインが書いてあるぞ♪ だから、あれが飛べば飛ぶほど、今年ははぁとにとって飛躍の年になること間違いなし☆」

梨沙「アタシも自分のサイン書いてるから一緒ね!」

飛鳥「いつの間にそんなことを」

梨沙「生産者表示は大事でしょ?」

飛鳥「それは少し違うような」

心「安心して♪ ちゃんと飛鳥ちゃんの意匠も組み込んでるから!」

飛鳥「え? どこに」

心「タコ糸と今日のエクステの色が同じ☆」

飛鳥「……本当だ。気づかなかった」

梨沙「両方ピンクね」

心「なんて話してる間に、また随分高いとこまで行ってる~☆ いけいけ、もっと高く! はぁと号!」

梨沙「えっ何その名前!? センスないわよ飛ばす気なくなるじゃない」

心「なにおう~! じゃあ梨沙ちゃんならなんてつけるの」

梨沙「んー……セクシー……ん~」

飛鳥「梨沙、糸がたるみかけてる」

梨沙「あっ! ありがと、助かったわ……」

心「どこまでもどこまでも、世界の果てまで飛んでいけー☆」

梨沙「アタシ達がトップアイドルまで昇っていけるようにね!」

飛鳥「………」

飛鳥「世界の果てまで、か」フッ

心「む? 飛鳥ちゃん今笑った? もしかしてはぁと号のネーミング馬鹿にしてる?」

飛鳥「違うよ。笑った理由はそれじゃない」

飛鳥「ボクも、行けたらいいなと思っただけさ。最果てまで、ね」

心「………」

心「うん♪ 一緒に行こうぜ☆」

飛鳥「あぁ」


飛鳥「それはそれとして、その凧の名前はどうかと思う」

心「結局文句はあるんかーい☆」

梨沙「ちょっとちょっと! 風強くなってきたんだけど! 喧嘩してないで手伝ってってば!!」



おしまい

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
梨沙の振袖も見たいですね

過去作
的場梨沙「手料理」
モバP「なっちゃんと大寒波」

などもよろしくお願いします

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