【モバマス】星の叫び (6)

私は星を眺めてた。

何も無い、空の色。

特に好きなわけじゃない、けど何気なく眺めてしまう。

昔もこうやって眺めていたな、とふと思い出す。

独りだったあの時のことは、遠い昔の日に感じる。

何も無かった私は、ただただ何も言われないように生きてきた。

怒られることも無く、褒められることも無い。

いつも独りで、それが当たり前だった。

この空のようになんにも無かった。


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あるとしたのなら、キノコとヘビーメタル。

キノコは何だか……言葉に表せないけど、親近感が湧いて好き。ふひ。

ヘビーメタルは……何気なく回したラジオで流れてきた激音。

それが耳に残り、反響した。

何だか、私が求めているもののようで。

その歌が誰かの生きているという叫びに聞こえて、私はいつの間にかCD屋に足を運ぶようになった。

聴けば聴くほど、のめり込んで……。

誰もいない家では独りで叫ぶようになった。

誰に聞かせる訳でもなく、ただ叫んだ。

もしかしたらあの時の私は誰かにきいてほしかったのかも……しれない……

でも、ヘビメタは誰にも聞かせられなかったな……。

そもそも友達なんていなかったし……。

そんな時に見つけてくれたのが、プロデューサー。

キノコに例えたらベニテングタケぐらいだったのに、親友は見つけてくれて。

その上毎日お世話してくれて。

ボッチの私には日に当たったような眩しさで……。

ふひ、ちょ、ちょっと恥ずかしいな……。

でも親友と会ってから、色々と変わって。

親友以外のトモ……ダチ……もできた……。

ボノノちゃんや美玲ちゃん、まゆさんに幸子ちゃん、小梅ちゃん……。

いつの間にか片手でいっぱい数えられないほどトモダチが出来た……。

それに何より……私にヘビメタを歌わせてくれた。

親友はヘビメタをあまり知らなかったのに、ちゃんと私の話を聞いてくれて。

わからない所は皆に聞いて。

私にヘビメタを歌わせてくれた。

それが一番アイドルになって嬉しかった……かな……。

独りの家で歌ってた、ただの叫びを。

皆の前で歌わせてくれた。

私の存在を、叫ばせてくれた。

……、今見るとしたら恥ずかしくて録画したのを直接は見れない……。

でもこれだけは言える。

プロデューサー、ありがとう。って。

コンコン、と机の角を蹴る音がする。

大親友の仕事が終わったみたいだ。

「そろそろ帰るか」

「き、今日もCD屋に行くのか……?」

「そのつもり。ショウコ、おすすめをまたお願いしてもいいか?」

「わ、わかった……」

最近親友もヘビメタにハマってくれたらしく、CD屋に行くのがいつものことになっている。

ふ、ふひっ、ちょっとリア充っぽいな……。

「うわ、もう真っ暗だ」

「冬だと落ちるのも早いから……」

上を見上げると、暗闇の空。

何も無い、空の色。

「何もないな……」

「そうか?よく見ると星が見えるぞ」

「えっ」

目を凝らしてみると、キラキラと砂粒のように星がいくつも輝いていた。

「ほ、本当だ……」

「見えないけど、星は輝いているんだなぁ。」

何も無い空に見えたけど。

ちゃんと輝いていたんだな。

「プロデューサー」

「ん?何だ?」

「見つけてくれて、ありがとう……ふひ」

以上です。

輝子ちゃん難しいですね、読んでいただきありがとうございました。

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