【わたてん】夏音「名探偵にはなれないよぉ」 (50)

みやこ『ねえ、花ちゃん、明日も小依ちゃんと夏音ちゃんが来るらしいから、気合い入れてパウンドケーキかクレープか、どっちか作ろうと思うんだけど…………』

花『両方がいいです!!!』

みやこ『片方だけだからね? 前も言ったよね?』

花『やだやだ!!食べたい食べたい食べたい!!』ジタバタ

みやこ『なんで何時もこの話すると暴れるの……どっちかしかダメ』

花『…………なら、パウンドケーキがいいです』

みやこ『解ったよ花ちゃん……でも』

花『?』

みやこ『この前みたいなことしちゃダメだからね?』

花『…………シマセンヨ』

みやこ『絶対にダメだからね!?!?!?!?』




みやこ「正直、半分くらい想像できてましたけど、それでもビックリしました……」

みやこ「この会話が、まさかあんな事件になるなんて」

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【わたてん】小依「名探偵は私に任せなさい!」
の続編です、この話単体でも読めますがストーリーは地続きになっています

星野家

花「お姉さん、パウンドケーキはどうですか!?」

みやこ「わっ、花ちゃんテンション高いなあ、今焼き始めた所だよ、1時間じっくり焼くからまだまだかかるんじゃないかなあ…………3時のおやつには食べれそうだよ!」

乃愛「ミャーさんのパウンドケーキなんて始めて、味はどんなのにしたの?」

みやこ「色々用意してるよっ! 食べてみてのお楽しみかな」

花「パウンドケーキ……沢山の種類食べ放題…………」

みやこ「流石に皆いるから、食べ放題じゃないかなあ…………」

乃愛「じゃあミャーさん、ハナちゃんがパウンドケーキのためにコンビニでジュース買ってきたいって言ってるからアタシたち行ってくるね、ついでに買ってくる物あるかな?」

みやこ「ううん、ありがとう」

花「行ってきますね!」

小依「お姉さん、花ちゃんとノアちゃん見なかった?」

夏音「さっき一緒にコンビニ行こうって言ってたんですけど、いなくなっちゃって……」

みやこ「あ、二人とも先にコンビニに行っちゃってたね」

ひなた「およ、そうだったのか」

夏音「花ちゃんテンション高かったからねえ、仕方ないよ」

ひなた「んじゃ、私たちも追いかけよう! 」

小依「おー! 」

夏音「んー、私はちょっとだけおうちで待っててもいいかなあ? 遊んで疲れちゃった」

ひなた「解った! 行ってくる!」

小依「行ってきまーす!」

みやこ「…………本当は?」

夏音「えっ?」

みやこ「あんまり疲れてるようには見えないよ? 何かしたかったんじゃないかなって」

夏音「……えへへ、実はみんなで遊んでひなたちゃんのお部屋を散らかしちゃったから、片付けておこうかなって。バレちゃうなんて、お姉さん凄いです、名探偵さんみたいですね」

みやこ「偉いねえ、でも、名探偵さんって言ったらこの前の夏音ちゃんの方が名探偵さんみたいだったよ?」

夏音「いやいや……」

夏音「私は、名探偵になんてなれないですよ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ひなた「みゃーねーー!! 帰ってきたぞ!!!」

みやこ「お帰り……ってうわっ、凄い量の紅茶!」

花「紅茶にひげろーのマスコットがついてたんです……全108種類ですって…………」

みやこ「無駄に多い……」

乃愛「本当に売れてるんだね…………」

花「みんなにも紅茶を買ってもらったんです、目指せ、全コンプリート!」

みやこ「花ちゃんのお腹がたぷたぷになりそうだよ……はっ、それはそれで可愛いかも!」

夏音「……………………」サササ

みやこ「あ、ごめんね、引かないで」

小依「お姉さんお姉さん、それよりも、お姉さんもマ○オやってるんだよね!」

みやこ「あ、うん、やってるよー、上手くはないけどね」

小依「それなら、ひなたちゃんの部屋で一緒に協力プレイしましょ!! 大丈夫、私上手いから、助けてあげるわ!」

みやこ「解ったよ、じゃあ行こっか」

小依「わーいっ!」

ひなた「……にひひ」

夏音「ひなたちゃん、嬉しそうだね」

ひなた「おう! とっても嬉しいぞ!」

夏音「自慢の優しいお姉さんだもんねぇ……いいなあ、羨ましいなあ」

ひなた「あげないぞー!」

夏音「ふふふ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

小依「あーっ!!!」テレッテレレッテレ

みやこ「大丈夫だよ、小依ちゃん、ほら、シャボン玉割ったあとキノコあげるからね」

小依「あっ……ありがとう!お姉さん!」

みやこ「どういたしまして」

花「えへへへへへ……ひげろー、ひげろぉ…………」

ひなた「花、本当に欲しかったんだなー、すごくコンビニ行きたそうにしてたからな!」

乃愛「あんなに楽しそうなハナちゃんが見れるなら良かったね」

夏音「んー、私もついていってあげれば良かったなぁ」

ひなた「ううん、夏音ありがとうな! 部屋片付けしてくれて!」

夏音「ううん、別に良いよ」

花「そういえばお姉さん…………」

みやこ「なあに、花ちゃん」

花「今日、おやつ食べる前にコスプレの撮影するんじゃ無かったんでしたっけ!」

みやこ「…………あっ! 忘れてた! 時間時間!!」

花「……スマホを見ればいいのでは?」

みやこ「あっ、そっか」

花「……普段から持ち歩かないからそうなるんですよ」

みやこ「えへへ…………じゃあ、小依ちゃんごめんね、ちょっと写真とってくるね」

小依「ううん、お姉さんありがとう!!」ニコー

みやこ「2時50分……うん、まだ出来そうだね、あっちの部屋に衣装置いてあるから花ちゃん着替えてきてね、わたしちょっと自分の部屋でカメラとか用意してくるから」

花「解りました」

みやこ「あっ、今日の服ちょっと着替えるのに手間取りそうだから、何かあったら言ってね!!」

花「はーい」

リビング

みやこ「ふう、結構手間取っちゃった、花ちゃん待たせちゃったかな……」

みやこ「……って、まだ55分かあ、以外と早く用意できたんだね」

花「お待たせしました、お姉さん、これで良いですか?」

みやこ「あっ……可愛い! 可愛いよ花ちゃん!!まずは駆けつけ一枚!!!」パシャ!

みやこ「最高っ! 世界一可愛いから、その可愛さぎゅっと押し込めて!笑って笑って!!」パシャ!パシャ!

みやこ「次は上目使いでお願い!! ぶりっこみたいにお姉ちゃんって手をほっぺたに当てながら言う感じね!!」パシャ!パシャ!パシャ!

花「……本当に気持ち悪い」

みやこ「はあ……最高、この世に生まれた天使ぃ…………」パシャパシャ!

花「…………それはどうでもいいんですけど、早くお菓子ください」

みやこ「はっ…………! そうだったそうだった、3時過ぎちゃったし焼けてるね、今取り出すからねー」

花「……………………」

みやこ「さてと、焼き加減どう…………か…………」




キャアアアアアアア!!!!!!!!





乃愛「な、何なの!?」

ひなた「みゃー姉の声だ!みゃーねーー!!」ダッ!!

ひなた「どうしたんだ!? みゃー姉!!!」

みやこ「お、オーブンに入れてたはずの…………」

ひなた「入れてたはずの!?」

みやこ「パウンドケーキが消えてる!!!!」



テテテテッ!テテテテッ!テーテー!!

小依「…………ふむ」

小依「…………お姉さんが作って、一時間オーブンの中で焼けば完成だったパウンドケーキ」

小依「けれど、お姉さんがオーブンの扉を開いたときには、そのケーキは忽然と姿を消していた……これは」

小依「事件ね!!!!私に任せなさい!!!」

乃愛「前回散々だったのにまだ続けるの?」

小依「こ、今回こそは出来るもん!」

みやこ「でも、今回は本当に謎だなあ…………オーブンはさっきまでずっと加熱してたのに」

小依「んー、そうね、まずは前みたいに、お菓子を作ってたお姉さんのお話を聞くべきかしら」

みやこ「……うん、解った」

みやこの証言

みやこ「パウンドケーキは2時から3時の間にオーブンで焼いてたの」

みやこ「みんなに出来立てを食べて欲しかったから、リビングで待ってて、2時丁度にオーブンのスイッチを入れたんだ」

みやこ「その後、コンビニに行くって言ってた花ちゃんとノアちゃん、それを追いかけたひなたと小依ちゃんを見送って……」

みやこ「夏音ちゃんとちょっとだけお喋りして、後は雑誌をリビングで読んでたよ」

みやこ「その後は小依ちゃんに誘われて、ひなたの部屋でゲームをした後、2時50分に花ちゃんにお着替えしてもらって、リビングで写真撮影したの」

みやこ「で、3時ちょっと過ぎになったからオーブンを開けてパウンドケーキの様子を見てみたら……」

みやこ「ケーキが、姿を消してたんだよ」

みやこ「悲しいなあ、昨日花ちゃんにお話ししたんだけど、今日のパウンドケーキは気合い入れて作ったから」

小依「え、花ちゃん一人の時があったの」

乃愛「犯人は決まりだね!!」

ひなた「良かった良かった!」

花「ちょっと!!」

みやこ「あ、でも今回は違うと思うよ?」

小依「え? なんでかしら」

みやこ「だって、今回花ちゃんにお願いした服は不思議の国のアリスのコスプレなんだけど、フリルが沢山ついてて、着替えるのに手間取っちゃうんだよ」

みやこ「私が準備してリビングに行くまでが2時50分から2時55分、流石に着替えるのに5分はかかると思うなあ……」

小依「へえ、じゃあ花ちゃんは無実なんだ……」

みやこ「うん、少なくともオーブンに触れる時間は無かったはずだよ」

小依「と、なると、別の時間の花ちゃんが触った可能性があるわね……」

花「疑いが晴れない…………」

みやこ「仕方ないね」

小依「そういえば、ノアちゃんは花ちゃんと一緒にコンビニ先に行ってたわよね!」

ひなた「お、じゃあそこでオーブンに触ったのか?」

乃愛「ううん、でも、あの時のハナちゃんはオーブンには触れることは出来なかったよ」

小依「なんで?」

乃愛「それはね…………」

ノアの証言

乃愛「アタシとハナちゃんは確かにミャーさんと話をしたけど、それはリビングでやったことでキッチンには向かってないもん」

乃愛「流石にハナちゃんがキッチンに向かおうとしてたら気がつくよ、私もミャーさんもそんな気配一切感じなかったもん」

乃愛「むしろ、ハナちゃんはあの時壁にもたれ掛かってたと思うよ、キッチンからは一番遠い場所だった」

乃愛「その後はずっと一緒にいたもんね…………え? 本当にハナちゃん犯人じゃないの? おかしくない?」

花「……………………」ズーン

乃愛「今までが今までだもん、そう思うよ」

みやこ「あはは…………」

夏音「あんまり一人を犯人に決めつけるのは良くないよー」

小依「そうね…………ここはスパッと花ちゃんについての話を終わらせて、別の可能性を探りましょう」

ひなた「おお、小依が探偵っぽいこと言ってる」

小依「ずっと探偵だもん!!」

乃愛「まあまあ……ということは、次は小依ちゃんとひなたちゃんかな?」

ひなた「なら、私が小依の分も一緒に言うぞ?」

小依「お願いね」

ひなたの証言

ひなた「と言っても、喋ることなんて殆どないなあ、私と小依はずっと一緒にいたぞ」

ひなた「ノアと花がコンビニに行ったあと、二人がいなかったから家の中を探してたんだ 」

ひなた「で、みゃー姉にコンビニ行ってるって教えてもらって、二人を追いかけてった」

ひなた「戻った後はずっと部屋でゲームしてたな、勿論小依も一緒に居たぞ」

ひなた「で、みゃー姉が叫んでたのを聞いて、急いで駆けつけたら、パウンドケーキが無くなってたんだ」

小依「…………まあ、今回私たちは殆ど関わってなかったもんね」

乃愛「流石に二人が犯人だとは思えないよ、ずっと三人以上だったもん」

ひなた「おう、花とノアを探してたときは小依と夏音と、それ以降は全員と一緒にいたぞ!」

乃愛「じゃあ二人は、確実にシロなんだね~」

ひなた「おう! やった!みゃー姉!私犯人じゃなかった!」

みやこ「良かったね」

乃愛「と、なると…………」

夏音「……うーん」

夏音「困ったなあ」

夏音の証言

夏音「よりちゃんとひなたちゃんと一緒に二人を探してた所まではみんなと一緒にいたんだけど……」

夏音「その後、ちょっと具合が悪くなっちゃって、ひなたちゃんのお部屋で一人でお片付けをしながら待ってたの」

夏音「その間私一人だったなあ……」

夏音「…………あと、そのね 」

夏音「おねぇさんがひなたちゃんの部屋に行ったあと、私、おトイレに行ってたの」

夏音「…………その間、誰にもあってないなあ」

タイムライン

2:00 みやこ パウンドケーキを焼く リビングで待機

2:10 花とノア コンビニに外出

2:15 ひなたと小依 花とノアを追いかけコンビニへ

2:30 4人が帰ってくる みやこ 小依に誘われてひなたの部屋へ

2:45 夏音 トイレへ

2:50 花 コスプレの着替えにいく みやこ カメラの準備へ

2:55 花 みやこ コスプレ撮影開始

3:00 パウンドケーキ 焼ける

3:05 みやこ パウンドケーキの確認、事件発覚

乃愛「……………………これは」

夏音「わたしが一番怪しいねえ」

乃愛「あっ、違う、違うよ! 別に夏音ちゃんが犯人だと思った訳じゃなくて!」

花「そ、そうだよ、別にアリバイがなかったから犯人って訳じゃないし!」

乃愛「…………でも、じゃあ誰が犯人なんだろ」

夏音「……………………」

ひなた「別の誰かが犯人だとしても、全員がアリバイがあってやるのは不可能そうだぞ……」

みやこ「夏音ちゃんに限って、そんなことは無いと思うけど……」

乃愛「…………な、何か、ほんの少しでもいいから、手がかりになりそうな物とかない!?」

夏音「…………ごめんね、無いよ」

乃愛「…………そ、そう」

小依「………………………………」

小依「かのは犯人じゃないわよ」

夏音「よ、よりちゃん……?」

小依「絶対に無いわ、可能性はゼロよ」

ひなた「おお! 理由があるのか!?」

小依「無いわ!!!!!」

乃愛「ええ…………」

小依「でも、かのが犯人なワケないわ、私はかのをよく知ってるもの、かのはそんなことをしない」

小依「私は名探偵だから! 名探偵の推理は絶対に当たるのよ!!!」

夏音「より…………ちゃん…………」

ひなた「…………そうか! なら夏音は犯人じゃないな!」

花「そうですね、きっと別の人が犯人なんでしょう」ホッ

乃愛「夏音ちゃん、ごめんね?」

夏音「ううん! 大丈夫! よりちゃんが助けてくれたから!!」

小依「さあ! ということで始めるわよ! 私の華麗な推理を見なさい!」

ひなた「わー! すごいぞ小依!!」

小依「わたしが見る限り犯人は…………」

小依「ヤギね!!!!」

花「あ、解ってないんだね」

乃愛「前も聞いたけどなんでヤギなの?」

小依「い、今から考えるの! 今から……キャッ!!」コケッ!

ひなた「だ、大丈夫か!?」

小依「だ、大丈夫…………あれ? なんだろこれ……」

小依「…………裁縫糸?」

みやこ「あ、ごめんね、私が落としちゃった奴かな? 昨日から針と糸が無くなっちゃってて……針も近くにあるのかな、気を付けてね」

小依「解った!」

夏音「…………針と、糸?」

小依『焼くのに一時間かかるパウンドケーキ!』

ひなた『コンビニ行きたがってたもんな!』

花『普段からスマホを持ち歩かないからそうなるんですよ』

みやこ『着替えるのに5分はかかるよ』

乃愛『壁にもたれ掛かってたと思うよ』

みやこ『昨日花ちゃんと話したのに……』

小依『何これ、針と糸?』



夏音「………………………………」

夏音「解った」

みやこ「えっ!? 解った!?」

乃愛「犯人が解ったの!?」

ひなた「凄いぞ! 誰なんだ!」

夏音「今回のトリック、全部仕掛けたのは…………」ビシッ

花「……………………」

夏音「貴女だよ、花ちゃん」

小依「はっ、花ちゃんが!?」

乃愛「そうなるとは思ってた!!」

みやこ「結局そうだろうとは感じてた!!」

花「…………聞かせてもらえる? なんで、犯人が私なのか」

ひなた「花だからじゃないか?」

夏音「…………動機については、今回は別に良いよね、順番に説明していくね」

夏音「まず、話は昨日の話になるよ。おねぇさんは明日のおやつがパウンドケーキか別のおやつかで悩んでた……なんで見抜いたかは昨日と同じ、パウンドケーキの材料とは別のものがキッチンにあるからね」

みやこ「うん、今回はクレープを作ろうと思ってたよ」

夏音「だから、花ちゃんはもう一個のおやつも作って貰おうとした……まあ前回の動機と一緒だね、ここまでは間違いないよ」

夏音「で、昨日のうちに花ちゃんはリビングの時計に二つの細工をしてるの」

乃愛「二つの細工?」

夏音「うん、一つは時間を10分早くした事」

ひなた「時計を10分早くした!?」

夏音「そう、まずはそっちの細工のお話から」

夏音「おねぇさんは2時丁度にパウンドケーキを焼き始めたんだよね?」

みやこ「う、うん、確かに丁度だったよ?」

夏音「でも、それが本当は10分早かったとしたら?」

みやこ「…………1時50分に焼き始めたことになるね」

夏音「そうなると焼き終わるのは2時50分になるよね、3時に焼けたと思ったパウンドケーキは、実はもう10分早く焼けてるんだよ」

夏音「…………あれ? でも、それでも関係なくない? 私たちは2時50分までゲームをして、その後花ちゃんとミャーさんはコスプレの写真を撮りに行ったんだよ?」

夏音「うん、そのままだと関係ないね、だから花ちゃんはもう一個細工をしたの」

ひなた「もうひとつの……細工?」

夏音「時計を正しい時間から10分遅らせたんだよ」

花「……………………」

乃愛「えっ!? ちょっと待って!? さっき時計を正しい時間から10分早めたんだよね!? なんで今度は遅くするの!? ううん、それだけじゃない、いつ遅らせたの!?」

ひなた「そ、そうだ、花にはずっと誰かがついてたんだ、そんな時計に触る隙なんて…………」

夏音「細工をしたのは昨日、実際に時計を動かしたのは、ノアちゃんと花ちゃんがおねぇさんと話してるときだよ」

みやこ「わ、私たちと話してるとき!?」

夏音「そう、針と糸を使った簡単な細工」

夏音「アナログ時計はデジタル時計と違って時間を動かすのは実は簡単なんだよね、時計の後ろのつまみをくるっと回せば時間は簡単に動く」

夏音「だから、花ちゃんはそのつまみにテープで針をギチギチに固定した、その後針に糸を通して、壁にぶら下げたの」

夏音「こう、壁を背後にこっそりと糸を引っ張ると…………引っ張られた糸は固定された針を動かして、針が動くとつまみも動く」

夏音「ね、これなら、時計に触れずに時間を動かすことができるでしょ?」

夏音「…………ほら、ついてたよ、時計の後ろに剥がし損ねたセロハンテープ」

ひなた「す、すげえ! 確かにそれなら動かせるぞ!!!……動かせるとどうなんだ?」

夏音「…………お姉さん、花ちゃんにコスプレのお着替えをお願いした時間、何時でしたか?」

みやこ「えっと……2時50分だね」

夏音「そう、スマホで確認して、2時50分でした、花ちゃんがお着替えが終わったのは?」

みやこ「…………壁時計で2時55分…………あっ!!」

乃愛「あーっ!!!そっか!!なるほど!!」

小依「な、何がなるほどなの!? 何が!?」

夏音「……私たちが考えてた時間の流れは本当は違って、実際はこうだったってことだよ」

本当のタイムライン

1:50 みやこ パウンドケーキを焼く リビングで待機

2:10 花とノア コンビニに外出

2:15 ひなたと小依 花とノアを追いかけコンビニへ

2:30 4人が帰ってくる みやこ 小依に誘われてひなたの部屋へ

2:45 夏音 トイレへ

2:50 花 コスプレの着替えにいく みやこ カメラの準備へ

2:50 パウンドケーキ 焼ける

3:00 花 ???

3:05 花着替え完了 みやこ コスプレ撮影開始

3:15 みやこ パウンドケーキを確認、事件発覚

夏音「…………これで、不自然な時間が見つからないかな?」

乃愛「……たしか、アリスの衣装に着替えるのは5分くらいかかるんだよね?」

みやこ「うん、そうだよ」

夏音「…………それでも、この時間の空きはおかしいよね、花ちゃん、花ちゃんは……」



夏音「パウンドケーキが焼けてる2時50分から、3時までの間、何してたの?」



花「……………………」

夏音「纏めるね」

夏音「花ちゃんは、お姉さんのおやつを二つ食べるために計画を思い付いたの、前準備として時計の時間を本来の時間から10分早めて、時計に針と糸で細工をした」

夏音「そのお陰でおねぇさんがパウンドケーキを焼き始める時間は10分早くなって1時50分になったよね、で、焼き終わる時間は2時50分になった」

夏音「焼き始めたら時間を早める意味は無くなったから、今度は遅くする番、お姉さんにコンビニに行くって言いながら、こっそりと糸を引いて時計の時間を本来の時間から10分遅らせたんだよ」

夏音「で、後はお姉さんと約束してたコスプレの撮影会をするだけ、リビングの壁時計以外は操作してないから、他の場所で時間を見てもらって、おねぇさんがカメラとかの機材を準備してるうちにこっそりと焼けたパウンドケーキをどこかに隠したんだよね」

夏音「で、準備が終わって壁時計を見たおねぇさんは誤解するの『あ、全然時間たってなかった』って、おねぇさんのカメラとかの準備が時間かかるの、知ってたんだよね?」

夏音「…………最後にコスプレ撮影か終わったおねぇさんがオーブンを開ければおしまい、アリバイ十分な犯行の完成だよ」

夏音「……他の5人に今回の事が出来た子はいないよ、出来たのは花ちゃんだけ」

夏音「…………もし、わたしの推理が正しければ証拠があるはずだよ……花ちゃんのポケットの中に」

夏音「セロハンテープに包まれた針と、よりちゃんが拾った色と同じ色の糸がね」

夏音「…………おねぇさんがオーブンを開けてるうちに外したんだよね、どうかな?」

花「……………………」

花「…………私が、やりました」

乃愛「……裁縫針と糸!」

小依「ってことは、花ちゃんが犯人ね!!!」

花「…………どうしても、どうしても、両方が食べたかった」

乃愛「前と同じこと言ってる…………」

ひなた「まあ、これで解決…………ひえっ!」

乃愛「ん? ひなたちゃんどうしたの…………ふえっ!?」

みやこ「………………………………」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

みやこ「花ちゃん?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

花「は、はい…………」

みやこ「二回目だよね?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

花「ひゃ、ひゃい!!」コクコク

みやこ「そっか、なら、流石にとってもおっきな罰をあげなきゃいけないよね?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

花「ゆ、ゆるしてくださ…………」

みやこ「そう思うよね???」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

花「思います!!!」




ひなた「……お母さんとみゃー姉、よく似てないって言われるけど、一個だけ似てるところがあるんだ」

乃愛「…………何かな」

ひなた「本気で怒らせるとすごく怖い」

乃愛「わたし、ミャーさん怒らせないようにする」

花「そ、その、罰ってなんですか? おやつ全部抜きとか……」

みやこ「大丈夫、おやつはあげるよ、花ちゃんの大事なおやつだもんね」

花「……ほっ」

みやこ「でも、もしかしたら…………」

みやこ「おやつ抜きの方が良かったかもしれないね」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

花「ひええ…………」ガクブル

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


みやこ「お待たせ、クレープも焼けたし、パウンドケーキもとっても美味しくできてたよ!」

夏音「わあっ! すごく楽しみです!」

小依「あれ? お姉さん持ってきてないの?」

みやこ「うん、今日はウェイトレスさんがいるからね」

ひなた「ウェイトレスさん? 雇ったのか?」

みやこ「今日だけねー、入ってきていいよ!」

花「…………」プルプル

乃愛「あ、ネコミミメイドさんだ、かわいー!」

みやこ「…………花ちゃん?」

花「!!!!」ビクッ!

みやこ「セリフ、教えたよね?」

花「……………………う、うう」

花「……こ、こんにちわだにゃん! 今日のおやつはみやこお姉ちゃん専属メイド、『はなにゃん』が運ばせていただきますにゃん!」

乃愛「」

ひなた「」

小依「」

夏音「」

みやこ「うんうん」

花「まず、ひなたには、イチゴソースがたっぷりのクレープだにゃん、マシュマロも一緒で美味しいにゃん……」

ひなた「は、花……大丈夫か?」

花「しにたい…………」

みやこ「次のお願いねー」ニコニコ

花「ノアにはチョコバナナクレープだにゃん! パウンドケーキもチョコチップだにゃん!」

乃愛「か、可愛いよ?」

花「ううう…………」

花「小依には大盛セットだにゃん…………夏音の希望で大盛にしたにゃん……」

小依「それ、すごく目立ちそうね! 今度私も着てみようかな!」

花「好きにすればいいにゃん……」

花「夏音にはブルーベリープレートだにゃん……それと…………犯人だと疑われるようにしちゃって、ごめんね」

夏音「…………それを見たら、もう怒れないよぉ」

花「むしろ怒ってぇ…………」

みやこ「はい、ビデオちゃんと取れてるよー!最後最後!」ニコニコ

花「…………み、みやこ……お姉ちゃん…………」

みやこ「なーに?」ニコニコ

花「大好きだにゃん!」

みやこ「はいオッケー!!!」ニコニコ

花「」バタッ

乃愛「ハナちゃんが倒れた!!!」

ひなた「大丈夫か花!!!」

夏音「大丈夫じゃないと思うなあ……」

みやこ「さて、花ちゃんのお母さんには泊まるって連絡したし、色々と準備してこなきゃー、ちょっと行ってくるね」

ひなた「みゃー姉が凄い行動力を見せてる」

乃愛「私たちは悪いことしないようにしようね」



夏音「ほら! 花ちゃん!クレープだよ! 食べて元気だして!!」

花「…………もぐ…………もぐ……」

小依「はなにゃん!!こっちのクレープも食べる!?」

花「ぐふっ!!!」

夏音「はなちゃーーーん!!!!!!!」



乃愛「…………ホントにね」

ひなた「ははは」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

小依「…………凄い一日だったわねー」トコトコ

夏音「そうだね」トコトコ

小依「ふふん、私の名探偵力にみんなビックリしてたわ!」

夏音「……ソウダネ」

小依「次事件が起きたら、かのと一緒に解決してみてもいいかもね、私たちなら絶対にどんな事件だって…………かの?」

夏音「……………………」

小依「どうしたの? 止まっちゃって」

夏音「よりちゃん」ギュッ

小依「わわっ、どうしたの!? いきなり!?」

夏音「私が、アリバイが無くて犯人じゃないかって疑われた時…………」ギュウウ

小依「うん」……ダキッ

夏音「私は犯人じゃないって言ってくれてありがとう」

小依「…………うん」

夏音「最後は花ちゃんが認めてくれたけど、私もやろうと思えばパウンドケーキを取ることもきっと出来てたもん」

小依「うん」

夏音「凄く、嬉しかったなぁ」

小依「当たり前じゃない」

夏音「えっ?」

小依「わたしは名探偵だもん! 夏音がやってるかやってないかなんて、全部お見通しよ!!」

夏音「…………」

夏音「あはは」








夏音「やっぱり私、名探偵にはなれないよぉ」








夏音「よりちゃん」トコトコ

小依「なーに?」トコトコ

夏音「大好きっ!」

小依「私も好きよ!」

夏音「わたしは大好きだもん」

小依「なっ……なら私は大大好きだから!」

夏音「じゃあ私は大大大好きかなあ」

小依「それよりももーっと好き!!」

夏音「それよりもずーっとずーっとこんなに好きだよ」

小依「そ、それならぁ……この地球よりもおっきいくらい好き!!」

夏音「じゃあ私は………………」




おしまい

ありがとうございました
わたてんSSが今10秒に一個増えています、あっ、増えた!また増えた!
名探偵かのこよはもう一回くらいやりたいですね、トリックが浮かべば

あ、わたてん11話 尊かったので見てください

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