工藤忍「悪徳プロデューサー in 弱小プロダクション」 (55)

※注 独自設定あり、いろいろキャラが壊れています。
また、一部キャラの口がもの凄く悪いです


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1564487507

アイドルに、なりたかった

その夢を、ただ伝えただけだった

それだけなのに、みんな"お前には無理だ"と、私の夢を嗤った



だからアタシは、家を飛び出した

反骨心を胸に抱いて、必ず夢を叶え、私の夢を嗤った人達を見返す為に

その為にはどんな事も耐えられるつもりだった















"アイツ"が来るまでは............

忍「おはようございます!!」ガチャン

ちひろ「あら忍ちゃん、おはようございます」




今日も緑のスーツが似合うちひろさん

この事務所のたった一人だけの事務員で、アタシ達アイドルの為に毎日必死に事務仕事をしてくれている




忍「ちひろさん、今日もお疲れさまです」

ちひろ「ありがとう忍ちゃん。でも、今日はそんなに忙しくないから大丈夫よ」

???「まぁ、『今日は』っていうより、『今日も』って感じだけどねー」

忍「えっ?」


忍(ソファーの方から声?誰が...いや、この声は!)


周子「おはよー忍ちゃん。今日も朝から元気やねー」

心「おっす忍ちゃん☆おはおはー☆」

忍「周子さん、佐藤さん、おはよー!」

心「はぁとって呼べよ☆おい☆」

塩見周子さんと佐藤心さん。アタシがここに来るちょっと前にこの事務所に入った、アタシと同じアイドル候補生だ


周子さんは実家から勘当されたらしく、行く当てもなく東京でふらふらしてたところを、社長が事務所の空き部屋にタダで住ませることを条件にスカウトしたって言ってた

マイペースでいつもあんまりやる気を見せないけれど、レッスンでは大した練習もなしにウチの事務所の中で一番の成績をたたき出す、いわゆる天才型

...正直、ちょっとずるいと思う


佐藤さんは、アタシと同じくアイドルに憧れてはるばる上京してきたんだとか

社長を除けばウチで最年長なんだけど、本人曰く"後がない"との事で、ある意味あたし以上にアイドルにかける思いが強いかもしれない

ちょっと過激なキャラ作りをしてるけど、この事務所一番のムードメーカーで、皆を引っ張ってくれる頼れるお姉さんでもあるんだ

二人ともまだあたしと同じ候補生だけど、そのポテンシャルはトップアイドルを狙える程だと思う



この事務所が、普通の事務所なら...ね

忍「それでちひろさん、今日の予定ってどうなってる?」

ちひろ「えーっと...11時から13時までレッスンで、お昼休憩挟んだ後、15時から17時までレッスンになってますね」

忍「今日はレッスンだけか...明日は?」

ちひろ「...レッスンだけです」

周子「ついでに明後日も明明後日も、なんならこのままだと今月一杯はずっとお仕事無いよー」

忍「えっ?でも来週末にはエキストラの仕事があったでしょ?」

心「そうそう!珍しく仕事が入ったって皆で意気込んでただろ☆」

ちひろ「それなんですが、実は今朝、キャンセルの電話があって...」

忍「ええっ!?」

心「はぁ!?ちょ、なんで!?」

ちひろ「他にいい子が見つかったからそっちを使いたいって、一方的に切られてしまいまして...」

心「マ、マジでか...」

周子「まぁ、そういう事もあるだろうねー」

周子「だってウチ、超・弱小プロダクションだもん」

そう、この事務所には一つ、大きな問題がある



建物は小さくボロく、入り口の立て付けは悪いし壁の塗装も剥げてる

イスやソファに座ればギシギシ音がするし、デスクの脚もボロボロ

そしてそんな備品を買い替えたり、建物をリフォームするお金もない



日本中に数ある芸能事務所の中でも、この事務所は最低ランク

そもそも業界から存在を認知されてるか怪しいほどの、『弱小プロダクション』なんだ

周子「真面目な話さー。忍ちゃん、本気でアイドルになりたいんなら移籍考えた方がいいと思うよー」

ちひろ「ちょっ、ちょっと周子ちゃん!」

忍「大丈夫ちひろさん。アタシはこの事務所を辞めるつもりはないから」

忍「...というより、辞められないから」

周子「そうなん?」

忍「いやー、その......この事務所を辞めたらアタシ、実家に強制的に連れ戻される約束になっててさ...」



ちひろさんには申し訳ないけど、正直な所移籍できるものなら移籍したい...

だけどあたしには、どうしてもこの事務所を抜けられない理由がある

上京してから、あたしは手当たり次第に芸能事務所のオーディションに応募した

期限までにどこかの事務所に所属出来なければ、その時点で諦めて実家の農家を継ぐという約束だったから、大手から無名の弱小まで、色んな事務所のオーディションを受けた

だけどどれも採用までは行かず、諦めかけた事もあったけど、なんとか今の事務所に採用されて、採用通知が来てすぐ結果を両親に報告した

でも全く名前を聞いたことのない事務所を怪しんで、まだあーだこーだと反対する両親を黙らせるために、アタシは......




忍『じゃあこの事務所で芽が出なかったら、大人しく実家に帰るよ!!!』




と、思いっきり啖呵を切ってしまったのだ

忍「ていうか、そういう周子さんはこのままずっと空き部屋暮らしでもいいの?」

忍「ここじゃまともな女子寮すら建てられないし、周子さんならもっと大きい事務所でも...」

周子「んー、空き部屋暮らしも悪いもんじゃないし、あたしはあんまり本気でアイドルやりたいわけじゃないしなー」

周子「実家勘当されたからここ出たら行く当てないし、社長には拾ってもらった恩もあるしね」

忍「そっか...佐藤さんは?」

心「とっくの昔に他の事務所のオーディション受けに行ったぞ☆」

ちひろ「えっ!?」

心「全部落ちたよ☆ちくしょう☆」

ちひろ「えぇ...」

忍「と、とにかく!仕事が無くなったなら、プロデューサーに新しい仕事を持ってきてもらえばいいんだよ!」

周子「いやー、あのプロデューサーじゃ無理でしょ」

忍「うぐっ...」

心「今日もちひろさんに書類押し付けてどっか行ったし、ムカつく☆」

ちひろ「い、一応仕事を取りに営業して回ってるんですよ、多分...」

忍「でも、確かにあいつは信用ならないし...なら!」スタスタ

周子「どこ行くの?」

忍「まだレッスン始まるまで時間あるし、自分で売込みしてくる!」







悪徳P「その必要はない」

忍「ッ!?」

ちひろ「プロデューサー!その、お疲れさまです...」

周子「...チッ」

心「ちょっとー☆空気悪いぞー☆」

悪徳P「おはよう、みんな揃ってるみたいだな」

忍「...おはようございます」

目の前のこの男が、あたし達のプロデューサー

だけどその実態は、アタシ達に毎日のようにセクハラや暴言を吐いたり、仕事をさぼって遊びまわったりする"悪徳プロデューサー"だ

仕事もまともにできず、いつも社長やちひろさんに押し付けてばかりのろくでなし、それなのにクビにはならない

なんでも、こいつはこの事務所に資金援助をしてる会社の御曹司で、その会社の社長であるこいつの親によって無理やりプロデューサーとしてねじ込まれたらしい

クビにすれば援助を断ち切られて、事務所が倒産する。だからみんな、何も言えないんだ...

ちひろ「それで、必要ないというのは...?」

悪徳P「さっき工藤の仕事を一つ貰ってきた」

忍「ほ、ほんと!?」

悪徳P「ただし、少しスポンサーの相手をしてもらう事が条件だがな」

悪徳P「...その身体で」


忍「...えっ?」

心「おいコラちょっと待て☆いやマジで」

周子「それってつまり、忍ちゃんに枕しろって事?流石に酷過ぎるんとちゃう?」

悪徳P「少しの間男にケツ振るだけでテレビに出られるんだ。良かったじゃないか」

ちひろ「プロデューサー!貴方自分が何言ってるか分かってるんですか!?」

忍「あ、アタシやだよ...アイドルにはなりたいけど、枕営業なんて!」

忍「アタシが目指してるのは、もっと真っ直ぐなアイドルで...」

悪徳P「いいから来い!もう話は通ってるんだよ!」ガシィ

忍「痛ッ!?」


苛立ったプロデューサーがアタシの腕を強引に引っ張り、外へ連れそうとする

心「オイ待てって!!」

悪徳P「忘れるなよお前ら、その気になれば俺はここにいる全員クビに出来るんだぞ?」

悪徳P「親父の会社から圧力だってかけてやるさ、もう二度とアイドルなんて、いや、アイドル辞めたってどこにも就職できないようにしてやれる」

悪徳P「そういえば工藤の実家はリンゴ農家だったな?大切に育てた林檎の樹が"事故"で火事になってほしくはないだろ?」

忍「なっ、アタシの家族は関係ないでしょ!?」

周子「ちひろさん、社長なら何とかできないの?というか、社長はどこ行ったん?」

ちひろ「会わなければならない人がいるって、今朝からずっと出掛けたままで...」

周子「はぁ!?なんでこんな肝心なときに...」


悪徳P「おら行くぞ!さっさと歩け!!」

忍「痛いっ!放して、放してよ!!」

悪徳P「うるせぇ!」パチィン

忍「きゃっ!!」

ちひろ「忍ちゃん!」

必死の抵抗虚しく、アタシはずるずると事務所の扉の前まで引きずられていく



忍(なんで、なんでよ!なんでこんな腐った大人に、アタシの夢を壊されなきゃならないの...!)

忍(誰か、誰か、誰でもいいから!助け)

???「お邪魔しまーす」ガチャン!

悪徳P「ぶげらっ!?」バコーン!


『!?』

突如乱暴に扉が蹴り開けられ、扉の前にいたプロデューサーが勢いよく吹っ飛ばされる

そして開いた扉から、怪しすぎる男が事務所に入ってきた


チャラいというか、もはや痛い程派手なアロハシャツ

真っ黒なサングラスにぼさぼさの茶髪、趣味の悪いピアスで、いかにも悪人面の男

一言で表すなら、『チンピラ』だ

忍「あ...あ...誰?」

???「ここが例の事務所か、ボロっちいなぁオイ」ムギュ

悪徳P「ぐえっ!」

ちひろ(ちょっ!?何してんですかあの人!)

周子(あいつ踏まれとるやん)

心(ざまぁ☆)



ちひろ「じ、地上げには屈しませんよ!?」

???「は?なに言ってんだアンタ?暑さで頭湧いたの?」

悪徳P「湧いてるのはてめぇだろうが...さっさと足をどけろ!」

???「あん?...あぁすまん、気づかなかったわ」ヒョイ

社長「君ィ!なんでドアを蹴り飛ばすんだね!?」

???「そうやって入った方がカッコイイだろ!ドアくらい後で直せばいいし」

社長「その直す金すらうちの事務所には無いのだよ!備品は大事に扱い給え!?」

忍(誰コイツ....社長の知り合い?)

ちひろ「あのー...社長、そちらの方は?」

社長「ああ、紹介が遅れたね。彼は今日から我が事務所のプロデューサーを務めてもらう事になった、P君だ」

忍周心『えっ!?』

悪徳P「何を言っている?プロデューサーなら俺が」

P「ああ、あんたクビだって」

悪徳P「なに!?」


周子「えっマジで?やった♪」

心「よっしゃ失せろ☆はやく☆」

悪徳P「ここぞとばかりに清々しい手のひら返しだな貴様ら!?」

社長「君の会社からは今まで多額の援助をしていただいた...だが、それを差し引いてもいい加減、君の横暴は目に余る」

社長「だから、今日限りで君を解雇させてもらう」

悪徳P「いいんですか?親父からの援助が無くなっても」

社長「...覚悟の上だ」

悪徳P「なんだと?」


社長「我が社は他ならぬアイドルの為に、輝く舞台を夢見る少女達の為にある!君のように、アイドルを粗末に扱う人間の遊び道具にする為にあるのではない!!」

悪徳P「ッ!?」

忍「しゃ、社長...!」

悪徳P「てめぇ...俺が今までどれだけこの会社に尽くしてきたと...」

P「尽くす?お前が?バカなの?」

悪徳P「アァ!?」

P「お前の親父がここに金払ってたってだけで、あんたは何もしてない無能だろ」

悪徳P「ぐっ...な、ならお前には出来るのか?どこからどう見てもただのチンピラじゃねえか!」



ちひろ(た、確かにそれは否定できない!)

ちひろ(むしろ見た目だけで言えば、今のプロデューサーよりプロデューサーが務まるようには見えないわ....)

P「出来るぞ?アンタの数百倍は上手く出来る」

悪徳P「なにぃ!?」

P「ああすまん、ゼロを何倍しようがゼロだから、この例えは意味無かったな。忘れてくれ」

心&周子「ブフゥwww」

忍「ちょっと二人とも、それアイドルがしちゃいけない吹き出し方!」


P「何なら証明してみせようか?あんたの無能っぷりを」

悪徳P「証明だと?」

P「簡単なギャンブルさ。俺が勝てばお前は二度とこの事務所に手を出さない。当然、親に泣きついて圧力賭けるのもなしだ」

P「んで、お前が勝てば...そうだなぁ、クビ撤回だけじゃ軽すぎるし、社長をクビにしてあんたを社長にするって事でどうだ?」

社長「なっ!?勝手に人を賭け皿に!?」

P「いいだろ社長?そうでもしないととコイツ後々めんどくせぇよ?」

社長「それはそうだが...」

P「なぁに安心しろって。100%俺が勝つから」

P「それで、あんたはどうする?」

悪徳P「....いいだろう、乗ってやる。勝負の内容はなんだ?」

P「なぁに、ちょっとしたゲームさ」

Pに連れられて、アタシ達は事務所の近くにある商店街へとやってきた

そして、"この辺でいいか"とPは立ち止まり、辺りをきょろきょろと見まわして...


P「おっ、あれでいいか。おーい、そこのJK!」

???「んー?ゆいの事?」

P「そうそうキミキミィ、今暇?」

忍(ナンパ始めたー!?)ガビーン

P「ちょっとの間でいいからバイトしない?手付金で一万、結果次第で追加で2万出そう」

周子(怪しすぎる...あたしでも着いていかんわあんなの)

唯「いいよー!何するのー?」

周子(いいんかーい)

P「あの辺の空いてるスペースで、ちょっと喋って次いでに一曲歌って欲しいんだ」

唯「へー面白そー♪やるやるー!」

P「OK!交渉成立だ」


P「というわけで、ゲームのルールを説明するぞ。そこの広場でお互いの担当アイドルに同時にLIVEさせる。いわゆるLIVEバトルってやつだな」

P「お互い30分間の準備時間の後広場に出てアピール開始。10分間のトークの後に一曲歌って、その後見に来た観客に投票してもらう。んで貰った票が多かった方の勝ちって事で」

P「俺は今捕まえたこの子を担当するから、あんたは事務所の」


悪徳P(工藤、塩見、佐藤の中から一人を出せという事か...)


P「三人全員自由に使え」

悪徳P「なっ、なに!?」

P「足りない?じゃあそこの緑の奴も使っていいぞ」

ちひろ「緑の奴!?」ガビーン

P「だって名前知らねぇもん」

周子「そういえば、誰もこの人に名乗ってないねー」

ちひろ「ちひろです!千川ちひろ!」

P「そっか、よろしくな緑」

ちひろ「変わってないじゃないですか!!!」


社長「おいP君!本当にその条件で勝てるのかね?3人ともまだ候補生とはいえ実力は確かだぞ?」

社長「...はっ!もしかして、彼女は既にアイドルだったりするのかい!?」

唯「ううん、ちょっとだけバイトで雑誌モデルやったことあるぐらいかなー」

社長「じゃあ本当に素人じゃないか!P君、やっぱり条件を変えた方が...」

P「ゆいちゃーん、勝ったら社長が3万出してくれるから頑張ろうな」ムシ!

唯「はーい♪」

社長「無視ィ!?というか、君が出すんじゃないのかい!?」

P「何言ってんだよ社長、俺の財布の中には今346円しか入ってねぇんだよ。どっから諭吉を錬金しろってんだよ」

社長「えーーー!!??」


忍(なんか今日の社長、不憫だなぁ...)

悪徳P「3対1だと?舐めやがって...」

悪徳P「いいだろう!お望み通り3人がかりで捻り潰してやる!」

P「4対1じゃなくていいのか?」

悪徳P「要らん!」

ちひろ(ヒドい!)

心「ちょっと男子ー!ちっひ虐めるなよ☆」


P「よっしゃ、んじゃ早速ゲーム開始...と行きたいところだが、その前にハンデの話をしとこうか」

悪徳P「ハンデ?...やはり3対1では荷が重いか?」

P「違う違う、ハンデを"くれてやる"っつてんだよ」

P「ハンデっつーか、忠告な。そっちの3人に」

忍「忠告?」




P「お前らもさぞかしこの男とはお別れしたいとは思うが、その為に一人でも手を抜きやがったら...」

P「例え俺が勝ったとしても、即刻全員クビにする」

忍「クビって...えぇっ!?」

P「実際、やる気無さそうな奴いるしな」

周子(バレてる...)


P「これは俺とそこの男が始めたゲームだが、お前らにとってはアイドルとしての仕事って事になる」

P「引き受けた仕事で手を抜く奴なんて、俺はいらん。お前らじゃなくても真剣にアイドルになりたがってる奴はごまんといるし、そいつらにチャンスをやった方がいい」

忍「それは...そうだね」

心「マジか☆やるしかねぇなコレ☆」

周子「あーはいはい。分かったよ、手は抜かない。流石に二人の夢を潰すのは悪いしね」

周子「だけどさー、ちゃんと勝てるの?そっちの子、可愛いけど素人でしょ?」

P「勝てる勝てる―。まぁ見とけって」

P「それじゃ、今から30分間の準備時間開始だ。プロデューサーとしての最後の仕事、精々足掻いて見せるんだな」

~~~ 準備時間 悪徳P側 ~~~


悪徳P「いいかお前ら、もし手を抜きやがったらただじゃおかないからな!」

周子「分かってるって。向こうにも釘刺されたし、あたしも寝床を失いたくはないからね」

忍「こんな状況だけど、アイドルとして歌えるんだもん。手を抜くなんてアタシもしたくないよ」

忍「それでプロデューサー、作戦は?」

悪徳P「作戦?そんなもの自分の頭で考えろ!」

忍「はぁ?一応あたし達のプロデューサーなんだから真面目に考えてよ!」


心「まぁまぁ忍ちゃん、コイツはほっといて作戦考えよ!時間ないし☆」

忍「...そうだね、佐藤さん」

心「はぁとだって☆」

周子「でも、ほんとに大丈夫なんかな?正直、あっちはあっちで仕事出来無さそうだけど」

心「はぁとも本気でやるけど、あっちのプロデューサー負けたら殴る☆」

忍「...逆に考えようよ」

周子「逆?」

忍「この条件で勝てるなら、アタシ達のプロデュースを任せるに値する人間って事でしょ」

忍「だから、お手並み拝見といこうよ。ただのビッグマウスなら、こっちから願い下げだからさ!」








悪徳「向こうは素人一人、大してこちらは候補生とはいえそれなりにレッスンを積んでるのが3人」

悪徳「ふん...勝負はもう見えたな。社長の座は貰った!」

~~~ 準備時間 P側 ~~~


P「カラオケでよく歌う曲とかある?」

唯「『スターラブレイション』かなー♪」

P「うっし、じゃあ曲はそれで行くか」



唯「...ねぇ、なんか大変な状況みたいだけど、大丈夫なの?ゆい責任持てないよ?」

P「ん?あーだいじょぶだいじょぶ。あっちには足枷がついてるしな」

P「それに...この紙の指示通りにやってもらえば、絶対勝てるからサ」

唯「ほんと?」

P「ホントだ。俺を信じろって」

P「そうだ、どうせならいろいろ仕込んで圧勝してやろう。付いてきな」

唯「仕込み?」

P「ああ、なんたって俺は______」

~~~ 一方その頃、社長とちひろさんは ~~~ 


ちひろ「社長、ホントに大丈夫なんでしょうか?これで負けたらウチは終わりですよ?」

社長「そうなんだが...今は彼に頼るほかない。少なくとも私は、初めて彼と会った時になんかこう...ティンと来たんだ」

社長「彼なら我が事務所に何か新しい風を連れてきてくれる...彼女たちを、次のステップへ導いてくれると」

ちひろ「というか、どこであんなチンピラ見つけてきたんですか?到底アイドルのプロデュースなんて出来そうには見えませんが...」

社長「実は、彼は業界ではかなり有名な人間なんだよ。以前落ちこぼれだったあるアイドルグループを、トップアイドルと呼ばれる領域まで導いた、凄腕のプロデューサーとしてね」

ちひろ「そうなんですか!?でも、そんな人材を良くウチの事務所に引き込めましたね?」

ちひろ「そんなに凄腕なら、もっと大手の事務所と取り合いになったんじゃないですか?そもそも、そんな人間手放されないんじゃ...」

社長「いいや、彼を引き入れるのは簡単だったよ。彼を欲しがる事務所なんて、どこを探してもありはしないからね」

ちひろ「えっ?」

社長「正直私も、採用するかかなり悩んだよ...だが、どうせ今のままではこの事務所に未来はない。それなら、イチかバチかの大勝負をするべきだと思ってね」

ちひろ「...結局の所、彼は一体何者なんですか?」

社長「彼は...」

P「おーい社長!お金貸して―!!」

社長「P君!?なんでここに!?ていうかいきなり何を言ってるんだね!?」

ちひろ(その後30分間の準備期間が終わり、それぞれ同時に広場に立ち、トークを始めました)

ちひろ(あっという間に時間は過ぎ去り...投票が始まり、そして...)



P「結果はっぴょー!!!」



悪徳Pチーム 2票

Pチーム 57票

悪徳P「」

P「はい俺たちの勝ちー!いえーい、はいたーっち!」タッチ!

唯「いえーい!」タッチ!

心「ま、マジでか☆」

周子「まぁ、ちゃんと勝ってくれて安心だねー」


忍(す、すごい。アタシ達3人とも、ホントに本気だったのに!)

悪徳P「い、イカサマだ!貴様、なにかイカサマしただろ!」

P「なんもしてないって。なぁ?」

唯「うーん、あれってズルじゃなくていいの?」

P「いいんだよ、ズルしちゃいけないなんてルールはないんだから」

ちひろ「それってズルしたって言ってるのと同じじゃないですか!?」

P「だから何もしてないって。ちょっと周りの店でお菓子買って、宣伝するからウチに投票してくれって頼んだだけだよ」

悪徳P「なっ!?思いっきり賄賂じゃないか!」

社長「もしかして私に金を借りに来たのは...」

P「いやー、流石に346円じゃ何も買えなかったわ。助かったよ社長さん、お金はいつか返すな!」

P「10年後くらいに」

社長「おい!?」


悪徳P「ふざけるな!こんな勝負無効だ!」

P「おいおい、賄賂を使っちゃいけないなんてルールはなかっただろ?むしろお前はパパからお小遣い貰ってるんだから、俺以上に賄賂がやりやすかったんじゃないか?」

P「なのに30分もタバコふかして突っ立てるだけで、担当を勝たせるためになーんもやりゃしない」

悪徳P「だっ、だって!これだけ戦力差があればそんな小細工などする必要は...」

P「する必要はなかった?考えもしなかったの間違いだろ?」

悪徳P「ぐっ......」

P「『思いつかなかった』、『油断した』、そんなのは勝ちに貪欲になれない負け犬の遠吠えだ」

悪徳P「ふ、ふざけるな!俺が負け犬だと!?俺はあの大企業の御曹司で、エリートで!」

P「弱い犬ほどよく吠えるぅ~♪」

悪徳P「......」ブチブチィ


P「いつどんな勝負だって最後に勝つのは、ハイエナのように虎視眈々と勝利を求め続けた奴だけなのサ。覚えときな」

唯「ゆいは別にハイエナじゃないよー?ただPちゃんがくれた紙の指示に従っただけだし」

忍「指示?」

P「...まぁ、別にただ勝つだけなら賄賂なんて使わなくても勝てたさ。賄賂を使ったのは、完膚なきまでに『圧勝』したかったから」

周子「ふーん...じゃあ、辛勝でよければその"指示"ってやつだけで勝てたの?」

P「そう言う事だ、教えてやりな唯ちゃん」

唯「えーっとねー...」

①まず最初に名前と歳を言う

②トーク開始、買ったお菓子を食べながらちょびっと宣伝、前の方にいる人には配って良し

③あとは自分の学校での出来事を話題にしてトーク終了まで持たせる

④最後にいつもカラオケに行くときのノリで歌って終了




忍「..............」


忍(①は当然として、②は先に仕込んでおいた賄賂の約束を果たす為、前の人に配るのは第2の賄賂の役目もあったかもしれない。そういう契約をしてなくても、大体の人間は物を貰った手前何もしないのを申し訳なく感じるから、投票ぐらいはしてやろうって気持ちにはなると思う)

忍(④も分かる、彼女は素人だから、無理に上手く歌おうとしたり、アイドルっぽさを意識して歌うことを急には出来ないはず。それならいつも通りのノリで楽しんで歌った方がまだ好感触だろうね)

忍(でも.....)


忍「③の、学校の事を話すってのは?確かに、トークのテーマを何も決めないよりはいいかもしれないけど」

P「おお、いい所に気が付いたな」

P「んじゃもうちょっと頭を働かせて、この商店街の店を見てみようか。この商店街にはどんな店がある?」

周子「とりあえず、和菓子屋は結構あるねー」

忍「あとは八百屋にアンティーク、呉服屋に喫茶店、あとは...占いの館と、将棋?」

心「あっ!あとあそこに古いおもちゃ屋があるぞっ☆すっげぇ懐かしいもん売ってる☆」

心「......なんかあのおもちゃ見てると、童心に帰った気分になるな...せつない...」

P「おっ、そこはいい着眼点だ」

心「マジでか☆」

P「では逆に、この商店街にない店を考えてみろ。そうすれば、なんとなく見えてくると思うぞ」

忍「この商店街に無い店....?」

周子「...あっ、あたし分かったかも」

心「マジでか☆」

ちひろ(佐藤さん、今日『マジでか☆』しか言ってなくない...?)

周子「多分、電気屋とかじゃない?あと、ゲーセンもないか」

周子「和菓子屋はいかにも老舗って感じだし、喫茶店もなんかアンティーク志向で、おもちゃ屋は心さんが童心に帰る位に古い商品ばっかり」

周子「この辺、あんまりあたしらぐらいの年代が好きそうな店が無いよ」

P「お見事!つまり、この辺りの客は年齢層が高いんだ」

悪徳P「だ、だがそれとトークの内容に何の関係が!?」

P「高齢者層、いわゆるジジババってのはさ、大抵孫が恋しいものなんだよ」

P「そういう奴らは、孫と同じくらいの歳の子供に親近感を持ちやすいのサ。学校での出来事なんて年齢が分かりやすい話題をされれば特にね」

P「孫と話してる気分でトークを聞くついでに、世のじいちゃんばあちゃんは孫がする学校の話を、自分の青春時代に重ねて思い出に浸るんだろうよ」

忍「な、成程...」

唯「Pちゃん、頭いーねー♪」

P「それに対してそっちはなんだ?プロデューサーはただの木偶の坊で、人数の有利を活かしきれてない」

P「歌はバラバラだし、トークは...触れない方向で」

心「おい☆どういう意味だコラ☆」

P「だが、アピールの真剣さは伝わったぞ」

忍「ほんと!?」

P「俺の予定ではそっちは0票になるはずだったのに、いざ蓋を開けたら2票入ってた」

P「お前らのその真剣さに、僅かばかり心を動かされた人間がいた証拠だろう。俺も少し、お前らに興味が湧いた」

P「まぁ、とりあえずクビにはしないでおいてやるよ」


忍(よ、よかった...)

P「それに、お前らの一番の敗因はそいつだ」

悪徳P「ぐっ.....」

P「どれだけ癖の強すぎるアイドルも輝かせてやるのが、『プロデューサー』って仕事なんだよ。これで分かっただろ?あんたにゃこの仕事一ミリも向いてないって」

悪徳P「黙れ、黙れ黙れ!!」

悪徳P「ふん!こんなアイドルとは名ばかりのクズどもの事務所なんぞ、こっちから願い下げだ!こんな弱小事務所、徹底的にウチの会社から圧力をかけて潰してやる!」

忍「なっ!?」

社長「そんな!約束が違うではないか!」

P「ああ、いいんだ社長さん。ほっとけ」

社長「いいって...いいのか?」

悪徳P「精々怯えて過ごすんだなクズども!ハーハッハッハッハッ!!!」

P「.....まぁ、もうあいつがウチの事務所に圧力がかけることは出来ないんだけどな」

ちひろ「えっ?」

社長「どういう事だね、P君?」

P「俺はあのボンボンの親の会社の弱み、いくつか握ってるからな。それをバラされたくなかったら二度とウチに手を出すなって、事務所に来る前に奴の父親を脅しといたんだよ」

ちひろ「お、脅しィ!?」

P「この業界じゃ常套手段だからな。どんな企業相手にも営業できるよう、常日頃からネタを集めてんだよ」

P「向こうだってこっちを脅してたんだから、お互い様だろ?」

ちひろ「そりゃそうですけど...」




忍(...負けたのは正直悔しい、けど。それ以上に、期待がこみあげてくる!)

忍(この人なら、もしかして...本当に...!)

P「じゃあ改めてお前らのプロデューサーになったという訳で、ここに一つ宣言しておく」

P「まずは、俺がプロデューサーになったことを喜べ!必ず俺がお前らをトップアイドルにしてやろう!」

忍「!!!」

忍「うん!お願いします、プロデュ『ただし!!』」

忍「....?」

P「残念なお知らせがあります!」

P「今この時をもって、お前らから人権はなくなりましたー!」










忍周心「「「..........は?」」」

P「これから、お前らの想像を軽くロケットエンジンで飛び越えるくらいの地獄が、お前らを待ち受けているが.....」

P「まぁ、頑張り給えよ(^^♪」

周子「えっと...言ってる意味、よく分かんないんやけど...?」

P「つまりだな....」

唯「えーっと...どういう事?」

ちひろ「やり口から何となくそんな気がしてきてたんですけど...社長、あの人って、もしかして....」

社長「彼は確かに、あるアイドルグループをトップに導いた」

社長「だが....そのすぐ後に導いたアイドルごと、務めていた事務所を倒産させている」

ちひろ「トップアイドルを生み出した後、倒産!?あの人一体何したんですか!?」

社長「詐欺、脅迫、賄賂、暴言、暴行、体罰、セクハラ、パワハラ、拷問、妨害、闇討ち、買収.......アイドルをプロデュースする裏で彼は、この業界でのタブーというタブーを全て行ってきた」

社長「その全てが明るみに出た結果、彼はありとあらゆる事務所とテレビ局、その他諸々からブラックリスト入りしたというわけだ」


社長「要するに、彼は.....」

P「悪徳プロデューサーから逃れられたと思った?残念!俺は超・悪徳プロデューサーでした!!!」

P「.....って事♪」




忍周心「「「えーーーーー!!!???」」」

この日から、奴の言葉通りアタシ達は想像を絶する地獄の日々を送ることになって

当時は、こんな奴を連れてきた社長をめっちゃくちゃ恨んだり.....



だけど、"今"はむしろ幸運だったと思ってるよ

だって......

「それでは、登場していただきましょう!リーダー『工藤忍』率いる超新星トップアイドルユニット、その名は.....」



忍「それじゃ皆、トップアイドルってのがどんな存在か、皆に見せつけにいこう!!」

『応ッ!!!!』

この日から、アタシ達の物語は始まった

アタシ達が、弱小事務所で悪徳Pと共にトップアイドルになるまでの、最悪で最高の"物語(シンデレラストーリー)"

その1ページ目が今、捲られたんだ!

ひとまず終わりです

続きは何も考えてません

まだ落ちていなかったようなので一応こっちでも宣伝を

↓続きです

佐藤心「悪徳プロデューサー in 弱小プロダクション」
佐藤心「悪徳プロデューサー in 弱小プロダクション」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1565342029/)

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