モバP「夏探しツアー?」 (37)


※秋探しツアーから始まり最後の季節となっていますが、読んでなくても特に問題はありません。

※前作同様黒服というオリジナルキャラクターが出てきます。



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【事務所】



ちひろ「気付けば夏真っ盛り…早いものですね」

モバP(以下P)「むしろ夏も終わりそうな雰囲気ですけどね」

ちひろ「もう!ツアー企画始めて一年経つのに素っ気ないじゃないですか」

P「一年………?いや、そもそも何年経っても年を取らないサザエさん時空の我々にとってはまるで関係ない話ですけどね」

ちひろ「やめましょうそういう話は」

P「入社した当初は年上だった瑞樹さんが今じゃ俺より年下の結婚したい女性にランクイン…分からないものです」

留美「あら、なら私も?」

P「留美さんも菜々さんもウェルカムカモンですよ」

菜々「あの私17歳なんですが…」

ちひろ「愛の告白は後にしてください」




P「……さて、結婚適齢期組が帰った所で本題に入りましょう」

ちひろ「適齢…まあいいでしょう。いつも通り常務からの手紙です」ガサッ








『夏らしい物を私に知らせてくれ。』

『方法、内容は任せる。』

『よろしく。』


『美城常務』





P「超簡潔」

ちひろ「というわけで夏と言えばホラーと相場が決まってますので、ヤバイのが出てきそうな洋館にアイドルを送り込んどきました」

P「何やってんのあんた」

ちひろ「周囲は雑木林に携帯の電波も悪い孤立無援状態…果たしてアイドルは無事に帰ってこれるのでしょうか」

P「ちひろさん?ちひろさーん?」

ちひろ「あ、場所は事務所の裏なので走ってすぐですよー」

P「物騒すぎる事務所裏でビックリだよ!」ダッ!




【事務所裏】



P「───…で、今回呼ばれたアイドルは夏らしいアイドルと聞いたのだが」

夏樹「熱さってなら正解かもな」

夏美「あはは…事務所裏っていつからこんな風に?」

千夏「ホラーなら学校でも良かったんじゃないかしら?」

P「ホラーではなく海水浴にすべきだったのでは?」



P「まあ、今回はこの洋館を探索すればミッション完了らしいから気楽にいこう」

千夏「もうテンションがホラーを吹き飛ばしてるわね」

P「メーカーがCAPC●Mさんだったらゾンビが出てきてホラーっぽくなるかもしれないが、うちの本社にはホラー系の代表作は見当たらないからなぁ…」

千夏「本社言わない」



【館内探索開始】



P「さて、そうして館内をブラついて夏っぽい物を探してるわけだが…」

千夏「つまり怪談をここで体感すればいいわけかしら?」

P「簡単に言えばな」


千夏「……なら、あそこの吸血鬼なんてまさにそれじゃない?」

P「吸血鬼?」クルッ

夏美「ひぃ!?」ビクッ!





輝子(絶叫★ヴァンパイア)「……フヒッ」

夕美(花の小悪魔)「はい、血を抜いた後ですから十分は動かないでくださーい」

周子「はーい」

P「献血じゃねーか」



輝子「…あ」

P「ん?」

輝子「ヒャッハァァァ!!洋館の第一試練の恐怖『ヴァンパイア』へウェルカァァァァムッ!!!」

P「え、アトラクション形式で進むの?」

夕美「驚いてくれましたか?」

夏樹「まあ、いろんな意味で」

周子「採血はプロの清良さんにやってもらったから安心してねー」

千夏「その言い方だとアマチュアの清良さんも存在することになるわね」

輝子「あ、第二試練は部屋を出てすぐ隣だから…頑張ってね……フヒッ」

P「急にテンション下げるなよ」



夏樹「…Pさん、これはホラーなんだよな」

P「一応」

夏美「ま、まあ?そんなに怖いものじゃなくて安心したと言うか?」

千夏「…夏美、貴女もしかして…」

夏美「怖いわけないじゃない!あんなの子供騙しよ子供騙し!!」

P「……」

夏樹「……」



【隣に移動】


P「おっと、今度はここか」

夏樹「…女子トイレか?」

P「外で待ってようか?」

夏美「だ、ダメよちゃんと来なくちゃホラーにならないでしょ!」ギュッ!

P「はいよー(かわいい)」



【女子トイレ】


P「当たり前だが小便器が無い…間違えて女子トイレ入った大学時代を思い出すな」

千夏「写真撮って早苗さんに送りましょうか?」

P「ハハッ、俺限定バイオハザートかよ」




『ここは噂の女子トイレ…』


夏美「ヒッ!」

P「!」

夏樹「スピーカー?」

千夏「凝った演出ね」



『病を苦にして自殺した彼女のトイレは右から三番目…』


ガタッ

夏美「~ッ!!」

P「かわいい(かわいい)」

夏樹「…トイレ…三番目…」

千夏「…確かに、三番目に何かいるわね」



『そんなかわいそうな彼女と出会う方法…それはとても簡単なこと』

『その扉の前で三回…回転した後に呼んであげましょう』




『は~なこさ~ん、あ~そびましょ~』

夏樹「それ学校の怪談だよな?」



P「…さて、誰が回る?」

夏美「や、やめとこう!回らなければ何も出て来ないんだし!!」ギュゥゥ!!

P「夏樹、千夏。ジャンケン」

夏樹「最初はグー」

千夏「ジャンケン…」

夏美「なんでぇ!?」




夏樹「…じゃ、回ればいいんだな」←負けた

P「おう」

夏美「うぅ…」ギュッ!

千夏「……」

夏樹「……よしっ」キュキュッ




夏樹「……ッタァ!!」バッ!!クルクルクル!!

P「出た!トリプルアクセル!!」

千夏「これは点数高いですね」

夏美「なんの話してるの!?」

夏樹「よしっ!」スタッ!チャキッ!

夏樹「花子ッ!Let's rock!!」ギャィィーン!!

夏美「そのギターどっから出したの!?」



ガタガタガタッ!!!

夏美「ッ!!」ビククッ!!

P「うおっ!」

千夏「ッ!」

夏樹「…こりゃ、随分凝った演出だな」



ンヴー!ンヴー!!



P「……夏樹、開けてやれ」

夏樹「いいのか?」

P「予想通りなら害は無い」



ギィィ…


幸子「ンヴー!ンヴー!!」←口にマジックテープ



夏樹「……で、次の試練は?」ギィィ…バタン

P「アナウンスくれるだろ」

ンヴーーー!!!




【幸子、解放】



幸子「…Pさん、ボクは怒っています。何故だか分かりますか?」

P「人を許す心の広さが無いから」

幸子「ぶん殴りますよ?」

夏樹「トイレで猿轡されながら縛られてて開口一番が叱責…かなりロックだな」

千夏「私だったら発狂物よ」

夏美「漏らしててもおかしくないでしょ普通」



幸子「で、今回はどんなミッションなんですか?」

夏美「(なんでこんなに手馴れてるのかしら…)」

P「この地下にある千川印のスタエナ工場の捜査及び爆破」

千夏「さらっと嘘つかないの」

夏樹「夏探しツアーらしい」

幸子「夏探し……あー、なるほど」

夏美「ま、まあ?お化けやホラー的な物なんてあるわけないし?所詮はアトラクションに過ぎないわけで…」


幸子「だそうですよ小梅さん」

小梅「分かった……やっちゃえ」

あの子「承った」

P「待て待て待て」



夏美「」ガタガタガタガタ

P「…小梅、なんで俺が怒ってるか分かるか?」

小梅「人を許す心の広さが無いから…?」

P「それは幸子だ」

幸子「さらっと流れ弾を当てないでください」

P「ほら、夏美が震えて縮こまってるだろ?こういうときはなんて言うんだ?」

小梅「ブルマ卯月さんで爆死した人みたいだね…」

夏樹「何年前の話だよ」

千夏「小梅、いろんな人を敵に回すからその話はやめましょう」

P「はい、夏美にごめんなさいは?」

小梅「分かった……言える?」

あの子「この度は私の非礼により悲しき思いをさせてしまった事、ここで固く謝罪の意を伝えとうございます」

夏美「」ドサッ

P「とどめをさすな」



夏樹「…おいPさん、夏美さん本当に気絶してるぞ」

P「む、それは大変だ」パチンッ!

黒スーツの女性(以下黒服)「ここに」

P「救護を」

黒服「御意」スッ

ヒュン!


幸子「……夏美さん抱えて離脱しましたね」

夏樹「Pさん、あの人は…」

P「生きて帰れたら教えてやるよ」

千夏「まるで誰かが死ぬような言い方ね」

P「幸子、いいやつだった…」

幸子「勝手に殺さないでください」

小梅「死ぬ時は言ってね…?」

あの子「welcome come on」

幸子「やめてください」



P「さ、次の試練はどこに行けばいいんだ?」

小梅「幸子ちゃんのポケットに入ってるよ…」

幸子「なんで入ってるんですか」ガサゴソ

千夏「(何故小梅ちゃんがそれを知ってるのかしら…)」







『赤いちゃんちゃんこは欲しいかね?』



幸子「……ちゃんちゃんこ?」

夏樹「P、ちゃんちゃんこってなんだ?」

P「寒い日に羽織る丹前みたいなもんだ」

小梅「丹前…?」

千夏「寝間着用のコートみたいな物よ」

幸子「真夏に欲しがる人がいるんですか?」

P「それは俺も前々から思ってた」

小梅「欲しいって言ったらどうなるの?」

P「天井からナイフが落ちてきて串刺しらしい」

千夏「その現象は見てみたいわね…」

P「幸子、いけるか?」

幸子「体は張っても命まで張りませんよ」

あの子「welcome」

幸子「ちょっと黙っててください」



小梅「あ、そう言えば次の試練はここを出て……」



《フッフッフッ…時間稼ぎはできたようですね》



P「!この声は……」

《プロデューサーさん、そしてアイドルの皆さん、私が誰か分かりますか?》



夏樹「8月いっぱいまで同じ水着ではしゃいでたスゲー女傑」

千夏「金で買えないものすら買う女」

幸子「札束風呂の広告見て思考が貧乏人だと呟いてたOL」

小梅「魔界の税務署」

あの子「本人が魔除け」

黒服「マリオRPGの無限コインを一日中叩き続ける可哀想な人」

P「うちの事務員」




《………シクシク…》



P「…おい、静かに泣き始めたぞ」ヒソヒソ

黒服「何がいけなかったのでしょう」ヒソヒソ

夏樹「間違った事は言ってないよな?」ヒソヒソ

千夏「もしかしたらPさんと同じ職場なのを今さらながら苦痛に思ったんじゃ…」ヒソヒソ

幸子「Pさん、女性を泣かせるのはよくないですよ」ヒソヒソ

小梅「Pさん、気の利いた言葉をかけるべきだよ…」ヒソヒソ

あの子「口説き文句ひとつで黙らせるのがプロデューサーという物だろう?」

P「ちひろさーん!金城パレスはちひろさんの貯金箱を見本にしたってのは本当ですかー!?」

《全員、正座》




【~正座時間経過~】



《えー…そろそろ準備が整いましたので一度洋館から出てください》

P「準備?」

幸子「行ってみましょう」

夏樹「…さっきから思ったが、幸子は順応が早いな」

P「幸子ほど場慣れしてる芸人はいないだろうからな」

幸子「今ナチュラルに芸人って言いませんでした?」



【洋館・中庭】


ジュージュー


常務「…ふむ、ようやく来たか」

夏美「………」モグモグモグモグ

P「焼き…肉?」

夏樹「バーベキュー…確かに、これも夏だな」

幸子「あれ?でも今回はホラーを体感するはずじゃ…」

常務「ある者がバーベキューがしたいと言っていたのでな…なに、気にすることはない」

黒服「…………」

P「なんだ幸子、ホラーが良いならお前だけで続きをやるか?」

幸子「慎んで肉を食べさせていただきます」

小梅「次の試練に進んでればお肉食べれるよ…?あ、むしろ食べられちゃう方かも…」

あの子「アンブレラも大絶賛」

幸子「常務、塩ください」



千夏「…て言うか夏美、貴女一心不乱に食べてるのね」

夏美「………」モグモグモグモグ

夏樹「まあ、あんな事があったらやけ食い気味にはなるか」



夏美「…………」モグモグモグモグ



P「………もしかしてホルモン食べてるだけじゃ…」

夏美「…」コクコク

幸子「どんだけ噛んでるんですか!?」



P「しかし常務が焼いた肉を我々が食べてもいいのでしょうか」

常務「叙々苑行かせるお前達がそれを言うのか」

常務「…そもそも金は出したが私が焼いてるわけではないぞ」

幸子「え?じゃあ焼いてる音は一体…」




のあ「タンにはレモン汁?いいえ、粗塩が正解よ」ジュージュー

イヴ「お店が用意したタレを浸けるのが一番かと」ジュージュー

ヘレン「女は黙ってマヨネーズよ」ジュージュー

P「焼く人多くない?」



常務「空いてる者に召集をかけた、既に食べてる者もいるしな…味はどうだ」

夕美「あ、エリンギ美味しいです!」ホクホク

P「この流れでタンじゃないのか」

輝子「どーこでーこーわれーたのォゥ!フレェェェンズッッ!!」

P「懐かしいなおい、レベッカ知ってるのか輝子」

夕美「レベッカ?」

周子「菜々さん呼べば教えてくれるかも」

P「帰ったばかりだから無理をさせるな。往復四時間のウサミン星は安部さんでも厳しいだろ」



【なんやかんやでアイドル集合】


ワイワイガヤガヤ…ワイワイガヤガヤ…



ちひろ「今回は常務も満足そうですし、無事夏探しツアーも終わりそうですね」

P「そうですね」

幸子「今までなんやかんやで騒いで終わってましたしね」

小梅「そうなんだ…」

P「全てのツアーの終わり間近にはトラブルがあったしなー」ハッハッハッ



P「………小梅、1つ聞いていいか?」

小梅「なに…?」

P「さっき幸子に、まだ先はあるって言ったな」

小梅「う、うん…」

P「……もしかして、アイドルが待ってたりしてた?」




小梅「愛海ちゃんが待機してたはず…」




ズドォォォォォンッッ!!







キャプテン・ATUMI「アベンジャーズ…アッセンブル!!」

P「マジでヤベェのが来ちまったじゃねえかッッ!!」




この後メチャクチャに荒れると思われたバーベキュー会場だったが、黒服と清良さんのツープラトンで事態はすぐさま鎮静化し、バーベキューは何事もなく再開されたらしい。




終わり




【おまけ】


【数日後】



P「いやー、バーベキュー大にぎわいでしたね」

常務「収録も同時に行ったおかげで経費も出る…叙々苑よりは遥かに安い」

黒服「ありがとうございました、常務」

常務「なに、春の時の正当な報酬だ。気にすることはない」


※春探しツアー参照




常務「しかし、あの後も大変だっただろう」

P「ええ、彼女と清良さんがいなければ危うかったでしょう」

常務「光る原石であろうと自制出来ぬ者がうちのアイドルとして所属しているとは…」

黒服「罰として私の地元の魔界ツアーに行ってもらいました」

常務「…ん?魔界…?」

P「実は彼女、魔界へ営業に行った時に知り合ってスカウトしたんですよ」

黒服「正直、驚きました」

常務「は?」

P「常務が来る前は戦国や異世界、烈火の炎やタバルに聖闘士星矢そして空の旅…そんな営業先に走り回ってましたし」

黒服「空の旅はまだ何度かあったかと」

常務「もしもし私だ。至急営業部長を呼びたまえ…なに?この次元にいない?お前は何を言っているんだ……」



P「…あ、魔界で思い出したんですが常務に1つ報告が」

常務「そのフレーズで一体何を思い出したんだ」

P「彼女と一緒に魔界に行った時に色々ありまして、大貴族のマキシモフ家の娘さんをスカウトしてきました」

黒服「私ばりのセンスを持った従者も着いてきました」

常務「待て待て待て」



常務「肝心な情報がフワフワしている上に色々ヤバい単語が聞こえたのだが……本当に大丈夫なのか?」

P「はい、こっちの世界でトップアイドルにするならと許可をいただきました」

黒服「ダメだったら全身の血液を献血らしいです」

常務「よくその条件でスカウトしてきたな」



P「また後で紹介しますので何卒よろしくお願いします」

常務「……フッ。君が命を張ったアイドルだ、期待しようじゃないか」

P「ありがとうございます」

常務「それで、名前はなんと言うんだ?」





P「黒埼ちとせ、そして白雪千夜です」




終わり





黒埼ちとせをアーンスランドの家系にしようかと思いましたが、あの家系はサキュバスじゃんと気付き、書き始めてすぐに止めました。


長い間お付き合い、ありがとうございました!


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