【安価コンマ】能力者を集めて物語を創る (695)

※思いつきで始めました。
 暇つぶしにご利用ください。1も暇になったら更新します。

 キャラ作成あります。
コピペ用にどうぞ。

【性別】男 女
【名前】
【年齢】10~18 の中

なくても可
【特徴】
【その他】
【能力】なしならモブとかになる場合あり


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1579094943

《あらすじ的な何か》

ある日、その人は夢を見た。

簡単にまとめると
『近いうちに災厄がやってくる。与えた力を解放せよ』
というものだ。

親にその話をしたらゲームのやりすぎだと注意された。
しかし同級生に話してみると、不思議なことに同じ夢を見ていることが判明する。

結論として、↓1
1.何かが起きると思う
2.ただの夢だと思う

↓2~今日中
主人公的なキャラ募集
コンマがこのレスのそれに近いやつで。

【性別】男
【名前】分水 達夫(ぶんすい たつお)
【年齢】15
【特徴】のんきで豪胆
【能力】傷や、病気によって生じた「生来のものではない」ダメージをわかちあう

【性別】女
【名前】而今 響(じこん ひびき)
【年齢】16
【特徴】アル中
【その他】母子家庭 ネグレクト
【能力】周囲の液体をアルコールにする

【性別】男
【名前】士門 優 (しもん ゆう)
【年齢】16
【特徴】口数が少ないが心優しい性格、基本ぼっちだが気にしたことはない
【その他】一人称は「僕」、見た目は地味な方でかっこいいか可愛いかで言えば可愛い系
【能力】触れたもの性質の強弱をコントロールできる(熱いものなら更に熱くしたり冷ましたり、固いものなら更に固くしたり柔らかくしたり等)

【性別】男
【名前】岡田美千流(岡田みちる)
【年齢】16
【特徴】女装趣味あり(男の娘)
【その他】女装趣味の自分が恥ずかしくて性別を偽ってしまう
【能力】嘘を本当に、本当を嘘にできる。例えば能力での攻撃や自分の負ったダメージや人の記憶などをなかったことに、またはあったことにできる。
   ※1日3回など回数制限あり

【性別】女
【名前】上月紅音(こうづき あかね)
【年齢】16
【特徴】不良 姉御肌
【その他】お嬢様育ち 親と喧嘩中
【能力】何もかも燃やす(物理的にただ燃やすだけではなくピンポイントに燃やすことができる。例えば、傷だけを燃やして実質治すと変わらないようにするとか)

【性別】男
【名前】近衛 護(このえ まもる)
【年齢】15
【特徴】弱々しい印象で見た目通り臆病だが芯は強く困ってる人がいたら放っておけない
【その他】両親は他界していて独り暮らしをしている
【能力】触れたものが武器になる、どんな武器になるかは触れたものによる(クウガ的な能力)

【性別】男
【名前】有明 弦(ありあ ゆずる)
【年齢】16歳
【特徴】常に敬語 大人しい性格で争い事を好まない
【その他】たまに女の子と間違われる見た目をしている
【能力】手か足からシールドを出せる シールドは離して遠隔操作出来るが離すと一定時間で消えてしまう

【性別】女
【名前】百合咲 まゆり(ゆりさき ー)
【年齢】16
なくても可
【特徴】白髪ツイン縦ロールのお嬢様
【その他】百合趣味。末っ子
【能力】理想の妹を具現化する能力。意思疎通が可能だけど人が触れたり強い力が加わると爆弾に変わり爆発する

【性別】男(女)
【名前】形原 兎成(かたわら となり)(その他多数)
【年齢】18(10~18)
【特徴】アホ毛 (アホ毛)
【その他】何処かで何かが起こったとき、目撃者は「私」であり、犠牲者は「私」であり、
     傍観者は「私」であり、証言者は「私」である
【能力】全人類の3割は「私」だ

想像以上にたくさんきてる…ありがとうございます。
コンマ探すの大変。

主人公:>>12

主人公になれなかった能力者たちは今後出させていただこうと思います。
ご協力本当にありがとうございました。

参考程度に同年齢(同級生予定)をまとめます。
>>8,>>9,>>10,>>16,>>17(,>>18?)

次から本番。

4月――

高校2年生の最初の登校日がやってきた。

紅音「……行ってきます」

返事のない言葉と知っていても言わなくてはいけない。それが日課。
仕方ないことだった。母様の期待を裏切った自分が悪いから。

「あ、紅音さん。ごきげんよう」

玄関まで出ると聞き慣れた声が耳に入る。

紅音「まゆり、ごきげ……おはよう」

百合咲(ゆりさき)まゆり。同じ中学校に通っていた友人。
今では別々の高校に通うことになっている。
途中の分かれ道まで通学路は同じなので、わざと時間をズラして登校してたが、今日は久々で忘れてしまった……。

まゆり「あの、女学院に紅音さんがいなくても私たちは友達ですわよ」

紅音「その励ましなら去年から何度も聞いたし、必要ないって何度も言った」

紅音「言われなくとも友達だよ。たまに連絡してるでしょ」

まゆり「その連絡が『風邪ひいた』じゃなく、ちょっとした出来事に変えてもらえれば……」

紅音「母様は私を見ないし、父様は仕事でいないし、まゆりしかいないんだよ」

言葉の通りで、この意味もまゆりは知っている。だけど決まって頬を染める。
共学に行ってたら間違いなくチャラ男に引っかかるタイプだろうな。

まゆり「……とにかく、少しでいいので連絡ください。では、ごきげんよう」

紅音「また数ヶ月後な」

―― 学校:校庭 ――

紅音「さて今日から新しいクラスか。まー知ってる顔なんていないしどこでもいいよ」

↓1 所属クラス
00~32:1組
33~65:2組
66~98:3組
99:留年組

↓2~3 クラスメイトを選択
>>8,>>9,>>10,>>16 から
(前が留年組なら自動で>>5,>>14)

紅音「なんとか留年は免れたか」

クラスメイトの名前をみても顔が思い出せなければ知らないのと一緒だ。

―― 学校:2-2 ――

最初はお決まりの自己紹介だ。
番が来るまで適当に過ごすか……。

弦「有明 弦(ありあ ゆずる)です。えと、仲良くしてくれたら嬉しいです」

綺麗な顔立ちしてるなぁ。女学院にいたらファンクラブとかできそう。
にしても何で男の制服着てるんだ? あ、男だからか。女学院行けないわ。
本でも読も。

…………

「――と、ちょっと前の人」

紅音「ん?どした後ろの人」

「自己紹介お願いします」

紅音「もうきたか。まだ4ページも読んでないのに」

↓1 コンマ25(16+9)に近い奴
1.座ったまま手短に名前だけ
2.立って名前だけ
3.立って名前と一言よろしく

紅音「……名前は上月紅音。終わり」

続きが気になる。早く読みたい。

「上月? あの?」
「中学は女学院にいた上月さんでしょ」
「あれじゃこうなるのも無理ないな」

……。勝手に言ってろ。

紅音「後ろの人、出番だぞ」

「え? 本当に終わりなの? まあそれでいいならいいけど」

優「僕は士門 優(しもん ゆう)です。……特に一言浮かばないので、これで終わりです」

優「こういえばカドたたないよ」

紅音「余計なお世話って言葉、知らない?」

優「出過ぎたマネなら知ってる。でも本当のことだから」

紅音「あっそ」

無理矢理会話を中断させる。後ろの人も諦めたのか話しかけてくることはなかった。

気付くと全員分の自己紹介は終わってた。それどころかみんな帰ろうとしている。
そういえば去年もこんな感じだった。いや去年の方が酷かったっけ。

ふと後ろの席を見る。

紅音「もう帰ったか。準備速いんだな。本読んでたから顔見てねぇのに」

なんて独り言してもまゆりみたいにグイグイくるやつはいない。いても鬱陶しいが。
いつもなら気にしないのにまゆりに会ったせいで調子狂ったな。帰ろう。


↓1~2
どちらかのコンマがゾロ目 or 足してゾロ目
弦を発見

足して120以上
帰り道に……?

―――――
42+90=132
―――――

帰宅準備を終えて学校を出る。
しばらく歩くとまゆりと別れた分かれ道の近くのそばに……、


「キャーー! だれかっ! んっ!!」


女性の悲鳴だ。近くの路地で助けを求めてる。
……あの路地だ。人の通らない、狭い路地。

『私の紅音が暴力を!?』
『本当なの!? そんなことする子じゃなかったのに!!』

うるさい……。

『ほら謝りなさい!!』

全部話したのに。

『高等部には行かせられない!?』
『上月家に恥をかかせたわね、紅音!!』

真実から目を背けたくせに……!!



『どうして……そんな嘘をつくの?』


しなきゃいけなかったと何度説明した!!!





『どうしてまゆりちゃんを殴ったの!? 紅音!!』



紅音「ああぁぁあーーーっ!!!」

拳は誰かの脇腹に当たり、その感触で頭が冷えた。
どうやら女学院の生徒が痴漢に襲われていたようだ。

「あ、あ、あ……」

紅音「えっと、もう安心だから早く人通りの多いとこに行った方がいいよ」

紅音「こいつは交番の前に放っておくからさ」

「ありがと、ございました……」

助かったのに怯えまくってる。無理もないか。
……ノートとペンを出して、っと。

―― 交番前 ――

警官「誰か倒れてる。しかも背中にはりがみ?」

『女学せーとにチカンしてました』

警官「あー、無視できないな。おーいきみ。起きれるか?」


紅音「よし、これでいいだろ。……帰るか」

―― 上月家 紅音の部屋 ――

紅音「何かあったら連絡、か」

携帯を見るとまゆりの言葉を思い出す。でも、

紅音「もう巻き込むのも巻き込まれんのもゴメンだ……」

何もかも忘れたい。
ベッドに倒れ込み、そのまま時間が過ぎていく。

……。

―― ??? ―――

……。

紅音「どこだ? この部屋」

自室で寝たのは覚えてる。
目覚めたら見知らぬ部屋、しかも家じゃない。

というかここには何もない、わけではない。
机、椅子はない。棚も、窓もない。
照明はある。蛍光灯だ。
モニターとそれに繋がっているスピーカーもある。

……むしろそれしかない。
ここに出入りするための扉がない。

安価↓1
1.モニター周辺を調べる
2.ここは夢の中だ

紅音「あるものから探ってみるか」

モニターのサイズは目測でも24インチとまあまあの大きさだ。
壁と一体化していて裏面をみることは出来ない構造をしている。

側面からは有線でスピーカーと繋がっているがスピーカーが天井近くに設置されている。
そのため出来ることで思いつくのが、線を引き抜き音を出させないことだろうか。

そもそもコンセント自体見当たらないので正常に動くのかすら怪しい。

モニターの電源は右下にあった。
これを押せば何か見えるかもしれない。
……という罠かもしれない。

安価↓1電源を
1.いれる
2.いれない

ここで躊躇していても変わらない。

電源のスイッチを押す。

しばらく経ってもモニターに変化はない。真っ暗のままだ。
スピーカーも音を出さない。

いったい、ここは、なんなんだ?



―――― 電源が入りました ――――

―――― 早期アクセスです ――――


――― error error error error ―――

――― error error error error ―――

――― error error error error ―――


―― 対処します 対処します 対処します ――




―― 退治します ――


―― 紅音の部屋 ――

……。

紅音「あれ、戻った」

いきなり目の前が白く、というより蛍光灯が眩しく光ったと思ったらよく知ってる部屋にいた。

さっきのは夢? にしてはかなりリアルだったような。
白昼夢的なやつか? まあ何でもいいや。

帰りに痴漢を撃退して交番に届けて、その後すぐに寝たから腹空いたな。
適当に食べて時間つぶすとしますか。

―― 数十分後 ――

紅音「カップ焼きそばはやっぱ美味いな。女学院にいたらこの味を知らずに生きてたのか」

『あの騒動』のおかげで得られた中にはこういうものもある。
失ったものも少なくはないが、知らないものを知れた良い機会と割り切っている。

割り切って、いるのに、まゆりに会うのが、怖い。

『とにかく、少しでいいので連絡ください』

安価↓1~3 コンマがこのレスに近いやつ
1.携帯を手に取る
2.何もしない

あいつは、まゆりは友達だ。お互いそう思っている。

でも傷つけてしまった。

気にしてないと言ってたが、その事実は消えない。

紅音「……友達なら、心配させちゃダメだよな」

携帯を取り、メール画面を開く。

紅音「しかし痴漢を撃退したって言ったらそれはそれで心配されそうだな」

紅音「無難に学校での出来事を軽くまとめて送るか」

進級できたこと、女学院にいたら面白そうな男子のこと、後ろの席の人のこと。

夢での出来事は……、どうすっかな。

安価↓1
1.送る
2.送らない

紅音「ま、いい話題提供になるな」

モニターとスピーカー以外何もない部屋のこと。
電源を入れてみたけど特に意味のなかったこと。

紅音「こうして文字にしてみると意味不明だよな。しなくても夢はそういうもんか」

メールの文面を見直すと内容はどうでもいいことしかない。
それでも、これで安心するという。中々に変な奴が友達だ。

……その原因は自分にあるというのを忘れちゃいけない。

送信ボタンを押す。

思えば風邪でない時にメールするなんていつぶりだろうか。
だからすっかり忘れていた。

返信がくるということを。

普段ならまっすぐ家にきて看病してくれるまゆりだ。返信などこない。
風邪を引いてるからか、その時ならまゆりへの罪悪感はなく普通に話せる。

でも今は?

我に返った瞬間自分のしたことに激しく後悔した。
何のためにまゆりと距離を置いてたんだ。本当に今日の自分は調子が狂っている。

携帯が鳴る。まゆりだ。
いやまだ決まってない。画面を見るまでは決まってない。
もしかしたらニュースの速報かもしれない。

……落ち着け。

ゆっくりと通知を確認するんだ。


『百合咲まゆり から メールが届きました』


安価↓1~3 コンマ高い奴
1.開かない
2.電源を切る
3.何も見てない
4.目の錯覚だ
5.逃げない

調子が狂ってるならそのままの勢いでいけばいい!
意を決して、まゆりからのメールを見る。

『嬉しい。ホントに嬉しくて泣きそう。
 紅音さんは何も話さないから心配だけど、これからはどんどん話してください。
 私の知らないそちらのこと、些細なこと、そのふたつが聞けて幸せです。』

紅音「いちいち大げさなんだよ」

『私の今日の出来事は……』

と、いつも通りのメールがやってきた。
毎日とはいかないが、何かあったらそれを逐一報告メールしてくる。
正直読んでないのが多い。

でも、今日のは最後まで読もう。
なんだか気分が良いんだ。

幸福の時間はあっと言う間と聞くが、その通りのようだ。

気付けば今日が昨日になりそうな時間だ。
お風呂は……朝にしよう。とやかく言う人はいないし。

就寝準備を済ませ、再びベッドへ。

……。

―― ??? ――

紅音「またここか」

モニターとスピーカーの部屋に来てしまった。

紅音「連続で同じ夢ってつまんないだろ」

自分の夢に文句を言いつつモニターの前にいく。

紅音「電源を入れ直すとかメンド……いや、これついてるな」

わずかだが熱を感じる。
つまりこのモニターはしばらく作動してたことになる。
ただのつけっぱなしで近づいただけで熱は感じないと思うし。

紅音「なにがどうなってんだ?」

なんで自分の夢で謎解きみたいなことをしなくちゃいけない。



《ウィルス検知! ウィルス検知!》

《ウィルスバスターを転送します》

紅音「!?」

スピーカーから意味の分からない放送が流れた瞬間、この部屋に少女が現れた。

少女「人間じゃないですか!」

少女「でも納得です。確かに同じ人間なら攻撃しづらい……」

紅音「ちょっと、何のこと?」

少女「でも、もう覚悟は出来てます!」

そう言い放ち少女はズボンのポケットに手を入れる。


安価↓1~3 コンマがこのレスに近いやつ
(選択肢を間違えるとあらすじに辿り着かなくなるかも)
1.待って!と叫ぶ
2.攻撃する意志はないことを示す
3.少女を取り押さえる

さっぱり意味の分からない状況だ。
でもここで交戦することは何か違う気がする。

両手を上げて降参の意を示す。

少女「…………」

相変わらずポケットに手を突っ込んだまま動かない。
それならこちらも両手を上げたままだ。

少女「なんで、何もしないの……?」

どうやら取り押さえに動いたら危なかったらしい。
なんで何もしないのか、か。簡単だ。

紅音「ウィルスじゃないから」

少女「……? ごめん。もう一回言ってくれる?」

紅音「ウィルスじゃないから。意味を教えてほしい」

きっとこの少女はスピーカーの音声で自分を何かの敵だと思い込んでいる。
誤解を解かないといけない。

少女とは座ったまま離れた距離で会話をすることになった。

紅音「名前は上月紅音。れっきとした人間だよ」

少女「わたしは……。本当に人間?」

紅音「疑り深いの大歓迎。その方が違うと分かったら思い切り殴れる」

少女「いや殴らないけど、それ以上の痛みは保証できるから安心して」

紅音「……。なんでもいいけど名前を教えてよ」

少女「まだ完全に信じてない」

紅音「分かった。ウィルス云々の話をしよう」

少女「何もモニターで見てないの?」

少女「……どういうこと!?」

モニターに向かって急に大声をだした。
同時にポケットの中から何かを取り出し、投げる。

勢いよくモニターに当たったそれは反射して少女の手元に戻る。

投げたものをよく見ると、その正体はスーパーボールだ。
動体視力には自信ないので、はっきりと言えないが多分水色のそれ。

少女「やっぱり傷つかないよね」

紅音「あれでヒビ割れしたら苦情どころじゃないって」

少女「自信はあった。ほら」

さっきと変わってゆっくりと上に投げてボールを渡してきた。
二、三度バウンドしてやってきたのを右手でキャッチ。

紅音「いっった!!!」

瞬間、大声で叫んだ。
まるでボクシング選手のパンチを不意打ちでもらったような痛さが襲ってきた。
実際にあったことないけど、それほど痛い。

手が、ものすごく痺れる……。
いったい何を渡されたんだ……。
というかニヤりと笑うな。そこ。

恐る恐る右手で掴んだ物体を見てみると、何の変哲もないスーパーボールに見える。
確認したら不思議と手の痺れが瞬く間に消えていく。

紅音「ただのスーパーボールだよな? さっきの激痛は何だったんだ?」

少女「これが私の能力。の一部。そっちは?」

紅音「の、能力? 待った。また意味不明単語が出たな」

少女「……。シードマスター? どうせ見てるなら早く説明して」

紅音「またしても意味不明単語が出た。ウィルス、能力、シードマスター」

少女「この人は敵じゃないなら説明して。敵なら敵って証明してよ。混乱してきた」

こっちとしては最初から混乱してるが、それ言ったらもっと紛らわしくなりそうだから黙ろう。

少女「ウィルスウィルスって意味不明なのは同じなんだよ!」

少女「あと武器返して!!」

自分で渡したくせに逆ギレしてきた。
よーし分かった。思い切り投げてやる。
上月選手、ここまでの混乱をボールに込めて、いざ! くらえ!!

……。

涼しい顔して受け止めやがった。なんでだ。
だからニヤりすんな。

《……ぁ、あ、よし、聞こえるね?》

突如スピーカーから謎の声が響いた。
ボイチェンでも使っているのか、機械音声で性別の判断がしづらい。
モニターは、真っ暗のままだ。

《上月紅音。キミの数時間のログを消去した》

《これでシステムは大人しくなる。迷惑をかけた》

《四宮弥生。キミにも迷惑をかけてしまった》

紅音「四宮(しのみや)、弥生(やよい)?」

少女「わたしの名前。あっさりとバラすじゃん、シードマスター」

《ふたりは敵じゃない。仲間だ。それに説明させるために呼んだのはキミだ》

《あとモニターに能力を使っても意味ないと何度教えたか》

弥生「レベルアップしたかもしれないじゃん」

《……キミの能力はあくまでも『感覚操作』。機械に感覚はない》

弥生「だからバラすのあっさりすぎ!!」

感覚、操作? バラされてもさっぱりだから安心しろ。

紅音「二人で盛り上がってるとこ悪いけど、こっちにも説明ぷりーず」

《そうだね。朝がくる前に手早く教えよう》

《といっても、一方的に喋るのは性にあわないんだ》

《何から聞きたい?》

安価↓1
1.ウィルス
2.能力
3.シードマスター
4.四宮弥生

紅音「決まってるだろ。全部だよ」

《せっかく選択肢をあげたのに意味がないじゃないか》

紅音「うるせー。最終的に全部聞くんだ。手早くさっさと教えろ」

弥生「うわぁ……」

《しかしせっかく選んでくれたんだ。それを最初にしよう》

紅音「何言ってんだ?」

《いや、こっちの話。気にしないでほしい》

《四宮弥生くんについてか》

弥生「わたしのこと知ってどうするの?」

紅音「何も知らないやつが仲間とか信じられない」

嘘だ。
仲間なんて、そんなの、必要ない。

《ふむ。一理ある》

《ここにいる弥生くんは一見おてんばだが、現実は違う》

弥生「ちょっとシードマスター、プライベートに干渉しすぎ」

だからこんな会話、聞き流すのがちょうどいい。

弥生「それに無意味だよ。緊張感がこの人からなくなった。話聞いてないよ」


安価↓1~3 コンマがこのレスに近いやつ
1.そんなことない
2.よく分かったね

弥生「うん、正直でよろしい」

弥生「実はね、会話をし始めた時から聴覚を最大限まで強化してるの」

弥生「だからあなたの鼓動はずっと聞こえてた。今もね」

弥生「両手をあげてる緊張の音、座って話している時の安堵の音」

弥生「あなたの触覚を少しいじって痛覚を強化したあと、ボールを渡した」

弥生「その時の激痛に耐えた必死の音、仕返ししようと意気込んだ決意の音」

弥生「でもわたしの痛覚は最大限まで弱体化させてたの。痛みはゼロ」

弥生「それが失敗した絶望の音。今の音は、無気力。何も感じない」

紅音「……お見通しなんだ。すごいな。興味でてきたかも」

感覚操作、そういうことだったのか。
にしても人間かどうか疑わしいのはお前じゃないのか?

弥生「疑惑の音。何に対してかは追及しないでおく」

弥生「わたしとしてはウィルスが一番気になってるんだけど」

《では、次はウィルスにいこう》

《ウィルスについて》

《これは準備が整う前に紅音くんがさっさと電源を押したことによるバグだ》

紅音「は?」

《まだ最後の編集作業が残ってたのに、その映像を再生しろとリクエストがきた》

《当然無理。エラーだ》

《そのエラーの原因は何なのか、システムは必死に探した》

《辿り着いた結果が電源エラー。誰かがスイッチを入れた》

《その場にいたのは紅音くんのみ。よってキミをウィルスと認定》

紅音「ちょ、ちょっと待て。何となく理屈は分かるが理解できねぇ」

紅音「そもそもここはなんなんだ。夢じゃないのか? さっきの激痛忘れてねーからな!?」

《ここはどこなのか、それにも答えよう》

《夢であり、夢でない》

紅音「手早く教えるっつったろ。意味の分かる言葉で言えよ……」

《そうピリピリするな。簡単に言えば精神世界のひとつ》

紅音「全然簡単じゃねーよ」

《ふーむ。眠ってるときにこれる家と思え》

《必ずしも我が家に帰れると限らないがな》

弥生「あー、わたしがそれだ」

紅音「どういうことなんだよ、ほんと分からん」

弥生「ここさ、まるで密閉空間じゃん。わたしのとこもそう変わんないけど」

弥生「エアコンあるんだよね」

弥生「でも今日はなかったから没収されたのかなって思ってて」

弥生「暇つぶしにモニターの電源いれて映像みてた」

紅音「は? 編集が終わってねーって言ってたよな?」

《いや、その後終わってセッティングも終わらせました》

《こう考えてほしい。先に弥生くんが紅音くんの部屋にきた》

《これを『部屋A』とする。次に紅音くんがやってきた》

《しかしシステムはキミをまだウィルスと認定しているため、弥生くんと同じ空間にいれさせないようにする》

《その結果、『部屋A』と同じ構造の別空間にある『部屋B』に紅音くんが通されたわけだ》

弥生「……つまり隔離部屋というわけね」

《弥生くんは幸いにも能力の使い方を分かっていた》

《だから同じ時間、同じ部屋にいた弥生くんが別空間にあるこの部屋にすぐ駆けつけられたわけさ》

《目的はウィルス退治。今はもうその必要はない》

紅音「意味が! 分からん!!」

弥生「『部屋A』があんたの本当の部屋だけど、手違いでわたしが行った」

弥生「そのせいであんたは『部屋B』、つなりここに行くことになった。こんな感じ」

《さて、そろそろ能力にも触れようか》

《正直さっきまでの話は理解できなくても問題ないが、これは別だよ》

《準備はいい?》

安価↓1~3 コンマがこのレスに近いやつ
1.分かりやすく
2.その調子で続けて
3.聞いてもどうせ分からん

紅音「おい、なら理解できるよう分かりやすく説明しろ」

《まあその義務はある。やれるだけやってみよう》

弥生「ついでだし復習していこ」

《約二十年前、ある科学者はひとつの細菌をみつけた》

《それはあまりにも弱く、管理するのも一苦労だった》

《実験の一環で細菌を……動物、そうだな、ネズミにしよう》

《細菌をネズミに投与し、結果を待った》

《すると不思議なことにネズミが二足歩行で走り出した!》

紅音「ストップ!! なんでそんなキモチワリィもんを想像しなきゃならねぇ!!」

《……分かりやすいと思って。摩訶不思議な出来事として》

紅音「極端すぎる!!!」

弥生「……こんなの復習じゃない」

《そう言わず付き合いたまえよ》

《そしてそのネズミは》

紅音「まだ続くのかよ……」

《やがて近くにいた同種、同じく細菌を投与されたネズミを喰い殺し始めた》

紅音「は? なんで?」

《同種が気に食わなかったのだろう。だから喰った》

《ネズミはもうただのネズミではない。進化したネズミだ》

《だが進化したネズミは有限だ。もともと細菌を投与されたネズミだから》

《餌がなくなって最後の一匹になった進化ネズミはどうしたと思う?》


安価↓1~21:00頃目安
《考えを聞かせてほしい》
《もし正解者、もしくは近い答えが出たらすごい》

進化ネズミを増やしていった

普通のネズミと交尾して子孫を増やしていった

自分が餌になった

ウォルト・ディ◯ニー氏に自分を売り込んだ
のちのミッ◯ーマウスである

>>99
《その方法、および目的は?》

>>100
《子孫を増やした目的とは?》

>>101
《何の? その目的とは?》

>>102
《草。やめたまえ。消されてしまう》


《一回更新しただけで意外とくるもんだ。とても嬉しい》
《もしかしたらまだくるかもという期待がでてしまう》

>>103ネズミに菌を投与し進化ネズミを増やす
自らの餌を増やすために

>>105
《概ね正解。どうやって投与したのかという方法があれば完璧だ》
――――

《ひとつひとつにコメントする時間、もったいないな。さっさと答え合わせだ》

紅音「また意味のわからんことを」

《進化ネズミは細菌に飢えている。管理が難しいと言っただろう》

《ネズミの体内に入ったからといってその弱点は消えなかった》

《細菌が死滅すれば自分は劣化したもとのネズミになってしまう》

《故に進化ネズミは同種を喰らうんだ。細菌を得るために》

紅音「さっきと言ってることが違うぞ」

《気に食わないで殺すバカがいるか? 理由があるの。順序立てて説明してんの》

紅音「納得いかねぇな」

《進化ネズミは、自身の血液を、細菌に侵された血液をネズミに飲ませた》

《そのネズミに細菌が全身に巡り進化ネズミになる。そしたら再び殺し合い》

《進化ネズミは食欲を満たすためだけに仲間を増やしてる》

紅音「……待て。いや待ってくれ。そしたらなんだ?」

紅音「こいつは、四宮はどういうやつなんだ?」

弥生「ま、そうなるよね」

紅音「進化したネズミ、能力、感覚操作っていったか?」

《まあ慌てないで。続きはまだまだあるんだから》

《生きるには食べることが必要、そのために仲間を増やす》

《非常に効率の悪い食事だよね。しかも自分の死と隣り合わせの食事だ》

《繰り返してるうちにオリジナルの細菌を持ったネズミは食べられた》

《絶滅に近い種族なんだよ、進化ネズミは》

《科学者はそれに悩んでいた。どうしたらこの種族を安定して増やせるのか》

《結論。『一人で無理なら二人で考えよう』》

紅音「……続けて」

《科学者は仲間の科学者に相談した》

《ちょうど仲間を増やしていたからそのうちの一体を仲間に渡した》

《全てここから始まった》

《仲間に渡った進化ネズミのもとには同種がいなければもとになる劣化種もいない》

《細菌という餌がなくなった進化ネズミは驚くべき進化を遂げた》

《細菌を体内で仮死状態にさせたんだよ》

《もちろん仲間科学者がそれを知ったのは随分後のことだった》

《なんせ見た目は普通のネズミになっていたんだから》

《新たな力を得たネズミは何も知らない人が見たらただのネズミだ》

《食事も普通に戻っていたんだ》

《このネズミを科学者のもとへ連れていった》

《そこには進化ネズミが個別のケースに収容されていた》

《その後は地獄だ。おそらく想像通りの出来事が起こると思うけど、一応言うよ》




《仮死状態の細菌が復活し、進化ネズミを全て喰らったんだ》


紅音「…………」

《便宜上そのネズミを超進化ネズミとしよう》

《超進化ネズミを喰らおうと進化ネズミは食事に向かったけど返り討ち》

《これを見た二人の科学者は言葉を失った》

《食事が終わると超進化ネズミの見た目は普通のネズミに逆戻り》

《彼らは決めた》

《このネズミは始末しないといけないと》

弥生「それに立ち向かうため、生まれたのがわたしたち第二世代ってわけ」

《ちょっと、省略しすぎですよ》

弥生「ながい。つらい。キモイ」

紅音「第二世代? わたしたち?」

弥生「仲間ってことは、こうづき、だっけ? も第二世代なんでしょ?」

《まぁ、そうですね》


第二世代とやらは置いといて、内容は

安価↓1~3
1.分かった
2.なんとなく
3.分からん

紅音「だいたいは理解したよ。部屋AとかBとかより」

《あ、ちなみにとっくにAに戻ってますよ。Bの部屋は必要なくなったので》

紅音「そういうのはもういい」

弥生「シードマスターの言葉を借りるなら、そうだなぁ」

弥生「超進化ネズミの仮死状態の細菌を採取して、うーん」

《ネズミの赤ん坊に注射したんです》

《もちろん『普通のネズミ同士』『普通のネズミの赤ん坊』です》

《免疫も抗体も少ない個体に凶悪な細菌を投与したらどうなるのか》

《そういう実験をしたんです》

紅音「…………え? 待って。今までのことからしたら」

弥生「そ。仮死状態の細菌を持った赤ん坊が成長した姿が……」

弥生「わたしたち、第二世代ってわけ」

紅音「えっと、えっと?」

弥生「落ち着いて。仮死状態って言ったでしょ。これはそのままの意味」

弥生「わたしの場合は覚醒して『感覚操作』が使えるようになっただけ」

《そう! 第二世代は比較的安全に細菌を扱えています》

《嬉しい結果です》

《第一世代、つまりは超進化ネズミですが、あれは非常に危ない》

《現在は仮死状態のまま普通のネズミとして生きています》

《が、第二世代とぶつかったらどうなるか、まだ未知数です》

紅音「そうじゃなくて!!!」

紅音「え、ありえないよ」

《ありえない? とは》

紅音「だって、上月グループが所有する病院で生まれたんだよ?」

紅音「外部の人間がそんな怪しげな細菌を持ったまま……」

《はい、外部の人間ではありません》

紅音「!?」

《これがご都合主義》

《それも結構昔ですのでその人物を探るのは不可能でしょう》

《この流れでシードマスターについて話しましょう》

《もうお気付きかもしれませんが、私が注射した本人です》

《シードマスター『種の主人』という意味で名付けましたが後になってから恥ずかしくなりますね》

紅音「……四宮と殺しあわなくちゃいけないのか?」

《いいえ。殺しあうのは第一世代のみです》

《紅音くんが覚醒しても弥生くんとバトる必要はありません》

《それにもしそうなってたら、対峙した瞬間、紅音くんの細菌は覚醒しているはずです》

弥生「あ、そっか。わたしの細菌に反応してなきゃおかしいや」

《つまり紅音くんも立派な第二世代の仲間入りです》



《その前にまず、覚醒をしないといけないですね》

《次はどんどん仲間を増やして》

《最後に超進化ネズミを退治しましょう!》





ふ ざ っ っ け ン な ! ! !


紅音「要はてめぇの尻拭いをしろってことだろ?」

紅音「冗談じゃねえぞ!!!」

紅音「第二世代だが何だか知らねぇけど」

紅音「普通のネズミのときに殺しゃいいだろぅが!!!」

弥生「……。試したんだって」

紅音「あ?」

弥生「でも駄目だった。細菌、能力に侵されたものは能力による攻撃しか致命傷を負わない」

弥生「超進化してもそういう弱点は変わらないというのがシードマスターの見解なの」

弥生「だから、わたしたちがやるしかない」

弥生「超進化ネズミ、通称『災厄』。倒すべき存在」

弥生「放っておくと、また面倒な進化をするかもしれない」

弥生「……すでにしてるかも。早く倒さないと」

弥生「そいつはきっと会えば分かるはず。能力が教えてくれるよ」

紅音「……」


『まゆりをまもれるちからがあったら……』

『きにしないで。じゅうぶんつよいよ』

『ごめん、ごめん、まゆり。ごめん』


紅音「…………くそ」


安価↓1~3 コンマがこのレスのに近いやつ
1.納得はしない。やるだけだ
2.友達を守るためだ
3.誰の手も借りない

紅音「納得はしない。やるだけだ」

あの時もそうだった。

あの時から何も変わってない。

言われたことをやるだけ。

嫌だったのに。


『やって、あかねさん』


そんなこと言わないでくれ。

―― 紅音の部屋 ――

紅音「変な夢だったな」

さっきまでの夢の感想はこの一言に尽きる。

夢ならもっといいもんが見たかった。

紅音「感覚操作。そんな超能力染みたこと、人間に出来るわけねーだろ」

ところどころの内容は忘れてしまったが、印象深いのは覚えてた。
数日経てば全部忘れるだろう。夢とはそういうもんだ。

紅音「さっさと朝風呂終わらせて、学校行くか」

……。

風呂から出て、身体を拭いて制服を着る。

廊下に出ると食卓に向かう途中の母様と父様に会った。

紅音「おはようございます。母様、父様」

母様は私に目をくれずそそくさと立ち去り、父様はおはようと言って母様の後を追う。

そう思っていた。

母様は想像通りの動きをしたけど父様は違った。

上月父「ママは素直になれないだけなんだ。ホントはもう許している。気を病むほど」

上月父「ただ、意固地になっていてね。言葉が見つからないんだよ」

嫌いにならないでほしい。と父様は静かに言った。

紅音「分かってます。じゃなきゃ、まゆりを家にいれたりしないでしょう」

紅音「許せないのは娘の言葉を信じなかったあの人です」

上月父「……似た者同士だね。さすがママの血を引いてる」

紅音「血を、引いてる」

《免疫も抗体も少ない個体に凶悪な細菌を投与したらどうなるのか》

『わたしの場合は覚醒して『感覚操作』が使えるようになっただけ』

《そう! 第二世代は比較的安全に細菌を扱えています》

《最後に超進化ネズミを退治しましょう!》


紅音「ねぇ父様。もし、もしですよ?」

紅音「不思議な力が自分にあると分かって、悪者を退治しないといけなかったらどうしますか?」

上月父「? 変なことを聞くね。ゲームのやりすぎじゃないのか?」

上月父「でもそうだな。もし紅音ぐらいの年頃だったら心が躍るね」

上月父「まるでヒーローみたいでカッコいいじゃないか」

上月父「おっと、そろそろご飯食べないと遅刻しちゃうんじゃないか?」

紅音「は、はい……」

感覚操作がヒーロー。
相手のダメージを数倍にさせて、自分はノーダメージ。
ずるいヒーローもいるなぁ。使いこなせてるけども。

先に食卓に着いていた母様は、未だ何も口にしていなかった。
と思うとゆっくりと箸に手を伸ばし、白米を食べる。

昨日の夜、寂しがってたよ。と耳打ちをする父様。


……ご飯は全員分用意してある。


あの時もこれくらい優しかったら。


虚勢を張る自分はいなかったのに。

静かな食事が終わり、時間はまあまあだ。
急いで出れば、まゆりと会えるかもしれない。
遅れて出れば、誰かしらに会うだろう。通学路なんだし。

安価↓1~3 コンマがこのレスに近いやつ
1.急いで出発
2.少し遅れて出発
3.遅れて出発

今日はちゃんと時間をズラして登校しよう。

――――

やばい。ズラしすぎた。

と言っても普段出てる時間から少し遅れた程度。
それでもまゆりを避けてるため、かなりギリギリの時間に出ている。

そこから更に遅れているから……。

紅音「行ってきます」

気持ち早歩きで、いや走ろう。
女学院の制服でこんなことしてたらいろんな人に怒られる。
でもそれがないからセーフだと思う。

ちらほらと制服の人たちが見え始めたあたりで速度を落とす。
ここまでくれば遅刻で怒られることはないだろう。

弦「あ、上月さん。おはよう」

紅音「ん?」

弦「あれ、挨拶が返ってこない」

紅音「……」

一瞬、男に声を賭けられたと思ったが女だ。
と思ったけど、制服が男物……。

紅音「あぁ、一番手」

思い出した思い出した。
名前が出てこないだけで思い出した。

安価↓1
1.流れで一緒に登校
2.無視する


×賭けられた
○掛けられた
―――――――

弦「一番手? 出席番号?」

紅音「悪いな。名前覚えてない」

弦「ではもう一度、有明弦です。クラスメイトってことは覚えてたんですね」

紅音「アリア、か」

うーんと。
待て待て待て待て。
何でこいつ話しかけてきた?

弦「えっと……今日、変な夢見て。聞いてくれますか?」

そしていきなりなんだ!?
消極的に見えてこの積極性は!?

紅音「ゆ、夢、ね。それなら、こっちも、変、だったぞ」

同い年の男子と話したことなんてねーよ!
向こうのペースで話させてたまるか!

……。

紅音「って、感じだ」

なんとかアリアを黙らせ、夢の話を語ってやった。
にしても途中から黙ってるというか、聞き漏らさないようにしてた気がする。

弦「すごい」

紅音「だ、だろ? そっちの夢よりすごいだろ?」

弦「そうじゃなくて、その」

弦「僕の夢とほぼ同じなんです」

紅音「はは、そっかー。同じかー、同じ、おなじ?」

弦「はい。シードマスターとか災厄とか」

弦「第二世代、とか」

紅音「……おいおい、冗談だろ? 気をひこうとしてんのか?」

弦「やめてくださいよ、真剣なんです」

なんだろう。隠れ潜む乙女心にダメージが……。

そんな話をしているうちに学校に着いた。
なんとか遅刻は免れた。一安心だ。

―― 学校:2-2 ――

朝のHR前の時間、アリアがこっちの席まできた。

「おい、有明が上月に近づいてるぞ」
「マジ? アイツの噂知らないのか?」
「誰か教えなよ」

紅音「悪いこと言わないから近づかない方がいいぞ」

弦「だって、気になって気になって」

「気になる? 上月に惚れたか?」
「元女学院だからってアイツはないわ」

弦「あんなの初めてだったんです!!」


教室が大パニックになった瞬間である。

紅音「言葉を選べこのアホ!!!」

弦「ご、ごめんなさい……」

あの後、HRの時間になり一時の安息を得た。
が、休み時間のたびに頭ピンクの者共が寄ってたかって質問攻めにくる。

そのため今、昼休みという長い休み時間のこの今、誰もいない空き教室にいる。

紅音「余計な悩みが増えたじゃねえか」


安価↓1~2 コンマ合計値75以上
イベント!!

―――――
16+98=114
―――――

弦「何だか朝と別人みたい」

紅音「うるせ」


優「朝? そういえば一緒に教室にきてたね」


紅音「!? 誰だ!!」

優「あー、しまったー気付かれたー」

優「安心して、誰にも言わないよ。前の人」

紅音「後ろの人か!!」

弦「士門くんだよね。どうしてここに?」

優「休み時間のたびに前の席でぎゃーぎゃー騒がれる僕の身にもなってよ」

優「二次被害だよ……」

紅音「……ごめん」

弦「でも、みんなの思ってるような関係じゃないから」

優「夢がどうとか言ってたよね。教えてほしいな」

優「ちょうど気になってたんだ」


安価↓1
1.第二世代と聞いて思い浮かぶものは?
2.災厄を見つけて
3.どんな部屋だった?

紅音「えっと、どんな部屋だった?」

優「……確か、画面があって、グロ映像見せられた」

優「あとは鉛筆削り?」

そういえば結局モニターの出番なかったな。
夢で会った奴が見たようなこと言ってた気がする。

紅音「鉛筆削り?」

優「そう。でも変な鉛筆削りでさ。まるでプリンのように柔らかかった」

優「こんな風に」

そう言って木製の机に触れる。

するとそれが目の前で波打っている。

紅音「……あ?」

弦「え、すごい」

優「いっつまじ~っく」

優「で、お二人は何ができるの?」

紅音「いやいやいやいや」

弦「できないできない」

優「え? そうなの? 見せ損?」

優「なんだ。仲間じゃないんだ」

優「じゃあ今の黙ってて。お互い沈黙で」

紅音「待った。その人間離れしたもんを使う奴なら知ってる!」

紅音「夢で会ったんだ!! そいつに同じ第二世代だって言われた!!」

弦「グロ映像なら僕も見ました! 同じ夢を僕も見たんです!」

優「……なるほど。騒動の原因が分かってスッキリした」

優「じゃあそういうことで」

紅音「は?」

優「話題のキミたちが教室にいないなら教室は静かでしょ」

優「早く解決するよう祈っとくよ」

優「というか、二人で行動しない方がいいと思うよ。それじゃ」

本当に戻っていった。

紅音「机、どう?」

弦「元通りです」

紅音「……先に戻る。時間置いて教室にこい」

弦「はい」

後ろの人(まだ覚えてない)のアドバイスで、

……朝に言ったはずなんだけど、

昼以降はアリアと別行動して過ごした。

そして放課後。

優「見せ損はイヤだから早く使えるようにね」

紅音「じゃあコツを……」

振り返るといない。
ドアの閉まる音が聞こえた。

紅音「はや……」

安価↓1~3 コンマがこれに近いやつ
1.まっすぐ帰ろう
2.その辺を散歩しよう
3.気付けば夜だ。寝よう

―――――
いまだ能力なし主人公ですが、どんな能力かは『何故か』知ってる。
スレの性質上、仕方ないとはいえキャラ登場してもドキドキ感が足りないと思いました。
名前出たら能力バレするんだもん。逆も然り。

ということで
今後、キャラと能力を別枠で安価とる方向にしようかなと。いいですか?

かといって最初に募集したキャラがもう出ないということもないはず。
…スレに>>1のtwitterアカウントって載せて平気だったっけ?
―――――

【キャラはスレ】で、【能力はDM】で募集することにします。

twitter垢:【酉の文字列】で検索を。
フォローするしないは自由です。そっちの更新はしないと思うので。
(してくれたらやる気はあがる気がする)

キャラ募集の時に能力も募集します。
片方だけでも大歓迎です。

紅音「時間ならたっぷりあるしな」

寄り道という行為は高校生になってからしてみたが、楽しいものだ。
喫茶店に入ってお茶、中古ゲーム店で名作探し、図書館でゆったりなどなど。

今日はどうしようか。

安価↓1~3 コンマがこれよりも遠いやつ
1.学校の中を探索
2.映画でもみよう
3.自由行動(何をするか)

今日は図書館に行こう。


―― 図書館 ――

ここは子供を除けばそんなに騒ぐ人はいない。

参考書片手に勉学に勤しむ人もいれば、小説をじっくり読む人もいる。
たまに顔の上に本を開いて置いて寝てる人もいる。
帰ってから部屋で少しやってみたが意外とバランス感覚が必要だった。

……そんなのはどうでもいい。

向かうコーナーは、

安価↓1
1.新書
2.SF関連
3.ラノベ

今日はとてつもなく変なことを体験してしまった。

机がぐにゃぐにゃしてアリアが隣にいなきゃ目がおかしくなったと思った。
夢のことがなかったら手品でもしたんだろうとも思った。

超能力がお手軽に使えるようになる教本でも出回ってんのか?

……。

『人類vsエスパー』
『これでアナタも催眠術師』
『簡単にできるペットボトルロケット』

どれも信憑性に欠ける本ばかりだ。
最後は置く棚を間違えてる気がする。サイエンスだけども。

ないよりはマシということで超能力系の本を数冊借りよう。

まだ時間はある。

安価↓1
1.ここに残る
2.帰る

帰ってもすることはないし、もう少しいよう。
空いてる席に座って借りた本でも読みますか。

『夢で分かる深層心理』
どのページにも該当するものがない場合どうすれば?

『超能力に目覚めた人の話』
自分が言うのもアレだが胡散臭いことしかない。

『魔術の基本』
さっぱり意味が分からん。

『宇宙人図鑑』
何を思って借りたのか忘れた。

時間の無駄だったなぁ。
そんな便利な本があるんだったら今頃魔法の時代だよなぁ。


安価↓1~2 コンマ合計値105以上
イベント!!

借りた本をその日のうちに返した。

読んでいる途中、何度か視線を感じたけど特に何もなかった。

家に帰ろう。

―― 上月家 ――

紅音「ただいま帰りました」

この言葉さえ口にすれば他に言うことはない。

―― 紅音の部屋 ――

することがない。
携帯でニュースでも確認しよう。
そういや今日はまだ電源入れてねーや。


『百合咲まゆり から メールが届きました』
『百合咲まゆり から 着信がありました』
『百合咲まゆり から メールが届きました』
『百合咲まゆり から メールが届きました』

……。

多い。こんな日は初めてだ。
昨日会って話してメールしただけでこんな送るか?

朝に一通と電話、昼にも一通、図書館にいた頃に最後の一通っと。

安価↓1~3コンマがこれよりも近いやつ
1.無視
2.怖い、無視
3.ありえない、無視
4.内容だけ確認
5.折り返し電話

紅音「やれやれ。何かあったのか?」

内容だけでも確認しよう。

まずは朝のやつから。

『先日の夢のお話、詳しく聞かせてください』
『学院に遅れる時間いっぱいまで家の前で待ってます』

まゆりまで夢の話?
今日、学校に間に合うギリギリを過ぎた時間に出たから待てなかったのか。
電話は催促だったのかもしれん。早く出ろという。

昼のやつは、

『お時間はいつ空いてますか?』

この一文のみ。
早く夢の話を聞きたい気持ちが伝わってくる。

最後。

『紅音さん、出来れば早くお願いします』

待ちきれない犬みたいだ。

安価↓1
1.内容は確認した。携帯を閉じる
2.内容は確認した。遊ぶ。
3.内容は確認した。返信する。

まゆりはもう巻き込ませない。

もし、まゆりに危害があるっていうなら

『災厄を倒す』

この言われたことをやれば万事解決だ。

まゆりは何も知らなくていい。

……。

よし、遊ぶか!
確か前買ってたパズルゲーがあったはず。

あったあった。トテリスダブルナイン!
結構頭使うんだよなー。対戦でオンライン繋ぐとすぐ負けるから嫌だったけど久々にやるか!

数時間後。

紅音「練習してもオンだと毎回80位以内に負けるのは何故」

紅音「やっぱやめたやめた」

紅音「もうさっさと風呂入って寝よ」

……。

紅音「楽しい夢になりますように」

安価↓1~2 コンマ合計値。辿り着いたところ
00~99.見慣れた部屋
100~149.エアコン部屋
150~196.歪んだ鉛筆削りのある部屋
197.知らない部屋
198.楽しい夢

―――――
99+50=149
―――――

―― エアコン部屋 ――

紅音「見慣れた部屋に近いものを感じる」

紅音「えっと、モニターとエアコンがある」

紅音「……? スピーカーがない?」

モニターから有線で天井まで繋がってるはずのスピーカーがない。

『画面があって、グロ映像見せられた』
『グロ映像なら僕も見ました!』

あの時は気にしてなかったけど、映像だけ?

『そう変わらないけどエアコンがあるんだよね』
『変な鉛筆削りでさ。まるでプリンのように』

……自分のとこには、スピーカー?
だから何だっていうんだ?

あとは確か、寝てる時にしか帰れない家、だったな。
そんで必ずしも我が家に帰れるわけでない。
なるほど。今日の夢はそれだな。

この部屋の主は四宮だったか。
じゃああいつは今頃どこにいるんだ?
まだ寝てないって可能性もあるか。

紅音「にしても本当にそっくりだな」

紅音「エアコンのリモコンがないからずっと動いてる」

電気代の心配をしなくていいのはお得かもしれない。

紅音「この夢はすることがないから退屈でしょうがない」

安価↓1~3 多い方
1.話し相手が欲しい
2.能力の覚醒を目指す

紅音「よく考えたらこの空間での孤独は一種の拷問だよな」

紅音「誰でもいいから来てくれ……」

安価↓1~3 コンマ近いやつ
1.この部屋の主人
2.それ以外(偶数:弦、奇数:優)

優「人がいる」

紅音「その声は後ろの人!」

優「それでもいいけど長くない? フルネームより長いよ」

紅音「そうなの?」

優「……。僕は士門優。覚えてもいいし忘れてもいいや」

紅音「せっかくだし覚えとく。士門士門しもんシモン」

優「ここに僕のおもちゃないんだけど知らない?」

紅音「おもちゃ?」

優「鉛筆削りだよ。学校で言ったでしょ」

紅音「鉛筆削りとおもちゃをイコールにするな。子供か」

紅音「残念だったな。ここはシモンの部屋じゃない」

優「え? じゃあ前の人の部屋?」

紅音「せっかくシモンって呼んだのに前の人で継続かよ」

優「それもそうだね。席替えしたら前の人じゃなくなる可能性高い」

紅音「そこかよ」

優「上月紅音さんだったよね」

優「上月さんでいい?」

紅音「前の人じゃなけりゃ」

安価↓1~2
話したい内容 聞きたい内容
つまり話題。

紅音「昨日もこの夢を見たんだよな?」

優「うん」

紅音「じゃあ他に誰かに会ったことは?」

優「今以外で?」

紅音「もちろん」

優「んー」

安価↓1 コンマ
00~69:ない
70~99:あるかも?
ゾロ目:ある

優「ないかな」

紅音「ないのか」

優「上月さんは?」

紅音「この部屋の持ち主と思われる人に会った」

優「おーあるんだ。どんな人?」

紅音「年下の女の子だった」

優「女子はいいね。エアコンがあってさ」

紅音「鉛筆削りに比べりゃな……。そだ、思い出した」

紅音「どうやって能力を覚醒させたんだ?」

優「え? 鉛筆削りを暇潰しでこねこねしてただけだよ?」

紅音「……こねこね?」

優「そう。何もすることがないからそこにあった物で遊んでた」

優「そしたら最初は普通の鉛筆削りだったんだけど、急に柔らかくなってさ」

優「慌てて投げ捨てたよ。それが偶然あの画面のスイッチを入れてさ」

優「文字で『覚醒おめでとう』って祝われた」

優「んで、この力の説明を受けて、グロ映像って流れだった」

紅音「参考になりそうでならない話だな……」

安価↓1 コンマ
00~69:部屋の主人登場
70~99:迷子の弦
ゾロ目:二人のまま

弥生「増えてる。人が増えてる。なんで?」

紅音「お、昨日ぶり」

優「じゃあこの人がこの部屋の?」

弥生「二人も迷い込むとかやめてよ」

紅音「まあまあ、昨日はこっちに来てたからお相子ってことで」

弥生「一人増えてるんだけど?」

紅音「あー、迷惑代?」

弥生「……何言ってんの」

安価↓1~2
話題

みんなは戦うつもりはあるのか
あるとしたら何故

紅音「四宮んとこいいな。エアコンがあるから温度調節バッチリだ」

弥生「リモコンないのにどう調節すればいいの」

弥生「手動で変えられるわけでもないし。そもそも必要ないでしょ。夢だし」

紅音「それもそうだ」

優「鉛筆ないのに鉛筆削りがあるのと一緒」

弥生「鉛筆削りがあるの? まだ音声付きのがマシ」

紅音「スピーカーのこと? でも何でそれぞれ違うんだろ」

優「趣味に合わせてとか?」

紅音「シモンはそれでいいのか。本当に趣味なら文句は言わないけど」

弥生「エアコンの趣味って何。あのメーカーがいいとか?」

弥生「で、あなたは能力ゲットした?」

紅音「まだ。やり方が分からん。シモンに聞いても意味が分からん」

弥生「シモン?」

優「僕の名前です。士門優。よろしくお願いします」

弥生「どうもご丁寧に。四宮弥生です」

紅音「なんか対応違くない?」

弥生「あの時はしょうがないでしょ。ウィルスとか意味不明だったんだから」

優「ウィルス?」

紅音「長くなるから後で話す」


安価↓1
1.一応能力の覚醒方法を聞く
2.>>225の話題へ

1

紅音「四宮は能力をどうやって覚醒したんだ?」

弥生「……静かにして目を閉じてみて」

紅音「? おう」

言われた通りにする。
なるほど瞑想か。これなら効果ありそう。

弥生「エアコンの音が大きくなってくるでしょ」

……確かに静かにしているからエアコンの稼働音は聞こえる。
しかし一定の音にしか感じない。

優「え、分からない」

はっきり言うなよ。

弥生「えー。じゃあこれは?」

エアコンの下に立つ四宮。
すると、少しずつ後ろに下がっていく。

紅音「それの何が能力だ?」

弥生「足元見てよ」

優「足?」

見てみるとこれまた不思議だった。
まるで誰かに押されているかのように動いている。
分かりやすいようにつま先立ちまでしてくれた。

弥生「微風を強風だと感じてるの」

そういえば感覚操作だった。
こんなことも出来るのか。

紅音「つまり、エアコンを使ってたら能力に目覚めたと?」

弥生「することがなくてねー」

紅音「ん?」

優「なに、こっち見て」

鉛筆削りで遊んでたら能力に目覚めたシモン。
エアコンで遊んでたら能力に目覚めた四宮。

ということは?

部屋にあったもので能力は目覚める?

弥生「どうしたの? 難しい顔して」

紅音「我ながらバカみたいなこと思いつくと」

紅音「でも試す価値はありそうな仮説だよな。うん」

スピーカー、買うか。

優「なに思いついたか知らないけど、一人でやってね」

紅音「冷たいなぁ。出過ぎたマネはどうした?」

優「上月さん相手にそれはもう必要ないかと」

弥生「わたしの部屋で喧嘩しないでね」

紅音「喧嘩といえば、災厄と戦うつもりある?」

弥生「それが第二世代の役目だからね」

紅音「いや、そういう建前はなしで」

弥生「え? どういうこと?」

紅音「自分にはそういうのがないからな。降りかかる火の粉は払うだけ。自分にも友達にも」

優「僕の能力でどう戦えと?」

紅音「使い方次第で戦えると思うけどな」

優「そうかなあ。でも今のところ、その気はないよ」

弥生「……役目抜きで戦う理由」

弥生「あえて言うなら恨み、かな」

紅音「恨み?」

弥生「そいつがいなけりゃ、こんな力はなかった」

弥生「普通の人生を過ごせるはずだった。そういう恨み」

紅音「……そう。分かった。変なこと聞いてごめん」

優「結構楽しいけどな、この能力」

弥生「だからさ、シードマスターに言いたいこと言ってくれてありがとね」

弥生「内心スカっとしてたんだ」

紅音「あ、あぁ。別にいいよ。そんなの」

弥生「あなたの能力、楽しみにしてる」

優「なんか除け者にされてる気分」

――――――――――――
このあたりでキャラ募集。
コピペ用から【能力】を抜いて募集します。

【能力】は、twitter垢:【酉の文字列】のDMまで。
何か質問とかあればそちらで受け付けることにしましょう。

安価↓1~本日24:00まで。
つまり本日お休みします。
――――――――――――

【性別】男
【名前】番条涯(ばんじょう がい)
【年齢】18
【特徴】時代錯誤の(改造)学ランに学生帽子を被った不良。かなりガタイがよく高身長でゴリラとも言われる
【その他】本人いわく「ワシは番長じゃい!」
かなり古くさい喋り方をして年齢のわりに「今の若いもんは~」と言ったりしている。そのため周りからは「昭和からタイムスリップしてきたのでは?」と言われているが真偽は不明。
今の人には珍しく仁義を通す硬派な番長

【性別】女
【名前】立風 真偽香(たてかぜ まぎか)
【年齢】12
【特徴】おとなしいが、ふざけた言動や行動をとる、つかみどころのないユニークな子。銀髪おさげ
【その他】アニメ、漫画、コスプレが趣味

――――――――――――
たくさんきてる! ありがとうございます!
圧倒的にキャラ募集の方が参加率高い。
そこで能力もスレで募集してみてtwitterとの比較検証。

安価↓1~本日23:59まで。
引き続きキャラ募集。

安価↓明日0:00~13:59まで。(14:00から思考してまとまったら始めます)
能力募集。

(明日14:00から思考してまとまったら始めます)
――――――――――――

匿名ならともかくTwitterとかアカウントあるところで能力の案出すって何か恥ずかしいんだよね

キャラも能力もこのスレで募集して
あとは作者が好きに組み合わせるってやり方もありだよな
どんな能力があるかバレるけど

――――――――――――
>>251
なるほど。では、気にされるという方はぜひ0:00からの募集に参加してください。

>>252
能力はバレるけど、誰が使うかはバレないのでドキドキ感は残るはず。
最初の募集は名前でたら能力バレ必須だったのでね。
だからDMでの募集にしたけど参加率が……って感じでした。

……twitterの方はもう触れないであろう小話とか、安価で選択しなかった先の話とかを垂れ流そうかな。
――――――――――――

――――――――――――
【補足】
能力ならすでにtwitterで募集したよ!という方はスレに書き込まなくて大丈夫です。
別のならぜひどうぞ、お願いします。

twitterで、誰々はこの能力です。 or 誰々はこの能力で!というのがあったのですが
(前者は多分同じ人、後者は多分違う人)
スレではなしにします。偏るのは御免なので。
代わりと言っちゃなんですが、能力の使用者が【男性希望】か【女性希望】かは可にします。

↓能力募集用

【能力】
【使用者の性別】空欄でも可。
――――――――――――

Twitterなら質問箱で募集って手もあるかと思ったけどあれって回答したら自動的にツイートされちゃうんだっけ?

――――――――――――
>>255
質問箱みたいなやつは使ったことないので分かりませんね。
とりあえず今回はグダるの回避して、このままいきます。

今日中に質問箱用意しておくので、『もしあの選択がこうだったら』とかお試しに能力を送ってみてください。

うまくいったら次回のキャラ募集(いつかは未定)の際にやってみましょう。
――――――――――――

【性別】女
【名前】花菱 騎士姫(はなびし きしひめ)
【年齢】16
【特徴】凛とした容姿と性格。女の子によく告白されるのが悩み。ノーマルなので全て断っている。軟派な男も嫌い。猫好き。ハーフのため金髪碧眼。髪型は三つ編み
【その他】合気柔術家の娘で、合気柔術の有段者

――――――――――――
質問箱設置したのでどうぞ

安価↓1~13:59まで。(14:00から思考してまとまったら始めます)
能力募集。

↓能力募集用

【能力】
【使用者の性別】空欄でも可。
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――――――――――――
キャラと能力の募集に参加してくれてありがとうございました!
DMと質問箱にも能力を送ってきてくれた方にも感謝! 質問箱の中身は自分しか見えないんだよね?
優先順位として、DM>スレ>=質問箱。だと思ってください。

今回、能力は変則的な募集でしたが、協力あって何とかなりました。
次回は質問箱で募集してみよう。はじかれるのが怖いけど。

では少し考えてきます。
――――――――――――

紅音「四宮、ひとつ聞いていいか」

弥生「なに?」

紅音「あのスーパーボールも部屋にあったやつか?」

確か武器とか言って使ってたよな。

弥生「違うよ。たまたま持ってこれたのがそれだったの」

紅音「?? 持ってこれた?」

弥生「説明が面倒だからだから一言で言うね」

弥生「一緒に寝たの」

優「あ、上月さん。あのセリフをもう一度」

紅音「ん?」

優「言葉をどーのこーの」

紅音「……直す場所あったか?」

優「え、本気で言ってる? 彼には怒ったのに?」

紅音「ボールと寝たんだろ?」

優「えぇ。これは僕がおかしいのかな」

またも迷子の予感?
安価↓1~2 コンマ合計値
00~49:知らない男
50~99:知ってる女
100~149:知ってる男
150~198:知らない女
ゾロ目:気のせいだった

安価↓1 誰が知ってる?
1.上月紅音
2.四宮弥生

「……」

紅音「お、また誰か迷い込んできたぞ」

優「結構時間経ったと思ったけどそんなことないのかな」

少年だ。背中向けてるし、両手を前に突き出してうろうろしてる。

弥生「え? 今度は誰よ。全く」

半ば諦めた声を出しながら、来客の姿を確認する。
それを見るなり動かなくなった。

弥生「……あ。うそ」

弥生「嘘でしょ……。なんでここにいるの」

「その声、やよい姉ちゃん?」

優「え? 弟さん?」

弥生「違うよ。司が勝手に呼んでるだけ」

司「やよい姉ちゃん? 他に誰かいるの?」

紅音「誰って目の前に、ほら」

つかさという少年の前に行ってかがむ。
……言葉の意味はすぐに理解できた。

紅音「この子、目が見えてねえな」

弥生「よく分かったね」

紅音「知識は中学時代に少し叩き込まれてな。役に立つのが早すぎるよ……」

紅音「ちょっと失礼」

ひと通り診たあと四宮のもとに戻る。

紅音「あれ治すの大変だぞ」

弥生「そんなの司もわたしも知ってる」

優「あの少年とどんな関係? どこで知り合ったんです?」

弥生「……プライバシーで黙秘」

優「じゃあその『つかさくん』のフルネームは?」

弥生「……こっちおいで、司。こっちだよ」

そう言ったくせに自分から向かう四宮。
突き出されている両手を掴み、ゆっくりと床へ座らせる。

四宮はこっちにこいと手招きしたので大人しく従うことにする。

弥生「ここにはわたしと友達しかいないから安心していいよ」

司「うん」

全員座ったところで話を切り出すのはもちろん四宮。

弥生「この子は吉田 司(よしだ つかさ)くん」

弥生「生まれながらの病気でね。目が見えないの」

司「ここ、ベッドじゃないの?」

弥生「ベッドは朝になったらね」


安価↓1~2
話題

弥生「司、こんなこと初めて?」

弥生「気付いたらベッドがないってこと」

前にもきたことがあるかの確認か。

司「分かんない」

優「何も見えないんじゃ分からないよね。そりゃそうだ」

紅音「ベッドで寝ようが布団で寝ようが夢の中はそれがないもんな」

弥生「二人の言いたいことは分かるけどさ、わたしにとっては違うんだよ」

いつにもなく真剣な雰囲気だ。

司「……エアコン、いつもと違うね」

紅音「え?」

弥生「あぁ。司は目が見えない分、耳がすごく良いの」

弥生「だから普段のやつとここにあるやつの見分けを音で……」

弥生「音、音だ!!」

弥生「司! 何も音がしなかった時、ある?」

司「急に大声出さないでよ。えっとね……」

安価↓1 コンマ
偶数:ある
奇数:ない

司「ないよ。常に風の音は聞こえてた」

弥生「じゃあ、初めてこの空間に……」

紅音「不幸中の幸いじゃないか? 視力なしの友達が自分の部屋にきたんだ」

紅音「もしかしたら同じ感覚系の能力かもよ」

もしかしたらまるっきり同じ能力とか。

優「エアコンで遊ばせてみます?」

司「能力?」

優「うん、お兄ちゃんたちね」

弥生「やめて。司は何も見えないの。危険な目に合わせられない」

紅音「あ、悪かったよ」

弥生「……? 共感の音?」

紅音「覗き聴きで心を読むな」

優「なにそれ!?」

紅音「気をつけろ、四宮は聴覚を強化すれば心を読めるんだ」

弥生「だいたいの感じしか分からないから。そこまでじゃないから」

紅音「そして相手の触覚、および痛覚も自由自在に操る」

優「僕の能力と交換しません?」

司「さっきから分からないことばっかりだよ」

弥生「ごめんね。少し黙らせる」

優「相手の感覚までイジれるんですか?」

弥生「……! もう喋らないで」

優「いやいや話を聞いてくださいよ」

弥生「……」

紅音「お前が黙ってどうする」

弥生「だって先が分かるもん」

弥生「だから先に言っておくけどね、人のを調整するのは集中しなきゃいけないの」

弥生「ずっとなんて、そう出来るならしてあげたいよ」

弥生「でもそんな責任は負えない。だからしない」

要は『視覚の強化』で見えるようにするって話だな。

あのボールの痛みも長くなかったな。
集中が切れたからか。おかげで助かったといえばそれまでだが。

……わずかな希望でも見えれば、それを求める。
誰よりもこの言葉を知ってるのは自分だと思ったけど、四宮もか。
自分の時とはまるで意味合いが変わるけどな。

四宮が視覚を与えたら、少年はそれに頼って生きることになる。
それはお互いにとって枷でしかない。

紅音「…………」


安価↓1 少年に一言
1.見えるようになりたい?
2.見えなくてつらい?

紅音「少年、見えなくてつらい?」

司「ううん。何かを見るってことを知らないから気にしたことないよ」

弥生「ちょっと何聞いてるの」

紅音「いいから。少年、続けて」

司「でも、色に興味あるんだ」

紅音「色?」

司「鉛筆と色鉛筆って言葉をきいたときね、鉛筆は色がないのかなって」

司「大人が言うには黒をかくのが鉛筆でそれ以外が色鉛筆なんだって」

紅音「……他の色を知ってるか?」

司「ううん。聞いたことあるけど知らない」

司「同じ色なのに不思議だなって思った」

優「気にしたことなかったよ。それが普通だと思ってた」

紅音「実際には黒い色鉛筆もあるけど、説明するときはそれが分かりやすいだろうね」

弥生「何がしたいの?」

紅音「少年のここをイジってないかの質問だよ」

自分の目を指す。

紅音「もし少年が黒以外の色を口にしてたら殴ってたとこだ」

優「えぇ!? なんで!?」

紅音「黒は一番説明しやすい色だからな。『目を閉じた時に見える色』がそれだ」

紅音「それ以外の色を説明するのは難しい」

優「そうかな?」

優「赤は血の色」

紅音「血が見えない」

優「青は空の色」

紅音「空も見えない」

優「……白は黒の反対」

紅音「黒しか知らないのに色の反転が分かるか」

優「えーと、それじゃ……書くって言葉は? 他の色を知らなきゃでてこないでしょ」

紅音「大人がそう言ったんだろ。ただ『かく』って。その言葉を意味も分からず覚えただけだ」

司「うん。よく分からない」

紅音「これがイジってない証拠だ」

弥生「あんた、その理解力を昨日に回しなさい」

司「やよい姉ちゃん」

弥生「大丈夫。口は悪いけど良いやつだから」

司「何をイジるの?」

弥生「な、何でもない何でもない!」

にらまれた。喋りすぎだバカ! と訴えてるのがよく分かる。



安価↓1~3 多い方
1.目が覚めた。
2.優が消えた。

―― 紅音の部屋 ――

紅音「……あ」

朝だ。四宮と少年、シモンがいなくなって実感する。
携帯をチラ見。まゆりもまたあの夢部屋に行ったのだろうか。

紅音「友達が同じ部屋じゃないのも不幸中の幸いか」

夢で会ってたら怒られていたか急に泣き出すかの二択だろうし。

紅音「そういえば今日は……」

安価↓1
1.平日だ
2.休日だ

休日か。……。

携帯には近寄らないようにして、外に出るときは窓をチェックだな。

? なんで外に出なきゃいけないんだっけ。

何か必要なもんあったか? えっと、

安価↓1
1.授業ノート
2.遊び道具
3.音のでるやつ

あ、スピーカー。
そうだ思い出した。四宮やシモンみたいな能力を手に入れるためだ。
あの少年のことですっかり忘れてた。

待てよ、スピーカーなら探せばあるよな。どれどれ。

……。

あったあった。ワイヤレススピーカー。
使い道が結局なくてずっとしまってたから新品同然のがあった。

箱から出して取り出して、机に置いて……どうすんだ?

あいつら何て言ってたっけ。遊んでたって言ったよな。

こねこね、こねこねだ!
このスピーカーをこねこねしまくれば!!

……。

何してんだろ。シモンはこんなことして何が楽しかったんだ?

楽しいわけないか。何もなかったんだもんな。
あの空間にひとりでよく耐えたな。今度褒めよう。

そもそもエアコンはこねこね出来なかったな。

なんだ、なんなんだ? スピーカーで何したらいいんだ!?

二人のを聞いてると普通の使い方じゃないよな。

遊んでたよな。スピーカーで遊ぶってなんだ?

とりあえず持ち上げてみる。振り回してみる。
目が回る。やめる。

……駄目だ。分からん。
自分が何をしているのかも分からなくなりそうだ。

安価↓1~3 コンマ近いやつ (or 正解者)
何をしてみる?

スピーカーだし音を流してみよう。

そのためには何かと同期させないと……。

安価↓1
1.携帯
2.パソコン
3.テレビ

携帯を取って電源を入れる。

……やってしまった。
案の定、まゆりのメールと着信が溜まっている。
しかし今は構っている場合ではない。

携帯とスピーカーを繋ぎ、適当な動画サイトから音楽を流す。

紅音「ちゃんと動いてる、問題なし」

あとは何が足りないのか。
思い出せ、思い出せ。スピーカーは天井にあった。

高さか!

本棚の上にスピーカーを置いて高さを再現。
そこから音楽を流す。

しかし何もおこらない。

次は何をしようかと考えていると携帯が鳴る。

この音は、まゆりからの着信音だ。

安価↓1
1.出る
2.出ない

しょうがない。
行き詰っているし、気分転換だ。

紅音「もしもし?」

まゆり〈もしもしじゃないです!!〉

まゆり〈昨日どれだけ連絡を待ったか分かりますか!?〉

紅音「ごめんごめん。悪気はなかった」

まゆり〈二日連続であんな夢……〉

紅音「まゆりもか。おそろいだ」

まゆり〈そんなお揃い嫌です!!〉

安価↓1~3 多い方 聞きたいこと
1.部屋に何があったか
2.グロ映像は見たのか

紅音「まーまー。落ち着けって」

紅音「それよりも部屋に何があったか聞いていいか?」

まゆり〈部屋に、ですか?〉

紅音「メールで送ったろ。モニターとスピーカーがあったって」

紅音「ちなみに昨日はスピーカーじゃなくエアコンだった」

まゆり〈えっと、ですね。二日連続でモニターはあったのですが〉

まゆり〈最初の日は、ロウソクが一本だけ床に……〉

まゆり〈次が、紅音さんの言うスピーカーがありましたわ〉

紅音「ロウソクとスピーカーか」

ということは、まゆりの部屋はロウソク部屋で、昨日夢の自室に帰ってたらまゆりが居たわけか。

紅音「そのロウソクに触ってみたか?」

まゆり〈ええ。火は点いてなく火元もなかったので安全でした〉

紅音「分かった。二日間、誰か部屋にきたとか誰か居たとかは?」


安価↓1 コンマ
偶数:ありました
奇数:なかった

まゆり〈いえ、そのようなことは何も〉

紅音「まゆり、よく耐えたな」

まゆり〈することが何もないのが一番つらいことと良い教訓になりました〉

紅音「そうだよな。そうだよな。……うん?」

することが何もない?
聞き慣れたフレーズだな。

紅音「……まゆり、もしかして、ロウソク部屋で変なこと起きなかったか?」

まゆり〈変なこと、ですか〉

安価↓1~2 コンマ合計値
00~139:なかった
140~198:いえ、何も

――――――――――――
27+51=78
――――――――――――

まゆり〈なかった、と思います〉

紅音「そ、そうか……よかった」

とりあえず能力のことはまだ心配いらないみたいだ。

紅音「いいか、あの部屋に行ってもジッとしておけよ」

少なくとも能力の覚醒だけはさせないようにしよう。
超進化ネズミが能力に反応するなら、少なくともまゆりは安全なはず。

まゆり〈むしろ……〉



まゆり〈変なことが起こったのは、スピーカーのお部屋の方です〉



紅音「……は?」

今、何て言った?

まゆり〈ですから、そんなことが起こったのはスピーカーのお部屋です〉

まゆり〈あんな映像を見てしまって、心が壊れそうでした……〉

紅音「あ、あぁ、そういう……」

まゆり〈その前にスピーカーが壊れたのであとは目を閉じるだけでした〉

紅音「はい!?」

壊れた!? どういうことだよ!?

紅音「結局お前はどっちだ!?」

まゆり〈どっち、とは?〉

電話越しじゃ伝わるもんも伝わらねえ!

安価↓1~3 多い方
1.もう家に来て直接話せ!
2.どっかで待ち合わせだ!

紅音「どっかで待ち合わせだ!」

まゆり〈え? さ、誘ってくれるなんていつ以来かしら……〉

紅音「えーと、なるべく人のいないとこがいいな」

まゆり〈え!?〉

紅音「……しょうがね。気はすすまないけど、あの路地だ」

まゆり〈え? え? あそこですか? ある意味思い出の場所ですけど……〉

紅音「じゃ、そこで待ってるから!」

まゆり〈ちょっと、あか〉

電話を切って準備する。
人通りの少ないとこなんてこの現代、あそこしか出てこないよな。
前に痴漢撃退したし、またいるなんてないだろ。

―― 裏路地 ――

急いでたから時間指定忘れたけど、すぐくるだろ。

……。

紅音「遅いぞまゆり」

ここに到着するまで少なくとも十分位かかるとしても倍の二十分待った。

紅音「しかもその妙に気合の入った服は何だ。汚れるだけだぞ」

まゆり「だって、紅音さんから誘ってくれるのは久々で」

紅音「緊急だったからな」

安価↓1
1.夢の話を詳しく聞かせてくれ
2.身体に異常はないか

紅音「早速だが、夢の話を詳しく聞かせてくれ」

まゆり「……嫌です」

紅音「は、なんで?」

まゆり「昨日、紅音さんからその話を詳しく聞こうとしたのは私です」

まゆり「なのに連絡もなしだったのですよ? それなのに私に話せと言います?」

紅音「あ、それは」

まずい、怒ってる。ゲームしてたなんて絶対言わない方がいい。

まゆり「……紅音さんから話してください」

まゆり「あの夢は何なのですか?」


安価↓1
1.自分にも分からない
2.能力を秘めた人が見る

出来ることなら言いたくない。

まゆりを巻き込むことになる。

……でも。

紅音「能力を秘めた人が見る。そういう夢だ」

すでに能力を得ている可能性がある以上、見過ごせない。

まゆり「能力?」

紅音「何を言ってるか分からないよな。自分もだ」

シモンの能力を現実で見るまでは。

紅音「不思議なモンをこの目で見た。それを使う人があの夢を見る」

紅音「少なくとも、学校で二人、夢で二人、計四人。同じ夢を見てる人を知ってる」

まゆり「な、何を言ってますの?」

紅音「信じられないのは分かる」

まゆり「本当だという証拠は? 紅音さんの能力というものは?」

紅音「いや、実はまだ秘められたまんまでさ。どうすればいいのか悪戦苦闘してまして」

紅音「証拠が見たいんなら学校のやつが見せてくれるから」

まゆり「……変わりましたね。紅音さん」




まゆり「『友達はもうつくらない。それが償いになる』って言ってくれたのに」


紅音「違う! あいつらはそんなんじゃない!!」

まゆり「…………」

紅音「今でも友達はまゆりだけなんだ。本当だ」

まゆり「…………」

紅音「頼む、教えてくれ。あの部屋で何があったんだ」

まゆり「…………」

紅音「心配なんだよ、だから話してくれ!」

まゆり「…………」

紅音「まゆり!!!」

安価↓1~3 達成数は多い方がいい。
コンマ合計値が50以上
コンマ合計値が80以上
コンマ合計値が120以上
コンマ合計値が180以上

――――――――――――
21+45+51=117
――――――――――――


まゆり「……本当に私だけですか?」

紅音「え?」

まゆり「友達と呼べるのは、本当に私だけ?」

紅音「当たり前だ!!」

紅音「だから、だから心配なんだよ」

まゆり「……そうですか。あの時と変わらないですね」

まゆり「変わったという言葉は取り消します。ごめんなさい」

紅音「じゃあ!」

まゆり「だからこそ、同じ失敗をしたくない」

まゆり「紅音さんの償いが『友達をつくらないこと』なら」

まゆり「私の償いは『紅音さんより強くなること』ですから」

紅音「……んだよそれ。初めて聞いたぞ」

まゆり「初めて言いました。ここでまた紅音さんの助けを借りたら二年前と同じです」

まゆり「私がまた、二年前と同じ失敗を繰り返す……。そう思うんです」

紅音「助けって、ただ話を聞きたいだけだ!」

まゆり「それをしてしまったら、気付かないうちに助けを求めていたということになりませんか?」

紅音「あーー! もう! 埒が明かねぇ!!」

紅音「あの時はあーするしかなかっただろ!! 今回も同じだ! 話せ!!」

まゆり「いいえ! 話しません。紅音さんの目を見ればわかります。嘘つきの目です!」

紅音「この、頑固者!!」

まゆり「信念を持っていると言ってください!」

紅音「心配だ! って言ってんだろ!!」

まゆり「心配しなくて結構! 同じ失敗を繰り返すなんてもう御免です!」

まゆり「紅音さんに守られる私はもういないんです!!」

安価↓1
00~24:叫びすぎて通報されてた
25~49:まゆりの声に反応した人
50~74:止める者は現れない
75~99:紅音の声に反応した人

――――――――――――
twitterにてアンケート中。
匿名で投票できます。
twitter垢:【酉の文字列】

短いですが、とりあえずここまで
――――――――――――

―― 二年前 ――

その日は女学院高等部進級試験が終わった後の休日で、まゆりと買い物に出かけていた。
綺麗な服や髪留め、背伸び気味なオシャレを楽しんだ帰りの出来事だった。

周囲は暗く、人通りも少ない夜の街。
雰囲気に酔ったまゆりははしゃいで時々先に前に行ってはゆっくりと後ろ歩きで自分が追い付くのを待っていた。

きっかけは、その前方不注意だった。

男A「いってえ!!」

十字路から人が出てきて、運悪くその人の足を踏んでしまう。
危ない、と注意する暇もなかった。

まゆり「ご、ごめんなさい!」

振り返ってすぐに謝ったが、怒りは収まっていない。

男A「こっちこいや!!」
男B「あーあ、こいつにぶつかるなんて災難だったね」
男C「気が収まるまでどれくらいかかるか時間計る?」

周囲にいる人たちは怒る人を止めようとしなかった。
むしろ笑っている。この状況を……楽しんでいる。

まゆり「離して!!」

あっという間の出来事だった。

連れ去られる前に誰かいないかと見渡す余裕もない。
見失う前に追わないといけなかった。

角を曲がって、曲がって、曲がって……。

見失わない。絶対に。

男D「どこまでいくんすか?」
男A「うるせえ!」
女A「いい加減解放してあげなよ。泣きそうじゃん」

しばらくして連中が止まったのは裏路地。
ここはよく痴漢やカツアゲなど、ろくでもない人が現れると学院でよく聞く場所だ。

まゆりも薄々気付いてたのか、途中から大人しくなっていた。

場所さえ分かれば、誰かを、助けを呼べる。

男A「そんじゃガキの仕置きを始めるか」

……でもイタズラだと思われたら?
そんなことを考えたら一歩も動けなくなった。

男B「ここまで連れてきたことがお仕置きみたいなもんですよ」
男A「っるせえぇ! テメエらはその辺で誰か来ねぇか見張ってろ!!」
女B「はいはい。一番うるさいのは誰だってね」

連中のうち一人がこっちにくる。
だんだん近づいてくるのに動けない。

女B「ま、こんなとこに誰かいるとは思えな……」

見つかった。

女B「あの子の友達?」

首を縦に振る。

女B「面倒な人に会ったなー。このままここで見てるだけなら黙っててあげる」

女B「助けにいくなら……ご勝手に。みんなもこの隙に逃げたろうし、もう帰るわ」

そのまま横を通り過ぎていく。何もなかったように。

女B「怒ってる男は言うこと聞いてれば安全よ。大抵はね」

去り際に一言残して。

男A「何発で許そうかな~」

迷ってる時間はない。
早く行かないと……!

男A「倍返しで許してやろう。二発殴るぞ」

頭では分かってるはずなのに、動けない。あしが、動かない。
なんで震えてるんだよ。助けに……いかなくちゃ!!

まゆり「ごめん、なさい……」

男A「まず一発ゥ!!」

鈍い音が聞こえた。

まるでそれを待っていたかのように、突然身体が動いた。

男A「? 誰だこいつ」

まゆり「きちゃ、だめ……」

男A「ぁ~なるほど。友達か。いいねぇ熱い友情だ」

男A「もう一発を自分にしてって言いたいんだろ」

まゆり「やめて!!」

男A「よく吠えるガキだ。そんなに殴られたいか。あ?」

男A「やだよな? なら大人しくしとけ」

紅音「……」

男A「何でさっきから黙ってんだ?」

紅音「どうすれば、許してもらえますか?」

男A「は?」

紅音「踏んでしまったこと、謝ります。許して、ください」

男A「……あ~あ、殴る気分じゃなくなった。あと一発だったのによ」

紅音「あ、ありがとうござ……」

男A「この一発、お前に譲るから代わりにやれよ」

紅音「……え?」

男A「え、じゃない。お前がこいつ殴れ」

男A「やらねぇなら、お前殴るわ。肩代わり分と邪魔された分で二発」

まゆりが殴られないなら、そんなの、もう決まってる。

紅音「分かりました。二発でも三発でも気の済むまで……」

四発以上でも足りない。
まゆりが殴られるまで何も出来なかった自分への罰と思えば。

男A「いいぜ。それで許してやる」

まゆり「まって。まって、ください」

よろよろと立ち上がり、男の前に立つ。

男A「……おい、いい加減にしろよ。気分下がる」

まゆり「わたしの、責任です。その子は関係ありません」

まゆり「殴るなら、私を……。それで終わりでしょう……?」

紅音「友達でしょ。ただ見てるだけなんてイヤ」

男A「……友情ってメンドクセー。どっち殴ればいいんだ?」

紅音,まゆり「「わたし」」

どちらも譲らない姿をみて諦めたように男は言った。

男A「わかった。じゃ、こうしよう」

男A「互いが互いに殴れ。そうすりゃ許してやる」

男A「殴られたい奴はちゃんと殴られてハッピーエンドだ」

男A「不満か?」

不満しかない。
どうして友達を好き好んで殴らなきゃ……。

まゆり「いえ。それでお願いします」

男A「よし、やれ」

まゆりと向き合う。小声で、『やって、あかねさん』 と聞こえた。
イヤだ。

まゆり「いきます」

待ちくたびれたか痺れをきらしたか、まゆりは言った。
ぎゅっと目を閉じる。
暴力男に殴られるよりは痛みはないと思うが、反射的にそうしてしまう。

……頬に軽い感触。

まゆり「終わりましたよ」

男A「あ?」

まゆり「殴りました。力が弱いのでこれ以上は無理です」

殴れ。と言われたから殴った。
力の強弱は自分次第。というわけか。

よくこの状況でトンチきかせられるな。
もしかして、最初からそれが目的?

男A「……」

それに気付いたのか、男は口元を緩めた。
何も言ってこないので、どうやらこれでもいいらしい。

紅音「じゃあ、やるよ」

まゆり「はい」

頬を差し出し、横を向いたまゆりは男の方を見ていた。
力の抜けた拳はまゆりの頬に勢いよく……、

まゆり「! ストップ!!」

頬に軽く当たった状態で止まった。




瞬間、あたりが一瞬明るくなった。


まゆり「何してるんですか!?」

男A「何って、熱い友情シーンを撮ってあげようとね」

携帯を、向けていた。
もしかして、撮られた?

男A「いやーまるで本当に殴られているかのようだ!」

男A「よし、これで許してやる」

男A「本当にいい写真だ。誰かにみせてやりたい」

男A「素晴らしいこの友情をな!!!」

男は高笑いしながら路地から消えていく……。

誰かに見せてやりたい。
女学院に送り付ける気満々の口調だった。

まゆり「そんな……」

紅音「大丈夫。いちから説明すれば分かってもらえるよ」

この時はそう信じていた。
結果は、高等部への進級不可となってしまったが。

まゆり「……いたっ」

紅音「! あいつに殴られたとこ痛む? 本当にごめん。早く行ってれば」

…………。
……。

―― 現在 裏路地 ――

紅音「守る守られるの問題じゃねえ!」

紅音「お前は昔から危なっかしいんだ! 大人しくしとけ!」

紅音「あの時助けに行ってなかったら、どうなってたと思う!?」

紅音「本当に二発だけで済んでたと思うか!!」

まゆり「それについては……感謝しています」

まゆり「でも、もしまた危ないことに身を置いてるとしたら、紅音さんには頼りません!」

紅音「その結果、死んだとしてもか!!」

まゆり「…………また、紅音さんが傷つくのなら、頼りません」

安価↓1~3 コンマが近いやつ
1.傷ついたのはまゆりだ
2.自分のことはどうでもいい
3.そこまで言うなら

紅音「傷ついたのはまゆりだ!」

まゆり「ならどうして! どうして」

まゆり「一番の被害者だっていう私の隣に一番の友達はいないんですか……?」

……。

紅音「一番の加害者を誤解しているからだ。分かってることだろ」

まゆり「そう、ですね。そのせいで紅音さんは……」

紅音「そのことはもういい。おかげで堅苦しい女学院から解放されたんだ」

紅音「まゆりのいない一年は長いようで短かった。いや、長かったな。ずっと噂で話題の人だったよ」

紅音「今は落ち着いてきた気がする」

代わりに別の噂が広がりつつある。何とは言わない。

まゆり「……前から思ってたんですけど、その暴力的口調はあの人の真似ですか?」

紅音「あぁ。一種の戒めみたいなもんだ。あいつみたいになるな。でも忘れるな。そういう」

元からこういう口調だった気がしないでもないが。
もう二年も経つ。昔の口調なんか覚えていない。

まゆり「紅音さんは強い人です。私は早く忘れたいのに」

まゆり「早く強くなって、あんな過去、忘れたいのに」

紅音「……忘れたら、駄目だ」

紅音「乗り越えていかないと」

まゆり「本当に強い人。だから私は、守りたい」

まゆり「これ以上、心が傷つかないように」

小声で言ったその言葉を聞き逃す耳は残念ながら持っていない。
でも聞こえないふりをする。

紅音「何か言ったか?」

その想いは一緒だから。

紅音「……で、いい加減話してくれる?」

ようやく振り出しに戻る。

まゆり「話しません」

紅音「頑固な奴め」

紅音「じゃあ何をどうしたら話す気になる?」

まゆり「話す気になりません」

本当に振り出しに戻った。

紅音「悪かった。謝るから。な」

まゆり「な? じゃありません」

紅音「本当に頼むよ。ヒント! なんかヒントちょうだい」

まゆり「ヒントって……。分かりませんよ、そんなこと」

安価↓1
1.このままじゃ心配で心が張り裂けそう
2.もしかしてずっと目を瞑ってた?
3.しょうがない。夢で確認しよう

紅音「もしかしてずっと目を瞑ってた?」

『スピーカーが壊れたのであとは目を閉じるだけでした』

そういえば、あんなこと言ってたような。

まゆり「!!」

当たりみたいだ。

まゆり「さ、さすが紅音さん。私の行動を見てきたかのような」

紅音「いや、電話でそう言ってたよ」

つまり、あの部屋で何が起こったのか知らない。
知らないから話せない。
話せないからどうあがいても話す気になれない。

紅音「知らないなら最初からそう言ってくれ……」

無駄な時間を過ごしてしまった。

紅音「はあ。じゃ解散。お疲れさま」

まゆり「え? 本当にその話だけで終わりですか?」

紅音「最初っからそのつもりだよ。こっちはこっちでやることがあるんだ」

スピーカー使って能力覚醒実験の。

まゆり「そんな……」

紅音「……」

安価↓1~3 多いやつ(同率ならコンマ近いやつ)。
1.しょうがない
2.少しだけだ
3.忙しいから

紅音「忙しいから。悪いな」

まゆり「……分かりました。これ以上引き留めても無駄のようですね」

紅音「あ、そうそう」

まゆり「?」

紅音「その服、あの時買ったやつだろ」

紅音「背伸びオシャレ服が今じゃ普通のオシャレ服だな」

まゆり「覚えて……?」

紅音「言ったろ。忘れたら駄目って。こんなモン覚えるより勉強覚えた方がいいんだろうけど」

紅音「ま、この路地を抜けるまで一緒に帰るか」

…………。
……。

裏路地を抜けるまでに夢の話をして機嫌をとる。
今さっきまでやってたことも話したところで無事に到着
ここからはまゆりと別行動。といっても帰るだけ。

まゆり「本当に、これで終わりですか?」

紅音「お前もしつこいな」

何度目だ。

まゆり「『秘められた力を目覚めさせる』って意味の分からないこと言ってるからです」

まゆり「しかもスピーカーでするというから紅音さんの頭が心配です」

紅音「……怒るぞ」

誰のために悪戦苦闘したと思ってる。

まゆり「それに確か、買ったのワイヤレススピーカーですよね?」

紅音「え? なんで知ってる?」

まゆり「……服買う前に買ってましたよね?」

紅音「あれ、そうだっけ」

まゆり「自分のこともちゃんと覚えてくださいね……」

まゆり「有線じゃなくていいんですか?」

確かに線で繋がってたような。

紅音「そこまで再現する?」

まゆり「出来る限り再現した方がいいと思ったのは?」

紅音「……はい、自分です」

まゆり「買いに行きますよね?」

まゆり「一緒に行っていいですね?」


安価↓1
1.買うのは家で探してから
2.一人で行く
3.押し負ける

紅音「しつこい! 一人で行く!」

まゆり「う……。分かりました……」

とぼとぼと離れていくまゆり。

紅音「まったく……。お前といると良い意味でも悪い意味でも調子狂う」

忘れようと無理矢理前を向く姿を見ると何もなかったかのように思え、
同時に何も出来なかった無力な自分を思い出す。

紅音「さてと、それじゃ有線スピーカー買いますか」

今度こそまゆりの隣にいられるように。
まゆりとは別方向に歩き出す。

―― 電機店 ――

とりあえず線があればいいや。
パソコンに繋げられて、あと安いやつ。

適当に見繕ったものを買って家へ。


―― 上月家:紅音の部屋 ――

紅音「よし、繋がった! 音も鳴る! なるべく高いところに置いた!」

紅音「……で?」

せめて壊れた原因が分かれば手の打ちようがあったかもしれんのに。

もう一度判明している事実を思い出す。

四宮はエアコンの音を聞いたり風を感じたりして、
シモンは鉛筆削りをこね回した。

要は部屋にあったものを使えばいい。
だからこうして再現した。

あとは何をするかだ。

することがなくて暇で暇でしょうがなくて、その時高いところにあるスピーカーで何をする。
手は届かない。こね回すのは無理。じゃあ音を感じること?
……いや、夢のスピーカーは声が聞こえるまで無音だった。なら、違うか。

待てよ。声か。スピーカーに話しかける?

一旦スピーカーから音を流すのやめて……。

安価↓1
1.もしもーし
2.能力よ目覚めろー

紅音「もしもーし」

……。

…………。

………………。

返事がない。ただのスピーカーのようだ。

当たり前だよ。
さっき買ってきたばっかのスピーカーだよ。
返事がきたらこえーよ。

紅音「どうすりゃいいんだよ、マジでさ」

そうか。スピーカーという部分にこだわりすぎた。

何のために有線を買ってきたんだ。

きっとこの線に秘密があるんだ!

紅音「……どんな秘密だ」

手が届くものはとりあえずこね回す。
しかし何も起こらない。

紅音「あとは、なんだ。どうすればいい」

線を無意味に引き抜いては差す。繰り返す。
しかし何も起こらない。

紅音「早く目覚めろよ! せっかくの休日だぞ!!」

抜き差し、抜き差し、抜き差し……。

紅音「疲れた……」

気付けば夕方だった。
その間、試せることは試したのだが、一向に変化なし。

紅音「はは、笑うしかねえ」

体力も気力も尽きかけている。


安価↓1~3 多い方
1.寝よう
2.限界まで挑戦

紅音「……続きは、夢だ……」

すぐに眠れた。
なぜならもう、夢の部屋に辿り着いたから。


安価↓1~3 コンマ近いやつ
1.壊れたスピーカー部屋
2.ロウソク部屋
3.歪んだ鉛筆削り部屋
4.知らない部屋

―― ロウソク部屋 ――

紅音「……ハズレか」

スピーカーがない。
調べられなかった。

紅音「しょうがないか。この部屋には何がある?」

見渡すと床にひとつのロウソクが転がっている。

紅音「まゆりの部屋か」

聞いた通り、確かに火は点いてないし火元もない。
拾ってみる。見たところありきたりの白いロウソクだ。使われた形跡もない。

安価↓1~2 コンマ合計値
75以上でイベント
130以上でイベント!

――――――――――――
39+18=57
――――――――――――

…………。
……。

特に何もない部屋だ。
ロウソクをいじりながら部屋を見ていたが自分のとこと変わらない。
変わらないから、つまらない。

このロウソクでまゆりは何をすればいいのか。
そんなことを思いながら過ごしていく。

寝た時間もあってか、人が来る気配も全くない……。

紅音「目覚ましかけるべきだったか?」

少し後悔。

紅音「……モニターか」

みんなが見たというグロ映像。
見てはいないが内容は話として一応知っている。

紅音「確か、この辺にスイッチがあったはず」

右下に電源を発見。

紅音「…………」

安価↓1
1.押す
2.押さない

仲間外れみたいでイヤだし……。

押してみた。
前みたいに白く光って自分の部屋に、なんてことは起こらなかった。

紅音「うげ」

ネズミの話で止めておけばよかった。

映し出されたのは……、

人が、
人の顔を、
人の身体を、
人の手を、
人の足を、

『それぞれ』していない。

そんな人たちが争っている。

最後に、普通の人が現れて、彼らのまえに立つ…………。

紅音「むりむりむりむり」

目を逸らす。
何が起こるか予想はついている。

画面を見ないようにして、電源を落とす。

紅音「予備知識があってよかった……」

いきなりこんなの見せられちゃ堪ったもんじゃない。

もう少しみんなに優しく接しよう。
少年は目が見えなくてよかった。

安価↓1~2 恐怖体験したとこでコンマ合計値リベンジ
70以上でイベント
120以上でイベント!

――――――――――――
49+88=137
――――――――――――

あれからずっとロウソクを右手に持ったまま過ごしている。

モニターの電源は切ったままにして、部屋の中心でぼーっとしたまま。

紅音「……暇だな。遊び道具になりそうなのがこれだもんな」

上に軽く投げて遊ぶ。

紅音「それ、一回転。次は二回転だ」

グロ映像のことは忘れて熱中していた。

……。

紅音「あちっ」

それから十数回後、異変は起きた。

ロウソクをキャッチする時に熱を感じるようになった。

紅音「?」

確認してみる。
ロウが、とけている。

紅音「え、え、ちょちょ、待て!!」

慌てて投げ捨てる。
床に落ちたそれにゆっくりと近寄り、観察。

紅音「とけて、ない?」

さっき手の中にあった時は、少しだけだったが確かに……。

夢の中だから……?
そう考えるのは単純だな。もう少し粘ろう。

前にも何か同じようなことがあったな……。
えっと、そうだ、シモンの触った机だ。
あれもシモンが手を離したら元通りの机になってた。

ということは?

やっと、能力覚醒!?

もう一度ロウソクに触れる。

…………。
……。

しかし何も起こらない。

紅音「違った、のか? 勘違い?」

普通に持てる。
熱を感じなくなった。

紅音「そもそも自分のじゃないし……」

でもすることないしなぁ。
試せるだけやってみよう。

思い出せ……。
能力について話していたのはたった二人。

四宮とシモン。
どっちの言葉を思い出せばいい?

安価↓1~3 多い方
1.四宮弥生
2.士門優

『レベルアップしたかもしれない』

『静かにして目を閉じてみて』

『調整するのは集中しなきゃいけない』

…………。
……。

集中。まずは集中だ。

まだレベル1にすらなってないかもしれない。

ならするのは集中ただひとつ。

そうだ。
四宮もシモンもすることがなく、それで遊んでいた。

つまり、それに集中していたことになる。

自分もさっきまで熱中するほど遊んでたじゃないか。

目を閉じて意識をロウソクに集中させる……。

感じた熱を思い出せ。

…………。
……。

ロウソクを持ってないのに、

手が、熱い。

気にするな。まだ、できる。

とけたロウを触ってるわけじゃない。

きっと体温が上がってるだけ。

熱い。

熱い、熱い、熱い、あつい、あついあついあつい。

まるでこの部屋全体が燃えてるように……。



―― 異常を検知しました ――

―― emergency emergency ――

―― 異常を検知しました ――



―― 安全装置 起動します ――

紅音「ごほっ、ごほっ」

急激に身体が冷えていく。

さっきまでの熱が嘘みたいになくなった。

なくなってしまった。

紅音「ロウソクは!?」

確認してみる。が、何も変化はなかった。

紅音「失敗、したのか?」

でも、手応えはあった。
やり方は間違っていないはずだ。

ようやく、コツを掴んだ気がする。

紅音「もう一度だ」

同じ要領でやれば、きっと!

目を閉じ、ロウソクに意識を。

……きた。熱を感じる。

そうだ、このまま。

…………。
……。

だが、何度やっても燃えるような感覚にはならない。
設定された温度より上がらないみたいに。

安価↓1~3 コンマ近いやつ
1.諦める
2.ロウソク持ってリトライ
3.士門優の言葉も思い出す

『偶然あの画面のスイッチを入れてさ』

『この力の説明を受けて』

……。

そうか。あのモニター。

シモンはモニターから能力のことを聞いていた。

しかもそれは覚醒した後の話だ。

今の自分なら……もしかして。

電源を、入れる。


《 覚醒 おめでとう! 》

《 これでこの部屋の主、上月紅音くんも 》

《 第二世代へとなれました! 》

《 ここから本格的にスタートです! 》

……。

ツッコミどころが多い。

ひとつ、おめでとうじゃねえ。誰のせいだ。

ふたつ、能力の説明はどこだ。

みっつ、この部屋はまゆりのじゃないのか? スピーカーはどうなった。

よっつ、本格的ってなんだ。

なんて考えていると、表示が変わった。
どうやらふたつ目の答えを教えてくれるようだ。

《紅音くんの能力》

《それは体内に溜めた熱を凝縮させ、火、または炎を創る能力》

《それらは紅音くんの意志により動かせる》

《狙ったモノは燃やされ、跡形もなくなるだろう》

《非常に攻撃的な能力だが、使い方によっては便利や能力だ》

《ただし、もちろん注意点はある》

《溜めすぎた熱は制御が効かなくなる》

《この空間では安全だ。現実では分からない》

《自身を燃やす可能性がないとはいえない》

《適度に発散することを心に留めておくように》

……色々思う所はあるが、

つまり、今は『熱の溜め過ぎ』で能力を抑えられてる状態ってことか?

このまま目覚める前に『発散』させた方が良さそうだ。


安価↓1
1.ロウソクを狙う
2.モニターを狙う

ロウソクを見る。

紅音「えっと? 体内の熱を凝縮って……」

さっきまでやってた集中をすればいいんだろうけど、もう溜まってるはずだ。

だから、火を創る。……どうやって。

意志で操れるらしいから、とりあえず掌に小さい炎が出ているのを思い浮かべる。

紅音「お、おお?」

青白い炎の球が掌に現れる。不思議と熱くない。

紅音「こいつを、ロウソクに……!」

言葉にするのと同時にそれは向かっていった。

見事命中し、ロウソクは燃え尽きた。

紅音「これが、能力……」

見てきたやつとだいぶ系統が違う。

これなら、戦える。

紅音「……よっしゃーー!!」

待ちに待った能力を手に入れ、叫ぶ。




その瞬間、身体に激痛が走った。


―― 紅音の部屋 ――


紅音「いっってーー!!!」

目が、覚めた。

紅音「な、なんだ?」

辺りを見回す。特に何もない。

紅音「? 時間は?」

午後10時を回っていた。
だいぶ寝たな。

ちょうどいいので食事、風呂、歯磨きなどなど終わらせる。

安価↓1~3 多い方
1.寝る
2.寝ない

さっきまで寝てたけど寝るにはちょうどいい時間だ。
もしかしたら夢で誰かに会えるかもしれない。

おやすみ……。

安価↓1~3 コンマ近いやつ
1.燃え尽きたロウソク部屋
2.エアコン部屋
3.壊れたスピーカー部屋
4.知らない部屋

―― 燃え尽きたロウソク部屋 ――

ここは……?

モニターに能力説明の画面が映しっぱのままだ。

紅音「ってことはさっきまでいた部屋か」

ロウソクが燃え尽きて焦げ跡もない。
ここは何もない部屋になってしまった。


―― 何もない部屋 ――

モニターの電源を切って、辺りを見回す。

安価↓1
奇数:見知らぬ人
偶数:見知った人

安価↓2
上が奇数:性別
上が偶数:名前

だ、誰かいる……。

こっちにはまだ気づいてないみたいだ。

特徴は……、


安価↓1~3 多いの(同率ならコンマ近いやつ)
1.手にトランプ
2.学生帽
3.何故か水着

あれって、競泳水着?
素人の自分でもそれくらいなら分かる。

でも何で?

初対面の女の部屋に水着男が来るって……。
お世辞にも第一印象は良いとは言えない。

「視線を感じると思ったら、誰かいたんですね」

水着男と目が合った。

紅音「…………」

目線を下に逸らす。

無駄な肉が一切ついていない。腹筋丸見え。
引き締まった身体とはこういうのを指すのだろう。

安価↓1
1.無言で筋肉を触る
2.深呼吸して自己紹介

すーっ、はーっ。

紅音「よ、ようこ、そ」

だ、だめだ。初対面のやつと普通に話すなんて出来ねぇよ。
そもそも恰好が普通じゃねぇ。

女ならいいが、男。女学院の弊害が未だに……!
落ち着け、落ち着け。学校のように、アリアやシモンと同じように。

「初めまして」

紅音「ひゃじめまして!」

何だ今の声は!? 自分でも初めて聞いたぞ!
くそ、普通に話せばいいのに!

「あ、えっと、大丈夫?」

紅音「まって。もうすこし……」

両手を頬にぶつけて気合をいれる。よし。

紅音「上月紅音。一応、この部屋の持ち主ってことらしい」

「紅音さんだね。よろしく」

いきなり名前呼び……だと。

「僕は冴島 蒼太(さえじま そうた)。水泳の大会で名前聞いたことないかな」

紅音「いや、悪いけど。……有名人?」

蒼太「自分で言うのもなんだけど、そこそこね」

紅音「そっか。…………」

気まずい。非常に気まずい。

安価↓1~3 多い方
1.夢部屋は初めてなのか
2.水泳の話題を広げる

紅音「ちょっと聞いていいか」

蒼太「どうぞ」

紅音「ここ、この空間、あー何て言えばいいんだ?」

紅音「似たようなとこ、前にも行ったことある?」

蒼太「ありますよ。大体一週間くらい」

蒼太「どの日に何の部屋に行ったまでは覚えてないですけど」

紅音「そ、そうなのか」

一週間前からなのか。
少年はあの日が初めてらしいし、個人差があるんだな。

紅音「その間、誰かに会ったりとか」

蒼太「それもありますよ。最初の日だったか次の日は一人でしたけど」

蒼太「知らない人に会うのは久々です」

紅音「そこまでは聞いてないんだが」

この様子からいけば能力のことも知ってるだろう。

蒼太「じゃあ逆に聞いていいですか?」

蒼太「この部屋、何もないですけど、どうしてか分かりますか?」

安価↓1~3 多いの(同率ならコンマ近いやつ)
1.能力覚醒の犠牲になったと正直に言う
2.こんな部屋があってもいいじゃないと濁す
3.最初からこうだと嘘をつく

あー。まぁ、気になるか。

紅音「こんな部屋の一つや二つあるよ」

説明がメンドくさいので濁すことにした。

蒼太「あったかな……」

腑に落ちない表情をみせる水着男。

蒼太「じゃあ紅音さんの能力は」

紅音「で、そちらさんの部屋には何があるんだ?」

遮って質問をする。

蒼太「あ、はい」

安価↓1 コンマ
偶数:聞き出せた
奇数:聞き出せない

蒼太「教えてもいいけど」

蒼太「……ただ教えるのも嫌なので問題です」

紅音「問題?」

蒼太「はい。それに正解すれば特別に能力も教えます」

紅音「言ってる意味がイマイチ分からんが」

蒼太「そうですよね。正直今でも分かりません」

蒼太「というのも、ある人からの受け売りだから、なんですけどね」

受け売り?
以前出会った人物の真似事をしてるわけか。

紅音「その問題に正解すれば、部屋にあるものと能力を教えてくれるんだな?」

蒼太「はい。ただし、挑戦料として能力を教えてください」

紅音「え、何で?」

蒼太「受け売りと言ったでしょう。そのルールに則ってるだけです」

ふむ。つまりだ。
水着男の部屋と能力を知る権利が欲しければ、自分の能力を無条件で教えることになる。

蒼太「本来なら、挑戦料は部屋にあるものと能力のセットなんですが……」

蒼太「この部屋の持ち主ということなので、能力だけで大丈夫です」

蒼太「あと、問題の説明は挑戦料を払ってから、というのもルールです」

なるほど。しっかりしている。
自分の手の内を先に明かせと。

紅音「不正解だった場合はどうなる?」

蒼太「少なくとも、部屋にあるものは分かるかと」

? どういうことだ?

紅音「挑戦したら部屋の物は必ず分かると?」

蒼太「はい。ただ、能力は教えられません」

まとめるとこういうことになる。

回答者の能力を挑戦料とする。

挑戦料を払えば、少なくとも部屋の物が分かる問題が出される。
いわゆる参加料だ。

問題に正解すれば、出題者の能力を報酬として教えられる。
不正解ならもちろん報酬はなし。

能力を手に入れたから挑戦はできる。

この問題に挑戦
安価↓1~3 多い方
1.する
2.しない

紅音「長々と説明させといて悪いけど、やらない」

能力と引き換えに確実に分かるのが部屋の物だけならやらない方がいい。
いつかは部屋の物も能力も分かる時がくるだろうし、後のお楽しみにしておこう。

いつかがくるか分からないけれど。

蒼太「分かりました」

紅音「どういう問題だったかは」

蒼太「残念ですけど、教えられません」

ルールらしいし、まぁ、しょうがないか。

お客さんの気配が
安価↓1~2 コンマ近い方
1.する(名前)
2.する(性別)
3.しない

だんだんと水着姿に見慣れてきた。

蒼太「それにしても、本当にすることがないですよね」

紅音「話し相手がいるだけマシだよ」

蒼太「一人が好きっていう人もいますけど、確かに」

紅音「でも能力関係の話題は出し尽くしたし、何話す?」

蒼太「そうですね……」

紅音「うーん」

安価↓1~3
1.夢の中で交流した人について
2.現実で会った人はいるのか
3.それ以外(話題提供)

コンマ近いやつ 入れ忘れ
――――――――――――

紅音「現実で会った人いる?」

夢の中では他の人に会ったらしいが現実ではどうなんだろう。
四宮と少年に会ったことはないから気になる。

蒼太「それはもともとの知人ではなくて、夢で会ったのが初対面の人という解釈でいいですか?」

紅音「どっちでもいいが、そうしてくれると助かる」

蒼太「それなら、一人、二人……ですね」

紅音「二人もいるのか。どうやって見つけたんだ?」

蒼太「どうやってって……。誘われたんです。ここに来てほしいと」

紅音「場所は近かったのか?」

蒼太「遠くはなかったので行ってみました」

紅音「そしたら会えたと」

シモンが現実で能力を使えたことを考えれば、夢で会った人は確実にいるのか。
そうじゃないと色々と説明つかないもんな。

蒼太「僕のことならネットで検索してもらえれば、何かしらの記事があるはずです」

紅音「そういや、そこそこ有名人って言ってたな。分かったよ」

紅音「名前は、確か……さえじまだっけ」

蒼太「はい。でも、冴島蒼太とフルで入れないと中々出てこないです」

紅音「同じ苗字なら山ほどいるだろうし、分かった」

冴島蒼太、冴島、蒼太、サエジマ、ソータ。

蒼太「そういう理由じゃなくて、いや、何でもないです」

サエジマが黙る。お前が黙ると気まずいんだよ。

紅音「とにかく分かった」

起きて覚えていたら調べてみよう。
それに今度、四宮に会ったらどこかで待ち合わせをしてみるのもいいかもしれない。

次の日も休みだ。

安価↓1~3 多い方
1.どっかに誘ってみる
2.まだ誘わない

夢で知り合えたとはいえ、現実ではほぼ他人。
なんて言ってしまえば四宮と少年もそうなるのだが……、

男と現実で二人きり? 無理。
学校以外で二人きり? 無理。

以上、九割以上最初の理由で誘わない。誘えない。

残念だったな。夢は出会いの場じゃないんだよ。

…………。

まゆり、チャラ男に引っかかるなよ。
急に心配になってきた。

安価↓1~3 多い方
1.朝になった
2.夜は続く

紅音「ずっとこの部屋ってのもつまらんと思わないか?」

蒼太「え? どうしたの?」

紅音「せっかくの夢だというのにいるのは水着姿の男のみ」

紅音「逃げ出したい気分になるかならないかの瀬戸際だよ」

蒼太「……えと、ごめんなさい?」

紅音「せめてこの空間に部屋と部屋を繋ぐドアがあればと思わないか!?」

蒼太「お、思ったこと、なかったです」

紅音「……話し相手がいるのは良いことだよ。でも、話題がないなら意味がないんだ」

蒼太「ごめんなさい。話題、頑張ります」

安価↓1~2 コンマ近いやつ
1.話題任せる
2.話題提供(何話すか)

紅音「よし、頑張りたまえ」

前半はこっちが頑張ったんだ。
後半はそっちの出番だ。

蒼太「……泳ぐの好きですか?」

紅音「どんな話題の振り方だ! 普通としか答えられない!」

蒼太「なら、えっと、ご兄弟とかいます?」

紅音「……いきなり身内のこと聞くのか」

蒼太「あ、ダメならいいんです」

そこで折れるなよ。

せっかく聞いてくれたんだ。答えよう。

安価↓1~3 コンマ近いやつ
1.いる(兄,弟,姉,妹 から 最大二人,重複有)
2.いない
3.やっぱり秘密

紅音「いないよ。兄弟はいない」

これくらいなら言ったところで支障はない。

蒼太「そうですか。変な質問してごめんなさい」

紅音「別にいいけど。突拍子もないから戸惑っただけだし」

紅音「ただ、話が広がりにくい話題を出すのはちょっと、な」

蒼太「ごめんなさい……勉強になります」

……どんな勉強だよ。

紅音「そういうサエジマはどうなんだ?」

蒼太「僕ですか? 僕は……」

安価↓1~2 コンマ近いやつ
兄,弟,姉,妹 から 最大三人,重複有

蒼太「弟と妹が一人ずつ」

紅音「それじゃお兄さんってことだ」

蒼太「はい。自慢の二人です」

紅音「自慢、ね。……」

とてもいい笑顔をしている。
弟と妹を大事にしていることがよく分かる。

こんな笑顔を昔、母様もしていたな。
あの日から見なくなった笑顔。

紅音「……二人を、信じてあげてね」

蒼太「? もちろんですよ」

蒼太「急にどうしました?」

紅音「あーあー、うるさい。なんでもない」

安価↓1~3 多い方(同率ならコンマ近いやつ。一致したらそれ)
1.お客さんの気配!
2.まだ夜は続く!
3.朝になりました!

紅音「はっ! 誰か来る!」

蒼太「え?」

紅音「なんて言ってれば誰か来るかなーって」


安価↓1 コンマ
奇数:見知らぬ人
偶数:見知った人

安価↓2
上が奇数:性別
上が偶数:名前

弥生「……またあんたか」

紅音「ホントに来た」

弥生「何言ってんの」

紅音「こっちの話。気にすんな」

弥生「ってうわ!! 変態!!」

蒼太「ち、違うよ!」

慌てる四宮を落ち着かせ、ようやく静かになった。
それでも四宮はサエジマに近寄らず、自分のすぐ隣にいる。

弥生「ねえ上月、司は?」

ひそひそと話してくる。少しくすぐったい。
というか最初に会った時くらいじゃないか? 名前呼んでくれたのは。
いつもアンタとかそんな感じだった気がする。

紅音「あの少年なら見てない。別の部屋じゃないか?」

蒼太「そこでなにコソコソ話してるんですか?」

弥生「変態には関係ありません」

蒼太「違うってのに……」

紅音「その雰囲気だと二人は初めてなのか?」

蒼太「は、はい。どうも嫌われてしまったようですね」

悪いが第一印象は四宮と同意見だ。

紅音「……サエジマは見た目より優しいぞ」

弥生「知らないの? まずは油断させるという変態のやり口を」

紅音「そうなのか?」

蒼太「違いますよ! 一瞬味方してくれたの嬉しかったのに!」

紅音「少し話してみたけど、不器用なだけで変態じゃないと思うぞ」

そして耳打ち。

紅音「それにお前なら覗き聞き出来るだろうが」

弥生「…………」

弥生「……分かった。信用する」

上手くいったようで安心だ。

紅音「よし、なら親睦会といこう。この部屋での喧嘩は許さん」

蒼太「はい。部屋の主人に従います」

弥生「え? でもここ……」

紅音「あー、まあ追々話すよ」

弥生「いい。勝手に聞くから。大体伝われば分かるし」

紅音「……便利だよな。その耳」

蒼太「耳?」

改めて自己紹介をして、仕切り直す。

弥生「何はともあれ、これからよろしく」

四宮の差し出した手は震えている。

蒼太「お願いします」

握手を交わそうと手を伸ばすサエジマ。

弥生「……ごめん、やっぱ服は着て」

しかしその手は拒否されてしまう結果になった。

蒼太「あ、はい。以後、気を付けます」

弥生「上月はいつも男といるよね」

紅音「いたくているんじゃないから勘違いはするなよ」

紅音「ちゃんと同性の友達がいるんだ」

弥生「……わたし、っていう感じの音じゃないかな、これは」

弥生「それでも握手くらいはいいでしょ。まだしてなかったし」

蒼太「握手を拒否された相手が別の人に求める……。なかなかない体験です」

サエジマからの視線が痛い。

紅音「嬉しいけど、悪いな。握手はしない主義だ」

弥生「どうして?」

紅音「しないからしない。それだけ」

握手は友情を暗に示すような行為だ。
それをするってことは『償い』に反することになる。

あくまでも、仲間。友達じゃない。

蒼太「僕に遠慮してるのなら気にしないでください」

弥生「……。主義なら、しょうがないね」

四宮は何かを感じ取ったのか、あっさりと手を引いてくれた。

蒼太「親睦会なのに握手ゼロ……」

弥生「それであんた、能力覚醒できたんでしょ」

ついに暴かれた。

弥生「『覚醒痛』平気だった?」

紅音「か、かくせーつー?」

蒼太「能力を使った時に起こる痛みです」

紅音「そういえば、そんな痛みがあったな」

弥生「仮死状態を解いた反動……成長痛と思えばいいよ」

弥生「能力が馴染むまで使うたびにそれが続くからね」

紅音「マジか」

弥生「能力は何だったの?」

弥生「わたしのだけ知ってるなんてズルい」


安価↓1
1.教える
2.二人の時になったら教える
3.教えない

紅音「内緒」

弥生「教えてくれたっていいでしょ」

紅音「サエジマの能力知らないし、そんな奴がいるとこでは教えられないな」

蒼太「僕のいない二人の時ならいいと?」

紅音「そういうわけでもない」

弥生「言ってることが無茶苦茶なんだけど」

紅音「やっと目覚めた能力だし、ほいほいと誰かに自慢するもんじゃないよ」

紅音「まずはその覚醒痛とやらがなくなるまでは秘密だ」

弥生「……分かった。早く馴染ませなさいよ」

冷淡な結果でもそれをいろんな意味で活かせるのが上月紅音と思ってるけど
ずっとそうなるのは不人気みたいなんでやめた方がいいか。
――――――――――――

次の日何するか考えとくか。

四宮となら女だし変な緊張もなしで会える。
それとも早く能力を馴染ませた方がいいだろうか。


安価↓1~3 多い方
1.四宮を誘ってみる
2.能力に集中

蒼太「ほいほいと、誰かに自慢……」

おや、サエジマの様子が。

あー、あの受け売りの人のことを思い出してんのかな。
もしかして負けたな。

紅音「覚醒痛は能力を使ってるうちになくなるんだな?」

弥生「それで合ってるけど、ただ」

弥生「新しいことにチャレンジしてみても覚醒痛はあるからね」

紅音「新しいこと?」

弥生「……わたしの能力を思い出してみて」

ふむ?

四宮は感覚を操作する能力だ。

主に覗き聞き。聴覚の強化だ。

あとは他人の感覚も操作できる。
こっちは集中力が続かないと無理。

……。

紅音「もしかしてあの時……」

弥生「せいかーい。痛かったから集中途切れた」

紅音「じゃあその覚醒痛がなくなったら!」

少年の視力は!

弥生「そのためにはわたしがずっといないとダメでしょ」

弥生「それは無理って言った」

そうだった……。

紅音「とにかく痛みがなくなるまでやれば自由に使えるんだな?」

弥生「今のわたしみたいにね」

……まだ覗き聞きしてたのか。

蒼太「ほいほい……」

いつまで落ち込んでるんだろう。

安価↓1~3 多い方
1.朝だよ!
2.まだ夜!

四宮とサエジマが消えた。いや違うな。

―― 紅音の部屋 ――

目が覚めたんだ。

ずっと起きてたような気もするが、結構寝た気がする。頭がスッキリしてる。

紅音「えーと、なんかやらなきゃいけないことがあったような……」


安価↓1~3 多い方
1.サエジマ、ソータ?
2.かくせーつー、なくす

おもむろに掌を出す。
確か、夢で……火がこの上に。

……おお。出た出た。

あったかい。でも、なんだか、身体が冷えて……。
そんでなんか頭痛い……いたい、さむい。いたい、いた、

紅音「いってぇ!!!」

痛みで火が消えた。
ついでに思い切り目が覚めた。

思い出した。体内の熱で火を創るんだ。
それってつまり、溜めてない状態でやれば今みたいに冷えるってことか。
下手すりゃ貧血だな。気を付けよう。

それでも溜めすぎてもダメと注意されたし、そもそも家の中でやるのは危ない。
火事になったりしたら……、

あれ、でも、夢の部屋は焦げ跡がなかったような。

あぁそうか。狙ったものだけを燃やせるからロウソクだけ燃えたのか。

じゃあ火事の心配はしなくていい……はず。


安価↓1~3 多い方
1.紙ゴミを集めて能力育成
2.念には念を。外でやる

チラシやらプリントやらをかき集め、一枚ずつ床に並べる。
一応、水を入れたバケツも用意。

紅音「準備はこれくらいでいいだろ」

目を閉じて、熱を溜めるよう集中。

冷えた身体が温まるのを感じる。

心臓の鼓動がひとつするたび熱くなる。

……。

安価↓1~2 コンマ合計値
00~80:まだ溜める
81~125:丁度よい火力
126~170:溜め過ぎ注意
171~:危険

……足りない。
もっと、燃えるように。


安価↓1~2 コンマ合計値
00~21:まだ溜める
22~70:丁度よい火力
71~120:溜め過ぎ注意
121~:危険

――――――――――――
57+44=101
――――――――――――

身体が熱い。
燃えて、燃えて……いい感じだ。

この熱を、火に!!

並べたやつの真ん中を狙って、撃つ。
ロウソクを狙ったように。あの時のように。

なのに手から出た火は、明らかに火力が違った。

火柱だった。まるで火炎放射のように、それは紙ゴミを襲った。

間近で見ているのに、この光景に対して何も感じない。

溜まった熱は身体から離れ、急速に冷やされ、頭が麻痺してるからだと思う。

…………。

紅音「いたいいたいいたいいたい」

突如くる頭痛で引き戻された。

前に比べれば痛みは弱くなったが、まだ頭を抱える程度には痛い。
早く自由に使えたらいいのに……。

紅音「まだ紙は残ってる?」

床に並べたそれらは狙った箇所は燃え尽き、そこ以外はまるで何もなかったかのように……。

燃えた紙の下の床には焦げ跡は一切ない。不思議な火だ。

頭痛が収まるのを待って紙を再度並べる。

紅音「練習といっても最初のうちは間隔なしにやれないやつだ」

練習は質より量だと思っていた。
が、一回一回頭痛がきてちゃ量は無理。練習は一回の質で勝負することになる。
それを実感した。

まずは溜める熱のコントロールからだな。
それを掴んで、今の限界を知ることから始めよう。

慣れれば頭痛も軽くなる。
つまり、質より量ができるということにもなる。

少しずつでいい。この能力を早く自由に使いこなす。

……無力な自分を殺し、今度こそ早く動くために。

安価↓1~3 多い方
1.練習の続き
2.休憩も必要

しかし今日だけで頭痛がしなくなるようにとは思っていない。
休憩も必要だ。

……休憩ねぇ。

とりあえず気分転換をするために、

安価↓1~3 多い方(同率ならコンマ近いやつ)
1.パソコン
2.携帯
3.外出

外に出てみることにしよう。
荷物は必要最低限でいいだろう。

…………。
……。

どこに行くとか考えずに出たけど、散歩なら問題ない。
適当に歩いて気になったとこに行こう。

流れに身を任せ、辿り着いたのはショッピングモール。
様々な店舗があって何かが欲しいときはここに足を運ぶ人が多い。

紅音「まゆり?」

前にあるエスカレーターで上に行く姿を発見。
誰かと一緒にいる。こちらには気付いてない。
誰だ? 女学院の友達か?

弦「あ、上月さんだ。おーい」

後ろからはアリアの声がする。
しかし振り向いたらまゆりを見失ってしまう。

どうしようか。

安価↓1~3 多い方(同率ならコンマ近いやつ)
1.無視は出来ない。振り向く。
2.聞こえないフリでエスカレーターへ。
3.聞こえないフリで横にある店へ。

まゆりが自分以外の友達といるなら、邪魔しない方がいいだろう。
それに無視するのは気が引けるというのもある。

紅音「こんなとこで会うなんて偶然だな」

足を止めてアリアの方へ向く。

弦「上月さんも買い物?」

紅音「いや、気分転換に出かけただけ」

アリアの手元を見る。何も持っていない。

紅音「アリアは何買うんだ?」

弦「夕飯の買い出しとかお菓子とかを」

紅音「へー。自炊ってやつ?」

アリアの買い物に付き添うことにした。

弦「違いますよ。母さんの手伝いしてるだけです」

紅音「えらいな」

弦「そんなことないですよ。それより、夢の続きはどうなりました?」

そういえばアリアとは夢で一度も会ってないし、何ならアリアの部屋の物、能力も不明のままだ。

紅音「色々と進展あったよ。そっちは?」

弦「同じくです。あ、薬局にも寄っていいですか?」

紅音「薬局?」

紅音「もしかして頭痛薬でも買うのか?」

覚醒痛に市販の薬が効くのか?
そもそも慣らしてる途中だから効かしたらダメなのでは。

弦「違いますよ。ビタミン剤を買うんです」

普通に買い物だった。


安価↓1~3 多い方
1.夢、能力について聞く
2.普通に世間話をする

紅音「そんで痴漢を倒したわけ」

荷物が増えてく一方、路地での痴漢撃退を話していた。

弦「それで最近パトロール強化とかやってたんですね」

紅音「人通りの多いとこはいいから、狭い道をやってほしいよ」

強化してたのに昨日の騒ぎが発見されなかったのか。
しっかりパトロールしてくれよ。

弦「ですね。少しは悪い人は減ったと思ったんですけど」

紅音「全くだ。どうしてあんなこと出来るのか不思議だよ」

弦「そうそう、上月さんって元女学院でしたよね」

紅音「あぁ。それがどうした?」

弦「それがどうとかじゃなく、それなら、という話なんですが」

弦「今朝の事件知ってますか?」


弦「百合咲邸爆破事件」

紅音「え、ごめん。ニュース見てなくてさ」

起きてから能力のことしか考えてなかった。

紅音「それに今、どこが爆破されたって?」

何でアリアからその名が出る。気のせいだ。

弦「百合咲邸です。女学院に通うお嬢様の家が爆破されたって今朝のニュースでやってて」

弦「しかも一番年下の人が同級生と分かって、もしかしたら知ってる人かなと思いまして」

なんで、こういう時だけ当たるんだ。
百合咲、ゆりさき、まゆり。

じゃあさっきのは何だ。
一緒にいたのは、誰だ。

……それよりもだ。
どうして、まゆりだけが痛い目を見る!!

安価↓1~3 多い方(同率ならコンマ近いやつ)
1.携帯で呼び出す
2.詳細を問い詰める
3.モールの中を探しまわる

紅音「アリア、詳しく話せ」

弦「知ってる人でしたか?」

紅音「話せ」

服を引っ張って思い切り叫びたいが周りに人がいる。
目立つのはよくないだろう。

弦「……ちょっと怖いですよ。話しますから落ち着いて」

弦「ニュースの話だと、爆破されたのは深夜らしいです」

弦「近くに住む人が目撃していてすぐさま録画。それをテレビ局に渡したそうです」

弦「えっと、これです」

アリアは携帯から動画サイトを開き、ニュース映像を見せてくれた。
そこには、まゆりの住む家がすでに半壊されたものが映っている。
音は無し。音声は迷惑という判断だろう。

紅音「上の階だけが吹っ飛ばされてるな」

弦「はい。ですが、だからといって下が無事という訳でもなく……」

紅音「確かに。爆風で下もやられてるな」

まゆりの部屋の位置は……見事に吹っ飛ばされている。
あれで助かったのか。

いや、そもそもあれから帰ってなかったのかもしれない。
深夜に家で爆発が起きて無傷でいられるのか?

紅音「……被害者は?」

弦「幸いなことに死者はなく、家にいた人は火傷、もしくは打撲などの軽傷」

弦「知ってるのはこれくらいです。誰がいつ爆弾を設置したかはこれからのようです」

紅音「分かった。ありがとう。あと、悪かった」

紅音「最近どうも気が焦ってて。気分転換のはずなのに、上手くいかない」

弦「気にしないでください。知り合いだったら気になるのは当然です」

弦「知り合いじゃなかったらここまで取り乱さないですよね」

紅音「悪かったよ。忘れてくれ」

とにかくよかった。と言うべきだろうか。

少なくとも死者はいないという点では喜んでいいだろう。

だが、違う点から言えば喜べない。

弦「それでは僕は失礼しますね」

話に夢中になってる間に買い物は終わっていた。

紅音「あぁ」


安価↓1~3 多い方(同率ならコンマ近いやつ)
1.引き留める
2.まゆりの家付近に行く
3.帰って能力育成の続き

―― 百合咲邸 近辺 ――

警察の立ち入り禁止の黄色いやつが張られてある。
遠くからでも火薬の匂いがする。

さすがにもう中にいた人は避難した後だろう。

……。
無事、なんだよな。

警官「こらきみ。ここは危険だ。帰りなさい」

紅音「すいません。でも友達の家で、気になって」

警官「なら避難所に行くといい。周辺住民は高校の体育館にいるし」

警官「事件のあった家の人や近くを歩いてた人は病院で検査してもらってるはずだよ」

紅音「わ、分かりました」

当たり前だが先へは進ませてくれないようだ。

高校って自分のとこのだよな。
女性だけなら女学院でもいいけど、そうじゃない。
一緒にいた人物が避難所にいるとしたら、まゆりもそっちにいるのかもしれない。

しかし病院にはまゆりの家族がいる。
ショッピングモールには必要なものの買い出しに行ってたと思えば、そっちにいるはず。

どちらにせよ、そこにいる確証がない。
病院か、学校か。

紅音「考えてもしょうがない」


安価↓1~3 多い方(同率ならコンマ近いやつ)
1.病院へ
2.学校の体育館へ
3.帰って能力育成の続き

―― 病院 ――

来たはいいけど、どこにいるのか分からない。

受付で聞けばいいだけの話か。

紅音「すいません。百合咲さんって今どちらに」

…………。
……。

一番奥の病室とその手前の病室で療養中とのこと。
奥のプレートにはまゆりの両親の名前のみ。
手前のプレートには……、

安価↓1~2 コンマ近いやつ
まゆりの兄弟
兄,姉 から 最大二人,重複有

手前のプレートにはお姉さんたちの名前。

まゆりの名前がどこにもない。
……無事だったと思っていいんだよな。

あの事件もあって、自分はまゆり以外の百合咲家の人には嫌われている。
だから、話を聞く気にはなれなかった。

病院にまゆりはいない。ここに帰ってくるのかも分からない。
どこにいるんだろう。学校の方だったのか、違う場所だったのか。

帰ろうと一つ二つ病室を過ぎた時、聞き覚えのある名前が目に入った。

いや違う。その名前だけ、ハッキリと視界に映った。

吉田司。夢で出会ったあの少年の名前だ。

少年の名前のある病室だ。

安価↓1~3 多い方
1.ノックする
2.素通りする

ノックしてみる。

「どうぞ」

女性の声だ。聞き覚えのある声。

紅音「失礼します」

弥生「……」

そこにいたのは、四宮だった。
夢でしか会っていない人間に、現実で会えた。

ベッドの方には少年がいる。寝ているようだ。

紅音「なんでここに四宮が!」

弥生「静かにして。起きちゃう」

紅音「あ、ごめん」

弥生「こっちでは初めまして。上月先輩」

紅音「え、誰ですか」

四宮に似た誰かか? こんな礼儀正しい四宮は知らんぞ。

弥生「……あれは夢でのわたしです」

紅音「お前は心の覗き魔か?」

四宮本人と確信した。

弥生「聞き覚えのある音がしたので、お呼びしました」

紅音「ってことは、視覚イジリやがったな。妙に少年の名前だけハッキリ見えたぞ」

弥生「おかげで、頭が痛いです……」

紅音「呼ぶなら普通に呼んでくれればいいんだよ」

弥生「それは、できません」

紅音「どうして」

弥生「……恥ずかしい」

こいつ本当に四宮か?

弥生「それに目を離したくない」

少年の方をずっと見ている四宮。

弥生「覚醒痛が起きていないか確かめなくちゃいけないから」

紅音「……じゃあまだなのか」

弥生「だと、思います」

安価↓1~3 採用するかは運任せ
話題

百合咲家爆破事件について

いろいろ立て込んでましたが落ち着いてきたので早ければ明日から再開します。
遅くとも水曜に。

紅音「さっきから気になってることがひとつあるんだが」

弥生「は、はい」

紅音「夢と人格変わりすぎじゃないか?」

弥生「そんなこと……」

紅音「いやいや気になってしょうがない」

弥生「……あれは、あそこでの自分、だから」

紅音「? どういうことだよ」

弥生「夢なら、健康体そのものだから。身体が自由に動かせるんです」

弥生「あたしも、司も」

弥生「ある日の夢、意識がハッキリとしているのに身体が思うように動かせました」

弥生「嬉しかったです。きっとこれは完治の前兆だって思いました」

紅音「完治? どっか悪いとこでもあったのか?」

弥生「はい。激しい運動は命に関わるそうで、体育はしたことありません」

弥生「でも、あの部屋ではどんなに動いても疲れなくて、まさに奇跡の体験です」

弥生「お医者さんに止められていた運動を一通りやって、新しい自分になれたと思いました」

弥生「……目が覚めるといつもの自分。結局夢だったんです」

弥生「それなら、夢のあたしは現実とは違うあたしになろう。そう決めました」

紅音「違和感の正体はそれか。よく知ってる四宮は演じてたってことだな」

弥生「簡単に言うんですね……先輩は現実でも変わらないようで何よりです」

安価↓1~3 多い方
1.夢で少年の視力は治らないのか
2.>>662

紅音「夢なら健康体ってことは、少年の視力はどうなる?」

弥生「それは先輩が確認した通りです。治ってません」

紅音「どうして?」

弥生「司は知っての通り、目が見えません。視覚情報はゼロです」

弥生「色の問答をした時と一緒です。視覚の情報がないなら色彩情報もない」

弥生「おそらくですけど、色を知らない司だから夢でもそれは引き継がれるんじゃないかと」

紅音「ということは……四宮は運動を知っているから夢でそれが出来た」

紅音「反対に、少年は色を知らないから夢でも視力は失ったままだと。そう言いたいんだな」

弥生「はい。ただの憶測ですが」

紅音「なるほど。何となくわかった」

話している間、四宮は少年をずっと見ている。

紅音「そんなに少年が心配か」

弥生「心配してたら駄目ですか?」

紅音「いや、そんなんじゃない。お前たち二人に何があったかは知らないけど、大事な人なんだろ」

紅音「それに心配する人なら、こっちにだっている」

紅音「四宮は知ってるか? 爆破事件のこと」

弥生「事件ですか? ……騒がしいのはそれが原因ですか」

紅音「その様子だと知らないんだな」

弥生「はい。今は事件より司ですから」

弥生「先輩の話は以上ですか? 次はあたしの番です」

紅音「え。あぁ。なんだ?」

弥生「ひとつ、先輩の能力について」

弥生「ふたつ、どうしてここにいるんですか」

弥生「知りたいのはこれだけです」

安価↓1~3 多い方(同率ならコンマ近いやつ)
1.両方答える
2.能力は伏せる
3.沈黙

四宮になら教えていいかもな。

紅音「火を操れるんだとさ。まだコツを掴む練習中だけど」

紅音「分かってることと言えば、焦げ跡が残らないということしか」

紅音「あ、それと夢部屋のモンを焼き尽くして部屋を寂しいことにしてしまった」

弥生「そんなの初めて聞きましたよ。先輩らしい豪快な能力ですね」

紅音「おちょくってんのか? まあいい。あとはここにいる理由か」

紅音「それがさっき言った爆破事件に関係してくんだけど……」

まゆりの名前は伏せて、詳細を話す。

昨日、能力を持った疑いのある友達と会ったこと。

別れたあと、自分は夢の中で能力に目覚めたこと。

今日、練習の気分転換に出かけた先でその友達の家が爆破されたのを聞いたこと。

そして今、友達を探しにここまでやってきたことを話した。

弥生「なかなかすごい体験ですね」

紅音「夢部屋で友達に会った四宮の気持ちも何となく分かるけどな」

弥生「……話を聞くと、災厄絡みかもしれません」

紅音「災厄、って、敵のことだよな? 襲われたっていうのか?」

弥生「確証はありません。ですがあたしたちの能力の暴発は滅多にないケースなのは確かです」

紅音「第二世代は比較的安全にって奴は言ってたよな」

弥生「はい。なので事件の真相として可能性のあるのはみっつ」

弥生「ひとつ、能力の暴走」

弥生「ふたつ、災厄の襲撃」

弥生「みっつ、能力とは無関係な爆破事件」

弥生「こんな感じでしょうか。ちなみに下にいくほど可能性は高いです」

紅音「少し話しただけなのによくそこまで思いつくよな」

弥生「ただの妄想です。あてにしないでください」

話が終わると病室が静かになった。


安価↓1~3 多い方
1.もう病院に用はない
2.少年の様子を見守る

紅音「…………」

四宮と一緒に寝ている少年を見守る。

紅音「それで少年はどうなんだ?」

弥生「今はまだ様子見です。夢でも一緒にいられたら……」

紅音「それは無理なのか? 四宮と一緒になることが多いけど」

弥生「選べるなら昨日は司といます」

紅音「そりゃそうだ」

四宮との話で騒がしくしたのにも関わらずよく寝ている。
何も知らない人が見ればそう思うだろう。
しかし少年は今もどこかの夢部屋にいる。そこで何をしているのかが心配なのだろう。

安価↓1~3 多い方
1.帰って能力特訓
2.少年の様子を見守る
合計値コンマ判定
奇数:何もない
偶数:イベント

(2-奇数の場合)
(安価↓1~2)
(何か聞きたいこと、言いたいことなど話題)
(採用するかは運任せ)

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