高垣楓「ハジマリを歌おう」 (18)

柚『あっ』

柚『ごめん。アタシ、ジュースなくなっちゃった。取ってくる』

比奈『あ、はい。次からはちゃんと用意しとくっスよ』

楓『比奈ちゃん、私も、えっと……ちょっとフラワーアレンジメントに…』

比奈『あ、はい。ツッコんだ方がいいっスか?』 

仁奈『比奈おねーさんと仁奈でお留守番でやがりますね』

比奈『そっスね。そっスね?いやこれ本番中に4人中2人いなくなるって放送事故と違いまス?』

『ゆるくていい感じなんで大丈夫です』

比奈『おーおー。チャットでご参加のプロデューサーは気楽でいいっスね〜』

仁奈『いざとなったら仁奈が3人分になるですよ!』モフモフ

比奈『はい視聴者のみなさん、アタシじゃないっス。アタシは仁奈ちゃんに読ませてないっス』

仁奈『??』

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柚『ただいまー』

比奈『はいおかえり』

仁奈『はい問題でやがります!ほんものの仁奈はどれでしょー』

柚『な、なにー。仁奈チャンが、いち、にい、さん……たくさん!』

比奈『たくさん』

仁奈『ふっふっふー。まちがえたらさいご、もふせんこきーせる♪でごぜーますよ』

比奈『なにそれ』

柚『うわあ。着たい』

仁奈『やったあ。じゃあこんどいっしょにどれ着るか選ぶですよー』

柚『わーい。いいねっ。やろやろ』

比奈『なにこれ』

柚『よっこいしょー』

比奈『こら。アイドルがよっこいしょとか言わない』

柚『わっ。家だから油断してたカモ!しまった!ここまでアタシすごいきんちょーかんとともしっかりお届けしてたのにっ』

比奈『そう思ってたのは柚だけっス』

仁奈『柚おねーさんでもきんちょーしやがりますか』

比奈『辛辣』

柚『するする。やっぱりちょっとねー、自分の部屋からおとどけっ!って、なんだか落ち着かないよねー』

比奈『わかる』

仁奈『そっかー。そういうもんでやがりますかねー』モフモフ

比奈『仁奈ちゃんは文字通りホーム開催って感じっスよね』ツヨイ

柚『わかる』

仁奈『??』モフマルケー

楓『…』コソコソ

比奈『はい楓さんおかえりっス。その右手にあるのは?』

楓『ぎく』

楓『ただいま、比奈ちゃん。ん?どうかした?』

比奈『はいアイドル。さすが。さすがの笑顔。どうもしてないっス』

柚『ちょろい!比奈サンちょろい!』

比奈『だってずるくないっスか!え?自宅で?普段着の楓さんの明らかになんかごまかしてる笑顔とか??はい死んだっスわ』

仁奈『比奈おねーさんがぐれたでやがります』

柚『比奈サンにはちょっとまぶしすぎる笑顔だったかー』

楓『ふふふ。ウインクとか、してみる?』

比奈『きゃー楓さーん』

柚『ファンの方カナ?』

比奈『冗談はさておきっス』

柚『お。切り替えた』

仁奈『さすがでごぜーます』

楓『だ、大丈夫。飲んだりはしないから。えっと、ご紹介、話のネタになったりするかなーと思って……つい』

比奈『あ、それいいんじゃないっスか。楓さんの推し酒』

楓『ふふ。まあ、これは比奈ちゃんが見つけて、頼んでくれたやつなんだけど』

比奈『おっと油断してたっス』

『その話くわしく教えてください』

柚『あっプロデューサーだ』

比奈『おいこら』

仁奈『まだぐれてるでごぜーました』

楓『お家飲みようのお酒を、比奈ちゃんがいろいろ見つけてくれるんです。SNSでおすすめされているものとか……。ね、比奈ちゃん。いつもありがとう』

比奈『やー。そんな大したことじゃないっスよ、ほんと』

仁奈『比奈おねーさんと言えばですね、仁奈がいまこうしてつうわできるのも比奈おねーさんがぱそこんを置いてくれたからなんですよ!』

比奈『そんな、だれでも出来るっス』

柚『それなら柚だって!比奈サンからマンガ借りてるもんねっ』

比奈『流れがおかしい』

柚『いつもたくさんツッコみアリガトー!』ニパー

比奈『どさくさにまぎれて、こら』

柚『てへ』

楓『でも、本当』

楓『比奈ちゃんがいないと、きっと今日だって、こんなふうに、楽しくて、ちゃんとした配信はできないと思うから。いつもありがとう』

比奈『……楓さん……』

比奈『……それ、なにげに柚と同じで要はツッコミありがとうっスよね?』

楓『てへ』

比奈『かわいい』ズルイ

仁奈『比奈おねーさん、いつもありがとーごぜーます』

比奈『や、そんな、そんな』

比奈『こ、こほん』テレテレ

比奈『はあ。じゃあ、まあ、のせられまス。のせられてやるっスよ』

柚『いけいけ比奈サン』

仁奈『よろしくおねがいするですよー』

比奈『うん』

比奈『はい。楓さん。そろそろ時間も少なくなって来ましたから』

楓『うん』

楓『比奈ちゃんの司会進行、ばっちりです。ありがとう』

比奈『いえいえっス』

比奈『高垣楓のお家飲み講座はまた次回っスかね』

楓『あ、ぜひ……ふふ』

楓『では、みなさん』

柚『はいっ』

仁奈『はい!』

比奈『はーい』

楓『はい』

楓『楽しかったね?』

柚『楽しかったー』

仁奈『楽しかったー!』

比奈『楽しかったっス。疲れましたけど』

楓『ふふ。お疲れさまでした』

楓『それから、私たちを見守ってくれた、みなさん』

楓『えっと……。はじめての、私たちの配信を観てくださって、どうもありがとうございます』

楓『新しいアイドルの形……そんなふうに、前を向いて、これからも、私たちは頑張ります』

楓『今日みたいに。えっと、ゆるく?』

比奈『まあ、ある程度は』

柚『自由に楽しくね!』

仁奈『もふもふに、明るくでごぜーます!』

楓『うん』

楓『そして、僭越ながらさいごに、私が少しお時間をいただきます』

楓『こほん』

楓『きっと、みんなの新しい明日が、素敵な明日になりますように』

楓『そして、私たちの新しい始まりを、見ていてください。そんな気持ちを込めて……』


・・・・・


楓「ふう」

楓(緊張した…。よかった。みんな、褒めてくれて)

楓「ふふ。楽しかったなー」

楓「?」ポコン

楓(プロデューサーさん)

楓「もしもし」

P『お疲れさまでした、楓さん』

楓「お疲れさまです。プロデューサーさんも、お疲れさまです」

P『いえ。俺はほとんど見守ってただけですから』

楓「心強かったですよ。ふふ」

楓「……私の歌、どうでしたか?」

P『すごく、素敵でした。でも、えっと……楓さんでもやっぱり、緊張するんだなって、思いました』

楓(ばれてる……)

楓「……ふふ」ニコ

楓「ばれてましたか」

P『はい。すみません』

楓「いえ」

楓「緊張も含めて、気持ちを込めて、歌えたと思います」

P『よかった』

楓「はい」

楓「プロデューサーさん」

P『はい』

楓「私、本当に」

楓「今日が私たちの新しい始まりだと思って……歌えました。だから」

楓「このお仕事、きっと、続けましょう」

P『……はい。もちろんです』

楓「はい」

P『じゃあ、柚たちにも連絡します。また』

楓「あ、プロデューサーさん」

P『?はい』

楓「えっと」

楓「なんでもないです」

P『え?』

楓「ふふ」

楓「いま、ちょっとだけ」

楓「余分に独り占めしました。内緒ですよ?」

P『…………』

P『それ、そんなの、言えるわけないじゃないですか』

楓「はい。だからしたんです」

P『……それは、その』

P『よ、よかったです?』

楓「はい♪よかったです」

楓「それでは、また」

P『はい。失礼します』

プツッ

楓「……」

楓「……あう。緊張した……」

楓「……」エヘヘ

楓「また、新しい明日……。明日も何かイイことあったらイイな。ですね♪プロデューサーさん」



・・・・・おしまい

☆おまけ 本番直後のプロデューサー


P「ふう」

P(うう、見てただけなのに緊張した……何事もなく終わってよかった……)

P(……なにごともなかったに入るんだろうか……)ウーン

P「ま、まあいいや。みんなに連絡しよう」

P「……いや、まずは楓さんか。えっと、みんなに、順番に連絡しますってLINEを」

ポコポコポコ

P「なんかいっぱいきた」

P「……なになに」

『Pサンおつかれー!とりあえず楓サンに連絡してあげてねー柚あとでいいよー』

『お疲れさまでごぜーます!楓さんのうた、すごかったです!仁奈のぶんもお伝えくだせー』

『お疲れさまでした。いろいろ言いたいことあるんでまたLINEしまス。楓さんによろしくお伝えください』

P「みんないい子かよ」

P「……比奈こわ。順番に連絡しよう……」ウン

おわりん

お読みいただきありがとうございましたー

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