コナン「光彦が死なねえ……」 (75)

コナン(キック力増強シューズの出力を最大にして──)カリカリ…

コナン(光彦の首の後ろにサッカーボールを叩き込む!)バチバチ…

コナン(喰らえッ!)

ドゴンッ!

ドシュウゥゥゥゥゥッ!

ボゴォッ! ベキィッ!

コナン(よし、首の骨が折れた音だ!)

光彦「あ、コナン君じゃないですか」

コナン「!?」

光彦「ひどいじゃないですか~いきなりボールをぶつけるなんて」

コナン「お前……今のでなんともねえのか!?」

光彦「当たり前じゃないですか!」

コナン(バカな!)

コナン(たしかに手応えはあった!)

コナン(くそっ、こうなりゃ別の手だ!)

コナン(腕時計型麻酔銃の針に、猛毒を塗った……)

コナン(ハワイで入手した、アフリカゾウですら一かすりで即死するシロモノだ)

コナン(小学一年生の光彦なら、まちがいなくやれるはず!)

コナン(喰らえッ!)

パシュッ!

チクッ

コナン(首筋にヒット! やった!)

光彦「今、首筋がチクリとしましたねえ」

光彦「虫でしょうか?」

コナン「!?」

光彦「コナン君、この辺りに虫が飛んでいませんでしたか?」

コナン「え!? あ、ああ……もしかしたら蚊じゃねえか?」

コナン「ほら、夏だしよ……」

光彦「…………」ニヤッ

コナン「!」

コナン(今の笑み……明らかに俺に向けていた!)

コナン(ヤロウ……!)

コナン(どうもボールだの麻酔針だのの飛び道具じゃ、効果がねえみたいだ)

コナン(だったら、あまり気は進まねえが──)

コナン(直接攻撃でやってやる!)

コナン(スケボーのヘリにカミソリをつけて……)

コナン(光彦のノドをかっ切ってやる!)

光彦「あ、コナン君、スケボーに乗ってどこかにお出かけですか?」

コナン「どこかに逝くのはオメーだよ、光彦!」

ギュンッ!

光彦「え!?」

コナン「あばよ、光彦!」ギュアッ

ザンッ!

コナン(よし、ノドと頸動脈を同時に切り裂いた!)

光彦「…………」ブシュウウウ…

光彦「刃物をつけたスケボーに乗るなんて、危ないじゃないですか!」ブシュウウ…

コナン「!?」

光彦「もう少しで、ボクの首が飛んじゃうところでしたよ」ブシュウウ…

コナン(スケボーのカミソリはたしかに光彦の首を切り裂いてる……)

コナン(なのに──)

コナン「光彦が死なねえ……」

光彦「さて、次はどうするんですか? コナン君?」ニヤッ

コナン「!」

コナン「だったらよ……」

コナン「出力マックスのキック力増強シューズで」

コナン「オメーがくたばるまで蹴りまくってやらぁ!」バリバリ…

光彦「どうぞどうぞ」

コナン「うおおおおっ!」ダダダッ

コナン(狙いはもちろん、頭だっ!)バッ

ドゴォッ!!!

コナン(光彦の頭が砕け散った……今度こそ!)

光彦「フフフ、大したキックじゃありませんでしたね」ドロ…

コナン「!?」

コナン「だったら次は胸だ! 心臓をぶっ壊す!」

ズドォッ!!!

コナン(胸骨もろとも心臓が破裂する感触があった!)

光彦「こんなものですか? コナン君」ボロ…

コナン「腰!」

ドガァッ!!!

コナン「肩!」

バゴォッ!!!

コナン「首!」

ベキィッ!!!

コナン「腹!」

ガゴォッ!!!

コナン「金的!」

ブチュァッ!!!

コナン「みぞおち!」

ドムゥッ!!!

コナン「肝臓!!!」

メキィッ!!!

コナン「肛門!!!」

ザクゥッ!!!

コナン「ハァ……ハァ……」

コナン「いくらなんでもこれだけキックを浴びせりゃ……」ニッ

シュゥゥゥ……

光彦「フフフ……」

コナン「!?」ギョッ

光彦「今、なにかしましたか?」

コナン「なんでだ……なんで死なねえ!?」

コナン「うっ、うおおおおおおおおおおっ!!!」

ズガァッ!!! ボグゥッ!!! ドゴンッ!!!

メキャアッ!!! ガゴッ!!! ズギャッ!!!

ドグァッ!!! ベゴンッ!!! ドムァッ!!!

バキャアッ!!! ズムッ!!! ボゴンッ!!!

ガキィッ!!! メリィッ!!! ボギャアッ!!!

ザシュゥッ!!! ズガァッ!!! ゴガッ!!!

ドズォッ!!! ミシィッ!!! ズンッ!!!

「オラオラァッ!」 「くたばれやァ!」 「オラァーッ!」

モクモクモクモク……

元太「くそっ、煙で全然見えねえぞ!」

歩美「コナン君の叫び声しか聞こえてこないよ!」

光彦「煙の中では、いったいなにが起こってるんでしょうか!?」

灰原「私たちも中に入った方がいいかもしれないわね」スッ…

阿笠「いや待て! 蔵馬君が出てきよったぞ!」

ザッ……

光彦「あの──」

蔵馬「もう終わった」

歩美「終わった?」

元太「じゃあコナンはいったい誰と戦ってるんだよ?」

「うおりゃあッ!」 「ウラァーッ!」 「キエァーッ!」

サァァ……

灰原「蔵馬さんが撒いた煙幕が晴れてきたわね……」

元太「あ!」

光彦「こ、これは──」

歩美「コナン君が、オバケみたいな木に捕まってる!」



コナン「なぜだァ~~~~~!」

コナン「なぜ死なねェ~~~~~!」

コナン「光彦ォ~~~~~!」



灰原「蔵馬さん、江戸川君を捕えているあの植物は?」

蔵馬「“邪念樹”」

蔵馬「エサに幻覚を見せ、おびきよせて寄生する」

蔵馬「最初に江戸川と出会った時、すでに種を植えこんでおいた」

阿笠「なるほど!」

阿笠「ばら撒いた煙幕は、目をくらますためではなく」

阿笠「邪念樹の幻覚物質が外にもれないためのシールドだったというわけじゃな!」

阿笠「ワシらや君自身が巻き込まれないために!」

蔵馬「ええ、そういうことです」

光彦「さすが蔵馬さん、すごい頭脳プレーですね!」

コナン「くそォォォォォ!」

コナン「なぜだァァァァァ!」

コナン「なぜくたばらねぇ~~~~~!」



蔵馬「邪念樹はエサが死ぬまで離さない」

蔵馬「しかし、いつまでもチンタラと黒の組織を追い続ける江戸川は」

蔵馬「死ぬことすらできない」

蔵馬「永遠に光彦君の幻影と戦い続けるがいい」



うおおおおおおおおお……!



蔵馬「お前は“死”にすら値しない」

うおおおおおおおおお……!

阿笠「いや~さすが蔵馬君!」

阿笠「あの新一君をこうもあっさりやっつけるとはのう!」

灰原「これで、米花町の治安は大幅に回復するでしょうね」

元太「でもよ、コナンの代わりはどうすんだ?」

光彦「そうですね。仮にも彼はボクたちの中心人物だったんですから……」

光彦「だれか代わりがいないと──」

蔵馬「それならすでに、俺がうってつけの人選をしておいた」

阿笠「いったいだれじゃ?」

うおおおおおおおおお……!

うおおおおおおおおお……!

ムクロ「オレだ」ザッ

ムクロ「これからはオレが、“名探偵ムクロ”としてお前たちとともに事件を解決する」

阿笠「ほう、これまたキレイな女性じゃのう」

歩美「それに、声がコナン君に似てるね!」

元太「あ、ホントだ! 声がコナンにそっくりだ!」

灰原「頭も工藤君に負けず劣らず切れそうだし、文句のない人選だわ」

蔵馬「そういってもらえると、彼女を連れてきた俺としても鼻が高いよ」

うおおおおおおおおお……!

うおおおおおおおおお……!

光彦「でも、ちょっと気になる点があるんですが」

ムクロ「なんだ?」

光彦「あなたは魔界では三大勢力の一角を担うほど」

光彦「妖力も兵力もずば抜けていました」

光彦「そんな人が、どうしてボクらみたいな小学生に協力してくれるんですか?」

ムクロ「オレがお前たちに協力する理由か? そうだな……」

うおおおおおおおおお……!

うおおおおおおおおお……!

ムクロ「この外見から想像はつくと思うが」

ムクロ「オレの半生は決して幸せだといえるものではなかった」

ムクロ「だが、ある男の計らいによってオレの中の呪い──」

ムクロ「いや、迷いは消し去られた」

ムクロ「それで、今までにやったことのない、新しいことをやってみたくなってな」

ムクロ「この蔵馬の誘いに乗ることにした」

うおおおおおおおおお……!

うおおおおおおおおお……!

阿笠「なんとも泣かせる話じゃのォ……」

灰原「探偵業は色々な仕事があるし、新しく始めることとしてはうってつけだしね」

元太「へへへ、よろしくな!」

歩美「歩美も先輩として色々教えるからね!」

ムクロ「ああ、よろしく頼む」

うおおおおおおおおお……!

うおおおおおおおおお……!

光彦「ああ、そういえば!」

光彦「あなたは元々、奴隷商人痴皇の玩具奴隷だったんですよね!」ニッ

ムクロ「!」

光彦「で、誕生日に自分から酸をかぶって、奴隷から解放されたらしいですね!」

光彦「いやぁ~ムチャなことをする人ですねぇ」

蔵馬「み、光彦君……」

うおおおおおおおおお……!

うおおおおおおおおお……!

ムクロ「もう……終わったことだ。奴はすでにこの手で殺した」

蔵馬「光彦君、その話は止め──」

光彦「なんでも痴皇によって、ニセの楽しい記憶をインプットされてて」

光彦「実力では負けるはずのない相手なのに、なかなか殺せなかったとか!」

光彦「そんな無駄な葛藤を繰り返しながら、あなたは強くなっていったんですね!」

光彦「いやぁ~ホントあなたって哀れな人ですよね!」

ムクロ「…………」

うおおおおおおおおお……!

うおおおおおおおおお……!

ムクロ「…………」ザッ

光彦「ん、どうしたんです?」

光彦「そんな怖い顔をしないで下さい。ボクは真実を話してるだけじゃないですか!」

光彦「探偵たるもの、真実を追究するのが務めなんですから!」

ムクロ「…………」

光彦「ボクらの合言葉は、真実はいつもひと──」


ズギャ!!!!!





おわり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年02月18日 (火) 15:52:04   ID: CPbckRzO

まあそうなるよね

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