男の娘「なんなの? ウザいなぁ……」 (92)


男の娘「…………」スタスタ

男子1「お、ヒョロガリ君じゃん。おいーっす」

男子2「そんな女みてぇな見た目で男として恥ずかしくないの? 筋トレぐらいしたら?」

男の娘「…………」スタスタ

男子1「無視ですか」

男子2「……あ、おい、ちょっとこっち来いよ」ガシッ

男の娘「は? なんで、離せって……!」ジタバタ

男子2「ぷっ。そんなんじゃ振りほどけないよー?」

男子1「なにすんの?」

男子2「こいつの服脱がして写真撮るんだよ」

男の娘「はぁ!?」

男子1「おいおい、お前ホモかよ」

男子2「最近彼女とヤるのも飽きたし、こいつ顔はいいからチンコ生えた女みてぇで良くね?」

男子1「…………ま、やってみっか」

男の娘「おい! 離せよ!」


男子2「よしヤるか。お前抑えてろよ」

男子1「なぁ、このトイレって人あんま来ねぇけど、いま昼休みだしさすがに隠れた方がよくね? 個室入ろうぜ」

男子2「狭くて3人も入れねぇだろ」

男の娘「んん! ぅんんん!」ジタバタ

男子1「うおっとっと」

男子2「暴れんじゃねぇよクソが」ボコッ

男の娘「んぐぅ!」

男子1「殴るのはまずくねぇか?」

男子2「腹なんてどうせ見えねぇし手加減してるって。それじゃ、ズボン下ろしまーす」

ガチャッ

男子1「おい!」

男子2「あ? ああ、お前か。今取り込み中だから、便所なら他んとこ行って」

イヤアアアアアアア!!!

男子1「うるせぇ……!」

男子2「おいてめぇ!! 馬鹿デケェ声だしてんじゃねぇよ!」

<なんの騒ぎだ!

男子1「やべぇ! 先生来んぞ!」

男子2「ったく! 死ね!」ドタバタ


教師「なにがあった!?」

男の娘「…………」

カクカクシカジカ

教師「男子1と2がそんなことを……よし分かった。あとで呼び出して指導しておく。無事で何よりだ」スタスタ

男の娘「…………それだけかよ。こっちは脱がされそうになったっていうのに」

男の娘「……たしか同じクラスだったよね……君、助けてくれてありがと。じゃあボク行くから」

男の娘「は? イジメられてるのって……見れば分かるじゃん、アホなの?」

男の娘「ボク生まれつきこんなんだから、ちょっと馬鹿にされるくらいあったんだけど……高校生にもなってここまでされるとはね」

男の娘「別に平気だし……心配なんてされる筋合いないし。ていうか今まで気づかなかったくせになんなの? ウザいなぁ……」

男の娘「……でもこれで君もあの馬鹿2人に目をつけられちゃったんじゃない? ボクが言えたことじゃないけど、気をつけたら?」

男の娘「バイバイ」


〜〜〜〜〜〜

男の娘「……なんで図書室にいるの? 放課後なんだから帰りなよ。部活入ってないんでしょ?」

男の娘「ボク? ボクは……本読みに来ただけ……」

男の娘「……やっぱりバレてるか。あれ見て、校門のほう」

男の娘「いるでしょ? あいつら待ってるみたいだよ」

男の娘「裏口から出れる? あれ、そんなのあったんだ……でもあいつらのせいでこっちが裏から帰るなんて悔しいじゃん。やだ」

男の娘「そんな訳でちょっと時間潰しにきた。にしても放課後の図書室って誰も居ないんだね。君とボクだけじゃん」

男の娘「え、君って図書委員だったんだ? じゃあカウンターに居なきゃだめでしょ」

男の娘「たしかに誰も居ないけど……なーんだ。ボクのこと助けたからしっかりしてる人かと思ったけど、意外といい加減なんだね」

男の娘「いいんじゃない、いい加減でも。と、いい加減に答えてみる」

男の娘「それにしてもやることないなぁ。宿題? やだよ、来週提出だし休みにやるよ」

男の娘「それよりさ、なんか面白い本ない?」


男の娘「『坊っちゃん』? えー……難しくない? もっと軽いのちょうだい」

男の娘「あっ、『蜘蛛の糸』! それの絵本病院で読んだことある!」

男の娘「え? べつに身体が弱くて病院行ってたんじゃないよ。悲劇のヒロインじゃあるまいし、ドラマの見過ぎじゃない?」

男の娘「見た目弱そうに見えるからそう思われても仕方ないんだけどさ。てかボクが行ってたのただの歯医者」

男の娘「これ、怖くて好きだったなぁ。病院に置くもんじゃないよね」

男の娘「じゃあボクそれにする。何年振りに読むんだろ」


男の娘「…………」ペラッ

男の娘「…………」

男の娘「……な、なに? こっち見ないでよ、気になるでしょ」

男の娘「読むの遅い? それはだって……しょうがないじゃん本なんてほとんど読まないもん」

男の娘「早く読むからえらいなんて無いでしょ? じっくり読ませてよね」

男の娘「…………」ペラッ

男の娘「……? あれ? まだページあるのにこれで終わり?」

男の娘「あ、何本かまとめて載ってるのか」

男の娘「う、うるさい、目次読み落としたくらいで笑うな」

男の娘「おバカじゃない! 読み慣れてないだけ!」

男の娘「まったくもぉ……見てろよぉ、ちゃんと次の話も読みきってやるからな……」ペラッ

男の娘「……それにしても……活字って、読んでると、だんだん眠く……」


ユサユサ

男の娘「……ん、んん? あれ、ボク寝ちゃってた? 起こしてくれてありがと。今何時?」

男の娘「もう6時か。うっ……お腹痛い……」

男の娘「あ、そっか、君が来る前だったっけ。お腹パンチされたんだよ、ボクが暴れたから」

男の娘「大丈夫大丈夫、心配しないで。病院なんて行かなくても平気だって」

男の娘「それより、もうあいつら消えた?」

男の娘「どれどれ……お、いなくなってる。よしよし」

男の娘「それにしても、ふぁ〜……はぁ、図書室に来てよかった。久しぶりにぐっすり眠った気がする。イスで寝たからちょっと体痛いけどね」

男の娘「んじゃ、帰ろっか」

男の娘「なに? あ、施錠ね。こういうのって司書さんがやるんじゃないの?」

男の娘「今日は休みなんだ。へぇー、大変だね」

男の娘「どうせ誰も来ないんだから閉めときゃいいのに」

男の娘「……今日はボクが来たけどね。そっか。そう考えると閉まってなくて良かった」

男の娘「じゃあ鍵返しにレッツゴー」

男の娘「え、なに? ボクが付いて来ちゃだめ?」

男の娘「そんなことないよね。もしあいつらが隠れてたら怖いじゃん……また守ってよ」

――――――

男の娘「…………」キョロキョロ

男の娘「よし。下駄箱周辺、クリア」

男の娘「あれ、知らない? 敵がいないことが分かった時に使う言葉。ゲームとかで聞かない?」

男の娘「知らないのか……ボクってオタクなのかな……」

男の娘「……よかった。今日はちゃんと靴あったよ」

男の娘「当たり前なんだけどね、普通だったら……」


男の娘「…………」テクテク

男の娘「ねぇねぇ。あのさ……」

男の娘「お昼休み、ごめんね」

男の娘「なんのことって……ほら、助けてくれたのにあんな態度しちゃって」

男の娘「悪口とか物隠されたりとかはあったけど、あんな乱暴されたのは初めてだったから気が動転してて、先生もすぐ帰っちゃうし……」

男の娘「腹が立ってしょうがなくって……よりによって助けてくれた君に当たっちゃった。冷静に考えたらボク、ひどいこと言っちゃったと思って……」

男の娘「……気にしてないの? 本当? た、たしかにムカついてたら一緒に帰ってなんかないと思うけど……」

男の娘「ううん、でも謝らせて? 本当にごめんなさい」

男の娘「……許してくれるの?」

男の娘「今まで気づかなくてごめん? あ、ごめんねボクが変なこと言ったから……あいつら人がいないとこでしかイジメてこないし、わかんないよね……」

男の娘「でも今日は助けてくれて……本当にありがと。君って優しいんだね」

男の娘「ねぇねぇ、なんか食べて帰ろうよ。今日はお詫びにおごってあげるから」

男の娘「え、教室とキャラが違う? 失礼だな、ボクは本来良い人なんだから。環境で人は変わっちゃうの」

男の娘「漢文の授業であったじゃん。『江南の橘、江北の枳となる』って。覚えてないの? ふふーん、だめだなぁ。真面目なフリして授業聞いてないんだ?」

男の娘「そういえば君の家ってどこなの?」

男の娘「へぇー。案外ボクの家と近いんだね。中学どこだったの?」

男の娘「……全然知らないや。高校になって引っ越してきたんだ?」

男の娘「あ、そうだねどこで食べる?」

男の娘「そこのファミレス? あんまりいっぱい食べないでね? えっとねー……千円以内!」


店員「いらっしゃいませ、2名様ですね?」

男の娘「はい」

店員「こちらのお席へどうぞ」

男の娘「どっこいしょー」ポスン

男の娘「なに頼む? ボクはねー……」

男の娘「山盛りポテトとドリンクバーかな。ポテト少し手伝って? ちょっと多いんだ。君は?」

男の娘「……ハンバーグ。ドリア……え、それとフライドチキンとドリンクバー……? た、食べすぎじゃない? ていうか! 千円以内って言ったよね!?」

男の娘「収まってる? ウソでしょ……? ちょっと待って計算するから!」

男の娘「…………ほんとだ。ぴったり千円だ……ハンバーグ単品って安いんだね」

男の娘「でも食べられるの? ボク手伝えないからね? 無駄にしないでよ?」


店員「お待たせしました。山盛りポテトです」

男の娘「あ、ボクです」

店員「どうぞ。こちらハンバーグと、ミートドリアと、フライドチキンになります」

男の娘「全部そっちです」

店員「前、失礼致します。ご注文の品は以上でしょうか」

男の娘「はい」

店員「ごゆっくりどうぞ」

男の娘「……ねぇねぇ、やっぱり多いよ。食べられるの?」

男の娘「大丈夫なの? すごいね……ボクそんな食べられないから、うらやましい」

男の娘「すごくおいしいって思ってもあんまり食べられないんだもん。好きなだけ食べられるのってちょっと憧れるんだぁ」

男の娘「あ、ドリンクバー行ってきてくれるの? ありがと、お願いします」


男の娘「ハンバーグおいしい? ……ねぇねぇ、ボクにも一口ちょうだい? 出資者はボクだぞ。いいじゃんひとくち!」

男の娘「あーん。え? フォーク出すのめんどくさいもん。あーん」

男の娘「んっ。おいしー! ドリアもひとくちちょうだい!」

男の娘「あー……ってちょっと! 絶対熱いじゃんそれ! 冷まして冷まして」

ふー、ふー

男の娘「あー、んっ。おぉ……ドリアもおいしいね」

男の娘「チキンはいいよ、もう無くなっちゃいそうだし。お礼にポテトあげる」

男の娘「あーんして、はい」

男の娘「おいしい? よかった♪」

男の娘「……ドリンクバー行くの? じゃあボクのもお願いしまーす♪」

~~~~~~

店員「ありがとうございました」

男の娘「おいしかったねー。それにしてもきっちり千円分食べるなんて、遠慮がないんだから」

男の娘「いっぱい食べるから君って大きいのかな? 身長何センチ?」

男の娘「175もあるの? いや充分高いよ……ボクより30センチ近く高いじゃん」

男の娘「ボクも大きくなりたいなぁ……君みたいにいっぱい食べたら大きくなれるかな?」

男の娘「……このままでいいの? えぇー……だってチビで女みたいだからイジメられてるんだよ? いいわけないじゃん」

男の娘「……ほんとにいいの? じゃあイジメられたら君が守ってよ?」

男の娘「えっ、ほんとに守るの!? じょ、冗談だよ。守るなんて……無理だよ……」

男の娘「いいよ。君がボクを助ける義理なんて無いんだもん」

男の娘「……ぇ? 友達だから? 友達……ボクが……」

男の娘「…………」

男の娘「……あっ、ごめんね、考えちゃってた。なんかそういうの久しぶりだなって」

男の娘「友達……あんまり居なかったから……」

男の娘「君はボクの友達になってくれるの? ……って、なんか小学生みたいだねこれ」

男の娘「うん。これから友達として、よろしくお願いします♪」

男の娘「でも助けるとかはほんとにいいよ? 巻き込みたくないし……」


男の娘「着いたぁ。ここがボクの家だよ」

男の娘「……あ、それでさ、もしよかったらでいいんだけど……これから朝一緒に登校しない?」

男の娘「いいの? やった! じゃあえっと……ボクが君の家行った方がいいかな? 場所しか知らないけど……」

男の娘「あ、迎えきてくれる? えへへ、ありがと♪」

男の娘「なんか今日一日ですごい仲良くなっちゃったね。全然良いことなんだけどさ♪」

男の娘「帰り気をつけてね? ほんとにあいつらに目をつけられてるかもしれないし……」

男の娘「バイバイ。また明日ねー!」


男の娘「ただいまー」

娘父「おかえり……」

娘母「ちょっと! こんな遅くまでどこに居たの! 遅くなるならケータイに連絡してって言ってるでしょ!」

男の娘「友達とご飯食べてたんだよ。ライン見てないの?」

娘母「え、メールしたの?」

男の娘「メールじゃなくてラインだって。ちょっとスマホ貸して」

娘母「あぁん。何も来てないわよ」

男の娘「あれぇ? なんで通知出てないの……あっ! ママ! ボクのことミュートにしてるじゃん! もぉ〜!」

娘母「えぇ〜? みゅーとなんてママいじってないわよ?」

男の娘「いじってなきゃならないの! なんで変なことするの?」

娘母「そんなつもりじゃなかったのに……」

男の娘「ほら。6時半に『今日はちょっと遅くなる。ご飯食べてくる』って送ってるでしょ?」

娘母「あらほんと。すごいのね〜時間まですぐ分かるなんて」

男の娘「メッセージが来てたらアプリの上に数字が出るから、これが出てたらとりあえずアプリ開いて確認してね!」

娘母「は〜い……」

娘父「そんなことだろうと思った……」

娘母「じゃあ言ってくれればよかったじゃない!」


娘母「あら? そういえばお友達ってどこの子?」

男の娘「たしか……向こうの通りのドラッグストアの近くだってさ」

娘母「だってさ、って……遊びに行ったことないの?」

男の娘「今日会ったばかりだもん」

娘母「あら! 会ったばかりでご飯なんて大胆ね!」

男の娘「なっ、べつにそんなんじゃないし! そもそも相手男子だよ!」

娘母「……彼氏〜?」ニヤニヤ

男の娘「は、はぁぁ〜!?/// 何言ってんのこの人!? もー知らない! ボク部屋行くから!!」

娘母「あ、ちょっと、ご飯はー!?」

男の娘「いらない!」


娘母「あららら……」

娘父「……母さん」

娘母「なぁに?」

娘父「あんまりからかうのもいい加減にしなさい……」

娘母「ご、ごめんなさい」

娘父「それから、あの子は見た目を気にしてるんだから……彼氏とか言うのはやめなさい……」

娘母「でももったいないわ〜。せっかく可愛く生まれたのに見た目が嫌いなんて……」

娘父「そうは言ってもあの子も男なんだから……」

娘母「それでも生き方は色々あるでしょ? 私はあの子が彼氏連れてきてもいいと思うわ。お父さんはどう?」

娘父「……そんなの、うーん……本人次第だし、連れて来てもらわんことには、分からん……」

娘母「そう?」

娘父「まぁ、彼氏彼女云々より、あの子が幸せならなんでも構わんがな……」

娘母「……そうね」


男の娘(もーママってば! 彼氏なわけないじゃん! あいつが彼氏とかほんと、ほんと……!)

・・・・・・

男の娘『それよりさ、なんか面白い本ない?』

男の娘『じゃあ鍵返しにレッツゴー』

男の娘『ねぇねぇ、なんか食べて帰ろうよ。今日はお詫びにおごってあげるから』

男の娘『んっ。おいしー! ドリアもひとくちちょうだい!』

男の娘『おいしい? よかった♪』

男の娘『バイバイ。また明日ねー!』

・・・・・・

男の娘(ボクが女の子だったら客観的に見て、わ、悪くないかもしれないけど……///)

男の娘「いや、そもそもまともに話したの今日が初めてじゃん! それに男同士でとか変だし! ありえないでしょ!」

男の娘「ていうか誰に言い訳してんだボクは! やめやめやめ!」

男の娘(でも……僕がほんとに女の子だったらこんなに苦労しなくていいのかなぁ)

男の娘(イジメられることもないし、あいつとも……)

男の娘「いやいや、あいつは関係ないよボク」

男の娘「あ、そういえばライン交換し忘れてた」

男の娘「明日ってほんとに迎えに来てくれるのかな、あいつ。くそぉ、ライン知ってれば確認できるのに……」

男の娘(ほ、ほんとに来てくれたら、ちょっとうれしい……かも……///)

男の娘「って、ちがうよ!? 友達としてうれしいだけだから! 男同士でとか無いから! 急に仲良くなったから距離感つかめてないだけ、そうそれだけ!」

男の娘「はっ、またひとりで言い訳してるし……よし、もう終わり! お風呂入って寝よーっと!」

〜〜〜〜〜〜

娘母「ちょっと! 早く起きなさい!」

男の娘「……いまなんじ……?」

娘母「7時過ぎ!」

男の娘「まだ大丈夫じゃん、そんな怒鳴ることないでしょ……」

娘母「お友達来てるわよ!」

男の娘「…………」

男の娘「うそぉ!?」


男の娘「わぁ!? ほんとにいる! なんでこんな早いの!?」

男の娘「楽しみで眠れなかったって……遠足前の小学生じゃあるまいし!」

男の娘「ちょっとちょっと! こっちはまだ全然準備出来てないんだから待ってて!」ドタバタ

娘父「…………」

娘父「……久しぶりだな、朝あんなに明るいあの子を見るのは……」

娘父「君、あの子と仲良くしてくれて、ありがとう……なにか飲むかい……?」

娘父「よし。母さん、なにか出してやってくれ……」

娘母「はいはい。朝ご飯はもう食べた?」

娘母「あらあら、食べちゃったの? せっかく作ったのに」

娘父「家を出てきたんだから普通朝ご飯は済ませてるだろう……」

娘母「どうしようかしら〜……え、食べてくれるの? うれしいわ〜」

娘父「気を使わなくてもいいんだよ……?」

娘母「そんなことないわよねぇ? 男の子はいっぱい食べなきゃ。いま準備するから待っててね?」


男の娘「ふぅ、やっと準備終わったよ。……なんで君もご飯食べてるの?」

娘父「母さんが彼の分も作ってたんだ……」

男の娘「いつのまに……君はご飯食べてなかったの?」

男の娘「え、食べたの? ほんとよく食べるね……」

男の娘「ママー、ボクの分はー?」

娘母「出来てるけど、あんたはお客様じゃないんだから自分で持っていきなさい」

男の娘「ちぇっ、ケチ」


男の娘「いただきまーす。あ、パパ、チャンネル変えてもいい?」

娘父「構わんよ……」

男の娘「ありがと。今日の占いは何位かなー」

男の娘「え? ボクはいつも見てるけど……君ってこういうの見ないの?」

男の娘「たしかに順位低いとちょっとヘコむけど、高いと気分いいじゃん! ボクは結構信じちゃうよ」

男の娘「え〜信じないの? ……じゃあさ、ちょっとは信じられるかもっていう話していい?」

男の娘「……昨日のボクの運勢、1位だったんだよ?」

男の娘「う、うん。それだけだけど……分かるでしょ! そういうこと!」

男の娘「ていうかボク今日最下位じゃん! うぇ〜……」

男の娘「え、君は1位!?」

男の娘「……くやしい。隣に1位が居ると思うと一層みじめな感じがしてきたような……」

男の娘「ていうか君ってさそり座なんだね。覚えとこー」

男の娘「なんでかって? これから毎日君の運勢も見てあげるからだよ。ボクより下だったら気分がいいからね」

男の娘「え、ちょっと! ボクのは覚えなくていいからー! 忘れて忘れて!」


男の娘「あ、君は目玉焼きにしょうゆ? なんかイメージ通りって感じ」

男の娘「ボクは塩だよ? 変かな? しょうゆだとベチャついちゃってちょっとだけ微妙なんだよね。塩が一番!」

男の娘「まぁそんな言うほどこだわりは無いんだけど」

男の娘「……ところでさぁ、ちょこちょこ寝癖立ってるけど、ちゃんと直してきたの?」

男の娘「ちょっとごめんね、手櫛だけど……」スイスイ

男の娘「これでおっけー」

男の娘「あれ、制服のネクタイも曲がってるじゃん。もー、そんな格好でよく来たね。いい加減な奴だって思われちゃうよ? もう思われてるけど」

男の娘「直してあげる。こら、ご飯食べるのストップ! 直せないじゃん」シュッキュッ

男の娘「よしよし、直ったよ。早く来るのはいいけど身だしなみちゃんと整えてよね?」

娘父「…………」ジーッ

男の娘「あっ! ごめんなさいご飯食べてる最中に……」

娘父「いや……そうじゃないんだが、なんていうか……」

男の娘「……?」

娘父「……やっぱりなんでもない……」

男の娘「……ぼ、ボクなんかしたかな?」

男の娘「君も分かんない? うーん……」

娘父「…………」


男の娘「ごちそうさまー」

男の娘「君のも持ってってあげる。一応お客様だからね」カチャカチャ

男の娘「ママー、お弁当できた?」

娘母「はいはい、これね。お友達の分は作らなくてよかったのかしら……」

男の娘「いやいや、大丈夫でしょ」

娘母「ほんと~?」

男の娘「……ねぇねぇー、自分でお弁当持ってるよね?」

コクリ

男の娘「ほら」

娘母「ならよかった♪」

男の娘「ボクが歯磨き終わったら学校行こうね。君もくち濯いでよ?」

娘母「あら? そういえば今日って何か用意してって言われてなかったかしら」

男の娘「そういえば先週ぐらいに言った気がする……なんだっけ?」

ペラペラ

男の娘「あ、そっか家庭科に使うエプロンと三角巾! あぶないあぶない、忘れるとこだった」

娘母「エプロンは学校で作ったのよね?」

男の娘「うん。あ、てことはお弁当いらなかった……ごめんねママ」

娘母「いいわよ。でも一応持っていきなさい。せっかく作ったんだし、もしお腹空いたら大変だから」

男の娘「はぁい」

娘母「三角巾三角巾……どこにしまったかしら……あ!」

〜〜〜〜〜〜

男の娘「なんでピンクのチェック柄なの……」

男の娘「可愛くないよ! いや、可愛いけど……着けるのが憚られる……」

男の娘「もー……しょうがないから使うけど……君みたいに無難なのがよかったのに」

家庭科教師「では今日は各グループでケーキとチキンソテーを作ってもらいまーす」

一同「オオー!」

男の娘「なんか豪華だね。クリスマスメニューなのかな?」

家庭科教師「ではまずグループの友達にご挨拶!」

金髪(♀)「よろしくねー♪」

黒髪(♀)「どうぞよろしくお願いします」

男の娘「よ、よろしくお願いします」

ペコリ

男の娘「君ってあの二人としゃべったことある?」コショコショ

男の娘「金髪さんとはあるの? へー、なんか意外な交友……」

男の娘「ボクはどっちとも無い……悲しいね……」

男の娘「でもあいつらと同じになるより何千倍もいいよ」

男の娘「なにより君と同じグループだし……♪」


家庭科教師「じゃあ皆さん自分のエプロンをつけてください」

男の娘「自作のエプロンってちょっと恥ずかしくない? って君のすごいね!? 何その刺繍の量!」

金髪「わっ! すごー!!」

黒髪「バラ園みたいです……」

男の娘「な、なんでそんなに豪華なの?」

男の娘「時間が余ってたからって……単純に時間余ってるだけでできる代物なの……?」

黒髪「イバラのトゲトゲまで完璧ですね……」

金髪「えーすごくない? あたしこんななんだけど!」

黒髪「これは……猫?」

男の娘「犬じゃないの?」

金髪「実は途中でごちゃごちゃになっちゃってさー、よく分かんなくなっちゃった。刺繍必ず入れろとかまじキツくない?」

黒髪「そうですね。私もこんな感じです」

男の娘「わぁー五線譜に音符! 可愛いね」

金髪「全然いいじゃん! 男の娘くんはどんなん?」

男の娘「ぼ、ボクはいいよ」

金髪「えーなんでー? 見せてよー!」

黒髪「一人だけ見せないのはずるいですね……」

男の娘「やだよー!」


シュバ

男の娘「あっ、ちょっと! 返せ!」

バッ

黒髪「これは……」

金髪「ハートマーク!? かわいいー!」

男の娘「だから嫌だったのに……」

金髪「ねーねーなんでハートなの?」

黒髪「そういう趣味が……」

男の娘「違うって! 時間がギリギリで、なに入れたらいいのかよく分からなくて……」

黒髪「そこそこ簡単なハートにしたと」

男の娘「そう……」

金髪「えー? でもそしたら星とかの方が直線で簡単そうじゃない? ハートってカーブあってむずくなかった?」

男の娘「…………」

黒髪「今気づいたという顔ですね……」

男の娘「何考えてたんだろボクは……」

ペラペラ

男の娘「え? だからボクの趣味じゃないって! もー!」

男の娘「……でもほんと君の刺繍すごいね、葉っぱも花もすごく綺麗……なかなか器用なんだね」


家庭科教師「各グループ冷蔵庫から材料を持っていってくださーい。必ず決まった分量だけ持ってってくださいねー」

男の娘「分担ってどうする?」

黒髪「ケーキではないですがお菓子作りの経験があるので、私はケーキがいいです……」

金髪「あたし細かいのやだしお肉がいい!」

男の娘「ボクも細かいのちょっと苦手だからお肉にしようかな。君もお肉やりたかった?」

男の娘「大丈夫? よかったぁ、ボク不器用だからケーキなんて出来ないし、君の方が安心だよ」

黒髪「上手く別れましたね」

金髪「それじゃあお肉チーム、がんばろー!」

男の娘「お、おー」

黒髪「私たちも頑張りましょうね」

コクリ


黒髪「まずはボウルに卵とグラニュー糖を入れて、湯煎でかき混ぜる……」

金髪「これってさ、皮取らなくていいの?」

男の娘「ちょっと待ってね。えーと……皮は取らなくていいらしいよ」

金髪「ほんとぉ? なんかブニブニでキモくない?」

男の娘「あっ、脂身と筋は取るみたい」

金髪「筋ってどこよ? ここかな? てか包丁ってどう持つんだっけ?」

男の娘「あれ? 左手は猫の手じゃなかった?」

金髪「え、なんか左手猫の手にしたら全然ちから入らないんだけど。なにこれウケるー♪」

黒髪「あ、あの……そちらは大丈夫ですか……?」

金髪「たぶんだいじょぶ!」

男の娘「ボクはちょっと不安かも……」


黒髪「ここからは素早くかき混ぜればいいんですね……」

黒髪「ふっ、んん、ふぅ!」カシャカシャカシャ

黒髪「ぜ、全然変化なしですね……ん……! んぅっ、ふっ……!」シャカシャカ

男の娘「……な、なんか」

金髪「エロくない?」

黒髪「ふぇ!? え、エロ……なぜですか!」

男の娘「だって、ねぇ?」

金髪「エッチな声出してるんだもん」

黒髪「そ、そんなことありません……!」

男の娘「あ、かき混ぜ続けないと!」

黒髪「え、は、はい。ふ……ふっ……んっ……!」シャカシャカ

男の娘「……」ジーッ

金髪「……」ジーッ

黒髪「ふっ……ん……ふぅ……!///」シャカシャカ

男の娘「……」ジーッ

金髪「……」ジーッ

黒髪「……す、すみません交代してください!///」

金髪「すごいエロかったよ!」

黒髪「そんなこと言われても嬉しくないですから……!///」


シャカシャカシャカシャカ

男の娘「おぉ〜……」

金髪「なんかプロっぽいね!」

黒髪「手早い……あ、あれ? お二人ともお肉は……?」

金髪「やばっ忘れてた! 次は何するんだっけ?」

男の娘「スパイスをかけて揉みこむ、だって」

金髪「これ?」

男の娘「そうそう」

金髪「ドーーン!」ドサッ

男の娘「……え、全部かけてよかったのかな?」

黒髪「スパイスまみれですが……」

金髪「だいじょぶでしょ!」モミモミモミ

家庭科教師「あ、言い忘れてましたがスパイスは多めに用意してありますから、少しずつ入れて各自調整してくださいね!」

金髪「えっ」モミ…

黒髪「…………」

男の娘「…………」

金髪「……ごめんね?☆」


黒髪「気を取り直してこっちやっていきましょう……薄力粉を少しずつ加えて、粉気が無くなるまで混ぜる……」

黒髪「私が入れますから、かき混ぜお願いしてもいいですか……?」

黒髪「ではいきます……!」ポサポサ

金髪「男の娘くん」

男の娘「なに?」

金髪「あっちの方がお肉より楽しそうじゃない?」

男の娘「でもあんなうまくかき混ぜられないよ。力もないし」

金髪「たしかに〜。でもあとお肉焼くだけだしつまんな〜い」

男の娘「まだ付け合わせの野菜切ってないでしょ……がんばろ?」

金髪「はーい」


金髪「男の娘くんってさー」

男の娘「なに?」

金髪「結構しゃべるんだね。教室にいる時となんか違う感じ」

男の娘「ぇ……ぁ、そ、そんなことないよ?」

金髪「……ちょっと耳貸して?」

男の娘「う、うん」

金髪「男子1と2が男の娘くんのこといじめてるって本当?」ボソボソ

男の娘「ぁ……え、と……うん……」

金髪「やっぱりかー……それでちょっと怖い顔してるんだ」

男の娘「ボク怖い顔してた?」

金髪「話しかけづらいなって感じしてたかなぁ。ごめんね、男の娘くんのせいじゃないのに」

男の娘「大丈夫、気にしてない……」

金髪「……でもあいつとは仲良いんだね。なんで?」

男の娘「ボクが乱暴されてた時に助けてくれたんだ……昨日のことなんだけどね。それで仲良くなった」

金髪「あ、そうなんだ。へぇー……」

男の娘「なにか気になるの?」

金髪「え、付き合ってはないんだ?」

男の娘「付き合う!?」

黒髪「わっ……! ど、どうかしましたか?」

男の娘「あっ、ゃ、なんでもないよ!」

男の娘「付き合ってるわけないじゃん……! 男同士だよ……!?」コショコショ

金髪「え〜? だってあいつと一緒にいる時すごい嬉しそうじゃん。朝だって二人でイチャイチャしながら登校してたし」

男の娘「イチャイチャなんてしてないよ……!」

金髪「うそだー♪」

男の娘「してないもん……!」


男の娘「ていうか……金髪さんあいつのことあいつって呼んでるけど、知り合いか何か、なの……?」

金髪「男の娘くんもあいつって呼んでんじゃん」

男の娘「そ、そうなんだけど……金髪さんが誰かのことあいつって呼んでるのはじめて聞いた気がするから……」

金髪「そうだった? 意外と見てるね~」

男の娘「ひとりぼっちだと周りの声が嫌でも耳に入って来ちゃうんだもん……」

金髪「あ、あー……まー暗い話は置いといて! 実は普通の関係じゃないんだ♪」

男の娘「そうなの……!?」

金髪「男の娘くん、あいつとあたしの関係、知りたい?」

男の娘「ぼ、ボクはべつに無理にでも聞きたい訳じゃないよ?」

金髪「……ふーん。そっか、じゃあ言わなーい」

男の娘「え……ぁ……」

金髪「言わなきゃいけないなんてこともないし?」

男の娘「それは……」

金髪「ほんとは知りたいんでしょ?」

男の娘「…………す、すこし」


金髪「どうしよっかなー?」

男の娘「え、教えてくれないの……?」

金髪「ただ教えるんじゃつまんないし……あ、そーだ! あたしのお願い聞いてくれるなら教えてあげる!」

男の娘「お、お願いって……なに?」

金髪「今度一緒にお出かけしようよ!」

男の娘「お出かけ!? って、どこに……?」

金髪「服買いに行きたいからさー、一緒に来て?」

男の娘「……服? それだけでいいの?」

金髪「あとはねー、ご飯ちょっと食べてー……細かいことは後で考えるから、今度の土曜は一日空けといて?」

男の娘「……わ、わかった」

金髪「交渉成立! じゃあ男の娘くんだけに教えてあげるよ、あたしとあいつの関係……」

男の娘「……」ゴクリ


金髪「あたしはねー……」

男の娘「……」ドキドキ

金髪「あいつのねー……」

男の娘「……」ドキドキドキドキ

金髪「……いとこ!」

男の娘「……いとこ?」

金髪「そう、いとこ」

男の娘「いとこって、え? ボクの知ってるいとこでいいの? なんか変な意味とかじゃなくて……」

金髪「変な意味?」

男の娘「あ、やっぱりなんでもない///」

金髪「男の娘くんはなんだと思ってたの?」

男の娘「えっ……か、彼女とか……?」

金髪「あはは、ないない!」

男の娘「だって普通の関係じゃないって言ってたじゃん!」

金髪「そうだっけー?」

男の娘「そうだよもー!」


金髪「でもよかったね、男の娘くん」

男の娘「うん、よかっ……いやいや! べつによかったとかないから! あいつに恋人がいてもなんとも思わないし!」

金髪「そこまでは言ってないよ?」

男の娘「……ほんとにそういうんじゃないから……///」

金髪「素直になればいいのにー♪」

男の娘「そういう問題じゃないよ、どう考えても変でしょ……ボク、男だよ……?」

金髪「そのために今度出かけるんだよ」

男の娘「え? それってどういう……」

金髪「むふふー、ひみつー♪」

男の娘「えぇ! 教えてよー!」


黒髪「とりあえず後は焼いて、スポンジ部分は終わりですね……かき混ぜ、お疲れ様でした。お肉の方はどうですか?」

金髪「あと焼くだけー」

黒髪「では生地が焼き上がるまでは一旦休憩ですね」

金髪「あ、ごめん黒髪ちゃん、ちょっといい?」

黒髪「なんでしょうか……?」

金髪「お話があってね♪」


男の娘「お疲れさまー……」

男の娘「え……? あぁ、うん。ちょっと金髪さんの話に付き合ってたら疲れちゃった……」

男の娘「なに話してたか? ……い、言わない。言わなきゃいけない事でもないし?」

男の娘「べ、べつに隠してなんかないよ? あ、ていうかそっちこそボクに隠しごとしてたでしょ!」

男の娘「金髪さんといとこなんでしょ! なんで言ってくれなかったの?」

男の娘「言う必要があったのかって……あるでしょ! だって! ……だって」

男の娘「あ、あれ? ない……全然……」

男の娘「ぇあ、ご、ごめん。ちょっと、ボクおかしいね、ごめん……」

男の娘「その……実はね? 金髪さんとしゃべってて、その流れでなんか……金髪さんが君の彼女かなんかだって早とちりしちゃって……」

男の娘「…………」

男の娘「え、それで? それで、なんていうかその…………」

男の娘「あっ、待ってちがうから!/// べつになんとも思ってないよ!?/// 君に恋人がいてもボクには全然関係ないから、変な勘違いしないでね!?///」


男の娘「ほ、ほんとだから。全然関係ないし……」

男の娘「…………」

男の娘「…………」

男の娘「で、でも一応聞いておきたいんだけど……君って、こ、恋人いない……よね?」

男の娘「そんな、隠さなくてもいいじゃん。いない? いる?」

男の娘「……いない? ほんと?」

男の娘「よかったぁ……」

男の娘「あっ、ほらだって、恋人いたらあれでしょ?/// 遊びに誘うタイミングとかよく分かんなくなっちゃうでしょ?///」

男の娘「そうそう、他意はない……ないない///」

男の娘「ふぅ……///」


男の娘「す、スポンジどんな感じかな? ちょっと様子見てみない?」

男の娘「おー、結構膨らんでる」

男の娘「君見えてる? もっと近づいて見てよ」

男の娘「ね、さっきより上の方に盛り上がってきてる。こういうのって面白いよね」

男の娘「あと何分くらい焼くの? 8分?」

男の娘「あ、お肉そろそろ焼いた方がいいかな?」

男の娘「金髪さーん」

金髪「じゃ、そーゆーことで予定空けといてね」

黒髪「分かりました」

男の娘「……金髪さん、何話してたの?」

金髪「こっちの話☆」

男の娘「ほんとかなぁ……」


黒髪「焼けましたね。取り出し……熱っ」

カチャン

黒髪「あ、すみません、ありがとうございます」

黒髪「取り出したら、濡れ布巾をかけて冷ますと……」ポサッ

金髪「え、冷ますの?」

黒髪「熱々では切れないので……」

金髪「でもお肉は焼いちゃってるよ?」

男の娘「あれ? 早かった?」ジュー

黒髪「えーと……とりあえず、いま焼いているものは後で焼き直して、残りはケーキのデコレーションが終わってからで……」

男の娘「ごめんね、ちょっと早かった……」

金髪「気にしない気にしない。食べられればなんでもいーよ」

黒髪「それはそれで問題だと思いますが……」


男の娘「そういえばホイップクリームは?」

黒髪「先生が前で用意してるのを貰ってくるみたいですね」

金髪「なんで自分たちでつくらせないのかな?」

黒髪「恐らく時間がかかりすぎるのを防ぐ為かと……デコレーションもありますし……」

男の娘「じゃあボクもらってくる」

金髪「よろしくー」

黒髪「よろしくお願いします」

――――――

男の娘「もらってきたよ」

金髪「よーし、デコろデコろ」

黒髪「まずは横から半分に切って、間にクリームと苺……そ、そういえば苺を切り忘れていました……!」

スッ

黒髪「あ、切っててくれたんですか? ありがとうございます……」

金髪「あたしクリームぬる!」

男の娘「じゃあボクが切るよ。こんな感じでいいのかな?」グッグッ

黒髪「ま、曲がってます……!」

男の娘「うそ!? えーと……こ、これでいい?」グム…

黒髪「あ、ああ……!」

男の娘「え、ええ……!?」アタフタ

スッ

男の娘「あ、代わってくれる? ごめんなさい……」

スッスッスーッ

男の娘「上手い……」

黒髪「綺麗ですね……」

金髪「うまっ!」

黒髪「えぇ本当……って金髪さん! 勝手にホイップクリームつまみ食いしないでください……!」

金髪「あははー、ごめーん☆」


金髪「じゃあここにクリーム出せばいいのねー」ムニュー

男の娘「も、もういいんじゃない?」

金髪「そお?」

黒髪「そしてパレットナイフで広げます」

金髪「こうかな?」スッ

黒髪「全然広がりませんね……」

金髪「おかしいなー? スィーっと」ススッ

男の娘「広がらないね」

金髪「えームズっ。黒髪ちゃん、パス」

黒髪「えぇ! で、出来るでしょうか……」

金髪「チャレンジチャレンジ!」

男の娘「がんばって!」

黒髪「分かりました、が、頑張ります……!」


黒髪「えい……!」スーッ

金髪「おぉ! おぉ?」

男の娘「うーん……?」

黒髪「難しいですね……」スッスッ

金髪「でしょー? ケーキ屋さんがあるわけだねー」

男の娘「ちょっとデコボコだね」

黒髪「外からは見えませんので、大目に見てください……」

金髪「あとはイチゴを置いてー」ポイポイ

男の娘「あいだはこのくらいでいいかな?」

黒髪「ですね。ではスポンジを乗せて表側もクリームで……」

金髪「表、誰がクリームぬる?」

黒髪「私はちょっと……」

男の娘「ボクも無理だよ!」

金髪「あたしもムリー。ってことは」


スッ

男の娘「がんばって!」

黒髪「ファイトです……!」

金髪「良いとこ見せてよー?」

ムニューー

金髪「ここまでならあたしでも出来るよ!」

黒髪「誰でも出来ます……」

男の娘「広げるのが難しいんだもんね」

シャキン

男の娘「できそう……?」

コクン

金髪「まぁうまく出来なくてもね?」

黒髪「みんなそんなに上手ではないですから……」

スィーー……

男の娘「おぉぉ……!」

金髪「え、え、スゴくない!? え、スゴイよね!?」

黒髪「す、すごいですね。パティシエみたいで……」

スーーッ

金髪「デコボコなし!」

男の娘「きれい!」

黒髪「側面もお願いします……!」

ムニュー スィーー……

金髪「うまっ」

男の娘「なんでできるんだろ?」

黒髪「力加減が絶妙なんでしょうね……」

ムニュー スーッスーッ

金髪「えーなんかムカつくー」

男の娘「どうして?」

金髪「あたしこんなに上手く出来ないもん! 一発でこんなに出来るのってズルくない?」

男の娘「そうかなぁ? ボクはカッコいいと思うけど……」

金髪「……のろけ?」

男の娘「ちがうよ!///」


黒髪「そんなこと言っているうちにコーティング終わりましたね」

金髪「あとどうすんの?」

黒髪「まだ全体にクリームを塗っただけなので、後はお店のケーキみたいにクリームと苺で飾り付けを……」

金髪「じゃあパティシエさん、お店みたいによろしくぅ♪」

男の娘「それはハードルが高いんじゃない……?」

スッ

男の娘「やるの? が、がんばって!」

――――――

金髪「まじでお店のケーキじゃんこれ。写真撮っとこ」カシャッ

黒髪「本当にパティシエとして働けるんじゃないですか……?」

男の娘「すごいね、将来そっちの道に進んだら?」

ブンブン

男の娘「えー嫌なの? もったいないなぁ……」

金髪「照れ隠しすんなー?」

男の娘「あ、照れ隠しなの? もー、照れなくていいって、このこの♪」グイグイ

黒髪「金髪さん……」ヒソヒソ

金髪「なに?」ヒソヒソ

黒髪「あれってイチャついてますよね……?」

金髪「……だよね」


黒髪「チキンも焼き上がりましたし、完成ですね」

金髪「じゃーいただきまーす」

黒髪「いただきます……」

男の娘「いただきます」

黒髪「チキン……どうなんでしょうか……」

金髪「だいじょぶだよ!」

男の娘「根拠ないじゃん……」

金髪「食べるよ〜! あむっ!」パクッ

黒髪「どう……」

男の娘「なの……?」

金髪「……かっっら〜〜!」

黒髪「ですよね……お水です」

金髪「ありがと〜」ゴクッ

パクパク

男の娘「え、君のは辛くないの?」

コクン

男の娘「じゃあボクのと変えてくれない? 辛いのだめなんだ〜……」

スッ

男の娘「ありがと! いただきまーすっ」パクッ

男の娘「っ!? か、からひっ! ぁれ!? 辛くないって言ってたじゃん!」

男の娘「だまされた……え、ほんとに君は辛くないの? あっ、辛いの得意なだけか……」

黒髪「はむ。っ〜〜……!」

男の娘「得意なの君だけだね……」


男の娘「やっとケーキだよ」

金髪「ごめ〜ん」

黒髪「それにしても1ホール丸々はなかなかですね、一人4分の1ホール……」

金髪「ちょうど良くない?」

黒髪「え……?」

男の娘「……大食いって君の家の遺伝なの? あ、ボクの半分あげる。食べるでしょ?」

男の娘「どうぞー。わっ、ほとんど半ホールだね」

男の娘「食べきれる? さすが♪」

金髪「……」コソコソ カシャッ

黒髪「何してるんですか……?」

金髪「男の娘くんかわいいじゃん? 撮ってるの」

黒髪「何のために……」

金髪「なんとなーく☆」

〜〜〜〜〜〜

男の娘「今日は楽しかったね、ケーキ美味しかった〜」

男の娘「それに金髪さんと黒髪さんとも仲良くなれたからよかったよ。ラインも交換したし」

男の娘「君とも交換出来たね♪ これからは朝迎えに来るとき連絡してよ? ちゃんと準備するから」

男の娘「あれ? そういえば君って今日お弁当持ってきてたんだよね。食べたの?」

男の娘「うわ、食べたんだ……すごー……よく太らないね?」

男の娘「鍛えてるの? へぇー、言われてみればガッチリしてる。ちょっと腕触らせてよ」

男の娘「わっ、硬いし太い……」

男の娘「腹筋もあるの? どれどれ……」

男の娘「おおー。え、このでこぼこって割れてるの? すごーい……」

男の娘「他には他には? え? あ、もう着いちゃった……うん、また明日。バイバーイ♪」フリフリ


テクテク ピタッ

男子1「……うぃっす」

男子2「よぉ。テメェ昨日はよくも邪魔しやがったな?」

男子2「ちょっとこっちの公園来いよ」

テクテク

男子2「テメェに馬鹿にされたままじゃこっちの気がすまねぇ。覚悟しろよ?」

男子1「……なぁ、やめようぜこんなん」

男子2「は? 何怖気付いてんだよ。ちょっとボコるだけだろーが」

男子1「お前がやり過ぎだったんだよ。俺はもう危ねぇ橋は渡りたくねぇぞ」

男子2「……だったらそこで見てろよ。クソが……俺だけでやるからよ」


男子2「オラァ!」バキッ

男子1「うぉっ」

男子2「ウラァッ!」ドカッ

男子1「……流石にやりすぎだろ……」

男子2「オラッ」ブン

ガシッ

男子1「お?」

男子2「は? 掴んでんじゃねぇよ!」

バキッ

男子2「うぐっ!」

男子1「やり返した……」

男子2「痛ぇ……テメェふざけんじゃねぇぞ!!」ボゴッ

ブンッ

男子2「ぶっ! ぅ……クソがぁ!」バキッ

男子1「…………」

――――――

男子2「ハァ……ハァ……」

男子1「もうやめろ」

男子2「あ……? まだやれるっつーの……」

男子1「もうフラフラだよ。お前もあいつも」

男子2「まだ終わってねぇよ……」

男子1「何そんなに意地張ってんだよ。終わりだ終わり」

フラ……フラ……

男子1「そう構えんな、べつに殴らねぇよ……今日は悪かったな。もうお前にも男の娘のやつにも手出ししねぇから。それとこれ、2万」

男子1「許してくれなんて言えねぇけど、これでなんとか手打ちにしてくれ。……じゃあな」スタスタ

男子2「おい……あの2万、どっから出したんだよ……」

男子1「お前のサイフだよ」

男子2「はぁ……!? ふざけんなよ……」

男子1「安いもんだろうが。帰るぞ」

男子2「……体中が痛ぇ……」

男子1「……」

…………


======

男の娘「今日は先に学校行ってて、って連絡来たけど……なにかあったのかな……」

金髪「ねーねー男の娘くん」

男の娘「あ、金髪さん。おはよう」

金髪「おはよー。今日はあいつと一緒じゃないの?」

男の娘「なんか今日は一緒に来れないってさー……」

金髪「寂しいんだ?」

男の娘「寂しい……うん、ちょっとね」

金髪「素直! いいよーその調子!」

男の娘「なんなのそのテンション」

ガラッ

金髪「あ、噂をすれば、……えっ」

男の娘「っ!?」

男子A「うお!? お前なんだその顔面!」

男子B「アザ出来てんじゃん。ケンカでもしたん?」

男子A「違う? 嘘つけ! じゃあなんでそんなんなるんだよ!」

男子B「んで、ケンカ勝てた?」

男子A「え、賠償金もらった? マジ!?」

男子B「いくら?」

男子A「2万円!? すげーカツアゲ返しかよ! 俺もやってみてーなー」

男子B「お前ガリだから無理だろ」

男子A「俺は力じゃなくて技で攻めるから」

ガラッ

男子2「……」スタスタ

男子A「…………え? お前がカツアゲ返ししたのって2のこと?」

男子B「やるやん」

男子A「いや、やべーだろ」

ペラペラ

男子A「その金で飯行こうって……行かねえよ! そんなやべー金使いたくねえわ! Bと行け!」

男子B「俺もパス。ダイエット中なんで」

男子A「女子か!」


スタスタ

男の娘「あ……お、おはよう。大丈夫……?」

金髪「なに? 2とバトったの?」

コクリ

男の娘「ボクのせい……だよね……」

金髪「気にすんな! でしょ?」

コクリ

男の娘「普通は気にするよ……」

黒髪「おはようございます……」

金髪「あ、おはよー」

男の娘「おはよう……」

黒髪「朝から校内がざわついてるのですが、あっ、なるほど……」

金髪「すごいっしょ! こんだけ派手にやったらさ、先生に怒られたりすんじゃない? ドラマみたいに!」

男の娘「ボクのせいで君が怒られるのは嫌だよぉ……」

黒髪「もしかして停学とか……」

男の娘「うそ!?」

金髪「まじ!?」

黒髪「いえ、わ、分かりませんよ……? もしかしたらというだけで……」

ガラッ

教師「みんな座れー」

金髪「やばっ」

黒髪「怒られなければいいですが……」

男の娘(怒られませんように怒られませんように……)


教師「えー……まず、そこの2人。前に来なさい」

ガタッ

男子2「……」ガタッ

金髪「うわうわ……」

黒髪「……」

男の娘「ぅ〜……」

教師「……昨日は何があった?」

…………

男子2「…………」

教師「黙ってても分からないだろう。言いなさい、怒らないから」

金髪「絶対怒るやつじゃん」ボソボソ

黒髪「ですね……」ボソボソ

……ペラペラ

教師「ボクシングの練習?」

男子2「っ……!?」

クラス「アハハ!!」

男子A「お前ボクシングの練習してたのかよ! グローブちゃんと着けてたか!?」

男子B「ボクシング部作ってやれよ」

クラス「アハハハ!」

教師「静かに! ……まさか本当じゃないだろうな?」

チラッ……

男子2「……本当です」

教師「……聞いた話ではお前たち2人が公園で殴り合ってたそうだが、本当にボクシングだったのか? わざわざ嘘をつかなくても良いんだぞ?」

コクリ

男子2「嘘ついてません……」


教師「他に男子1が居たらしいが、2人は本当にボクシングしてただけか?」

男子1「……ボクシングしてました」

教師「お前は何をしてた?」

男子1「……レフェリーやってました」

クラス「アハハハ!!」

教師「……はぁ〜……分かった。2人は同意の上でグローブ無しボクシングをして怪我をした、互いに文句は無い、そういうことなんだな?」

コクリ

男子2「そうです……」

教師「……ではそういうことにしておく。でも1つ約束してくれ」

男子2「……?」

クラス「?」

教師「ボクシングするなら、今度からちゃんとグローブを着けなさい」

クラス「アハハハ!」

教師「じゃあみんな1時間目間に合うように移動するんだぞ。終わり」

〜〜〜〜〜〜

男子A「おーい、購買行こうぜ」

ブンブン

男子B「ん? せっかく2万あんのに使わんの?」

男子A「隣であんなもん使われてたら食欲無くなるわ。つかあんなんで済んで良かったな!」

男子B「フォロー代2万円になります」

スッ

男子A「おいおい出すな出すな。さっさと購買行こうぜ、混んじまうよ」

男子B「おう。んじゃ」


男の娘「あ……一緒にお昼食べる? いいよ」

男の娘「……やっぱり巻き込んじゃって、ごめんなさい」

男の娘「気にするなって言われても……気にさせてよ、友達がこんなになってるのに……」

男の娘「殴り合って、結局どうなったの……?」

男の娘「もう二度と手を出さないから2万円で水に流してくれって? ……そうなんだ」

男の娘「……うん、怒ってる。ボクがイジメられたのも君がボコボコにされたのも、全部含めて2万円なのかって。お金で済ませられるのかって」

男の娘「え? まさか、君には怒ってないよ。どうして?」

男の娘「お金受け取って許したことにしちゃった? さっきもあいつかばっちゃたから? うーん、それは……」

男の娘「普通は怒るべきなのかな……けど、怒ってないよ」

男の娘「ボク、お金とかあいつらのこととか、ほんとどうでもいいよ。今は君がボコボコにされたのが一番つらい」

男の娘「君はいいの? ボコボコにされて2万でだまってろって言われてさ」


男の娘「ボクがイジメられなくなるなら問題ない? そ、そう?///」

男の娘「そういうカッコいいセリフはもっと大事な時にとっておきなよ……///」

男の娘「ボクも、君がいいなら……いいかな」

男の娘「されたことはきっと忘れないけど、これからはイジメられないし。それに……」

男の娘「き、君が居てくれるし///」

金髪「なーにイチャついてんのお二人さん」

男の娘「わひゃあ!? びっくりした! いきなり後ろから声かけないでよ!」

金髪「さっきから後ろにいたよ?」

男の娘「え!? ちょっと! 君も黙ってないで教えてよ!」

金髪「愛しあう二人はいつも一緒って感じ?」

男の娘「も〜うるさいなぁ〜!///」


======

男の娘「……もう時間だけど、金髪さんどこかな?」

黒髪「あっ、男の娘さん……」

男の娘「あれ? 黒髪さん、奇遇だね」

黒髪「え……? あの、今日は私と男の娘さんと金髪さんで買い物と聞いていましたが……」

男の娘「えぇ!? ぼ、ボクこの時間に駅前集合ってしか聞いてない……」

黒髪「そうだったんですか……?」

金髪「ごめーん! ちょっと遅くなっちゃった!」

男の娘「あ、金髪さん! 黒髪さんも来るなら言ってよ!」

金髪「言ってなかった?」

男の娘「言ってなかった!」

黒髪「私が居たら迷惑ですか……?」ウルッ

男の娘「え、いや、そうじゃないよ!」

黒髪「うっ……うぅっ」シクシク

金髪「あーあ! 男の娘くんが黒髪ちゃん泣ーかした!」

男の娘「ごめんなさいごめんなさい! そんなつもりで言ったんじゃなくて!」

黒髪「うぅ……ふふふ、ウソです♪」

男の娘「えっ。ちょっと〜……そういうのやめて……」

金髪「びっくりした?」

男の娘「黒髪さんがやるんだもん。金髪さんだったらなんも思わなかったよ」

金髪「なにそれー!」

黒髪「では、そろそろ電車乗りましょうか」


金髪「着いたね」

黒髪「着きましたね」

男の娘「じゃあボクはここで待ってるね」

金髪「何言ってんの。男の娘くんの服を買うんだよ?」

男の娘「え、うそでしょ? だってここ女性物の服屋さんだよ?」

黒髪「私は男の娘さんのコーディネートを頼まれたのですが……言ってなかったんですね、金髪さん……」

金髪「もちろん! 言ったら男の娘くん来ないじゃん?」

男の娘「来る来ないの問題じゃないでしょ! ボクが入っちゃだめだよ!」

金髪「いーよいーよ! 男の娘くん可愛いんだから!」グイグイ

男の娘「やめてー! 引っ張らないで!」

黒髪「……」グイグイ

男の娘「黒髪さんも引っ張らないで!」


男の娘「入っちゃった……」

金髪「自然にしてればバレないからへーきへーき!」

男の娘「男が入ってる時点で不自然なんだけど……」

金髪「どんなの着る?」

男の娘「……いや分かんないよ! ちょっと考えちゃったけど!」

黒髪「好きなファッションとかありますか……?」

男の娘「よ、よくわかんないけど……着るとしたら露出が少なめのやつがいいな……」

黒髪「では……ロングスカートとかどうでしょうか」

男の娘「す、スカート?」

黒髪「私もはいているこれです。丈が長いので下着を見られる心配はありませんし、普通のスカートよりも暖かいですよ」

男の娘「じゃ、じゃあそれで……」

金髪「ノってきたねー」

男の娘「あきらめてるんだよ……」


金髪「下着どうするー?」

男の娘「下着も買うの……?」

黒髪「買わないんですか……?」

男の娘「いや、買ったらいよいよ女装だなって……」

黒髪「スカートをはくのは女装ではないのですか?」

男の娘「あ、それはちゃんと思ってるよ!? でもほら、可愛い格好はまだファッションで済むでしょ? さすがに下着までやっちゃったらあれだなって……」

金髪「可愛い子が可愛い格好するだけだもん、女装じゃないよ」

男の娘「女装だよ」

黒髪「男の娘さんバストいくつですか?」

男の娘「わかるわけないじゃん!」

金髪「じゃあ店員さんに測ってもらおっか!」

男の娘「え!?」

金髪「店員さーん!」

男の娘「呼ばないで!」

ショップ店員「はーい」

男の娘「来ちゃったよぉ……!」


――――――

黒髪「いくつでした?」

男の娘「これ……」スッ

金髪「店員さんメモってくれたんだ? ……ちっちゃいね!」

男の娘「当たり前じゃん!」

黒髪「男の子だってバレました……?」

男の娘「ううん、バレなかった」

黒髪「よかったですね」

男の娘「でもファッション興味ないのかなとか、女の子は胸の大きさじゃないからとか言われた……」

黒髪「そ、そうですか……」

金髪「あの店員さんはめっちゃおっぱい大きかったけどね」

男の娘「た、たしかに」

金髪「あれはあのおっぱいで彼氏のこと相当喜ばしてますぜ?」

黒髪「下品な言い方はやめてください」

金髪「ノリ悪いなー」

男の娘「……」

黒髪「どうかしました……?」

男の娘「ん!? な、なんでもないよ!」

黒髪「そうですか……?」


金髪「じゃあこれを試着!」

男の娘「……ほんとに着るの?」

金髪「今日一日付き合ってくれるって言ったじゃん?」

男の娘「そうだけどー……くっそ〜、あんな安い情報でここまでさせられるなんて……」

黒髪「似合うと思うので大丈夫ですよ……?」

男の娘「似合うとか以前の問題を気にしてるの……」

金髪「はやくはやく!」

男の娘「ぜ、絶対覗かないでよ!?」シャッ

金髪「……これはフリ?」

黒髪「金髪さん、さすがに覗きはいけません」

金髪「だよね」


男の娘(あれ……? そういえばパンツって試着していいの? 直接はくのって汚いよね……)

男の娘「ブラだけでいいか……はぁ、なんでこんなことしてるんだろ……」

男の娘「くっ、ふっ、と。ホックって難しいな……」

男の娘「ニットは着るだけだし楽だね。よいしょ」モゾモゾ

男の娘「ちょっとチクチクするなぁ……ん? スカート先の方がよかったかな。まぁいいや、スカートはいて……」スッ

男の娘「ニットってスカートに入れた方が可愛いかな? あ、入れた方が可愛いね」モゾモゾ

男の娘「……っていうか、け、けっこういい感じじゃない……? 可愛いよね……」


男の娘「見てもらお……」シャッ

金髪「おっ!」

黒髪「おぉ……」

男の娘「ど、どう?」

金髪「イイよ!」

黒髪「可愛いですね。ちゃんと女の子に見えますよ」

男の娘「それは嬉しいやら悲しいやら……でもちょっとニットがチクチクするんだけど……」

黒髪「そういえばキャミを忘れてましたね」

男の娘「キャミ……キャミソール?」

金髪「そ!」

黒髪「キャミを着ればチクチク感も減るかと。他にもブラホックがニットに引っかかるのを予防できると思います」

男の娘「ほぇー、便利」

金髪「こんなんどう!?」

黒髪「素早い……え、でもそれだったらこっちの方が良くないですか……?」

金髪「それよりはこれでしょ。あとあれとか」

男の娘「あの……どうせ見えないし、別にどれでもいいんじゃない?」

金髪「なに言ってんの!」

黒髪「いつ見せることになるか分からないじゃないですか」

男の娘「そうなの……?」


男の娘「結局キャミソールだけで30分もかかった」

金髪「これでも結構急いで決めたんだよ?」

男の娘「えぇ……」

黒髪「初めてですからね、本当はもっと時間かけたかったんですけど」

男の娘「初めてって……これからもあるみたいな……」

金髪「プレゼントだし一番良いのあげたいじゃん?」

男の娘「プレゼント?」

金髪「そ! あたしから男の娘くんへのプレゼント」

男の娘「そ、そんな! これプレゼントって……1万円超えるじゃん!」

金髪「そこをドーンとプレゼントするのよ。お姉さんに任せなさい!」

男の娘「むりむりむり! そんなに出してもらうわけにはいかないよ! ボクなにもしてないのに!」

金髪「女装してもらってるじゃん」

男の娘「……それとこれとはべつ!」

金髪「え〜強情だなぁ。じゃ男の娘くんにも半分出してもらう感じでどお?」

男の娘「半分? 半分かぁ……まぁ、それなら……」

金髪「じゃ、それで!」

男の娘「ね、ねぇ黒髪さん。なんで金髪さんは服代おごってくれるのかな……?」

黒髪「単純に趣味だと思います。言い方悪い気がしますが着せ替え人形で遊ぶ感覚と同じかと」

男の娘「でもお金かけすぎだよ……」

黒髪「リアルでこういうことをやれる機会はそうそうないですし、熱が入っているのかも……せっかくですから素直に奢ってもらえばいいじゃないですか」

男の娘「そんなわけいかないよ、大したことしてないのに」

黒髪「女装は大したことないの部類に入るのですか……」

〜〜〜〜〜〜

金髪「お会計終了! じゃあ男の娘くん! そこのトイレで着替えてきて?」

男の娘「……あの格好で外歩くの?」

金髪「そうだよー?」

男の娘「……やっぱり全額おごってもらえばよかったかな……あれ!? そういえばどっちのトイレで着替えればいいの!?」

金髪「女子トイレでしょ」

黒髪「女子トイレです」

男の娘「だ、だよね……着替えたあと出れなくなるもんね……」


男の娘「誰も居ませんように……」

女性「……」スッ

男の娘「っ!!」ビクッ

女性「あ、すみません」

男の娘「い、いえ」

女性「……」スタスタ

男の娘(べつに女装してないのにバレなかった。はぁ〜、なんか複雑……もっと男っぽいの着てくればよかったよ……)バタン カチャン

男の娘(……火災報知器があるため禁煙。へー、こういう張り紙って女子トイレにもあったりするんだ)ゴソゴソ

男の娘(あいつって将来タバコ吸うのかな? ボクあの匂いも煙も苦手だから吸わないで欲しいなぁ。なにより体に悪いし)ゴソゴソ

男の娘(うわ! 女の子のパンツってこんな感触なんだ……! お、落ち着かないなぁ、なんでこんな……)

男の娘(あ、そういえば今日あいつなにしてるんだろ? 家で安静にしてるかな……あとでラインで聞こ)ゴソゴソ

男の娘(こんな格好見られたらどんな反応されちゃうのかな。やっぱ引くかな……可愛いって言ってくれたら嬉しいけど……///)

男の娘(家帰ったあとに写真撮って送ってみようかな?/// いやだめ、やめよ///)


男の娘「お、おまたせ〜……」

金髪「うんうん、やっぱり可愛い」

男の娘「……///」

黒髪「次はどこに行くんですか?」

金髪「ごはん!」

男の娘「おなかすいたもんね」

黒髪「お店はどこにしましょうか……」

金髪「実はもう決めてあります!」

黒髪「えっ」

男の娘「どこ?」

金髪「駅前のさ、あの〜、なんとかっていうビルのなんとかっていうピザ屋さん」

黒髪「どこ……?」

男の娘「ああ! あそこね!」

黒髪「なんで分かるんですかね……」

ピコン

男の娘「ん? 誰のスマホ?」

金髪「あたしー。んーと……よし。じゃあ行こっか☆」


ウェイター「いらっしゃませ。何名様でしょうか」

金髪「待ち合わせなんですけどー……」

男の娘「待ち合わせ?」

黒髪「あ……」

ウェイター「かしこまりました。あちらのお席になります」

金髪「どうもー」

男の娘「金髪さん、待ち合わせって?」

金髪「ほら、あれ」

男の娘「え?」

フリフリ

男の娘「っ!? ちょ、ちょっと金髪さん! なんであいつがいるの!?」

金髪「せっかくだしみんなで食べようかと思って」

男の娘「こんな格好見せられるわけないじゃん!」

金髪「え〜? ほんとは見てもらいたかったんじゃないの〜?」

男の娘「そそそんなわけないでしょ!?」

黒髪「二人とも、早く席に座りますよ。他の人の邪魔になります」


金髪「男の娘くんそっち座ってねー」

男の娘「え!? なんでボクなの!?」

黒髪「嫌なんですか……?」

男の娘「嫌なわけじゃないけど……!」

シクシク

男の娘「こら、君も変な演技しないで! も〜わかったよ座るから……」

金髪「まったく最初から座ればいいのにー」

男の娘「誰のせいだと……」

黒髪「まあまあそのくらいで……なに頼みますか?」

男の娘「どれにしようかなぁ。ねぇねぇ、君はなに頼む?」

黒髪「すぐさま彼女ムーブ……格好もあいまって本当のカップルみたいですね……」ヒソヒソ

金髪「ぐひひひ……」

黒髪「ちょ、ちょっと金髪さん……」

金髪「冗談だよ。でもやっぱ女装させて正解だわ」


男の娘「君これ? ボクもこれ食べたいんだけど、半分こしない?」

男の娘「お腹いっぱい食べたいから出来ない? そっか……ボクちょっと1枚は多いかも……」

黒髪「私も1枚丸ごとは食べれないです……」

金髪「あたしはへーき」

黒髪「そんなに食べて、カロリーは大丈夫なんですか……?」

金髪「へーきへーき!」

男の娘「また根拠のない自信……」

金髪「多かったらそこの残飯担当に食べてもらうし」

男の娘「……君、残飯処理にされてるけど怒らないの?」

男の娘「いっぱい食べられるからいいの? うーん、さすが……」

男の娘「じゃあボクのもお願いしていい?」

黒髪「すみません、私のもいいですか……?」

金髪「すごいじゃん。もう自分の頼まなくていいんじゃない?」

男の娘「そうだよ、頼まなくても……頼むの? 君の食欲は恐ろしいね……」

金髪「みんな決まった? ボタン押していーい?」ピンポーン

黒髪「もう押してるじゃないですか。私まだ決めてないのに……」

――――――

金髪「ていうかあんたさー、せっかくオシャレしてきた子に対してなんか言うことないのー?」

黒髪「男の娘さんへ感想を言ってあげて下さい」

男の娘「ボクはべつに感想なんていらないよ!?」

金髪「ダウト」

男の娘「ダウトじゃない! ……へ? かわいい……? そそ……そうかなぁ///」

黒髪「照れてますね」

男の娘「さすがにこれは照れるよ……そんな似合ってる?/// えへへ……///」

金髪「素晴らしい……」カシャッ

男の娘「あ、写真撮らないでよ! 消して!」

金髪「安心して。絶対誰にも見せないから」

男の娘「消してって言ってるの!」


男の娘「あれ? ねぇねぇ、こっち向いて?」

男の娘「口元にソースついてるよ。右のほう。ちがうよ君から見て右」

男の娘「もーしょうがないなぁ、拭いてあげる」フキフキ

男の娘「子供じゃないんだから、まったく」

男の娘「え、ボクもついてる? うそでしょ。さっき拭いたもーん」

グイグイ

男の娘「わっ、こら拭くな! ついてないからぁ!」

イチャイチャ

金髪「……」ワナワナ…

黒髪「金髪さん、言いたいことは分かりますが、元々は金髪さんが二人をくっつけようって始めたことですから……」

金髪「ちがうの黒髪ちゃん」

黒髪「なんですか?」

金髪「あたしが言いたいのはね、なんでああいう可愛い彼氏があたしにいないのかってことなの」

黒髪「いや知らないですよ」

〜〜〜〜〜〜

金髪「いやー食った食った!」

黒髪「言葉遣いがはしたないですよ」

金髪「いいじゃんべつにー。次どこいく?」

男の娘「まだどこか行くの?」

金髪「行くに決まってるでしょ!?」

男の娘「そ、そんな声量で言わなくても……」

金髪「よし! じゃカラオケ行こーか!」

黒髪「すみません、私そろそろ帰ろうかと……」

金髪「ちょっと待って黒髪ちゃん!」ガシッ

黒髪「は、はいっ」

金髪「あたしをひとりしないで」

黒髪「なんでですか……?」

金髪「あれ見てよ」

男の娘「君って歌上手いの? え、カラオケ初めてなの!?」

男の娘「とか言いつつ上手かったりして。君の声けっこう良いもん」

男の娘「2人で歌える曲とかなんか知ってない? 一緒に歌おうよー♪」

黒髪「イチャイチャしてますね」

金髪「あんな甘々空間に置きざりにされたらあたし死んじゃうよ?」

黒髪「えぇ……? だって2人をくっつけて楽しむのが目的だったんだからいいじゃないですか」

金髪「あたしはね、見るのは大好きだけど同じ空間にいるのはつらくなっちゃうからムリなの」

黒髪「なんですかそれ、面倒くさい人ですね……」

金髪「ねーねーお願いだよ黒髪お姉さーん!」グイグイ

黒髪「う、うるさいですって……分かりました付き合いますよ」

金髪「やったー!」

黒髪「やれやれ……」


======

黒髪「すっかり暗くなりましたね」

金髪「じゃ、あたしこっちだから、みんなバイバーイ」

黒髪「また学校で」

男の娘「じゃあねー!」

黒髪「では私も……2人ともお気をつけて」

男の娘「うん、じゃあね」

黒髪「さようなら」

男の娘「ばいばーい」

男の娘「…………これからどうしよっか」

男の娘「だってこの格好じゃ家帰れないもん。どこかで着替えていかなきゃ」

男の娘「……ちょっと散歩していこ?」


男の娘「河原のほうって夜はこんなに暗いんだね。まだ目が慣れてないからほとんど見えない……」

スッ

男の娘「あ、手……ありがと///」

男の娘「……たしかあそこにベンチあったよね。見える?」

男の娘「うん、ちょっと座ろ」テクテク

男の娘「ベンチ汚くないよね。よいしょ」

男の娘「ふぅ。今日は楽しかったね。君が来るなんて思わなかったけど」

男の娘「でも君が居たからもっと楽しかったよ。カラオケも一緒に歌えたし」

男の娘「ん? そうだね、この格好見られたときはどうなるかと思った。いまも変な気分だよ? 下着も女の子の着けてるし、君に見られてるし、それに……」

男の娘「っ……でもね、それよりも変だなって思うのはね、こんな格好、昔だったら……君に会う前だったら絶対しなかった」

男の娘「けど、いまはしてる……」

男の娘「……ボク、女の子っぽい自分が嫌いなんじゃなくて、そのせいでイジメられたり友達が出来づらかったりするのが嫌いだったんだと思う」

男の娘「だから君が友達になってくれて、いじめっ子も追いはらってくれて、なんにも心配しなくてよくなっちゃったから、それほど抵抗なくこんな格好出来てる……のかなって」

男の娘「……たぶんそれだけでもないんけど……」

男の娘「…………夜の風、すこし寒いね」


ギュッ

男の娘「っ!/// あ、ありがと。あったかい///」

男の娘「…………ふぅ///」

男の娘「……よしっ……」

男の娘「……えっと、あのさ、ボク達ってまだ知り合ってほんのちょっとしか経ってないよね?」

男の娘「それにボク達男同士だし、ほんとにほんとにおかしいって……分かってるんだけどね……」

男の娘「ボクね……君のこと……」

男の娘「…………好き……///」


男の娘「こ、こっち見ちゃだめ/// 言うタイミングミスったかな……///」

男の娘「笑わないでよ、こっちは真剣なんだから///」

男の娘「……君もボクが好き? ……う、うそじゃないよね? ボクが言ってるのって恋人としての好きだよ?///」

男の娘「ほんとに好き? ほんと?///」

男の娘「じゃあ、両想いなんだ……///」

男の娘「……うん、実はあんまり不安じゃなかったかも……/// なんていうか、きっと君もボクのこと好きなんだなって、分かってた感じ///」

男の娘「こういうのなんて言えばいいんだろうね/// 運命の赤い糸、みたいな……?///」

男の娘「……なんかすごい/// さっきまで男同士だしとか会ったばかりだしとか考えてたんだけど、もう全部どうでもいい///」

男の娘「ほんとに好きだよ///」

グイッ

男の娘「わっ、ぅんっ」チュッ

男の娘「っ!///」

男の娘「……ぷぁ。も〜、強引すぎ///」

男の娘「……嫌なわけ、ないじゃん/// 大好き///」

男の娘「ね、ねぇ……」

男の娘「もっとしても……いい?♡」


男の娘「ちょっと、目つむってよ……恥ずかしいもん///」

男の娘「そうそう、そのままにしててね?」

男の娘「……ちゅっ♡」 

男の娘「ど、どう?/// いい感じ?///」

男の娘「じゃあ、次はもっと長いやつ……しよ?♡」

男の娘「君からするの? ボクが君にしたかったのに……わかったよ♡」

男の娘「んっ……♡ ………………」

男の娘「……んむ! ちょ、ちょっと、もっとなにかして?」

男の娘「ただくちびるくっ付けてるんじゃキスにならないよ。ちゃんと……えっと……舌入れなきゃ……///」

男の娘「いいよ、上手くできるまで付き合うから♡」


〜〜〜〜〜〜

男の娘「ちゅっ、ちゅるる♡ んっんむっ、んくっ♡ んくっ♡」コクッコクッ

男の娘「ねぇボクばっか飲んでるじゃん、君ももっと飲んでよぉ♡」

ナデナデ

男の娘「ごまかすなぁ♡ もぉ……♡」

男の娘「え、時間……? ほんとだ8時だ。そろそろ帰らなきゃね」

男の娘「あ、ちょっと待って、今立てない……」

男の娘「なんでって、それは……」

男の娘「お、おちんちんおっきくなっちゃってるから、立てないって……///」

男の娘「聞かないでよもぉ!/// ていうか君もお……おっきくなってるじゃん!/// なんで堂々としてるの!?」

男の娘「そりゃあ誰も居ないけど……もっと恥じらいを持ってよ///」

男の娘「もうちょっと座ってよ? 君も座って」


サワサワ

男の娘「ひゃう!/// こ、こら! ちんちん触らないでよ! いつまで経ってもおさまらないでしょ!」

スリスリ

男の娘「あ、あっ♡ ダメだって……♡ ねぇちょっと……!♡」

男の娘「出しても足下の草があるからバレない……? そ、そういう問題じゃなくて、ここ外……!」

スリスリスリスリ

男の娘「はぁっはぁ……!♡ ね、スカートの上からはダメ……♡ 汚れちゃうから……よいしょ」スルッ

男の娘「ちょっとスカート上げたから、これで中まで手、入れられるでしょ?」

男の娘「あ、パンツ下ろさなきゃね……」スルッ

男の娘「え? の、ノリノリじゃないし! 君がやりたがるから付き合ってあげてるんだからね!」

男の娘「ねぇそれより早く……これちょっと寒いし……」


シコシコ

男の娘「は、あっ♡ もぉ、おちんちんなんか触って……汚いよ?♡」

男の娘「好きだから汚くない? ……変態♡」

シコシコシコ

男の娘「あっあっ♡ ごめんなさいごめんなさい♡」

男の娘「ふぅっ……ふぅっ♡ 君に触られるといつもと全然違う……♡ なんでこんなに気持ちいいの?♡」

男の娘「好きだから? やっぱりそうなの……?♡ すごく気持ちいい……♡」 

男の娘「……ボクのちんちん小さいから扱きやすい? だよね……君の手の中にすっぽり入っちゃうもんね。これって病気なのかな……」

ギュッ

男の娘「ひぁっ!♡ ち、小さくてかわいい? なに言ってんの……/// ちんちんにかわいいもなにもないよ///」

クチュクチュクチュ

男の娘「そ、それにしても君、上手すぎ……!♡ なんでそんなに上手なの……!♡」

男の娘「ぁっ、あ!♡ くっ、はぁ……!♡」


チュクチュクチュク

男の娘「あ、あ、でる!♡ でちゃうよ!♡」

クチュクチュクチュ

男の娘「ねぇ先っぽ放して!♡ このままじゃかけちゃう!♡ 君の手の中でイっちゃう!♡」

ギュッ

男の娘「イっていいの!?♡ ほんとに精子びゅうってかけちゃうよ!?♡」

ナデナデ

男の娘「ぅぁ……♡ ねぇチュウしよ♡ チュウしながらイきたい……!♡」

男の娘「んちゅ♡ ちゅぱ♡ はぁ、でるっ!♡♡ あぅ!♡♡♡」ビュクッ

男の娘「んむっ♡ んっんっ!♡♡」ピュルル プピュ


クリクリ

男の娘「んん!♡ や、やめ……!♡ 今がんばってだしてるから……!♡」ピュル…ピュ…

クリクリクリ

男の娘「あっ♡ 先っぽクリクリしちゃだめ……♡ だしたばっかで敏感なの♡ おねがいやめて……♡」

クリクリ 

男の娘「な、なんでやめてくれないの♡ ぁっ!♡ そんなにしたらまたイっちゃう♡ だしたばっかなのに君の手の中でまた射精しちゃう♡」

男の娘「ねぇこれほんとにだめ!♡ まだ付き合って1日目なのにこんなことしちゃだめだよ♡ はじめにこんなの教えられたらこれ以上でしか満足できなくなっちゃう♡」

クリクリ

男の娘「はぁ、くぅっ♡ お、おねがいおちんちん逃して……♡ ほんとにまたイっちゃうの♡ また君の手にびゅってしちゃうから……♡」

グチュグチュグチュ

男の娘「あっ、あぁぁっ!♡ 急に本気ださないで……!♡ 準備できてない!♡ やめ……!♡♡ うぅっ!♡♡♡」ビュッピュル

ナデナデ

男の娘「はぁっはぁっはぁっ……!♡♡」ピュル ピュ…


男の娘「もう……終わりね……? これ以上は無理だよ……?」

…………

男の娘「ほ、ほんとに無理だからね? もうおちんちんおっきくなんないもん……」

グチュ……

男の娘「うっ……♡ そんなにしたってむだなんだからね……」

クチュ……グチュ……

男の娘「ふぅっ……はぁっ……♡ たたないから……グチュグチュしてもむだだからもうやめよ……?♡」

クチュクチュクチュ

男の娘「やめて……♡ もうたたないから……たたないからぁ……♡」ムクムク…

男の娘「おっきくなんかしてない、やめてやめて♡」

クチュクチュクチュ

男の娘「うぅぅぅ♡♡」


クリクリ

男の娘「ね、ねぇ先っぽやめて?♡ それ反則♡ すぐにイっちゃうから、ねぇってば、ねぇ♡」

ピタッ……

男の娘「ふぅー……♡ ふぅー……♡ ありがと♡」

クリクリクリクリ

男の娘「いっ!?♡ うぁ!♡♡ あぁぁっ!♡♡」

クリクリクリクリ

男の娘「ああ!♡ イくっ!♡♡ 待ってこれ♡ え、射精じゃないのきちゃう!♡ もっとすごいのきちゃう!♡♡」

男の娘「は、はぁ、はぁっ!♡♡ まって、おかしくなっちゃう♡♡ おちんちん壊れちゃうよぉ!♡♡」

クリクリクリクリ

男の娘「責任とってね!?♡♡ おちんちん壊れちゃったら君の責任だからね!♡♡」

クリクリクリクリ

男の娘「ばか!♡ ばかぁ!♡ ああだめイく!♡♡ イっ、っ〜〜!♡♡♡」プシャッ

ナデナデ

男の娘「っ……っ……!♡♡♡」プシュゥップシュ


男の娘「はぁ……はぁ……///」グッタリ

男の娘「ばか、ばか……なんなの今の……」

男の娘「潮、吹き? なにそれ……?」

男の娘「すごく気持ちいいと出るの? たしかに気持ちよかったけどぉ……」

男の娘「やめてって言ってるのにひどいよ……」

ナデナデ

男の娘「……いっぱいイけてえらい? なにがえらいの、めちゃくちゃにイかされただけだよ」

ナデナデ

男の娘「許さないよ」

ナデナデ

男の娘「許さないからね……///」

グチュ……

男の娘「あぅっ……!♡ 分かったよ許すから……も、もうしないで?」

コクリ

男の娘「ボクもう出しすぎてクタクタだよ、まったく……」


ベチャァ……

男の娘「うわ/// ぼ、ボクこんなに出したんだ……もう見せないで、恥ずかしいよ……///」

男の娘「うぅ! さ、寒い……早くコンビニかどこかで着替えよ……ってパンツベチャベチャになってる!?」

男の娘「君がボクに潮……ひ、ひどいことするからパンツ濡れちゃってるじゃん!」

男の娘「の、ノーパンで行く? やだよぉ! そんな恥ずかしいこと出来ない!」

男の娘「でも寒い……! たしかに早く着替えないと風邪ひいちゃうし……てかその前に君の右手! そんなに、あの……付いてちゃコンビニ入れないよ///」

男の娘「あ、待って。ペットボトルの水あるから、それで落として。はい」

男の娘「ボクは……うぅ、パンツ脱ぐしかないよね……」


ウィーン

店員1「いらっしゃいませー」

店員2「らっしゃいませー!」

男の娘「じゃ、じゃあボクはトイレで着替えてくるから……待っててよ?」

コクリ

――――――

男の娘「おまたせー。そういえば君、手洗った方がいいんじゃない?」

男の娘「もう洗ったの? そっか。あ、ついでになんか買ってく? お腹空いてない?」

男の娘「大丈夫? じゃあ、うん、帰ろっか。もう遅いもんね」

ウィーン

店員2「ありあしたー!」

店員1「…………」

店員2「どうしたんすか?」

店員1「あのさ、今……男の子2人出てったよな?」

店員2「そうっすね」

店員1「さっき来たときは男の子と女の子じゃなかったっけ?」

店員2「…………え? ちょっ、なんですか、怖い話っすか?」

店員1「いや、俺も分かんない。さっきの子たち幽霊?」

店員2「いやいや。多分女装でもしてたんすよ」

店員1「なわけあるか!」

店員2「幽霊のほうがないっすよ……」


男の娘「やっぱりまだこっちの格好の方が落ち着く」

男の娘「濡れたパンツ? あぁ、コンビニ袋に別にして入れてるよ? さすがに一まとめには出来ないよ、あんなの」

男の娘「それより! 今度からはいきなりあんなことしないでよね!」

男の娘「どんなことって……とぼけないの! ボクの、お……て、こら!/// 言わせるのも禁止!///」

男の娘「ちゃんと場所をわきまえてね? 外でなんてもう絶対ダメ! 分かった?」

コクリ

男の娘「よろしい♪」


男の娘「ここまでだね。送ってくれてありがと」

男の娘「あ、そのまえに、ちょっといい……?」

男の娘「ちょっとかがんで? うん、そうそう……」

男の娘「ちゅっ♡」

男の娘「次に会った時は君の方から返してね? じゃあバイバイ♡」

ガシッ

男の娘「あっ♡ もぉ……ダメ♡ 家の前だからこれ以上は出来ないよ……♡」

男の娘「場所わきまえるって約束したでしょ?♡」

男の娘「うん、ラインするね♡ 明日も2人で会おっか?♡」

男の娘「後で決める? えへへ、ラインする口実でしょ?♡ 分かってるよぉ♡」

男の娘「じゃあ……ほんとにバイバイだね。帰り道気をつけてね? バイバーイ!」


男の娘「ただいまー」

娘母「おかえり〜遅かったねー」

男の娘「ちょっと楽しくて遅くなっちゃった。でも連絡見たでしょ?」

娘母「今回はバッチリ! あ、その袋なに? お土産?」

男の娘「服だよ。友達と買い物行って来たの」

娘母「見せて見せて!」

男の娘「いや、えっと……やだ……」

娘母「なんでなんでぇ!? ちょっとくらい良いじゃないの!」

男の娘「やだってば!」

娘母「なんで!」

娘父「こら……!」

男の娘・娘母「「っ!」」

娘父「大声で喧嘩するんじゃない……夜なんだから」

男の娘「はーい……」

娘母「ちぇ……」

娘父「母さん?」

娘母「は、はい。ごめんなさいね」

娘父「やれやれ……」

娘母「……あっ、ごはん食べてきた?」

男の娘「うん、大丈夫」

娘母「そう。それじゃあお風呂入って寝なさいね」

男の娘「はーい」


〜〜〜〜〜〜

男の娘「パパのおかげで助かった……こんなの見られたらヤバいもんね」

男の娘「あ、ライン来てる。『明日は何時から会う?』……どうしよ、一日中一緒にいたい……///」

男の娘「え〜どうしよどうしよ! 『君は何時から会いたい……?』」

男の娘「……『朝から』……えへへへ♡」

男の娘「『ボクもだよ♡』」

男の娘「……『変態』。……は、はぁ!? 『そっちこそ変態でしょ!』」

――――――

男の娘「『じゃあ明日は10時から君の家ね。おやすみなさい』っと……」

男の娘「あ、ハートマーク付けるの忘れちゃった……まぁいっか……」

男の娘(でも付けるのと付けないのじゃ全然違うよ? あぁどうしよ……今からハートだけ送る……? いやそれも変!)

男の娘「……どうせ明日会うんだし細かいことはいいか……あー早く会いたいなぁ、ナデナデしてもらいたいなぁ……」

男の娘「…………」ムラッ…

男の娘「……や、やば……ナデナデ思い出したらなんか……どうしよ……」

男の娘(ママとパパそろそろ寝たかな…………よ、よし)


男の娘「……んっ……っ」シコシコ

男の娘「……っ……ふっ……んっ」

男の娘(だめだ、全然足りない……もっと速くかな……)

男の娘「っ、ふっ、っ、ん」シコシコシコ

男の娘(……あいつにされたみたいに先っぽいじった方がいいのかな……?)クリ…

男の娘「っ!♡」ビクッ

男の娘(これだ……! 先っぽ……!)クリクリ

男の娘「ふぅ……ふっ……!♡ はぁ……はぁっ」

男の娘(あ、あれ……? なんでだろ……気持ちいいのにイける気がしない……なんで……?)

男の娘「んっ、んっ、ぅんっ」シコシコ

男の娘「ふぅ……んっ! ふぅ、ふ、ふぅ……」

男の娘「あれ……? あれ……?」

男の娘(なんでイけないの……? なんでなんで……??)

男の娘「おかしいな……んっ、んっ……ふぅ、ふぅ、ふっ……」クリクリ

男の娘(どうしよ、足りない……あと少しでイけそうなのに……!)


男の娘(……そうだ……!)

男の娘「…………」プルルル プルルル

男の娘「あっ、ごめんねこんな遅くに電話して……えっと、あのね……」

男の娘「今、あの……お、オナニー……してて///」

男の娘「ほんといきなりごめん! うそじゃないの! ほんとに今してる……/// う、うん……ちょっとムラムラしちゃって……///」

男の娘「あ、それであの……あとちょっとでイけそうなんだけど、イけなくて……」

男の娘「君に電話すればなにか教えてくれるかなって……思ったんだけど……」

男の娘「うん、うん……がまん? 我慢? イっちゃダメ? え、ど、どういうこと?」

男の娘「明日イかせてあげるからそれまでイっちゃダメ……? う、うそ? むりだよ……! だってあと少しでイけそうなのに……!」

男の娘「我慢できたらごほうび? ご、ごほうびってなに……?」

男の娘「……今日みたいにイかせてくれるの……?」

男の娘「……そ、それってほんと……?♡」

男の娘「キスしながら、潮吹いちゃうくらい……?♡ お、おちんちんなにも出せなくなるまで……?♡」

男の娘「……わ、わかった♡ 我慢する、我慢します……♡」

男の娘「うん、また明日♡ あ、愛してるね♡ おやすみなさい♡」ピッ


男の娘「はぁ……ふぅ……♡ あぁ触りたい……!♡ 今シコシコしたら絶対イける……!♡」

男の娘(でもだめ……だめ♡ 明日になるまで触っちゃだめ♡ ごほうびもらえなくなっちゃうから♡)

男の娘(なにも出なくなるまで……♡ 潮吹いちゃったあともナデナデされながらおちんちんイジめられちゃうのかな♡)

男の娘(チュウしながら甘やかされて……♡ 本気のシコシコでボクのおちんちん好き勝手に射精させられちゃうんだ……♡)

男の娘「はぁ……はぁっ……!♡♡ だめ……想像だけで射精しちゃいそう♡」

男の娘「だめ、がまんがまん……言われたこと守らないと……♡」

男の娘(寝よう……♡ 早く眠って明日にしなきゃ♡ ごほうびもらわなくっちゃ……♡♡)


おわり

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