【モバマス】喜多見柚「レインショーがはじまる」 (25)



モバマスの喜多見柚ちゃんのSSです。
のんびりしたお話です。

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ふわっとつながってる前作

喜多見柚「グリルドスクエア」
【モバマス】喜多見柚「グリルドスクエア」 - SSまとめ速報
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工藤忍「雨の日はきっといい天気」
工藤忍「雨の日はきっといい天気」 - SSまとめ速報
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ザー…ザー…


P「また雨かぁ……」

P(夕方まではもつと思ったんだけどな)

P(ちょっと外回り行くだけだからって傘忘れてきた……)

P(しょうがないから濡れて帰りますか)


バシャバシャ


P(うわっ、思ったよりひどいぞ……憂鬱、帰りたくない……)

P(いやいや、勢いで行くしか……ん?)

柚「ぴにゃぴにゃ♪ ぴにゃぴにゃ♪」

クルッ

柚「ぴにゃこら太~♪」

P(なんだあれ)



柚「あっ、Pサン、おっつかれサン♪」

P「お疲れ様……なに今の踊り」

柚「今度のライブの振り付けっ!」

P「そんな歌じゃなかったような」

柚「気にしない、気にしない♪ かわいいから大丈夫だよーっ」

P「穂乃香の振り付けで遊んだりしてないよな?」

柚「ぎくっ」

P「おい」

柚「ゆずっ」

P「あざとくしてもごまかせるわけじゃないぞ」ペチッ

柚「ふにっ。むぅ、Pサンがキビしいよーっ」

P「ふふふ、どこがさ」

柚「え、えっと……オンナノコは優しく扱わないと、だよっ!」

P「いたずらをする子は叱らないと、だな」

柚「確かに! それはそうかもっ」

P(それで納得するんだ……)



P「それで、どうして柚はこんなところに?」

柚「よくぞ聞いてくれました! Pサン、助けに来たよっ!!」

P「……?」

柚「はいっ」

P「あっ。俺の傘」

柚「へへ、雨降ってきたのにPサンの傘置きっぱなしだなーって思って」

P「わざわざ悪いな……ありがとう」

柚「えへへ。そうそう、柚は撫でられると喜ぶよー」

P「はいはい」

柚「わしゃわしゃー♪」



P「……あれ?」

柚「どしたの、Pサン?」

P「柚の傘は? 俺の傘しかないけど」

柚「持ってないよー」

P「柚はあほの子なのかな?」

柚「なっなんだとぉ!」

P「でもそんなところもかわいい」

柚「なっ……なんだとぉ……えへへ」

P「相合い傘ならしないからな」

柚「えーっ! アイドルと一緒に歩けるよ!」

P「いつも付き添って歩いてるんですが」

柚「じゃあ、柚が傘持ってあげるから!」

P「バランス悪いからやだ」

柚「むー……忍チャンとは相合い傘したのに……?」

P「うぐっ」



P「……どこでそれを」

柚「ふふふ、本人から聞いたよ」

P「なんだと……忍はあんまり言いふらしたりしないと思ってたのに」

柚「忍チャン、にまにま嬉しそうだったからねー」

P「……まさか……」

柚「そう、そのまさかだよっ! 忍チャンにはギセイになってもらった!」

柚「我慢の忍チャンも、穂乃香チャンとあずきチャンの脇腹つんつん大作戦の前には勝てなかったのだーっ」

P「くっ、忍。フリスクの3人に尋問されたのか」

柚「ふっふっふ、柚はぜーんぶ知ってるからね♪」

柚「うれしはずかしそうに話す忍チャン、かわいかったなー」

P「そんな……筒抜けだったなんて……」

柚「……」

P「……」

柚「……」

P「……このノリいつまで続ければいい?」

柚「ん、飽きたからやめよっか!」



柚「と・に・か・く」

柚「Pサンがその気ならこっちにも考えがあるよっ」

P「ほう?」

柚「ばさーっと」

P「お?」

柚「へへっ♪ 実はレインコートを着てきたんだーっ」

P「おぉー」

柚「おニューのレインコートに長靴。これはつよいよっ」

P「その発言がよわそう」

柚「あれっ!?」

P「でもかわいい」

柚「ぴ、Pサン、かわいいって言えばなんとかなるって思ってない!?」

P「オモッテナイヨ。Pチャン、ウソツカナイ」

柚「そっか……照れるなーっ♪」

P(ちょろすぎて心配になってきた)



柚「ほらほら、フードのところに猫耳がついてるんだよー」

P「ほんとだ」

柚「ゆずにゃん、ですにゃん♪」

P「にゃん」

柚「……Pサンがにゃんって言ってもあんまりカワイクないね」

P「ひどい」

柚「ごめんてっ。お詫びに今日はPサンに懐いてる猫チャンの気分で!」

P「え、リードとかいるかな……?」

柚「もうっ、もうっ。そんなこと言うPサンには気まぐれ柚がすぐ拗ねるよっ」

P「ほんと?」

柚「つーんっ、拗ねたっ」

P「とりゃ」

柚「ふにゅ……拗ねっ……拗ねて…」

P「ぐいぐい」

柚「あう……もぉ……触りすぎだよぅ! めっ!」

P「はーい、そろそろ帰るぞー」

柚「わーっ、急にやめるのもナシっ! 待って、待ってー」



ザァァァァ…


P「事務所まで歩いて戻るかー」

柚「Pサン、おしゃべりしながら帰ろうよ!」

P「さっきからしてるけどな?」

柚「てへっ。そこは……ほらっ、いろいろとっ」

P「いろいろってなにさ」

柚「まずPサンの傘に入ります」

P「あっ、こら」

柚「ちょっとだけ貸してーっ。近いほうがおしゃべりしやすいし!」

P「まったくもう」

柚「これでもっと話せるよ! うーんとっ……梅雨だねーとか!」

P「まったくもって梅雨だな、テンション下がるよ……」

柚「それでね、穂乃香チャンがね、事務所でてるてる坊主を作ってたんだよっ」

P「へー、穂乃香のお願いだったらお天道さまは聞いてくれたりしないかなぁ」

柚「アタシも一緒に作って吊るしておいたんだー」

P「ちゃんと作った?」

柚「そこ疑われるのカナシイっ。ちゃんと逆さまのやつを作ったよ!」ペカー

P「おかしい、おかしい」



柚「あずきチャンは梅雨明けしたら浴衣をカイキンするんだって!」

P「えーっ、また短い浴衣でうろうろするあずきが……」

柚「暑いからちょっとでも涼しくしよう大作戦って言ってたー」

P「たしかに似合ってるけどさぁ」

柚「今日もオトナっぽい顔で窓の外を眺めてたから本当に楽しみにしてるんだよ、たぶんっ!」

P「それならしょうがないかぁ……物憂げなあずきは今だけだな」

柚「ね、夏になったらあずきチャンの季節だ♪」

P「柚の季節は春か冬って感じだもんな」

柚「うーん、どっちも大事かなぁ」

柚「でも、季節が変わってもPサンが変わらずにそばにいてくれることが柚的ポイント!」

P「……柚はそういうことまっすぐ言うよな」

柚「えへへー、だってそっちの方がぽかぽかするから」






ザァー…ザァー…


P「雨強くなってきたな」

柚「イッツショータイムだねっ」

P「なんて?」

柚「えへへ、さぁレインショーが始まるよっ」


ダッ


P「あっ、おーいっ」

柚「あはははは、ばしゃばしゃーっ」

柚「イヤな気分になってるときこそ、楽しいことを考えなきゃ!」

柚「こんなに雨に打たれるのって面白いよーっ」

P「俺は傘なんだけどーっ」

柚「Pサンもちょっとくらい濡れた方がカッコイイかもよーっ」

P「無茶ぶりだろーっ」

柚「じゃあーっ、アタシの楽しさを分けてあげるからーっ♪」




柚「ほらほらっ、フードのところでぴちゃぴちゃ言ってる」



柚「水たまりも長靴で思いっきりばしゃーってできるし」



柚「いつもより雨の音がよく聞こえる! オーケストラみたいっ♪」



柚「くるくるーって踊っちゃうよーっ、ダンスレッスンの成果っ」



柚「蒸し暑いから雨に濡れるくらいがちょうどいいねっ」



P(柚があっちにいったり、こっちにいったり)

P(飛んだり、跳ねたり)

P(笑い声が離れてても聞こえる)

P(……ほんと楽しそうだな)



柚「雨が跳ね返って水たまりに模様ができるのオモシロイっ」

P「柚もゆらゆら揺れて見える」

柚「ゆらゆら~」

P「なんかキレイだな」

柚「ね」

P「雨の日なんてあんまり周りを見ないから新鮮って感じもする」

柚「ユーウツな日の新しい発見……あっ」

P「なにさ?」

柚「Pサンの顔がぐちゃぐちゃだねー」

P「ん? んん? そ、それは元の顔とは関係ないよな?」

柚「ぴゅーっ♪」

P「おい」

柚「えへへ、柚の顔もぐちゃぐちゃだからお揃いだよ♪」



ザァァァァ…


柚「なんかこうやって手を広げると強くなった気がする!」

P「なってません」

柚「雨にも負けないぞーっ、ぞーっ」

P「なんで強調したの、かわいい」

柚「Pサンのかわいい攻撃にも勝てるよ!」

P「……」

柚「……え、えへへ」

P「よわい」

柚「こ、ここは逃げるしかナイっ。わーいっ」

P「滑って転ぶなよー」

柚「はーいっ、面白そうなほうにズンズン進むよー!」

P(元気だなー)

P(あのテンションがちょっと欲しい)

P(ふふっ、あれ……?)

P(ちょっと笑ってるや、俺)



バシャバシャ


柚「戻ってきた!」

P「おかえり……なんか、子どもっぽいな」

柚「子どもだからねっ」

P「柚子じゃないから子どもじゃないって言ってなかったっけ」

柚「Pサンがいる前では子ども!」

P「う、うん」

柚「安心できるオトナの前では、子どもっぽくなっちゃっても仕方ないよね♪」

P「……風邪、ひかないようにな」

柚「Pサンはアタシが風邪ひいたら看病してくれるカナ?」

P「考えとくよ」

柚「それは考えてくれないやつだっ」



P「……」

柚「……」

P「ふふふ」

柚「えへへ」

柚「やっぱりPサンも一緒にどうカナ? しゃるうぃーだんすっ?」

P「俺も風邪はひきたくないなぁ」

柚「Pサンが風邪ひいたらゼッタイに柚が看病するよっ」

P「そもそも風邪をひかせないで」ペチッ

柚「あいたっ。ち、ちゃんと分かってるよー、じょーだん!」

P「ほんとかー?」

柚「ホント、ホント! だって……Pサンが見ててくれるだけで楽しいから」

P「お、おう」

柚「アタシね、雨が降るのを待ってたんだーっ。逆さまのてるてる坊主も間違ってないよー」

P「……」

柚「新しいレインコートをPサンに見てほしかったってのもあるんだけど、ねっ」



P「柚は……梅雨、嫌いなんじゃないかって思ってたよ」

柚「昔のアタシだったら、きっとつまんなーいって言ってたっ」

柚「濡れるし、ジメジメするし、外に遊びに行けないしっ」

P「……」

柚「でも雨の日が続いても楽しいことはあるって分かったんだー」

柚「ね、ね。楽しいって自分の『なかに』あるものなんだねっ」

柚「誰かがくれるものだけじゃないんだーって」

P「そう……だな」

柚「今の柚は楽しいことをやるだけじゃないんだよっ」

柚「いろんなところに飛び込んで、そこで楽しむんだーっ♪」

柚「だから、今日は楽しい雨の日……だよ」

P「……」

柚「えへ、アタシ、変わったカナ?」

P「変わった、と思うよ……まぶしくなった」

柚「素直に褒められると照れるよーっ」



P「……」

柚「……ね」

P「ん」

柚「ぜーんぶPサンが教えてくれたんだ、アタシに」

P「……そうかな」

柚「うんっ。すごく、すごく大切にしてる」

柚「ヒトは成長する! きっかけはなんだっていいんだけど……でも」

柚「Pサンが今の柚を作ったんだよ♪ これが1番大事!」

P「そう言われると……なんか、嬉しいし、照れるな、これ」

柚「さっきのお返し大作戦だね!」

P「柚は分かってて直球だからなぁ」

柚「それはどーだろうねー♪」

柚「雨の日でも外に飛び出してみたら楽しかった! Pサンがいて嬉しかった!」

柚「だから柚をもっと楽しませてほしいなっ。アタシはもっともっと楽しむからっ」

P「おう」

柚「Pサンの優しさと甘やかしで柚はできてるよっ」

P「そこはほどほどにしとく」

柚「けちーっ……へへっ」






サアアアア…


P「もうすぐ事務所だな」

柚「お散歩もふたりだと早かったね」

P「うん」

柚「雨も弱くなってきたね」

P「うん」

柚「ということはー?」

P「……」

柚「ひとりよりふたり! ほらほら、一緒に遊んだ方が楽しいって♪」

P「……しょうがないなぁ」

柚「やったっ」

P「事務所着いたら、俺が先にシャワーな」

柚「えへへ、いーよっ」

P「それから、あとでその微妙に濡れた頭、タオルでわしゃわしゃしてやる」

柚「あれっ、やさしくって言ったばっかりなのにっ」



P「せっかくの傘を畳みましてー」

柚「畳んでー」

P「あっ、意外と冷えて気持ちいい」

柚「でしょー!」

P「はい、それじゃあよーいどんっ」

柚「あっ、Pサン、ずるいっ」

P「おわっ、急に冷たっ」

柚「へへー、今のうちー」

バシャバシャ

柚「ねー、Pサーン!」

P「はぁはぁ……な、なにーっ」

柚「来年はPサンもレインコートを買おうねーっ♪」

P「な、なんでさーっ」



バシャバシャ


柚「あ、事務所だ!」

柚「ハイ、アタシの勝ちーっ」

柚「へへー、雨の中を走るのって気分イイねっ!」

P「運動……不足には……ちょっとしんどかった……」

柚「ごめん、ごめん。今度はもっと優しくするっ」

P「こ、今度があるのかよ」

柚「きっと来年になりそうだねー」

P「それは気の長い話で……」

柚「だからさっきのレインコートの話っ!」

P「ん?」

柚「アタシ、楽しみにしてるからっ」

柚「Pサンの梅雨のもやもやはアタシにお任せ!」




柚「今度は雨の中をふたりで踊るのなんてどうカナ? Pサン♪」



おしまい。
柚がいれば梅雨だって楽しかったかも。


Pa特有のゆるふわ空間すき

?「お帰りなさい。雨に濡れて冷えたでしょう。さぁ熱々のいちごパスタを召し上がれ」

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