喜多見柚「袖の柚」 (33)


柚「…」
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http://i.imgur.com/EGow2NW.jpg

柚「ほー」

P「?」

P「おーい」

柚「あ、Pサン」

P「ステージでなにか気になるところがあったか?」

柚「ううん。大丈夫だよ」

P「大きくてびっくりしちゃったか」

柚「うん…それはあるかも」

柚「広いステージだね」

P「そうだな」

柚「アタシがここで歌うんだ」

P「うん」

柚「ほー」

P(…その反応はどういう反応だ…)クス



・シリーズ
・前々回:モバP「あらしのまえの」
・前回:荒木比奈「かえりびな」
荒木比奈「かえりびな」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396288882/)
(時系列的には前回同様、前々回より以前の話になります)



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396383716


P「まあ、もうちょっと先の話だけどな」

柚「うん。へへ、でもきっとあっという間だよー」

柚「がんばろー」

P「おう。頑張れ」

柚「うん」

柚「とと、Pサンも一緒にがんばるんだぞ!」

P「うん」

柚「うん!」

柚「はい、アタシの指と、ぴっ、ぴっ♪」

P「ぴ。…って、なんだそれ」

柚「やくそく!の、柚スタイル!」

P「そっか」

P「じゃあ、約束」

柚「ぴっ。へへっやくそくー」ニパー


柚「まだもう少し居ても平気かな?」

P「うん。比奈たちもまだ来てないし」

柚「そか」

柚「へへ。じゃーえい」ポス

P「おっと」

柚「ちょっとささえてて欲しいナー」

P「疲れちゃったのか。だったら座れる場所に…」

柚「んんっ…よっと」ポン

柚「ここにいたいなーって。だめ?」

P「…べつにいいけど」

柚「やった。へへーPサンは柚を甘やかしますなぁ♪」

P「自覚はあるんだな…」ナデナデ

柚「てへー」


P「子どもができたってこんなに甘やかさない自信があるよ」ナデナデ

柚「そ、そのたとえはなんだかシャクゼンとしないかも…」

柚「でも、ふむふむ。Pサンのこどもかー」

P「べつにできる予定はないけどな」

柚「甘やかさないんだ?」

P「いや、…まあ適当にたとえただけだよ。ただ自分が子どもをもつイメージなんてできないから」ナデナデ

P「たぶん甘やかしたりするような親にはならないんだろうなーって」

柚「ふーん」

P「いまは柚で手いっぱいだしな」

柚「仁奈ちゃんもいるしね!」

P「柚で手いっぱいだしな」ナデナデ

柚「どうして二回言ったのかな!」


柚「柚は子どもじゃないぞー」

P「子どもは甘やかさないって話をしたんだが…」

P「俺から見れば十分子どもだよ」

柚「むー。子どもじゃないもん!」バタバタ

P「いてて。暴れるなよ」

柚「子どもじゃないもん♪」パタパター

P(あ、楽しそう…分かりやすいな)


P「子どもじゃないもんって言うとよけい子どもっぽいんだけどな…」

P「柚は小さいころからあんまり変わってなさそうだな」

柚「おっそう思う?」

P「うん。いまの柚と同じで、ぴーさんバドミントンしよーって誘われそう」

柚「バドミントンはたのしいよ!」

P「そうだな」


柚「うー…でもでも、これでもけっこう変わったつもりなんだけどな…」

P「そうなのか。えっと…どんなところが?」

柚「とりあえず前髪ぱっつんじゃなかった!」ペカー

P「外見かよ」


柚「へへ。子どもの柚はねー」

柚「前髪伸ばしててー」

P「はあ」

柚「いまより猫背でー」

P「腰に悪いな。子どもなのに」

柚「フードしててー」

P「それはいまもだけど…この流れで聞くとまた人相が悪そうな」

柚「へへっ?」

P(なんか笑ってごまかされた)

柚「あとはねー」

柚「あだ名があったよ」

P「あだ名?」

柚「うん」


柚「よくそでちゃんって呼ばれてた」

柚「ほら。ゆずって、漢字だと、そでとそっくりでしょ?」

P「あ、ああ。うん」

柚「だからかな?だからも、かな」

柚「へへ。そでちゃん、袖ちゃん。いつも舞台袖で、フードと前髪で視界を隠して、眺めてるだけの女の子っ。名字も喜多見だしね。喜び多かれど、見るだけー」

P「…柚、それは」

柚「子どもならよくあるよねっこーいうの!へへへ」

柚「それとそでって…あと袖にするとか。…ほんとはいい意味もあるんだけど、そうやってなんとなくいやな意味でも使えるからって、よくからかわれてた」

柚「いまはもうそんなことないけどっ。ほら、前髪もぱっつんなので!」

P「そこなのか」クス

柚「あははー」にぱにぱー

P「…」…ナデナデ


P「変わろうと思って、前髪を切ったのか?」

柚「えと…それは、あんまり…覚えてないかも。」

柚「けど、なんとなくでも変われたのは、前髪を切ってからかなー。やっぱりこわくてフードはしてたけどね。いまもだし!へへっ」

P「そっか」

柚「うん。…このままじゃだめだって、思ったんだと思う。どうしてかはやっぱりよく覚えてないけど」

P「うん」

柚「見たくないものばっかり見たくないよーって気にすると、実は見れて嬉しいものまでかくしちゃうんだーって」

柚「だから思い切って切ったのかな……おっ、思い切って、切ったって、これ面白いかなー!楓サンに教えてあげよーめもしとこー。めもめも!」

P「そうだな」クス


柚「…ふふふ」グリグリ

柚「けどそれも、やっぱりただのきっかけだったかなーって思うっ」

P「…俺の胸に頭ぐりぐりしても、なにもいいことないぞ」

柚「へへっぐりぐり♪」

柚「でもぶらぶらはいいことあったから!」

P「ぶらぶら?」

柚「ぶらぶら!」


柚「えへへ」

柚「ね、ほらPサンっ」

タタッ

柚「アタシいま舞台の真ん中にいるよ?袖じゃないよ」

柚「ここにアタシを連れて来てくれたのは、Pサンだよ?」

P「…うん」

柚「うん。だから感謝させて欲しいなー、なんて。にへへ」

P「…連れて来たのは俺だけど、立ってるのは柚だよ」

柚「支えてくれているのはPサンだよ」

P「そうかな」

柚「そぉだよー」

柚「さっきも支えてくれたし!」

P「そんな物理的な話なのか」

柚「なのかもねー」


柚「……」エヘヘ…

柚「…すごく…すごく不思議な気分なんだー…わぁって…」

柚「…ね、Pサン」

P「うん」

柚「ここに立ってもいいんだよね?アタシ」

P「うん。いいんだ」

柚「ふふ。いいんだ」

P「うん」

柚「うん」

柚「…へへ、へへへ。ヘンなかんじーっ」

P「ライブだってもう何度もして来ただろ?」

柚「それはそうだけどさっ」

柚「それもそっか!」ペカー

P「うん」

柚「うんうんっ」

柚「実は穴開いたりしないよね?えいえいっ」タムタム

P「しないよ。なに言ってんだ」クス


柚「てへ。そっか」

柚「うー…ん。はふっ。うんっ大丈夫そうだし、もういいかなっ。ありがとっ」

P(その確認だったのか)…クス

P「…ああうん、でも、まだあと楓さんたちと合流してから…」

柚「あわっそうでした!」

P「うん」

P「柚はおっちょこちょいだな」

柚「ちょとつもーしんともゆーっ。へへっちょっと聞こえがいい!」ニパー

P「そうだな」

柚「そうだー」

P「前向きなんだな」

柚「いまは前髪ないからねー」


P「…」

P「いやないんじゃなくて短いんだろ」

柚「こまかいところは気にしないー♪」

柚「ささっ。みんなが来るまでもうちょっとだよね。お迎えの準備でもしておこうかな!」

P(大げさだな)

柚「とりあえずラケットを人数分とー」

P「仕事のじゃないのかよ」

柚「おおっいいツッコミだぁ!」ニパー

P「どうもありがとう」


P「…」

P「…みんなそうだけど、」

P「やっぱりどこか、四人は四人でいるときとか、いるときのことを話すときが楽しそうだな」

柚「??そぉかなー?」

P「仲良しで嬉しいよ」

柚「おとーさんだ!まるで!」

P「…手のかかる子どもみたいな人ばかりだしな」


柚「ふふ」

柚「えと、でも五人ね。Pサンも一緒だよー」

P「ああ…うん、ありがとう」

柚「ゆぁーうぇるかむっ。へへっ」

P「…さっき柚は、俺に支えられてるって言ってたけど」

P「そんなことないよ。きっと四人と…まあたまに俺と」

P「支え合ってるんだと思う。バランスがいいんだ、なんだか適当に見えるけど」

柚「てきとーっていい言葉だよね!」

P「俺もそう思う」


柚「うん。Pサンの言う通りかも」

柚「…でも、ぴっ」

P「?」

柚「これは約束じゃなくて、えっと…おぼえとけよーっの、ぴっ!」

P「…うん?」

柚「さっきも言ったけどねー」

柚「偶然でもなんでも、――それはまあ運命っても言えるし?」

柚「みんなもいてくれなきゃいまのアタシはないけど、でもやっぱり、初めに柚を見つけてくれたのはPサンなんだからね!Pサンはトクベツ!」ビシッ

P「…ああ」

柚「かんたんに言うと好き!」ニパー

P「かんたんに言わないで」

柚「忘れないでね!」

柚「へへっつんでれ柚から一言でした!」にぱっ

P「あ、ああ。…いや、それツンデレちがう」

柚「あれ?」


柚「あれー?」??

P「…」…ハハ

P「うん。それはまあ、覚えておくよ」

柚「うんっ。でも『まあ』はやだなっ。ちゃんと、ね!」

P「…柚はいつもまあまあとかいうくせに」

柚「それはまぁまぁ♪」

P「ほら」

柚「まぁまぁー♪」


柚「アタシはこんなのでもいーの♪」

柚「でもPサンには、柚には、ちゃんとぴってして欲しいなーって」

P「…」

柚「いいかなっ」

P「……うん。分かった」

P「じゃあちゃんと覚えておく。これでいいか?」

柚「うんっよいです!」ニパー


柚「へへ。ではでは今日もちゃんと背筋を伸ばしてー。ぐいーっ」

P「ぐいー」

柚「前髪伸びてないかなっ?うんうん、おけおけ」

P「おけおけ」

柚「フード!…今日はぱさってしちゃお♪」

P「おー」

柚「そで!…Pサンちゃんといる!大丈夫!」

P「いるいる」

柚「アタシのことちゃんとみててね?」

P「みてるみてる」

柚「そかっうん!なら大丈夫!」

柚「おっとそろそろみんなが来るころかなー!」パタパタ

P(締まらないな、おい)ズルッ



ひょこ


比奈「すいませーん、遅くなりました…」

柚「えいっ」パコッ

比奈「?きゃう」パコン…

柚「おそいよっ。柚待ちくたびれちゃった!」

比奈「ご、ごめん。…だからって来るなりぶつけられるなんてひどい仕打ちでス…」

柚「てへっ。かるくだったし許してよ!」

比奈「はいはい」

仁奈「どうせなら仁奈に当ててくだせー!今日はとくべつもふもふでやがるんですよ!」モフポム

柚「おおっ。これはちがいますなー」モフモフッ

仁奈「でしょー」

楓「すいません。遅くなりました」

P「あ、いえ。べつに予定が押してるわけじゃないですから」


柚「えいっ」

仁奈「えいです!」モフポコ

比奈「おー。はね返って来た…すごい」パシ

仁奈「えっへんです」モフンス

柚「へへっ。柚もまだまだこれからだぞーっ」ゴゴゴ…

仁奈「かかって来やがるです!」モフゴゴゴ…

比奈「あの、ぱっと見いじめなのでほどほどにっスよ?…」

楓「…」クスクス

P「楽しそうですね」

楓「はい」


P「…」

P(…あ、そうだ)

P「楓さん、さっき柚がなにか楓さんにあとで教えてあげようって」

楓「??…教える…ですか?」

P「ええ。ダジャレを思いついたとかなんとか」

楓「おお。それは聞き捨てなりませんね…ありがとうございます、行って来ます」フラフラー

P「気をつけて」



柚「ステージでバドミントンってなんだかごーかだね!」

比奈「い、いいんスかね…え、えい」

仁奈「慣れにけんがくに来たよーなものですのでかまわねーですよ」パコン

楓「ねえ柚ちゃん、ふふ、さっきなにか駄洒落を思いついたって…」

柚「おっうんうん。そぉなんだよーえっとねー」



P「…」ゴソゴソ


P「あったあった」カチ…ウィーン…

P「…」

P「…」



楓「…っ」プルプル

柚「おおっ楓さんがくの字に…」

比奈「…バドミントンよりひどいステージの使い方っスよー…楓さん、しっかりー」

仁奈「きょりかんをつかむために仁奈ちょっと転がるです」モフコロー

柚「おっアタシもやっとこー。ころころー」

比奈「いやなんスかそれ」クスクス

柚「えへへー」



P「…」カシャ

P「…うん。楽しそうだ…いいな」


P「…」


柚『Pサンはトクベツ!』


P「…」

P「…うん、それは忘れないよ」

P「…………好き、か…」

柚「おーいPサンもおいでー」

P「俺は犬か。いま行くよ」

柚「うんっ」



・・・・おしまい


☆おまけ


柚『かんたんに言うと好き!』


柚「…」

柚(緊張した…)

柚「…あう」プシュー

仁奈「?」

仁奈「すきだらけでごぜーますね」パコ

柚(好きだらけ?)

柚「あわわわわわ」スカッ

比奈「おお。ごうかいな空振りでス」

柚「…」アワワワワ…

楓「??…」

楓(なんだか素敵な駄洒落が閃きそうなのだけど…)クゥーン

柚「…」

柚「えへへ…」




・・・・おしまい

おわりん

ちょっと独特な解釈?があるので、こんなんちゃうわーって方には申し訳ないです

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