モバP「同人音声?」 (39)

比奈「でスでス」

P「なんだそりゃ。薄い本とかそういうのは知ってるが……」

比奈「同人活動ってのは特にこれと言った形が決まってるワケじゃあないっスからねえ。漫画描こうがフィギュア作ろうがレポート書こうが何でもありでスよ」

比奈「なので、音声作品を録るのも当然個人の自由なワケで」

P「ふうん、色々あるんだな」

P「で? それがどうした」

比奈「まあまあ聞いてください。ここからが本題なんで」

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比奈「わざわざ音声作品って言い方をするからには、単に曲を作って歌うのとはまた違う話なんでス」

比奈「いやまあ当然曲作ってる人もいまスけど……最近は合成音声に歌わせることだってできまスし」

P「ああ、あののあさんみたいなやつ」

比奈「っスねえ。……まあそれはともかく」

P「じゃあ何を作ってるんだ? 音声データっていうと……ドラマCDみたいな?」

比奈「まあそんなとこでス。アマチュアの声優さんが自分で作ったり、もしくは誰かの依頼を受けたり。中にはプロの声優さんに依頼するなんてケースも」

P「へえ、凄いことやってる人がいるもんだな。レコーディングってまず環境整えるのが手間だし、赤字必至なんじゃねえか」

比奈「同人活動ってそんなもんなんで……。基本的には好きでやってるだけっスからねえ」

比奈「中には明らかに原作のネームバリューだけを利用しようとする露骨な金儲け目当ての作品なんかもあったりしてホント最近はそういうのがドンドン増えてるしオリジナル作品が発表しづらい空気に……」ブツブツ

P「おーい」

比奈「はいっ!? すいません気を取り直していきましょー!」

P「ま、まあ今のは流しておくが……」

比奈「まあそういうワケでね、ちょっと考えてみたんスよ」

比奈「この事務所にはあらかじめ整ったレコーディング環境や、その口でファンを惹きつけるアイドルが揃ってるじゃないスか」

P「ふむ」

比奈「ってなもんで、ウチで音声作品作ってみたいなー……と」

P「あー……そういう話な」

P「でも、流石に音声となるとな……漫画は黙認してきたが一応お前達の声は我が社の商品という扱いになるワケで」

比奈「だから、事務所の企画として出すんスよ」

比奈「ほら、ウチの事務所もでスけど企業だって同人イベントに出展してるじゃないスか」

比奈「これまではグッズとかCD売ってましたけど、たまにはそういうのもいいんじゃないかなーって」

P「ま、そういうことなら……企画としてはアリ、かな?」

比奈「さっすが分かってる!」

比奈「ということで試しに作ったサンプル持ってきました」

P「話が早い」

比奈「いやーよかったよかった。これ一枚きりでお蔵入りになるかと」

P「お前いつの間に……」

比奈「あ、ちひろさんには話通してあるんスよ。ちゃんと正規の手続きで機材借りたんでそこは大丈夫でス」

ちひろ「金儲けの話と聞いて」

P「あっはい。正直ですね」

比奈「早速聴いてみてくださいよプロデューサー。そんなに長くないんで」

P「はいはい。……って、イヤホン? 音響設備揃ってるのになんでわざわざ……」

比奈「まあまあ。あと……はいコレ着けて」

P「あ? なんで目隠しなんか」

比奈「ほい。じゃあ手繋いでおくんでアタシについてきてくださいねー」

P「え、ちょっと待って移動するのか!?」

比奈「まあまあ。移動しながら説明しまスんで」


○移動中……

比奈「今回制作したのは『耳かき音声』っス。同人音声だと割とメジャーな部類かと」

P「耳かき?」

比奈「っス。ざっくり説明すると、耳掃除をしてもらっている気分を味わえる音声でスね」

P「そりゃ何の意味があるんだ? 音だけ聞いても耳がスッキリするワケじゃあるまいに……」

比奈「と思うでしょ? でも結構癒やされちゃうんスよコレが」

比奈「バイノーラルっていう特殊な方式で録音してあるんでス。ステレオイヤフォンで聴くことで耳にかかる圧力や耳元で囁かれる感覚まで、まるで現実のように楽しめまスよ」

比奈「ま、そこは聴いてもらえば分かるんで。しっかりした環境で録ったので品質は保証するっス」

P「……凄いんだな、技術の進歩ってのは」

P「で、今回はお前が録ったのか?」

比奈「いえ。今回は泰葉ちゃんにお願いしてありまス」

P「泰葉に?」

比奈「はい。臨場感が売りでスからね。サンプルということもありまスし、ここはやっぱり全アイドルの中でも演技に特化した子にお任せしておかないと」

P「ふむ、そうか。……なるほど泰葉の声な。アイドルの吹替というとイメージ悪いが、泰葉になら声優の仕事を任せてもいいかもな……」

比奈「はいはい、お仕事の話はまた後で。そんじゃここ座ってください」ポフポフ

P「はいはいっと……。ん、これソファか?」

比奈「どうせなら雰囲気たっぷりで味わってほしいでスからね」

P「ああそういうこと……。目隠しも音声に集中させるためか」

比奈「あー……そっスね。集中してもらうためっス」

比奈「そんじゃ再生押しますね。ここからは邪魔にならないようアタシ声かけないんで、流れでお願いしまス」

P「あいよ」


――――ピッ

同人音声はいいぞ


お疲れさまです

……って、本当にお疲れみたいですね

少しお休みになった方がいいんじゃないですか?

ね、そうしましょう。バチなんか当たりませんよ

せっかくソファも空いていることですし、大丈夫です。

ほら、こっちですよ。ふふっ♪

……あ、すいません。つい

なんか、おかしくて

いい加減休めーって、ちょっと前までは私が言われる側だったのに。いつの間にか立場が逆になっていたものですから……

まあ、それはともかくです

ゆっくり座っててくださいね。今、お茶淹れます

え?

いえ、私はいいんです。今日はそんなに疲れてませんから

本当ですってば

……もう

分かりました。じゃあ私も休みます

隣、座っちゃってもいいですよね? ふふっ♪


そういえば今日、レコーディングに来てましたよね?

気付いてましたよ

それに、チェックしてるところも見てました

その時からなんとなく調子悪いのかなーとは思っていたんです

なんだか受け答えが曖昧だったようですから……

というより、ちょっと耳が遠くなってるように感じましたね

……あ、ほらやっぱり

ちょっと耳、見せてもらってもいいですか? 失礼しますね

んー……

あ、すいません。くすぐったかったですか

耳元に息当たっちゃいました? し、失礼しました……

うーん……ま、それはともかくですね

今ちょっと見ただけですけど、私、耳の調子が悪い理由分かった気がします


ひょっとしてですけど、最近耳掃除してなかったんじゃないですか?

あー……その、一目で分かりました。はい

い、いえっ、汚いものを見せられただなんて……別に不快だとは思っていませんから、気にしないでください

でも、気になるのは確かです。音楽プロデューサーなんですから、耳は大事にしてくださいね?

んー……

あ、こうしましょう。折角ですから私が耳をお掃除します

いえいえ、そんな気にしないでください

そのままお休みになってほしいですし、私もちょうど何かしてあげたいなと思っていたところですから

それじゃあ耳かきと綿棒探してきますね

たしか、どこかにあったはずなので……

はい?

あ、自分の耳かき置いてあるんですか。それじゃあ取ってきます……

それと……あ

綿棒もすぐ見つかりました

誰かが最近使ったんでしょうか

それじゃ、もう一度隣……失礼します

はい、どうぞ

……ほーらっ

え?

膝枕ですよ。耳掃除なんですから

当たり前のことです。気にしないでください

ほーらっ

P(……こりゃたしかに凄いな)

P(立体音響ってやつか。音だけで泰葉のいる方向や距離がハッキリと分かる)

P(耳に息吹きかけられた瞬間なんて思わず体がびくっと跳ねてしまった)

P(目隠しして、イヤフォン着けながらビクビクして……これ周りから見たら結構変態的なんじゃないか?)

P(……っと、頭なでられた。というか……軽く押さえつけられてる?)

P(これは流石に実際の手の感触だよな……)

P(……え? 実際に膝枕されろと?)


はい、ようこそ……なんて

そんなに照れなくても。耳掃除なんですから

や、いや……私はいいんです

ほ、ほらっ、それよりあまり動かないでください。今から始めていきますから……

んー……綿棒と耳かき、どっちがいいですか?

耳かきですね。分かりました

まあ、自分用の耳かき棒持ってきてるくらいですもんね……あはは

よい、しょっと……

やり甲斐がありますね、これ


失礼しますねー……

大丈夫ですか? この辺りまで入れても痛くないですか?

分かりました。そのまま続けていきます……

あ、動かないでくださいね? 一応。念のためです

人にしてあげるのは初めてではないから、大丈夫だとは思いますけどね

薫ちゃんなんかにしてあげることがあるんです。お泊まりの仕事もあるので、そういった機会に

その時に思ったんですけど、耳掃除って膝枕でないとできないんですよね

証明や角度のことを考えると、上から覗き込むような形になるのが自然ですから

そうなるとほら、体の構造的に膝に頭を乗せてもらうのが一番やりやすいんです

すいません、貧相な脚で……。もう少し柔らかい……というか、大人っぽい方がお好きですよね

あ、そうでもないんですか。は、はい……


んー……

いいですね。本当、やっていてこちらも気持ちがいいです

私、結構耳掃除が好きなのかもしれませんね

細かい作業は好きですし

それで、えっと……大丈夫ですか?

ちょっと熱中し過ぎちゃうところがあるので、そこだけは気をつけないと……

耳かきは固いですから。血とか出ちゃったらよくないですもんね

もうちょっと真剣に勉強してみようかな。耳かきのこと……

耳鼻科……とまではいかなくても、最近はイヤーエステとかあるみたいだし……

……え?

ええ、あるみたいですよ? 耳掃除のお店

もっと気持ちよくしてあげられたらいいな……と思いまして

あはは……凝り性なんです


……あっ

ああ、いえいえ! 大丈夫です

失敗したとかじゃなくて、その……大きいのが取れたものですから。つい

スッキリした感覚がありますか? ふふっ、ならよかったです

それじゃ、見た感じ概ね綺麗になったようなので、周りの方やっていきますね……

こちらは痛くならないよう、綿棒に変えます

まあその……音の聞こえ方には影響無いんでしょうけど、気になっちゃって

特にこの外側なんて、あまり意識して掃除すること無いでしょうから

……わっ

ほら、軽く拭うだけでこんなにです

でも、痛めちゃいけないので軽くにしておきましょうか……

はい、じっとしててくださいね……


んー……こんなところでしょうか

あとは……残った細かいカスですね

それじゃ、また耳かきに持ち替えます

梵天で仕上げです。ちょっとくすぐったいかもしれませんけど我慢してくださいねー

……え? ああ、後ろのふわふわのことです

はい、ふわふわですよ? ふふっ、なんで二回言わせるんですか

それじゃあ、改めて……

ふわふわです……

……ふふっ、気持ちよさそうですね。これ、お好きですか?

なら良かったです

そういうことなら、もう少し……仕上げ、しておきましょうか

じっとしててください……こっち向いちゃダメですよ……

…………

ふーっ……

…………

……はい、おしまいです。次反対側ですね

ふふっ、ちょっとしたイタズラです

P(……また体跳ねちまった)

P(次は反対側、な……)

P(……ん?)

P(あれ、俺今実際に膝枕されてるんだよな)

P(ってことは何か? お腹側に顔をうずめろってか?)

P(…………)

P(まあ向くけど)


……はい、それじゃあますは耳かきからですね

なんとなくコツは掴んだので、スムーズにいくと思います

まずカリ、カリっと……剥がしていきますね

あ、動かないでください。奥の方に落ちちゃうかもしれないので

うーん……やっぱりこっちも溜まってますね……

いえ、私はいいですけど

ほら、大きいのが取れると気持ちいいじゃないですか?

それでついついやり過ぎちゃったりなんかして、耳を少し痛めてしまったり……

よくないことだとは分かっているんですけど

それでどうです? 取れてる感じしますか?

ふふっ、そうですか

ならもっと頑張りますからね


んー……っと

そういえば黒綿棒ってありますよね

アレ、実はちょっと気になってたりして……

ね、気になりますよね。取れた耳垢がはっきり見えるとやっぱり気持ちいいでしょうし

わっ、こんなに取れた! ……なんて

やっぱり取れていくのが実感できると気持ちいいですよ

だからきっと、こうして耳掃除してあげるのも好きなんだと思います

ちょっと足は痺れてきちゃったかもですけどね……

……ああいえいえ、気にしないでください

だめです、動かないでくださいね

私、膝枕するのも好きですよ?


んー……

敏感な部分を掃除する分には綿棒がいいんですけどね……

でもやっぱり、耳穴の方は耳かきの方が好きです

大きいのがごそっと取れた方が気分が良いので。ほら、こんな風に……っと

わっ

ちょっと、動かないでください。もう

見たい気持ちは分かりますが……ほら、綿棒で外側やっていきますからね

…………あ、鼓膜

ふふっ、なんか感心しちゃいました

こういう機会でしか見られる機会なんてありませんから


……はい、これくらいにして仕上げに入りましょうか

ふふっ、お待たせしました。梵天ですよ

え? あ、ふわふわですよ

ふふっ、なんですかそのリクエスト

それでは失礼して……っと

…………

お気に入りでしたようなので、少し長めに……

んー……このくらいでしょうか

はい。それでは……って

そちらもリクエストなんですか?

わ、分かりました

……いきます

…………

ふーっ……


はい、今度こそおしまいです

……それとも、このままお休みになりますか?

なんて。私は……はい、それでも構いませんよ

耳掃除も、よろしければまた♪

P(……あれ、ここで終わりか)

P(そりゃそうだよな。両耳分終わったんだから)

P(なんか名残惜しいが仕方あるまい。っていうかいつまでも比奈の膝借りるわけにもな)

P(目隠し、取っちゃっていいんだろうか)

P(あー、いや。せめて反対側向いてからだな)

P(……)

P(よし、とりあえず目隠し外してから起きるか――)

ここから耳舐めパートですね

P「……ん?」

周子「いぇーい」

比奈「あ、アハハ……」

P(目の前には『ドッキリ大成功』のプラカードを持った周子。その後ろに困ったように苦笑いの比奈)

P(……比奈? ちょっと待てよ。じゃあこの膝は誰の……)


チラッ


泰葉「…………」プルプル

P(はい、耳まで真っ赤になった泰葉です)

比奈「……ハイ。というオチまでがワンセットのドッキリ企画ということでス」

周子「名付けて、超リアル耳かきボイス」

泰葉「……い、いきなり周子さんに部屋に連れ込まれたかと思ったら」

P「ああ、お前も被害者か……」

周子「そういうこと。泰葉には今まさにPさんがCDを聴いている最中ということだけ伝えてソファに待機してもらった」

比奈「やーすいません。アタシは普通に企画として立ち上げるつもりだったんスけどね? 書いてる途中あたりからなんか変なノリに入っちゃって」

周子「言い出しっぺはあたし。まあ泰葉も泰葉だよね。明らかに特定の個人を狙い撃ちにした台本用意してある時点で疑ってもよかったんでない?」

泰葉「だってサンプル用だって言うから……気持ちを込めやすいホンにしてもらっただけなのかとばかり……」

比奈「収録してる間はかなりノリノリだったっスもんね」

周子「っていうか、この内容だと気持ち入りやすかったんだ?」

泰葉「~~~~~っ///」


終了

おしまい

耳かき音声とか耳舐め音声とか催眠音声とかあまり聴きすぎないようにね
以前狂ったように聴き続けてたらなんか右耳が乳首くらい敏感になったことがあったから

そういや前川の中の人って同人音声に出演したことあるんだよね
例えばこのSSを実現するとしたら仙台○リさんにいくら積めばいいんだろう

比奈せんせーSSかと思ったら泰葉だった、これはこれで尊い
催眠畑にいたのでふぁんたんとことね様のイメージ

おつ

いや泰葉の声はまだ仙○エリさんじゃねーから
……お金が必要になったら出します

同人は……ある好きな同人のそれの声優さんが引退しちゃったから、それ以来買ってないんだよねぇ

泰葉が「さん、に、いち……ゼロ!ゼロ!ゼロゼロゼロ!!!」と言ってくれると聞いて

泰葉「ブラックホール!ブラックホール!ブラックホール!」

おつ
最近はなんとなく小梅っぽいロシア系後輩に甘えたよ

癒し系音声にありがちなオウム返しがない+114514点

sage忘れすまん

sage忘れはプレス機な

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