アサシン「今までに何人殺った?」新米殺し屋「(本当は一人だけど)ご、五人」 (19)

アサシン「お前……殺し屋だろ?」

殺し屋「!」ビクッ

殺し屋「な、なんで分かった?」

アサシン「分かるさ……同業者のニオイはな。ところで、今までに何人殺った?」

殺し屋(僕はまだ新米だから、まだ一人だけど……正直に答えたら絶対バカにされる!)

殺し屋(しかたない、サバを読もう……)

殺し屋「ご、五人」

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アサシン「よっしゃ、勝った!」

殺し屋「え、君は何人なの?」

アサシン「俺は……10人殺ってる」

殺し屋「じゅ、10人!?」

殺し屋(すごい……大ベテランじゃないか……)

アサシン「……」ドヤァ

殺し屋(なんてドヤ顔だ! ムカつくぅ~! こんな奴に絶対負けたくないっ!)

殺し屋「あ、思い出した!」

アサシン「え?」

殺し屋「実は僕はね、20人殺ってる」

アサシン「なんだと……」

殺し屋「ある仕事のことをすっかり忘れてたんだよね~、失敬失敬」

アサシン「……」

アサシン「あ、そういえば!」

殺し屋「なんだよ?」

アサシン「数え間違えてた……そういや俺は50人殺ってたわ」

殺し屋「ご、50!?」

殺し屋「10と50、普通そんな数え間違いするか!?」

アサシン「数え忘れてた40人はあまりに小物だったから、カウントしてなかったんだよ」

アサシン「殺しもやりすぎると、こういうことがあるからなぁ」

殺し屋(くそっ、30も差をつけられた! だったら僕は60人にするか? いや――)

殺し屋「そういや僕も数え忘れてたのがいたよ」

アサシン「何人ぐらいだよ?」

殺し屋「80人かな。つまり僕のスコアは……100人だ!」

アサシン「100だと!」

殺し屋「もちろん、これから200、300と更に上を目指していくつもりだけどね~」

殺し屋(フフフ、勝った……!)

アサシン「ちょっと待て」

殺し屋「え」

アサシン「そういや、ある市民ホールに集まった連中をまとめてガスで毒殺したことがあったような……」

アサシン「そうだ! あったあった!」

アサシン「あれを合わせれば……俺の殺害数は1000人だ!」

殺し屋(しまった! 抜かれた!)

殺し屋(ここまできて引くわけにはいかない! だったら次は――)

殺し屋「僕もすごい殺しをやったのを、すっかり忘れてたよ……」

殺し屋「コンサート会場の客を皆殺し、あれは大変な仕事だった」

アサシン「な、なにぃ!?」

殺し屋「あれを加味すれば……僕の殺した人数は1万人にはなるかな」

アサシン「1万ンンン!?」

殺し屋(五人から1万人になっちゃった……ホントは一人だけど)

殺し屋(ま、これも殺し屋としてハクをつけるためだ! 方便方便!)

アサシン「――あっ!」

殺し屋「な、なに?」

アサシン「そういや俺、ある町の住民をまとめて全滅させたことあったわ~」

殺し屋「町を!?」

アサシン「きちんと数えてないけど、あの件を合わせりゃ俺の殺した数は10万にはなるはずだ!」

殺し屋(町を全滅させるなんてとんでもない奴だ! もはや殺し屋ってレベルじゃないぞ!)

殺し屋(だけどもっとサバを読まなきゃ! 町には市で対抗だ!)

殺し屋「……僕はある市を壊滅させたことがある」

アサシン「市を!? 大事件じゃねえか!」

殺し屋「まぁね、あれをもみ消すのはだいぶ苦労したよ……。あちこちに手を回してさ……」

アサシン「……で? 肝心の殺害数は?」

殺し屋「そうだねえ……ざっと50万人にはなるかなあ……」

アサシン「うぐぐぐ……だったらぁ!」

アサシン「お、俺は……100万人だ!」

殺し屋「100万!? んな無茶な!」

アサシン「かなりの大都市だったからな……」

殺し屋「あぐぐ……だったら僕は……1000万人だ!」

アサシン「んな数、ありえるわけが……」

殺し屋「ある国の首都をまとめて滅ぼしたからね……」

アサシン「ぐぬぬ、首都だったらありえる……」

アサシン「俺はやっぱり1億人だぁ!」

殺し屋「僕は5億人殺ってる!」

アサシン「俺は10億ぅぅぅ!」

殺し屋「なら僕は――」





殺し屋「70億人だぁぁぁぁぁ!!!!!」

アサシン「70億って……世界の人口と同じくらいじゃん。人類全滅しちゃうじゃん」

殺し屋「……あ」

アサシン「お前、本当に70億人も殺したのか?」

殺し屋「い、いや……」

殺し屋「ごめん、ウソついた」

アサシン「ウソだったのか……」

殺し屋「実は僕、殺し屋としては新米で……本当はまだ一人しか殺してないんだ」

殺し屋「笑ってくれ……」

アサシン「いや、俺も似たようなもんさ」

アサシン「俺だってまだ、二人しか殺してないペーペーよ」

殺し屋「ペーペーなのに、僕が殺し屋だってよく分かったね?」

アサシン「お前に話しかける前に、お前が武器を手入れしてるとこを見かけただけさ」

アサシン「同業者のニオイなんて分かるわけねえ……。笑ってくれ……」

殺し屋「……」プッ

アサシン「……」プッ

二人「アッハッハッハッハッハッハ!!!」

殺し屋「まっさか、お互いハッタリをかましあってたなんてねえ!」

アサシン「なにしろこの世界はナメられたら終わりだからな」

殺し屋「うんうん、実力以上にハッタリがものをいうところあるしね」

アサシン「にしても、見栄の張り合いが人類絶滅までいっちゃうとはケッサクだ!」

殺し屋「ホントだね! あ~、おかしい!」

アサシン「あ、そうだ! ちなみにお前が殺した一人ってのはどんな奴だったんだ?」

殺し屋「ええと確か……何とかって国の大統領の奥さんだったかな。今頃死体が発見されてるかも」

アサシン「初仕事が大統領夫人とか、お前すげえな! 絶対才能あるぜ!」

殺し屋「そうかな……照れるな……」

アサシン「俺たち……新米同士、仲良くなれそうだな」

殺し屋「もしよかったらコンビ組んで仕事するのもいいかも!」

アサシン「それいい! 報酬はもちろん折半な!」

殺し屋「うん!」

大統領「うおおおおおおおおっ!!! 私の愛するワイフがァ~~~~~!!!」

大統領「どこの誰だか知らんが許さんぞぉぉぉ~~~~~っ!!!」

大統領「愛する妻のいないこの世界などに、私はなんの未練もないッ!!!」

大統領「こうなったら、私が常々持ち歩いてる――」

大統領「我が国含め全世界に核ミサイルをばら撒く、禁断の最終スイッチを押すしかなぁぁぁぁぁい!!!!!」

ポチッ







END

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