【モバマス】響子「混ぜる」ほたる「混ざる」 (17)

・アイドルマスターシンデレラガールズの二次創作です。
・白菊ほたるが同郷の五十嵐響子にちょっとした相談をするお話です。
・混ざるために混ぜます。


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●日曜日のお昼時

白菊ほたる(うん、午前のレッスンは頑張れたと思う。午後もがんばらなきゃ……)

関裕美「ほたるちゃん、お疲れ様」

ほたる「あ、裕美ちゃんこそ。今日のレッスンは大変でしたよね」

裕美「うん、もうお腹ぺこぺこ……ね、お昼一緒にどう? 私、お弁当作って来たんだ」

ほたる「えっ」

裕美「今『え』って言った?(装備/かわいいおべんとうばこ)」

ほたる「き、気のせいです」

裕美「あ、ひょっとして今日は食堂で食べるつもりだったとか……」

ほたる「い、いえ。 私も一応お昼持って来ているんですが、ですが(装備/かみぶくろ)」

裕美「よかった、じゃ、一緒に食べられるね!(パァァ)」

ほたる「は、はい……」

裕美「ふん、ふん、ふん……♪(裕美はおべんとうばこを開いた!)(中にはかわいい手作り料理が詰まっていた!!)」

ほたる「……」

ほたる「……」


●また別の日曜お昼時


松尾千鶴「レッスンお疲れ様。ほたるちゃん、一緒にお昼食べませんか?」

ほたる「あ、はい。是非―――」

裕美「私今日はお弁当作ってきたんです(装備/和風のお弁当箱)」

ほたる「えっ(装備/かみぶくろ)」

千鶴「今『え』って言いましたよね」

ほたる「気のせいです……あの、私実は都合が悪く」

千鶴「そう……(しょぼん)」

ほたる「ウソです一緒にお昼食べたいです」

千鶴「そ、そう?都合が悪ければかまわないのに(パァァ)」

ほたる(解りやすい……!)

千鶴「それじゃ一緒に……いただきましょう(千鶴はおべんとうばこを開いた!)(中には几帳面な感じのお料理が詰まっていた!!)」

ほたる「……」

ほたる「……」


●そして後日

ほたる「―――ということがあったんです、実は」

五十嵐響子「GBNSは仲が良いんですね、すてき」

ほたる「それであの」

響子「ひょっとして私に何か聞きたいことが?」

ほたる「その―――はい」

響子「ほたるちゃんとは同郷の仲間じゃないですか。 私で解ることなら喜んで!」

ほたる「……その、私達ぐらいの歳の女の子ってお弁当作るくらい普通なんでしょうか」

響子「えっ?」

ほたる「―――裕美ちゃんも千鶴ちゃんも、親元を離れて私と同じ寮住まいで。 毎日レッスンも大変で……」

響子「うんうん、とっても頑張ってるって思います」

ほたる「それなのに二人ともたまの日曜にはしっかりお弁当作って……そ、そういうの当たり前なのかなって」


響子「ちょっと待って? ほたるちゃんもごはん持って来てた感じのお話でしたよね?」

ほたる「はい、まあ、一応」

響子「あ、コンビニとかで何か買って来ていたとかっ」

ほたる「買って来ていたといえば買って来ていたんですが……」

響子「なんだか、歯切れが悪いですね……ほたるちゃんのお昼ご飯ってどんなだったの?」

ほたる「バナナとかりんごとか魚肉ソーセージとか」

響子「そのまま食べられるものばっかりだね」


ほたる「私はこれでちゃんと食べてるつもりだったんですが、それを見た二人が『あれっ?』て顔したのが印象的で」

響子「うーん、なるほど」

ほたる「別の朝に泰葉ちゃんに見られたときは『そういうのはちゃんと食べてるって言わない』って言われちゃったし……」

響子「泰葉さんはそういうとこ厳しそうだものね―――ちょっと待って、朝もそういう食事してるの?」

ほたる「寮の朝ごはんと時間が合わないときは」

響子「外に食べに出れば―――」

ほたる「私が一人で食べに行ってお店でトラブルが起きたら大変ですし」

響子「じゃあもうちょっと手の込んだものを。 というか、そもそもどうしてそんな食事を」

ほたる「私の周りでは、色々トラブルが起きるんです。 火を使うと爆発したりとか、事故を起して周りにご迷惑をおかけするかも知れないから……」

響子「なるほどそれでそのまま食べられるものを―――あれっ」

ほたる「?」

響子「ほたるちゃんてここの事務所に来るまでも一人暮らし?」

ほたる「はい、大体は」

響子「もしかしてその間もずっとそういう食生活だったんですか?」

ほたる「はい、あとはコンビニで出来合いを買ったりとか、一応栄養だけは―――響子さんなんだか顔が恐くないですか」

響子「ううん、気のせいですよ?(ゴゴゴ)」

ほたる(絶対気のせいじゃない)


響子「うーん……まずは質問に答えましょうか。 私は小学生からお弁当作っていましたし、中学生でお弁当を作る女の子はさして珍しくはないでしょう」

ほたる「やっぱり……つ、作れないといけないですよね。 私も……」

響子「ううん、それはちがいますっ」

ほたる「えっ」

響子「ポリシーを持ってシンプルな食事をしている人も沢山居ますし、栄養ということだけなら別にお店で食べたっていいです。 状況が許さないから作らない、って人だってたくさん居て―――実際アイドルのお仕事って大変ですから、出来合いは悪い、お弁当作れないのは良くない、と考えるのは違いますよ」

ほたる「……」

響子「ただ、もちろんお弁当づくりにはそのまま食べられるものをそのまま食べるのとはまた違ったメリットもあることも確かです」

ほたる「メリット?」

響子「はい、それは喜びです」

ほたる「喜び?」

響子「お弁当作りには、他には無い喜びや楽しみがあると思うんです」

ほたる「……」

響子「好物を詰めたり、彩りを考えたり、自分なりのお弁当を作る喜び。 それを友達の前で広げるところを想像する楽しみ。 自分で作った料理ならそれぞれのお料理にエピソードがあって、お友達とのお話もきっと弾むでしょう。 交換こもきっと楽しい。 裕美ちゃんたちが忙しくてもお弁当を作っているのは、忙しい中でもそういう喜びが欲しいからじゃないでしょうか」



ほたる「……」


響子「ほたるちゃんは食事を持参する必要があるときは、いつもそういう『そのまま食べられる』物を食べていたんですよね」

ほたる「はい」

響子「それで、これまでは困らなかったんでしょう?」

ほたる「……でも」

響子「うん」

ほたる「二人がお弁当を持ってきたのを見たら、なんだか急に、それが寂しく思えてしまって……」

響子「自分もお弁当を持って、一緒に食べられたら楽しいだろうなあ、って思っちゃった?」

ほたる「……でも、私、お料理とかちゃんとできなくて」

響子「ふふふ、そういう時こそ私にお任せです」

ほたる「響子さん」

響子「私、家事は楽しくして欲しいなって思うんです。 だから『しなくちゃいけないから』なら無理しないでって言うけど―――そのほうが嬉しいからなら、是非、お手伝いがしたいです」

ほたる「……ありがとうございます!」


響子「ほたるちゃんは事故を起したりするのが恐くて、火やレンジを使いたくないんですよね」

ほたる「は、はい」

響子「ならまず『混ぜる』だけで作れる料理を作りましょう」

ほたる「混ぜる、だけ?」

響子「最初から難しいことすると、楽しめなくて、続かないです。 簡単で楽しい事から始めたらいいんですよ」

ほたる「でも、混ぜるだけで作れるもの、って……」

響子「ほら、食べたことないですか? フルーツ入りのヨーグルト。 あれなら基本は切って混ぜるだけだし、みんな甘いものは大好きですもの、デザートに取り分けてあげたらきっとみんな喜びますよ」

ほたる「喜ぶ……」

響子「とっておきのレシピを教えてあげますから、一緒に練習しましょうね」

ほたる「―――はい!」


●また後日

ほたる「二人に喜んでもらえました!」

響子「よかったです!」

ほたる「響子さんには、本当になんてお礼を言っていいか……」

響子「ううん、お役に立ってよかったです」

ほたる「また、他にも色々教えてくださいね。私、色々作ってみんなで食べたいです……!」

響子「そういってもらえると、私もうれしいです」

ほたる「ただ、その事で泰葉ちゃんが響子さんにお話があるって」

響子「泰葉さんが?」


            ◇◇◇

泰葉「私はこれまでずっと芸能界でやってきて、自分でお弁当を作ることなんてなかったし、それを恥ずかしいとは思ってないんです」

響子「はい」

泰葉「ロケ便なんて素人の私が作るよりずっとおいしいしですよね」

響子「そうかも知れないです」

泰葉「今から料理を学ぶぐらいなら信用できるお店で食べて、その分の時間しっかりレッスンするのも、プロの選択じゃないですか」

響子「それも立派な判断だと思います」

泰葉「実際、寮の食事が無いときは外食で充分事足りるんだし……」

響子「泰葉さん」

泰葉「なんですか」

響子「本音をどうぞ?」

泰葉「……」

響子「……」

泰葉「……GBNSのみんなの間でお弁当ブームが来ちゃって、みんな外食に付き合ってくれなくて寂しい」

響子「あはは」

泰葉「私もお弁当作って混ざりたい!」

響子「じゃあ、泰葉さんも混ぜるとこから始めてみましょう―――ね?」


(おしまい)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

岡崎パイセンが一番こういうの憧れてると思うんですよオ!

読んでくれてありがとう。

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