【モバマス】P「平和の」安部菜々「祭典!」 (38)

空港

菜々「今度は大丈夫なんですかねプロデューサーさん……」

P「信じろよ菜々……この前はドタキャンされたが……今回こそは大丈夫だッ」

菜々「……北の国の飛行機って危なくないんですかね?」

P「バカッ! 北の国じゃなくて”共和国”と呼ぶんだ。注意しろって言ったろ!」

菜々「キャハっ」

P「あちらさんにソッポ向かれちゃ一巻の終わり。飛行機ごときにビビってる場合じゃないんだ!」

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機内

CA「……」ぺこり

菜々「うわぁ……ひどい機体ですね」

P「ウグッ。確かにッ……」

CA「BEER?」

P「おっ……これはオツなものを!」

菜々 P「乾杯!」ぐびー

P「おえッ!」

菜々「なんですかこれ! トレーナーさんのプロテインのほうがまだマシですよ!」

CA「……」ムカムカ ビールとりあげ

P「おいおいおいッ。こいつら日本語分かってやがるぞッ!」

P(世界に平和をもたらしたい。安部菜々の強い思いから始まった北の国ライブ構想)

P(年齢詐称疑惑、出生地詐称疑惑、体力減退。追い込まれたウサミンがファンに放った起死回生の勝負手!)

P(当初は無謀としか思えなかった打ち上花火も融和政策により潮目は急変!)

P(国際社会に平和的アピールをはかりたい北の国側に菜々の申し入れは思わぬ歓迎ムードで迎えられる!)

北の国

ガイド「ようこそ”共和国”へ」

菜々 P「本日はよろしくお願いいたします」ぺこり

ガイド「では早速案内しましょう」

ガイド「ウサミン先生。P先生。これが偉大なる首領さまの像です!」

P「ウオッ! デ……デケエッ!」

菜々「奈良の大仏様もひっくり返りますねッ!」

ガイド「ふふッ。奈良の大仏より大きいですか?」

P「ウグッ! いちいちやりにくいぜッ……」

大臣「ようこそ我が”共和国”にいらっしゃいました。初めての来訪を歓迎いたします!」

菜々「ナナでーす! 大変な時期なのにお招きいただきましてありがとうございます!」

P(この大臣が北の国のナンバー3……大物だッ!)

大臣「はぁと先生はお元気ですか?」

菜々「もちろん元気ですッ!」

P(おいおい。はぁとは飲み過ぎで入院中だろうが……)

菜々「こちらは最近、ミサイル開発で大変そうですね」

P(オイッ! 何を言い出すんだ菜々!)

菜々「ところで……核弾頭ができているって本当ですか?」

P「ウッ! バカ!」

大臣「ふふふ。ウサミン先生……日本がおかしなことをしなければ何も心配はないのですよ」

菜々「すごい! やっぱり核弾頭は完成していたんですね」

菜々「実はナナも核兵器を持ってるんですよ!」

大臣「……? ……!」

P(菜々ッ! この大バカ野郎ッ!)

菜々「実はウサミンパワーの正体って、ウサミン星の地下資源のウランとプルトニウムなんです!」

菜々「キャハッ!」

大臣「クックック!」

P(さすがだ菜々! 一撃で相手の心を掴みやがった! どんなアイドルにもできない芸当だ!)

P(会談は大成功! 異例の『即日許可』が下り、アイドルイベント『平和の祭典』は実現に向けスタートを切る!)

P「ふー参った!」

みく「Pちゃんどうしたにゃ?」

P「金が足りねえッ!」

P「何とか天海春香のOKを取ったのはいいが……先払いで1000万だッ!」

みく「やっぱりトップは違うにゃ……」

P「北の国のやつら冬馬だ涼だの勝手なこといいやがるッ! 幾らかかるかひとつも分かってないんだ!」

P「どうも話が違ってきてる……スポンサーも金を出したがらねえ! みんな平和に対する気持ちがないんだろうな」

みく「……」

P「問題は、あのクソでかいスタジアムに設営する機材だ! 船便で送るらしいが……これが3000万かかるッ!」

P「いまさら後には引けねえし……みくッ。このままじゃ346は潰れちまう!」

みく「Pちゃん……みくはその件には触らないにゃ! でもこれだけは言っておくにゃ! みくは自分を曲げないよ!」

P(イベントの前提だったスポンサー話がアッサリ座礁! 行き詰まった資金問題を解決するため、責任者の俺はある会社に向かった)

ソシャゲ会社

キャンペーン! ガチャ100連無料! SSR確率50パーセント超え!

P(この景気の良さ……いけるなッ!)

P「社長! ご無沙汰しております!」

社長「おうおうPさんどうしたんだ?」

P「ここはまさにゴールド・ラッシュさながですね!」

社長「グッハッハッ! Pさんよ……用件を言えよッ。幾ら必要なんだ!」

P「ズバリ……2億ですッ!」

社長「大きいな……」

P「社長。菜々はこのイベントにアイドル生命をかけている! これを成功させれば346は必ず生まれ変わります!」

社長「よっしゃ! いいだろ! 金は引っ張る……」

P(やったぜ!)

社長「ただしだ! 条件がある!」

P「えっ?」

社長「みくにゃんの手形の裏書きが欲しい!」

P「ウムムッ……」

P(社長が求めたみくの『信用保証』! 346が返さなければ債務はみくにも及ぶ契約!)

P(菜々のことが大好きなみくは手形の裏書きに応じ、2億の借り入れになんとか成功した。これにてイベントの大赤字は確定!)

P(しかし、苦難はなおも続く……)

記者「Pさんよ。なんでウチだけ取材申請が却下なんだッ。選り好みでもしてるのか?」

P「なにをおっしゃる! 俺じゃなくて向こうが言ってるんだ。仕方ないでしょ!」

P「だいたい、おたくのこれまでの報道姿勢が元凶でしょ」

記者「クソッ! なら別名義で申請してやるッ! 通さなかったらただじゃおかねえからな!」

P「はいはい」

ジャーナリスト「Pさん! 撮影の腕章がなければ私のクビが飛ぶ……頼みます!」

P「おいおい……あれほど何度も撮影はいいのかって俺は聞いたじゃないか! 一度決まったらあの国はそう簡単に動かねんだよ」

ジャーナリスト「チェッ! アイドル野郎に頭を下げたのが間違いだったぜ!」

P「ウーヌ! いつもはアイドルのアの字も書かねえくせに、こんなときだけ火の構えで来やがるぜッ!」

菜々「プロデューサーさん……いいじゃないですか」

菜々「何と言われても連れて行ってあげましょうよ! ナナがステージで見返してあげます!」

菜々「アイドルは夢と希望を届けるのが仕事ですから……」

P「菜々……」

P「いいかみんな! 何度も言わないからよーく聞いてくれ!」

P「まず言葉に注意だ! 北の国は”共和国”! 独裁者ではなく”将軍様”だ!」

早苗「将軍様って誰だっけ?」

心「さあ?」

P「それから会話は全部筒抜けと思ってくれッ!」

早苗「はいッ! 質問!」

P「なんですか早苗さん?」

早苗「お酒はなにが出るんですか!」

P「バカッ……この世に早苗さんが飲めない酒はないでしょッ!」

P「みんな! こんなめったにない体験を自分の肥やしにすることを考えてくれ! 帰ったら全員レポートを出すこと!」

みんな「はーい!」

P(未知なる隣国、北の国が受け入れたツアー客・報道陣は前代未聞の5000人超! 765からも天海春香が駆けつけ、それに続くように他のメンバーも参加!)

P(961からもジュピター参加! 日本から出発したチャーター便は北の国に大挙到着! いよいよ国家の威信をかけた大イベントが幕を開ける)

スタジアム

観客 ズラー!

P(この日の観客動員はギネス級の19万人!)

P(初日のメインは星井美希と城ヶ崎美嘉のギャル対決!)

P(しかし客の反応は薄かった。反応がない! 聞こえてくるのはかすかな日本語だけ……)

P「菜々……」

菜々「プロデューサーさん。やっぱりお客さんは正直ですね!」

菜々「ジュピターのほうが盛り上がってましたよ!」

P「ああ。ウチのメンバーは戸惑っていたな……何しろどこで湧くかわからねえからな!」

菜々「……違いますよ! 戸惑ったらいけません!」

菜々「可愛いポーズしただけだと、ここのお客さんには伝わりません! ナナは昔から色んなところでライブをやってきました。駐車場、屋上、メイドカフェ……ご存知ですよね?」

P「もちろんだ!」

菜々「明日には空気が変わります! ナナには分かるんです!」

P(2日目のメインは安部菜々VS天海春香)

司会「極寒の北にこだましろ! 熱きウサミンコール! 安部菜々! 入! 場!」

観客「ミミミンミミミンウーサミンッ! ミミミンミミミンウーサミンッ! ミミミンミミミンウーサミンッ!」

司会「大津波のような19万人の大ウサミンコール! 見せつけろ電波のエネルギー!」

P「グオーッ! 化け物だ! 菜々! 空気が全然違うッ!」ピリピリー!

司会「19万人はウサミンに夢と希望を見ているのか!」

観客「ミミミンミミミンウーサミンッ! ミミミンミミミンウーサミンッ! ミミミンミミミンウーサミンッ!」

司会「ウサミングルコサミン! ウサミンプロビタミン!」

司会「そして決まった! ウサミンパワー! 帝王天海春香を下したー! 鮮やかな勝利!」

菜々「みなさーん! ご唱和下さーい!」

菜々「いち!」

菜々「に!」

菜々 観客「ナナー!」

P(19万人の大観衆を手玉に取ったアイドルマスター。この日、新たなひとつの伝説が北の大地に打ち立てられた!)

ホテル

早苗「あー終わった終わった!」

心「大変ッ! ジュピターと涼ちんが打ち上げに来てるってッ!」

早苗「涼ちんの貞操が危ないッ!」ダッシュ!

早苗「間に合ったかッ?」ドアガチャー

志乃「本当のあなたはこのワインのように深みを感じる……私がデキャンタしてあげる……」

涼「ぎゃおおおおん!」

早苗「お……遅かったッ!」

心「ウハッ。あれ見て!」

P「冬馬……ウチの事務所に来な……君は北の大地に咲く1輪の花……」

冬馬「……そっそうか?」

早苗「なッ……なんじゃこりゃあッ!」

心「おかしい! 留美ちゃんがいない?」

留美「猫が飼えないなら響ちゃんを飼えばいいんだ!」

響「ウギャー!」

P(オール酒豪の346大人組の悪しき伝統!
他事務所はライオンの群れに放り込まれた生肉状態……)

空港

大臣「P先生ありがとう」

P「こちらこそありがとう! また来年も……」

友紀「来年は将軍様も連れて来てね! あと日本のビールも準備しといて! ここのビール美味しくなかったんだよねー!」

大臣「……P先生ちょっとよろしいですか」

P「……!」

P(知られざる空港監禁事件発生! 3日後にドーム公演を控えた俺は焦りに焦った!)

P「友紀もとい346に悪気はないんだ! どうか菜々の顔に免じて許してやってくれ!」

大臣「ダメですッ! 我が国が侮辱されました。謝罪し、取り消していただかないことには……」

P「じゃあ俺が2日間ここに残ろう! 酒を飲んでトコトン話をしよう! だから頼むから飛行機だけは止めないでくれッ!」

大臣「……しょうがないですね」

P(俺の捨て身の説得で2時間後、何とか飛行機は日本に向けて出発! 平和の祭典は無事にフィナーレを迎えた)

P「ふーッ」

P(残された莫大な借金。だが俺たちは誰にもできねえことをやったんだ! あとはみんながこれをどう受け止めてくれるか……)

しばらくして

P「レポートあがってますか?」 

ちひろ「あ、はい。これです」ぺらー

P「なんだッ。これだけ?」

お酒美味しかった! 銘柄分からないけど!
By早苗

P「げえッ……」

P(やはりだ! 誰も分かってねえ……! 菜々だからこそ春香もジュピターも来た! 菜々だからこそ19万人が湧いた! どんな人間にもできねえ仕事を菜々はやったんだ!)

P(まだ菜々は引退できねえ……人の怒りと喜びを一身に受け止め、あのスタジアムを一人で引っ張れるアイドルが現れるまでは!)

P(この年、346は765のシアター組と全面抗争戦を仕掛け、これが歴史的大成功。逆転満塁ホームラン!)

P(負債を返済し、息を吹き返した! 菜々が引退したのはそれから数年後のことだった)

P(だが菜々は語っている)

菜々「事実上、ナナはあのステージで引退しました」

P(だからあの日、ナナは”夢と希望”の特性ウサ耳をステージに置いてきたんだ)

おしまい。

ふと菜々さんと猪木って似てるなと思って書いた。

前に書いた モバマス✕プロレス

みく「Pちゃん! みくは噛ませ犬じゃないにゃ!」
http://elephant.2chblog.jp/archives/52177732.html

【モバマス】P「悲しみの巨大娘」諸星きらり伝説
http://elephant.2chblog.jp/archives/52222902.html

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