葉山隼人はみんなから愛される (25)

俺ガイルssです。このssの主役は葉山くんになります。
ssでは嫌われ者になりがちな葉山くんですがタイトル通り今作ではみんなから好かれます。
それこそゆきのんだったりガハマさんだったり例外なくみんな葉山くんのことが大好きになるssです。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1520605145





「雪乃ちゃん!比企谷!危なぁぁぁぁぁい――――ッ!?」




その日、俺は幼馴染の女の子とそれに一人のヒネクレ者を救うために咄嗟の行動に出た。

俺の名は葉山隼人。総武高校に通う高校生……だった。

気づけば俺の意識は闇の中。どうやら死んでしまったようだ。

人間死ぬ時はこれほどまでに呆気ないとは思わなかった。けど後悔はない。

大切な人たちを守れて死ねたんだ。我ながらカッコいい死に様だった。

そう思いながら暫くの間はこの暗闇の中に一人きりでいた。

けれどある時、この暗闇に一筋の光明が照らされた。

ひょっとしたらと思い、俺はすぐにこの光の向こう側へと急いだ。

なんて暖かい光だ。きっとこの先には希望が…

もしかしたら生まれ変わることが出来るのかもしれないと期待した。




『おぎゃあっ!』 『おぎゃぁっ!』


そして俺は転生した。


「やりましたよ!お母さん!男の子です!元気な男の子が生まれました!」


「でかしたわ!比企谷くん!」


「ヒッキー!よく頑張ったね!感激だよ!」


雪乃ちゃんと結衣が分娩室で産婦人科の先生と一緒に生まれたばかりの俺を取り上げた。

その分娩室のベッドでは出産に疲れ果てた比企谷が力尽きたようで

ベッドで横たわりながら生まれたばかりの俺を抱いてくれた。


「よしよし、よく生まれてきたな。お前の名前は隼人だぞ。」


俺は前世と同じ名前を母親の比企谷から与えられた。

こうして俺は第二の人生を比企谷が生んだ赤ちゃんとして生きることになった。



「オーッ!ヒキタニくんが赤ちゃんを連れてきたべ!」


それから何日かが過ぎて俺は母親の比企谷に連れられて学校へと趣いた。

クラスに入ると俺たちは注目の的となりクラスの誰もが生まれたばかりの俺に注目した。


「なんて可愛い赤ちゃんだべか!」


「あぁ…隼人ちゃん…優美子お姉ちゃんでちゅよぉ。将来のお嫁さんでちゅからねえ!」


その中でも特にかつてのグループ仲間だった戸部と優美子が俺を可愛がってくれた。

優美子に至っては自分が俺のお嫁さんだと言ってくれている。

ちなみに姫菜は比企谷がこの教室に入った直後、

鼻血により大量出血が原因で入れ替わるかのように保健室へと運び込まれた。


「隼人ちゃんって本当に可愛いね。八幡よく頑張って生んだね。」


「うむ、隼人ちゃんの可愛さには我も骨抜きにされてまうなぁ。」


それに比企谷の親友である戸塚とそれに材木座くんも寄り添ってくれた。

戸塚がその柔らかい手で俺を抱きしめて

材木座くんもそんな俺に顔をスリスリと擦り付けていた。

あ、うん…ちょっと材木座くん痛いからやめてくれるかな…

みんなから可愛がられている最中のことだ。

どういうわけか俺自身の意思に関係なく感情が昂ぶりぐずり出してしまった。




「う…あぅぅ…」


「オイオイ、どうなってんだべか!隼人ちゃんがぐずってるべ!?」


「ひょっとして隼人ちゃんおむつ交換したいんじゃない。急いで脱がせるし!」


俺が泣いている原因はおしめが汚れてしまったからではないかと察した優美子が

急いでオムツ交換を行ってくれた。

けどオムツを交換するために前のオムツを脱がしてくれたのはいいが

みんなが急に俺の股間に注目していた。


「あ~なんて可愛らしいオチ○チンなんだべか~」


「本当だし、こんな可愛らしいオチ○チン初めて見るし!」


どうやら生まれたばかりの俺のオチ○チンがとっても愛らしいようだ。

ついでにクラス全員で俺のオチ○チンを隼人チンと名づけてくれた。

別にこんなモノに名前つけなくてもいいんだけど…

それからみんなは俺のオチ○チンをプニプニして悪戯してきた。

ちょっと…やめてくれ…恥ずかしい…それにくすぐったいじゃないか…




「コラ、やめろ。俺の隼人ちゃんに悪戯すんな。」


すると母親の比企谷がいい加減やめるようにと俺を抱っこしてみんなを諌めてくれた。

みんなもちょっとやり過ぎだったと反省している。これで助かった。

けどこの感情の昂ぶりはおむつを交換してもまだ収まりそうにもなかった。


「ふぎゃ~!」


「隼人ちゃんしっかりしろ。何が原因なんだ?」


母親の比企谷ですら原因がわからずに狼狽える始末。

そういえばお腹が空いたな。ひょっとしてこの原因は…



「ねえ、ひょっとして隼人ちゃんはお腹空いているんじゃないの?」


そこへ川崎さんが近づいてきてそんな意見を交わしてくれた。

さすがは幼い弟妹を抱える川崎さんだ。年下の子をよく理解している。


「そうか、隼人ちゃんはお腹が空いてるのか。それなら…」


それから比企谷はシャツのボタンを取り外すとアンダーシャツをめくりおっぱいを見せた。

ちなみに比企谷のおっぱいだけど出産の影響で

以前は貧乳気味だったのが出産の影響で少々膨らんでいた。


「オォーッ!おっぱいだ!ヒキタニくんのおっぱいだ!!」


比企谷がおっぱいを晒け出すとクラスの男子たちが一斉に興奮した。

こればかりは仕方がない。

エッチなことに興味津々な高校生の前でおっぱいを晒せばこんな反応もするだろうさ。



「ちょっと男子!ヒッキーママをエッチな目で見るのはダメ!」


「そうだね。本当にアンタら男どもはエロいことしか興味ないんだから。」


そこへすかさず結衣と川崎さんがガードに入った。

これから授乳を行う比企谷のために配慮してくれているようだ。

さすがは女子だ。こうした心配りは男子よりも敏感だ。

けど二人とも妙に息が荒いし

他の男子たちよりも比企谷のおっぱいを凝視しているのは気のせいかな?


「川崎、それに由比ヶ浜。すまないな。
さあ隼人ちゃん。今のうちにミルクを飲もうな。」


二人の協力を得た比企谷は今のうちに赤ん坊の俺に対して授乳をしてくれた。けど…


「おぎゃっ!」プィッ


「そんな…隼人ちゃんがおっぱいを飲んでくれない…」


そう、俺は比企谷の授乳を拒んだ。俺だって生まれ変わる前は高校生だった。

そんな俺がみんなの前でママのおっぱいを飲むなんてプライドが許せなかった。

結局、予備で持ってきてくれていた哺乳瓶を飲み感情の昂ぶりは収まった。

けれどこの一連の出来事で比企谷は悲しい顔を見せていた。

そんな比企谷の悲しげな顔を見て俺は胸がチクッと刺さる思いがした。




それから放課後―――


「実は、二人に相談したいことがあるんだ。」


授業を終えた比企谷は赤ん坊の俺を連れて奉仕部へと訪れていた。

部室にはいつものように雪乃ちゃんと結衣がいる。

ちなみに雪乃ちゃんだが血縁上は俺の父親に当たる。

つまり俺の両親だが父親は雪乃ちゃん、母親は比企谷なんだ。


「それで相談とは何なのかしら八幡ママ。」


「ああ、雪乃パパ。実は隼人ちゃんのことなんだが…」


それから比企谷は二人に抱えている悩みを相談した。

その悩みとはやはり俺のことだ。

先ほどの一件でもあったように俺は生まれてからずっと比企谷の母乳を口にしていない。

何故赤ちゃんが母乳を拒絶しているのか?

比企谷にとってそれは大きな悩みの種だった。




「俺…出来れば隼人ちゃんは…母乳で育ててあげたいんだ…」


「八幡ママの気持ちは痛いほど理解できるわ。だってあなたは母親だもの。」


「そうだよね!おっぱいの方が栄養あるし!」


比企谷の悩みを受けて雪乃ちゃんと結衣は解決に乗り出そうとしていた。

そんなわけで早速二人は原因究明を探るために行動を開始した。


「俺も原因を考えたんだがもしかして俺のおっぱいに問題があるんじゃ…」


「それならまずは毒見をしましょう。そうすれば原因がわかるはずよ。」


「うん、アタシたちでヒッキーママのおっぱいを飲んでみよ!」


二人はまず比企谷のおっぱいを調べ始めた。

まずは二人して丁寧に比企谷のおっぱいを揉み出している。

これはマッサージだ。

おっぱいを揉むことでホルモンを分泌させて

より栄養の高いミルクを出すためだと雪乃ちゃんは言っている。

さすが雪乃ちゃん、海外留学しただけあって博識だ。俺はこんな父親を持って誇りに思う。



「ふう、ここまで揉めば十分でしょう。さっそくおっぱいミルクを飲みましょう。」


「ブ~!アタシはもっとヒッキーママのおっぱいを揉みたかったけどなぁ…」


「由比ヶ浜さんたら…これは遊びではないのよ。もっと真剣に取り組みなさい。」


「あ、そうだよね。アタシったら無神経だった。ヒッキーママごめんね。」


「いや、気にすんな。
お前だってこうして隼人ちゃんのために動いてくれてるんだ。ありがとな。」


それから雪乃ちゃんと結衣は揃って比企谷のおっぱいミルクを飲み始めた。


「チュゥゥゥッ!やはり八幡ママのおっぱいは美味なのだわ。」


「ヂュゥゥゥッ!うん、ヒッキーママのおっぱいミルクはすっごく美味しいよ!」


二人は満足そうに比企谷のおっぱいミルクを飲み干した。

そして出した結論はこうだ。比企谷のおっぱいには何の異常もない。

つまり考えられる原因は俺自身にあるようだ。




「そんな…隼人ちゃんに原因があるのか…?」


「ええ、残念ながら原因はそれ以外に考えられないわ。
場合によっては病院で隼人ちゃんの精密検査を受けなくてはならないわね。」


「あぁ…なんてこった…ごめんな隼人ちゃん…母ちゃんが悪いんだ…」


雪乃ちゃんから残酷な事実を告げられて比企谷は酷く落ち込んだ。

自分が至らなかったばかりに母乳が受け付けられない子になったなんて…

母親として不甲斐なさを感じずにはいられなかった。


「ヒッキーママ!諦めちゃダメだし!」


「…けど俺はどうしたら…」


「あなたは健康な子供を生んだわ。そこは自信を持ちなさい。
隼人ちゃんの問題はママのおっぱいを飲むことに恥ずかしがって抵抗感があるのよ。
新生児にはよくある傾向だわ。」


雪乃ちゃんの指摘は当たらずも遠からずだ。

確かに転生前まで高校生だった俺はママのおっぱいを飲むことに抵抗があった。

そうしたストレスから俺は母乳を受け付けることが出来ないんだ。


「やっぱり…俺なんかが母親になっちゃいけなかった…
隼人ちゃんはもっと立派なお母さんの元で生まれてくるべきだったんだ…」


その指摘を受けた比企谷の目から涙が零れ落ちた。

それは自分が年若い高校生で子供を産んだこと。

さらに未婚であるために戸籍上の父親が存在していないという申し訳なさを募らせていた。



「ヒッキー!泣いちゃダメ!
ヒッキーはちゃんと隼人ちゃんに愛情を育んでるよ。だから自信を持って!」


「由比ヶ浜…すまない…けど隼人ちゃんがおっぱいを飲んでくれるにはどうしたら…」


「そのことについてだけど解決策があるわ。
隼人ちゃんは自分がちゃんと愛されていることを自覚すればいいのよ。
だからこれを観せましょう。」


雪乃ちゃんはなにやらタブレットを取り出だすとモニターになにやら動画が映り出された。

それは俺が生まれるまでの過去の映像だ。




『やっはろ~!隼人ちゃん見てる~?』


『これをあなたが見ているということは無事に生まれたのね。』


『よしよし、隼人ちゃん。未来のお前にちゃんと見てもらおうな。』


なんとそこに映っていたのは過去の雪乃ちゃんに結衣。それにお腹を大きくした比企谷だ。

この様子からしてこの頃の俺はまだ比企谷のお腹の中にいるらしい。

画面に映っている比企谷はまだお腹にいる俺を優しく撫でていた。


『こういうのは初めてで緊張するが…隼人ちゃん元気にしてるか?母ちゃんだぞ。』


『画面の向こうにいる隼人ちゃんは元気に生まれてくれて母ちゃん安心したぞ。』


『あ、お腹がトントン蹴られてるな。もしかして嫉妬でもしてんのか?』


どうやら映像のお腹にいる俺は未来の俺に嫉妬しているみたいだ。

それにしても画面に映っている比企谷はとても穏やかな顔をしている。

そういえば比企谷は元々孤立していた。

それが奉仕部との出会いで人と接するようになった。そんな比企谷が妊娠したんだ。

今まで一人ぼっちだと思っていた自分に赤ちゃんが宿るなんて喜ばしいことなんだな。



『なあ隼人ちゃん、お前の名前が隼人って名付けられたか説明しなきゃいけないな。』


『実はお前が生まれる前のことだ。パパとママは交通事故に巻き込まれそうになって…』


『そんな時に葉山が身を呈して俺たちを救ってくれたんだ。けどそのせいで葉山は…』


『だから俺たちはあの後必死に子作りに励んだんだ。
葉山がしあわせになるために、それにもう一度会ってちゃんとお礼を言いたいから…』


映像はそこで終わっていた。

気づけば俺を抱いていた比企谷は真剣な眼差しで何かを告げようとしていた。




「隼人、母ちゃんあの時はもうダメかと思った。
けど葉山のおかげでこうして生きていられる。けどそのせいで葉山は死んじまった。
だから思ったんだ。もう一度生まれることがあるなら俺のお腹で生まれて欲しいって…」


「だから改めて伝えるぞ。」


「助けてくれてありがとう。生まれてきてくれてありがとう。」


比企谷、いや八幡ママの感謝の言葉を聞いて俺は思わず涙を流した。

なんてことだ。俺はこんな優しくて暖かなママから生まれることができた。

それはとても素晴らしいことなんだ。

そんなママに対して俺は何で困らせることをしてしまったんだ。俺はなんて悪い子だ。

反省しよう。そして二度とママを困らせちゃダメだ。




「チュッパ…チュッパ…」


「見てゆきのん!隼人ちゃんがヒッキーママのおっぱいを飲んでるよ!」


「やはり私の考え通り隼人ちゃんは今の映像を見て八幡ママの優しさを理解したのだわ。」


俺は八幡ママのおっぱいミルクを吸い始めた。

それにしてもママのおっぱいミルクはなんて美味しさだろうか。

今まで飲んでいた粉ミルクなんて比じゃない。

ママのおっぱいミルクからは愛情がこれでもかというくらい伝わってきた。


「隼人ちゃんたらよしよし、母ちゃんのミルクをた~んとお飲み。」


ママはおっぱいを吸い続ける俺を優しく撫でてくれた。

ああ、なんて優しい母だろうか。

最初は戸惑いこそしたが優しくて暖かな母の元に生まれて俺は幸せ者だ。




「やったべ~!ようやく隼人ちゃんがおっぱいを飲んでくれたべ~!」


「うぅ…あーし…思わず感動しちゃったよ…やっぱりママの愛は凄いんだし…」


「そうだね。比企谷は立派な母親だよ。」


「うん、隼人ちゃんがちゃんとおっぱいミルクを飲んでくれてこれで解決したね。」


「我も嬉しいぞい。」


そこへ今まで隠れて覗いていた戸部と優美子、それに川崎さんたちが現れた。

みんなもこの光景を目の当たりにして涙を流しながら感動している。

母の愛情がこれほどまでに人の心に感動を呼び寄せた。

八幡ママの愛がまだ幼い俺を優しく包むように守ってくれている。

けどいつまでも守られてばかりじゃいけないな。

早く大きくなろう。それで今度は俺がママを守っていくんだ。

ママ、約束するよ。もう二度とママを悲しませたりはしないからね。


End


終わりやで 
みんなに愛されてハッピーエンドですたい

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom