NHK「紅白でけん玉をしてもらう」14番の人「え?」 (26)

NHK「いやぁ、悪いね、来てもらってwwww」

14「い、いえ……」

NHK「紅白で三山さんが歌うときに、『けん玉連続成功のギネス記録に挑戦しようずwww』って企画したはいいけど、」

NHK「怪我で急に一人欠員がでてね、暇そうだった君にやってもらおうって腹なんだよ」

14「し、しかし、私はけん玉の経験なんてないんですけど……」

NHK「大丈夫。あと1ヶ月もあるんだし死ぬ気で練習すればなんとかなるってwwww」

NHK「死ぬ気でね」ニヤリ



※実在の人物、団体とは一切関係ありません。

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14「え、えっと……」

NHK「……」

14「や、やはり私には無理ですよ」

NHK「……」

NHK「知ってるんだよ、君、受信料滞納してるよね?」ニヤリ

14「え?ど、どうしてそれを……」


NHK「我々マスコミの情報網をなめるなよ」ギロ

14「ひっ……」ガクブル

NHK「知ってるだろ?訴訟起こせばほぼ確実に払わせることができるんだ」

14「ぁ……ぁ…」

NHK「君だけじゃない、定年退職した君のご両親や年金生活の田舎のおばあちゃんもそうでしょ」

NHK「ああ、上京して奨学金でギリギリの生活している妹さんもいたっけwww」

NHK「結婚を考えてる彼女さんもいるんでしょ?www」

14「ま、まさか」

NHK「今は判例もでたし、テレビを設置したときまで遡って請求できるんだぜwww」

NHK「ご両親やおばあちゃんは30年分の受信料を請求されるだろうねwww」

14「そ、それだけはなんとか」ドゲザー

NHK「まぁ、君の替えなんていくらでもきくんだけどね」

NHK「探すの面倒だし手近な君にやらせてあげようってことなんだよねwwww」

NHK「協力するなら受信料のことは見逃してあげるよ」

NHK「さ、どうする?」

14「や、やります」

NHK「ん?やります?」

14「あ、や、やらせてください」

NHK「うん、いいよwww」

NHK「じゃ、たのむねー」

NHK「あ、お前、顔が地味で画面映えしないから今日から髭伸ばせ。当日は髭面なwwww」

14「は、はい」

NHK「それから当然紅白は生放送の一発勝負だからな」

NHK「失敗したらどうなるか、わかってるよな」ギロリ

14「ぅ……」

NHK「ま、せいぜいがんばれやwwww」

14「……」

それから14番の人は1ヶ月、死ぬ気で練習した。

14「っは…っほ……っふ!」トン トン トン

~~回想~~

電話にて

妹「え?お兄ちゃん紅白出るの?まじ?」

14「あ、あぁ。けん玉するだけだけどなwww」

妹「それでもすごいよ!私、友達に自慢する!」


14「そ、そこまでしなくても」

妹「ううん、お兄ちゃんは私の自慢のお兄ちゃんだよ!」

妹「年末は帰省するからみんなでお兄ちゃんの勇姿を見るね!」


~~回想おわり~~

14「よっ……っと……っほっと」トン トン トン

~~回想その2~~

友「へぇ、けん玉で紅白ってwwww」

14「そうなんだよwwwもうまいったよwwww」

友「でも面白そうじゃん。俺らの同級生みんな集めてうちで観てやるからなwwww」

14「やめれってwwww」

友「ま、がんばれよ」

14「お、おう……」

~~回想おわり~~

14「っは……っほ……っふ…」トン トン トン

~~回想その3~~

彼女「友くんから聞いたよ、紅白でるんだってね」

14「あ、あぁ」

彼女「どうして言ってくれなかったの?友くんには言ったのに彼女の私にはなんの報告もなし?」

14「そ、それは……」

彼女「ていうか、なにその髭?私、髭面の人って不潔に見えるからちゃんと剃ってって言ったよね?」

14「これはNHKの人に言われて……」

彼女「私よりNHKが大事なんだね」

14「ち、違うんだ。これは、どうしても逆らえなくて……」

彼女「……」

14「で、でも約束する。俺にとって君が一番なんだ」

彼女「そんなこと……」

14「彼女!これが終わったら結婚しよう!俺、必ずけん玉成功させるから!」

彼女「!?」トクン

14「絶対に幸せにする」

彼女「……」

14「だから、観ていてほしいんだ。終わったら迎えに行くから、彼女の実家に新年の挨拶にいこう!」

彼女「……はぁ。終わったら髭は剃ってよね」


~~回想おわり~~

14「っほ……っと……ほいっと……」トン トン トン

14は来る日も来る日もけん玉に明け暮れた

年末の忙しい時期だったが、同僚に事情を話し、有給休暇を可能な限りとった。

同僚も応援してくれた。

朝から晩まで、食事と睡眠以外はすべてをけん玉に費やした。

近所の玩具屋さんのおじいさんのもとに通いつめてコツを教えてもらった。

ありったけのけん玉ハウツー本を買って読み漁った。

ネットの情報も可能な限り集めて咀嚼した。

もちろん、読んでる間もけん玉を手放さなかった。


その結果いろいろな技を覚え、プロと比べても遜色ないレベルになった。

基本の大皿に載せる技も成功率は95%になった。

あとは本番を迎えるだけだ。

そして……

12月31日

NHK「おい、14、リハーサル始まるぞ」

14「は、はい」

NHK「おまえ、失敗したらマジでどうなるかわかってるんだろうなぁ」ギロ

14「ヒっ、は、はい。絶対に成功させます」


NHKは気が立っていた。生放送で視聴率が極めて高い、この番組。

今日の受信料徴収問題にかかる、世間のバッシングはNHKも自覚している

だからこそ、この番組に失敗は許されない

このような素晴らしいプログラムならば払ってもいいだろう、そんな視聴者を一人でも増やす使命に燃える意識の高い若手職員は多い


紅白に失敗は許されない

リハーサルにて

NHK「次は、三山さん、おねがいします」

NHK「けん玉のみなさんもおねがいしまーす」

1「ほっ」トン
2「はっ」トン
3「ほっ」トン

・・・・

13「よっと」トン

14「えい!」トン

14(やった、成功した!)

15「ふん!」バシ  ←失敗

15「あ、しま」

NHK「てめぇーーーーーー!なにやってんだゴラぁーーー!!!!!」

一同「……」ガクブルガクブル

15「す、すみません」ガクガクガクガク

NHK「おまえ、気合が足りないようだなぁ。えぇおい」ドン

15「ひぃ、すみませんすみません」

NHK「おい、こいつ連れてけ」

下っ端「は!」

15「い、いやだ、すみません。もう一度チャンスを!」

NHK「連れてけ!」

15「いやだぁーーー」ジタバタ


14「………」

~~~リハーサル終わり~~~

NHK「やぁ、14君、緊張しているかね?www」

14「あ、は、はい。でも本番は頑張りますので」

NHK「うんうん、リハーサルも君は成功したしね。期待しているよwww」

14「あの、15番の人、どこにいるのでしょうか。隣なので立ち位置など相談したいのですが……」

NHK「ああ、彼は今日はいないよ。代わりの人は確保してるけど、立ち位置は君の好きにしてくれていい」

14「え?いないってどういうことでしょうか?

NHK「……」

14「……」

NHK「……本当に、それを聞きたいのかい?」

14「!?」ゾク

14「い、いえ、やっぱりいいです」

NHK「うんうん、従順な人は好きだよwww

14「ははwww………」

14番の人は緊張していた。

絶対に失敗はできない

失敗すればすべてを失う

しかし、そう思えば思うほど緊張感は高まっていき、手の震えが増していった


そして本番……


1「ほっ」トン
2「はっ」トン
3「ほっ」トン

・・・・

13「よっと」トン

14「えい!」カチャ ←失敗

14「あ!」ゾワァ

NHK「!?」


14(やばいやばいやばいやばいやばいやばい)

14(ど、どうしよ)ガクブルガクブル

14(と、とりあえず取り繕わないと)

14(笑って誤魔化そう)

14「」 テヘペロ


NHK「……あのヤロウぉ」ゴゴゴゴゴゴゴ

NHK「おい、14番を、潰せ。社会的にな」

下っ端「は!」

ツイッター
NHK「三山さん14番の方が落とされましたよ」

このツイートをきっかけにインターネット上で14の顔画像などが出回り、年末のツイートのトレンドを騒がした




   公式による公開処刑キターーーーー

   こいつの特定はよwwwwww

   このヒゲヅラよwwwww

   失敗して笑ってるし、こいつわざとだろwwwww

   本日の戦犯wwwww

14の実家

妹「ぉ、お兄ちゃん……」

親戚A「ははは、14のやつ失敗してやんのwwww」

親戚B「こいつ○○家の恥さらしだな」

妹「………」

 ピリリリリリリ
妹「ん?着信だ」

妹友『ねえねぇ、妹の兄ちゃん観たよwwww」

妹「妹友ちゃん……」

妹友『全国放送で無様に失敗して超カッコ悪wwwww』

妹友『しかもあの髭面キモすぎワロタwwww』

妹「あ、あははぁ。だよねwww」

妹「マジあれが兄貴とか恥ずかしいわwwww」

妹友『うんうんwww悪いけどめっちゃ笑わせてもらったwwww』

妹友『しかも今ツイッターとかで晒されてるよwwww』

妹「そ、そうなんだ」

妹友『じゃ、この辺で~。良いお年をwww』ガチャ

 ツーーツーー

妹「……」

友『もしもし~彼女ちゃん?』

彼女「な、なにかな、こんな時間に」

友『テレビ観た?14のやつwwwww』

彼女「で、でもただの余興だし……」

友『そうだね。でも全国であの間抜けな姿が晒されたよwwww』

友『失敗したの結局アイツだけだしwwww』

彼女「えと……でも……」

友『紅白って毎年大小の問題起こしてるよね』

友『裸に見える衣装とか最近もあったし』

彼女「え、えぇ…」

友『そしてずっとネット上に残るよね』ニヤリ

彼女「え?」

友『14のやつ、今後一生ネット上で年の瀬にけん玉失敗したやつって晒され続けるよ』

友『子どもが生まれて成長して、ある日ネット検索で父ちゃんがこんな無様な姿晒したこと知ったらどう思うだろうね~wwww』

彼女「……」

友『いじめられるかもね~』(もうひと押し)

彼女「……」

友『あいつと一緒にいる彼女ちゃんも白い目で見られるかもね。かわいそうに』

彼女「うぅ……」

友『じゃ、今日はこの辺で~。あ、彼女ちゃん、よかったら今度どっか買い物いこう~。初売りとかwww』ガチャ


彼女「……」

後日
電話にて

14「か、彼女!会えないってどういうことだよ」

彼女『うるさい、もうかけてこないで』

14「やっぱりけん玉失敗したから?」

彼女『もうあなたと関わりたくないの。いい?私たちはこれで終わりだから!」

14「そ、そんなけん玉くらいで……納得できな」

友『もしもし~14君、元気ぃ?wwwww』

14「!?」

彼女『ちょ、友くん。勝手に…』

友『いいじゃんいいじゃん、もう最後なんだしwwww』

14「と、友?お前なのか?」

友『うんうんwww』

14「ど、どういうことだよ」

友『どうもこうもないよ。全国放送でただ一人けん玉失敗するような間抜けには彼女ちゃんみたいな素敵な女性は任せられないってこと』

彼女『と、友くん、素敵って……///』

14「お、お前」

友『おっと、俺のせいにするなよ。けん玉失敗してネット上の晒し者になったのはすべてお前の責任だ』

14「な……」

友『それより、自分の心配したほうがいいんじゃねえの?』

友『お前、マジで顔画像のヒゲヅラが出回ってるからな。妹ちゃんとか大丈夫か?』

14「!?」

友『じゃな~。結婚式には呼んでやんよwwww』

彼女『と、友くん、気が早いよ///』

 ガチャ

14「……」

実家にて


14「ただいまぁ」ガチャ

14「あけましておめでとう~」

 シーン

14「ん?誰もいないのか?」

妹「……」

14「お、妹、いたのか。あけおめー」

妹「……」スタスタ

14「お、おい」ガシ

妹「離してよ。てか話しかけないで」

14「え?」

妹「お兄ちゃんのせいで妹友ちゃんにバカにされた」

妹「大学に行ったら絶対に他の友達にも言われる」

14「……」

妹「あと、うちに受信料支払いの督促状着てるよ」

14「!?」

妹「ばあちゃん家にも来たって」

妹「30年分支払わないと裁判起こしてでも差し押さえだって……」

妹「私も奨学金でギリギリの生活なのに……」

妹「今からバイト行くから、そこどいて」

妹「もう兄妹だったこと忘れてね」

14「……」

こうして14番の人は家族、恋人、仕事のすべてを失った

あとに残されたのは受信料の請求書だけだった

あの日、けん玉を失敗したばかりに……

14番はこの先ずっとけん玉を失敗した男として語り継がれるだろう

その後、紅白でけん玉をすることの是非が問われることとなる


おわり

うまいオチが思いつかなかった。

冒頭にも書いたとおり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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