【咲-Saki-】栞「パンケーキ大作戦!」琉音「あ?」咲「ええと…」 (55)

咲-Saki-17巻の裏表紙を読んで思いついたお話。
短いです。

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~ある日・東京都某所~



栞「るねさんるねさん」チョンチョン


琉音「あ?なんだよ」


栞「二人でお出かけって初めてですね?」


琉音「そうだな」


栞「これってデーt」


琉音「だからちげーっつってんだろ!パンケーキの材料買いにデートも何もあるかっつうの」


栞「ですよねー」


栞「でも、どうしてまた突然パンケーキの作り方を教えて欲しいなんて?」


栞「あれですか?女子力ですか!目覚めちゃったカンジですか」キラキラ


琉音「話になんねぇ…」ゲッソリ


琉音「まあ、アレだよアレ」


栞「アレと言われましても」


琉音「後輩の糖分バカに対して、なんつうか、立つ瀬がねえだろ?これくらいはやんねえと」フイッ


栞「……」ビックリ


琉音「ンだよ!その宇宙人でも見てるみてえな目はよ!」ギュムッ


栞「あいひゃぁ!いひゃい、いひゃいでふ、ほっへはふねらないへくらはい」アウアウ


琉音「あぁ!?はっきり話せや!」


栞「うぅ……るねさんがほっぺた抓るからじゃないですかぁ…」イタイ


琉音「で!付き合うのか付き合わねえのか、どっちだよ」


栞「付き合う!?」


琉音「今度はグーで行くぞ?」スッ


栞「じょ、じょーだんですよぉ」アセアセ



栞「もちろんお付き合いしますよ」


琉音「そうか」


栞「はいっ!」フンス


琉音「……」

琉音「さ、サンキューな」ボソ


栞「え?何か言いましたか?」


琉音「な、なんでもねえよ!」


琉音「ほら行くぞしおりィ!」スタスタ


栞「あ、待ってくださいよぉ~!」パタパタ

――――――
―――――――――
――――――――――――


「お買い上げありがとうございました~♪」



琉音「意外と少ねぇんだな、材料」


栞「腕が大事なんですよ、腕が!」


琉音「……」

琉音「ま、宮永なら多少失敗してても喜んで食うか」


栞「始めから失敗した時のこと考えないでくださいよ~」


栞「確かに宮永さんなら食べてくれそうですけど」


琉音「だろ?」



琉音「お前、この後も時間大丈夫なのか?」


栞「もちですよ!」


琉音「ならアタシの部屋で……」ピタ


栞「……るねさん?どうかしましたか、時でも止まりましたか?」

栞「ふふふ、それじゃあ私の好きに」


琉音「殴るぞ?」


栞「ひえぇ…」


琉音「しおり、あれ見てみろ」クイ


栞「??」チラ



少女「……」グスン


少女「……」フラフラ


栞「女の子ですか?」

栞「確かになにやら気になる様子ではありますけど、それがどうか……」


栞「ってあれ、るねさん?」



琉音『……』ヤイヤイ


少女『っ、っ……』



栞「いつの間に声掛けに行ってたの!?」


栞「……もお、しょうがないですねぇ」

栞(ていうか、絵面が完全にヤンキーに絡まれる女の子だよアレは)タタッ

――――――
――――――


琉音「あぁ?だから、一人でなに彷徨いてんだっつってんだよ」


少女「あ、えと……その…」ビクビク


琉音「シャキッとしろ!」キッ


少女「ひっ…」

少女「……うぅ…」グスン


栞「ちょっとちょっと、るねさんってば!なに恐喝してるんですか」


琉音「恐喝なんかしてねえよ」


栞「いや、傍から見たら完全に年下を虐める高校生でしたってば」


栞「ごめんね~?このお姉ちゃんが怖かったよね」ニコ


琉音「……ちっ」


少女「……」ゴシゴシ

少女「いいえ、平気です…」フリ


栞「私は栞。こっちの怖いお姉ちゃんはるねさんっていうんだけど」


琉音「その怖いお姉ちゃんって呼び方やめろ」


少女「栞さんと、る、琉音……さん…」チラ


琉音「あぁ。琉音だよ、渡辺琉音」


栞「あなたは小学生……かな?一人でフラフラ歩いてたから、少し心配しちゃって声を掛けたんだ」


琉音(……うん?なんかこのガキ、見覚えがあるようなねえような)


少女「わ、私、中学生です……中学、2年生、です」


琉音「あ?中坊?」ジロ


少女「ぅ……」ビク


栞「るねさん、睨みつけるのやめて上げてくださいよ」

琉音「この目付きは生まれつきだよ、悪かったな!」



栞「中学生かぁ、ごめんね?見た目若かったから間違えちゃった」


少女「い、いえっ…」


少女「……あの」


栞「うん?」


少女「その制服、白糸台高校の……ですよね」


栞「そうそう!もしかして、志望校だったりする??」


少女「いえ……。私、長野県に住んでいるので…」


栞「……へっ?」


琉音「長野だぁ?もしかしてお前、観光客かなんかか?」


少女「……」フリフリ


琉音「ならなんだよ?」



少女「……お姉ちゃんに、会いに来たんです」


栞「お姉ちゃん??」


少女「でも、お姉ちゃんは会ってくれなくて……顔も、見られなくて…」ギュウ

少女「やっぱり、私、嫌われてるんだなって…」グス


琉音「……なあ、まさかとは思うが東京まで一人で来たのか?」


栞「え?そんなぁ、流石にそんなこと」


少女「……」コクリ


栞「えぇ~!?」


琉音「姉貴に会いに行ったが会って貰えなくて、この辺をトボトボ歩いてたってわけかよ」


栞「ど、どうしましょう?警察?警察ですかね?」


少女「……」ピク


琉音「……」ジッ


琉音「……」

琉音「いや、連れてく。寮に」


栞「ですよねぇ。流石におまわりさんに任せた方が」


栞「えぇ!?!?」


琉音「あ?文句あんのか?」


栞「い、いや、文句もなにも……」



琉音「なぁ、お前は姉貴に会いてえんだろ?」


少女「はい……」

少女「でもお姉ちゃんは私のこと…」


琉音「妹が一人で来てるっつーのに会いもしねえなんて、気に入らねえわ」


琉音「なぁ?しおり」


栞「ま、まあ、可哀想だなぁとは思いますけど……」


琉音「なら決まりだろ」

琉音「こいつは一人で挑戦して、負けてんだ」


琉音「次に勝たせてやるのは、ここで会ったアタシらの役目なんじゃねえのか?」


栞「……」



栞「……お姉ちゃんのこと、好き?」


少女「す、好き!」


琉音「ふん」クス


少女「……ぁ、その…」


栞「はぁ……」

栞「まさか、るねさんとのデートの帰り道で女の子を拾っちゃうなんて…」


栞「……」


栞「それはそれで、アリですね?」チラ


琉音「意味深できめえよ!」ゲシッ


栞「あいたぁ~!暴力反対!この子が将来るねさんに似ちゃったらどうするんですか!」ダキ


少女(ぅわわっ……お、お胸が…)


琉音「うっせえ!おら、早く帰るぞ」


栞「もぉ……」

栞「さてと。じゃあ、着いてきてくれる?お姉ちゃんに会いに行く、作戦会議しに行こっか」


少女「は、はい……あの、本当に良いんですか……?」


栞「うんっ。一緒に頑張ろ?」


少女「……はいっ!ありがとうございます」ペッコリン


栞(け、結構可愛いかも……このまま私の妹にしちゃいたい…)


琉音「ああ、そうだ。名前、聞いてなかったな」


栞「そういえばそうでしたね!」


少女「名前……」


少女「…や…が、さき…」


琉音「あん?」








咲「私は宮永、咲……です」


咲「お姉ちゃんの名前は、宮永照……白糸台高校に、通っています」



栞「……」


琉音「……」




栞 琉音「「えぇ!?(あぁ!?)」」


―――
――――――
―――――――――


~白糸台高校、寮・琉音部屋~


琉音「状況を整理すると、なんだ?」


琉音「宮永だと紛らわしいから咲って呼ぶが、咲が会いに来た姉貴っつうのは…」


栞「宮永さん……宮永照さんで、いいのかな…?」


咲「えっと、はい……そうです」コク




琉音「……しおり、ちょっと来い」クイ


栞「あ、はい」スク



琉音「……あいつ、妹がいたのか?」


栞「知りませんよ…少なくとも、私は聞いたこと」


栞「……」

栞「あの、もしかしてなんですけど」


琉音「あん?」



栞「宮永さん、たまに言ってるじゃないですか」


栞「スコアは低くても強い子はいるとか、カンと嶺上開花は怖い……とか」

琉音「……プラマイゼロがどうたら、とかか?」


栞「ですです。まるで、身近な人の事を語ってるみたいに」


琉音「まさか、あんなちんちくりんが?」


琉音「いや、でも咲本人が姉貴は宮永だって言ってんだもんな…」



栞「……とりあえず、試してみませんか?」


琉音「試すだぁ?」


栞「咲ちゃんの事を疑うわけじゃないですけど、宮永さんの言っていたことが本当なら実際に麻雀を打てば分かりそうじゃないですか」


琉音「まあ、宮永が言うような特殊な麻雀を打つならそうだろうが…」


栞「正直、半分は興味本位もあるんです。あの宮永さんが気にしてる子の麻雀を、一雀士として見てみたいっていう」


琉音「……そうだな」


琉音「おい、咲」


咲「は、はいっ」


琉音「麻雀打てるか?」


咲「!!」ピク


咲「……打て、ます、けど…」

咲「私、麻雀はあんまり好きじゃなくて…」


琉音「そうか。なら一局だけでいい、打たないか?」


栞「嫌なら、無理にとは言わないからね?」



咲「……」


咲「琉音さんと、栞さんが言うなら……」


咲「打ちます、麻雀」ズズ


琉音「っ……」ゾワ


栞(うひゃぁ……これは宮永さんの妹だ…)



琉音「よし。負かされても泣くなよ?」


咲「……負けても、いいんですね」


琉音「……あん?」


咲「ぁ、いえっ、なんでもありません」フリフリ


栞(負けてもいいんですね…?)

栞(……スコア、低い、強い、プラマイゼロ…)


琉音「んじゃまあ、打とうか」


栞(もしかして…)


咲「……よろしくお願いします…」ペコリ

―――
――――――
―――――――――



琉音(おいおい、マジか?)


栞(こ、これが、宮永さんが気にしていた人の麻雀…!)


咲「……カン」スッ


琉音(確定だな。こいつが、宮永が言っている特殊な麻雀の打ち手)


栞(宮永さんの妹……宮永、咲)



咲「ツモ。嶺上開花、1200,2300」



栞「対局、終了……スコアは」チラ


栞(プラマイゼロ……!!)


咲「……」ハッ


咲「……また、またやっちゃった…」


咲「ダメだって分かってるのに、またこんな…」

咲「プラマイゼロ…私が打つと、いつもこう…」


琉音「あっはっはっはっはっ!!」


咲「っ…」ビクッ


栞「る、琉音さん?どうしたんですか」


琉音「どうしたって、これが笑わずにいられるか?」


琉音「あからさまな点数調整に、プラマイゼロ。トドメに嶺上開花と来たもんだ」


咲「ごめんなさ……」


琉音「すげーじゃねえか、咲」


咲「……え…?」


琉音「あんな芸当、簡単にできる事じゃ無いはずだろ?」

琉音「つか、人間業じゃねえ。参った、流石は宮永の妹ってとこだな」クク


咲「……怒らない、んですか…?」


琉音「あ?なんでだよ?」


咲「だって、私、わざと点数を揃えるなんてマネを…」


琉音「だから、それをすげえって褒めてんだろ?」


咲「……」チラリ


栞「あ、私?そりゃ、驚きはしたけど…」


栞「……普通なら、年下にこんな事されて凹む所なんだろうけどさ…」タハハ


栞「咲ちゃんの今の麻雀には、私達への思いやりを感じたんだ」

栞「だからね?なんだか、嬉しかったよ」ニコ


琉音「思いやり?」


栞「思い出してくださいよ、宮永さんと麻雀打った時のこと」

栞「あの時の宮永さんの麻雀は、なんていうか、目の前の獲物を食い尽くす!みたいな感じありませんでした?」


琉音「あったな。良い意味で、凶悪な麻雀だったわ」


栞「でも咲ちゃんの麻雀はなんていうか、私達の事まで考えて楽しませてくれようとしてるって言いますか…」


咲「!」


琉音「なるほどな、言いたい事は分かった」



栞「ねえ咲ちゃん」


咲「……はい…」


栞「咲ちゃん達姉妹の過去の事を知らない私には無責任な事言えないけど、今の宮永さんを知ってる私から言えることはあるよ」


咲「それは…?」


栞「宮永さんはね、咲ちゃんの麻雀を……ううん、咲ちゃんを嫌ってなんかない」


琉音「まあそうだろうな。少なくとも、嫌いな相手の事を話す時の顔はしてなかった」


咲「でも、お姉ちゃんは私に会ってくれなくて……」


琉音「分かんねえけど、宮永は咲に対して罪悪感を抱いてんじゃねえのか?」


咲「ざい、あくかん……」


琉音「分かりやすく言うとな。咲と会っても何を話したら良いのか分かんねえから、逃げてんじゃねえの?」


栞「咲ちゃんなら、宮永さんが咲ちゃんに対して会い辛いその理由が分かるんじゃないかな」



咲「……」


琉音「ま、それは姉貴に会った時話し合え」

琉音「そこまでは、アタシらが連れて行ってやる」


栞「るねさん、カッコいい……相変わらず目付きは怖いですけど」


琉音「っるせえよ!」


咲「栞さん、琉音さん……」




栞「……」


栞「あー!!!!」


咲「ひうっ」ビク


琉音「うおっ!ンだよしおりィ!咲がビビってんじゃねえか!」


栞「私、良い事思いついちゃいました!!」


琉音「…良い事だぁ?」


栞「パンケーキですよ!」


琉音「パンケーキ?」


咲「パンケーキ……」ピク


琉音「なに反応してんだよ、咲」


咲「あ、い、いえ、なんでも…」


栞「ふふふっ、咲ちゃんはパンケーキって作れる?」


咲「いいえ、作ったこともないです…」


栞「調度いい!」


琉音「おい、日本語を喋れよ。全然意図が伝わってこねーぞ」


栞「るねさん、今日の本当の目的覚えてます?」


琉音「あ?咲を宮永に会わせるための……」


琉音「いや、違うか?あぁ、パンケーキの作り方だったな、そういえば」


栞「そーですそーです!」


栞「なので作りましょう!3人で、パンケーキ!」


咲「パンケーキ……!」キラキラ


琉音「咲、お前ももしかして甘党か?」


咲「ぁ、ち、違います!/////」



栞「宇野沢栞発案。題して、パンケーキ大作戦です!」

―――
――――――
―――――――――



~失敗を繰り返してして作ること数時間~


琉音「で、出来たか……?」ゼェゼェ


栞「ふむ、ふむ……」


栞「大丈夫です、完璧です!」

栞「完成しました、パンケーキ!」


咲「や、やった…!」


琉音「っしゃ!やったな、咲!」


咲「はいっ、琉音さん…!」


栞「むふふ、るねさんってば子供みたいにはしゃいでますね~」


琉音「んだよ、悪いかよ!」


栞「いいえいいえ~」クスクス



栞「さて。これで準備は全て整いました」


栞「あとは、明日の部活で宮永さんにそのパンケーキを渡すのみです」


琉音「それは良いけどよ、それが咲と宮永のいざこざを解決する方法に繋がんのか?」


栞「るねさん、ちょっと耳を貸してください」


琉音「なんだよ」スッ


栞「…で……を…ば……と思うんです」ヒソヒソ


咲「……??」


琉音「いやお前、んなことでか?」


栞「弘世さんによれば、麻雀部にだってお菓子に釣られて入ったみたいですし」

栞「それに普段の宮永さんを見ていれば、なんとなく上手く行きそうな感じしません?」


琉音「……まあな」



栞「それじゃあ、けってーい!」


琉音(ま、なるようになるか)


栞「じゃ、私はそろそろ帰りますね!」


琉音「あぁ、もうこんな時間かよ」


咲「ぁ、えっと……」


栞「ふふ、咲ちゃーーん!!」ダキッ


咲「わっ」ムギュ


栞「……不安かな?」


咲「……」



咲「不安、でした…」


咲「でも、琉音さんや栞さんが私を見つけてくれた今は…」


咲「その、全然不安じゃありません」ニコ


栞「……」ムギュッ


咲「わっぷ…」


琉音「おいしおり、窒息死させるつもりかよ」


栞「……このままお家に連れて帰りたい…」


琉音「ばか野郎」ゴツン


栞「痛い!!」


咲「る、琉音さんっ。あんまり、栞さんを虐めないでくださいっ」


琉音「あぁ!?」


咲「ひっ…」ビクッ


栞「るねさん!咲ちゃんを虐めないでください!」プンスカ


琉音「ちっ、ンだよ二人してよぉ……!」


琉音「……でも、咲。初めてアタシに物言えたじゃねーか」


咲「あ、今のは……」


琉音「その調子で、明日も姉貴に言いたい事全部言えよ」


咲「!」


咲「……はいっ」


栞「では、パンケーキは家で保存して明日私が持って行きますね」


琉音「あぁ、頼むわ」


咲「また、明日……っ」フリフリ


栞「うん!また明日ね!」フリフリ



ガチャ……バタン。



琉音「やっと騒がしい奴が帰ったな」ハァ


咲「……」チラ


琉音「あ?なんだよ」


咲「あ、えっと……私はこれから、どうしたら良いのかなって」


琉音「ここに連れて来てんだから、そんなの分かりきったことだろ」


咲「る、琉音さんと二人でですか…!」


琉音「安心しろよ。しおりと違って、アタシに年下を襲う趣味なんてねえから」


咲「そんな心配はしてません!!」バッ


琉音「うおっ」


咲「ぁ……」

咲「…そんな心配は、してないです」フリフリ


咲「琉音さん、確かにちょっと怖いですけど……」


咲「お姉ちゃんみたいに、優しい目、してますから…」


琉音「なっ……」



咲「栞さんと話してる時も、ずっと優しい目してました」ニコ


琉音「ば、ばばば、ばっか野郎お前!!」


琉音「咲こら!いっちょまえな事抜かしてんなよ!」バッ


咲「ひゃあっ!」


咲「あはははっ!くすぐったい!くすぐったいですよ、琉音さんっ!」ジタバタ


琉音「るせえ!アタシの方がこそばゆかったっつーの!」


咲「あはっ、はははっ!ひうっ!」


ガチャ


栞「すみません!スマホ忘れちゃ……」



琉音「……あん?」馬乗りになってる


咲「はぁ……はぁ…」息遣い荒い


栞「あわわわわわわ、る、るる、るねさん!?」



琉音「ばっ、ちげぇーよ!!待て、勘違いすんなしおりィ!!」


栞「勘違いってなんですか!?状況証拠はバッチリじゃないですか!」


琉音「だからそれが勘違いだって言ってんだよ!」


キャーキャー、ヤイヤイ



咲「……ふふっ」クスクス


咲(お姉ちゃんは、こんなに良い人達と麻雀を打ってるんだ)



咲(良かったぁ…)

―――
――――――
―――――――――


~次の日・白糸台高校~


琉音「ちっす」


栞「こんにちは~」


照「こんにちは。早いですね」


栞「宮永さんこそ、一番乗りだね」


琉音「んだよ、宮永一人か?」


照「菫と監督はどこかへ二人で行きました」


栞「そうなんだ」


琉音(逆に都合が良いな)


照「……」チラ


照「……あの、宇野沢さん」


栞「うん??」


照「その、手に持っている紙袋は」キラキラ


栞「あ、気が付いた?」フフ


栞「ほら、るねさん!」


琉音「あ!?どうしてアタシなんだよ!」


栞「良いから良いからっ」


琉音「……ちっ」クシクシ


照「……?」



琉音「これ、"アタシら"で昨日作ったんだよ、パンケーキ」スッ


照「パンケーキ……!」


琉音「まあ、なんだ」


琉音「これからもよろしくっつー意味も込めて、宮永にな」フイッ


照「ありがとうございます。食べてもいいですか」


琉音「もう食う準備万端かよ!はえーよ!」


栞「まあまあ。どうぞ、るねさんの事は気にしないで食べてあげて?」


照「いただきます…」ジュルリ


照「……あむ」


栞「どうかな?」


琉音「ふ、ふつーにパンケーキだろ」チラ


照「……」ゴクン


照「……美味しい。とても美味しいです、宇野沢さん、渡辺さん」


栞「良かった!」


琉音「そ、そうかよ」ホッ


照「はい。ぜひ、また作ってきて欲しいです。
本心から」


栞「!」


琉音「宮永、その言葉に嘘はねーな?」


照「……?はい、勿論」コク


琉音「だってよ、咲!」


栞「入ってきていいよ~」


照「……は?」


ガラララララ



照「う、嘘……」ガタッ


照「どうして、どうして、ここに…」



咲「お姉、ちゃん」


琉音「言ったろ?パンケーキは、アタシらで作ったって」


照「っ…!」キッ


栞「ひうっ」ビク


琉音「あ?なんか文句あんのかよ?」


琉音「妹が覚悟決めて来てんだ。姉貴のお前が逃げててどうするよ」


照「……私から掛ける言葉なんか…」


咲「お姉ちゃん!!!」


咲「お姉ちゃんに言いたい事、伝えたいこと、私にはある!」

咲「いっぱい、いっぱいあるもん!!」


照「っ」ピク



琉音(はん。いい目するじゃねーか、咲)クス


栞(頑張って、咲ちゃん)グッ


照「咲……」


咲「私、私ね……!」

―――
――――――
―――――――――


~エピローグ~



咲「ぐすっ……」



琉音「泣いてんじゃねえよ咲」ワシャワシャ


栞「言ったでしょう?宮永さんは、咲ちゃんを嫌ってなんか無かった」ナデナデ


栞「良かったね、お姉ちゃんとの仲を取り戻せて」ニコ


咲「……」ゴシゴシ


咲「はいっ…!本当に、本当に……良かったです…!」


琉音「にしても、宮永の泣き顔まで見れるたぁ意外だったな」


栞「るねさんったら。宮永さんだって普通の女の子なんですよ」


琉音「普通かァ?」


栞「……ま、麻雀が異常なだけで、普通なんです!」


琉音「へいへい」


琉音「んで、咲はこれからどーすんだ?帰るのか?」


咲「えと……とりあえず、お母さんが迎えに来てくれるって…」

咲「それで、今日はお母さんとお姉ちゃんと3人で、過ごしますっ」


琉音「そうか」



栞「あーん!るねさん、私も咲ちゃんみたいな妹が欲しいです!」


琉音「宮永から奪い取ってみたらどうだ?麻雀で」


栞「む、無茶言わないでくださいよぉ~!」


咲「……」


咲「あ、あの!」



琉音「あ?」


栞「うん?」


咲「琉音さん、栞さん。この度は、本当にありがとうございましたっ!」ペッコリン


咲「私、あのままお姉ちゃんに会えずに帰っていたら……」

咲「きっと、この先は道に迷ったままだったと思います」



咲「本当に、ありがとうございました」ペッコリン


栞「ううん。私達がした事なんて、少し背中を押しただけ」


琉音「あぁ。勘違いすんなよ」

琉音「咲の強さは本物だ。ちんちくりんだがな、認めてやる」


咲「琉音さん、栞さん……」



咲「ごめんなさい。私、今はお礼できる物なんか何も持っていないので…」



咲「いつか必ず。私、お姉ちゃんに……白糸台高校に、麻雀で勝ってみせます」


栞「!」


『プラマイゼロ…私が打つと、いつもこう…』


栞「……」フフ


琉音「はっ。言うじゃねえか」


琉音「宮永が来た白糸台は、この先必ず全国を連覇するだろうな」


栞「その時には宮永さん、インターハイの代名詞!とか言われてそうですね」


琉音「あぁ。天狗になったアイツなんて見たくねえからな」


琉音「咲。お前が宮永に勝つところを、アタシらに見せてくれ」


琉音「それをもって、今回のお礼だ」


咲「はい。必ず!」


栞「るねさんるねさん、私達白糸台の敗北を願ってるみたいじゃないです?これ」


琉音「ちげーな」


琉音「咲の勝利だよ、アタシらが求めてんのはな」


栞「カッコいい…」




照「咲。お母さん迎えに来たって」


咲「あ、お姉ちゃん!うんっ、すぐ行くっ」


咲「それじゃあ、琉音さん、栞さん…また」


琉音「またな、咲」


栞「またね、咲ちゃん!今度来た時は、私のこと栞お姉ちゃんって呼んでね!」


照「……」ゴゴ


栞「ひっ、じょ、冗談だよ~」ビク



咲「ふふっ」クスクス




咲(ありがとう。本当に、ありがとう)


咲(私の、たった1日の大切なお姉ちゃん達)



カン

17巻を読んで、宇野沢さんのあまりの可愛さにびびりました。琉音さんも良いキャラで大好きです。

ではっ。読んでくださった方、ありがとうございました(ペッコリン)

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