【キノ×少女終末旅行】「終末の国―travelers― (22)

「すごいねぇ、キノ」

「それはどっちのことだい、エルメス」

「どっちも。今はこの都市かな?」

「それは同感だ」

 キノとエルメスは、巨大な都市の廃墟を走っていた。

 大きなビルがどこまでも続いている、未来的な都市だった。しかし、人の姿はどこにもない。使われなくなって長い年月が経ったと思われる舗装道路のあちこちに、打ち捨てられた機械が転がっている。

「ほらキノ、ビルの向こうに大きな柱があるでしょ? あれで上の階層を支えているんだ。つまりこの都市は二階建てなんだよ。もしかしたらそれ以上かも」

「なるほど……。こんなものを体験できる機会はないな。ここに来てよかった」

「ほんとにねぇ。あ、キノ、ちょいストップ」

 キノはエルメスのスピードを落とす。

「どうした、エルメス?」

「ほらキノ、そこの道路、積もった雪に履帯の跡が残ってる」

 キノはエルメスを止めた。

「雪が上に積もっていないってことはまだ新しいね、キノ」

「……ここに人はいないって聞いてたのにな」

 キノは顔を上げた。履帯の跡はキノが走っていた道路を横切っていた。

「どうする? キノ」

「まあ、少し気になるから見てみよう」

 そういってエルメスのハンドルを切る。

「どっち?」

「……右で」

 キノは交差点を右に曲がり、スピードを上げた。


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 私の名前はチト。テッケンクラートという車両に乗ってこの都市の上層を目指している旅人だ。同行人はユーリ。きれいな金髪を持つ、いつも食べることしか考えていないような奴で、他人の本を平気で燃やすようなバカでもある。

 故郷を失った私たちは、おじいさんに促されるまま旅に出た。そして食料を探し求めながら、この終末世界をふたりぼっちで旅してる。

「ねぇちーちゃん」

 休憩中、私が読書にいそしんでいると、突然ユーが話しかけてきた。

「なに、ユー」

 私は本から目を上げずに答える。

「その本、そんなにおもしろいの?」

「ああ」

 私は空想世界から引き揚げられたイラつきを抑えること無く言った。

これは食料を探しに入った建物で偶然見つけた文庫本で、私たちぐらいの少女が二輪車に乗って様々な国を旅するという物語だ。かなり昔のものらしく、よくわからない単語も所々出てくる。それにシリーズ本の途中で、この主人公がどうやって旅に出たのか、そして最後にはどうなってしまったのかも分からなかった。

 しばらくすると、ユーは退屈してきたのか私にのしかかってきた。

「ちーちゃんはいいよねー。本見つけられて」

「ああ」

「この本さ、ちょうどレーションの箱みたいな大きさだよね」

「ああ」

「食べられないかな」

「食べられない」

「ちょっと試して」「やめろ」

 油断するとなんでも食うな、こいつは。

 私は本に紐をはさんで閉じた。

「あれ? もういいの?」

「いい、気分が削がれた」

 そういって、本を荷台に直す。

「そろそろ出発しよう。日がくれるまでに寝床を見つけなきゃ」

「はいはーい」

 ユーはのん気そうにそう返事をして、いつもの定位置に戻ると、

「ちーちゃん、何か来る」

 銃を構えた。

「……何か?」

「うーん、こいつのエンジンみたいな音が聞こえない?」

 私はテッケンクラートのエンジンを切った。そして静かになった世界で耳を澄ませてみると、

「なんだ?」

 今まで聞いていた、残存装置の駆動音や循環装置の動作音とは違うエンジンの音が聞こえた。

 次第に音は大きくなり、どこからそれが聞こえるかも判別できるようになる。

「後ろ……」

 私とユーは同時に後方を振り返った。バイクに乗った人間が、こちらに向かってきていた。

☆ ☆ ☆

「ボクはキノ。こちらは相棒のエルメスです」

「どうもね」

「私はチトで、こっちがユーリ」

「二人合わせて」「合わせない」

「ええー」

 ユーリが残念そうな声を上げた。

「ええと」

 その様子を見守っていたキノはチトとユーリの顔を交互に見て言う。

「二人は、この都市の下層から着て上層を目指している?」

「ああ」

 チトは不愛想に答えた。キノはその答えに少しだけ困惑したような顔になり、すぐに真顔に戻った。

「なるほど。ボクはこの都市の外から来た旅人です。少し、お話を伺っても?」

「都市の外?」

 今度はチトが首を傾げた。逆に、ユーリは感心したように目を輝かせる。

「ウソ! この都市の外から来たの?」

「……そんな馬鹿な」

 チトはぽつりとつぶやく。

「イシイが飛行機を作ってまで行こうとした場所だぞ。そんなバイク一台で……」

 この疑問に、エルメスが答えた。

「まあそのへんはあれだよ。昨日緻密ってやつだよね、キノ」

「……企業秘密、かい? エルメス」

「そうそれ」

「エルメスの言うことはあまり気にしないでください」

 キノはエルメスのタンクを叩いた。

 三人はひとまず腰を下ろす。しかし、ユーリはライフルを手放さなかったし、キノの右手は『カノン』のホルスターから離れなかった。

「二人はいつから旅を?」

 キノが尋ねた。質問された二人はお互いを見合す。

「うーん、いつからだっけ、ちーちゃん」

「……日記を調べればわかるけど」

「ま、けっこー前だよねぇ」

「まあな」

「…………」

 キノはそっとエルメスを見たが、エルメスは何も言わなかった。今度はチトが口を開く。

「キノはこの都市の外から来たらしいけど、都市のどうなってるんだ?」

「あ、知りたい知りたい!」

「おいユー」

 身を乗り出したユーリをチトがたしなめた。しかしユーリはそれを振りほどく。

「ねえキノ、都市の外にはさかながいっぱいいる?」

「そこじゃないだろう。ほら、他の人間が生き残ってるのか、とか、そういう質問をしてだな」

「食えないものに用はねぇ」

「ユー、お前なぁ」

 キノはしばらくその様子を見て訝しんでいたが、

「じゃあ、お話します」

 少しだけ表情を緩めた。

「二人のお話も、伺っていいですか?」

期待


☆ ☆ ☆

「ちーちゃん、上目指すの止めて都市の外に行こうよ! 好きなものを好きなだけ食べられる国があるんだって!」

「無理」

「えぇ~」

「そのテッケンクラートじゃちょっと厳しいかもね」

 エルメスのダメ押しで、ユーリはがっくりと肩を落とす。

「それにしてもキノ、この都市の技術は想像以上だったね! まさか人間以外の自然物を一切排除した完全循環型のシステムなんて! これを作った人は本当にすごかったんだろうねぇ」

「滅びてしまえばしょうがないけどね、エルメス」

「稽古懸垂ってやつだね」

「栄枯盛衰?」

「そうそれ」

 三人と一台が出会ってからいくらか時間が過ぎていた。太陽は西に傾き、ビルの陰に入った道は気温を大きく下げる。

 キノは空を見上げた。

「ボクはそろそろ出発しようと思います」

「そうか。ありがとう、キノ。いい話が聞けた」

 チトが礼を言って、ユーリは少し不満げに呟く。

「キノもおいしそうな話するぐらいだったらその食べ物とか持ってきてくれればいいのに」

「図々しいぞユー」

「もし、次に会う機会があれば」

 キノはそう言ってエルメスにまたがろうとして、

「あー、キノ。ちょいまって。なんか来るよ」

 エルメスに制止された。

「何か?」

 キノは『カノン』を引き抜く。チトはその場にしゃがみ、ユーリはライフルを構えた。

「たぶん、あれだね」

 エルメスがそう言った瞬間、道の先から何かが飛びだしてきた。

 それは鈍い銀色に光る、十メートルほどの高さがある円柱上の機械だった。円柱の直径はちょうど道路三車線分の幅で、片輪四つ、合わせて八つの大きなタイヤで移動していた。

 円柱の横からは二本の細い腕が伸びていた。腕は道路上にある廃機械やがれきを拾い上げては円柱のてっぺんにぽっかりと空いた穴に放り込んでいた。

「あれは……」

 唖然と口を開けるチトに、エルメスが答える。

「たぶん、自動のゴミ収集車みたいなもんだね。動くゴミ箱」

「そのたとえは得て妙だが……」

『機械』はまっすぐキノたちの方へ向かってくる。

「これは……、大丈夫なのか!?」

「おお、すごいねぇ」

「少し、端の方に避けておきましょうか」

 キノはエルメスを押して道の端にやる。チトもテッケンクラートのエンジンを入れて移動させようとした。

 しかし、

「あ」

 機械の腕がそれをさせなかった。

 腕はテッケンクラートをチトごと持ち上げた。

「ちーちゃん!」

「チトさん!」

「うわぁぁぁぁ!?」

「あ、キノ」

 もう一本の腕がエルメスに伸びた。そしてあっという間に持ち上げると、二つとも円柱の中に放りこんだ。

「ちーちゃん!」

 ユーリが叫ぶ。

『ユー!』

『キノー』

 曇った声が聞こえた。

「……ひとまず、中は大丈夫なようです」

 キノは機械を見上げる。機械は二人のことを全く無視して進みだした。

「……どうしよう、キノ」

 ユーリは不安げにキノを見た。

「…………」

 キノはじっと機械をにらんだ。そしてしばらく何か考え込むようにうつむき、そのあとあたりに散乱した荷物を見て、

「ユーリさん、これは?」

『爆薬』と書かれた箱を見つけた。


☆ ☆ ☆


「キノー、準備オッケーだよー」

「ユーリさん、お願いしまーす!」

 ビルの屋上でライフルを構えたユーリが声を上げた。キノの声が下から聞こえたが、眼下に伸びる舗装道路にその姿はなかった。

 ユーリはボルトを動かして弾薬を装填した。そしてスコープを覗きこむ。

 銃口の先に、例の『機械』が走っていた。

「こっちじゃなくて~」

 ユーリはライフルの銃口を『機械』の足元へ向け、

「頼んだよ」

撃った。

 6,5mmの弾丸はまっすぐ機械の足元にあった下水道のマンホールに当たり、ちょうどそこに設置された爆薬の起爆装置を作動させた。

 直後道路がはぜる。下水管の中の爆薬が爆発し、地面が大きく陥没した。機械はバランスを崩し、大きく傾く。

 しかし、機械についた腕が横転を避けようと自らを支えた。

 その瞬間、ビルの陰にいたキノが、『カノン』を腕の、関節部分を狙って撃った。

 腕はかなり太かったが、関節部分は構造上弱くなっている。弾が当たると、関節にひびが入った。

 キノはもう一発、まったく同じところに向けて撃った。

 バキっ、という音とともに関節は砕け、腕が折れる。

 機械はそのままゆっくりと横転していった。

 轟音とともに土煙が舞う。

「エルメス、それにチトさん」

 キノは機械の頭の部分に駆け寄った。ビルから降りてきたユーリも走ってきた。

「ちーちゃん! エルメス! 無事!?」

「イテテ。なんとか。ヘルメットがあって助かった」

 チトが穴からのそのそと出てくる。

「キノにユーリ、ちょっとひどくない?」

 エルメスとチト、そしてチトが乗っていたテッケンクラートはほとんど無傷だった。

「もうちょっとやり方があると思うんだよね、キノもさ。おかげで傷がついちゃったじゃないか。ハンドルもちょっと歪んでるし」

「まあそれはどうにかなるから。助かって何よりだよ、エルメス」

 文句を言うエルメスをキノがなだめる中、チトはテッケンクラートの動作点検を行っていた。

「どう? ちーちゃん」

「ああ、なんとか大丈夫みたいだ。横のところがちょっとへこんだが」

 エンジンが問題なくかかり、チトは大きく息を吐く。

「にしてもひどい目にあった」

 そういって動きを止めた機械を見た。ユーリはそっとその機械に振れる。

「……こいつも自分の仕事をしてただけなのに、災難だったねぇ」

「一番災難だったのは私だけどな。それに倒したのはお前とキノだろ」

 チトが文句を言う。

「でもまあ、ちーちゃんがいなくなるよりマシか。ね、キノ」

「ええ、そうですね。ユーリさん」

 キノは頷いた。

「では、ボクは出発します。色々お世話になりました」

「ありがとう、キノ。おかげで助かった」

 チトが頭を下げる。そしてユーリをじっと睨む。

「こいつだけだったら間違いなく私は助からなかったしな」

「そんなことないって、たぶん」

 そういって否定するユーリだったが、目は明後日の方向を向いていた。

「ええ、そんなことないです。ユーリさんの爆薬とライフルがなければボクは何もできませんでしたし」

「ほら聞いたちーちゃん? 私のおかげだって」

「わかったわかった」

 自慢げに顔を覗きこんでくるユーリをチトは鬱陶しそうに引き離した。

「お前も礼言っとけ、ユー。何とかなったのもキノのおかげなんだから」

「うん、ありがと、キノ」

「どういたしまして。……では」

「またね、二人とも」

 キノはもう一度だけ軽く頭を下げ、エルメスのエンジンをかけた。

 そしてアクセルを緩めてスピードを上げ、




 そこで目を覚ました。










「おかえりなさい、旅人さん! 我が国が誇る完全投入型仮想現実装置はいかがでしたか!?」

「とてもリアルな感覚でした。本当に体験しているようでした」

「でしょうでしょう! 脳神経に直接接続して、実際に見たり聞いたりするのとまったく変わらない体験ができるんです! 我が国ではこの装置を利用したゲームが大人気なんですよ!」

「すごかったねぇ、おっちゃん。まさかモトラドも体験出来るなんて」

「我が国が誇る科学が可能にした技術です! モトラド愛好者は我が国にも多いですから」

「それで、今回ボクとエルメスが体験したゲームなんですが……」

「はい! 我が国でも大人気の『終末旅行』というソフトです。文明が衰退した未来世界を旅するという今までにない着想! まさに滅びの美学を体現した世界観が人気を呼びました。繁栄に繁栄を続ける我が国には最も縁遠い世界ですから」

「そのソフトなんですが……、他のキャラクターなどは登場するのですか?」

「いえ、しませんよ?」

「はい?」

「はい?」

「このゲームソフトは、人口が多い我が国で、人付き合いにつかれた人たちが誰もいない世界をのんびり旅するために作られました。キャラクターの類は一切登場しませんし、今回のような特別な接続を行わない限り、どこかのだれかとばったり出くわすなんてことはありえません」

「…………」

「おっちゃん、それ本当に? もしかして誰かこっそりプレイしてたってことはないの?」

「旅人さんたちのプレイデータはこちらからも確認できますが、そんなことは一切ありませんでしたよ? キノさんとエルメスさんだけです。あの世界にいたのは」

「……なるほど。わかりました」

「もしかして何か不具合がありましたか? お知らせいただければ、開発会社に修正するよう連絡しますが……」

「……いえ、大丈夫です。とても素晴らしいゲームでした。ところでボクのパースエイダーなのですが」

「はい、お預かりしてますよ。どうぞ」

「その……二発分の弾丸がないのはなぜでしょうか?」

「え?」



☆ ☆ ☆



「……ん。……ちゃん!」

「ん?」

「ちーちゃん!」

「……なに?」

「そんな格好で寝てたら風邪ひくよ?」

 私は体を起こす。

「キノは?」

「きの? なにそれ」

 ユーは何を言ってるのかわからない、と言った顔で私を見る。

「本の読み過ぎでおかしくなった?」

「お前ほどじゃないよ」

 雲がかかったみたいにぼんやりとしていた頭が、だんだんはっきりとしてきた。

「ちーちゃん、本読んだまま寝てたよ?」

「みたいだな」

 私は右手に持ったままの本を見つめた。キノ、というのは確かこの本の主人公だった気がする。

「どんな夢見てたの?」

「忘れた」

「ええ~。暇つぶしに聞きたかったのにぃ」

「他人の夢を暇つぶしの種にするな」

「私も変わった夢見たから教えてあげよっかな、って思ったんだけど」

「へぇ、珍しいな。どんな夢だったんだ?」

「もう忘れた」

「おい」

「ちーちゃんも忘れてるくせに」

「むぅ……」

 小説の登場人物と出会う夢、だった気がするが、詳しいことは覚えていなかった。

「はぁ、また妙な夢を見たな……」

 そうつぶやいて立ち上がった時、私は気が付いた。

「……あれ、こんなのあったっけ?」

 車両の横が少しへこんでいることに。

特別掌編『少女週末授業的学園キノ』

ユーリ「ねえちーちゃん知ってる? 学校にはね、しょくどうっていうものがあって、美味しいご飯を一杯食べられるんだよ?」

チト「そうか。あいにく私たちがいるのは教室で、食料はユーのお弁当に入っていたレーションしかない」

ユーリ「ええー。せっかく勉強してるんだから美味しいもの食べたいなー。ウドーンとかカツ・ドゥーンとかカリラーとかいうのがあるって聞いたのに」

チト「どこで聞いたか知らんがなんか間違ってる気がするぞそれ」

「やぁ、僕の名前は……ともかくとして、君には叶えたい願いがあるみたいだね」

チト「うわっ!? なんだこいつ!? いつの間に教卓の上に」

ユーリ「なんかあれに似てるね、ヌコ」

チト「アニメじゃまだ出会ってないぞ」

「僕の正体なんかどうでもいいじゃないか。それよりユーリ、君には魂を差し出しても叶えたい願いがある。違わないかい?」

チト「こいつ私のこと無視する気だな」

ユーリ「うーん、願い事ねぇ、美味しいものをたくさん食べたい、とか?」

「そうだ。僕は君の願いをかなえてあげることができる」

ユーリ「え、ほんとに!? じゃあ叶えてよ!」

「ああ。僕と契約して魔物になってよ! ユーリ」

チト「え、それは」

ユーリ「ぐぎゃぁあああああああ!!!」

チト「う、うわぁぁ!? ユーが化け物に!?」

「とりゅぁああああああああああっ!!!!!」

 ドカンドカンドカン。

チト「うわぁああああ!? 教卓の上にいたヌコもどきがぐちゃぐちゃに!?」

エルメス「正義の味方、謎の美少女ガンファイターライダーキノ6年ぶりに参上! 6年間のうっぷんを晴らしてやれ! ってキノ! ちょっとやりすぎだよ!」

謎の美少女ガンファイターライダーキノ(以下キノ)「なんだかあいつだけは許しちゃいけない。そんな気がしたの。デグチャレフPTRD1941なんかでも足りないわ。契約契約うるさい奴なんか滅んでしまえばいいのよ」

エルメス「さいで」

チト「おおい! ユーは、ユーはどうなるんだ!?」

キノ「安心して。私が持ってるこの『ビッグカノン〜魔射滅鉄〜』があれば魔物になった人間なんてすぐ元に戻るから」

チト「そ、そうか……。よかった」

エルメス「さあキノ早く魔物を倒すんだ!」

キノ「了解! さっさと倒して食堂のカレーうどん大盛りを食べるんだから!」

チト「おい正義の味方」

ユーリ(魔物)「ショクドー?」

キノ「あれ、喋った」

ユーリ(魔物)「ショクドー、イキタイ。オイシイモノ、タベタイ」

キノ「あなた……」

ユーリ(魔物)「ハナシノツゴウデ、カ〇リーメイトシカ、タベレナイ。モー、イヤ」

キノ「ううっ! それはつらいわね……。わかる、わかるわ!」

エルメス「キノ?」

キノ「作話の都合上、私も6年待った。後輩のGGОにアニメ化は先越され、恐ろしくキリが悪いところで続編は延々でないし・・・・・・」

エルメス「キノ」

キノ「戦いましょう、一緒に! 横暴な原作者に叛逆するのよ!」

ユーリ(魔物)「オー!」

エルメス「本気かい、キノ! それは創作活動に対する反逆だ! 君は神にでもなるつもりかい!?」

キノ「神様でもなんでもいい。こんな世界変えてやる、壊してやる!」

チト「おいこら」

エルメス「正義の味方が魔物と共闘するなんて仙台疑問だよ!」

チト「前代未聞だろ?」

エルメス「そうそれ」

キノ「いままでの固定概念なんかぶっ壊してやる! 三話で中心人物が食い殺される魔法少女アニメみたいに!」

チト「やめろ」

キノ「美味しいものが食べたいという人を助ける。それってそんなにおかしいことじゃないでしょ?」

エルメス「それだけ聞くとね」

キノ「それにこんな格言を知ってる? 『美味しいものを食べてこその人生なのです』」

チト「いい加減にしろ」

キノ「というわけで暴れるわよ!」

ユーリ(魔物)「ウギャー!!」

キノ「続きはよだせー!」

ユーリ(魔物)「ウギャー!!」

エルメス「どうしよう、まずい。このままじゃキノとユーリがこの世界を破壊してしまう……。そうだチト! 君が正義の味方に変身してくれないかな!?」

チト「このどうしようもない混乱を収められるなら」

エルメス「じゃあこの『ビックサンパチ~魔射滅鉄~』で変身するんだ」

チト「わかった」

パアアン(注・変身エフェクト。コマ送りで見ても素肌が見えないものだけを指す)

エルメス「変身完了だ! 行け、謎の美少女ガンファイターテッケンクラートライダーチト!」

チト「長いな」

エルメス「しょうがないさ。あと、その『ビックサンパチ~魔射滅鉄~』は一発しか打てないから慎重に」

チト「よ」

 ズドン

エルメス「ああ! 慎重にって言ったのに外しちゃったじゃないか! もう一回変身し直して」

チト「……殴ったほうが早いな、これ」

エルメス「え?」

~~かわいらしい絵柄に対して生々しい殴打音が響いております。想像でお楽しみください~~

チト「反省したか?」

ユーリ(戻った)「はい……」

キノ「調子に乗りすぎました……」

エルメス「まさか魔物を素手で殴って倒すなんて……。主人公変わってみない? 学園チトっていうタイトルで」

チト「やるか。まったく、一体何なんだこれは」

エルメス「え? あとがきだよ」


閲覧ありがとうございました。雰囲気似てるな、と思って書いてみましたが結構難しかったですね……。
あとがきは反省しています。後悔はしていません。

空を飛ばない物だけを指してない -1145141919810点サモエド仮面

学園キノまでやりやがったw
久々に見たわ


チトの声をやっている人、キノにも出るみたいだね。

BS11だと終末の1時間半後にキノやっているせいかこの2作のクロスを誰かやって頂けないかな、と思っていたところ
よくぞやってくれました

面白かった

乙乙

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