【少女終末旅行】チト「ロスタイム?」 (26)

ロス:タイム:ライフとのクロス

たぶんロスタイムライフ知らなくても読めるはずです


連続投下してきます


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ケッテンクラート「カタカタカタカタ」



チト「今日も平和だな」



ユーリ「平和だねぇ~」



チト「雪も解けてきてこうも暖かいと眠くなってくる」



チト「走っても走っても同じような景色だし」



ユーリ「居眠り運転はやめてねちーちゃん」



チト「ん~、努力はする」



ユーリ「じゃあ私が代わりに運転しようか、やってみたいし」



チト「それはむり」



ユーリ「なんで」



チト「ユーが運転すると色々壊しそうだから」



ユーリ「私そんなに信用ないn」



チト「ない」



ユーリ「…ちーちゃんひどい」





ケッテンクラート「カタカタカタカタ」



チト「ユー」



ユーリ「なに、ちーちゃん」



チト「食料どれくらい残ってたっけ」



ユーリ「ん~…この間ちーちゃんと作ったやつだけかな」



チト「何日くらい持ちそう?」



ユーリ「…ざっと4日かな」



チト「あそこに大きい建物あるし、燃料と食料そろそろ補充するか」



ユーリ「おーけー」



チト「…おーけーって何」



ユーリ「賛成って意味らしいよ、ちーちゃんが拾ってきた本に書いてあった」



チト「ユー、字読めないだろ」



ユーリ「ちーちゃんが運転してる間暇だから、ちょっとずつ勉強してたよ、これくらいならよめる」



チト「ふーん」



ユーリ「おーけーおーけーおーけー牧場」



チト「なんだそれ」



ケッテンクラート「キキ---」



ユーリ「とうちゃーく」



チト「ユー、建物の中偵察してきて」



ユーリ「りょうかーい、ちーちゃんは何するの」



チト「こいつを整備しとく、いつもよりちょっと焦げ臭いし」



ケッテンクラート「シュュュ---」



ユーリ「おーけーおーけーおーけー牧場」



チト「気に入ったのかそれ」



ユーリ「ちょっとね」



チト「ん~、壊れる箇所が増えてきたな…」カチカチ



チト「でもこれがないと歩くしか移動手段ないし、動かなくなったら困るな」カチカチ



クラッ
 


チト「ん?」



カタカタ



ガタガタガタガタガタガタ



ドドドドドドゴゴゴゴゴゴ



チト「地震だ…」




ガッシャ-ンゴゴゴゴゴゴ



ダ-ンバリバリバリバリ



ガッシャ--ンバリバリ



チト「おい…」(上から機械がたくさん落ちてくる)



チト(あんな高いところからあんな数落ちてくるんだ、一つくらい私の頭に当たるだろう)



チト(暑いからって帽子外しとくんじゃなかったな…)



チト(人生ってこんなに突然あっけなく終わるものなんだな、涙も出る暇ない)



チト「…」



チト「ん…?」



チト(機械が落ちて来ず浮いてる)



チト「…助かったのか?」



シ---ン



チト「…」



ピピ---!!!






実況「さあ始まりました!今回ピッチに立つのは…終末の世界に残された少女、チト選手!」



実況「地震により上から落下してきた廃材の直撃を受けたのが死因のようです」



解説「誠に突然かつ気の毒な亡くなり方ですね~。まぁそんな選手の為に我々がいるのですが」



解説「あ、そういえば…昔、地震でもないのに突然上から看板が落ちてきて選手に選ばれた不運なプレイヤーがいたような気もしますね」



実況「え~、チト選手のロスタイムは…35分です!チト選手はこの35分でどんなプレーを見せてくれるのか!?」



解説「ロスタイムの少ない、あまり無駄のない人生だったようですね」


チト(なんだこの黄色い服きた男たち…しかも5人もいる、生存者か?)



主審「ビビビッ!!」






実況「主審がプレイを促しています、もう試合は始まっています」



解説「選手が自分の状況を飲みこめずプレーを開始できないのはもうお決まりのパターンですね」



解説「それに今回はサッカー自体知らないであろう終末の世界の選手。事態を飲み込むのは困難を極めるでしょうね」






チト(この服装…人数…この間小説で見たような…)



チト(確かサッカーだっけ…で、この数字が出てる板は確か選手交代とロスタイムに出てきたような…)



チト(ロスタイム…ロスタイムか、そういうことか)


主審「ピピピッッッ!!」



チト「ねぇ」



チト「私、死んだの?」



主審 「…」



主審 コクコク



チト「人生のロスタイム、ってこと?」



主審 コクコク







実況「あぁーっと!!なんと早くもチト選手、今の状況を把握したようです!」



解説「今まで見てきた中で一番把握が早かったかもしれないですね、お見それしました」






チト「そうか…じゃあ、あと34分ちょっと生きられるってことか」


主審 コクコク 「ピピピッ!」






実況「さて、再び主審がプレイ開始を促します…っと!チト選手、突然何かを手に駆け出しました!!」



実況「後を追って審判たちも駆けていきます」



解説「あれは食料とビールのようですね」



実況「ビールですか…ええっと、チト選手の年齢は確か…」



解説「ほぼ世界に二人だけですし、気にするだけ野暮ですよ」



実況「確かに」



チト「ユー!! ユー!!!」






解説「チト選手が向かったのは、サポーターのユーリ氏のもとですね」



実況「やはり残り少ないロスタイムですが、仲間のユーリ氏の安否が気になるようです!」



実況「ちなみにルールの確認ですが、選手が外部にロスタイム中であることを漏らすと、レッドカード一発退場となります」



解説「すなわちロスタイム終了ですね」



実況「あと、外部の人間には審判団は見えていません」



解説「なのであまり審判団と話しすぎると、空気と話すおかしな人認定されてしまいますね」







ユーリ「お~、ちーちゃん、ここここ。修理終わった?」



チト「ユー!!」



チト「無事か!?」



ユーリ「へ?」



ユーリ「何が?」



チト「ほら、地震、あっただろ」



ユーリ「へ?別に揺れなんて感じなかったけど」








実況「手元の資料によりますと、この建物は地震の揺れが来ると自動的に空気で建物全体が浮き」



実況「中の人に揺れを感じさせない構造になっているようです」



解説「今現在ではまだ数少ないタイプですが、この時代だと標準装備なのでしょうね」



チト「とにかくユーが無事で良かった。それよりも、私、地震で死…」



主審「ピピピピピッッ!!」



スッ  イエローカード







実況「あぁっと!!イエローカードが出てしまった!!!2枚で来世生まれ変わりができなくなってしまいます!」



解説「ルール説明もないのにいきなりイエローも酷な気がしますけどね」



実況「まぁ...審判基本喋りませんからね、仕方ない」



解説「審判がしゃべらないのも審判側の都合でしょうし、やはり選手には非常に酷ですね」




チト「何そのカード?それより今ユーに大事な話してるから黙れ」



チト「でユー、私地震で死…」



主審「ピピピピピピピッッッッ!!!!」レッドカードチラツカセー







実況「あぁっと!!主審がレッドカードをちらつかせている!!!」



実況「副審が主審をなだめつつ、身振り手振りでチト選手に説明しています!!」



解説「最初から主審がそれをやれと。協会に意見書書かないといけませんね」



チト「そうなのか…ユーに伝えたらだめなのか…」



ユーリ「ちーちゃん、それよりおなかすいた」



チト「そうだな、ユーの無事確認したら私もすいてきた」



ユーリ「ちーちゃん食料持ってるじゃん。ぐっとたいみんぐ」



チト「じゃあここで食べるか」



ユーリ「あ、待って」



ユーリ「屋上に面白そうなものがあるらしいよ」





屋上


チト「これは」



チト「扉に、おくじょうおんしつはなばたけってかいてあるな」



ユーリ「開けてみようよ」



扉  ギギギッ



チト「うぉぉ...」



ユーリ「おぉぉ...」




ユーリ「…きれいだね…」



チト「…うん...」



ユーリ「いいにおいもする」




実況「これは…」



実況「扉の向こうには一面の広大な花畑が!!」



解説「こんな華やかな花畑、3次元には存在しないと思っていましたが、実在したんですね…」



実況「華やかさのあまり、実況を30年続けている私でも、言葉があまり出てきません…」




ユーリ「ちーちゃんちーちゃん、ここで食べよ」



チト「う、うん」



ユーリ「ちーちゃん、その食料半分ちょうだい」



チト「ん」



ユーリ「その飲み物は?」



チト「入れるものないし、そのまま二人で飲むか」



ユーリ「おーけー」



グビッ



ユーリ「はぁぁ~」



チト「はぁぁ~」



ユーリ「平和だねぇ」



チト「…」



チト「うん...」



ユーリ「あったかいねぇ~」



チト「…」



チト「うん...」




チト(死ぬとか想像できないけど…ユーとももう会えなくなるんだな…)



チト(あと10分くらいで)



チト(嫌だな)



チト(嫌だ…)



チト(...)





ユーリ「いいにおいだねe…」



チト「」バサッ



チト「…」



ユーリ「ちーちゃん」



ユーリ「なんで急に抱きついてるの」



チト「…」





ユーリ「なんで、泣いてるの」



チト「…」



チト「ヴヴッ...」



チト「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ー」




…………



ユーリ「ちーちゃん…?」



チト「ユー、しばらくこのままでいさせて…」



ユーリ「…」



ユーリ「わかった」




チト(別れないといけないのなら…少しでも…)



チト(ユーのぬくもりを)



チト(ユーの感触を)



チト(少しでも少しでも少しでも)



チト(忘れないでいたい)



チト(………)



チト(………)




ピッピッピ



チト「…ん?」



チト(見上げるとそこにはもうユーも花畑もなかった)



チト(見えるのは無機質な屋上に立つ黄色い服の男たちと)



チト(5:00の表示からさらに減っていく板のみ)



チト「花畑...幻だったのか...」




ピッピッピ




主審 首フリフリ



主審 頭ユビサシ



チト「…ん?…」



チト(頭に何か乗ってる…)



チト(…)



チト(!?)



チト(…)



チト(本当、だったんだな)






実況「…チト選手が抱きつく間に、ユーリ氏が花飾りを作って頭にのせていたようです」



解説「いやぁ…サポーターとして、100点の行動だと思いますね」




ピッピッピ



主審 トケイユビサシ デグチユビサシ



チト「わかった、いくよ」



チト「先で待ってるよ、ユー」



チト「さよなら、ユー」



事故現場



主審 ピッピッピ



チト「この態勢でいいのか」



主審 コクコク






実況「最後の瞬間に水を差すようですが、選手は試合開始時の態勢で、終了の笛を聞かねばなりません」



解説「今回は35分という短い中、チト選手は素晴らしいプレーを見せたと思います」




チト「あと30秒か…」



チト「……」



チト「……」



チト「綺麗だな…この花飾り…」



チト「……」






チト「ありがとう…ユー…」







チッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチ




チッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチ





カチッ




ピッッッピッッッピーーー








おしまい



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