杏「文香ちゃんの誕生日を」ありす「祝いましょう」文香「……」 (18)

※シンデレラガールズSSです。
※杏たちがなんらかの形で祝います。
※文香さんお誕生日記念(大遅刻)!

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【事務所ドア前】

杏「文香ちゃんもう来てるね」

ありす「だから言ったじゃないですか……文香さんは必ずこの時間に来て読書していますから。ソースは私の独自研究です」

杏「杏にしては早く来たはずなんだけどなあ」

ありす「約束の時間から40分経ってますよ。誕生日サプライズどうするんですか? クラッカーも事務所の中ですし……」

杏「眠気には勝てなかったよ……仕方ないから、読書中の文香ちゃんの集中力に賭けるしかないね」

ありす「杏さんのせいなんですから、もっと責任感持ってください」

ありす「そーっと、ですよ」

杏「このドアを静かに開けるのは無理だから諦めよう」ギィイ-!

ありす「ちょっと!」

【事務所】

杏「ほら、文香ちゃん気づいてないよ。今のうちにクラッカー持ってこよう」

ありす「……」

杏「橘ちゃん?」

ありす「いえ、昨日、帰る前にクラッカーを事務所に隠していったのですが、その……」


ありす「ソファーの下に……」

文香オンザソファ「……」ペラッ


杏「あー。文香ちゃんの下かあ」

ありす「読書が終わるまで待ちましょうか……」

杏「いやいけるよ。ほふく前進で」

ありす「いや、さすがに足元まで近づくのは」

杏「大丈夫大丈夫。ほら」グイグイ

ありす「じゃあなんで私を先に行かせようとするんですか!」

杏「あそこに置いたの橘ちゃんでしょ。大声出すとバレるよ?」

ありす「ぐっ……わかりましたよ」

ありす「……あの、杏さん」ホフクゼンシン

杏「なに?」ホフクゼンシン

文香「……」ペラリ

ありす「これ、二人で行く必要ないと思いますけど」

杏「杏は見張りだよ。二人の方が索敵しやすいからね。退路も断てるし」ニヤリ

ありす「敵もなにも、文香さんしかいませんよ! それと本音は隠してください!」

杏「声が大きいよ」

ありす「誰のせいだと……あ、杏さん。この飴食べます?」

杏「え、飴くれるの!」バッ

文香「……?」チラッ

杏「あっ」

ありす「はぁ……もういいです」

杏「危ないところだった……さあ進もう」

ありす「いやもう無理ですって!思いっきり目が合ってましたし! というより現在進行形で!」

文香「ありすちゃん、おはようございます……」

ありす「あっ、ええと、おはyんむっぐ!」モゴモゴ

杏「だめだめ、静かにしないと見つかるよ」

ありす「理不尽な(いふふぃんは)!」モゴモゴ

杏「獲物はすぐ近くだよ。慎重に手を伸ばして……」

ありす「諦め悪すぎません? 遮られたとはいえ挨拶まで交わしましたよ?」

文香「……きっと猫か何かですね……読書に集中しましょう」

ありす「乗らなくていいですから!」

杏「橘ちゃんが床にうつ伏せで叫んでる、と……」パシャ

ありす「写真付きで共有しないでください! って私スカートなんですけど後ろから撮らないで!」

杏「大丈夫、みんなが見れるわけじゃないから」

文香「……あ、事務所のグループトークに写真が送られて来ました……」ピロリン

ありす「ああそれなら別に……よくないです! それプロデューサーも参加してるんですよ!!」

文香「なるほど、イチゴ柄ですか……」

ありす「あああきこえない!!!」

ありす「ここまできたらもう開き直りです! 文香さん、足元失礼します」ガサゴソ

文香「……」スッ

ありす「ふ、文香さん?」

文香「……ここを通りたければ、私の脚を倒してからです」

杏「くっ、こんなところで足止めを食らうなんて……脚だけに」

ありす「うまくないですよ。なんでお二人とも遊んでるんですか」

杏「弱点を見つけないと脚は倒せない。ここは杏も一緒に戦うよ」

文香「……」ペラッ

ありす「文香さんもう飽きてる!」

杏「くらえーっ」コチョコチョ

ありす「攻撃が地味!」

文香「……」プルプル

ありす「あ、ちょっと効いてますね」ツツ-

文香「……んひゅ」ビクッ

杏「!……どうやら弱点は」

ありす「“タイツの繊維に沿って爪でなぞる”ですね」

杏「とどめだー!」ツツ-!

文香「んふっ、んん……なかなか手強いですね……ですが」

杏「効いてないっ?!」

文香「私の本当の弱点は足の裏なので……こうして床に足をつけている限り、私を倒すことはできません」

ありす「ボスはどうして弱点を自らしゃべるんでしょうね」

杏「そうと分かれば……橘ちゃん」

ありす「分かってます」ギュッ

文香「……あ、ありすちゃん?」

杏「一人が脚を押さえているうちに……えい!」コチョコチョ

文香「……っ、ん~~っ、……ぁひっ!」

杏「橘ちゃん、今のうちにあれを!」

ありす「……あ、はい、クラッ……あれですね! 忘れてました」

文香「ん、……はぁ、はぁ……」

杏「相手が弱ってる……クラッカーをこっちに!」

ありす「はいっ」トス

杏「よしっ、構えて……せーの!」

杏ありす「「お誕生日おめでとう!」ございます!」

文香「……?」シ-ン

ありす「あ、あれっ!?」

杏「これはクラッカーじゃなくて……」

文香「それは……ブナシメジです。香り松茸、味しめじと言いますが……この文脈でのしめじはブナシメジではなく、ホンシメジのことを指すのだとか」

ありす「キノコ解説なら他に適任がいる気もしますが」

文香「ふみペディアです……」

杏「クラッカー盗難事件……すり替えられていたブナシメジ……適任……まさか、犯人は!」

輝子「……正解だよ、小さな探偵さん……フヒ」

杏「杏は見た目は子供、頭脳は大人だからね!」ドヤァ

ありす「微妙に否定できないのが悔しいですね」

杏「言え……例のブツを、クラッカーをどこにやった!」

ありす「杏さんなんでそんなにノリノリなんですか」

輝子「知りたい……? なら、教えてあげる……クラッカーは、プロデューサーの机の……ウッ……!」パァンッ!

杏「輝子ー!」

乃々「……おしゃべりが、過ぎるんですけど……」シュウウ…

ありす「乃々さんまで……輝子さんはクラッカーで死ぬ役なんですか?」

乃々「口の軽い奴は捨て駒にもならないので……消えてもらいました」

杏「くっ……なんて酷いことを!」

乃々「そんなに興奮しないでください……心配しなくても、クラッカーはここにあるんですけど」ガサ

ありす「いつの間にすり替えたんですか……ともかく、それを早く渡してください」

乃々「おっと、そこを動くと引き金を引きますけど……」

ありす「それただのクラッカーのヒモですよ」

杏「ありす、今は犯人を刺激しないほうがいいよ」

ありす「橘です。茶番はいいので早く返してください」

乃々「舐められたものですね……」クィッ

杏「だめだ、下がれありすーっ!」

ありす「橘です。だからそれクラッカーですよ」

乃々「戯言を……消してやりますけど!」パァンッ!

杏「やめろーっ!」

文香「う、……っ」ガクッ

ありす「文香さん?!」

乃々「自分にクラッカーを向けようとした者を庇って……愚かな女なんですけど」

杏「文香ちゃんっ……嘘だあぁっ!」

ありす「頭にカラフルなテープ絡まったままシリアス続行するんですか?」

文香「あ……りす、ちゃ……」

杏「っ、喋っちゃダメだ! 傷口が……」

文香「ごめ、ん……ね、……最、後に、……ひとつ、だけ……」

ありす「なんですかもう」

文香「……さ、……」

ありす「さ?」

文香「さ……サプライズ大成功、です……」

ありす「は? うわわっ!?」パァン! パパン!

杏「おめでとー!」

輝子「死体役は、小梅ちゃん直伝……どうだった?」

乃々「もりくぼはお雇い黒幕でしたけど……」

ありす「な、なんなんですかもう! もしかして杏さんも……文香さんもグルなんですか?!」

杏「まーね」

文香「脚本は私と、杏さんです……」

ありす「何かと思えば、全部仕込んであったんですね……はあ」

杏「文香ちゃんの足をくすぐるのは台本になかったんだけどね」

文香「あれはアドリブでしたが……ありすちゃんの指使い、……良かったです。またお願いできますか……?」

ありす「変なものに目覚めないでください」

【数日前】

杏『そういえば文香ちゃん、もうすぐ誕生日だよね』

文香『……そういえば、そうですね。あまり気に留めていませんでした』

杏『なにか欲しいものないの? 本とか』

文香『これ以上本を望むのは贅沢というものですから……でも、強いて言うなら、私が……物語の中に入ってみたいです』

杏『というと?』

文香『憧れているシチュエーションがあるんです。“大切な人を庇って銃弾に倒れる”というのを……一度体験してみたいんです』

~~

ありす「……それで、その文香さんのワガママを叶えるために台本を作って、協力者を取り付けたと」

乃々「なんでもりくぼが輝子ちゃんを……けぢめですか……」

杏「橘ちゃんと一緒に誕生日サプライズを企画して、その逆サプライズ演出にしたのは杏のアイデアだよ」

輝子「キノコ提供は、もちろん私……」

ありす「呆れを通り越して文句も出てきませんよ…………あれ?」



文香『“大切な人を庇って銃弾に倒れる”というのを……』



ありす「……ふふ、まあいいです。文香さんが楽しかったのなら」

文香「楽しかったです……ありすちゃん、ありがとう」

ありす「えへへ」

輝子「にやにやしてる……」

ありす「し、してませんよ!」

杏「橘ちゃんも楽しかったよね?」

ありす「無駄に疲れただけです!」

杏「まあまあ、じゃあ企画も終わったことだし……改めてクラッカーでお祝いしようよ」

ありす「……そうですね。なにはともあれ、文香さんの誕生日ですから」

文香「ありがとうございます……」

輝子「あれ、クラッカーは……?」

乃々(クラッカー使い切ってしまったんですけど……このタイミングで言い出すのは……むーりぃ……)

これで終わりです。

文香さんの誕生日と聞いて書かせていただきましたが、思いっきり遅刻しました。
元はと言えば、くすぐり文香さんを書きたかっただけです。他にも脇の下とか弱そうだと思うんですけど、くすぐりSS流行りませんか?

読んでいただきありがとうございます。長々と失礼しました。

クラッカーといえば

瑞樹「ナビスコ!」

菜々「あたり前田!」

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