気まぐれ百合SS(二次創作orオリジナル) (82)

>>1が思いついた時に好きにSSを書いて1000を目指します
年内の終了を目標にします

注意事項
・亀さん
・男が絡んでくる話もあると思いますが甘詰◯太にはなりません
・オリジナルも二次創作もあります
・暗い世界観は現実でお腹いっぱいなので基本ハッピーエンドにしたいと思います
・短くしたいです
・エロ入るかもと思い、こちらに立てましたがたぶんエロなしの方が多いかもしれません
・昔書いたSSを掘り下げるかもしれないです
・(ホモ要素が含まれるかもしれません)
・リクエスト頂けるのであれば書けるのは書きたいと思います。基本好き勝手書くだけなので期待には添えないかも知れません

二次創作の対象になりうる作品
百合漫画(アニメ化されてないもの、短編も含む)、ストパニ、スト魔女、ガルパン、リドル、NEWGAME、ひだまり、ゆるゆり、ゆゆ式、咲、リトアカ、フラフラ、FAG、うらら、ガヴドロ、卓球娘、まどマギ、艦これ、きんモザ、メイドラ、けいおん、ビビオペ、ヤマノススメ、ラ!、桜、ごちうさ、Aチャン、ささめきことなど
パッと思いついたのは以上ですが、それ以外にもなにか書くかも知れません

しばらくして思いついたら書き始めます

芹「やっほ、お嬢様」

薺「……芹さん。 その呼び方、やめてくださらない?」

芹「でも事実じゃん。 いいとこのお嬢様なんでしょ」

薺「それは否定はしませんけど。 私にはちゃんと名前がありますのよ」

芹「なんだっけ」

薺「薺(なずな)ですわ!」

芹「あはは、冗談冗談、ちゃんと覚えてるよ」

薺「全く……」

芹「あ、そうそう。 お嬢さ……薺ってさ、これ食べたことある?」

薺「……なんですの、この奇々怪々でいかにも陳腐なものは」

芹「わさびのりさん太郎ってんだ。 あたしが好きなお菓子なんだけど、どう、一口」

薺「わたくし、お菓子は無添加で品質の良いものしか食べませんの。 きっと口に合いませんわ」

芹「まぁまぁそんなこと言わずに。 ほら、あーん」

薺「う、や、やめなさい! はしたないですわ!」

芹「いいからいいから、ほれほれ」ズイズイ

薺「し、しつこいですわね! わかりましたわ! もう! そこまで言うのなら……ん」

薺「いうっ! んーー!」ツーン

芹「んまいでしょ?」

薺「う、うぅ……甘く見てましたけど以外にわさびの味が強いんですのね……!」

芹「そうなんだよね。 わさび好きには結構イケるんだよ」

薺「……わさびの風味が抜けるとなんだかよくわからないものが口に残りますわ。 飲み込んでも大丈夫なんですの?」

芹「飲み込んじゃダメなものなんて食べさせないって。 えっと……一応魚のすり身らしいよ」

薺「ふぅん……」

薺「……」ソワソワ

芹「馬鹿にしてたわりにおいしかった?」

薺「なっ、そんなわけありませんわ!」

芹「あはは」

芹「ほかにも似たようなシリーズで、かば焼きさん太郎とか酢だこさん太郎とかあるんだよ」

薺「……!!」

芹「今日の放課後、駄菓子屋行ってみる? あたし部活ないし」



薺「行きますわ」キリッ

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

薺「……うぅ」

芹「お嬢様、大丈夫? 鼻血止まった?」

薺「だから私には名前が…… はぁ、今はそんなこと言う気分じゃないですわね」

薺「まだちょっと出てる感じがありますわ……」

芹「そっか、じゃあまだ休んでないとだめだね」

芹「にしても、薺って結構どんくさいところあるけど、まさか自分がレシーブしたボールがまっすぐ自分の顔面に飛んでくるなんてね」

薺「止めてくださいな!! 嗚呼、もう思い出したくもありませんわ……顔から火が出そう」

芹「……!?」

薺「いや、比喩ですわよ。 わかってますわよね?」

芹「あはは、わかってるよ。 いくら馬鹿でもそのくらいは」アハ‐

薺「はぁ、どこからどこまでが本気なのかわからないんですわ、貴女は」

芹「よしっ、まぁ、ダイジョブそうだね。 そろそろあたしは授業に戻るよ」

薺「……そのほうがいいですわね。 私はもうしばらく休んでいます。 先生にもよろしくお伝えくださいな」

芹「おっけーおっけー、じゃ、また後で様子見に来るよ」

薺「ええ……では……」


薺「……」


カチ。カチ。


薺「……」


カチ。カチ。


薺(学校で一人になると……なかなかさみしいものですわね)

薺(遠くから聞こえる授業中の先生の指導や、校庭の遠くから風に乗って流れてくる掛け声が余計に……)

薺(自分が一人だということを際立たせ

芹「薺」

薺「きゃあああ!」

薺「なっなっ、なんでここにいますの!? 授業に戻ったはずでは」

芹「んー、まあ戻ろうとしたんだけどさ」

芹「薺って寂しがりだから、心細くしてるかなーって思ってね」

薺「……っ!」カァァ

芹「あはは、私もここで一緒にさぼるよ」

薺「私はさぼりじゃありませんわ!」

芹「わかってるわかってるーっと……」ゴロン

芹「ふぁ……保健室のベッドに寝たの初めてだー」

薺「そ、そういうことはちゃんと保健室の先生に許可を取ってからでなくては……」

芹「まぁまぁ、硬いこと言わずにさ。 ほら、薺も」グイッ

薺「ちょっ……!」

ばふっ

薺「~~っ」

芹「ぁー……きもちー……」ギュー

薺「っっっっっ!!!」バクンバクンバクン

薺(は、鼻血がっ……悪化してしまいますわっ……!!)ドキンドキンドキンドキン


ところで、自分が跳ね返したボールを見事に自らの顔面に食らわせた薺であったが

そんなことよりも、芹にお姫様抱っこで保健室まで運ばれるほうが

よっぽど恥ずかしいことであったのを本人はまだ知らない

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「あっ……お父様! 今日はお帰りがお早いんですのね!」

「……お父様……? どうされましたの……?」

「えっ……」


「……そんな」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

芹「……薺」

薺「もう、私には名前が……って、ふふ。 ちゃんと名前で呼んでくれましたの?」


薺「……仕方のないことですわ。 私はもう……お嬢様ではないんですものね」

薺「何もかもが一日で変わってしまった……私を慕ってくれていると思っていた友人も、使用人も……離れていった」

薺「お金の力って大きいんですのね。 結局ビジネスの関係でしかなかった」

薺「もしかしたら、お父様も、私のことを駒としてしか見ていなかったのかも……」

薺「なんて滑稽なんでしょう……私」ジワ


芹「……っ!」グイッ

薺「ちょ……芹さん!? なんですの、いきなり引っ張って……」

芹「ちょっと、ついてきて」

薺「えっ……! まだ、学校が……きゃっ!」

芹「後ろに乗ってっ!」

薺「自転車……? 二人乗りは規則違反で」

芹「いいからっ!」グイッ

薺「っ……!」

芹「ちゃんと腰に回して、捕まってて」

薺「……はい」




カシャン…カシャン…


芹「はっ、はっ……」

薺「……あの、これからどこに……」

芹「いいとこ!」

カシャン。

カシャン。

規則的に、自転車の部品がこすれる音がする。

腰に回す手に、ほのかに心臓の鼓動が伝わってくる。

芹「……は、はひ」ゼェゼェ

薺「……海?」

芹「そ……ふ、ふぃ……あっつぅ……はーーっ」

薺「どうして、海に……」

芹「なんでかって、そりゃ……気持ちいいでしょ! 薺は気持ちいいと思わない?」

薺「それは、思いますけれど」

芹「……あたしさ、嫌なことがあったり、辛いことがあったりするとこうやって海に来て」

芹「潮風を受けて、波の音を聞いて、空と海の青色が交わるところをジーって眺めてるんだ」

芹「ちょっと頭よさそうに言うとさ、この広い世界で、なんて自分はちっぽけな存在なんだろうって」

芹「そんなちっぽけな存在が思う辛さとか苦しみとかって、どれほど些細なことなんだろうって思えてきてさ」

芹「すっごく気持ちが楽になるんだよね」

薺「……ふふっ、それほど頭よさそうな言い方ではありませんでしたわ」

芹「あれっ、そうかな?」

薺「それに、貴女でも悩みがあるんですのね。 いっつも能天気に構えてるのかと思ってましたわ」

芹「なんて失礼な!」

薺「……っ」

芹「……薺?」

薺「……グズッ……ヒクッ」

芹「……よしよし」



芹「……薺にとってはさ、たくさんのことがあっという間に変わってしまったかもしれない」

芹「あたしは、薺じゃないから、どれほどのものが変わってしまって」

芹「それがどれほど辛いことかなんて……きっと分かりっこない。」

薺「……」

芹「でもね、薺。 これだけは覚えててね」

芹「あたしはこれからも、変わらずに」

芹「……薺の隣にいるからね」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


薺「ごめんなさい……私、みっともないところを見せてしまいましたわね」

芹「あはは、今更じゃん」

薺「~~っっっ!」ポカポカ

芹「いたたたた」

薺「……でも、本当に……楽になりましたわ。 ありがとう、芹」

芹「いやいや、そんな大したことはしてないよ」

薺「まぁ気分が良くなったのは海のおかげですものね。 それもそうかもしれませんわ」

芹「あ、あれぇ?」




薺「……」

薺「ねぇ、芹……」

芹「ん、なぁに?」


チュ


芹「――!」カァッ

薺「ふふっ、大好きですわ!」

薺「世界の何より価値ある私の口づけを、ありがたく頂いておきなさい!」



おしまい。

出てくる人が増えると大変なので適当に名前を付けました。
後日談とかもやりたいと思うかもしれないのでオリジナルに関しては
今後も花とかの名前から適当に名前を登場人物に振っていく予定です。
ご了承ください。

・シンフォギアはフォロー不可ですか。切歌×調はいい百合なんですけどね、惜しい。

・もしフォロー可能であれば、Vivid Strike!でフーカ×リンネかジル×リンネでお願いします(時期的には最終回後で)。

・ひょっとして、以前もオムニバス形式で百合SSをお書きになられていましたか?


フレームアームズ・ガール、短編二次創作×3

1、轟雷「私もあおと一緒に食事をしてみたいです」あお「なるほど」

あお「……なんでいきなり?」

轟雷「はい、以前テレビ番組で誰かと一緒に食事をするということで幸せを感じられるという話をしていまして」

轟雷「私もその幸せを味わってみたいと思いました」

轟雷「あおは、武希子やそのほかの友人と一緒に食事をするときに、幸せを感じませんか?」

あお「んー、まぁ確かに一人で食べるよりは断然美味しいって感じるかな」

轟雷「私も一緒に食事をしてあおと幸せを分かち合ってみたいです」

あお「とはいってもフレームアームズガールってごはん食べないんだよね」

スティレット「そうね。 私たちに必要なのは充電だけだもの」

スティレット「でも確かに、人がおいしいって言ってるのを見たり聞いたりしていると、自分もその気持ちを感じてみたいって思うことはあるかも」

バーゼラルド「はいはい! バーゼはチョコレート食べてみたい!」

迅雷「私はかの信玄公も好んで食べたというほうとうを食してみたいな」

アーティファクト「学習モード、味覚、データ取得完了」

アーティファクト「味覚とは、動物の五感の一つであり、食する物質に応じて認識される感覚である」

あお「でも君らは動物じゃないもんね。 ……うーん」

あお「武希子に相談してみよ」メルメル

あお「おっ、返信来た」

あお「なになに……?」

武希子『この武希子、あおの為にぜひ力になりたいところ!』

武希子『でありんすが、ここは天下のフレームアームズガール、小生の知識の届かぬところに位置する存在』

武希子『多種多様な食べ物の味を再現する力までは持ち合わせていないでござる~><』

武希子『ここはひとつ、FA社に尋ねてみてはと思う所存』

武希子『(スタンプ)』

あお「なるほど、そうなるか」

白マテリア「困ったときのFA社頼りね」

黒マテリア「頼っておけばどうにかなるってところあるわよねぇ」

轟雷「早速連絡を取ってみましょう、あお!」

バーゼラルド「あっ、ドローン来た」

スティレット「このタイミングで来るってことは十中八九この話題に関する事よね」

あお「なんで図ったかのようにこんな絶妙なタイミングで送られてくるのかな? ねぇ?」

白マテリア「盗聴器か監視カメラが部屋のあちこちに仕掛けられていたりして」

黒マテリア「あおちゃんの私生活が丸裸ってわけね、うふふ」

あお「怖いこと言わないでよ! ……冗談だよね?」

あお「食事が疑似体験できるソフトウェアだって」

あお「本当に何でもできちゃうんだなぁーすごいなFA社」

迅雷「FA社とここの管理人殿の有能さは常軌を逸しているな」

あお「セッションベースにパーツと一緒にこのチップをセットすると」

あお「食事ができる特別なステージに行ける、だって」

あお「いつかのお風呂みたいなもんか」

轟雷「早速セッションベースを用意しましょう!」

「「「「「おーっ!」」」」」

あお「私はその間に自分のご飯の準備でもしてよっと」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

あお「……なぜか目玉焼きと白米だけの晩御飯になってしまった……」

アーキテクト「学習モード、金欠。データ取得完了。金銭の持ち合わせが不足していること。手もと不如意ともいう」

スティレット「あおってなんかいっつも食事に困ってるわよね」

轟雷「こちらも準備できました!!」

あお「えー、どれどれ? ……って、なにそのご馳走!?」

轟雷「希望する食事を言えば、自動的に生成されるようです」

あお「鯛の尾頭付きに……なんだろこれ、このゼリーみたいなやつ……」

あお「ハンバーグにケーキに……ちょ、チョコレートフォンデュのタワーまでっ! 薄情ものっ!」

あお「……あれ? 轟雷の目の前には何もないけど」

轟雷「はい! 私はあおと一緒のものを食べたいと思っていたので」

あお「いい子すぎるよ轟雷……」ホロリ

あお「それじゃあ準備もできたことだし、いただきます!」

「「「「「「いただきまーす!」」」」」」

バーゼラルド「はーんむっ! ……んん!!」

バーゼラルド「お、い、し~~っ!!」

迅雷「ほう、なるほど! これがだしの「うま味」! かつお節のだし、やはりだし文化というものは素晴らしいな!」

スティレット「す、すごい! なんだか頭がふわふわする……! 「甘い」「とろけるような」感覚が口に広がっていくわ……」

白マテリア「ん、いい「香り」。芳醇なチェリーと黒コショウの香りだわぁ」

黒マテリア「あらそうかしら、りんごのような感じもするけれど」

アーキテクト「……味を感知。 満足感、充足可能」

あお「みんな美味しい? 美味しいよね。 美味しいだろうね。 よかったよかった」トオイメ


あお「轟雷はどう?」

轟雷「はい、あお……なんだか不思議な感じです。 どの感覚が「しょっぱい」なのか「あまい」なのか正直なところ、私にはよくわかりません」

轟雷「ですが、胸のあたりに……あたたかいものを感じます」

轟雷「あおと一緒に、食事をとれているということを思うと……より一層、ぽかぽかした気分になります」

轟雷「これが、きっと、大切な人と一緒に食事を囲むことで感じられる幸せの一つだと、私は確信できています」

あお「……そっか。 それならよかった」

あお「私の今日のおかずがもっと豪華だったなら、もっと良かったんだけどね」シクシク

轟雷「次は美味しいものを食べましょう!」

あお「美味しいもののために頑張ってバトルしてね……って、あれ? なんだろうこの髪」

あお「えぇと……?」

『源内あお様、お世話になっております。FA社です』

『今回お送りいたしました食の疑似体験ソフトですが、最先端の技術を応用した試作品であり』

『今後の実用に向けての実験的な意味合いも含まれております。』

『使用し終わりましたら、そのチップを再度ご返送ください。』

『得られたデータをもとに、更なる技術の向上につなげていきたいと考えております。』

あお「また、今回の実験にお付き合いいただいたことに対する謝礼金を後日、お振込みいたします……!?」

あお「やった! 臨時収入だ!!」

轟雷「やりましたね、あお! これで美味しいものが食べられます!」

あお「轟雷が食事をしてみたいって言ってくれたおかげだよ! ありがと~」

轟雷「それはただの私の希望でしたが……お役に立てたのならよかったです!」

あお「どんな希望でもどんどん言っちゃって! そしてどんどん実験に協力してどんどんお金をもらおう!!」

轟雷「はい! あお!」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

あお「ふんふんふ~ん、臨時収入臨時収入~まだかなまだかな~?」

轟雷「あお、郵便物が届いています」

あお「おっ! 振り込みのお知らせか何かかな?」

轟雷「いえ、電気料金のお知らせのようですが」

あお「あー、そういえばそんな時期かー。 しかし臨時収入がある私にこわいものh

あお「……」

あお「……へっ?」

轟雷「あお、どうしました?」

あお「……な、なにこの料金はああああああ!?」

あお「えっ、そんな、電気つけっぱなしにはしないし、お、オール電化ってわけでもないし」

スティレット「もしかして、あのソフトの影響なんじゃないの?」

バーゼラルド「言っちゃえばあれは電気の塊みたいなもんだしね~」

アーキテクト「上質の食事を再現したものに使われていた電気は、その分高品質であった可能性有り」

轟雷「電気エネルギーに高品質や低品質といったものがあるのでしょうか?」

あお「あ、ああ……しゅ、出費が……」ガタガタ

黒マテリア「私たちの食事を用意したと思ったら」

白マテリア「電気代にあおちゃんのお金が食べられちゃったっていうことね、うふ」

迅雷「……フフッ」

あお「笑い事じゃなーい! うわーん!!」



おしまい。

>>34
アーキテクトがアーティファクトになってます。誤りです。


>>33
申し訳ありません、Vivid Strikeも私のカバー範囲外でございます。不勉強で申し訳ございません。
4年ほど前にはなりますが、今回と同じようなことをしたことがあります。
それと同じものを見て頂けていたのなら、大変恐縮です。


今更になりましたがいくつかのリクエストありがとうございます。
応えられたら応えていきたいと思います。


2、轟雷「私、あおとデートをしてみたいです!」あお「へー」

あお「それじゃどこかでかけよっかー。 はい、肩に乗ってー」

轟雷「はい!」ヒョコ

轟雷「じゃ、ありません! そういう形じゃなく!」

バーゼラルド「あはは、轟雷がノリツッコミしてるー」

スティレット「ちゃんと肩には乗るのね」

あお「そういう形じゃなく、って轟雷はどういう形がいいの?」

轟雷「はい、おそろいの服を着たり、待ち合わせしたり、手をつないだりして出かけてみたいです」

あお「なるほどー……じゃあ指貸してあげる、これに抱き着いたら手を繋いでるってことにならない?」

轟雷「それだとなんだか私がピグミーマーモセットのようじゃありませんか?」ギュー

あお「確かに。 まぁピグミーマーモセットの実物を見たことはないけど」

アーキテクト「学習モード、ピグミーマーモセット。 データ取得完了。体調11cm~15cmほどの小さなオマキザル科の動物」

アーキテクト「南米のアマゾン川流域に分布しており、元、世界最小のサル」

轟雷「これはこれでいいかもしれませんが、ちゃんと手と手をつないで歩きたいんです!」ギュー

あお「えー。 なんでまたそんな」

轟雷「テレビでやっていたので!」ギュー

あお「轟雷もたいがいテレビっ子だなー」

あお「って言ってもな……私と轟雷たちじゃサイズが違うし」

白マテリア「なんだか面白そうだし、FA社に掛け合ってみたらどう?」

黒マテリア「そうね、面白そうよねぇ。 FA社なら何とかしてくれそうじゃない? うふふ」

あお「やっぱりそうなるかー」

あお「でも流石に大きさの問題は解消できないでしょ~」

スティレット「普通に考えたらそうよね」

バーゼラルド「でもー、ファクトリーアドバンスは普通じゃないんだなー」

迅雷「……!! これはドローンの気配!」

バーゼラルド「ほら」

あお「あはは……なんでこのタイミングで来たのかはもう詮索しないでおこ」

白マテリア「賢い選択よねえ」

黒マテリア「お風呂場にカメラが仕掛けられてたことは黙っておきましょ」

あお「うそでしょ!?」

マテリア姉妹「「う・そ♪」」

轟雷「さぁ、早速箱を開けてみましょう、あお!」

ベリベリ

迅雷「これは……セッションベースか!?」

バーゼラルド「うわぁーい、すっごいおっきー」

スティレット「明らかにFAガール用ではないわね」

あお「人用のセッションベースだって。 ここに人が立ってセッションすると、意識が指定のフィールドに飛ばされる……って」

あお「これ……大丈夫? っていうかどんな技術なの?」

黒マテリア「案ずるより産むが易しって言うじゃない? 早速やってみましょ」

白マテリア「轟雷ちゃんも目をらんらんと輝かせてることだし」

轟雷「~~!!」キラキラ

あお「うっ……そんな顔見せられたら絶対断れないじゃんか~」

白マテリア「屍は拾ってあげるから安心して?」

あお「私の体が何かされないように武希子に遺言を送っておこう……」メルメル

あお「あれ、セッションベースのほかにちっちゃい服も入ってた。 轟雷用かな?」

スティレット「なかなかかわいいじゃない。 パーツと同じようにセットしておけばいいのかしら」

あお(どこかで見たことある服……どこでだっけ?)

あお「ま、いっか」

アーキテクト「セッションベース、設置完了」

スティレット「大きいのと小さいのが並ぶとなんだか不格好ね」

バーゼラルド「あお、轟雷、準備はいい?」

轟雷「はい! 準備は万端です!」

あお「うん、バッグは持ったし大丈夫、大丈夫!」

轟雷「じゃあ、行きましょうあお! 今日は街デートです!」

あお「あはは、お手柔らかにお願いね」

あお(あ……そういえば、これも実験の一つになるのかな?)

あお(そうなると、謝礼金とかも出るのかも……)

あお「……」

あお(こういうのはナシナシ。 お金のためにやってるみたいになっちゃうしね)

轟雷「FAガール、セッション!」

あお(今は、轟雷の気持ちにまっすぐ応えてあげたい、って気分だから)

あお(私も思いっきり楽しむ気持ちで行こう!)

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

あお「――ん」

あお「ここは……あれ? 私の部屋?」

ピロリン

あお「あっ、スマホ……轟雷からだ」

轟雷『駅の前、11時集合ですよ、あお!』

あお「なるほど、そういえば待ち合わせしたいって言ってたっけ」

あお「今の時間は……10時45分!?」

あお「やばいやばい! 待ち合わせに遅れる~~!」

轟雷「……」ソワソワ

あお「ごうら~~い!!」

轟雷「! あお!」

あお「ごっめ~~ん! はぁ、はぁ……遅れちゃった」

轟雷「私も今来たところですので大丈夫ですよ、あお」

あお「もしかしてそれ……」

轟雷「はい、テレビです! 言えてうれしいです」

あお「あはは、よかったよかった。 それにしても轟雷、その服装似合ってる! すごくかわいいじゃん!」

轟雷「そう、でしょうか」カァ

轟雷「FAガールとして、いつもはパーツを身につけているので、こういう長めのスカートのひらひらはちょっと違和感があります」

あお「轟雷はもともとが可愛いからきっといろんな服装が似合うと思うよ」

轟雷「あ、あお……」


〈現実世界〉


スティレット「ちょっと何このバカップルのやり取りみたいなやつ……」

白マテリア「あおちゃんって結構さらっとこういうこと言いそうよね~」

黒マテリア「一体どれだけの子を泣かせてきたのかしらね、うふ」

あお「じゃあそろそろいこっか、轟雷」

轟雷「はい、あお。 最初はどこへ行きましょう?」

あお「んー……まずは」

あお「お腹すいたし、どこか適当にお店に入ってお昼にしよ」

轟雷「はい!」

あお「あ、そういえば轟雷はごはん……」

轟雷「以前の食の疑似体験の改良データが使われているようですので、きっと私も食べられるかと思います」

あお「そうなんだ。 じゃあ大丈夫だね」

あお(あれ、私はどうなるんだろうこれ)

轟雷「あのお店なんかどうでしょうか」

あお「喫茶店かな? Liliumって書いてあるけど……」

轟雷「喫茶店、初めてです!」キラキラ

あお「……入ってみよっか」

あお(これって本当に現実じゃないのかな。 人も普通にいる。 ちゃんと生きてるみたいに)

轟雷「あお、どれにしますか?」

あお「えっ? あ、うん……どうしよっかな」

あお「おー、ドリンクとメインとドルチェ……デザートだっけ? が選べるんだ。 なかなかしゃれてるね」

あお「じゃあこれとこれと……これにしよ」

轟雷「いいですね! とてもおいしそうです。 私は……」

あお(ふふ、轟雷早速楽しそう)

あお(こうやって見てると、人間と全然違わないな)

あお(同じ人間として会ったとしても、轟雷たちと仲良くやってそうな気がする。 根拠はないけど)

轟雷「ごはんを食べた後、どうしましょうか?」

あお「ん? そだね……轟雷はどうしたい?」

轟雷「私はゲームセンターというところに行ってみたいです!」

あお「いいね! 轟雷はシューティングゲームとか上手そう」

轟雷「行ったらやってみましょう!」

あお「あっ、注文したやつ来たみたいだよ」



※※※

※※※


轟雷「わぁ……とてもきれいな紅茶ですね」

あお「ほんとだね。 綺麗な飴色してる。 轟雷の緑茶もいい香り」

轟雷「はい! 日本人ですから」

あお「轟雷は日本人なの?」

轟雷「日本製なのできっと日本人だと思います!」

あお「なるほど、確かに。 ん……おっ、これほんとに美味しい。 紅茶の王道って感じだ(まぁ、そんなにたくさん飲んだことはないけど)」

轟雷「……なるほど、お茶っていうものはこういう……苦味? が特徴なんですね」

あお「そうそう。 子供のころはあんまり飲めなかったな~。 ただ苦い~って思っちゃってさ」

あお「でもお茶にはカテキンという素敵な成分が含まれているという! 体にいいんだって」

轟雷「良薬口に苦しってやつですね!」

あお「そうだね。 そういえば、茶葉占いっていうのがあるらしいよ」

あお「飲み終わったお茶碗の底にある茶葉の模様で運勢を占うそうな~」

轟雷「私の運勢はどうでしょう?」

あお「ん~……楽しいことがこれからたくさん起こるでしょう!」

轟雷「それはよかったです!」キラキラ

あお「あはは、適当だよ、適当」


あお「次はメインだ! あーお腹すいた」

轟雷「私はきんいろのロールキャベツです。 おいしいかおりがします」

あお「おお、なんだかほのかにカレーのような香りが……あっ、ターメリックが入ってるんだって」

轟雷「ターメリックとは何でしょう」

あお「結構有名なスパイスだよ。 鬱金のこと。 肝臓に良いんだってさ」

轟雷「あおは詳しいですね!」

あお「まぁ、一応ごはん作ったりしてるしね。 主に一人、時々ふたりご飯だけど……」

轟雷「私、今度あおの手作りのご飯も食べてみたいです」

あお「流石にそれは……いや、出来ない事もなさそう……頼めば」

轟雷「あおは何を頼んだのでしたっけ?」

あお「私はね、モチコチキンってやつ。 ハニーマスタードのソースがかかってるんだ~」

轟雷「とても美味しそうです!」

あお「あとでちょこっとあげるよ」

轟雷「はい! あおとおかずを交換できるなんて……」

あお「轟雷ってば大袈裟~」アハハ

轟雷「最後はデザートですね」

あお「わー、轟雷が頼んだやつ素敵~」

轟雷「はい、ゆずクリームのエクレア、メープルシロップ掛けです」

あお「聞いたことない味の組み合わせだ」

轟雷「……とてもさわやかで美味しいです! この組み合わせはきっと待ち望んでる方が多いと思います!」

あお「私はパイのミルフィーユだけど……このミルフィーユって崩さず切るのが難しいんだよね」ザックリ

轟雷「バラバラに崩れてしまいましたね」

あお「結婚式のケーキがこれだったら結構演技悪いよね」

あお「……おっ、ほんのり桜の香り。 シロップ漬けでもはいってるのかな?」

轟雷「桜は食べられるのですか?」

あお「そうだよ。 桜の葉っぱも食べられるんだ~」

轟雷「見ることも食べることもできるなんて。 桜はすごいですね!」

あお「今度みんなでお花見行こうね」

轟雷「はい!!」


※※※

あお「は~、美味しかった。 なんか不思議だけどちゃんと満腹感あるなぁ」

轟雷「それではゲームセンターに行きましょう!」

あお「おっけー。 あ、そうだ轟雷」

轟雷「はい、なんでしょう」

ぎゅ

轟雷「……あっ」

あお「手、繋ぎたいって言ってたもんね」

轟雷「は、はい。 言いました」

あお「あれ、やだった?」

轟雷「いえ!! そんなことはありません!」

轟雷「ただ、なんだか……は、恥ずかしい……のかもしれません」

あお「あはは、轟雷ってばかわいいな~」


〈現実世界〉


アーキテクト「中心部の温度上昇」

迅雷「珍しく轟雷の顔が赤くなっているな」

白マテリア「初々しい反応ねぇ」

スティレット「……なんで私の時と違うのよ」ボソ

黒マテリア「あら、スティ子ちゃん、どうしたの?」

白マテリア「もしかして嫉妬かしらぁ? うふふ」

スティレット「ち、違うわよ! 断じてちがぁう!」

バーゼラルド「ふぁ~……バーゼなんか眠いや。 おやしみ~」

※※※


轟雷「ここがゲームセンター……」

あお「ちゃんといろんなゲームが置いてあるんだ~。 ゲームセンターってたまに来るけどほとんどやったことないんだ」

轟雷「じゃあ今日、やりつくすつもりで行きましょう、あお!」



轟雷「これは……」

あお「これがさっき言ってた奴だね、ガンシューティングってやつ?」

轟雷「このライフル型のコントローラーでやるんですね」

あお「そーそー。 出てくる敵を打つんだよ。 こうすると弾が装てんされて……」

轟雷「なるほど! これならできそうです!」

轟雷「あおには誰にも触れさせません!」

あお「たのもしーなー」



轟雷「……あ、あおを守れませんでした……!」

あお「でも一回でクリアしちゃったよ、さっすが轟雷」

轟雷「あおを守れないクリアなど意味がありません! もう一度です!」

轟雷「これはなんでしょうか、あお」

あお「これはUFOキャッチャーっていうんだ。 あのアームでね、中の商品をつかんであの穴に落とす!」

轟雷「簡単そうですね」

あお「ふっふっふ……それはどうかな?」



轟雷「あ……このアームではつかめませんよ、あお。 するっと抜けてしまいます」

あお「そうなんだ、普通にやるとね。 でも……あのタグのあたりを狙って」

轟雷「……あっ」

あお「……よしっ! 入った!」

轟雷「流石です、あお! 取れました!」

あお「どんなもんだーい! ……って、実は私も初めてとったんだけどね」

あお「はい、このぬいぐるみあげる」

轟雷「いいんですか?」

あお「うん、と言ってもこれ、きっとこのフィールドの外には持っていけないよね」

轟雷「……それは少し、寂しいですね」ショボン

あお「うーん、何か物として今回のことを残せればいいけど……」

あお(……写真みたいなものなら、データとして現実世界の方で印刷とかできるかな?)

轟雷「あお、ここは?」

あお「プリクラだよ! ここで写真みたいなのを取って、いろいろ落書きするんだ」

あお「これならFAの人に頼めば印刷してくれるかもしれないし」

あお「今回のお出かけの記念!」

轟雷「……!」

轟雷「はいっ!」



あお「あはは、轟雷目閉じちゃってる」

轟雷「そんなこと言ったら、その画像はあおの目は半開きですよ」

あお「それは無しでっ!」



あお「あと、落書きして……」

轟雷「……」カキカキ

あお(ふふ、轟雷ってば夢中になっちゃって……)

轟雷「できました!」

轟雷「いいものが撮れました! 宝物です!」

あお「良かった! 後でちゃんと印刷してもらわないとね」

轟雷「はい!」



あお「んーっ……こんなにゲームセンターを堪能したのは人生で初かも」

轟雷「時間があっという間に過ぎてしまいました!」

あお「すっかり日が落ちちゃったね。 時間ももう5時過ぎてるみたい」

あお「もうそろそろ戻らないとね」

轟雷「……はい」

あお「……」

あお「ちょっと、あの辺歩いてみよっか」

轟雷「え?」

轟雷「……」

あお「……ねぇ、轟雷。 今日はどうだった?」

轟雷「はい……とても素敵な時間を過ごすことができました」

轟雷「あおと一緒に食事をしたり、遊んだり……こんなに充実した日は、初めてくらいかもしれません」

あお「良かった……」

轟雷「でも、空がオレンジ色に染まって……もう少しで、この時間が終わってしまうのかと思うと」

轟雷「とても切ない気持ちになります。 もっと、この時間が続けばいいのに、と」

轟雷「それと」

轟雷「……」

あお「……轟雷?」

轟雷「私も、あおと同じ……人間であれば、と、思ってしまいました」

轟雷「同じ人間として、あおの友達であれば……きっと、楽しかったのだろうなと」

あお「それは……それは、うん。 そうかも」

あお「私も、きっと轟雷と……轟雷たちと、友達として、同じ世界を生きていたなら、きっと仲良くやってただろうなって思ってたんだ」

あお「でも、それはそれ。 今は今」

あお「できなかったことをくよくよ考えるよりも、今の良いことをもっと探したほうが、きっと幸せだと思うんだ」

あお「偶然さ、私のところに送られてきた轟雷だけが、こうやって動いて」

あお「いろんな子たちと、たくさんバトルして、いろんなことを学んで、いっぱい成長したよね」

あお「こういう経験は、今まで体験してきたからこそ、私たちの中にあるんだよ」

あお「もしかしたら、もしかしたらだけど……こういう世界のほうがよかったって、思ってる私たちがいるかも」

轟雷「あお……」

あお「それに、私は今の轟雷たちのことも、十分大事に思ってるよー、なんて」

あお「あれ、ちょっとクサい言い方だったかな。 あはは……」

轟雷「……ふふ」

轟雷「不思議ですね。 あおの言葉を聞いたら、もやもやしたものがすっかり晴れてしまいました」

あお「ん、よかった!」

轟雷「私、あおがマスターで本当によかったって思います!」

轟雷「私、あおのことが大好きです……」

轟雷「あおのことが大好きです!」

あお「二回言わなくても!」

あお「……でも、ありがと、轟雷」

あお「また、こうやってどこかに出かけられたら良いね」

轟雷「はい! 約束ですっ!」



※※※

※※※


アーキテクト「あお、轟雷のセッション終了を確認」

あお「おっ、戻ってきた……と、同時に猛烈にお腹がすいてきた……やっぱりあっこで食べたのはナシになっちゃうよね……」グスン

轟雷「ただいま戻りました」

黒マテリア「おかえりなさい轟雷ちゃん、楽しかった?」

轟雷「はい! とても! 最高でした!」

白マテリア「こっちも楽しかったわぁ、スティ子ちゃんの表情がぐるぐる変わって」

黒マテリア「ジェラシー感じちゃったんだものね」

轟雷「ジェラシー?」

スティレット「違うから! そんなのないからっ!!」

アーキテクト「学習モード、ジェラシー。データ取得完了、ジェラシーとは」

スティレット「調べなくていいーっ!」


迅雷「しかし、あのようなフィールドも再現できるとは……こうなれば江戸時代の日本を再現してもらおう!」

白マテリア「血なまぐさそうよねぇ」

黒マテリア「どうせならプライベートなビーチとか、アイランドとか、そういうのが良いわよねぇ?」

迅雷「天下泰平の時代を血なまぐさいとはなんだ! ええい、その口縫い合わせてくれるっ!」

スティレット「その言い方からして血なまぐさいって……」


あお「ふぁぁ……なんだか普通に出歩くよりも変な疲れ方しちゃったかも」

ぴろりん♪

あお「……おっ、メールだ」

あお「FA社から……やっぱり謝礼金の話だ」

あお「……」

あお「……よし!」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


バーゼラルド「あおー、またドローンが来てるよー」

あお「あー、うん、荷物受け取っておいてー。 たぶんあんた達用のやつだと思うから」

スティレット「私達用の?」

バーゼラルド「はいはいはーいっ、と。 今回の荷物は何かなーべりべりー」

白マテリア「あら……」

黒マテリア「これって……」

迅雷「私達サイズの衣装か?」

あお「おっ、ちゃんと頼んだやつ届いてたみたいだね」

スティレット「頼んでたやつって……」

あお「そういう服があれば、またどこかに出かけるとき……っていっても、セッションする形にはなっちゃうと思うけど」

あお「みんなそれぞれ着ていけるかなーって思ってさ。 ちなみにコーディネートしたのは私です」フンス

迅雷「私は陣羽織のほうがよかったな」

あお「えぇ~、それじゃあ町中に出かけられないでしょ」

アーキテクト「……」スッ

アーキテクト「……」

アーキテクト「……」スッ

白マテリア「アーキテクトちゃんは気に入ったみたいよ」

黒マテリア「何度も体に服を合わせちゃって……まるで子供みたいねぇ」


あお「……あれ? 轟雷は? 轟雷のも頼んでおいたんだけど」

バーゼラルド「あー、轟雷? 轟雷なら自分の部屋にいるよ」

スティレット「ずっと壁を見ながらにやにやしてるわよ。 あの時のプリクラがべたべた貼られてる壁を、ね」


轟雷「~~♪」

轟雷(……次が楽しみです!)


おしまい。

ぽこぽこと怪しげな液体が培養槽のなかで泡立ち
どこからかかしゅん、かしゅんと規則的に音が鳴る

いかにも怪しげな施設で、私こと助手と、端正な顔立ちの丸い眼鏡をかけた女性
(いかにも宝塚といったいでたちである、その性格を除けば)
――私は、博士と呼んでいる――が今日も今日とて実験にいそしんでいた


博士「試行回数12765回! トライアル&エラーを繰り返すこと早1年と7か月12日!!」

博士「人生にしてみればたったの100分の1程度にしか過ぎない時間、されど時間」

博士「成功をおさめるのは早ければ早いほど、いい! さぁ、今日こそはうまくいってくれたまへよ……っ!」


ふっふっふとあからさまなマッドサイエンティスト風の笑いをこぼす博士
彼女はキャラづくりのためにこのような笑い方をしているのではない
根っからのそういう、つまりはちょっと狂気じみた人なので、こういう笑い方をするのである


博士「助手!! ……各数値はどんなだ?」

助手「はい、細胞の分裂速度、液体の濃度、その他諸々を過去の実験データと比較したところ」

助手「今回の実験における被検体は99.998%という高い安定率を保った状態で成長しています」

博士「0.002という数字は、小さいようで、ものすごく大きい……」


大袈裟に体を震わせ、髪をぐしゃぐしゃとかく
色素の薄い髪が、緑や青といった蛍光色にきらきらと反射して輝いている


博士「だがしかし!! そんなものを恐れていては進歩なぞない!!」

助手「続行ということでよろしいですね?」

博士「私が今まで、いかに数値が安定しなかったときでさえ、実験を止めたことがあるか?」

助手「ありません」


彼女はぐにゃりと口角をあげ、再び大きな水槽のほうへ顔を向け、ダカダカとキーボードをたたき始めた


助手「……はぁ」


私は、この研究所で助手をかれこれ5年以上している
大学生のころ、私と同じ年齢でありながら、教授をつとめていた彼女
実は……幼稚園の頃に、近所に住んでいた私の幼馴染である
とても仲が良く、帰り道では手を繋いで歩き、つつじの花の蜜を吸ったものであった

だが、小学校に上がり、彼女の人並み外れた才能がひとたび輝きだすと
私に何も言わずに、遠く異国の地へと旅立ってしまったのだ

12~13年ほどの年月を経て、織姫と彦星なぞ比ではない運命の出会いを果たした私たちであったが
彼女はすっかり狂人・変態と化しており、私たちの幼き日の思い出など、まったく持ち合わせていないようであった

私の10年以上分の独りよがりな悲しみと怒りとそのほかの様々な感情をごった煮にしたようなものは
思いがけぬ有力な論文の発表という形となり、彼女に力を見出され
今ここで、彼女の手と、足となっているわけである――

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