真帆「オカリンさーん。あれ、寝てるわね」岡部「……」グーグー (21)

真帆「オカリンさーん」

岡部「……」スースー

真帆「こんなところで寝てたら風邪ひくわよ」

岡部「……」グーグー

真帆「ここの所徹夜続きだったから……仕方ないかしらね」ハァ

岡部「……」スピースピー

真帆「どうにかしてベッドの方に運ばないと……」

岡部「……」スカースカー

真帆「……私だって最近ちょっとは鍛えてるんだから、ヒョロヒョロのオカリンさんぐらい持って運べるわよね」

岡部「……」グースカ

真帆「んっ、しょ……っ! うっ、意外と重い……!」プルプル

岡部「……」ピーコロ

真帆「よいしょ……よいしょ……」ズルズル

真帆「ふわっ!」ズテッ

ビターン

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真帆「あいたたたた……鼻打った……」ズキズキ

岡部「……」

真帆「な、なんだかオカリンさんに襲われてるみたいな体勢になっちゃったわ」ドキドキ

真帆「とりあえず抜け出さないと……」ズルズル

岡部「……」

真帆「ふうぅ、なんとか抜け出せたわ」フゥ

岡部「……」

真帆「……こらー、起きなさーい」

岡部「……」スゥスゥ

真帆「むぐぐ、気持ちいいくらい熟睡してるわね」

岡部「……」クースピー

真帆「……このー」ムニー

岡部「……」

真帆「ほっぺに摘まめる肉があんまりないわね。最近痩せてきたからかしら……」ムニムニ

岡部「……」

真帆「……」グニグニ

岡部「……」

真帆「……」フニフニ

岡部「……」

真帆「……はっ! なぜか上の空で触り続けてしまったわ」ブニブニ

岡部「……」

真帆「……起きてないわよね」

岡部「……」

真帆「……最近私に変な渾名付け始めたでしょ」プクー

岡部「……」

真帆「ロリッ子とかゴーヤチャンプル―とか……あなたがそんな人だとは思わなかったわ」ムニー

岡部「……」

真帆「私は曲がりなりにもあなたよりも年上なんだからねっ」ムニムニ

岡部「……」

真帆「もっとちゃんと敬いなさいよっ」グニグニ

岡部「……」

真帆「真帆って呼んでくれるようになったのは嬉しいけど……変な渾名つけてなんて言ってないんだからっ」ムニムニ

岡部「……」

真帆「聞いてるの? んー……お、岡部君!」フニフニ

岡部「……」

真帆「……ま、真帆お姉さんの言うことをちゃんと聞きなさいっ!//」ドキドキ

岡部「……」

真帆「私は岡部君をそんな風に育てた覚えはないわよっ」ムニー

岡部「……」

真帆「……ま、真帆って呼んでくれないと、私もな、名前で呼んじゃうんだから」ドキドキ

岡部「……」

真帆「り、りんたろ//」

岡部「……」

真帆「~~~~~~ッ//」プシュー

岡部「……」

真帆「取り乱したわ」キリッ

岡部「……」スースー

真帆「……それにしても」

岡部「……」クークー

真帆「もともと細かったけれど、最近はもっと痩せてきたわね、オカリンさん」

岡部「……」グゥグゥ

真帆「……あなた、無理しすぎよ」

岡部「……」スゥスゥ

真帆「2025年までは死なないなんて、絶対の保証じゃないんだから……」

岡部「……」

真帆「……みんなあなたを支えるために頑張ってる」

真帆「あなたがいなくなったら、みんな悲しむわ」

真帆「私だって……」ジワ

岡部「……」

真帆「っ、ごめんなさいね。こんな話をするつもりじゃなかったの」

岡部「……」

真帆「だけど、2025年まであと10年以上もあるわ。……根を詰めすぎると、きっと持たないわよ」

岡部「……」

真帆「……どうして寝てる人にこんな湿っぽい話をしてるのかしら」

岡部「……」スピー

真帆「あなたが不健康そうに見えるのが悪いのよっ」ムニムニ

岡部「……」

真帆「髭だってこんなに伸ばして……」サワサワ

岡部「……」

真帆「……」サワサワ

岡部「……」

真帆「……//」ポー

岡部「……」

真帆「……はっ! 私は何を」

岡部「……」

真帆「だ、誰にも見られてなくてよかったわ……」

岡部「……」

真帆「でも、意外と触り心地いいわね、オカリンさんの髭……」

岡部「……」

真帆「……」ウズウズ

岡部「……」

真帆「……」ウズウズ

岡部「……」

真帆「……」サワサワ

岡部「……」

真帆「……じょりじょりー」ホオズリ-

岡部「……」

真帆「……っ// こ、これじゃ橋田さんに変態だなんてとても言えないわね……//」スリスリ

岡部「……」

真帆「……ちくちくする」ジョリジョリ

岡部「……」

真帆「……」スリスリ

岡部「……」

真帆(オカリンさんの顔が、こんなに近くに……)

岡部「……」

真帆(やっぱり端正な顔立ちなのよね……身だしなみに気を遣わなすぎるけれど。……私の言えた義理じゃないか)

岡部「……」

真帆(身体だってお世辞にも鍛えてるとは言えないし……)

岡部「……」

真帆(でも、いつだって私の事を守ってくれた……)

岡部「……」

真帆(私にとってオカリンさんは……友人よりももっと……)

真帆「……オカリンさん」ドキドキ

岡部「……」

真帆「……」ソーッ

岡部「……」

真帆「……」ドキドキ

岡部「……」

真帆「……」チュッ

岡部「……」ビクッ

真帆「……~~~~ッ!!」カアァァァ

真帆「し、しちゃった」ドキドキ

真帆「ほっぺただけど……キスしちゃった……」ドキドキ

岡部「……」

真帆「……うぅ、私も変態なのかしら」

岡部「……」

真帆「でもごめんなさい……オカリンさんの顔が近くにあって……我慢出来なくて……」

岡部「……」

真帆「……」

岡部「……」

真帆「……あはは、なにやってるんだろ、私」ジワ

岡部「……」

真帆「オカリンさんの心の中にいるのはあの子なのに……一人で勝手に盛り上がっちゃって……」ポロッ

岡部「……」

真帆「こんなに近くにいるのに……遠いなぁ……」ポロポロ

岡部「……」

真帆「やっぱり私は……『アマデウス』にはなれないのね……」ポロポロ

岡部「……」ポタポタ

真帆「……ぐすっ」グシグシ

岡部「……」

真帆「まったく、私のどこにこんなに未練が残ってたのかしら」ズズッ

岡部「……」

真帆「ごめんなさいね、オカリンさん。こんなことは、これきりにするから」

岡部「……」

真帆「私たちは紅莉栖を救う。過去に消えた鈴羽さんやまゆりさんも救う」

真帆「かがりさんだって、フブキさんだって、レスキネン教授だって、レイエス教授だって」

真帆「みんな幸せになれる世界線を作る。世界を救う」

真帆「それでいいのよね。それ以外には何もいらないのよね」

岡部「……」

真帆「……私とオカリンさんの関係は、ただのラボメン同士。それだけ」

岡部「……」

真帆「……お布団持ってくるわね。冷えちゃいけないし」クルッ

岡部「……待て、真帆」グイッ

真帆「ふぇっ!?」ビクッ

岡部「聞いていれば、先ほどから何を勝手なことを……」

真帆「ふぇ、え、え、お、オカリンさん、いつから……」

岡部「……お前が俺を運ぼうとして転んだ時からだ」

真帆「ほ、ほとんど最初からじゃないのよっ!」

岡部「お前がなにやら呟き始めたから、起きるタイミングを逃したのだ」

真帆「うぅ……できれば最後まで寝たままのフリをしてほしかったわ……//」カアァァァ

岡部「まあそう落ち込むな、真帆お姉さん」

真帆「やめてえええっ!!//」ジタバタジタバタ

岡部「別に俺の事を倫太郎と呼んでもいいのだぞ?」ニヤニヤ

真帆「ううううう……//」プシュー

岡部「まあ、今後のからかい材料を手に入れられたのは僥倖として」

真帆「ぜ、絶対橋田さんとかフェイリスさんの前では言わないでよっ!?//」

岡部「……真帆、お前は、俺の事を」

真帆「なっ、なんのことかしらっ?」

岡部「……声が上ずっているぞ。お前も、嘘を吐くのが下手だな」

真帆「……もう、隠してもしょうがない、か」

真帆「……そうよ。私はオカリンさんの事が好き」

岡部「……」

真帆「辛い時には支えてくれて、危ない時には守ってくれて……」

真帆「私が非日常に巻き込まれてしまってから、いつもあなたが私の事を守ってくれた」

真帆「だから好きになった」

岡部「……ならば」

真帆「……だけど、いいの」

岡部「……何?」

真帆「私の想いなんて、あなたの決意を鈍らせるだけ」

真帆「あなたはただ、紅莉栖の事を想っていれば、それでいいの」

真帆「私もただ、『運命石の扉』へと至る礎となれれば、それでいい」

真帆「想いは世界線を越えることはない。私の想いは、辿り着くべき未来には必要ないものだから」

真帆「だから、いいのよ」

岡部「……はぁ。お前といい、紅莉栖といい、どうしてそうも自分を犠牲にしたがるんだ」

真帆「自己犠牲だなんて、私はそんなつもりは……」

岡部「そうやって、自分を殺して、ただ他人の為に尽そうとする。俺にとってはあまりに眩しすぎて――自分に腹が立って、仕方がない」ギュッ

真帆「ふぇっ、ちょっと、オカリンさんっ!?//」

岡部「紅莉栖は、自分を犠牲にしてまゆりを救ってくれた。……俺は、何もできなかった。あいつに、紅莉栖に、何もしてやれなかった……」ギュウゥ

真帆「おっ、オカリンさん? く、苦しいよ……」

岡部「そして、人知れず自分を犠牲にしようとしていたお前の事にも、気が付けなかった」

真帆「……」

岡部「比屋定真帆。はっきり言うぞ」

真帆「な、なに?」

岡部「俺は……お前が好きだ」

真帆「……えっ、えっ?」

岡部「お前は俺の事を、どう思っている……?」

真帆「ちょ、ちょっと待ってよ!!」

真帆「お、オカリンさんは、紅莉栖の事が好きなんでしょっ!? そんなにボロボロになっても助けたいくらい、好きなんでしょう!?」

岡部「あいつは……紅莉栖は……大切な存在だ」

真帆「それなら、それなら! 私の事なんて!」

岡部「だが……俺はあいつを、見捨てたんだ」

真帆「……っ

岡部「あいつを救うのを……諦めたんだ」

岡部「自分のしたことが怖くて、辛くて、自分の責任から逃げ出したんだ」

岡部「そんな俺が……あいつを想う資格なんて、ない」

岡部「あいつの事を想えるのは……あいつを死から救い出すことのできた、岡部倫太郎だけだ」

真帆「……だけど、そんなのっ……」

岡部「お前は、自分はアマデウスにはなれないと言ったな」

真帆「……ええ、そうよ。私は、どこまでいってもあの子の影を追い続けることしかできない」

真帆「私は、『神に愛されしもの』にはなれない。私は結局――アマデウスに焦がれるだけの、サリエリにしか、なれない」

岡部「……それは、お前の思い違いだよ」

真帆「……どうして、岡部さんがそんなこと」

岡部「『アマデウス』はこう言っていた」

岡部「『私は、自分を凡庸なる人々の代表だと考えていた。そして、貴女が常に私にとっての目標であり、貴女こそがまさにアマデウスその人だった』――と」

真帆「……"紅莉栖"」

岡部「……さっき、辛いときに支えてくれたから、好きになったと言ったな」

真帆「……ええ」

岡部「俺だって同じだ。お前がいなければ、きっと俺は今この場に立ててはいないだろう。鈴羽やまゆりを助けることも、できなかっただろう」

真帆「……」

岡部「この世界線で、一人で勝手に塞ぎこんでいた俺に、立ち上がる力をくれた。だから惹かれた。だから好きになったんだ」

真帆「オカリンさん……」

岡部「……確かに俺たちは、『運命石の扉』へ至るための礎にすぎない」

岡部「過ごした日々の思い出も、すべては世界線が変われば塗り替えられてしまうかもしれない……」

真帆「……」

岡部「だが、覚えている」

岡部「遥か彼方の世界線の記憶でも……俺たちは心のどこかにそれを持っている」

岡部「人の想いは世界線を越える。誰でも、必ず」

岡部「だから、無駄になんてならない」

真帆「……ぅ」ジワ

岡部「それに――少しくらい幸せになったって、バチは当たらないさ」

岡部「幸せそうなダルを傍から見るのも腹が立つし、な」

真帆「……最後の最後で締まらないわよ、バカぁ……」ポロポロ

岡部「もう一度言う」

岡部「比屋定真帆、俺はお前が好きだ」

岡部「お前は俺の事を、どう思っている?」

岡部「もう一度、お前の口から聞かせてほしい」

真帆「……私、は」

岡部「……」

真帆「うぅうう……//」

岡部「……一度言っているのに、なぜ」

真帆「しっ、仕方ないでしょ! 改まって言おうと思うと、どうしても……」

岡部「……」

真帆「うぅ……そ、そうだっ」

真帆「め、目を閉じて!」

岡部「……なっ」

真帆「と、閉じなさいよっ」

岡部「……くくっ」

岡部「ははははははは!」

真帆「ど、どうして笑うのよぅ……」

岡部「いや……よく似てるな、と思ってな」

真帆「な、なんの話よ……」

岡部「生憎だが目は閉じない。もう返事を聞けないのは御免だからな」ガシッ

真帆「ふぇっ」

岡部「ちゃんと目を見て、返事をしてほしい」

岡部「頼む」

真帆「わ、私は……」



      「あなたの事が――」





β世界線の二人をくっつけたかった
かなり無理やりになってしまったがご容赦ください

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