李衣菜「アイドルのみんな、ちょっと聞いて!」 (16)


李衣菜「と言うわけで…」

李衣奈「犯人は、この中にいる!」

アイドル達『!?』

李衣奈「ふふふ、みんな驚いてるみたいだね、じゃあさっそくだけど説明するよ、今回の事件の全容を…」

みく「ちょっと待つのにゃ!李衣奈ちゃん」

李衣奈「なに?みくちゃん。事件は今から、クライマックスに入るんだけど?」

みく「なんで李衣奈ちゃんは、始まって早々クライマックスになってるのにゃ!?」

李衣奈「え?私はいつだってクライマックスだよ、みくちゃん?」

みく「いや、意味の分からないカッコイイこと言わなくていいから! みく達のついていけないクライマックスはやめて!」

李衣奈「なに言ってるの?ミステリーの面白い所は解決編でしょ?」

李衣奈「だから最初から、そこを見せようっていう、このロックな考え方がみくちゃんにはわからないのかな~」

みく「なんで今日の李衣奈ちゃんは、全ミステリー業界に喧嘩を売るような事を言うの!?」

李衣奈「ミステリーなんて大体、推理シーンで長々と懇切丁寧に、事件のあらすじまで探偵役が説明してくれるし、それを見て私は思ったの!だったら事件のシーン、いらなかったじゃんって!」

みく「そんなこと言われたら、元も子もないにゃ……」

李衣奈「そしてこれなら私でも案外簡単に探偵出来るかもって思ったんだよ!」

みく「ここに都チャンとか文香チャンが居たら絶対揉めるような事を軽率な考えで言わないで!!」

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李衣奈「それじゃあ説明も終わったし、解決編から始めるよ!」

みく「李衣奈ちゃん、事件も起こってないのに、解決編も何もないでしょ……」

夏樹「そうだぜ、だりー。最初からクライマックスってのはアタシも好きだが、事件も起こってないのに解決編は無理な話だ。」

夏樹「それじゃあ、怪人も出てきてないのに、ヒーローが出勤してきたようなもんだぜ?」

みく「ナイスアシストにゃ、夏樹チャン」

李衣奈「それの何がいけないの?」

みく「へ?」

李衣奈「特撮番組を見る子供達は、何が見たいと思うの?なつきち」

夏樹「そりゃあ、ヒーローの活躍だろうな」

李衣奈「だったら、怪人出てこなくてもいいじゃん。ヒーローが急に出てきて、なんかどこかに向かって必殺技出して『今日も世界の平和を守った!』って言ったら、それだけでみんな大満足じゃん。」

夏樹「そ、そうか?」

李衣奈「そうだよ!ミステリーだって、探偵が推理してこそでしょ!事件のシーンなんて犯人の見せ場なんだから、正直どうでもいいんだよ!私達が見たいのは探偵なんだから!!」

夏樹「……なんか理屈が通っているような、根本的に間違っているような………」

みく「な、夏樹チャン!?」

卯月「それで李衣奈ちゃんは、なんで推理を始めたんですか?なにか探偵の推理が必要になる重大な事件でもあるんですか?」

李衣奈「あるよ!たぶん!」

みく「なんなのにゃ!たぶんって!!」

李衣奈「私は、推理がしたいの!ロックな名探偵になりたいの!だってなんか颯爽と事件解決するのってロックでかっこいいし!!」

卯月「私もなんとなくその気持ちはわかりますけど……。でも李衣奈ちゃん。流石に火のないところに煙を立てるのは、なしですよ?」

李衣奈「えー、でもでも卯月ちゃん……待っていても、事件が起きないんだもん。キザな怪盗から予告状とか届かないし……」

みく「いや、それはかなり無理があると思うよ?殺人事件に出くわす、とかの方がまだ可能性が……」

李衣奈「殺人事件はダメだよ!実際に推理はしてみたいけど……でも、それは流石にプロデューサーさんが可哀想だよ」

みく「Pチャンが被害者前提で喋ってるのにゃ!?」

卯月「でも李衣奈ちゃん?推理が必要になるような事件って大体誰かが傷ついちゃいますよ?」

李衣奈「うん、だから誰かが傷つくような事件は起こさないよ!でも、だからこそ私は純粋に推理だけ楽しみたいの!!」

みく「う、なんか無茶苦茶なのに、筋が通ってるのにゃ!もうみく何も言えない…」

夏樹「だりーにはなんかそう言う謎の才能があるのかもな」

卯月「えと、じゃあ、李衣奈ちゃん。李衣奈ちゃんの推理を聞かせて下さい。一体誰が犯人なんですか?」

みく「卯月ちゃんが乗った!!」

李衣奈「ふふふ、ではこのロックな名探偵が説明してしんぜよう」

みく「李衣奈ちゃんの中での探偵ってなんかちょっと偉そうだにゃ……」

李衣奈「まず、第一の事件……『消失した冷凍みかん事件』のトリックだけど……」

みく「待って!」

李衣奈「なんだね、みくちゃん」

みく「……ええと、李衣奈ちゃん?」

李衣奈「別に探偵さんと呼んでもいいんだよ?」

みく「……………李衣奈ちゃん」

李衣奈「………………………」

みく「……………探偵さん」

李衣奈「なんだね、みくちゃん」ドヤ

みく「めちゃくちゃ、めんどくさいにゃ!」

卯月「ええと、その冷凍みかん?事件とは何なんでしょうか?」

李衣奈「『消失した冷凍みかん事件』のことかね?」

卯月「は、はい」

李衣奈「うん。『消失した冷凍みかん事件』。事件名からも分かる通り、あれはなんとも凄惨で惨たらしい事件でだった……」

みく「いや、なんかほのぼのした様子しかイメージ出来ないんだけど!?家族間のちょっとしたトラブルレベルな予感がビンビンするよ!?」

李衣奈「私が後で美味しく食べようと思って楽しみにとっておいた冷凍みかんが、いつの間にか消えていたというあの悲劇……今思い出しても、恐怖で震えが止まらないよ」

みく「被害者、李衣奈ちゃんなの!?事件に巻き込まれたというより、それめっちゃ関係者やん!」

卯月「みくちゃん落ち着いて、口調が関西弁になってますから」

李衣奈「あの不可思議な事件……。不可能犯罪のトリックを、私は遂に暴いたの!」

みく「冷凍みかんが無くなったくらいで、何を大げさにゃ……。それは密室からでも消えたの?」

李衣奈「違うよ、普通の事務所の部屋、誰でも出入り出来る。それで私の机の上に冷凍みかんを置いてちょっと外に出かけて帰ってきたら、冷凍みかんがなくなってたの」

みく「わー、なにその、かつてないほどにどーでもいい事件!」

李衣奈「これぞまさに不可能犯罪!」

みく「李衣菜ちゃん、不可能犯罪の意味、わかって使ってる?」

李衣奈「うぐ、と、とにかく冷凍みかんは消えたの!楽しみにしていた私はとても傷ついたんだよ?これは憎むべき大犯罪だね!」

夏樹「まあ……なんにせよ、盗難は盗難かもしれないな。で、だりーは犯人やトリック分かったのか?」

李衣奈「うん、完璧だよ!謎は解けた」

李衣奈「世紀の大犯罪『消失した冷凍みかん事件』の真相は……」

アイドル達『ごくり………』

李衣奈「私が外に行ってる間に冷凍みかんが溶けて、ただの、みかんになってしまっただけだったんだよ!」

アイドル達『な、なんだってぇーーー?ー!?』

みく「それ事件でもなんでもないよね?」

卯月「犯人なんて最初からいないじゃないですか!」

夏樹「散々人を疑ったあげく、だりー自身の過失だったなんて……救いようがねぇよ…」

李衣奈「真相を知れば、本当に虚しい事件だった……」

卯月「ですね、本当に虚しいです。私、事件の真相を聞いてこんな気持ちになったの、初めてですよ…」

李衣奈「それがまた一つ大人になったということなんだよ、卯月ちゃん」

みく「なんなのにゃ!その驚きの成長の過程!?」

李衣奈「さて、それでは、次の事件の話をしよう」

李衣奈「第二の事件……あれも本当に恐ろしい犯罪だった…。今思い出しても、身震いするよ」

夏樹「お、ようやく、ちゃんとした事件っぽいぞ」

李衣奈「『早過ぎた睡眠事件』」

アイドル達『…………は?』

李衣奈「あれは、本当に酷い…酷い、事件だった…。そして不可思議な事件だった」

卯月「………事件の詳細を聞いてもいいですか?」

李衣奈「いいよ、あの悲劇の大事件の話をしよう」

卯月「悲劇……。まさかほのぼのしたタイトルとは裏腹に、睡眠薬を使った精巧な殺人事件だったり………」

李衣奈「ここ最近は夜9時に寝るように心掛けている私が、なぜだか、あの日は夜八時に寝てしまったという、あの信じがたい事件のことだよ!」

アイドル達『すごく、どうでもいい!!』

李衣奈「今でもあの日の事を思い出すと、後悔に胸が痛む。折角LIVEで泊まりで遠出した日だったのに、なぜ早く寝てしまったのかと……」

みく「また被害者、李衣奈ちゃんじゃん!っていうか、被害者ですらない!事件でもなんでもないでしょ、それ!」

李衣奈「なにを言ってるの、みくちゃん?私は本当に最近は九時に寝てるんだよ?八時に寝るなんて、それこそ不可能犯罪!」

みく「犯罪じゃないからね!そりゃ不可能にゃ!!!」

李衣奈「このあまりにも不可解な難事件の真相。キミには分かるかな、みくちゃん」

みく「ここまで推理する気も起きない事件もそうないのにゃ……」

李衣奈「つまり、ギブアップだと?」

みく「それはそれで腹は立つけど。もういいよ」

李衣奈「ならば教えてあげよう、この事件の深いそれは深い謎の真相を……」

卯月「こ、これはまさか!誰かに、何かの陰謀の為に薬を盛られたとかでは……」

李衣奈「私の腕時計の時間が一時間、ズレていただけだった!」

アイドル達『また自分のせいかぁーーー!』

李衣奈「このあまりにも高度な時間差トリック……見破れるのは、きっと私ぐらいのものだろうね」

みく「そりゃ李衣奈ちゃんの腕時計のズレの話だからね!李衣奈ちゃんしか見破れないよ!!」

夏樹「まさか、冷凍みかんの事件を更に下回ってくるだなんてな.....流石、だりーやるな…」

李衣奈「ふふん、でしょ?」ドヤ顔

みく「いや、それ褒められてないからね、李衣奈ちゃん!」

卯月「ええっとこれで事件は一件落着ですか?李衣奈ちゃん?」

李衣奈「何を言ってるの、まだ最後にして最大のダヴィンチ・コードもびっくりの未曾有の大犯罪が残っているよ」

卯月「未曾有の大犯罪?そこまでいう程の事件ですか……それは一体……」

李衣奈「『多田李衣菜失踪事件』だよ!」

アイドル達『………………』

李衣菜「あれは本当に恐ろしい事件だったよ……ある日忽然と姿を消した少女!神隠しか、はたまた誘拐か、それとも既に………」

みく「ただの迷子でしょ」

李衣菜「果たして、消えた多田李衣菜はどうなってしまうのか!まさに手に汗握る展開!」

卯月「元気に帰ってくるんですよね?今推理を語っている探偵さん自身が、壮絶なネタバレになってますよ?」

李衣菜「事件に隠された、人の悲しい性とは……」

夏樹「確かに方向音痴は悲しい性分だよな……」

李衣菜「偶然その場に居合わせた私の名推理がキラリと光る!」

みく「推理もなにも。事件の関係者どころか、最初から全部真相を知っている唯一の人間じゃない、李衣菜ちゃんがある意味犯人じゃない」

李衣菜「犯人じゃないよ!私は被害者だって言ってるでしょ?」

みく「李衣菜ちゃんがなんの被害者なの?」

李衣菜「………ゆとり世代の…」

アイドル達『………………』

みく「それでその事件の『真相』っていうのは、なんなの?正直、浅すぎて他に語ることは無いと思うけど……」

李衣菜「甘いなぁ。みくちゃんは、そんなだから裏では『ダメ眼鏡』って呼ばれるんだよ」

みく「みく、陰でそんな風に呼ばれてるの!? アイドルの仕事の時は眼鏡もかけてないのに!?」

李衣菜「いい?みくちゃん。良いミステリーの解決編には、『表面上の解決』の他に、真の黒幕が暴かれる、意外性に富んだ『真の解決』があるものなんだよ?」

みく「なら……迷子事件も含め、冷凍みかんやら早過ぎる睡眠やらも、全部、李衣菜ちゃんの過失のように見えて、その影に黒幕が潜んでいたって事?」

李衣菜「そう! ここからが、私の本当の見せ所!!」

卯月「そういうことがあるなら、なかなか興味深い展開ですけど……」

みく「どう考えても、李衣菜ちゃんの自業自得を他人のせいにしようとしている風にしか見えないのにゃ」

夏樹「だりー、もう諦めろ、推理って言えば聞こえはいいが、確たる証拠もなしに他人を疑って罪を押しつけるのは、ロックじゃないぞ?」

李衣菜「そ、そんなことないもん! いるんだもん、犯人!」

みく「はいはい、わかったにゃ、わかったにゃ」

夏樹「後でアイスでも買ってやるから、な?」

李衣菜「いるんだもーん!」

プロデューサーのデスク

ちひろ「よかったですね、プロデューサーさん、犯人がプロデューサーさんだとバレなくて」

P「はい、一時は本当に見破られたのかと思ってヒヤヒヤしましたよ、やっぱ李衣菜はすげーな」

ちひろ「まあ、犯人とは言っても全部悪意のあっての犯行じゃないんですよね?」

P「もちろん、そんは訳ないじゃないですか」

P「まず冷凍みかん事件は、李衣菜がカチカチの冷凍みかんを無理矢理食べようとするから、爪とか怪我するといけないし、俺が他の物に気をとらせてその間に溶かして」

P「次に睡眠事件?は李衣菜が前日ちゃんと眠れてなかったみたいで、このままじゃ翌日のLIVEに影響が出るなと思って俺が勝手に時計の時間をズラしたと」

P「そんな簡単な事件ですよ?」

ちひろ「かつてここまで、思いやりに溢れた真犯人は居なかったでしょうね」

P「で、最後の事件は普通に一緒に行動してる李衣菜を撒いただけです」

ちひろ「!?」

ちひろ「……それにも深い理由が?」

P「もちろん」

ちひろ「ですよね。で、それはどんな理由ですか?」

P「李衣菜が俺を求めてオロオロする可愛い姿が見たかった」

ちひろ「最後だけ本気の悪意ある犯行でしたっ!!!」

ちひろ「なんですかそれ!李衣菜ちゃんが可哀想じゃないですか!」

P「大丈夫ですよ、ちひろさん、李衣菜は大袈裟に言ってますけど、精々数分くらいの話でしたから…実は側にいたし、李衣菜が勝手にテンパってただけで、実は全然事件でさえなかったという……まさに完全犯罪…」

ちひろ「そういう問題じゃないですから!そこだけ本気で犯人になってるじゃないですか!」

P「そうですね、認めますよ。確かに俺は李衣菜が『プロデューサーさぁん』と不安そうにしてくれる姿が見たいという欲求に負け悪い事をしました。」

P「でもあれ、実は李衣菜が一人で勝手に自分から、てくてく離れて行ったんですよ?で、いつもは俺もそれを追いかけるけど、その一回だけ、あえて少し離れてみたというだけの話で」

ちひろ「それは確かになんとも言えない話ですね…」

P「まあそんな、割としょーもない真相だったんですけど、まさか李衣菜に勘付かれていたとは…」

ちひろ「いつかバレても知りませんよ?」

P「じゃ、その『いつか』がくるまで、俺はあの名探偵を謎という名の迷宮へと誘い続けてやりますよ、李衣菜が見破るか俺が欺き続けるか、先の長い勝負です」

ちひろ「もう普通に気遣ってあげればいいのに…本当に不器用ですね、プロデューサーさんは」

P「ん?何か言いましたかちひろさん?」

ちひろ「いえ、なんでもありませんよ」

おわり

前作

卯月「アイドルのみなさん、聞いて下さい」

凛「アイドルのみんな、聞いて欲しいんだけど」

未央「アイドルのみんな聞いて、聞いて」


まあ前作シリーズ達に続き生徒会の一存オマージュです。
実は次のも仕上がっているけど数時間寝かせてからあげます。

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