かばん「おはなみ」 (25)

けものフレンズの百合 短いです
内容は次から

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かばん「それじゃあ、ボクたちはこれで」

サーバル「みんな、またねーっ」

かばん「……ふぅ」

サーバル「かばんちゃん、お疲れさま」

かばん「あはは、ありがとう」

サーバル「最近あちこちから声がかかっちゃってるね」

かばん「だねぇ……」

サーバル「きっとみんな、かばんちゃんを頼りにしてるんだよ」

かばん「そうかな」

サーバル「そうだよ。絶対」

かばん「何だかサーバルちゃん、嬉しそうだね」

サーバル「え、そ、そう?」

かばん「ボクにはそう見えたかな」

サーバル「う、うーん。多分、なんだけど……」

サーバル「フレンズのみんなに、かばんちゃんが頼られてることが嬉しいんだ」

かばん「それはボクも嬉しいけど、でもどうしてサーバルちゃんも?」

サーバル「え、えと、その……」

かばん「?」

サーバル「……私の大事な人がみんなの力になってるから、かな」

かばん「そうなんだ……。ありがとう、サーバルちゃん」

サーバル「……き、今日はこれで全部終わったし、帰ろっか」

かばん「うん。……あ、ちょっと待って」

サーバル「えっ?まだ何かあったっけ?」

かばん「今日はもう帰るだけだし、その前にお花見していかない?」

サーバル「おはなみ、って?」

かばん「えぇと、綺麗に咲いたお花をみんなで眺めるの」

サーバル「へぇー。やっぱりかばんちゃん、物知りだね」

かばん「時間があれば図書館で本ばっかり読んでるからかな」

かばん「……それで、さっき聞いたんだけどこの近くにいい場所があるんだって」

かばん「サーバルちゃんさえよければ、これから行ってみない……?」

サーバル「もちろん行くよ!かばんちゃんと一緒だもん」

かばん「じゃあ、行ってみよう。ラッキーさん、お願いします」

ボス「ワカッタヨ、任セテ」

ボス「着イタヨ。話シテイタノハ、ココノコトダネ」

かばん「うわぁー……」

サーバル「すっ、ごーい……!すごい、すごいねっ!」

かばん「うん……。辺り一面ピンク色で……」

サーバル「私、こんな色した葉っぱの木って初めてみたよ……」

かばん「これは葉っぱじゃなくて、お花が咲いてるんだ。だからこの色は、お花の色」

サーバル「このピンクは全部お花の色なんだ……」

かばん「でも、どうしてここだけに集まってるのかな」

ボス「コノ辺リハ、フレンズト一緒ニ花見ヲ楽シメルヨウニシテアルヨ」

ボス「セッカクダカラ、サーバルト一緒ニ散策シテミタラドウカナ?」

かばん「え、いいんですか?」

ボス「ソノタメノエリアダカラネ。ボクハ、ココデ待ッテルヨ」

かばん「ありがとうございます。サーバルちゃん、行ってみよう」

サーバル「うんっ」

かばん「わぁ……。すごいね、サーバルちゃん」

サーバル「うん……。どこを見てもピンク色のお花が咲いて、それがいくつも重なってて……」

サーバル「何だかその中に私たちが埋まっちゃったみたいだね」

かばん「この中にだったら、埋まってみてもいいかも」

サーバル「えぇー?例えばの話でほんとに埋まるのはちょっとなぁ」

かばん「だってこんなに素敵なお花に囲まれたら、きっと幸せな気持ちになるんじゃないかなって」

サーバル「それは、わからなくもないかな。眺めてるだけでも、ふわふわした気分になってくるから」

かばん「ただ、実際にやるわけにはいかないよね。咲いてるのをたくさんちぎってこなきゃだし」

サーバル「あはは……」

かばん「……あ、サーバルちゃん。あれ見て」

サーバル「あれって周りの木と同じ、だよね。同じ色のお花咲いてるし」

サーバル「だけど、あの木だけすごくおっきいねー……」

かばん「どのくらいあるんだろうね……」

サーバル「さばんなにあった木より大きいかも……」

かばん「ねぇ、あの木の下で休憩していこうよ」

サーバル「ちょっと疲れたし、そうしよっか」

かばん「ふぅっ……」

サーバル「綺麗だねー……」

かばん「そうだねぇ……」

サーバル「でも、何でこんな綺麗な色してるのかな」

かばん「うーん……」

かばん「……あっ」

サーバル「何かわかったの?」

かばん「……このお花、ピンク色でしょ?ピンク色って赤と白が混ざるとできるんだけど」

かばん「砂漠の、ツチノコさんがいたところに赤いセルリアンがいたよね?」

サーバル「い、いたけど……」

かばん「……さっきこの場所を聞いたときに教えてもらった話なんだけどね、実は」

かばん「昔、この辺りに大きな赤いセルリアンが出たんだって」

かばん「そのときはみんなで協力してやっつけたから被害は出なかったんだ」

かばん「でも、倒したときに欠片がこの辺に弾け飛んだの……」

サーバル「か、かばんちゃん?何言ってるのかな……?」

かばん「今でもここに残ってる欠片とか、地面に染み込んだ何かをこの木は吸い上げて……」

かばん「白いはずの花がいつしかピンク色の花を咲かすようになったんだ……」

かばん「そして、満月の夜になると赤いセルリアンが……」

サーバル「に、にゃーっ!ダメ、やめてっ!この話おしまいっ!」

かばん「……あははっ、ごめんね。嘘だよ、サーバルちゃん」

サーバル「……嘘?な、何だ、嘘かぁ」

サーバル「もうっ。オオカミみたいなこと言うのやめてよ、怖いよーっ」

かばん「怖くてぶるぶるしてるサーバルちゃんが可愛かったから、つい」

サーバル「でも、かばんちゃんの話は嘘だとしてもこの色はどうやって出してるんだろうね」

かばん「お花をじっくり観察したことなんてあんまりないけど、見たことない色だよね」

サーバル「ほんとに最初は白かったのかな。それとも、これが普通なのかな」

かばん「今度図書館に行ったら調べてみよっか」

サーバル「……ボスが色のついた水あげてこの色にしてる、とか」

かばん「な、何かやだなぁ。色のついた水って」

サーバル「自分で言ったんだけど、ちょっと気持ち悪いかも……」

かばん「……不思議なところだね。ここ」

サーバル「不思議?」

かばん「素敵で、綺麗で、だけど今にも消えちゃいそうな気がして……」

かばん「……まるでボクとサーバルちゃん、2人だけの世界になっちゃったみたい」

サーバル「あ、ぅ……」

かばん「サーバルちゃん?」

サーバル「……何でも、ないよ。ただ、かばんちゃんと2人なのが、嬉しくて」

かばん「えっ?」

サーバル「最近、忙しかったでしょ。セルリアンとか、みんなのお願いとか、いろいろあって……」

サーバル「こんな風にかばんちゃんと2人でゆっくりする時間、なかったから……」

かばん「うん……」

サーバル「だからね、私たち2人だけの世界で、2人きりでいられて、とっても嬉しいんだ」

かばん「そっか……。ごめんね、気づいてあげられなくて」

サーバル「気にしないで。かばんちゃんが頼られて嬉しいっていうのも、嘘じゃないから」

かばん「……それでも、気にしちゃうよ。だって、サーバルちゃんはボクの大事な人だもん」

サーバル「みゃっ!?」

かばん「サーバルちゃん、ボクを大事な人って言ってくれたでしょ。それと同じ」

かばん「ボクの大事な人を、サーバルちゃんを悲しい気持ちにさせたくないよ」

かばん「サーバルちゃんには、どんなときも笑っていてほしいな」

サーバル「……えへへっ。ありがとう、かばんちゃん」

かばん「わっ……。どうしたの、肩に頭乗せてきたりして」

サーバル「……私ね、かばんちゃんとこんな風に過ごしてみたかったの」

サーバル「かばんちゃんと2人きりで、かばんちゃんと2人だけの場所で……」

かばん「それはさっきも言ってた、2人でゆっくりしたかったって……」

サーバル「……かばんちゃんと2人でゆっくりしたいっていうのは、本当」

サーバル「だけど、私が嬉しかったのはもっと大きな理由があるんだ……」

かばん「もっと大きな理由?」

サーバル「それをかばんちゃんに伝えようかって、ずっと迷ってたの……」

サーバル「でも、こうしてかばんちゃんと2人きりで過ごして、ちゃんと話そうって思ったんだ」

かばん「サーバル、ちゃん。その、大きな理由、教えてくれる?」

サーバル「……かばんちゃん。私、かばんちゃんのことが好き」

かばん「……ありがとう。サーバルちゃん」

かばん「ボクも、サーバルちゃんのこと、好きだよ」

サーバル「違うの。私の好きと、かばんちゃんの好きは……」

かばん「違わないよ。同じだって、言ったじゃない」

サーバル「同じ……?じゃあ、かばんちゃんは……」

かばん「サーバルちゃんと一緒。ただひとつ違うのは、相手がサーバルちゃんってことだけ」

サーバル「……ほんと?ほんとにかばんちゃん、私のことっ」

かばん「うん。サーバルちゃんのこと、そういう意味で好き」

サーバル「そっか、そうなんだ……。私も、かばんちゃんも……」

かばん「……サーバルちゃん。手、握ってもいい?」

サーバル「う、い、いいよ。ちょっと意識しちゃって恥ずかしいけど……」

かばん「ありがとう。じゃあ……」

サーバル「あ、あれ?いつもしてるのとはちょっと違うね」

かばん「こうして指を絡ませて握ると、特別なものになるって本に書いてあったんだ」

かばん「ボクたちは、その。もう友達じゃなくて、特別になったから……」

サーバル「……何だか、手がすごくあっついね」

かばん「握った手の中に火があるみたい……」

サーバル「……好き。好きだよ、かばんちゃん」

かばん「ボクも。サーバルちゃんが、好き……」

サーバル「……ねぇ、かばんちゃん」

かばん「なぁに?」

サーバル「私たち、これからもずっと一緒だよ」

かばん「もちろん。ボクの隣は、サーバルちゃんだけの場所だから」

かばん「どんなことがあったとしても、ずっと、ずっと一緒だよ」

サーバル「……このお花、次はいつ咲くのか私にはわからないけど」

サーバル「また、ここでおはなみをしようね。私と、かばんちゃんの2人だけで」

かばん「うん。約束だよっ」

これでおしまいです。特に繋がってない前作
かばん「ふたりいっしょ」
かばん「ふたりいっしょ」 - SSまとめ速報
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けもレズ百合SSふえろ

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