かばん「ふたりいっしょ」 (25)

けものフレンズの百合 短いです
内容は次から

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サーバル「かばんちゃーん。ただいまーっ」

かばん「……」

サーバル「ごめんねー、待っててもらって。最近自分で走らなくて……」

かばん「……」

サーバル「思いっきり走り回れて楽しかった……?」

かばん「……」

サーバル「かばんちゃん?かばんちゃんってば!」

かばん「うえっ!?……さ、サーバルちゃん。帰ってたんだ」

サーバル「もう。全然返事してくれないんだもん」

かばん「ご、ごめんね。つい夢中になっちゃって……」

サーバル「そんなに夢中になって、何をしてたの?」

かばん「えっと、これを読んでたんだ」

サーバル「これって、本だよね。図書館にいっぱいある……」

かばん「うん。図書館に行ったとき、いくつか貸してもらって」

サーバル「へぇー」

かばん「サーバルちゃんも見てみる?」

サーバル「……うーん。やっぱり私には何なのかさっぱりだよー」

サーバル「せめて絵があれば少しはわかるかもしれないけど……」

かばん「そういう本もあるから、あとで一緒に見ようね」

サーバル「ほんと?楽しみだなぁ」

サーバル「でも、かばんちゃんはすごいなー。こんなにたくさんの文字がわかるんだから」

かばん「そ、そうかな」

サーバル「そうだよー。私には変な形の模様にしか見えないもん」

かばん「ちょっと恥ずかしいけど、でもサーバルちゃんに褒めてもらったのは嬉しいな」

サーバル「ねぇ、このたくさんの文字にはどういう意味があるの?」

かばん「これは誰かが書いた作り物の物語だね」

サーバル「作り物の、物語?」

かばん「そうだなぁ……。例えばボクとサーバルちゃんの冒険みたいな本当にあったことじゃなくて」

かばん「もしも図書館に向かわずにサバンナで暮らしたら、を想像して書いたって感じかな」

サーバル「かばんちゃんと一緒にさばんなで、かぁ。何だか考えられないよ」

サーバル「それに私はへっちゃらだけど、かばんちゃんにはあの暑さは大変なんじゃない?」

かばん「あはは……。涼しくなるまで日陰でじっとしてるかもね」

かばん「それにボクはどこかに住むのなら、湖畔や図書館の辺りが過ごしやすくていいなぁ」

サーバル「あの辺りは私も過ごしやすかったなー。思いっきり走り回れるし」

かばん「と、そんな感じの誰かが考えたお話が書いてある本なんだ」

サーバル「うぅー、何だかすっごくおもしろそう……。でも私はさっぱりだし……」

かばん「大丈夫だよ。ほら、これならわかるでしょ?」

サーバル「絵がついてる……。もしかして、さっき言ってた?」

かばん「うん、絵がついてる本。どうかな?」

サーバル「これなら私にもわかるかも。あ、でもちょっとだけど文字もあるんだ……」

かばん「そこはボクが読んであげるから。ほら、一緒に見よう?」

サーバル「わーいっ」

かばん(……とは言ったけど、ボクもこれ読んでないからどういう内容なのかわからないんだよね)

かばん(それにサーバルちゃんがものすごく近くて、何だか気になっちゃう……)

サーバル「かばんちゃん?」

かばん「あっ、ううん、何でもないよ。じゃあ始めるね」

サーバル「よろしくねっ」

『ここはジャパリパーク。ヒトとフレンズが仲良く暮らす大きな施設』

サーバル「ジャパリパークって、ここのことだよね。それを本にしたのかな」

かばん「そうみたいだね。ヒトとフレンズさんが一緒に暮らしてるのかぁ」

サーバル「ほら、早く続きっ」

かばん「う、うん。えと……」

『大勢のヒトとフレンズが暮らすこの場所で、彼女はあの子に出会った』

『これは1人の少女とフレンズの、恋のものが』

かばん「ええぇっ!?」

サーバル「わあっ!?き、急に何!?」

かばん「だ、だって、だってこれっ!」

サーバル「この本?この本がどうしたの?」

かばん「それは、その、えっと……」

かばん「……さ、サーバルちゃん。恋とか、恋愛ってわかる?」

サーバル「なんとなくはわかるかな。誰かのことが特別好きってことだよね?」

かばん「それはそうなんだけど……」

サーバル「……あ。もしかしてこれってそういう本なの?」

かばん「う、うん」

サーバル「そ、そっかぁ……」

かばん「……」

サーバル「……」

かばん「……べ、別のにしよっか。他にもいくつかあるから」

サーバル「かばんちゃん。これ、続き読んでほしいな」

かばん「えっ……」

サーバル「ダメ……?」

かばん「だ、ダメじゃないけど……」

サーバル「かばんちゃんと一緒なのは恥ずかしいっていうか、照れちゃうけど」

サーバル「私は、これが気になるな」

かばん「そう、なんだ……。じゃあ、続きから読むね……」

かばん(うぅ……。ただでさえサーバルちゃんが近くて気になってるのに)

かばん(一緒に恋愛のお話を読むなんて、すっごく恥ずかしい……)

かばん(何より、これ女の子同士で、余計にサーバルちゃんを意識して、ドキドキしちゃう……)

サーバル「この女の子、フレンズの子のことがとっても好きなんだね」

かばん「そ、そうだね……」

かばん(本の内容が恋愛だから、それに影響されてるだけ……。そのはず、なのに)

かばん(ボクにはフレンズさんを想う女の子の気持ちが痛いくらいにわかってしまって……)

サーバル「あれ。ねぇ、手を繋いでるけどこれって普通じゃないよね?」

かばん「これ、は……。すっごく仲良くなったらするやつで……」

サーバル「へぇー。じゃあ、あとで私たちもやってみようよ」

サーバル「私たちだって、すっごく仲良しなんだから」

かばん「あ、う、うん……」

かばん(サーバルちゃんのことは好きだけど、そういう意味ってわけじゃ……)

かばん(さっきまではそう思ってたのに、今は絶対そうだと言えなくて……)

サーバル「わぁ……。この子たち、抱き合ってる……」

サーバル「……えへへ、何か照れちゃうね。かばんちゃんと一緒にこの2人を覗いてるみたいで」

かばん「あ、あはは……」

サーバル「……もうすぐで終わり、かな。めくってる方があとちょっとになってるし、お話も素敵な感じだし」

サーバル「ワクワク、じゃない。ちょっとドキドキしちゃう……」

かばん「あ……」

かばん(今のサーバルちゃん、すごく、すっごく……)

かばん(どう言ったらいいんだろう……。可愛いとか綺麗ってだけじゃなくて、それが全部混ざったみたいな……)

サーバル「かばんちゃん。続き、読んで?」

かばん「……へっ?あ、えと……」

サーバル「……かばんちゃん?」

かばん(……無理、これ以上は無理!サーバルちゃんの前でこんなの読めないよぉ!)

サーバル「だ、大丈夫?顔、真っ赤だよ?」

かばん「だいじょっ……!」

サーバル「えぇっ!?ほ、ほんとにどうしたの、本に顔押しつけて」

かばん(ダメだ……。サーバルちゃんの顔、まともに見れない……!)

かばん(サーバルちゃんの顔見るだけであっつくなって、すっごくドキドキして……)

かばん(やっぱり、ボク、サーバルちゃんのことが好きなんだ……。友達じゃなくて、恋の対象として……)

かばん(この女の子みたいに、ボクもサーバルちゃんが……)

かばん(……言うなら今しかない、よね。こんな機会、そうそうないだろうし)

かばん(ボクの気持ちを、サーバルちゃんにっ……!)

サーバル「あれ……?かばんちゃん、何で閉じちゃうの?」

かばん「……サーバルちゃん。サーバルちゃんはボクのこと、どう思ってる?」

サーバル「どうって、友達だよ。とっても素敵で、仲良しで……」

サーバル「最高の友達だって、私はそう思ってるよ」

かばん「……うん、そっか」

サーバル「かばんちゃん……?」

かばん「ボクもサーバルちゃんのこと、仲良しの友達だって、そう思ってる。そう思ってた……」

サーバル「思ってた?」

かばん「……一緒に本を読んで、気づいたんだ。ボクと、この本の女の子は同じなんだって」

サーバル「えぇと……?かばんちゃんは何が言いたいの……?」

かばん「……サーバルちゃん。ボクは、サーバルちゃんのことが、好き」

かばん「友達としてじゃなくて、この本の女の子とフレンズさんみたいな恋愛の対象として……」

サーバル「……えっ?」

かばん「ボクは、ボクはサーバルちゃんに……」

かばん「……恋を、しちゃったんだ」

サーバル「えっ……?え、えと、そう、なの……」

かばん「うん……」

サーバル「へ、へぇー……」

かばん(あぁ、何だかあんまりよくない返事……。やっぱり、ダメだったかな……)

かばん(それに勢いで言っちゃったけど、もしこれで嫌われたりしたらボクはひとりぼっちに……)

サーバル「……かばんちゃんは私と、その本の2人みたいになりたいんだよね?」

かばん「そう、だよ……」

サーバル「私ね、恋とか恋愛ってよくわかんないんだ。その、恋をして、恋をされてそのあとどうなるのかって」

サーバル「だけど、本の2人はとっても仲良しで、嬉しそうで、楽しそうで、それが少し羨ましくて……」

サーバル「本を見ているうちに、かばんちゃんとこの2人みたいになりたいって思ったの」

サーバル「かばんちゃんと一緒にいて、お話をして、触って、ドキドキしたい。物語の2人がしたこと全部、かばんちゃんとやってみたい」

サーバル「だってかばんちゃんは、たった1人の特別な人だから……」

かばん「サーバルちゃんっ……」

サーバル「かばんちゃん、私のことを好きになって、好きって言ってくれてありがとう。私、とっても、とっても嬉しいよ」

サーバル「私も、かばんちゃんが誰よりも大好きっ!」

かばん「じゃあっ……!」

サーバル「うん!私、かばんちゃんの……」

サーバル「……えぇと、どう言えばいいのかな?恋をした同士は友達じゃないと思うし」

サーバル「とにかく、私はかばんちゃんと本の2人みたいな関係になりたいな」

かばん「……ほ、本当に?」

サーバル「もちろんだよ。どうして?」

かばん「その、ボクが好きって言ったあと、何だか気のない返事をしてたから……」

かばん「もうダメだって、嫌われたって思っちゃった……」

サーバル「わ、私はそんなつもりじゃなかったんだよ。ごめんね、怖い思いさせちゃって」

サーバル「心配しなくても、私はかばんちゃんが大好きだから。大丈夫だよ」

かばん「……あの、ね。ボクたちや本の2人みたいな関係を恋人って言うんだって」

サーバル「こいびと?」

かばん「うん。恋人」

サーバル「こいびと、かぁ……」

サーバル「……何でかな。ちょっと恥ずかしいけど、でもそう言われて嬉しいんだ」

かばん「ボクもサーバルちゃんと、その、こ、恋人になれて……」

かばん「……とっても、嬉しいな」

サーバル「えっと、これで私たちはこいびと、になったんだよね?」

かばん「ボクはそのつもり、だけど……」

サーバル「……えへへ。かばんちゃんとこいびとになれたんだって思うと、ね」

サーバル「たくさんの嬉しいと楽しいでいっぱいで、私からこぼれちゃいそうだよ」

かばん「……そう言ってもらえると、ボクも嬉しいな」

かばん「サーバルちゃん。ボクの恋人になってくれて、ありがとう」

サーバル「私も、こいびとにしてくれてありがとう。かばんちゃんのこいびとになれて、すっごく嬉しいよ」

かばん「……恋人になったら何をするのかとか、どうなるのとか、ボクも全然わからない」

かばん「でも、まずはこうして手を繋ぐことから始めよっか」

サーバル「これって、さっきの……」

かばん「こうしていれば、サーバルちゃんと一緒にいられるね」

サーバル「かばんちゃん……」

かばん「サーバルちゃん。ボクたち、どこに行っても、何があっても、ずっと一緒だよっ」

サーバル「うんっ。ずっと、ずーっと一緒にいようねっ」

これでおしまいです。特に繋がってない前作
かばん「ひざまくら」
かばん「ひざまくら」 - SSまとめ速報
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けもレズ百合SSふえろ

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