代官「んん?これは?」越後屋「山吹色のお菓子にございます!」 (30)

代官「どう見ても小判にしか見えんが」

越後屋「えっ」

代官「えっ」

越後屋(この代官、なにを言ってるんだ……?山吹色のお菓子と言えば小判に決まってるだろ……)

代官(こいつお菓子って言ったよな……小判だろこれ。えっ違うのか?小判じゃないのか?これ)

代官(あ!わかったあれか。コインチョコとかココアシガレット的な。ははーんなるほど越後屋め。洒落たものを持って来よるわ)スッ

越後屋(!なんだ結局受けとるのか。まったくすっとぼけときながら……)

代官「ではひとつ戴こう」ガジッ

越後屋(!!?食ったあああ!?)

代官(硬ええええ!!)

代官(なんだこれ!!食えたもんじゃない!まるで本物のようだ!!)

代官(あずきバーより硬え!!)

越後屋(なにやってんだこの人!!なにやってんだこの人!!)

代官「……ちと、口に合わぬ様じゃ。すまぬが持って帰りお主が食うとよい」

越後屋(なんだそりゃ!!頭おかしいのかこの人!!)

代官「(歯が痛え……)して、今日は一体何用じゃ、越後屋」

越後屋「え、あ、はい!!本日はですね……」

越後屋(なんかよくわからんが金を受けとる気はないのか……用心深いのかなんなのか……)

越後屋(しかしまあ、男をたぶらかす方法ならまだいくらでもある!)

越後屋「おい、入って参れ!」パンパン

女「は、はい……」

代官「んん?この者は?」

越後屋「はい!この女町の呉服屋の娘でございまして、店が借金で首が回らなくなったのをわたくしがちょちょいと、ね?」

代官「ほう……して、なぜここに?」

越後屋「もうお代官様ぁ!お分かりでしょう?さ、後はお二人でごゆっくりと……」

代官「うむ……なるほどのう」

女「……」ブルブル

越後屋「ではわたくしめはこれにて。おい!わかっておるな!?」

女「はい……」

代官「……」

越後屋「では失礼いたします」

代官「……」

女「……」

女(これも仕方ない、仕方ないのよ……お父つぁんの店のため……)ブルブル

代官「……」

代官(越後屋め)

代官(知らない女の人と二人きりにされても……気まずい……)

女「……」

代官「……」

代官「……あの」スッ

女「ひっ!」

代官「あ、すいません」

女「あ、はい……」

代官「……」

女「……」

女(怖い……)

代官(気まずい……)

代官「……」

女「……」

代官「……あの、お茶、でも飲みますか?」

女「えっ」

代官「えっ」

女「お茶、ですか……?」

代官「あ、はい……」

女「あ、いえ、大丈夫です……」

代官「あ、そうですか」

女(なんだろう、この人……なんでなにもしてこないんだろう)

代官(……なんだこれは……越後屋はわしにどうしろというのだ)

代官「……あはっ」

女「あはは……」

代官(どうしたものか……もう夜も遅いし出来れば帰ってほしいが)

女(なんだろう……焦らしてるのかな)

代官「……あの、越後屋はなんて……」

女「え、あ、あの……お代官様の元で一晩過ごしてこい、と……」

代官「あ、そうなんですか」

女「はい……」

代官(うむ……今日は帰るつもりでないと……仕方あるまい)

代官「じゃああの、布団敷きますので……」

女「!はい……」

女(ついに来た……犯されちゃうんだ……お父つぁん……!)

代官(来客用の布団は、と……)

女(……ていうか自分で布団敷くんだ……)

代官「……よし、出来た」

代官「ではあの、隣の部屋にいますんでなにか用があったら」

女「えっ」

代官「えっ」

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