最原「春川さんが孤立している」 (88)

※ネタバレあり
※みんな生きてる
※ハルマキが好きな人注意

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春川「殺されたいの?」



春川 (ハルマキって呼ばれたからやめろって言っただけなのに、どうしてそんな顔されなきゃいけないの)

春川 (本当に凡人って弱い。軽い冗談なのに本音だと受け取るなんて、バカじゃない)

春川 (夢野みたいに、力もないくせに大口を叩くやつは腹が立つ)

春川 (それに、打ち解けてないくせに人をあだ名で呼ぶなんて)

春川 (私をハルマキって呼んでいいのはあいつだけなのに)

春川 (軽々しく呼ぶなんて、許せない)

夢野「す、すまんかったのぅ…もう呼ばんから……許して」

春川「……二度と呼ばないでくれる?不快だから」

夢野「うぅ……」

春川「次呼んだら殺すから」

夢野「ひっ」

春川 (だから冗談を本気で受け止めすぎなんだよ。バカみたい)

春川 (私が去った後、怯えている夢野を慰める茶柱の声が聞こえた)

春川 (そんなエセマジシャンのことなんて放っておけばいいのに。格闘家のくせに群れてうざったいやつ)

茶柱「は、春川さん!少し言い方を考えてくださいよ!」

春川「はぁ。何なの?私が嫌だから注意しただけなんだけど。勘違いしないで」

茶柱「夢野さんが怯えてるじゃないですか!」

春川「ただ弱っちいだけ」

茶柱「っ!」

春川「ふん。過保護なのも見てて痛々しいね。弱く見えるよ」

夢野「うぅ、すまんのぅ。茶柱……」

茶柱「そんな、謝らないでください!夢野さん!」

春川「群れてるのも本当に気持ち悪いよ」

茶柱「……」


春川 (当たり前じゃない。私はあんたたちと違ってまともな人生送ってきてないんだから)

春川 (暗殺者なんだから、人を信用できなくて当然なのよ)

春川 (百田だけが私に明るく接してきてくれた)

春川 (だから私は百田にだけ話しかける)



百田「ハルマキ。お前もっとみんなと話せよ。打ち解けた方がやりやすくないか?」

春川「何で?」

百田「何でって…」

春川「ふん。あんたには関係ない」

百田「……まあ、あんまり尖った態度で接しない方がいいぞ」

春川「……私はどうでもいい」

春川 (他のやつらのことなんてどうだっていい)

春川 (私を殺そうとする人間がいたとしても、簡単にねじ伏せて殺せるし。私は暗殺者なんだから当然だけど)

春川 (のほほんと生きてきたやつらとは私は違うんだから、みんなに心を開くなんて考えられない)

春川 (私は過酷な運命の下に生まれてきたんだから)

春川 (他のやつらとは、違う人間なんだから)




百田「……」

春川「どうしたの。百田」

百田「ちょっと今から終一んとこ行こうかと思ってよ」

春川「あんたが行くなら私も行くけど、いいよね」

百田「それは……」

百田「……あー、すまねぇ。ちょっとあいつに話があるんだ」

春川「だからってどうして私が着いて行ったらいけないの?」

百田「あのよ。ハルマキもオレばっかりに引っ付いてくんじゃなくて、もっと他のやつらとも絡めよ。お前もつまんねーだろ」

春川「えっ?」

百田「そうした方がいいって。じゃあな」



春川「……意味わかんない」

春川 (他のやつらの所に行ったって、面白いことなんて一つもない)

春川 (話しかける必要もないのに、どうして百田はこんなことを言ってくるんだろう)

百田「終一ごめんな。急に呼び出して」

最原「どうしたの?話って」

百田「あの…ハルマキのことなんだけどよ」

最原「春川さんのこと?」

百田「あいつ、いつも一人じゃねぇか」

最原「百田くんがいない時はね…」

百田「そうなのか…気付いたらいつも着いてきてよ…何話しても機嫌悪そうだし」

最原「うん…」

百田「……正直困ってる」

最原「百田くんの笑顔が引きつってるもんね…」

百田「こんなこと言いたくねーけどよ…」

最原「うん…僕もどう接したらいいか分からなくて。話しかけたらいつも大抵殺されたいのって言われるし」

百田「そうか…きついな」

最原「正直まともに話せたことないから…それに百田くん以外と話してる所見たことないよ」

百田「うーん…それも問題だな。あいつにとっても」

最原「何というか、春川さんの前で百田くんに話しかけるのをためらっちゃうんだよね」

百田「何だそりゃ」

最原「百田くんと話してると春川さんから圧がすごくて、みんな百田くんと軽く話してるだけで睨みつけられてるみたい」

百田「だから最近オレに話しかけるやつもいなくなってたのか…」

最原「ええ……」

百田「何か、すまねぇな」

最原「えっと、春川さんもコミュニケーションしなさすぎて周囲から浮いてるというか、その、どう言ったらいいか分かんないんだけど…」

百田「一人、なんだよな」

最原「うん……」

百田 (終一に申し訳ねーな…こんな暗い会話になっちまうなんて)

最原 (春川さんも超高校級の暗殺者だからって、あんなに自分は特別でお前らとは違うみたいな雰囲気出されたら、こっちとしてもギスギスして困るんだよなぁ…)

百田「はぁ……」

最原 (百田くんも完全に疲れてるし。無理してるのが嫌でも分かるよ…)

百田「……」

最原「……」

最原 (この状況を打破するには…そうだ!)



最原「よし。じゃあきっかけを作ってあげよう。確か女子が東条さんに料理を教えてもらってるらしいから、そこに春川さんも加わってもらうんだ」

百田「そりゃいい。料理だったら助け合って話すきっかけができるかもしれねぇな!」

最原「それに、女子の誰かなら春川さんも仲良くできるかもしれないよ」

百田「そうだな。可能性に懸けてみよう」

最原 (若干不安要素はあるけど、とりあえず女子に頑張ってもらおう)

百田 (何でオレと終一がこんなことやってるんだろう……)

最原 (何で僕らがこんなことしなきゃならないんだろう……面倒だな)

最原「うーん。僕が言っても拒否されるかもしれないから、百田くんにお願いしてもいいかな?」

百田「分かった。ハルマキに伝えてくるよ」

春川 (百田に料理に誘われた。百田がいるなら、行ってみようかな)

春川 (信用ならないやつがいない所には行かないんだから)

春川「……行ってやらないこともないけど」

百田「おう。みんなで作ってこいよ。東条が教えてくれるらしいからさ」

春川「……東条?」

春川 (何それ。他のやつらもいるの?)

百田「女子にケーキか何かの作り方を教えるらしいぞ。ハルマキも協力して楽しんでこいよ」

春川「……」

春川 (そう言うと、百田はそそくさと去っていった)

春川 (何なの。別に百田以外と話す気なんてないのに。何で他のやつらと仲良くする必要があるの)

春川 (ここにいる女子なんて、性格もクソでロクなやつがいないじゃない)

春川 (百田が言うから行くけど)

春川 (少しでもおかしな言動か態度をとったら、半殺しにしてやるんだから)

春川 (まぁ、こんな冗談も分からないやつらばかりなんだろうな)

ー食堂ー




赤松「あっ。春川さん!」

春川「……」

赤松「春川さんも東条さんにケーキ作り教えてもらいに来たの?」

春川「……何?」

赤松「えっ」

春川「暇だから来ただけ。あんたもそうでしょ?特に用もないのに話しかけないでくれる?」

赤松「そ、そうなんだけどね。ほら、春川さんとあまり話したことなかったし、この機会に仲良くなりたいなって」

赤松「どんなケーキ作るんだろうね。東条さんなら本格的なケーキを作りそうだよね!」

春川「……」

赤松「春川さんも一緒に作ろうねっ」

春川「……」

赤松「む、無視はやめて……流石に傷付くから」

春川「……無駄に話しかけないでくれる。気が散ってうるさいだけだから」

赤松「えっ、あ、そうなんだ……」

春川「それとも…殺されたいの?」

赤松「あ……あの、ごめんね?」

春川「ふん」



春川 (バカなやつ。本気なわけないのに)

春川 (いちいち言われたくらいであからさまに凹むなんて、オーバーなんだから)

春川 (これだから弱い人間はうざったい)

東条「では、今日はみんなで簡単なケーキを作ってみましょうか。私がスポンジの作り方から教えるから、分からないことがあったらいつでも聞いてちょうだい」

夢野「んあー。ケーキ作りは初めてじゃから、緊張するのぅ」

春川「……」

夢野「よいしょ。材料はこれでいいかのぅ」

東条「そうね、このくらいあれば十分よ」

茶柱「おおっ。早速夢野さんが活躍しましたね!」

夢野「んあー。何てことないわい」

春川「……ちっ」

夢野「んあっ!?」

春川「いちいち声に出さないでくれる。そのうざい喘ぎ声」

夢野「んあっ!?」

茶柱「ゆ、夢野さん……こっちで一緒にやりましょう。怯えなくても大丈夫ですよ」

夢野「ん、んあー……」

茶柱「はっ、夢野さん手際がいいですね!転子も負けていられません!きええええっ」

赤松「ふふっ。茶柱さん落ち着いて」

アンジー「あはー。みんなで作ると楽しいよー」

夢野「そうじゃな。ウチも頑張るぞ」

赤松「美味しいケーキが作れるといいね!」

茶柱「はいっ!協力し合って完成させましょう!」

アンジー「にゃはー。転子は熱血でアツアツだねー」



春川「……バカみたい」

春川 (また群れてる。知能が低い凡人はすぐに群れたがるんだから)

春川 (鬱陶しいからすぐに離れた。あんなのうるさいだけだし)

春川 (私も来たくてこんな面倒な所に来たわけじゃないのに。こんな作業で無駄なカロリーを消費したくない)

春川「……」

東条「春川さん。分量が分からないのかしら。そこは……」

春川「うるさい」

東条「?」

春川「何であんたの指図なんて受けなきゃいけないの?」

東条「私はレシピを教えているだけよ。春川さんも作り方は分からないでしょう」

春川「うざい。ほっといてよ」

東条「それはごめんなさいね。みんなが楽しく料理できることが一番だから、何か用事があったら言ってきて」

春川「何もないから黙ってやってるんでしょ。あんたも大人ぶってるけど、バカなんだね。人の心も分からないなんて」

東条「……そうね。私も人の心を完璧に読み取ることは難しいわ。あなたのような人だったら、尚更」

春川「そういう人を小馬鹿にしてる所が気に入らないんだけど。まぁここにいる人間のほとんどはそうだね。他人のことを考えもしない」

東条「……」

春川「料理教室なんて、あんたが権力を握るためにやってんじゃないの。女子の信頼を集めようと…いきがってるのが見ててみっともないよ」

夢野「お、お主は相変わらず刺々しいのぅ……」

アンジー「魔姫ってば、きっついねー!」

東条「……そう思われたなら、ごめんなさい。私もみんなに対して介入しすぎてしまったかしら」

茶柱「そんなっ。酷い言いがかりですよ!」

赤松「東条さんは私たちのために教えてくれてるのに……」

春川 (ああ、バカばっかり。何で人を簡単に信用できるの?あんたらの方が頭おかしいんじゃない!)

春川「そんなの知らない。腹の底は何考えてるのか分からないやつを信用できるはずがない。そんなことも分かんないの?」

アンジー「あはー。思いっきりブーメランだねー」

春川「……」

アンジー「あれー?今言ったのは魔姫にも当てはまっちゃうよねー?」

春川「何が言いたいの。はっきり言えば」

アンジー「魔姫の方が何考えてるか分かんないよー?みんなに意地悪だしねー。にゃははは~」

春川「バカなの?あんたも殺されたい?」

アンジー「あはー。決めゼリフきちゃったねー。殺されちゃうよー」

茶柱「決めゼリフというか…春川さんは連発しすぎですけどね」

春川「……うざい」

アンジー「転子ヘルプミー。アンジーを助けるよー」

転子「は、はいっ。夜長さんも一緒に作業しましょう!」

>>34
転子「は、はいっ。夜長さんも一緒に作業しましょう!」→茶柱「は、はいっ。夜長さんも一緒に作業しましょう!」

赤松「は、春川さん……」

春川「……さっさとあんたも消えなよ。いつまでそこにいる気?」

赤松「あのさ。じゃあ一緒に作ってもいい?みんなでやった方が」

春川「……はぁ。あんたはどうしようもないバカね。何でさっきも言ったのに分からないの?私の近くに来ないでよ。気が散るって、これで言うのは二度目なんだけど」

赤松「……」

春川「東条も私に教えるのはやめていいから。不愉快」

東条「……分かったわ。春川さんは人から指図を受けるのが嫌いなのね。覚えておくわ」

春川「私だって作りたくてここに来たんじゃないし。ただ暇だったから」

東条「では、レシピをここに置いておくわね。私は近付かないから」

春川「それも大きなお世話。邪魔だから消えてって言ってるんだよ。メモも目に入って目障りだから」

東条「……端に置いておくだけよ。気が向いたら見て」

赤松「そんな……」

茶柱「ちょっと、教えてもらっているのにその態度はないのでは!?」

夢野「う、ウチもレシピを教えてもらわんことにはっ、まずいやつができてしまうぞ……」

アンジー「そうだねー。料理とか目分量でテキトーに作ったら塩と砂糖とか間違えてメチャクチャになっちゃうからねー。タイヘンタイヘン~」

春川「……」

春川 (何でこんなに近付いてくるの。訳が分からない。私は何も間違っていないのに)

春川 (こいつらが、こんなにバカとは思わなかった)

春川「……興味が失せた」

茶柱「春川さん!」

アンジー「あれー?帰っちゃうのー。これから楽しい所だよー?」

春川「元々楽しそうだなんて思ってない。最初から私が楽しめそうもなかったし」

赤松「ほ、ほら。もうすぐスポンジが焼き上がるよ。ここまで作ったんだし……」

春川 (何で人をここまで引き留めるの。私が楽しそうな表情をしてるわけでもないのに)

春川「こんな会、二度とやらないで。弱いやつらが群れて苛々するから。周りから疑われても知らないよ」

茶柱「春川さん、他の人がそんなことを言われてどう思うか考えたことないんですか!あなたこそ女子なのに、転子の中でちょっぴり嫌な印象が付いていますよ!?」

春川「……はぁ。私があんたの中でどう思われようがどうでもいい。殺そうとするなら、返り討ちにするけど。つまりあんたは殺されたいんだね」

茶柱「何でそんな解釈に至ってしまうのですかっ!?」

夢野「茶柱よ……こやつに何を言っても無駄のようじゃ」

アンジー「会話にすらなってないよねー!」

※いない女子
入間→キーボをエロエロ開発
白銀→裏で何かコソコソやってる

バタン


夢野「な、何様なんじゃ。あやつは」

アンジー「ありゃー。魔姫は癇癪持ちなのかなー?」

東条「……みんな。作業を続けましょう」

茶柱「あ、あのまま放置でいいのでしょうか」

東条「……よっぽど周りとコミュニケーションが取りづらいのは分かったわ。あれが彼女の性格なのよ。人それぞれ色々事情があるのだから、仕方ないわ」

赤松「……」

東条「ただ…ああいう態度でしか人に接することができないのは、少し憐れね」

春川 (食堂から出て数時間経った。どうせくだらないものでも作ってるんだろうけど、私には関係ない)

春川 (本当にバカなやつらばっかり。嫌になる)

春川 (百田は、どこかな…私が話しかけてもあいつなら受け入れてくれるよね)

春川 (あいつしか信用ならない。あいつには私がいればいいんだから)

赤松「あっ、いた。春川さん!」

春川「……」

赤松「よかった。見つかって」

春川 (赤松は微笑みながら近付いてきた。どうして?あんなに突き放したのに)

春川「……何?アレはもう終わったの」

赤松「うん!みんなで完成させたから、春川さんにも食べてもらいたくて」

春川「……何それ」

赤松「作ってきたショートケーキ。切り分けて持ってきたから、一緒に食べない?」

春川「しつこいんだけど。人がうざったいって思ってるの見て分かんない?」

赤松「その…うざがられてもいいから、春川さんと仲良くなりたいよ」

春川「……はぁ」

赤松「あはは……ダメ、かな」

春川「あんた、本当に記憶力が致命的なんだね。さっきも言ったけど」

赤松「ご、ごめんね。何回も」

春川「そんなことしたら、あんたまで嫌われるよ」

春川 (赤松は困ったように眉を下げて笑っている。バカなやつ)

春川「私のことなんて放っておけばいいのに」

赤松「放っとけないよ…」

春川「バカね」

赤松「それに、みんな残念がってたよ。春川さんも来たらよかったのにって」

春川「残念がるって……頭おかしいんじゃないの。私が嫌だったから出て行ったんだけど」

赤松「きっと、みんなもっと春川さんと仲良くなりたいんだよ。私もだけど」

春川「こんな状況で仲良くするなんて思うのがおかしいって言ってるのが、分からない?」

赤松「で、でも」

春川「このケーキも何が入ってるか分からないしね」

赤松「そんなことないよ…東条さんが中心になって作ってきたんだよ。みんなで食べてきて、とっても美味しくて」

春川「私は見てないから信用ならないけど」

赤松「だから、その、そんなこと言われたら……みんな悲しむと思う」

春川「……今、私が嫌なやつだって思ったでしょ」

赤松「えっ?」

春川「そういう認識でいいよ。私は嫌なやつだから近付かなくていい。私も信用できるやつにしか近寄らないから。これでお互い楽だよ」

赤松「違う。私が言ってるのは」

春川「あんたたちは平和ボケが過ぎるよ。そんな隙だらけだといつでも簡単に殺せるだろうね。せいぜい自分の身は自分で守れるくらいにはなれば」

赤松「……」

春川「まぁ、私は自衛できるしいつでも殺せるけど」

赤松「そうじゃなくて!」

春川「何が言いたいの。何をムキになってるの。私は当たり前のことを言ってるだけでしょ。そんなことも分からないの?」

赤松「春川さんこそ……ムキになってるよ」

春川「……殺されたいの?」

赤松「私は…春川さんと普通の友達になりたいだけだよ」

春川「普通って何?ここにいる時点で誰も普通じゃないでしょ。状況も普通じゃないし」

赤松「それでも私は…」

春川「結局あんたも偽善者なのに、良い人ぶらないでくれる。私、そういうやつが一番嫌いなんだ」

赤松「な、何でそんな風にしか受け取れないの」

春川「これが普通の対応だよ。あんたの方がおかしいよ。私に突っかかってくるのは、あいつしか許さない」

赤松「……そうやって特定の人だけしか見ていない春川さんもおかしいよ」

春川「私のどこがおかしいわけ。あんたが異常にお人好しなのに。自分の方がおかしいこと分かってないの?」

赤松「……私、もう分かんないよ」

春川「私の気持ちは誰にも分からないに決まってるでしょ。私はあんたたちとは別世界を生きてきたんだから」

赤松「でも、春川さんはここで生活をしてるんだよ。これからみんなと打ち解けていかなくて大丈夫なの?」

春川「……何度言わせる気?私は打ち解ける気なんてさらさらないの。それに、私に話しかけてきてくれた人が他にいる。私はそれだけでいい」

赤松「そんなんじゃ…ダメだよ」

春川「あんた、よっぽど殺されたいみたいだね」

赤松「っ……」

春川 (赤松の首筋にナイフを添えると、一瞬で顔が青ざめていくのが分かった)

春川 (怯えている。これでいい。赤松もきっと私を恐れている)

春川 (私の暗殺者という才能の能力を間近で感じてしまったのだから)

春川「ほら。今あんたの命は私の手の中にあるの。こんなに命が簡単に手に掛けられるなんて滑稽だよね」

赤松「そ、そんな」

春川「ほら。もう少しであんたも死ぬんだよ。恐ろしいでしょう」

赤松「ひっ……!」

春川 (へなへなと座り込んだ赤松を見下ろしながら、私はナイフを仕舞った)

春川 (これで赤松も理解できただろう。私が簡単に命を奪えることを)

春川 (でも、私の心まではきっと分からない。あいつ以外には)

赤松「……春川さんは、私と話すのも嫌なの?」

春川「嫌。だからこのケーキもいらない」

春川 (肘でケーキを押すと、ぐちゃりと崩れて生クリームが飛び散った)

赤松「あ」

春川 (赤松は呆然とそれを眺めていたけど、放っておいた)

春川 (関わるとロクなことにならなそうだし。私は誰にも理解されないんだから)

赤松「……」

春川「通行の邪魔なんだけど」

赤松「……春川さん」

春川「あんたもどっか行けば」

春川 (小さく呟かれた自分の名が酷く耳障りだった)

最原「えっ?ダメだった?」

赤松「う、うん……相当嫌みたいで。百田くんしかまともに話せないっていうのは、本当だったんだね」

百田「すまん赤松。お前にも無茶なことを……」

赤松「ううん……別にいいんだけど」

最原「はぁ……ごめん。僕も女子だと打ち解けやすいかと思ったんだけど」

赤松「あはは……もう春川さんの相手ができる自信がなくなっちゃった。私の方こそごめんね」

最原「そんな、こっちが謝らないといけないのに」

赤松「うん……」

最原「ごめん……」

百田 (赤松の顔は悲愴感に満ちていた。クソ、ダチにこんな顔させちまうなんて。オレは……!)

百田 (オレは、あいつのために何をするべきなんだ)

百田 (オレができることは……)

百田「ぐっ……!」

赤松「どうしたらいいのかな……」

最原「百田くん、これじゃあ前よりも悪化してるみたいだね」

百田「……オレはあいつと決別する」

最原赤松『えっ?』

百田「オレが甘かったからだ。だから、あいつが他のやつらと仲良くなるまで、話さないようにする」

最原「そ、それは心配だな……」

赤松「後が怖い……」

百田「でも、やるっきゃねぇ。これであいつも変われるかもしれないんだ」

最原「そっか……」

最原 (確かに百田くんが離れると効果があるかもしれない)

最原 (正直春川さんも少しは嫌な気持ちを分かった方がいいのかもしれない)

最原 (全く、あの人が厨二拗らせすぎたからこんなことになったんだよ……他にも色々性格歪んでるけど)

百田「終一……すごい顔してるぞ」

最原「ご、ごめん。じゃあ百田くん、お願いできるかな」

百田「あぁ……」

最原 (これで少しは状況が良くなるといいんだけど)

赤松「はぁ……」

最原 (聞くと一部女子も怯えてるみたいだし、一体どんなメンヘラ行為をやらかしたんだか)

他のダンロンSSが素晴らしくて地震なくした…某逆転シリーズが素晴らしくて僻んでしまった
どうやったらあんなに上手く描写できるのか

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