シンジ「槍で世界をやり直した」【安価】 (13)

シンジ「ロンギヌスの槍と、カシウスの槍……これが……」

カヲル「そう。この二本の槍で、世界を壊し、再構成できる」

シンジ「えっ…こ、壊すって?」

カヲル「いいかいシンジくん、僕達がこれから行うのは、世界の完全な破壊と、意のままの再生」

カヲル「時は巻き戻らない、不可逆なんだ。これは神様にだってどうしようもない世界の決まりだ」

カヲル「だからまずはロンギヌスの槍で、世界のすべてを最小単位までバラバラにする」

カヲル「そしてカシウスの槍で、僕達の意思を反映した、世界の再生……パーツの再配置をするのさ」

シンジ「…つまり、えっと」

カヲル「つまり、プロセスが異なるだけであって、同様の結果は得られるということだよ」

シンジ「そ、そっか。なら、よかった…」

カヲル「言い方は悪いけど、この世界は既に壊れてしまっていると言っていいほど滅茶苦茶だ」

カヲル「あまりにも多くの命が失われた。ヴィレは、人類は諦めないだろうけど、完全な復興など不可能に近い」

カヲル「どうしようもなく未来は絶望に覆われている。けど、君は願ったね」

カヲル「〝世界をやり直したい〟と」

シンジ「………うん」

カヲル「僕の願いは『君が幸せであること』だ」

カヲル「さぁ、迷うことはない。邪魔が入る前に始めよう。」

カヲル「呼吸を合わせて。心を一つに。ダブルエントリーシステムの真価はここにあるのさ」

シンジ「………すぅ………はぁ……」

カヲル「………すぅ………はぁ……」

シンジ「……、ねぇ…カヲルくん」

カヲル「なんだい?」

シンジ「…僕は、もう誰も失いたくなんてないんだ」

カヲル「うん」

シンジ「…嫌なことから逃げても、その先に良いことなんてなかったんだよ。だから、またエヴァに乗った」

カヲル「そうだね」

シンジ「…けど、逃げずに立ち向かっても、何かが間違ってて。今度は世界が滅茶苦茶になった」

カヲル「仕方なかったと思うよ」

シンジ「…都合よく世界をやり直そうなんて、やっぱり逃げだって言われるかもしれない。本当に逃げなのかもしれない」

シンジ「それでも、やり直したいんだ」



シンジ「…………フフっ……く、…あはは」

カヲル「シンジくん?」

シンジ「あ、ごめん。ちょっと思うところがあって。……ねぇ。おかしくないかなあ」

カヲル「なにがだい?」

シンジ「なにもかもだよ」

シンジ「僕一人の過ちに対する報いがサードインパクト?なんだよ、それ。おかしい、そんなのおかしいんだよ」

カヲル「………」

シンジ「あぁ、おかしい。おかしい…おかしい…おかしいおかしいおかしい!!おかしい!!!」

シンジ「ふざっけんなよ!!母さんがいなくなって、父さんに置いて行かれて!?親戚には疎まれて、寂しくて!!」

シンジ「ある日父さんから手紙が届いて、本当は少し嬉しかったんだ!!家族と一緒にいれるかもって、期待した!!」

シンジ「なのにワケ分かんない敵が攻めてきて、ワケ分かんないのに乗って戦えって!!挙句これ見よがしにボロボロの綾波をッ!!」

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シンジ「喧嘩だって殆ど経験ないのに、殺し合いなんてどうしろっていうんだ!!腕を折られる激痛、眼と頭を貫かれる激痛、死の恐怖!!」

シンジ「病院で目が覚めた。父さんは僕の見舞いになんて来てはくれなかった!!」

シンジ「半ば強引だったけど、ミサトさんが一緒に暮らそうって言ってくれて、〝おかえり〟って、笑顔で迎えられたあの時、嬉しかった!!」

シンジ「人の温もりを感じたんだ。ミサトさんは作戦部長としての顔もあるから、使徒との戦いの中ですれ違うこともあったけど、なんとかやってきた!!」

シンジ「トウジやケンスケと友達になれて、学校が楽しいと思えるようになった!!この日常を守るために、戦おうって思えたよ!!」

シンジ「正直綾波には嫉妬してた。なんで父さんは僕じゃなくて綾波を、って。でも綾波と触れ合っていく中で、彼女を愛おしく思うようになった!!」

シンジ「アスカは我儘だし強引だし苦手に感じることもあったけど、本当は気遣いだってできる優しい女の子なんだ、大事な仲間なんだ!!なのに!!」

シンジ「アスカの乗った3号機が使徒に乗っ取られた、僕は臆病だから戦えなくて、父さんは殲滅しろって命令した、アスカを殺そうとした!!」

シンジ「ああ今なら分かってるよ!!司令として当然の決断だろうなって、僕が3号機を倒してアスカを助けようって腹を括ってりゃよかったんだって!!」

シンジ「でもさあ!!そもそもなんで3号機に使徒が侵入してるんだよ!?よりにもよって、綾波が食事会を開こうとしてくれた日に、起動試験が!!」

シンジ「アスカがなんであんな目に合わなくちゃならなかったんだよお!!」

シンジ「その次も!!今までにない強さの使徒が来て、新しいパイロットの乗った2号機も、自爆覚悟で突っ込んだ零号機の攻撃も通用しなくて!!」

シンジ「しかも使徒は零号機を、綾波を!!だから、もう僕しかいないから、何もせず終わるなんて嫌で、綾波まで失いたくなくて、今度こそって!!」

シンジ「でも結局勝てなかった!!あと少しだったのに、届かなかった!!だから願った!!初号機に、動けって!!」

シンジ「応えてくれたよ、エヴァは、最強の使徒を圧倒して、そのコアから綾波を取り返せた!!」

シンジ「……確かに、僕はあの時、思ったよ。〝僕がどうなったっていい、世界がどうなったっていい〟って」

シンジ「けど滅べなんて思ってないよ!!サードインパクトなんておこしたいもんか!!エヴァがサードインパクトを起こせるなんて知らなかった!!」

シンジ「何も知らないまま、わからないまま、何かの中心に置かれて利用されていたんだろ!?僕は!!」

シンジ「使徒!!エヴァ!!ネルフ!!父さん!!インパクト!!なんなんだよ!!なんなんだよおおおおおおおおおおお!!!!!」

シンジ「……ッ、っはぁ……っはぁ……っはぁ……!!」

シンジ「…………カヲルくん……」

カヲル「……なんだい」

シンジ「僕は……最初はね。使徒も、エヴァもない、平和な世界に創り直そうと思ってた……。でも、やっぱり」

シンジ「僕は『この世界を』やり直すよ」

カヲル「……いいのかい?」

シンジ「…なんていうかさ、ムカつくんだよね。不満だらけだから。このまま終われないんだ、終わりたくないんだ」

シンジ「物凄く傲慢だっていう自覚はあるけど、かまわない。守りたいものは何が何でも守る。知らないこと、分からないことは暴いてさ」

シンジ「僕が乗せられている手が誰のものなのか突き止めて」


シンジ「ぶん殴ってやる。あははっ、前歯全部折ってやるんだ!」


カヲル「……ふふっ、そうかい。わかった。そうしよう」

カヲル「準備も出来ているみたいだね。…じゃぁ、いいかい?」

シンジ「いいよ。3、2、1でいこう」











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シンジはどの時点に戻った?選択式安価

1、11歳時点。駅のホーム。ゲンドウが離れていこうとする場面

2、14歳時点。駅のホーム。第三新東京市到着

3、3歳時点。人工進化研究所。初号機起動実験日

記入漏れ失礼。安価直下で

第三新東京市 駅ホーム


シンジ「……、ここは…。そうか、無事成功したんだ」

シンジ「記憶の継続も問題ない。…よし、よし!やった!成功したんだ!あははっ、……おっと」

シンジ「……よかった、誰もいない。つい大きい声出しちゃったけど聞かれずにすんだ」

シンジ「…うん、日付も時刻も狙い通り。さて、アイツが来る前に急ごう。ミサトさん遅刻してくるし」

シンジ「あ、自力でネルフにたどり着けた言い訳考えておかないとだよね……はぁ」


月面 


カヲル「…zzZ」


※覚醒時期はまだ先

ネルフ本部 発令所


オペレーターA「ん?何かしらこれ」

オペレーターB「どうした?」

オペレーターA「警備からの報告ね。地上のゲートに人が来てるって」

オペレーターB「民間人か?まだ避難してなかったのかよ!」

オペレーターA「中学生ぐらいの男の子だわ。警備にシェルターまで案内するよう伝えましょう」

オペレーターB「………ん?ちょっと待ってくれ。なんか上が騒がしい」

オペレーターA「上どころか発令所全体が騒がしいじゃない。今まさに使徒襲来の真っ最中なんだから」

オペレーターB「それとは様子が……お、マコトさんから通話来てるぞ」

オペレーターA「な、なにかしら、この忙しい中わざわざ……」

日向「おい、これはどういうことだ!」

オペレーターA「は、はいっ!…え!?どど、どういうこととはどういうことでしょう!?」

日向「はぁ!?何言ってるんだ!何故サードチルドレンが一人で地上ゲート前にいると訊いてるんだよ!」

オペレーターA「えぇ!?さっささサードチルドレン!?この少年がですか!?」

オペレーターB「マジで!?」

日向「葛城さんは何して……あぁ、そうか。いや、すまない!そっちには彼の情報は殆ど知らされていなかったんだったな」

日向「とにかく!サードチルドレンはそのまま通して、ここまで案内するよう警備に伝えてくれ!シェルターにじゃないぞ!ここにだ!」

オペレーターA「りょっ、了解!」

オペレーターB「……な?待てって言って正解だったろ?」

オペレーターA「うっさい」

オペレーターB「……俺さ、正直、国連軍じゃ使徒は止められねえと思うんだよ」

オペレーターA「…声、潜めなさい」

オペレーターB「わかってる。まぁ彼らを卑下してるわけじゃないんだ。ただ、さ」

オペレーターA「私も同感よ。アイツは一見マヌケな姿にも見えるけど……正真正銘の化け物だわ」

オペレーターB「その化け物退治専用に俺らネルフは存在し、決戦兵器と銘打ってアレを造ってきたんだからな」

オペレーターB「こんな言い方したくはないが、国連もこれ以上隊員を無駄死にさせねえでさっさと指揮権移譲しやがれってんだ」

オペレーターA「どうしたらあそこのお偉いさん三人は諦めてくれるのかしらね」

オペレーターB「うーん……自分らの最大戦力の切り札が効かねえって思い知るとか?」

オペレーターA「切り札ねぇ。やっぱアレかしら?」

オペレーターAB「「………うわぁ」」

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