柑奈「さななみかんな!」七海「にょろにょろ~」 (37)


前作はこちらです

比奈「ひなさな!」紗南「あやしい!」
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……A県、漁場……


七海「七海と~」

柑奈「柑奈のー♪」

かんななみ「「流れコンビのレストラン!」」ジャカジャーン!!

七海「今週も始まりましたね~」

柑奈「そうですねー。久々の遅めの収録でほっとしてますよー」

七海「まだ朝の7時れすからね~」

紗南「まだ!? 充分早いと思うんだけど!?」


柑奈「早いときは4時前から収録したりしてるから……」

紗南「4時!? 山手線の始発より早いんじゃないの!?」

七海「沖へ出ての漁はそういうこともあるんれすよ~」

紗南「うちの部署が扱う番組の中じゃ間違いなく一番過酷だね……柑奈さんは平気なの?」

柑奈「流石に何回も収録してたら慣れちゃって……これはもう慣れ&ピースと言えますね」ポロローン

紗南「慣れ&ピース!? 柑奈さん大丈夫!?」


七海「もう出ちゃってますけど、今回のゲストは三好紗南ちゃんれす~」

柑奈「同じ部署のお仲間さんです♪」

紗南「よろしくー!」

七海「ゲームが得意な紗南ちゃんはきっと酔いにも強いはずなので、欲を言えば沖に出るときのゲストがよかったれすね~」

紗南「そんなに期待されても船酔いと3D酔いは別だと思うよ」

柑奈「前回の奈緒ちゃんは船酔いしちゃいましたから」

紗南「奈緒さん……」

柑奈「前々回の菜々さんはもっとグロッキーでしたけど」

紗南「菜々さん……」


七海「今回は陸からのスタートれすから、比較的平和な収録になりそうれすね~」

紗南「よ、よろしくね……」

柑奈「さて、それじゃあ早速お目当ての食材を求めて歩きましょうか!」

紗南「ところでここはどこなの?」

七海「A県では有名なお魚の市場れすね~。青果なんかも売ってるんれすけど、やっぱりここに来たら食べずに帰っちゃ行けないのはお魚れす!」

柑奈「この時期だと牡蠣が多く並んでますけど、お目当てはこれじゃありません! 食べたいですけど!」

紗南「ち、力強いね……確かに牡蠣が美味しそうだけど、今回は何を求めてきたの?」

七海「ふっふっふ、今回は養殖が盛んなお魚の中でも最高級のお魚れす!」


紗南「養殖なの?」

柑奈「おっと紗南ちゃん、養殖だからと侮ってない?」

紗南「い、いやいや! そんなことはないんだけど……ここ港で市場でしょ? それだったらてっきり水揚げされたばかりのものかと……」

七海「確かにちょっと勘違いしちゃう場所れすけど、今回の食材は出回ってる9割くらいは天然じゃないんれすよ~」

紗南「えっ、そんなことあるの?」

柑奈「ありますよー。しかもこの養殖は味が安定していて美味しいんです♪」

紗南「へぇ……ちょっとワクワクしてきた!」

七海「それはよかったれす! それじゃあ早速組合の人と合流しましょう~!」


七海「あ、組合員さんがいましたよ~」

組合員「これはこれは七海さん! お久し振りです!」

七海「3ヶ月ぶりくらいれすかね、お久し振りれす~!」

紗南「……すごい親しそうなんだけど」

柑奈「この番組以外にも七海ちゃんはお魚系の番組に引っ張りだこですからね。行く先々で知り合いの漁師さんとか組合の人とかと仲良くなってるみたいです。七海ちゃんが行ったことがない漁港の方が少ないんじゃないかな……?」

紗南「七海ちゃんはアイドルだよね?」

七海「調子はどうれすか~?」

組合員「稚魚の捕り合いがヒートアップしてますよ。厄介なもんです」

七海「外国なんかじゃ串焼きの露店が増えてるみたいれすからね~。完全養殖の目標は確か2020年頃れしたか。そこまでなんとか持つといいのれすけど、稚魚の不正取引は横行はとめられてないのが現状れすもんね~」

紗南「アイドルだよね?」


七海「さてここで問題れす!」

柑奈「じゃじゃんっ!」ジャカジャン!!

紗南「今の会話聞いた後だと答えられる気がしないよ」

七海「こちらの組合員さんは何の養殖を専門にしているのれしょ~か!」

紗南「……え?」

柑奈「シンキングタイムスタート!」ポロロロポロロロポロロロ

紗南「…………」

組合員「なんでしょう?」ニコニコ

紗南「……う、鰻……」

七海「正解れす!」

柑奈「おめでとー♪」ジャジャジャーン!!

紗南「そりゃわかるよ!! こんな服着られたらさ!!」
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組合員「というわけで、今回はこちらの鰻をご用意しました」ニョロニョロ

七海「わ~! これまた立派な青鰻れすね~!」

組合員「数が少ない分頑張りましたよ!」

紗南「青鰻……? 青いの?」

七海「背中が青みがかってお腹が白いのが特徴で、この美しい色味を持ってるのが青鰻なんれす~」

柑奈「確か……出回ってる鰻の数パーセントくらいしか見られないんですよね」

紗南「そうなんだ! すごいね!」

組合員「いやぁ……」テレテレ

七海「照れてないで案内してください~」

紗南「辛辣だね!?」


……養殖場……


紗南「……養殖ってさ。こう……海の上に四角い枠があって、その中でやってるイメージだったんだけど」

柑奈「ここはハウス式ですね。加温なんかの調整が出来るから便利らしいですよ! 外から見るとビニールハウスみたいだから、まさか魚の養殖池があるとは思わないですよねー♪」

紗南「柑奈さんまで詳しい……」

柑奈「伊達にレギュラーじゃないということさー♪」スッスッ

紗南(流石に養殖池の近くまでギターは持ってこないんだ、と思ったらエアギターし出した……)

組合員「これが捕獲してきたばかりのシラスウナギです」ニョロニョロ

紗南「うわっ、ちっちゃい!」

七海「ウナギ養殖は稚魚を捕ってからのスタートれすからね。これが捕れないと始まらないれす」

組合員「個体差はあれど、ここから大体半年から2年程度育てて出荷します」

紗南「意外と出荷時期はバラバラなんだね」

組合員「なので1年を通して美味しいものが出せますよ!」

七海「それではこれが大きくなったらどうなるかを見てみましょ~」

組合員「そうですね!」

紗南「組合員さんに進行させてあげてよ!」


七海「ちょうど餌やりのタイミングれすかね」

組合員「はい、もうすぐ餌を持った職員が来ますよ」

紗南(先読みしてるよ……)

職員「七海さん、お疲れ様です!」

紗南(職員にまで認知されてるよ……)

七海「餌やりご苦労様れす~」

柑奈「見学させていただきますね♪」

職員「はい!」

紗南「よ、よろしくお願いしまーす!」

職員「じゃあ餌やりますね!」

紗南「バケツに餌らしきものが押し入れられてるね」

柑奈「掬って少しずつ投げ入れるんですかね?」

七海「……お2人共、鰻って結構な悪食というか、肉食なんれすよ。シャコとかカニとかエビとかで釣れるくらいに」

さなかんな「「?」」

七海「目をそらしちゃ駄目れすよ」


職員「それっ」ポーイ

柑奈「えっ」

紗南(中身全部ぶちまけた!?)

柑奈「そ、そんなざっくりでいいんですか……?」

紗南「塊のままだけど……」

職員「大丈夫ですよ。あっという間ですから」

柑奈「あっという間……?」

バシャッ……バシャバシャッ……

七海「始まりましたよ~」

紗南「始まったって、何が……」


バシャバシャバシャバシャバシャバシャ!!
ニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロ!!
バシャバシャニョロニョロバシャバシャニョロニョロ!!

※参考映像
https://www.youtube.com/watch?v=VuEc-LI0IHE

さなかんな「「ひぃ!?」」


紗南「ななななななななになになになにこれぇ!?」

七海「餌の取り合いれすよ~」

組合員「養殖の名物みたいなものですね」

紗南「こっ、これが名物!?」

七海「こうやって取り合いになるから餌の食べる量が少しずつ変わって、出荷の時のズレがでてきたりするんれすよ~」

組合員「なので大きさを定期的に計って、成長段階ごとに池を移さないといけないんですよ」

七海「その分だけ愛情がこもっていい鰻ができr」

紗南「そんな平然としないでよ!! めちゃくちゃ怖くて気味が悪いよ!!」


柑奈「…………」ポカーン

紗南「ほら! 柑奈さん固まっちゃったよ!!」

七海「柑奈ちゃん大丈夫れすか~?」ユサユサ

柑奈「……大丈夫なんですけど……この光景、どこかで見たことがあるなと思って……」

紗南「えっ、見たことがあるの……?」

柑奈「そう……そしてそれを今思い出しました」

紗南「……な、何だったの?」

柑奈「これ、もの○け姫のタt」

紗南「アウトーッ!!」


柑奈「だってそう見えませんか? このニョロニョロの激しさ……」

紗南「それ2度と口にしちゃダメだよ!! 仮にも食材なんだからそんな例え使っちゃダメだよ!! 気持ち悪いのはわかるけどさぁ!!」

七海「あんまり気持ち悪い気持ち悪いと言わないでほしいんれすけど」

組合員「インパクトが強すぎましたかね」

紗南「夢に出るレベルだよ!!」


七海「それでは実食に移りましょ~」

紗南「食欲減退させてからこのコーナーに行くの……?」

柑奈「基本はゲストが船酔いするのもお構い無しな番組ですから」

紗南「鬼!!」

七海「流石に鰻は捌けないので職人さんをお呼びしてます~。職人さん、よろしくお願いしますね~」

職人「よろしくお願いします」

紗南「七海ちゃんが調理するわけじゃないんだね」

七海「いつか全ての魚を捌けるようにはなりたいんれすけど、まだ3枚おろししかできないので~」

紗南「さっきまでの進行を見てたら調理師免許くらい持ってそうだったけどね」


職人「氷でしめた鰻を捌いていきます」サッサッ……ダンッ!

紗南「うわ、知ってはいたけど思い切りいいなぁ……」

七海「骨を絶ってからの目打ちれすね。勢いよくやってやらないと逃げられたり後が大変なんれすよ」

職人「……」ガッガッ……ゾゾゾゾゾッ

七海「おお~、素晴らしい手際れす!」キラキラ

柑奈「すごい、あっという間に開いちゃいました……あっ、もう骨までとって……」

紗南「本当に職人技だね、スピード勝負って感じ!」

七海「いつか私もこの域に達したいものれす……」

紗南「再三確認するようで悪いけど、七海ちゃんは本当にアイドルなんだよね?」

七海「別部署の葵ちゃんは基本何でも捌ける腕前を持ってるんれすけど」

紗南「……そうだった、うちの事務所には規格外の技術持ってる人がいたね……」


職人「では、串を打って焼いていきますね」スッスッ

柑奈「そう言えば修行の年数を表す言葉がありましたよね……桃栗3年柿8年のような……」

紗南「確かに似てるけれども」

七海「串打ち3年裂き5年焼き一生……れすね。裂きは8年とも言われますが、それだけ険しい道なのれす」

紗南「一生修行……奥が深いんだね……」

柑奈「一朝一夕では身につかない……それはどの分野でも同じことではありますが、果てがないと断言していながらそれを追う姿は素晴らしいものですね♪」スッスッ

職人「ありがとうございます」


職人「たれは秘伝のものを使用させていただきます」ジュワァアアアアア……

紗南「うわぁいい匂い……お腹鳴りそう……」エヘヘ

七海「ここで豆知識なんれすけど、秘伝のたれって継ぎ足ししていくのが普通じゃないれすか」

紗南「そうだね。鰻だけじゃなくて色んなところはそうやって聞くけど……」

七海「不衛生だとか腐敗してるとか、危ないと思いませんか? 何十年も前のたれが混ざってるかもしれないんれすよ?」

紗南「……そう言われると」

七海「実際危なくはないんれすよ。醤油とか塩とか、元々腐りにくいものでたれはできてるんれすけど……一番の理由はあれれす」

職人「この工程ですね」ジュワァアアアアア……

紗南「……焼いた鰻をたれに漬けること?」

七海「高温の炭で焼かれた鰻をすぐにたれに入れると、鰻の熱さがたれの殺菌になるんれすよ~」

紗南「アイドルの口から聞くことはなさそうだった豆知識ありがとう」


職人「完成です」ジャーン

さななみかんな「「「わー!!」」」

職人「折角A県に来ていただいたので、今回はまぶし丼にしてみました」

紗南「まぶしどん?」

七海「ひつまぶしのことれすね~。この地方の郷土料理で、A県の鰻屋さんならどこにでもあるようなメニューれす」

柑奈「ここらでは有名なあの味噌カツのお店も「かつまぶし」なんてメニューを出したこともあるし、まぶし丼はソウルフードなんだね」

七海「それじゃあ組合員の方々と一緒にいただきましょ~!」


……鰻養殖組合の食堂……


七海「それでは皆さん準備できましたね~? では……いただきま~す!」

さなかんな「「いただきまーす!」」

組合員たち「「「いただきます!」」」

紗南「朝ごはん早かったからもうお腹ペコペコだよ! じゃあ早速……」

七海「ストップ!」

紗南「んん!?」ビクッ

七海「郷に入っては郷に従え……れす! ここでひつまぶしの一般的な食べ方をマスターしてから食べたいと思うのれす!」

紗南「ええ……普通に食べちゃダメなの……?」

柑奈「まあまあ、折角だからね?」

紗南「……うう、早めに済ませてね?」

組合員「では僭越ながらわた」

七海「まずお櫃にしゃもじを縦にいれまして~」

紗南「せめて組合員さんに喋らせてあげてよ!!」


組合員「で、では改めまして……お櫃に入ったまぶし丼をしゃもじで十字に切ってください」

紗南「十字に……」セッセッ

組合員「この4分割されたまぶしをお椀によそってください」

柑奈「よっ、と」ヒョイッ

組合員「このように4回に分けて食べきっていきます。しかしこれをただ食べるのではなく、1杯目はそのまま。2杯目は薬味を乗せて。3杯目は薬味とだしをかけてお茶漬けに。最後の4杯目は気に入った食べ方で召し上がっていただく……これがひつまぶしの一般的な食べ方です」

柑奈「薬味にはネギとワサビを用意してもらいました♪」

紗南「ということは……1杯目はこのまま?」

七海「はい~」

紗南「じゃあ改めて……いただきます!」


紗南(蒲焼みたいな迫力は無いけど、この鼻を抉るような強烈な香り……食べる前から美味しいってわかっちゃう……)

紗南(ちょっと身をほぐして一口……うわっ、ホロホロと身が崩れるっ! どれだけジューシーなんだろう……!)

紗南「…………あむっ!」パクッ

紗南「っ!!」

紗南(何だこれ、何だこれ……! パリッパリの皮にカリッとしたの身の表面、その中から溢れ出るふわっとした白い身! 鰻はたれの味だなんて言うけど、これはしっかりと鰻の旨みが脂から感じられる……!)ハフハフ

紗南(焼きの時点であんなに脂を落としていたのに、崩した身からでも感じられるこのジューシーさ! それでいてくどさが無いし、たれと相まって絶妙なバランスを保っているっ!)

紗南(ただ、一番強烈に驚いたのはこの皮っ!)パリッ

紗南(安っぽい鰻だと皮は分厚いしブヨブヨしてるしで存在価値を感じないのに、この皮はその真逆! たっぷりの身を乗せた皮はこれでもかと薄くて、身の主張を妨げない! この皮がなくちゃこの鰻の良さは半減しちゃう!)

紗南「……おいひぃ……」モグモグ

柑奈「……はぁ……この鰻のために生きてきたんだなって……」モグモグ

七海「幸せれす~」モグモグ


紗南「それじゃあ次はワサビとネギを乗せて……いただきます!」パクッ

紗南(その瞬間、口の中に2度目の衝撃が走る)

紗南(ワサビが消えた。いや、確かにワサビの風味は残っているけれど……大半が脂に打ち負かされた! お寿司なんかでも脂が多いものはワサビを沢山つけても平気だって言うけど、これはまさにそれっ!)

紗南(さっぱりとした風味に変えてくれるけれど、主役はあくまで鰻ということがしっかりわかる! わさびに負けてしまうビジョンは見えない!)パクパク

紗南(そこにダメ押しかとネギがきた……ほんの少しだけ乗せたネギがいいアクセントになる……! これもまた鰻特有のくどさを解消する1つのキーアイテムだっ!)

紗南(これだけジューシーだと脂にやられて食べきれないかもしれない、なんて不安はあっさり消し飛ばされるっ!)モグモグ

紗南「ワサビって凄いんだね……」プハァ…

柑奈「普段ワサビを付けない人でもこれには付けちゃいますよ……」ハフゥ…

七海「白焼きにはしょうが、蒲焼にはワサビ……思いついた人は天才れすね~」


紗南「3杯目はだし茶漬け……たっぷりかけちゃっていいの?」

組合員「それこそお茶漬け感覚でドバドバと」

紗南「なるほど……」

紗南(急須に似た陶器でだしを回しかける。そのダシに浮かび上がる良質な脂たち……キラキラと輝くその姿はクリスタルみたいだ……)

紗南「……いただきますっ」ズズッ

紗南(3度目の衝撃っ! 思わず全部かき込んでしまいたくなる衝動っ!)

紗南(今まで食べたことのないような鰻の上品かつジューシーな脂、脂に残る僅かなくどさを打ち消して鰻の旨みを引き立てる薬味……そして、これらの要素をまとめあげるこの悪魔的なだし!)

紗南(多分だしは鰹節か何かから取ってるんだろうけど……問題は何のだしかっていうことじゃない! これをお茶漬けにしてしまうという罪深さが問題なんだっ!)ズゾゾッ

紗南(身、皮、たれ、脂、薬味……この要素を混ぜ合わせるのはあくまで噛んで味わった時。口の中でハーモニーを感じていたのが1杯目と2杯目……だけどっ! この3杯目はそのハーモニーが既にお椀の上に完成されているっ!)

紗南(だしを啜った瞬間、味わうという過程もなく完成された鰻の魅力が爆発するっ!)ハフハフ

紗南「……おいしい~!!」

七海「なんか紗南ちゃんの方がレギュラーみたいれすね~」


紗南「あっ、もう最後の1杯になっちゃった……」シュン…

柑奈「味が毎回変わって飽きが来ないからあっという間ですね!」

七海「それじゃあ最後の1杯は……」



紗南「お茶漬け!」
柑奈「薬味で♪」
七海「そのままれすね」



紗南「あはは、揃わないねー!」

七海「お好みれすからね~」

柑奈「それじゃあ最後の1杯を……食べる前に! 恒例のコーナーいっちゃいましょう♪」

紗南「……恒例のコーナー?」


七海「「七海の一品クッキング」の始まりれす~!」

柑奈「今回の食材を使って七海ちゃんがお手軽にできる一品を作ってくれるこのコーナー!」

紗南「今それを挟むの!? ひつまぶし冷めちゃうよ!?」

七海「大丈夫れす! 2分もかかりません!」

紗南「短っ!!」

七海「鰻の処理はまだできないので、あらかじめ職人さんに鰻を白焼きにしてもらったのれす! 時短れすね!」

職人「はい、こちらが鰻の白焼きです」

紗南「手際いいね……」


七海「それじゃあまずはこのキュウリを薄切りに~」ダダダダダダダ

紗南「何その速さ!?」

七海「料理は得意なんれすよ~」ダダダダダダダダ

紗南「鰻捌けないの嘘なんじゃないのって疑いたくなる包丁さばきだね……」

七海「薄く輪切りにしたキュウリを塩もみした後に水気をギュッと絞るんれすけど、時間の都合上あらかじめ塩もみして水気を切っておいたのがこれれす!」バーン!

紗南「だったらさっきの包丁パフォーマンスいる!?」

七海「これと一緒に職人さんが切ってくれた数センチ幅の鰻と一緒に器に乗せて~、ここで七海ポイント!」サッサッ

柑奈「よっ!」ジャジャン!!

紗南「柑奈さんはその役でいいの?」

七海「お酢と薄口醤油と味醂を混ぜて三杯酢を作るんれすけど、ここにちょっと白だしを隠し味でちょろっと!」

柑奈「白だしがなければ味の素なんかでもOK!」ジャカジャン!!

七海「これを鰻とキュウリにそっとかけて……すりごまをまぶせば……はい! うざくの完成れす!」

紗南「……うざく?」

柑奈「鰻をザクザクきった酢の和え物、という所が語源だと言われる料理ですよー♪」


七海「さあさあ紗南ちゃん、あ~んして~」

紗南「あ、あーん!? いいよ自分で食べ」

七海「あ~ん」

紗南「だ、大丈夫だって」

七海「あ~ん」

紗南「…………あ、あーん……」

七海「は~い」

紗南「あむ……むぐ」モグモグ

七海「どうれすか~?」

紗南「…………冷たいキュウリの歯ごたえの中に、パリパリに焼かれた鰻の暖かさと旨みが確かにあって……単なる酢の物を超えてる美味しさがある……こんな豪勢な副菜があっていいのかなってレベルだよ……」モグモグ

紗南「おいしい……!」

柑奈「おいしい頂きましたー♪」ジャジャジャーン!!


柑奈「それじゃあ最後の1杯を食べて締めましょうか。ワサビっ、ワサビっ♪」

七海「柑奈ちゃんはワサビがお気に入りみたいれすね。七海は鰻の味をそのまま~」

紗南「あたしはお茶漬けに衝撃を受けたからこれ!」

七海「それじゃあ最後の1杯を~」

さななみかんな「「「いただきまーす!!」」」


……完食……


さななみかんな「「「ご馳走さまでしたー!」」」

紗南「こんなおいしい鰻初めて食べたよ……」

柑奈「私も久々の鰻に満足です♪」

七海「こうやって年中美味しい鰻が食べられるのはいいことれすね~」

組合員「シラスウナギの状況次第ですが、今後もこうやって鰻文化が廃らないように頑張っていきたいと思います」

紗南「頑張ってください! またこの鰻食べたいから!」

七海「こう言われては頑張らないわけにはいかないれすね~! 組合員さんたち、これからも頑張るれすよ~!」

組合員「「「おーっ!!」」」

紗南「七海さんはそっち側でいいの?」


七海「それじゃあそろそろお別れの時間れす~」

紗南「そう言えばこれテレビ番組だったね……鰻の美味しさにすっかり忘れてた……」

柑奈「大丈夫! 紗南ちゃんは良い画を沢山くれたみたいですし♪」

紗南「そうなの? 自信ないんだけど……」

七海(あれだけ美味しそうに食べられたら撮れ高はばっちりれすよね~)ヒソヒソ

柑奈(お茶の間のお父さんたちが鰻を買いに飛び出してもおかしくありませんよねー♪)ヒソヒソ

紗南「?」


七海「それじゃあ最後は恒例のコーナーでお別れれす~」

紗南「まだコーナーがあるの?」

七海「今日1日のロケで得られたインスピレーションを元に、柑奈さんが即興でエンディングを歌ってくれるんれす~」

紗南「何だろう。すごい技だと思うのに嫌な予感がする」

柑奈「~♪」←チューニング中

七海「因みにラブ&ピースは含まれないことがあるそうれすよ」

紗南「嫌な予感が確信に変わりつつあるんだけど」

柑奈「出来ましたー♪」

紗南「うわあ不安を煽る完成速度」

七海「それでは柑奈さんどうぞ~」

柑奈「それでは聞いてください……有浦柑奈で「にょろろめ姫」」ポロローン

紗南「カメラ止めて!!」


……数週間後、事務所……



『ダメですか? 「にょろろめ姫」』ポロローン

『相手が強大すぎるから!!』



紗南「うわぁ……本当に放送してるよ……」

比奈「この番組は相変わらず攻めてまスねー」

紗南「チキンレース的にはアウトもアウトだよ」

奈緒「この番組よく続いてるぜ……あたしがゲストの時はカツオがメイン食材だったんだけど、その時の柑奈さんが歌おうとしたメロディーは完全にサザ○さんだったぞ?」

紗南「喧嘩を売る相手の規模がでかい!」

奈緒「ていうかタイトル「カツオくん」だったし」

紗南「ほんとよく潰れないねこの番組!!」

比奈「……次に私がゲストになったらディ○ニーの曲をリクエストしてみるとか」ウズウズ

さなお「「絶対ダメ!!」」


以上です。確定チケットで出たアイドルで書こうと思ったら紗南ちゃんでしたのでいつも通り? ななな部署でした。

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