時子「アァ? 血糖値が高いですって?」 (38)

【モバマスSS】です


――――プロダクション、事務室

時子「一体誰の話をしているのよ。まさか法子……な、わけはないわね」

ちひろ「ええ、普段からよく甘いものを食べている子で、かな子ちゃん以外の子はこういうことで問題が出たことはありませんよ」

時子「だったら誰の」

ちひろ「時子ちゃんです」

時子「……は?」

仁奈「……スゥ……スゥ……」ギュ

ちひろ「この前の健康診断ですが、時子ちゃんの結果を確認したところ血糖値が……」

時子「……冗談ではなくて?」

ちひろ「こちらが結果の書かれた紙になりますが、確認されますか?」ピラッ

時子「寄越しなさい」パシッ

時子「……」ジーッ

時子「……どうやら嘘ではないようね」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1480798559

※財前時子様
http://i.imgur.com/j3cjKGA.jpg

※千川ちひろ
http://i.imgur.com/TjheXoP.jpg

※市原仁奈
http://i.imgur.com/eCbjAni.jpg


ちひろ「半年前の健康診断の時より血糖値が倍近くなっていますし、コレステロール関連の数値も少々……」

仁奈「んぅ……」ギュゥ

時子「チッ、私としたことが……」クシャ

ちひろ「それで、こうしてお話を聞いているのはあまりにも急激な変化ですので、なにか理由があるのかと気になったもので」

時子「理由、ねぇ」トントン

ちひろ「私はあくまでアシスタントですから、アイドルの皆さんの趣味嗜好に深く踏み入るつもりはありません」

ちひろ「ただ、あまり体に悪いことをされていた場合には流石に注意させて頂くこともありまして……」

仁奈「……スゥ……スゥ……」

時子「まぁ、理由なら簡単に思い当たるけど、それよりまずちひろ」

ちひろ「はいなんでしょう?」

時子「さっきから気になっているのだけど、貴女の膝の上で眠っているそれはなんなの?」

仁奈「……ふぁ……」ギュッ

ちひろ「え? 仁奈ちゃんですが……」ナデナデ

時子「どういうことなのか説明しなさい。貴女、いつから仁奈専門の子守りになったのかしら」


ちひろ「そういうわけではありませんよ。ただ最近仁奈ちゃんが妙に甘えてくるようになりまして」

時子「……最近?」ピクッ

ちひろ「ええ。最初は勉強やレッスンの成果を見てほしいというお願いくらいだったんですが……」クビカシゲ

ちひろ「2週間ほど前から一緒に寝てほしい、部屋に来てほしい、膝に座らせてなどかなり私に密着するようなお願いが増えまして」

時子「……2週間前……」

ちひろ「私の立場上、あまり一人のアイドルに深入りするのはマズイのですが、仁奈ちゃんが相手だとなぜか抵抗出来なくて……」

時子「あら、貴女仁奈に対しては甘いっていう自覚がまだないの?」

ちひろ「どういう意味でしょう? そんなことはない……はず……ですが」

時子「ククッ、珍しく言葉を濁すじゃない。まぁとりあえず、今もそのお願いとやらを聞いている最中というわけね」

ちひろ「そうです。今日は私の膝の上でお昼寝がしたいと言われましたので……」ナデナデ

仁奈「……んっ……♪」

ちひろ「どうしてなのか本当に謎ですよ。こういう役目はプロデューサーさんがするべきだと思うのに……」ナデナデ

時子(あの手の動きは無自覚のようね……)


ちひろ「ともかく、これで仁奈ちゃんの説明は終わりです。次は時子ちゃんの番ですよ」

時子「いいわ。それで、なんだったかしらね……」トントン

ちひろ「時子ちゃんの血糖値が高くなっている原因ですよ! もう、忘れないでください」

時子「ああそうそう、そうだったわ。ならちひろ、ちょっと私にコーヒーを出しなさい」

ちひろ「はい?」

時子「それで、私の血糖値が高くなっている原因が見れるわよ」

ちひろ「はぁ……分かりました。コーヒーですね?」パチンッ

カチャン!

ちひろ「出しましたよ? それで、これでなにが……」

時子「相変わらずどこから出してるのよ……まぁいいわ。黙ってカップを見てなさい」

ちひろ「カップを……ですか? 特に何もおかしなところは」

のそっ……

ちひろ「!?」

法子「……よしっ」

※椎名法子
http://i.imgur.com/xGu1dDa.jpg


時子「よし、じゃないわよ法子。またドーナツを乗せて……はぁ……」

法子「今回はフレンチクルーラーだよ時子さん!」

ちひろ「えっ、えっ!? 法子ちゃん今どこから!?」

ちひろ(私が気づけなかった……!? そんな……!)ガタンッ

仁奈「……んぅっ……?」

ちひろ「あ、ごめんね仁奈ちゃん。なんでもないから」ナデナデ

仁奈「……えへぇ……」スヤスヤ

法子「ねぇねぇ時子さん、ちゃんとドーナツ食べてよー」

時子「うるさいわね。後で片付けるからもうどこかに行きなさい。話の邪魔よ」

法子「むぅ……そんなこと言って、食べないきでしょ」

時子「あら、私を疑うの?」

法子「そうじゃないけど……うーん……時子さんがドーナツ食べてるとこ見たいし……」

時子「後で見せてあげるからとにかく今は部屋の外に行きなさい。いいわね? これ以上は躾けるわよ」パシッ


法子「しょうがないなぁ時子さんは。いいよ、でもちゃんと絶対後で食べてよ! 約束だよ!」

時子「いいから早く出なさい」

法子「はーい」スタスタ

パタンッ

時子「今日これで9個目よまったく……で、以上が私の血糖値が上がった原因よ、わかったちひろ?」

ちひろ「は、はぁ……ええと、どうしたんですか?」

時子「こっちが聞きたいくらいよ。法子は前からドーナツを勧めてくることがあったけれど、ここ最近、特に酷くなっているわ」

ちひろ「酷く、ですか……そういえば法子ちゃん、どこか様子がおかしかったような」

時子「2週間前から私がなにか食べようとする度、法子がどこからか現れて食べ物にドーナツを乗せていくのよ」

時子「それだけじゃない。ここ1週間は水を飲もうとするだけでもドーナツを渡してくるし……」

ちひろ「水を飲もうとしただけでもですか……けど、別に渡されただけなら食べなくていいのでは?」

仁奈「……スゥ……スゥ……」

ちひろ「それこそ、貰ったドーナツを誰かにあげてしまうとか……仁奈ちゃんとか小さい子達に」


時子「そうしようとしたら、あの子泣きそうな顔で止めに来るのよ。しかも信じられない力でね」

ちひろ「ふむ、それはまた法子ちゃんにしては不思議ですね」

時子「正直、今の法子からはドーナツを貰っても鬱陶しいだけよ」ハァ

時子「あの子、みんなと食べるドーナツが最高に美味しいとか言って笑っていたのに、ここの所そうじゃないのよ?」

時子「口調こそ明るいけど、まるでなにかに取り憑かれたみたいに私にドーナツを食べさせようとして……」トントン

時子「仲の良かった子達とも向き合わず、私にだけドーナツを渡してくるなんて異常にもほどがある」

ちひろ「時子ちゃんだけにですか……」

時子「あの子は大勢にドーナツを振る舞って、ニコニコ楽しそうにしてればいいのよ。それを馬鹿みたい私にだけ構って」トントン

時子「このままつまらない子になるなら、私も対応を変えざるを得ないわ。だからどうにかしなさい、ちひろ」

ちひろ「つまりそれは、法子ちゃんを以前の、時子ちゃんも好きな状態に戻せということでしょうか?」

時子「そうすれば私の体の状態も元の素晴らしいものに戻るでしょう? あと、別に以前の法子も好きというわけではないわ」パシッ

時子「そこを勘違いしてはだめよ。今よりは大分マシというだけで、心配もしていない。あくまで私のためよ、いいわね?」

ちひろ「そうですかそうですか」ニコニコ


時子「……なんなのかしらその顔は。躾けるわよ」ヒュ……

ちひろ「仁奈ちゃんに当たったらどうするんですか」パチンッ

シュン……

時子「チッ……! 分かってはいたけど、鞭を消すのはやめてくれないかしら」

ちひろ「すみませんね。今は仁奈ちゃんがいますから」

仁奈「……ん……ちひろ……おねーさん……♪」スヤスヤ

時子「……それもそうね、少し配慮が足りなかったわ……一先ずこの借りはいつか返すとして、ちひろ、どうなの? 法子は……」

ちひろ「それなんですがね時子ちゃん。今のお話を聞いて、私の方でも気になったことが出来まして」

時子「法子と仁奈の様子が変わった時期が一致していること?」

ちひろ「ああ、やっぱり時子ちゃんのほうでも気付いていましたか。それで実はここからは機密事項なのですが……」

時子「他にも2週間前から様子が本格的におかしくなり始めた連中がいるってとこかしら」

ちひろ「話が早くて助かります。報告があるのは世界各国からなんですが……アイドル達の中からも報告があがっていまして」

時子「……世界規模で人間の様子がおかしくなっているということ?」

ちひろ「はい。それまで普通だった人々が、2週間ほど前を境に、ある特定の行動や物、または人物に固執し始める……」カタカタッ


ちひろ「そういった事例が数多く私の元に報告されています。そしてそれは……」グルッ

時子「法子や仁奈の状態にも当てはまるってことね」ジーッ

時子「それにしてもこのパソコンに表示された報告書の内容、貴女が動く案件だと思うのだけど、今までなにをしていたの?」

ちひろ「その……5th Anniversaryやクリスマスイベント、それに年末へと向けた企画準備などで手が回らず……」

時子「……確かに横から見ていても貴女が忙殺されている姿は分かったもの。正直とても珍しかったわ」

ちひろ「報告を受けていても固執している事以外では皆さん通常通りの振る舞いでしたから、対応が後回しになってしまったんです」

時子「けれど、仕事も一段落したようだし、そろそろ動くべきではなくて? ……いえ、すぐに対応しなさい」

ちひろ「そうしたほうがいいみたいですね。なにか、これ以上放っておくと危険な感じもしますし」

時子「私もそんな予感がしているわ。だからこそちひろ、なんとしてでもこの奇妙な現象を解決なさい」

ちひろ「ええ、分かりました。ではさっそく……」スッ

時子「って、ちょっと待ちなさい。まさか仁奈を連れて行くつもり?」

ちひろ「ええと、実は今の仁奈ちゃん、私から少しでも離れるとすごく泣いちゃうんですよ……だからその……」

時子「……こんな時なんとかするためにいるのが豚じゃないの?」


ちひろ「プロデューサーさんはその……他のアイドル達に対応をしないといけなくて……」

時子「ああ……納得したわ。仕方がないわね。それに貴女なら仁奈を危険に晒すことがないでしょうし」

ちひろ「勿論です。だから私はこのまま調査に行きますので、なにかありましたらご連絡下さい。では、失礼します」ペコリッ

シュン!

時子「……行ったわね。はぁ……それにしてもこの私が健康診断に引っかかるなんて……」トントン

ガチャ

法子「お話終わった?」ヒョコ

時子「なによ法子。どうして戻ってきたの」

法子「え? やっぱり時子さんがちゃんとドーナツ食べてくれるか気になったから!」

時子「……貴女ねぇ」


法子「ってあーっ! やっぱり時子さんドーナツ食べてない! 駄目だよちゃんと食べてっ!」

時子「……あのねぇ法子、私は」

法子「食べて時子さん」

時子「だから私は」

法子「食べて」

時子「話を」

法子「……食べてくれないの?」グスッ

時子「……チィッ! 食べればいいんでしょう食べれば!!」パクッ

法子「……わーい♪」

時子(とにかく早くなんとかしてきなさいちひろ! でないとそろそろ本当に鞭が限界なのだから……!)モグモグ


――――翌日、プロダクション、事務室

時子「……うぷっ」

シュン!

ちひろ「ただいまもどり――大丈夫ですか時子ちゃん?」ストッ

時子「昨日は特に酷くドーナツを食べさせられてもう限界よ……それで? 法子達がおかしくなった原因は分かったの?」

ちひろ「はい! 元凶が分かりましたし、昨晩の内に処理してきました。もう皆さん今日中には元通りになるはずです!」

時子「……さすがよ。それで仁奈がもう離れているのね」

ちひろ「そういうことになります……」

時子「クククッ……しばらくべったり引っ付かれていた分、貴女でも寂しいと思うことがあるようね」

ちひろ「えっ? いえ、あの、違いますから……違いますよ?」アセアセ

時子「はいはい。それで、結局原因はなんだったの」

ちひろ「今回の事象は、ある製薬会社が一つのウイルスを作ったのが原因でした」

時子「……法子達がおかしくなったのは、ウイルスのせいってこと?」

ちひろ「はい。そのウイルスに感染した人物はある一つの存在に対して異常な反応を見せるようになります」


ちひろ「具体的には、それまでの生活で特に好ましく思っていた存在に対しての執着心や独占欲が強化されるようですね」

時子「……なるほど、それで?」

ちひろ「感染後の症状はおよそ三段階に分かれ、症状が最終段階になると、固執していた存在を自らに取り込もうとまでします」

時子「取り込むって、どうやって」

ちひろ「それは、まぁ、口から」

時子「……もういい、分かったわ。質の悪いゾンビ映画みたいなことが起こりかけてた訳ね」ハァ

時子「でも、そんなことをして、その製薬会社にはなんの得があったのかしら」

ちひろ「実は、今回の件はその会社にとっても事故だったらしく、世界中にばらまかれたウイルスも未完成だったと聞きました」

ちひろ「このウイルスが完成していた場合、対象の人間を自由自在に一つの物事に熱中させて操ることも可能だったとか」

ちひろ「しかも身体能力を含めその人間のあらゆる能力を高めて操れるようになるとのことで、完成していれば危なかったです」

時子「……どう危ないのかしら」

ちひろ「要するにこれを使えばガチャを回すことを永遠の喜びとする人も、戦争で相手を倒すことを至上とする人も」カタカタ

ちひろ「一人の人間に奉仕するだけを生き甲斐とする人も簡単に作れたというわけですね」グルッ


時子「これがそのウイルスのデータね……なんともつまらないものを」パシッ

時子「人を奉仕させたいのなら、まず自らが奉仕されるべき存在になるべきよ、私のように」パシッ

時子「それ以外の利用方法も気に食わないわ。ウイルスの力で下僕を作ることになんの価値があるのかしら」

ちひろ「下僕……まぁ、そうともいえますか。でも私も、時子ちゃんと同意見ですね」

ちひろ「人間がこんな物で人間を操ろうとするから、制御しきれず事故を起こすんです」

時子「あら……でも、貴女ならこういう道具も割りと喜んで使うと思っていたのだけれど?」

ちひろ「確かにこのウイルスがアイドル達の誰かが作った物だったり、私の意志で作った物なら話が変わりますけど……」

ちひろ「そうでない者達が勝手に作った上、これのせいで仁奈ちゃんを含めた大勢の人が悪影響を受けたんですよ」

ちひろ「製作者達も含めて、この世に存在させておくべき理由がありますか? ありませんよ」ニッコリ

時子「……それで、処理したと言っていたけれど、ウイルスに感染した法子達はどうなるの?」

ちひろ「それならすでに世界中の飲料水を、一時的にこのウイルスに対する抗ウイルス剤へと変化させました」

ちひろ「水を一滴も呑まない人などでなければ、症状がどの段階にまで進んでいたとしても、皆さん問題なく治るはずです」

ちひろ「本当はウイルスがあった事実自体を変更したかったんですが、そうすると不都合のほうが多くて……」


時子「抗ウイルス剤って飲んですぐに効果が出るものなのかしら?」

ちひろ「正確には抗ウイルス剤というより万能薬ですね。私の作った」

時子「そこまで出来るなら、最初からこういう事が起こらないように出来なかったの?」ギロッ

ちひろ「ええと……私に無意味な物への対策はどうも忘れがちで……すいません」ションボリ

時子「ちゃんと反省することね」

ちひろ「それはもちろん。ともかく、これで今回の事態は解決するはずですので、しばらくしたら時子ちゃんはまた健康診断を」

ドドドドドドッ!!

時子「……なんの音?」

ちひろ「地響きでしょうか?」

ドドドドドドドドドドドドドッ!!!

ガタガタガタ……

時子「揺れているわね……地震かしら」

ちひろ「……いえ、違いますね……時子ちゃん、外を」


時子「なによ」チラッ

ドドドドドドドドドドドドドッ!!!

「「「「「ウオオオオオオオオオオオッ!!!!」」」」」

「「「「「アイドルゥウウウウ!!!! アイドルゥウウウウウ!!!」」」」」

「「「「「アイドル!! クワセロォオオオオオオオオオッ!!!」」」」」

ドドドドドドドドドドドドドッ!!!

時子「……は? なんなのかしら、あ……れ……?」

時子(その前に待って、あの連中の進行方向にいるのは……!)

ちひろ「どうやら……末期状態にまで症状の進んだ感染者の群れみたいですね……あれは私が薬を飲ませる必要がありそうです」

時子「なにか相当物騒なことを言って、ここに向かって来ているようだけれど」

ちひろ「ここの守りは厳重ですから、心配要りませんよ」


時子「そう。なら他の場所にいるアイドルの子達の所に向かったらどうするつもりなのかしら?」

ちひろ「今日はウイルス感染者への対応も考え、特定のメンバーごとに固まるようにお仕事を振り分けまして」ペラッ

ちひろ「その上でそれぞれに信頼出来る護衛を配置しているので大丈夫ですよ」

時子「豚は?」

ちひろ「プロデューサーさんはその中でも一番人数が多いグループと一緒ですね。ここにはいません」

時子「いない……まあいいわ、それで今日事務所に残る予定のメンバーの中に法子はいるの?」

ちひろ「法子ちゃんはウイルスに感染して症状がかなり進んでいた子の一人ですので……はい、います」ペラッ

時子「なるほど……最後にこの事務所に残る予定だった子が外に出ていた場合、護衛はいるの?」

ちひろ「え、それは……って、まさかあそこにいるのって――」

時子「チッ!!」ダンッ!

ちひろ「あ、時子ちゃん!」


――――プロダクション、正門前道路

ドドドドドドドドドドドドドッ!!!

感染者達「「「「「アイドル!! クワセロォオオオオオオオオオッ!!!」」」」」

ドドドドドドドドドドドドドッ!!!

法子「なにあれー!?」タタタッ

法子(ドーナツを買いに行ったら変な人たちがー!)タタタッ

感染者達「「「「「アソコニアイドルダァアアアア!!!」」」」」

法子「来ないでー!!」タタタッ

法子(なんでこうなっちゃったんだろう……昨日まで、時子さんやゆかゆかや、みんなにひどいことしちゃったから……?)タタタッ グスッ

法子(まるで、自分が自分じゃなかったみたいで、昨日まで時子さんに無理やりドーナツ食べさせちゃってたし……)タタタッ

法子(ゆかゆかのお誘いを無視したり、みちるちゃんがパンを食べさせてこようとするのから逃げたりしちゃったし……)タタタッ


法子(そのせいであの人達に追われてるのなら……全部あたしが悪いんだ……)タタタッ

法子(でもやっぱり怖いよぉ……! 助けて……! 助け――)

ガンッ!

法子「あっ!?」ドサッ グシャ

法子「いたた……ああドーナツが……! みんなと仲直りするための……!」グスッ

感染者達「「「「「クワセロォオオオオオオオオオッ!!!」」」」」

法子「ひっ!?」ビクッ

法子「に、逃げなきゃ……でも、体……うごかな……」

ドドドドドドドドドドドドドッ!!!

感染者達「「「「「ォオオオオオオオオオッ!!!」」」」」

法子「……うぅ……ごめんねみんな……ごめんなさい時子さ――」


ズパァアアアアアンン!!!!

感染者達「「「「「ブヒギィイイイイイイイ!!??」」」」」

法子「……へ?」グスッ

時子「貴女って子は本当に……謝る前にまず動きなさい。私がグズを嫌いなのを知っているでしょう?」

法子「時子さん……!? あ、えと……あたし……」

時子「なによ、はっきりしなさい」

法子「あたし……時子さんにも、みんなにもひどいことして……だから、こんな風に助けてもらう必要は」

時子「……はぁ?」デコピンッ

法子「あぅ」バシッ

時子「誰が貴女を助けたのよ。私はただ最近溜まりに溜まっていたストレスを発散するためにここに来ただけよ」ヒュン!

ズパァアンン!! 

感染者達「「「「「プギィイイイイイ!!??」」」」」


時子「アーッハッハッハ! ああ、なんて情けなくて躾甲斐のある鳴き声なのかしら! ……そういう訳だから貴女は関係ないわ」ヒュン!

ズバアアアアアンッ!!!

感染者達「「「「「ギィブイイイイイイッ!!!!」」」」」

法子「でも、あたし……は」グラッ

法子「あれ……? なんだか、フラフラする……」

時子「……貴女は症状が酷かったようだし、まだ体の調子が戻っていないようね。いいわ、無理せず休みなさい」

法子「で、でも……ここで休んだら、時子さんに……迷惑……」フラフラ

時子「……なにを今更なことを言っているの。ここでこれ以上無理されるほうが私には迷惑よ」

法子「うぅ……」ションボリ

時子「……法子、貴女は疲れているせいで悪いことばかり考えるようになっているだけよ。だからちゃんと休みなさい」

法子「時子さん……」

時子「今目の前で見ている連中も、悪い夢のようなもの。一晩ちゃんと寝て目覚めれば、全部普通に戻っているわよ」ヒュパッ!


ズパァアアアアアッ!!!!

感染者豚共「「「「「ブヒィイイイイイイインンッッ!!!!」」」」」

時子「私を信じなさい法子。これまでのように、そしてこれからも!」ヒュパッ!

ヒュパァアアアアンン!!!

感染者豚共「「「「「ブヒィイイイイイッッ!!!!」」」」」

ドサドサドサ……

法子「すごい……!」

時子「いいわね?」

法子「……うん……わかった、とき、こ……さ……」グラッ

ちひろ「おっと」ポスッ

法子「……くぅ……くぅ……」

ちひろ「すごいですね法子ちゃん。この状況で本当に寝ちゃうんですから」

時子「……前にもあった気がするわ……似たようなことが。それより、遅いわよちひろ? なにをしていたの」


ちひろ「ええっとですね……実は世界中の飲料水を万能薬に変化させているのが、思った以上に私の力を削っていまして……」

時子「……それでやれることに制限がかかってるとでも?」

ちひろ「まぁ……そういうことになります。情けない話ですが」

時子「くくっ……ということは、今なら貴女を躾けることも可能ってことかしら……?」ニコォ

ちひろ「ふふっ……面白いことを言いますね時子ちゃん?」ニコォ

時子「……」

ちひろ「……」

ドドドドドドドドドドドドドッ!!!

時子「……アァ?」

ちひろ「おや」

「「「「「アイドルゥウウウウ!!!! アイドルゥウウウウウ!!!」」」」」

時子「ちょっと待ちなさい……こいつらで終わりではないの?」

ちひろ「どうやら思った以上に症状が末期だった人達が多いようですね……」


時子「……仕方がないわね。ちひろ、とりあえずこの豚達にさっさと薬を飲ませなさい。貴女を躾けるのは今日は見逃してあげるわ」

ちひろ「あら、いいんですか?」

時子「優先するべきはあの鬱陶しい感染者達を元に戻すことよ。違う?」

ちひろ「ごもっともです。では、私が倒れた人達に薬を飲ませていきますので、時子ちゃんは襲ってくる人達の相手を頼みます」

時子「いいわ。それとちひろ、法子のこともちゃんと見ておきなさい」

ちひろ「私がですか……?」

時子「あの子が途中で目覚めて豚共を見ないようにしなさいということよ。それくらいは出来るでしょう?」

ちひろ「ええ、もちろんです」

時子「よろしい。さて……」ヒュッ

ドドドドドドドドドドドドドッ!!!

感染者達「「「「「ウオオオオオオオオオオオッ!!!!」」」」」

時子「クククッ……まったく、ここ最近は酷いことが多かったけれど、貴方達のお陰でいい気分になれそうよ」シュルッ

時子「さぁ来なさい……順番に躾けてやるわ!!」ヒュパッ!

ズパァアアアアアンン!!!!


――――翌日、どこかの部屋、朝

法子「…………んぅ」モゾッ

法子「……ときこさん……すごい……えへ…………――うん?」モゾモゾ

法子「……ふぁ……ここ、どこだろう……?」キョロキョロ

法子「……んー……この家具の配置…………あ、分かった、時子さんの寝室だ……わーあ!?」ガバッ

法子「時子さんのお部屋!? ど、ど、どうしてあたし……!? 昨日……あ、そっか」

法子(昨日変なことがあって、時子さんに助けられて? そしたら眠くなっちゃって……)キョロキョロ

法子(時子さん、泊めてくれたんだ……やっぱり優しいな……ところで時子さんどこにいるんだろう?)

『……が……れて』

法子「……音が聞こえる……リビングからかな……」トンッ トコトコ


TV『――続いてのニュースです。渋谷区にて昨日、多数の人々が突然放心状態で現れるという事件がありました』

TV『現れた人々は皆、この世で最も幸福なことをされた気がする……ブヒィや、なぜかは分からないけど幸せですブヒ』

TV『などと意味不明な供述をしており、警察ではさらに詳しく調査を進めていく方針です』

TV『また、この事件に関連して渋谷区で獣のような叫び声を聞いたの他、地鳴りのような音と共に動く集団の目撃情報もあり』

TV『渋谷区に現れた人々となにかしらの関係があるとみて……』

時子「……ん?」チラッ

法子「あ……」

時子「……人の顔を見て唐突に惚けるのはやめなさい法子」

法子「ご、ごめんなさい……えっと、おはよう時子さん!」ニコニコ

時子「……ええ、おはよう法子。もう体調は良さそうね」


法子「うん! もうばっちりだよ、時子さんのベッドで寝てたからかな?」

時子「大げさね。それで、体調が万全になったということは、一昨日まで私にしていたことを反省する余裕も出来たかしら?」

法子「一昨日まで……? ……あっ」ビクッ

法子「えと、時子さんやみんなに、あたし、ひどいこと……」

時子「ええそうね。私に無理やり大量のドーナツ、よくも食べさせてくれたわね」

法子「あぅ……」

時子「だというのに、昨日のこれはなにかしら?」ドサッ

法子「あ、それ! みんなと仲直りするために買ったドーナツ! ころんだ時ぐしゃぐしゃになったと思ったのになんともない……!」

時子(ちひろが元に戻したのだから当然だけれど)

時子「それで、みんなと仲直りするためのドーナツねぇ……つまり、私にはまだ嫌がらせしたりないのかしら?」

法子「そ、そんな……違うよ時子さん!」ブンブン

時子「あら、どう違うというの」

法子「そ、それはゆかゆかやみちるちゃんや、とにかくみんなと一緒に食べようと思ったドーナツで、でも!」


法子「でも、時子さんには、無理して食べてほしくなくて。ただその場にいてあたしのお話聞いてほしくて!」

時子「どうして?」

法子「一昨日までのあたしおかしくて……本当は時子さんにあんなことしたくなかったって言いたくて……言い訳になりそうだけど」

法子「でも、ドーナツはみんなと食べるといっぱい幸せになれるものだって、もう一回時子さんに覚えてもらいたいから、だから!」

時子「……それだと、私は貴女への評価を下げたままにならないかしら」

法子「あたしが時子さんにひどいことをしたのは事実だから……それは仕方ないよ。でも、ドーナツのことだけはまた好きに……!」

時子「……本当に貴女という子は」クスッ

法子「時子さん……?」

時子「そこまでしてドーナツのことを優先するなんてほんと変な子ね。でも、くくっ……本当にもう」

法子「あ、あれ……? あたし、なにかおかしなこと言った?」

時子「ええ、とてもおかしいわね……でも、だからこそ安心したわ。いつもの法子だと」ククッ


法子「時子さんの判断基準って変じゃない……?」

時子「誰のせいよ。けど、一昨日までのおかしな法子じゃないのなら、それでいいのよ」

法子「……もしかして、時子さん……怒ってないの? あたし、ひどいことしたよ?」

時子「あの程度、今まで貴女といて起きた面倒なことに比べたらマシよ。だから気にするまでもないわ。私を誰だと思っているの?」

法子「時子さん!」

時子「……この流れで様をつけないのは本当に大物ね法子」

法子「えへへ……」

時子「褒めてないのだけれど……まぁ、いいわ。ほら、さっさと料理食べなさい」

法子「朝ごはん! 時子さんが作ってくれたの?」

時子「ええそうよ。それを食べて今日一日頑張りなさい、皆と仲直りして、私をドーナツ好きに戻すのでしょう?」

法子「うん! 任せてよ時子さん! あたし絶対、また好きにさせちゃうから♪」

時子「出来るかしらね、アーッハッハッハ!」

――それからしばらくして再度健康診断を受けた結果、時子は血糖値の数値から生活習慣の改善と定期検査の必要がありとの
判定を受けてしまい、法子に謝られるのであった。

〈終〉

バイオハザード映画最新作のPVを見る→デレステに時子様のSRが来てくださる→引く→バイオハザードシリーズのサントラを
聴きながらアイプロ走る→アイプロのエクストラコミュで時子様がドナキチについて言及される→嬉しくてこれが書き上がる
読んでくださった方ありがとうございました

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…うん!時子様はいつもの時子だし、ちひろはいつものちひろの普通のSSだったな(現実逃避)

魔法…普通だな!

ときのりこほんとすこ

おつ


やっぱりお前だったか

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