【ガルパン】西住みほ「行き遅れた」 (67)

――大洗・戦車倉庫――

華「みなさん、こんにちは」

優花里「五十鈴殿、こんにちは!」

みほ「華さん、おつかれさま!」

みほ(華さんが来た。ってことは、いつも10分後だから……沙織さん、練習に間に合うかな?)

――10分後――

沙織「ギリギリセーフ!なんとか間に合ったよ!」

桃「武部!遅い、たるんでるぞ!」

みほ「武部さん、何かあったの?」

沙織「うん。ちょっとクラスで用事があって……」

華「あらあら、沙織さんたら……」

桃「まあいい!早く準備しろ!訓練を始めるぞ!」

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~~~~

桃「よし!これにて今日の訓練は終了だ!」

「ありがとうございました!」

優花里「疲れましたねー!皆さん、この後どうするでありますか?」

みほ「うーん、そうだね……」

沙織「あ、あの!みんな!ちょっといいかな!」

優花里「武部殿?どうしたんですか?」

華「沙織さん……」

沙織「ううん華、みんなには言っておきたいんだ」

華「……わかりました」

~~~~

優花里「ええっ!武部殿と五十鈴殿、付き合ってるんですか!?」

沙織「しーっ!ゆかりん、声が大きいよ!」

優花里「す、すみません……でも、一体いつから?」

沙織「2週間前に、皆で練習試合の打ち上げでカラオケに行ったでしょ?実はあの帰りに……」

華「私から、沙織さんにお付き合いしていただくようお願いしたんです」

優花里「五十鈴殿からですか!?意外です!」

華「そうでしょうか?」

沙織「そりゃ私も最初はびっくりしたけど……華と一緒にいるのは楽しいし、華っておっとりしているようで芯が強くて、そういうところがすごく素敵だと思って……OK、したんだ」

みほ「そう、なんだね……」

麻子「それで、なんで私たちにだけ伝えたんだ」

沙織「うん。やっぱり同じチームの皆には言っておくべきかと思って……あ、もちろん影響が出ないようにするからさ!」

麻子「沙織にできるのか?やっと彼氏……恋人ができたんだろ?うわついて態度に出したりするんじゃないのか」

みほ(まあ、正直薄々気付いてたしね)

沙織「できるよー!それに、麻子だってそど子さんと付き合って1か月だけど、うまくやってるじゃん!」

優花里「そうなんですか!?」

みほ(あ、優花里さんはそっちも気付いてなかったんだ)

麻子「そ、それは今関係ないだろう!」

沙織「麻子にできるんだから、私たちにだってできるってこと!ねー、華!」

華「はい!皆さん、これからも変わらずによろしくお願いしますね」

~~~~

――帰り道――

優花里「いやー、まさかお二人がお付き合いしているとは驚きでした!それに冷泉殿とそど子殿もとは……」

みほ「うん、そうだね……」

みほ(いくらクリスマスが近いからって、最近チーム内でカップル増えすぎだよ……)

優花里「それにしても最近、寒くなってきましたねぇ……西住殿、今度みんなでお鍋でもしませんか?」

みほ「お鍋かぁ……」

みほ(優花里さん、そのモーションは悪手かな。次に来る手もバレバレだよ)

優花里「でも、皆さん付き合い始めですから、呼んでも来ないかもしれませんね……」

みほ「うん、そうかもね……それじゃ優花里さんと二人きりになっちゃうかな」

優花里「わ、私はそれでも一向にかまいません!むしろその方が……」ゴニョゴニョ

みほ「うーん……でもそれじゃさみしいから、他のチームの皆も呼ぼっか?」

優花里「は、はい。そうですよね……」

みほ(ごめんね優花里さん。でも優花里さんは最後まで取っておきたいんだ)

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――みほ自宅――

みほ「はぁ……まさか沙織さんがこんなに早く落ちちゃうとはなぁ。家庭的だし気遣いできるし、けっこう狙ってたんだけど……華さん、狙った獲物は逃がさなかったんだね」

prrrr……

みほ(電話。お母さんから?)

しほ「みほ。元気でやっているの?」

みほ「大丈夫だよ、お母さん」

しほ「……ところで例の件だけど。見つかったの?」

みほ「ううん……まだなんだ……」

しほ「西住の家に生まれた人間は、遅くても18歳までに伴侶となる相手を見付け、20歳で結婚しなくてはならない。この掟、まさか忘れてはいないでしょうね?」

みほ「大丈夫。覚えてるよ」

しほ「期限まであと1年。もし見つからないようなら私の選んだ相手と結婚してもらうから、そのつもりでね」

みほ「うん……わかってる」

しほ「それじゃ。寒くなってきたから体に気を付けるのよ」ガチャッ

みほ「一方的に釘を刺して切っちゃったよ……西住の掟、かぁ」

みほ(『西住流から離れても、西住家の掟は破らない』っていうのが大洗に転校した時の条件……大学選抜戦の時にもお母さんにはいろいろと動いてもらったし、これだけは破れないよね……)

みほ「まあ、見つかりそうになかったら優花里さんでいっか!」

~~~~

――翌日――

みほ「澤さん、ちょっといいかな?」

梓「隊長?どうしたんですか?」

みほ「うん。ちょっと作戦のことで教えておきたいことがあるんだ。今後のチームのこととかも考えたとき、澤さんにいろいろと伝えておきたくって」

梓「私に!?本当ですか、西住せんぱい!?」

みほ「うん。澤さんの指揮官としての才能はすごいと思う。これから私の右腕として、チームの柱になってほしいと思ってるんだ」

梓「せんぱい……」キラキラ

みほ(澤さん、やっぱり。指揮官として素質のある澤さんなら、西住流に入っても十分にやっていけるはず。小動物みたいで可愛いし、健気だし。私が主導権を握れそうだしね)

みほ「それで、よかったら今日の練習の後に私の家で……」

梓「今日の夜……ですか」

みほ「あっ!ごめん!なんか用事があった!?」

梓「はい……実は今日、彼女とデートがあって……」

みほ「ふぇっ!?」

あや「あー、梓、こんなところにいた!隊長!おつかれさまです!」

梓「う、うん。大野さん、おつかれさま」

あや「ほら、いくよ!」ギュッ

梓「あ、あや!そんなに引っ張らないでよー!」

あや「もー!いくら隊長がかっこいいからってあんなにデレデレしちゃってさ!今日の梓の彼女はわたしでしょ!」

梓「あや、嫉妬してるの?」

あや「そんなことないもん!みんなに言いつけちゃうよ!」

梓「ごめんごめん!」

みほ「行っちゃった……みんなに、って、もしかして……」

~~~~

桃「本日の訓練は終了だ!」

沙織「じゃ、みんなお疲れさま」

優花里「お二人で帰られるんですか?」

華「はい」

沙織「皆、ごめんねっ!」

麻子「すまない、そういうことなら私も……」

優花里「そど子殿の所に行くんでありますか?」

麻子「ち、違うぞ。あいつがどうしてもって言うからしょうがなく家まで送って行ってやるだけだ」

優花里「皆さん、行ってしまいましたね……に、西住殿、二人で帰りませんか!?」

みほ「優花里さん、ごめん。私、ちょっと確かめたいことがあるんだ」

優花里「あ、いえ!お気になさらないでください!」

みほ「ごめんね。今度また一緒に帰ろう!」

優花里「行ってしまいました……私も帰りましょうか」

エルヴィン「ぐ、グデーリアン。私と一緒に帰らないか?第二次世界大戦についての書籍がたくさんある本屋を見つけたんだ」

優花里「エルヴィン殿!いいですね、ぜひそうしましょう!」

~~~~

梓「それで、あやったらね……」

桂利奈「あははー!そうなんだー!」

優季「ほんとばかだなー、あやは」

あや「優季ちゃんが言うー!?」

みほ(一見すれば、楽しそうに話しながらただ帰ってるだけ……でも、みんなの手)

桂利奈「それでね!そのときライダーがね!」ギュッ

紗希「…………」ギュッ

あゆみ「へー、そうだったんだね」ギュッ

優季「バターになっちゃうねー」ギュッ

梓「それしゃ皆、今日は私があやと、紗希が桂利奈と、あゆみが優季とだね。じゃ、私たちはここで……」ギュッ

あや「みんな、じゃあね!」ギュッ

みほ(二人組で手を繋ぎながら帰って行ったよ……うさぎさんチーム、最近やたら調子がいいと思ってたらあんなことになってたんだね。とんだテーパイ神聖隊だよ……)

~~~~

――みほ自宅――

みほ「澤さんはダメか……そうなると、次は……」

~~~~

――翌日――

みほ「あの、会長!」

杏「んー、西住ちゃん、どうしたのー?」

みほ「いえ……その、プラウダ戦の時に食べさせてくれた会長のあんこう鍋、すっごくおいしかったので……最近寒くなってきたので、また食べさせてもらいたいなー、と思って」

杏「あー、あれねー。うん、いーよ」

みほ「それに私、どんな状況でも諦めないで大洗の廃校を阻止した会長のこと、すごく尊敬してるんです。できれば私も指揮官としてそういう話を聞きたいなって」

杏「ううん。全部西住ちゃんのおかげだって」

みほ「そんなことはありません。会長がいてくれたからこそみんなの心がまとまって、黒森峰にも大学選抜との戦いにも勝つことができたんです。会長は素晴らしい方です」

杏「西住ちゃん……」

みほ(会長の砲手としての技量、そして何よりそのコミュ力、カリスマ性……お姉ちゃんはコミュ障だし私は引っ込み思案だし、会長が西住家に入ってくれたら鬼に金棒だよ。私に負い目があるから、断りづらいだろうしね)

柚子「会長、ちょっといいですか?」

杏「小山。ごめん、今ちょっと西住ちゃんと話してるから」

柚子「お話し中なんですか……そうだ」ゴソゴソ

みほ(小山先輩、ポケットに手を入れて……)

柚子「それじゃ、私は失礼しますね」カチッ

杏「……っ!んっ!ちょ、ちょっと、こやまぁ……っ」ガクガク

みほ(会長、急に顔を赤くして、息が荒くなって……それに、くぐもったモーター音……)

みほ「会長?大丈夫ですか?」

杏「あ、うんっ……そ、それで、なんの話だっけ、んっ!」ブーン

みほ「えっと、会長はすごい人ですねって」

杏「ありがと……ご、ごめんねぇ西住ちゃんっ……ちょっと、こやまが用あるみたいだったからさ……いくねっ……あ、ああっ!」ビクビクッ!

みほ「は、はい。それでは、練習でまた」

みほ(会長、行っちゃった……もしかして……)

~~~~

桃「本日の訓練は終了だ!」

優花里「西住殿、一緒に帰りませんか?」

みほ「ごめんね。ちょっと今日も用事があるんだ」タタッ

優花里「そうでありますか……」

エルヴィン「ぐ、グデーリアン!私と二人で帰ろう!」

優花里「あ、エルヴィン殿!」

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みほ(その夜私が見たものは恐ろしい光景でした)

みほ(首輪を付け、口にギャグボールを咥えさせられ……そして麻縄で縛られた会長と河嶋先輩が、小山先輩にリードを引かれ校内を四つん這いで散歩させられていたのです)

みほ(さすが、3年生にもなると進んでます)

みほ(小山先輩はいつものように、母性に溢れた笑みをたたえていました)

みほ(縄は表面を炙って痛くないようにしてありましたし、何より縛り方はそう、亀甲縛りでした)

みほ(皆さん、カメさんチームとしての自覚を持ってくれているようで何よりです)

みほ(うさぎさんチームも2年後にはこうなってしまうのでしょうか。私たちが生徒会だと思っていた3人は、とんだ性奴会でした)

~~~~

――みほ自宅――

みほ「はぁ……会長もダメかぁ……あ、お姉ちゃんからメールだ。最近多いなぁ」

まほ『みほ、そっちのちょうしはどうだろうか。こんどふたりでどこかにいかないか』

みほ(お姉ちゃん、エリカさんと小梅さんが付き合い始めてからやたらメールを送ってくるけど寂しいのかな。もしかして……いや、いくらなんでも姉妹でなんて倫理的にありえないよね)

みほ「アヒルさんチームは磯部さんのハーレム状態だし、アリクイさんチームは2次元にしか興味がないし……学校の外に目を向けてみようかな」

~~~~

ダージリン「突然電話なんてしてきて、どうしたのかしら?」

みほ「そういえば、ダージリンさんと二人で落ち着いてお話ししたことがないなぁ、って思って」

ダージリン「そう言われてみればそうね。大洗に戦車道チームができてから最初に戦ったのは私たちだというのに、ゆっくりとお話をしたことはなかったわね」

みほ「はい……そういえばダージリンさんから頂いたティーセット、使ってみたいんですけど紅茶の入れ方とかよくわからなくって……」

ダージリン「あらあら。それは困ったわね。みほさんさえよければ、聖グロリアーナの学園艦でマナーのレクチャーをして差し上げるけど、いかがかしら?」

みほ「ホントですか!ぜひお願いします!」

みほ(ダージリンさんなら指揮官としての能力も申し分ないし、聖グロのOG会ともつながりが作れるし……ダージリンさんの戦い方は西住流にも合うと思うしね。格言がうっとおしいのが玉に瑕だけど)

ダージリン「……そうそう。ティータイムについての知識をいくつか教えて差し上げますわ。ティーポットはね、お湯を一度注いでから……」

みほ「へー、そうなんですかー」

ダージリン「そう。そこでね……あら?ペコ、どうしたのかしら?」

みほ「?オレンジペコさんがそこにいるんですか?」

ダージリン「ああ、気にしなくてもいいわよ。ね、ペコ」

オレンジペコ「は、はい……」

ダージリン「大丈夫よ。ちょっとお紅茶を飲みすぎただけだもの」

オレンジペコ「はい……」

ダージリン「聖グロリアーナの隊長と大洗の隊長が会話中だというのに、聖グロリアーナの次代を担うあなたが席を外して、まさかお手洗いに行きたいなんて言わないわよね?」

オレンジペコ「いえ!そんなことは言いません!」

ダージリン「そうよね。ところでみほさん。時間は大丈夫かしら?」

みほ「大丈夫ですけど……」

ダージリン「そう。それではあと2時間ほどお話しない?」

オレンジペコ「だ、ダージリン様……」

ダージリン「ほらほらペコ。もう一杯飲みなさい?まさか私の紅茶が飲めないなんてことはないでしょう?」

みほ(それから2時間の間、ダージリンさんから紅茶についてのうんちくを聞かされ続けました。ただでさえどうでもいい話だったのに、1時間半ほど経ったところでオレンジペコさんのすすり泣きが聞こえてきて、全然集中できませんでした)

ダージリン「あらあら。こんな粗相をして。我慢の足りないペコにはおしおきが必要かしら。ねぇ?みほさん」

みほ「そうですね。いいんじゃないでしょうか」

ダージリン「そうよね……それじゃ、また会いましょう?」

みほ「はい。それでは」ガチャッ

みほ(はぁ……ダージリンさんも駄目かぁ)

みほ「うわっ。お姉ちゃんからまたメールが来てる」

みほ(初めて行ったカレー屋が美味しかったとか、カラオケが楽しかったとか……誰かと一緒ならもっと楽しいんだろう、って全部書いてあるし)

まほ『やはり、おたがいのことをいちばんりかいできるかぞくといっしょがいちばんおちつくとおもう』

みほ「家族と、かぁ……そういえばお姉ちゃんは見つけたのかな、婚約者」

~~~~

ケイ「HEY、ミホ! This is ケイよ! 何の用かしら?」

みほ「はい!今度ケイさんと食事でもどうかなって思って!」

ケイ「食事?いいわよ!いつ行く?」

みほ「ホントですか!?それじゃ、来週の土曜日のお昼なんてどうですか?」

ケイ「そうねぇ……土曜のお昼なら、2時から3時半までなら空いてるわ!」

みほ「何か用事があるんですか?」

ケイ「12時から1時半まではキャシーとランチ、4時から6時まではメグと映画の約束があるの」

みほ「それじゃ、夜はどうですか?」

ケイ「うーん!夜はアリスとディナーを食べてからバーに行くのよね。雰囲気のいいお店を見つけたのよ……あっ、これは内緒ね!それでそのまま朝まで一緒にいるつもりだから、ミホとデートするのは難しいわね」

みほ「そ、そうなんですね」

みほ(ケイさんも駄目かぁ……)

~~~~

みほ「あっ、カチューシャさんですか?」

ノンナ「いいえ。ノンナです」

みほ「あの、カチューシャさんは……」

ノンナ「……申し訳ありません。カチューシャはただいまお出かけ中です」

みほ「そうですか。いつごろお帰りになるかわかりますか?」

ノンナ「申し訳ありません。いつになるかは……」

カチューシャ「ノンナー!誰と話してるのー!?」

みほ「あれ、今のカチューシャさんじゃ」

ノンナ「いえ。カチューシャは留守です」

カチューシャ「ちょっとノンナー!」

みほ「いや、絶対カチューシャさんですよね」

ノンナ「カチューシャは留守です。申し訳ありません。帰ってきたら電話するよう伝えておきますので、それでは」ガチャッ

みほ「まあ、正直知ってたよね。……しょうがない、かぁ」

~~~~

優花里「あ、あの。お話とは一体、何でしょうか?」

みほ「ごめんね。いきなり呼び出して……優花里さんに言いたいことがあるの」

優花里「私に……ですか?」

みほ「沙織さんと華さんが付き合い始めて、私も色々と考えたんだ。二人はすごく幸せそうで、私も誰かと一緒にいたいなって……それで、誰といたいかって考えたとき、私の頭に浮かんだのは優花里さんだったんだ」

優花里「そうなん、ですか……」

みほ「私は優花里さんと一緒にいたい。優花里さん……私と、付き合ってくれませんか」

優花里「にしずみどの……ありがとうございます」

みほ(優花里さんなら、断られるなんてことは……)

優花里「でも、ごめんなさい!」

みほ「えぇっ!」

優花里「その、お気持ちはすごく、すっごく嬉しいのですが……実は、この間からエルヴィン殿と付き合い始めまして……」

みほ「あ、ああ。そうなんだ」

優花里「もちろん、私の西住殿に一生付いていくという決意は変わりません!チームに悪影響を及ぼすようなことは一切いたしませんので、ご安心ください!」

みほ「うん。よろしくね……」

優花里「それでは、申し訳ありません。エルヴィン殿と約束がありますので……」

みほ「あ、あはは……じゃあね……」

優花里「はい!」タタッ

みほ(もう倫理観なんてどうでもいいかなぁ……)

~~~~

まほ「みほ、久しぶりだな」

みほ「うん……あっ、ホントだ!このお店のカレー、すっごくおいしいね!」

まほ「ああ。そうだろう」

みほ「でも、お姉ちゃんがあんなに歌が上手いなんてびっくりしたよ!」

まほ「そうか?みほの方がずっと上手だった。それにすごく可愛かったぞ」

みほ「そんな、可愛いだなんて……このお店、景色もいいんだね」

まほ「確かに。今まで気にすることはなかったが……みほと一緒だと、より美しく見える気がするな」

みほ(カレーってチョイスはいまいちだけど、お店のグレードも雰囲気もいい感じだよ、お姉ちゃん!あとは私から話を振ってあげれば……)

みほ「そういえば、エリカさんと小梅さんが付き合い始めたんでしょ?」

まほ「そのようだな。私はあまり詳しく知らないのだが……仲良くやっているようだ。二人の表情にも笑顔が増えているような気がする」

みほ「うん。こっちでも沙織さんと華さん……通信手と砲手の二人が付き合い始めたんだ。お互いにいいところを見せたいのかな、すごく調子がいいんだ」

まほ「やはり、大切な人間がいる者は強いということか……ところでだな、みほ。聞きたいことがあるんだが」

みほ(お姉ちゃん、真剣な顔……なんだか私までドキドキするよ)

まほ「その……近しい関係の人間を、好きになってしまうことはおかしいことだろうか」

みほ「近しいって、どれくらい?」

まほ「例えば、血の繋がった関係……それも姉妹や親子のような関係だ」

みほ「……ううん。変なんかじゃないと思う。誰かを好きになるって、こういう関係だから駄目だって諦めなければならないとか、そういうことじゃないと思うんだ」

まほ「……!そうか。そう言ってくれるか」

みほ「うん。人を好きになるって素敵なことだと思う。その気持ちを諦めなくっちゃならないなんてことはないと思うんだ。どんな時でも前進あるのみ。でしょ?」

まほ「みほ……ありがとう」

みほ「いいんだよ、お姉ちゃん」

まほ「お前には勝てないな……みほ。婚約者は……見付かったのか?」

みほ「ううん。お姉ちゃんは?」

まほ「私も見つからなかったんだ。いや、正確には好きな相手というものができなかった。人を好きになるということを自分に置き換えてみても、いまいちピンと来なかった」

みほ「うん。わかるよ、その気持ち」

まほ「そこで、改めて考えたんだ。私が結婚してもいいと思える相手、側にいたいと思える相手は誰だろうか、と」

みほ(それで私に行き着いたわけだね、お姉ちゃん!)

まほ「私にとってそういう相手は……家族だった。私とずっと一緒にいてくれた相手と、これからもずっと一緒にいたいと思ったんだ」

みほ「……うん」

まほ「気付いたら、すぐに行動に移していた。何度も本当に正しいのか、自問自答していたんだが……みほの言葉で、心の整理がついた」

みほ(だから私を呼び出したんだね!さあ、カモン!)

まほ「みほ、私はな……お母様を愛してしまったんだ」

みほ「……はあ!?」

まほ「すぐに行動に移して……お母様を押し倒した」

みほ「はあぁっ!?」

まほ「お母様も最初は拒んでいたんだが……わかってくれたよ」

みほ「はあぁぁぁっ!?」

まほ「周りのお客に迷惑だろう」

みほ「え、いや、だって、お父さんは」

まほ「お母様はレズで、お父様とは偽装結婚だ。ちなみにお父様はゲイだ。ドイツでよろしくやっているらしいぞ」

みほ「聞きたくなかったよ、そんなこと」

まほ「それまでは菊代さんがお母様の相手をしていたんだが」

みほ「ええ……」

まほ「ちなみに今は月水金が私の日、火木土は菊代さんの日だ」

みほ「日曜日は?」

まほ「3人の日だ」

みほ「知りたくなかったよ……」

まほ「それでだな……お母様のお腹に私の子がいる」

みほ「はあぁぁぁぁぁっ!?なんで!?なんでっ!?」

まほ「西住家はついに、ips細胞の実用化に成功したんだ」

みほ「やめてやめてお願いもうやめて」

まほ「お前にとっては姪であり、妹でもある。それでな、お前に名前を決めてほしいんだ」

みほ「ソドムとゴモラの申し子みたいな子だね」

まほ「突然言われても、すぐには決められないだろう。次に会うときまでに考えておいてもらえないか」

みほ「うん。わかったよお姉ちゃん……」

~~~~

――大洗――

みほ「あ、あはは……まさかこんなことになるなんてなぁ……」

みほ(どうしよ……もう相手の心当たりなんて……え?あれは?)

みほ「愛里寿ちゃん?」

愛里寿「あっ!西住……みほさん」

みほ「久しぶりだね!なんで大洗に?」

愛里寿「それは……次に戦う時のために偵察をしようと思って。べつに、みほさんに会いたかったからとか、そんなわけじゃ」

みほ(愛里寿ちゃん、お人形さんみたいで可愛いなぁ……戦車に乗ってる時とは別人みたい。戦車に乗ってる時の愛里寿ちゃんって、可愛いんだけど凛々しくってカッコいいんだよね……あれ?)

みほ「愛里寿ちゃんって、いくつだっけ?」

愛里寿「13歳」

みほ(私が16、愛里寿ちゃんが13歳。私が20の時は17だから……セーフだね)

みほ「愛里寿ちゃん。源氏物語って知ってる?」

愛里寿「平安中期に紫式部が書いた、光源氏の恋愛を描いた小説」

みほ「うん。ねえ愛里寿ちゃん。せっかくここで会えたんだから、私の家に来ない?一緒にボコのDVD、観ようよ!」ニコッ

愛里寿「ボコの!?……い、行ってもいい」

みほ「よーし、行こっか!PANZER VOR!」ギュッ

愛里寿「お、おー」

みほ(『むらさき作戦』、開始です!)

以上です。
お読みいただきありがとうございました。
過去作もぜひよろしくお願いします。

【ガルパン】アンチョビ「はあ!?ペパロニと結婚!?」
【ガルパン】アンチョビ「はあ!?ペパロニと結婚!?」 - SSまとめ速報
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