モバP「瑠璃柳の約」 (35)

モバマスSSです。

夕美「〜♪」

P「お、やけに機嫌がいいな。どうした?」

夕美「あ、プロデューサーさん。いやね、新しく庭にこれを植えたんだよ」

P「ん?なんだこれ?」

夕美「瑠璃柳って言うんだよ。今植えて秋頃には花がなるかな」

P「柳かぁ…」

夕美「何かあるの?」

P「いやな、青々とした春の柳は植えるなって言葉があってさ」

夕美「なんで?」

P「意味は忘れちゃったんだよなぁ…」

夕美「今植えないと見れないから植えちゃったけどね。そもそも瑠璃柳はナス科だけどね」

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P「そうなのか。俺も記憶が曖昧だからそんな気にしなくてもいいと思うけど」

夕美「うん。あ、花がなったら写真見せてあげるよ」

P「お、それは楽しみだなぁ」

夕美「うんうん。楽しみにしててねっ」

夕美「あ、ちょっといいかな、プロデューサーさん?」

P「ん?どうした?」

夕美「あたしさ、明後日から二日間くらいオフに出来ない?」

P「別にいいぞ。そもそも美嘉がいない時まで律儀に顔出さなくてもいいぞ」

夕美「ありがと。それじゃ、ちょっと二日間は顔出さないね」

P「ちなみになんの予定なんだ?」

夕美「えっとね、山野草を取りに行こうと思って」

P「ガーデニングに使うのか?」

夕美「うん。そういうこと。あ、写真も撮ってくるから帰ったら見せてあげるよ」

P「ありがとな。そう言えば、一人で行くのか?」

夕美「そのつもりだよ。誰かに付き合わせるのも悪いし、みんな忙しいだろうから」

P「分かった。気を付けてな」

夕美「山って言ってもそんな険しくないし、小学生でも登れる山だから平気だよ」

P「ならいいが…」

夕美「不安?なら連絡してあげるよ。山降りたら花と一緒に」

P「そうしてくれると嬉しいな」

夕美「大げさだと思うけどね…」

ちひろ「プロデューサーさんも変なこと言うんですね」

P「何がですか?」

ちひろ「植物の話なら夕美ちゃんの方が詳しいのに、柳を植えるな。なんて言い出すなんて」

P「あぁ、聞いてましたか。気にしないで下さいよ」

ちひろ「はい。でも、山にまで行くって凄いですよね」

P「好きなことだからどこまでも出来るんですよ」

ちひろ「それじゃ、プロデューサーさんはお仕事が好きなんですね」

P「えぇ、あいつらをプロデュースして、ステップアップさせるのは、苦難もありますけど、本当にやりがいがあると思いますよ」

ちひろ「死なない程度に頑張って下さいね。休みは絶対必要なんですから」

P「ちひろさんも同じことが言えますけどね」

ちひろ「私は、ほら、余り動かないですからそこまで疲れはないですけど…」

P「仕事してるに変わりないんですから。ちゃんと休んで下さいね」

ちひろ「は、はい…」

ちひろ(私が休んじゃうとプロデューサーさんが益々休めないじゃないですか…)

P(俺が休んじゃうと、その分ちひろさんが頑張らなきゃいけなくなるからなぁ。頑張らないと!)

夕美「二日間休み貰えたのはラッキーだったなぁ」

夕美「一日で取って、その次の日に庭に植えて綺麗にして…」

夕美「よし、スケジュールは完璧!それじゃ、明日も頑張らなきゃね。おやすみー」

事務所

頼子「おはよう…ございます…」

P「お、おはよう。早いな」

頼子「そんな、お二人の…方が全然早い…ですよ」

P「そりゃ、先に来て準備しておかないと悪いからな」

ちひろ「そうですよ。裏方は常に先に準備しなきゃいけないですから」

頼子「私たちがアイドルに専念出来るのもお二人のおかげです…。ありがとうございます」ペコリ

P「いやいや、そんな頭下げなくても」

頼子「いえ、ただ、思った時に感謝の気持ちを表現しておかないと…思いまして」

ちひろ「私たちも頼子ちゃんたちのおかげで頑張れてるんです。これからもよろしくお願いしますね」

頼子「は、はい。あ、Pさんその蛇どうしたんですか?」

P「ん?あぁ、このストラップか?楓さんに貰ったんだよ」

頼子「綺麗な…ストラップですね。お土産ですかね?」

P「さぁなぁ…分からないけどくれたんだ」

頼子「蛇は生と死を司ると言われてますし、縁起はいいんじゃないでしょうか」

P「そう思うか?そういや、よく見ると、楓さんの後ろにいた蛇に似てる気が…」

頼子「あの人…蛇使いか何かなん…ですか?」

P「いや、そんなことはないと思うけど…。この間楓さんの後ろに蛇がいたんだよ。本人には見えてないみたいだけど」

頼子「不思議なこともあるものですね…」

P「そうだよな。あ、頼子。一つ聞いていいか?」

あ、すみません。
一応、
モバP「石の下の蛇」
モバP「石の下の蛇」 - SSまとめ速報
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頼子「…どうぞ。まだ、レッスンまで時間があるので…」

P「青々とした春の柳は植えるなって言葉どこかで聞いたことないか?」

頼子「青々…柳…。あぁ、菊花の約ですね」

P「菊花の約?」

頼子「そういう、お話です…」

P「そういえば、昔なにかの本で読んだ記憶が…」

頼子「お役に立てたならよかったです」

P「うん。ありがとな」

頼子「いえ…。そんな大したことはしていないので…」カァァ

頼子「れ、レッスンに行ってきます…」バタンッ



P「…それにしても、菊花の約か。どういう話だったかなぁ。機会があれば調べてみるか」

夕美「それじゃ、行こうっと」

夕美「んー、いい天気だねー」

夕美「それじゃ、サッと行っちゃいますか」



夕美「自然っていいねぇ。なんか生き返る気がする」

夕美「植物の匂いもいいなぁ…」

夕美「あ、この花可愛い」パシャ

夕美「えーと、他には何かないかな…」キョロキョロ

事務所

卯月「おはようございます。今日も頑張りましょうね!」

P「そうだな。頑張ろう」

卯月「なに見てるんですか?」

P「久々にニュースをな。今日家出る前にチェックするの忘れてたの思い出してさ、もう昼だけど一応確認だけしておこうかなって」

卯月「流石ですね。これで私たちの活躍をチェックですね!」

P「これも仕事の内さ。お、天気予報に変わった」

卯月「えー、これから雨降るみたいですよ?傘持ってきてないなぁ…」

P「事務所に置き傘が何本かあるからそれ持っていっていいよ」

卯月「はーい。ありがとうございます」



ポツ…ポツ…

夕美「…ん?」

夕美「雨!?傘とか、一通り持ってるけど、どこか雨宿り出来るとこ探さないと」

ザー

夕美「参ったなぁ…。ちょっと弱くなら帰ろっと」

夕美「カメラも無事だし、写真でも見ながら時間潰そっと」

ザー

夕美(思ったより、雨の勢いが収まらないなぁ…)

夕美「この雨の中帰るより、ここにいた方が安全な気がするし…」

夕美(足滑らせて怪我とかしたらそれこそ、プロデューサーさんに怒られちゃうもんね)

夕美「写真はもう見飽きたんだけどなぁ…」

夕美「それじゃ携帯…あっ、電池切れてる」

夕美(そう言えば、行くのが楽しみで準備のことばっか考えて、昨日充電し忘れてたっけ…)

夕美「…なんか心細いなぁ」

事務所

P「雨強いなぁ。今朝の天気予報まで晴れの予報だったから、洗濯物が悲惨なことになってそうだ…」

ちひろ「私の家も嫌な予感しかしません…」

P「帰ったら乾燥機に突っ込まないと…」

ちひろ「そうですね。多分、これ以上ないくらいに濡れてそうですし…」ハァ

P「そういえば、夕美から連絡が来てないんですよねぇ…」

ちひろ「そうなんですか?」

P「まぁ、何もないと思いますけど…」

ガチャ

P(ん?誰か来た?)

夕美「……」

P「なんだ夕美か。今日は山に行ったんじゃないのか?」

ちひろ「やっぱり連絡忘れてただけじゃないですか」ホッ

夕美「……」ポタポタポタ

P「ってお前びしょ濡れじゃないか!そこから動くなよ。今からタオル持ってくるから」

夕美「……」

ちひろ「夕美ちゃん、体調でも悪いの?」

夕美「……」

P「ほら、とりあえず、これで拭いとけよ」

夕美「……」ゴシゴシ

P「もしかして、雨が酷いから帰ってきたとか?」

夕美「……」

P「夕美?っ!冷たいな、どうした?お茶でも飲むか?そこの椅子に座って待ってろよ」

ちひろ「あ、お茶淹れてきますね」

P「病院に連れていった方がいいか?」

夕美「……山。中腹」スッ

P「ん?ってどこ行くんだ?」

ちひろ「お茶ですー?って夕美ちゃんは?」

P「いきなり立ち上がって出ていっちゃいました…」

ちひろ「え…?」

P「ちょっと探してきますね」

P「おーい…夕美?……いないか。どういうことだ一体?」

P「いませんでしたよ」

ちひろ「えっ?でも、事務所のビルから誰も出てないですよ?」

P「でも。階段には誰も……あっ!」

P「ちひろさん。いきなりですけどスタドリ十本貰えますか?」

ちひろ「は、はい。今なら四本おまけでお付けしておきます」

P「ありがとうございます。それじゃちょっと出かけてきますね」

ちひろ「え、あ、はい」

http://i.imgur.com/7kECD0F.jpg
http://i.imgur.com/BMCbxOc.jpg
相葉夕美(18)

http://i.imgur.com/VQOsjnm.jpg
http://i.imgur.com/BFC5uIJ.jpg
古澤頼子(17)

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http://i.imgur.com/jbTIjqr.jpg
高垣楓(25)

http://i.imgur.com/r6D6DzS.jpg
http://i.imgur.com/ovAPzLs.jpg
島村卯月(17)



ザー

夕美「えーと、今は三時かぁ…」

夕美「明るいってのだけが救いだよね」

夕美「暗くなる前に降りたいなぁ」

夕美「でも、この雨で地面相当ぬかるんでるだろうなぁ…。いくら歩きやすい靴って言っても、もしかしたら…っ!」

夕美(嫌なこと想像しちゃった…)

夕美「消えろー消えろぉー」

夕美「誰か来ないかなぁ…。一人は寂しいよぉ…」

P「お、いたいた」

夕美「へっ?」

夕美「なに…してるの?」

P「ちょっと山登りに。最近運動不足でさ」

夕美「はい?」

P「久しぶりに動くと辛いな。スタドリ五本は飲み干したかな」

夕美「ふふっ…お腹下しそうだね」

P「そうかもな。はい。これ、カッパ。これ着て二人で帰れば帰れるだろ」

夕美「一応カッパも持ってるんだけどね…」

P「お、そうか。それじゃ、早く降りるか。はい」

夕美「ん?なに?」

P「滑ると危ないだろうから手繋ごうかと思って」

夕美「あ、ありがと…」ギュ

P「もう弱くなるかもしれないけど、とりあえず気を付けてな」

夕美「そっちもね。プロデューサーさんが転んだら私も転んじゃうんだから」

P「そうだな。気を付けるよ」

夕美「そう言えば、なんで来たの?」

P「むしろ俺が聞きたいんだけどな」

夕美「…どういうこと?」

P「さっき、事務所にびしょびしょの状態で来ただろ?」

夕美「あたしはあそこでずっと雨宿りしてただけだけど…」

P「そうなのか?確かに来たんだけどなぁ…。それで、夕美が山って言ってたから来てみたら本当にいたんだよ」

夕美「へぇ、そんなことがあったんだ…」

P「本当に来てないのか?」

夕美「だから、ずっとここにいたよ」

P「もしかして…幽霊か?」

夕美「実はあたしが超能力者だったりして」アハハ

P「お、そっちの路線でやってみるか?」

夕美「いいって。そんなこと出来ないし。それにしてもありがとね」

P「アイドルを守るのはプロデューサーの役目だしな。出来るだけのことはするよ」

夕美「へへっ、お礼に後で一杯写真見せてあげるからね」ギュ

P「本当か。そりゃ楽しみだ」

P「なんとか無事に下山出来たな」

夕美「お互い転ばなくてよかったね」

P「どこか怪我してないか?」

夕美「うん。気を付けて歩いてたから平気みたい」

P「……」

夕美「ん?どうしたの?」

P「いや、手離してくれないと車乗れなくてさ…」

夕美「あ、あぁー!ごめんね」バッ

車内

P「このまま家まで送るよ」

夕美「ホント?ありがと。もうくたくただよ」

P「明日も休みだからゆっくり休めよ?」

夕美「そうだね。ごめんちょっと寝ていい?」

P「いいぞ。着いたら起こしてやるから」

夕美「おやすみ…」

P(何もなくて本当に良かった…)

P「それにしても誰だったんだあの夕美は?」

P(まさか、本当に幽霊だったりしてな)ハハハ

P「いや、それもそれで困るな…」


P「着いたぞー。起きてくれ」

夕美「ん?あ、もう着いたの?ありがとね」

P「ちゃんと温かくして寝ろよ?」

夕美「うん。そっちもね」

P「分かってるって」

事務所

P「お疲れ様です」

ちひろ「あ。お疲れ様です。いきなり外に行くから驚きましたよ。どうしたんですか?」

P「ちょっと色々ありましてね。お、頼子もいたのか。レッスン終わりか?」

頼子「…はい。そうです。お疲れ様です」

P「お疲れ。あ、昨日の話の続きなんだけどさ……」

頼子「菊花の約ですか?」

P「そうそう。どんな話だっけ?」

頼子「そうですね…。簡単に話すと、戻ってくると約束した人が戻る前に亡くなってしまいました。しかし、その人は魂だけで待ち人の前に現れたんです。約束を違えないために。」

頼子「綺麗な柳は秋風で葉を落とし、軽軽浮薄な人と深い付き合いはするな、すぐに途絶えてしまうから…という話です」

P「なんだか悲しい話なんだな」

頼子「…ハッピー…エンドではないですね。嗚呼、軽薄な者と親交を結んではならぬという結びですし」

P「ありがとう。流石博識だな頼子は」

頼子「…人には、得手不得手…があります。お役に立てたなら幸いです」カァァ

ちひろ「つまり、さっきまでここにいた夕美ちゃんは、お化けってことですか?」

頼子「そんなことがあったんですか?」

P「あぁ、そうなんだよ。物静かな夕美がいてさ…」

頼子「それは、お化けというより、…生霊に近いですね。思いは…千里を超えますから…」

P「やけに真に迫った言い方だな」

頼子「そうですか?…ありがとうございます」

翌日

事務所

夕美「おはよ」

P「あれ、今日は休みじゃないのか?」

夕美「うん。休みだよ。だからやることやったらまた帰るつもり」

P「やること?」

夕美「とりあえず、写真を見せようかなって。これなんか綺麗だよね」

P「お、綺麗だな」

夕美「だよね。それと、これ事務所に飾っといてくれない?」

P「分かった。ちなみにこれはなんて花なんだ?」

夕美「ゴテチアって花だよ。私の誕生花なんだ」

P「そうなのか。綺麗な花だな」

夕美「ちなみに花言葉は……ひ・み・つだよ♪」

夕美(あなたをお慕いしてますっ…!なんて言えるわけないよ)

夕美(まぁ、意外と頼りになるかなぁって程度だし!)

夕美(ちょっとだけ皆の気持ちが分かった気がするけど…)

夕美「そ、それじゃ私は帰るから」

ガチャ

美嘉「あ、夕美?今日お休みじゃないの?」

夕美「休みだよー。ばいばい♪頑張ってね美嘉」

美嘉「何かあったの?」

P「いや、特になにもないと思うけど…」

美嘉「夕美に変なことしちゃだめだからね?」

P「何もする気はないよ。そもそも他の子にも変なことする気はないからな」

P「そう言えば、美嘉もちょっとは花言葉に詳しかったりするのか?」

美嘉「ちょっとだけね。ま、今の時代は携帯でなんでも調べられると思うけど」

P「そうだな。それでさ、ゴテチアって花の花言葉って知ってるか?」

美嘉「ゴテチア…ゴテチア…どっかで聞いたことあるんだけど」

P「夕美の誕生花らしい」

美嘉「あぁ、そうそう。そうだよ……ってあれ?」

P「どうした?」

美嘉(あれの花言葉って確か…)

P「おーい…」

美嘉「わ、私は確かに慕ってるけど、そこまでなんというかその…」カァァ

P「どうした美嘉?」

美嘉「な、なんでもないからっ!それと、その花に深い意味はなかったと思うよ。それじゃレッスン行ってくるね!」バタンッ

P「……折角だから日の当たるところにでも飾っておくか」

終わりです。
見てくださった方、画像を貼ってくださった方ありがとうございます。

http://i.imgur.com/0rcl7O8.jpg
http://i.imgur.com/OGoItl8.jpg
城ヶ崎美嘉(17)

個人的には種なら平気かなぁと思ってました。
すみません。ありがとうございます

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