私でも、輝けますか? (58)
※ラブライブサンシャインのSSです。
※この話の主人公はサンシャイン12話で音ノ木坂に出てきたCVがいのりんだったあの女の子です。(読んでいれば分かる部分があるようにかいたのですが筆者の技量不足でわかりずらいかもしれなかったため、ここに書かせてもらいます。)
※この話は完全に筆者の妄想であり本編と食い違う部分があるかもしれませんがご容赦願います。
※筆者はSS初投稿なので登場人物の口調等違和感や投稿につまるところがあるかもしれませんが暖かい目で見ていただけたら幸いです。
※最後に、長くなりましたが以上のことが許せる寛大な方であればどうぞよろしくお願いします。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1475046248
いつもと同じ白い色の天井を見てその日も目が覚めた
私はその景色が嫌いだった
無機質で、生きてるって感じがしないからだ
生まれつき体の弱かった私は学校に通うことが難しく、やすみがちだった。
それでもなんとか小学校、中学校は卒業することができたのだが高校までは行けないだろと前々から医者に告げられていた。
悔しかった。
自分が何をしたというのだろうか。
中学の後半から休むことがより多くなり、仲の良かった友達も離れていってしまった。
何度も学校へ行きたいと言ったが、医者や両親は「あなたのためだから」というだけで登校を許してはくれなかった。
一体何が私のためなのだろう?
学校は私が生きていることを感じられる唯一の場所だったのに。
日に日に悪くなる症状とお見舞いに来てくれる友達の数が減っていくことが私の胸を痛めた。
今私の胸を痛めているものがなんなのかもう分からなくなっていた。
ある日、気分が良くたまたま晴れていた日に外出許可が出された。
どこへ行きたい?と看護師に問われたが病院と自分の通っていた学校それと自分の家くらいしか知ってると言える場所がなかった。
その時、まだ学校へと通えていた時に友達と話したことを思い出した。
────────
「ねえ、高校はどこにいくの?」
「うーん、私は高校にいくのはちょっと難しいかな」
「そっか……ごめんね……」
「いや、謝らなくてもいいよ。それよりみんなはどこへ行くのかな?」
「あ、みんなは音ノ木坂に行くみたいだよ!私もそこ狙ってるし。」
「音ノ木坂?UTXとかじゃなくて?あっちのほうが設備とか整ってて良さそうだけど。」
「まあ確かにね。そういうのはUTXの方が圧倒的にいいんだろうけど音ノ木坂はあれが有名だからね!」
「あれって?」
「スクールアイドル!」
「スクールアイドル?なにそれ?」
「スクールアイドルっていうのはね、高校生が学校の看板を背負ってやってるアイドルのことなんだよ。今すっごい人気なんだ!」
「高校生がアイドルやってるなんて凄いね。──でも、プロのアイドルの方が凄いんじゃないの?なんでそんなに人気なの?」
「まあ、技術とかはそりゃプロの方が凄いんだけどね?彼女達も普通の女子高生なんだもん。でもね、だからこそ凄いんだよ。」
「だからこそ凄い?」
「普通の女子高生が普通なままやってキラキラ輝いているんだよ?才能で集められた人じゃなくてただの女子高生が。それってとっても凄いと思わない?」
「普通なまま輝く……スクールアイドル……」
それから私はその子に勧められるがままにスクールアイドルについて調べた。その音ノ木坂のスクールアイドルであるμ'sや他の学校のスクールについて。
色々なスクールアイドルについて調べていくうちに彼女の言っていたことが分かり始めた。
かわいいが確かにみんな普通なのだ。その彼女達が一生懸命輝いている姿に魅入ってしまい、いつしかスクールアイドルの動画を見ている時間が病院内における唯一の生きることを感じさせる、心が熱くなるような時間になっていた。
────────
「音ノ木坂学院っていう高校を見てみたいです。」
自然と口からそう零れた。場所をあまり知らなかったからかもしれない。それでもその答えは熟考したものだろうと変わらないだろうという確信があった。
病院から音ノ木坂まではそう遠くなく、車で10分ほどで着いた。
車から降り、看護師の方に車椅子に乗せてもらったあと階段を使わないルートで学校までいってもらい、そこからは自分で近くまで車椅子を動かした。
「ここが、音ノ木坂なんだぁ……。」
スクールアイドルの頂点を決めるラブライブで優勝した伝説のグループμ's。
その母校の目の前に来ることができ、私は胸が詰まるような感動を覚えていた。
「もう少し体が丈夫だったら私もここに通えてたのかな……?」
涙が溢れてくる。ずっと前から言われてたことだ。高校には行けない。それは分かっていたことだったのに憧れていた場所に来た途端、今まで抑えていたものが堰を切ったように溢れてきた。
「もしかして、来年度の音ノ木坂入学希望者ですか?」
ふいに隣から声が聞こえた。
「実は私、ここのOGなんですよ。」
綺麗な人だった。とても明るそうで、見ているだけで元気を貰える。こんな素敵な人は初めて見たなと思う反面、どこかでみたような既視感もある。
「はい、来年からここに通います。」
涙を隠すのに必死でつい嘘を答えてしまう。
「やっぱりそうなんだ!もう通ってなくても後輩ができるって嬉しいものなんだよね。」
へへっと照れくさそうに笑うその姿はとても魅力的で、全身から生き生きとした感情が伝わってくる。
「あの、体大丈夫?さっき泣いてたみたいだったけど。」
「あ、大丈夫です!私体が弱くて病院で暮らすことが多かったんですけど、なんとか高校にも通えるくらいは回復できたんで。」
「そっかぁ、良かったね。後輩が元気になって私も嬉しいよ!」
隠しきれていなかったことに恥ずかしくなり嘘を重ねてしまった。少し気まずくなり、話題を変えた。
「そういえば、ここってあのμ'sの母校なんですよね?ずっと楽しみだったんですよ!何か記念品とかあるんですか?」
すると女性の顔が少し翳ったように見えた。
「うん、そうだよ。でもね、あの人達は何も残さなかったんだ。」
「何も残さなかった?」
「自分達の物も、優勝の記念碑も記録も全部ね。」
「最初はどうして何も残さなかったの?って呆れてたんだけど、ここで私もスクールアイドルをやってみて分かったんだ。」
「え、お姉さんもスクールだったんですか?」
「うん。といってもあんまり有名じゃなかったんだけどね。それでさっきの続きなんだけどμ'sは活動を続けていくうちに賞とか記録よりももっと大事にしたいものができたんだよ。なんだか分かる?」
「……すいません、分かりません。」
「この学校で仲間と過ごした大切な思い出なんだって。」
「思い出……ですか。そんな不確かな、形がないものを残せたって言えるんですか?」
「物はね、形があってそこにあるということがわかる確かなものなんだけど所詮、物は物でしかないんだよ。μ'sの後にスクールアイドルをやってみて分かったんだ。」
「ここで活動した思い出は何者にも変え難い大切なものなんだって。それにほら、生徒達を見てみてよ。」
言われるがままに学校の方を見た。丁度授業が終わったのだろう。多くの生徒が学校から出てくる。
その顔はどれも楽しそうであり、幸せそうだった。それは私がどんなに手を伸ばしても届かない景色のように思えた。
「なんだか、みなさん生き生きしてますね。本当に学校が楽しいみたい。」
「この笑顔がμ'sの残したものだと思うんだよ。私は´お姉ちゃん´みたいなスクールアイドルにはなれなかったけど、心は繋がっていると思えたからここで過ごした高校生活は本当に楽しかったよ。」
「物がなくとも、残したものはある……心は繋がってる……」
それは今までの私には想像もつかなかった考えだ。
いつもそこにいなければ、確かなものが無ければ忘れ去られてしまうのが常識なのだと思ってた。それともその常識を上回るほどの思い出をμ'sはこの学校に残したと言うのだろうか。
頭の中で考えが巡っていたせいで女性の言った重要な言葉にすぐには気づかなかった。それに気づいたのは遠くから女性を呼ぶ声が聞こえた時だった。
「雪穂ー!そろそろ戻るよー?」
ハッとしてわたしは質問をした。
「あの、すいません。お名前をうかがってなかったのですがよろしければ聞いてもいいですか?」
「あ、そういえばそうだったね。私の名前は高坂雪穂っていいます。μ'sのリーダーだった高坂穂乃果の妹です!それじゃまたいつかねー!」
そう言って彼女は友達なのだろう金髪の外人の方とどこかへ行ってしまった。
あまりの出来事にぽかーんとしてしまった後、少し落ち着いて雪穂さんの言っていたことを思い出していた。
「物はなくとも心は繋がってるかぁ……」
もうここに来る事はないかもしれないけど、
私もそんな素敵な考えをもった人とこの学校で過ごしたかった。そして願わくばそんな人と心を繋いでみたかったなぁと
校門前で思いを馳せた。
雪穂さんからすれば思いは残るものなんだから、こんな私の思いでも残るのかなぁと思いながら願いを頭の中で思い浮かべてみた。
残した思いが誰かと繋がりますように──
────────────
(12話電車内にて)
千歌「そういえば、音ノ木坂で出会った女の子って急にいなくなったよね?」
曜「確かに突然だったね。誰かあの子がいなくなったことに気づいた?」
ダイヤ「私は気づきませんでしたわ。」
鞠莉「そうねぇ~私も気づかなかったわ。果南の方を見てたから?」
果南「また適当なこと言って……でも私もいなくなる所を見なかったな。」
ルビィ「誰も気づかなかったってことですか?それってまさか……」
善子「ふっ……冥界からの死者だったということね。最も、このヨハネの探知からは逃れる事はできなかったようだけど。」
花丸「善子ちゃんも気づいてなかったみたいだし善子「善子じゃなくてヨハネ!」本当に幽霊だったのかもしれないズラ……」
梨子「昼間から幽霊はでないと思うよ?もう、……あの人は私達にμ'sの在り方を教えてくれた人なんだから幽霊なんて言ったら失礼でしょ?」
千歌「あはは……。そうだよね。あの人が教えてくれたから私達も再出発できたんだもんね!よーし、明日からも練習頑張るぞー!」
鞠莉「全速前進ヨーソローね!」
マリチャンソレワタシノセリフー!
アハハ!
ワイワイ
梨子(でもあのリボン、三年生みたいだったけど一年通っててもあの人を見たことが無かった……。がくねんが違うからかもしれないけど、まさか本当に……)
梨子(でもあのリボン、三年生みたいだったけど一年通っててもあの人を見たことが無かった……。学年が違うからかもしれないけど、まさか本当に……)
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病院に戻った私は久々の外出ということで疲れがどっとでてしまい、死んだように眠った。今日の思い出を忘れないように深く眠った。
次の日の朝は変に体が軽かった。久々に外出したばかりだからだるくてもおかしくないと思っていたがむしろ昨日より気分がいい気がする。
そんなことを思っていると普段私の検診をしてくれる医者が歩いて来た。
そして、その医者が発した言葉は昨日の雪穂さんが話した内容にも匹敵するような衝撃的な内容だった。
「おめでとうございます、退院の目処が立ちました。」
「え、退院……ですか?」
「はい。最近服用し始めた薬がありましたよね?実は本当に最近開発されたばかりの新薬でして、診断の結果からその効果があなたの病気に対して効果が高いということがわかったのです。今、どこか痛いところはありませんか?」
「いえ、とても調子がいいです。ここ最近ないくらい調子がいいので戸惑ってる位です。」
それはよかった、と言うと医者は退院までの簡単な説明をしてこの場から去った。
説明を聞いてる途中も現実感が無かった。それでも時間が経つにつれて一つの事実が私の頭の中はいっぱいになった。
「高校に、音ノ木坂に通えるんだ……。」
涙が止まらなかった。昨日も音ノ木坂のことを考えて涙を流してた気がするがそれもこれで終わりだ。なんといってもあれだけ行きたかった高校に行けるのだ。
すぐに母が入ってきた。
両親にも説明はされているようで我がことのように喜んで病室に入ってきてくれた。
「おめでとう、本当に良かったね……。」
「うん、ありがとう。父さんと母さんのおかげで退院できるみたいだよ。」
「それは違うわよ、あなたが頑張ってきたからこそ退院できたんだから……本当におめでとう。」
本当に嬉しそうだ。私もここまで頑張って良かったなと母さんの顔を見てるとそう強く思えてくる。
「それでね、あなたが退院できることと嬉しいことがもう一つ、お父さんが大きな仕事を任されたのよ!」
「へぇ、どんな仕事?」
「なんでも、静岡の方の今働いてるところの系列にある大きなホテルのシェフになることになったんですって!」
「静岡?え、待ってよ。それじゃ私たちどうするの?」
「それがね、この仕事は実はずっと前から来てたものだったんだけどあなたの体のことを考えてお父さんずっと断ってたのよ。」
「でも、あなたが退院すると聞いてやっとお父さんこの仕事をうけたのよ。家族3人で静岡に住めるからって!」
「そ、そうなんだ……それじゃあ私は静岡の高校に通うことになるの?」
「そうさせるつもりだったわ。……もしかして、ここに残りたかった?あなた前に病院の中の景色はもう見たくない、海がみたいって言ってたから丁度いいかと思ったんだけど……」
「いや、そんなことはないよ。あんまり外のことは知らないし、東京に未練はないよ。」
また、嘘をついてしまった。
私が退院できるのもすべて両親のおかげだ。もうずっと病院の中でしか生きられないと思っていた所から退院できるというとこまで来たというのに変な不安をさせては行けないと思ったからだ。
その日、少しだけ胸を痛めながら病室で静岡の高校とスクールアイドルについて調べていた。後半はほとんどスクールアイドルについて調べていたが。
丁度その日、静岡の学校がでてるラブライブの予選が中継されていた。
静岡の高校は何校か出ていたがその中で´Aqours´というグループを見つけた。
あまり聞いたことは無かったグループであったため、大会に出ているグループの詳細が書かれてあるサイトを見てみた。なんでも、今年にできたばかりのグループらしい。
そんなはずはないのにどこかであったような既視感をそのグループに覚えた。雪穂さんの時と同じだった。
何故かそのグループ´Aqours´を見てしまう。
応援したくなってしまう。
確かによく練習したように見えたがそれでもほかのグループとて同じだ。もっとダンスも歌も上手いスクールアイドルはたくさんいる。
それでも何故か彼女達のパフォーマンスは人を惹きつけてやまないものがあるように感じた。
パフォーマンス後半に入ると会場にいた学校の関係者であろう方々が一斉に彼女達の近くでサイリウムを振って応援しだした。
よく見ると他の学校の関係者であろう人たちも。会場が一体になったようだった。
かつて私は見たことがあった。この人を惹きつけて応援したくなるようなグループを。
彼女達は´あの´スクールアイドルではない。それでも、彼女達と応援している学校の生徒を見ればわかる。彼女達の学校なら諦めかけた音ノ木坂で見た輝くような学校生活を送ることができるかもしれない……。
「浦の星女学院か……」
私も、輝けるかな?
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学校説明会*第1回目 0人
ピッ
学校説明会*第1回目 1人
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………………
千歌「あれから半年以上経ったんだね……」
梨子「うん。あの予選ライブで入学希望者が集まらなかったと思うとぞっとするよね。」
曜「ま、そのおかけで私たちは後輩に見守られながら卒業できるんだけどね!」
千歌「ダイヤさん達も学校存続とラブライブ優勝を同時に達成出来てずっと嬉し泣きしてたもんねー。」
曜「ピギィー!って泣いてたもんね。」
アハハ!
梨子「────あれ?」
千歌「どうしたの梨子ちゃん?」
梨子「なんか、あの後ろ姿どこかで見たような……」
曜「新入生みたいだね。梨子ちゃん知り合い?」
梨子「ううん、内浦に来て結構経つけど知り合いの後輩なんてAqoursのみんなくらいだし……」
千歌「あっ!あの子だよ!」
ようりこ「あの子?」
千歌「私たちがAqoursとして初めて音ノ木坂に行った時に出会った女の子!」
曜「いやいや千歌ちゃん、あの子は音ノ木坂の生徒でしょ?しかも梨子ちゃんの話だと去年の時点で三年生だったらしいし梨子ちゃんみたいに転入ってこともありえないよ。」
千歌「うーん、似てると思ったんだけどなぁ……。よし、ちょっと声かけてくる!」
梨子「あ、ちょっと千歌ちゃん!」
千歌「ねぇねぇ、スクールアイドルに興味ない?それと、私達どこかで会ったことなかったっけ?」
曜「ちょっと千歌ちゃん、さすがに急すぎるよ……その子も困ってるでしょ?」
「あの、すいません。今年から内浦に引っ越してきたので恐らく先輩とお会いするのは初めてだと思います……。」
千歌「そっかぁ……あの子だったらお礼しなきゃいけないと思ってたんだけどなぁ。」
「あ、でも!スクールアイドルには興味あります。」
千歌「ホント!?」
「はい、ラブライブ予選で見たAqoursの皆さんのパフォーマンスを見てここに入学しようときめたんです。」
千歌「いやぁ、嬉しいなぁ。まああの時は学校のみんなが一緒に盛り上げてくれたからあれだけキラキラしたステージにできたんだけどね。」
「本当に感動したんです。あれだけの衝撃を受けたのはμ'sのパフォーマンスを見た時以来でした。」
曜「いやー、そこまで言われるとちょっと照れちゃうね。」
「それでその、一つお尋ねしたいことがあるんですが……」
梨子「うん、何?答えられることなら何でも答えるわよ。」
「私、元々体が弱くて昔から誰かの力を借りないと何もできないような人間なんですけど、そんな私でもここで輝くことはできますか……?」
言葉による返事はなかった。それでも3人とも笑顔で私を迎え入れてくれる。それが何よりの答えだと感じた。
大丈夫、もう胸に痛みは感じない。
これからの生活は痛みしか抱えてこなかった私の胸には輝くものすべてを詰めていけたらいいなと思いながら浦の星女学院という新しい私の居場所へと自分の足で歩き始めた。
これにて終わりです。12話で出てきたいのりんボイスの女の子がどうにも気になっており、13話に表示された希望者がこの子だったらいいなぁという妄想でした。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。気が向いたらまた書いて見たいと思います。(そもそも読んでくれた方がいるかわかりませんが……)
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