小野寺「ニセコイの逆襲」 (84)


・前作(本編とは関係ありません)

万里花「所詮はニセコイ」
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つぐみ「二人のニセコイ」
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※ジャンプ最新号までのネタバレを含みます。




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~ 天駒高原 約束の場所 ~


楽「俺も好きだよ、小野寺」


楽「ずっとずっと好きだったんだ、中学の頃から」


楽「ずっと……小野寺の事が好きだった……」


小野寺「……うん、ありがとう」


小野寺「さっき……分かった」


小野寺「嬉しかったよ……凄く……本当に……」


小野寺「……」




小野寺「……でも、今はもう違うんだよね?」


楽「……」


楽「うん……」


小野寺「一条君の中にはもう、別の誰かがいるんだよね……?」


楽「……うん」


小野寺「……そっか……」


小野寺「……」


楽「……」


小野寺「……」


楽「……」




楽「……えっ、と……」


小野寺「……」


楽「……」


楽「……ゴメン、小野寺」


楽「はっきり言って俺は、本当に卑怯な奴だと思う」


楽「昔も今も、ずっとずっと小野寺の事を好きって想ってたくせに」


楽「小野寺が同じ思いでいてくれたことが、本当、スゲー嬉しくてさ」グスッ



楽「……だけど」ゴシゴシ


楽「俺には今、会って想いを伝えなきゃいけないヤツが出来ちまった」


楽「そいつとは今までケンカばっかりで」


楽「ぶつかることも目いっぱいあって」


楽「離れたり、近づいたり、ドキドキしたりして」


楽「……それでも、いつの間にか、目が離せない存在になってて」


楽「……小野寺の事、今も大切に想ってる。これは本当だ」


楽「だけど、俺は今、アイツに会って伝えなきゃいけないんだ」


楽「俺の今の正直なキモチを」


楽「だから……ッ!!」










小野寺「それで?」








楽「っ……」


楽「だから、えっと、その……」


小野寺「……」


楽「……」


楽「……」


小野寺「……」


楽「…………」


小野寺「……」




楽「……~~~~~~~~~~~ッ!!」


楽「ごめん、おのでっ」ダッ


     グイッ


楽「うお……っ」


小野寺「行かないで」


楽「……え」


小野寺「行かないで、一条君」


楽「どうしてっ」


小野寺「どうしてって……」




楽「……そう、だよな」


楽「確かに、小野寺の気持ちも……」


小野寺「……」


楽「……」


楽「……あの、さ」


楽「俺は、小野寺にすごく残酷な話をしてると思う」


楽「でも」


小野寺「そう思うなら、行かないで」


楽「……」



楽「……だけど、俺が、今行かなきゃ!」


小野寺「うん、一条君が今千棘ちゃんの所に行ったら、もう一条君は戻ってきてくれないよね」


小野寺「だから、行かないで」


楽「……小野寺」


小野寺「私はずっとずっと、一条君のことが大好きだったんだよ?」


小野寺「そして一条君を今行かせたら」


小野寺「優しい一条君はきっと、二度と私には振り向いてくれない」


小野寺「だけど、きっと傍には居させてくれると思うから」


小野寺「今一条君を行かせたら、私は一生、後悔するから」


小野寺「だから私は、一条君に行ってほしくない」



小野寺「意地悪なんかじゃない」


小野寺「私は本気だよ、一条君」


楽「……小野寺」


小野寺「……」


楽「……わかった」


楽「じゃあ、こうしよう」


楽「今回俺は、あくまでアイツの”友達として”アイツの所に行って話を」


小野寺「誤魔化しは止めて、一条君」


楽「……誤魔化しなんかじゃ、ねーよ」


楽「今って機会を逃したら、アイツはまたアメリカに独りで戻っちまう」


楽「アイツの心に誰かが寄り添ってやれる機会は今しか」


小野寺「……一条君」









小野寺「思い付きで周りを振り回すの、もうやめよ?」








楽「……は?」


小野寺「……あのね」


小野寺「きっと一条君は」


小野寺「目の前で起きている悲しい事やひどい事に、手を差し伸べずにはいられない、優しい人だと思うんだ」


小野寺「だけどね」


小野寺「人は大人になると、自分の行動に責任を持たなきゃいけなくなるの」


小野寺「一度千棘ちゃんのアメリカ行きを引き留めた時も」


小野寺「万里花ちゃんの結婚を止めに行った時も」


小野寺「一条君は、後の責任を取る気もないのに、見過ごせないからってそれだけで、飛び出していったよね」



楽「……」


楽「……目の前の出来事に、飛び出していくことの、何が悪いってんだよ」


楽「小野寺だって、協力してくれたじゃねえか。それにあの時は、千棘も橘も喜んで……」


小野寺「……」ハァ


小野寺「それはね、一条君」


小野寺「一条君じゃなくて、当事者や周りのみんなが頑張ったから、話が丸く収まっただけなんだよ?」


楽「そんなっ」


小野寺「あの時は結婚なんかするつもりもなく、千棘ちゃんの事を引き留めたんでしょう?」


小野寺「万里花ちゃんの病気の事も家の事も、相手の男性の事も何にも考えずに、結婚式を壊しに行ったんでしょう?」



小野寺「私達普通の友達とは違う、話次第では千棘ちゃんや万里花ちゃんの一生に責任を持つ立場の一条君が」


小野寺「自分では何の責任も取るつもりもないのに」


小野寺「自分の気持ちを満足させるために……」


楽「……勝手な事ばっか言うなよ」


楽「俺は、」


小野寺「……じゃあ」


小野寺「どうして、万里花ちゃんの想いには応えてあげなかったの?」


楽「それは……」


楽「……あの時は、小野寺の事が、好き、だったから……」



小野寺「……万里花ちゃんが望んでいたのは、結婚式を止めてもらう事、なんかじゃなかったよね」


小野寺「愛する一条君と結ばれること、今も昔もたったそれだけ」


小野寺「だけど一条君は、万里花ちゃんの想いを知りながら適当にあしらいつづけて」


小野寺「他人のモノになりそうになったところで、急に文句をつけるようなマネをしたんだよ?」


楽「……」


小野寺「……万里花ちゃんは凄いよ」


小野寺「そんな一条君すら許して、受け入れて、自分の中で昇華して、一条君を送り出したんだもの」


小野寺「……だけどね、一条君」


小野寺「私はそこまで寛大にはなれない」


小野寺「ここまで私のことを想ってくれていたのに」


小野寺「またその場の思い付きみたいな、いい加減な想いで私を裏切ろうとしている一条君を」


小野寺「素直に行かせてはあげられない」




楽「……」


小野寺「フられてなんてあげないよ、一条君」


小野寺「私は絶対に、一条君を千棘ちゃんの所には行かせない」














  



楽「……」


小野寺「……」


楽「……小野寺、聞いてくれ、俺は」


小野寺「なあに、一条君」


楽「……」


楽「……俺の今の気持ちは、決していきなりの、いい加減な思い付きなんかじゃねーんだ」


小野寺「うん」


小野寺「じゃあ、そうなった経緯を聞かせて?」




楽「……」


楽「……その」


楽「小さいころの話は、とりあえず置いておくとして」


楽「俺は中学校の頃から、小野寺の事が好きだった」


小野寺「……」


楽「最初はロクに話もできなくて、遠くから見てることしかできなかった」


楽「……一緒の高校に行けるって知った時は、本当に喜んだよ」


楽「目が合うだけで、ちょっとした話をするだけでも、たまらなく嬉しかった」


楽「千棘とのニセコイを始めさせられた時も、考えたのは小野寺の事だった」


楽「こんな事をして小野寺に誤解されないかって」


楽「俺の本当のコイが無くなってしまわないかって不安だった」



楽「……だけど、変な話で」


楽「ニセコイ関係が始まった頃から、小野寺とは急に仲良くなれてさ」


楽「俺の心配とは裏腹に、小野寺と一緒に過ごせる時間が増えていって」


小野寺「……うん」


楽「楽しかったよ、本当に」


楽「色んな所へ遊びに行ったよな」


楽「”おのでら”に手伝いのアルバイトに行った日の夜、二人きりになったこととか」


楽「肝試しでドキドキしたこととか」


楽「修学旅行でも二人きりになったよな」


楽「クリスマスのデートだって、俺の中では、凄くキラキラした思い出で……」


小野寺「……」



楽「……だけど、さ」


楽「そんな生活の中で、最初は無理矢理押し付けられた千棘との関係が」


楽「関係の質が、だんだん変化していることに気づいたんだ」


楽「アイツの笑っている顔とか、悲しんでいる顔とか、怒っている顔も、全部が俺の心に深く染み込んでて」


楽「……いつしか、俺の中には二人の女の子が住むようになってた」


楽「……俺は一度に、小野寺と千棘の二人を、好きになっちまってたんだ」


小野寺「……」


楽「……ごめんな、小野寺。でもこれが、俺の正直なキモチで」


小野寺「うん。とりあえず、続けて?」


楽「……」



楽「……俺、だって」


楽「俺だって、悩んだんだ」


楽「ずっと昔から想ってる小野寺と、いつの間にか俺の心に入り込んでた千棘と」


楽「凄く不誠実だと思ったし、ひどい話だとも思った」


楽「相手のキモチは分からないけど、俺のキモチはしっかり決めないといけないと思って」


楽「すごく悩んだんだ、本当に」


楽「……だけど」


楽「……」


小野寺「……」


小野寺「……だけど?」


楽「……」



楽「……えっと」


楽「……千棘となら、その」


楽「……腹の底から笑い合って」


小野寺「……」


楽「……一人じゃ、辿り着けないような世界にも」


楽「二人でなら、行けるような気がした、から……」


小野寺「……つまり?」


楽「……つまり……」







楽「……なんとなく……としか、言えねぇかも……」






小野寺「……」


楽「……」


小野寺「……」


楽「……」


小野寺「……一条君」


楽「」ビクッ


小野寺「本当に、それだけなの?」


楽「……そう、だよ」









小野寺「そんな理由で、私は捨てられるの?」








楽「……」


楽「……」


小野寺「……一条君は、10年前の事も、全部思い出しているんだよね」


小野寺「一条君が憧れていたって言う、約束の女の子が、私だって事も」


楽「……」


小野寺「一条君」


楽「……はい」


小野寺「これで、開けてみてくれる?」


楽「……この鍵」


小野寺「早く」


楽「……わかった」


    
         カチャ


楽「……手紙と、指環」


小野寺「……”――大きくなったらくくんへ”」


楽「……?」


小野寺「……手紙の内容。私は、思い出したから」


楽「……」


小野寺「”おとなになったら、らくくんはきっとすごくせがたかくなってるんだろうな”」


小野寺「”はやくおおきくなってあいたいです いっぱい、おはなしもしたいです”」


小野寺「”きっとまたあえると、しんじてます”」


小野寺「”とってもじかんがたってるとおもうけど きっとわたしはらくくんのことがずっと”」








小野寺「……好きだよ」




楽「……」





小野寺「”らくくんはいまも”」


小野寺「”わたしのことが”」


小野寺「”すきですか?”」


楽「……」


小野寺「……これが」


小野寺「一条君が捨てて行こうとした、小さなころの私」


小野寺「そして」


小野寺「ここで涙を流すのが、一条君が捨てて行く、これからの私」


楽「……」



楽「……小野寺、俺」


小野寺「分かるよ、一条君」


小野寺「もう今更、後には引けないもんね」


小野寺「言わせてもらうけど」


小野寺「そんなくだらない理由で、私の事を捨てておいて、今更私の事が好きだなんて、言えないもんね」


小野寺「だけど」





楽「違う!」







楽「俺は、俺は千棘が好きなんだよ」


楽「小野寺の言うような保身からじゃなくて」


楽「本当に、心から千棘の事が好きなんだ」


楽「小野寺から見たら、チンケでチャチなくだらない理由かもしれないけど」


楽「そんなことで、俺のキモチはアイツに向いたんだ」


楽「小野寺には本当に悪いと思ってる、だからこうして嫌な思いしてでも小野寺と話そうとしたんだろ!?」


楽「想いは別の所にあるけど、今までもこれからも、一番の友達でいたいって……」







小野寺「は?」








楽「」ビクッ


小野寺「……」


小野寺「……わかった、一条君」


小野寺「あなたの望むようにしてあげる、だから」


小野寺「一つだけ、なんでも、私のお願いを聞いてくれる?」


楽「……」


楽「おう」




ゴトッ




小野寺「小指、詰めてくれる?」





楽「……」


楽「……小野寺?」


小野寺「ごめんね。さすがに私も、こんな所で刃物なんて持っていないから」


小野寺「この石でお願い。たぶん何度もぶつければ、一本くらいはなんとかなると思うんだ」


小野寺「手はどっちでもいいから。右の方が殴りやすいと思うけど、左薬指の横が空間だと、ちょっと目立つよね」


楽「……小野寺」


楽「……お前、何、言って……」




小野寺「……ケジメだよ、一条君」


小野寺「きっと、これから私は一生、普通のコイなんて出来ないから」


小野寺「友達も信じられないし、他人なんてもっと信じられない。はっきり言って死にたいよ、ホント」


小野寺「だけどそれでも、歯を食いしばって、生きていかなきゃいけないの」


小野寺「……私だって、生きたいから」


小野寺「最愛の人に最低の裏切られ方をしても、いつかきっと、幸せになりたいから」


小野寺「……そんな私の人生の責任を取らずに、自分だけ幸せになろうって言うんだもの」


小野寺「小指くらい、いいよね」


小野寺「これからは、マフィアとヤクザの両方を率いていく一条君だもん」


小野寺「そのくらいの覚悟、ないはずがないよね?」


楽「……」




楽「……冗談、だよな、小野寺」


小野寺「本気だよ」


楽「……」


楽「……ほんと、ごめん、俺、小野寺に」


小野寺「言葉は、もういいよ」


小野寺「後は行動で示して」


小野寺「急がなきゃ」


小野寺「千棘ちゃんだって、待ってるんでしょう?」


楽「……」



楽「……小野寺」


小野寺「なあに?」


楽「……お前、おかしいよ」


小野寺「一条君もね」ニコッ


楽「……いや」


楽「……おかしいのは、お前だけだよ、小野寺」


小野寺「……」


楽「お前を選ばなくて、本当によかった」



楽「だってそうだろ」


楽「俺はちゃんと正直なキモチを伝えて、男らしく正面から謝って、正しいことをしようとしてる」


楽「それなのにお前は、ああだこうだ理屈をつけて、俺の邪魔ばっかりしようとして」


楽「あげくに、指を詰めろって何だよ」


楽「俺がヤクザを継ぎたくないって話、お前だって知ってるはずだろ」


楽「それなのに俺が一番嫌がるやり方で、俺の大切なモノを……」


小野寺「……」


楽「嫌がるやり方で、俺の……」


小野寺「……」


楽「……」


小野寺「……」



楽「……と、とにかく、俺はもう沢山だ」


楽「お前となんて金輪際、一生好き合うことなんてない」


楽「これ以上、俺の邪魔をするのは止めてくれ」


小野寺「……」


楽「……この手を離せよ、小野寺」


小野寺「……」スッ


楽「……じゃあな」ダダッ


小野寺「……」




~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 


ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ 


                     シャリン シャリン シャリン


楽「……ベンダントの鎖か」


楽「……こんなもの


    グッ


楽「……」




  カサカサ  パラッ







”おおきくなったこさきへ”


”おげんきですか ぼくはたぶん げんきです”


”おおきくなってけっこんしたらいっぱいすきなどうぶつをかおうな”


”ゆびわもほんもののものをかってあげます”


”けっこんしたら こさきのりょうりを まいにちたべたいです”







楽「……」


 


           ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ 








~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 


  タッ  タッ  タッ  タッ  



るり「……ああ、いたいた。ようやく見つけたわ、小咲」


るり「あんた一人なの? 千棘ちゃんは? 一条君は……っ」


小野寺「……」


るり「……小咲、あんたいったい何を」


小野寺「……一条君に、私を捨てるなら小指を詰めてってお願いしたら、嫌われちゃったぁ……」ニコニコ


るり「小咲」ダダッ ダキッ


小野寺「……」ニコニコ




るり「小咲、あんたは悪くない、悪くないんだよ」キュッ


るり「あんたは少し真面目が過ぎて、思い込みが強いところがあるから」


るり「ちょっとやりすぎちゃった位なら、誰も怒らないわよ」


るり「一条君だって後で話せば、きっとわかってくれるから」


小野寺「……そう、かなぁ」


るり「うん、うん、きっとそう」


るり「あんたが、一条君が気まずい思いしないようにって、わざと厳しい言葉で送り出したってことくらい……」



小野寺「……」


るり「……」


るり「……小咲?」


小野寺「……これからの、一条君の人生で」


小野寺「ふと、美味しいお菓子を口にしたとき」


小野寺「仲の良い友達と、雑然とした商店街をお散歩したとき」


小野寺「金曜日の夜に、仲良しの家族と食卓を囲むとき」


小野寺「小さな子供のワガママに付き合って、大自然の中で駆け回るとき」


小野寺「色んな時の流れの中で、ただ一瞬だけ、私の存在を思い出す事があると思う」


小野寺「そのたった一瞬が、ニセのコイにされてしまった、私のホントの想いの爪痕」


小野寺「それだけが、私の」











小野寺「ニセコイの逆襲」










~ 数年後 某所 キッチン ~


小野寺「ね、なかなかの仕上がりでしょ?」


楽「ああ、気に入ったよ。こんなに凄ぇウェディングケーキ、世界中見渡したってそうは無ぇよ」


小野寺「ふふ、褒め過ぎだよ一条君」


楽「……ありがとな、小野寺」


楽「小野寺がケーキ作りを申し出てくれた時、千棘の奴が是非にっ! って言うから、つい甘えちまって……」


小野寺「あはは、そうだよね」


小野寺「一条君が私にケーキなんて、作らせたいワケないもんねぇ」


楽「」ビクッ




小野寺「うん?」


楽「あ、え、いや、何でもねぇ」


小野寺「……疲れてるんだよ、一条君」


小野寺「公務員のお仕事とヤクザのお仕事、両方やりながら結婚式の準備も進めてるんでしょう?」


小野寺「こっちのことは、私に任せて?」


小野寺「……大丈夫」


小野寺「私達の友情にかけて、このケーキにおかしな手は加えないよ」


楽「……小野寺っ、」


小野寺「ウフフ、冗談冗談」


楽「……っ、はっ、はぁ……」


小野寺「じゃあ、次は式の日にね。それじゃ」



~ 数時間後 天駒高原 ~


千棘「……遅い遅い遅~いっ!!30分遅刻よ、アンタ私が忙しいの知ってんでしょ!?」


楽「……おう」


千棘「全く……新しい仕事が忙しいのは分かるけどさ、限度があるでしょ限度が……」


千棘「……って、今日はウェディングケーキの試作品見に行く日だったっけ。小咲ちゃんと会ってて遅れたの?」


楽「……あ、ああ、そうなんだよ。細かいところの修正とか、ちょっと、かかっちまって……」


千棘「それならそうと早く言いなさいよ。あーあ、私も久々に会いたかったなぁ」


千棘「卒業後もちょくちょく遊んでくれる友達って、小咲ちゃんくらいだもんね」


千棘「そう言えばこの前韓国に行って、美味しいキムチの店見つけたんだよ。今度お土産に持ってこようかな」


千棘「結婚後の新居だって小咲ちゃんのトコと近いし、これからが楽しみね、ダーリン♪」


楽「……」



千棘「それよりさ、例のあれ、持ってきた?」


楽「」ビクッ


千棘「もう、忘れちゃったの? 前のペンダントは、小咲ちゃんとも相談して、ここに埋めちゃったじゃない」


楽「……」ガタガタ


千棘「だから、アンタと私で、新しい鍵と」


楽「……」ガタガタガタ


千棘「新しい錠を差し合わせて」


楽「……」ガタガタガタガタガタガタガタガタ










千棘「ザクシャ イン ラ――――」












            ドンッ






千棘「きゃっ」


     ダダダダダッ



楽「ぐっ、げぼっ、ごほっ」


ドボ ドボドボドボ ドボドボドボ






楽「げはっ、ごっ、おえっ、えっ、おえええええええええっ」


楽「げっ、げえっ、げえええええええええ………」










                 ~ おしまい ~





小野寺「どうして、万里花ちゃんの想いには応えてあげなかったの?」
楽「それは……」
楽「……あの時は、小野寺の事が、好き、だったから……」

寒気がした、考えるまでもなく主人公として、ちぐはぐすぎるだろ

前作や前々作のように強さと弱さを重ね持った楽を今回も期待してたんだけどなぁ
まあ面白かったよ

千棘を選んだ理由等、大きなところはおおむね原作準拠です。


>>68
過去2作も楽しんでいただけたようで、本当にありがとうございます。
今後とも(機会があれば)お付き合いいただけると幸いです。

おつ
>>1でも流石にこれはダメだったか

捻じ曲げないとどうしようもないしなあ、恋愛としてチャチすぎる

>>57
千棘「卒業後もちょくちょく遊んでくれる友達って、小咲ちゃんくらいだもんね」

あっ…(察し)

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