【ガルパン】みほ「同盟バトルロイヤル?」 (106)


・・・・・・

~生徒会室~


桃「今日貴様を呼んだのは他でもない。試合が決まった」

みほ「それがこの同盟バトルロイヤルっていう練習試合ですか?」

杏「なんか戦車同連盟が新しいタイプの試合を作るらしくて、そのテストとして高校戦車道のめぼしい高校に声をかけてるらしいよ」

みほ「また変な話が持ち上がってますね……」

杏「プロリーグ設置も近いし、盛り上げるためにあの手この手なんじゃない? なんかうまくいったらプロリーグにもこの同盟バトルロイヤル戦が加わるかもって話だよ」

みほ「それで、私達もそれに参加するんですか?」

杏「そゆこと」

柚子「ルールだけど、この紙1枚だけが送られてきたの」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1464754591


 【第1回同盟バトルロイヤル戦 ルール】


・当試合は高校戦車道公式戦ルールを前提とする

・試合形式は、2校1チームで同盟を組み、4チーム(計8校)でバトルロイヤル形式の殲滅戦とする

・チームカラーは赤、青、黄、黒の4つであり、全ての参加戦車が周りから見えるようにチームカラーフラッグを車体又は砲塔上部に付けなければならない

・使用する戦車数は各校1~3輌とする

・同盟校は、試合前の公正なくじ引きによって決められる

・現時点(当試合)では、これがルールの全てである

・なお、当試合に勝利したチーム校には戦車同連盟より商品が贈られる


みほ「な、なんてアバウトな……」

柚子「問い合わせたところ、この試合でまず試合として成り立つかを見て、将来的に色々付け足していくらしいよ」

杏「いいじゃん。ルールはガバガバな方が盛り上がるよ~」

桃「そこで、この試合に使う戦車を選抜するのだが……西住、貴様に一任する」

みほ「いいんですか?」

杏「うん。あ、別に3年だからってウチらを選ばなくてもいいからね。思い出作りはもうこれでもかってくらいできたし」

みほ「分かりました……じゃあ」

柚子「もう決まったの?」

みほ「はい。この試合はバトルロイヤルなわけですから、様々な戦局に対応できる万能性と機動力、あとはそこそこの火力があればいいですね……まず回転砲塔は必須――」


みほ「だから今回はあんこう、レオポンさん、アリクイさんで行こうと思います」

杏「了解。じゃあその編成で返事しちゃうね」

桃「決して無様な戦いだけはするなよ! 負けることは許さん!」

柚子「頑張ってね!」

みほ「あはは……頑張ります」

杏「勝ったら賞品も貰えるからねー! どんなか楽しみだね! 100万円相当の干し芋だったりしないかな?」

桃「流石に連盟ですし……戦車のパーツとかではないでしょうか」

柚子「ただの練習試合ですから……ストラップとかじゃないですか?」

桃「参加賞かっ!」


・・・・・・

~試合当日・富士見演習場~


優花里「試合会場はここですかぁ! またここに来られて幸せですっ!」

華「ここに来ると決勝戦を思い出して体が熱くなってきますねぇ」

麻子「その熱を分けてくれ……眠い……」

沙織「賞品ってなにかな? イケメンかな!?」

みほ「流石にそれはないんじゃないかな……」アハハ


ねこにゃー「西住さん、ボク達を選んでくれてありがとう」

ももがー「頑張って敵を倒すナリ!」

ぴよたん「なんでも言ってほしいずら!」

みほ「う、うん……期待してます」


みほ「ナカジマさん達も、よろしくお願いします」

ナカジマ「あいよっと」

ホシノ「やっぱりレオポンの火力は必要だし」

スズキ「相手は黒森峰やプラウダだからね~」

ツチヤ「それに超音速の貴公子MK=Ⅱが試せるし!」


 ピンポンパーン


『これよりチーム決めのくじ引きを行います。各校の隊長は本部までお越しください』


みほ「行ってくるね」

沙織「いってらっしゃーい」

華「そういえば今回参加する高校はどこでしたっけ?」

優花里「確かウチと聖グロ、サンダース、アンツィオ、プラウダ、黒森峰、知波単、継続高校ですね」

麻子「ちょうど8校か」

沙織「どこが味方になってくれるんだろうね~黒森峰がいいな~戦車強いし」

優花里「そうですねぇ……黒森峰は確実にティーガーで来るでしょうから、仲間ならば心強いんですが」

麻子「プラウダも重戦車がいるし、捨てがたいぞ」

華「みほさんのくじ運に期待しましょう」


・・・・・・

~本部テント~


亜美「皆揃ったわね? それでは、1人ずつこの箱からくじを引いていって。紙が折りたたまれた紙が入っているから」

カチューシャ「カチューシャが一番よ!」ゴソッ

アンチョビ「あっ、ずるいぞ!」ゴソッ

亜美「はいはい押さない押さない。それと、紙は試合開始直前まで開かないでね」

ケイ「What? それじゃチームが分からないじゃない」ゴソッ

亜美「フフッ……そういう狙いよ」


ダージリン「ふぅん……なるほど、そういうゲームですのね」ゴソッ

西「どういう意味ですか?」ゴソッ

まほ「最初に遭遇する相手が敵か味方か分からない緊張感の演出だろう」ゴソッ

みほ「ミカさん、どうぞ」

ミカ「お先にどうぞ。残り物には福がある……」

みほ「では」ゴソッ

まほ「みほ、できれば同じチームといきたいところだが……そうそうなるまい。手加減はしないぞ」

みほ「うん! 正々堂々頑張ろうね」


・・・・・・


優花里「あ、おかえりなさいませ西住殿!」

沙織「さっき各校の戦車の編成が発表されたよ」

みほ「そうなの?」

優花里「やはり黒森峰はティーガーとパンターで固めて来てました……」

華「私達の同盟相手はどこでしたか?」

みほ「それが、分からないの」

麻子「どういうことだ?」

みほ「試合が始まるときにこの紙を開くらしいんだけど……」

沙織「でももうすぐ試合開始だしー」


係員「あ、大洗の隊長さんですよね? チームカラーを教えてもらっていいですか?」

みほ「え? あ、はい」ピラッ

みほ「私達の色は……青です」

係員「青ですね。じゃあこの青色の旗を取り付けますね」ヨイショ

優花里「手伝いますー!」

ねこにゃー「力仕事はボク達にお任せ!」

麻子「なるほど、これでどのチームか一目でわかるようにするんだな」


『これより、同盟バトルロイヤルを始めます。各車両は指定の位置に移動してください』


沙織「みぽりん、頑張ろうね!」

みほ「うん! それじゃあ皆さんいきますよ。パンツァーフォー!」


 戦車編成

大洗女子:Ⅳ号、ポルシェティーガー、チヌ

聖グロリアーナ:チャーチル、マチルダ、クルセイダー

サンダース:M4シャーマン、M4A1シャーマン(イージーエイト)、ファイアフライ

アンツィオ:CV33、セモベンテ

プラウダ:T-34/85、T-34/85、IS-2

黒森峰:ティーガーⅠ、ティーガーⅡ、パンターG型

知波単:チハ旧砲塔、チハ新砲塔、九五式

継続:BT-42、KV-1

続きは夜にでも
何番煎じとかだったら申し訳ない


・・・・・・

~平原地帯~


『それでは、これより同盟バトルロイヤル、テストマッチを開始します!! 試合開始!!』


みほ「とりあえず私達と同じ青チームを探しましょう」

沙織「せめて同じチーム同士で無線が使えればいいんだけどねー……」

華「もしいきなり目の前に戦車が来たら同じチームでも咄嗟に撃ってしまいそうで怖いです……」

麻子「それよりこんな開けたところに居ていいのか?」

みほ「そうですね……では森に移動します。森の中を移動しながら他校を探しましょう」

麻子「りょーかい」ガチャッ


ナカジマ「ん? 気のせい……いや」

みほ「どうしました?」

ナカジマ「西住隊長、今丘の向こうにチラッと何かが見えたけど」

みほ「戦車でしたか?」

ナカジマ「どうだろう……結構大きかったから戦車だと思うよ」

みほ「どこかのチームに見られた……すぐに移動しましょう」

ねこにゃー「了解だにゃー!」


・・・・・・

~森~


麻子「森に入って20分くらい経ったが……ふあぁ……静かだ」

ホシノ「砲撃音とかも聞こえないし……もしかしてこの辺りがスタート地点だったのはウチだけとか?」

沙織「偵察のアリクイさん、森の周りに敵影はありますか?」

ねこにゃー『特に無し……うーん、しばらく芋ですな』

スズキ「まぁ勝手に他で潰しあってくれればいいけどねぇ」


ねこにゃー『こちらアリクイ! 森に近付いてくる戦車を3輌発見!!』

みほ「どこの高校ですか?」

沙織「3輌ってことはアンツィオと継続は除外だね」

優花里「アンツィオはCV33とセモベンテ……P40は間に合わなかったんですね。継続さんは大学選抜戦でも使っていた自走砲に重戦車KV-1ですし」

華「噂によると、P40を壊したのってダージリンさんみたいですよ」

沙織「えっ!? 全国大会の時に壊れたんじゃないの!?」

華「なにやら月刊戦車道の催しの時に乱暴な運転をして長期入院させたと」

優花里「人って見かけによりませんね……」


ねこにゃー『チャーチルにマチルダにクルセイダー……グロリアーナ!』

麻子「噂をすればか」

みほ「皆さん、エンジン始動! 最悪の場合レオポンさんを殿にしてこの場所を放棄します!」

ねこにゃー『あ、待って西住さん。向こうの旗の色、青!』

スズキ「味方だ!」

沙織「聖グロが味方かぁ」

優花里「頼りになりますね!」


・・・・・・


ダージリン「よかったわ。旗を見ずに攻撃されたらどうしようかと思いましたの」

みほ「こちらも早い段階から味方と合流できてよかったです。でも何で私達の場所が分かったんですか?」

ダージリン「クルセイダーを斥候に出していてね。たまたまあなた達を見つけたのよ」

ナカジマ「さっき見たのはクルセイダーだったのかぁ」

ダージリン「ちょうど仲間で助かったわ。運が良いわね私達」

みほ「……そうですね」


ダージリン「それで、これからどうしましょうか」

みほ「まだ他のチームの状況も分からないですし……とりあえず市街地に行ってみましょう」

ダージリン「市街地ね。この前の決勝戦であなた方が黒森峰とドンパチ派手にやったところでしたわね」

みほ「あそこなら遭遇戦になっても逃げやすいですから」

ダージリン「賛成ですわ。それじゃあ行きましょうか」


・・・・・・

~市街地~


クラーラ「このファシストの豚共が! 我ら同志の正義の鉄槌を受けよ!!」(ロシア語)

エリカ「劣等人種の分際で調子に乗りやがって! そのガラクタから今すぐ引きずりおろしてやる!!」


西「こ、こちら西……市街地はものすごい激戦です。この砲撃音は88mmと122mmと……どうやら黒森峰とプラウダが争っている様子」コソコソ

ケイ『黒森峰とプラウダの戦車は見える?』

西「いえ。ですが砲撃音が絶え間なく続いています」

ケイ『なるほど……市街に近付くのはナシね。それじゃ戻ってきて!』

西「はい!」


・・・・・・

~山~


西「ただいま戻りました!」

福田「おかえりなさいませ西隊長!」

西「ここは全国大会の決勝戦で大洗が防衛陣地に使ったはげ山ですね」

ケイ「とりあえずこの山なら辺りを見渡せるわね。見えたら教えて」

玉田「はい。我ら黄色軍、敵が見えたら総突撃!」

アリサ「いやだから突撃はダメよ」

ケイ「あはは! そうねー突撃もいいかもねー」

ナオミ「悪いが行進間射撃はノーよ」

福田「ん……? 西隊長! なにやら戦車らしき影が6輌!」

西「どこだ!」

ケイ「Oh、あれは大洗とグロリアーナじゃない!」

西「旗の色は青……進軍ルートは市街地かと」

ナオミ「いや、こちらに気付いたようよ」


・・・・・・


ローズヒップ「ダージリン様! なにやらあの山の上に戦車が陣取ってますわ!」

ダージリン「サンダースに知波単ね。みほさん」

みほ「向こうもこちらを見つけています。交戦は避けられませんね……」

アッサム「しかし敵は高地です。敵には17ポンド砲もいますし不利かと……」

ダージリン「あら、そんなことはなくてよ? このチャーチルの最大152mmの装甲と登坂性能を活かすには……もってこいのシチュエーションではないの」

ルクリリ「不整地なら我々の独壇場ですね!」

ダージリン「そういうこと。そういうわけで我々は真正面からじわじわと締め上げることを提案いたしますわ」

みほ「分かりました。では二手に別れて登りましょう。ダージリンさん達は正面から、私達は側面から登ります」

ダージリン「ローズヒップ、あなたは一足先に市街地の様子を見てきて。敵と遭遇しても決して戦わないこと」

ローズヒップ「かしこまりましたでございますわ!」


ケイ「来たわよ! Fire!!」

ナオミ「チャーチル……抜ける?」

アリサ「ファイアフライの火力を見せてやりなさい!」

西「玉田、福田。これは防衛戦だ! 突撃は控えろ!」

玉田「はい! 防衛的突撃ですね!」

福田「その場に留まる形の突撃ですね!!」

西「んん?? あ、ああそうだ」

ケイ「チハタンズは側面から来る大洗を迎撃して!」

西「ハッ! 了解です!」


ナカジマ「山の上に知波単3輌。こっちの相手はあれらみたいだね」

優花里「突撃してきませんね」

沙織「絶対目が合ったら突撃してくると思ったのに!」

みほ「華さん、狙えますか?」

華「稜線をうまく使われていて……狙えません」

みほ「アリクイさんレオポンさん、横一列になってじわじわと山を登りましょう。こちらも稜線を使えばそうそう当たらないはずです」

ねこにゃー・ナカジマ「了解!」

今日はここまで


アリサ「ぐぬぬぬ……! チャーチル正面硬すぎるわよ!!」

ケイ「チャーチルの後ろにはマチルダがピッタリくっついてるわね」

ナオミ「ここからでは狙えない……」

ケイ「なら近付いてきたところで横っ腹に飛び出しましょう! ナオミ、大洗にも注意ね!」

ナオミ「イエスマム」


西「よし、撃て!」

玉田「地面に着弾!」

福田「稜線でうまく狙えないであります!」

西「それは向こうも同じこと! 地の利は得ているから落ち着いて対処すればいい」


みほ「ダージリンさん、どれくらい持ちます?」

ダージリン「向こうはディフェンス。私達次第じゃない?」

みほ「なら、一旦停車。稜線を使ってそのラインを確保してサンダースの頭を向かせていてください」

ダージリン「了解」

ナカジマ「うーん、向こうも地形をうまく使ってて、撃っても当たらないなぁ」

ねこにゃー「右に同じ」

優花里「知波単が守りをするなんて……」

沙織「前までは考えられなかったね」


華「どうします? ぶっちゃけアレの火力ならレオポンさんを突っ込ませれば勝てそうですけど」

みほ「アレ見て」

麻子「ファイアフライがこっちを見たら普通に狙われるな」」

みほ「下手に飛び出してファイアフライに狙われたらひとたまりもないから、迂闊には突撃できない……」

ナカジマ「じゃあどうする?」

みほ「…………なら、揺さぶりをかけましょう。レオポンさんアリクイさん、稜線から飛び出してください。でもすぐ戻って」

ねこにゃー「煽りですな! 了解!」


西「落ち着け! 大学選抜との試合を経て、我々は待つということを学んだはずだ!」

玉田「しかしもどかしいであります!」

西「ま、まぁ確かにあと少しで当てられるのに当てられないというのはもどかしいが……」

玉田「西隊長、ほんの少し! ほんの少し我々も飛び出れば当たるのでは!?」

西「……確かにそうだが…………」

福田「え!? しかしそれでは……」

玉田「福田、我らの突撃は伝統……しかしそれを封じることで大学選抜では活躍できた…………だが敢えて原点に戻ってみたらより活躍できるのではないか!?」

福田「げ、原点戻り?」

玉田「大丈夫です! ちょっとだけ、先っちょだけです!!」

西「うむ、まぁいい! 価値はあるだろう!」

福田「えーっと、結局どっちでありますか?」

西「ちょっとだけ吶喊!!」

>>36>>37の間抜けてた


玉田「西隊長、大洗が飛び出してきました!」

西「よし、撃て!」

福田「外しました!」

玉田「おのれぇ少しだけ頭を出して……!」

福田「また出てきました!」

玉田「あ、また外した! くそおおもう少しで当たるのにすぐに戻るから当たらない!」


ツチヤ「ほれほれ~こうされたらもどかしいだろ~」

ももがー「これゲームだったら確実にやられてるけどリアルなら当たらないなり~」

ぴよたん「まあ当たりそうになったら最悪手で止めればいいぞな」

みほ「これを続ければ知波単の皆さんなら我慢できずに飛び出して撃ってくるはず」

ダージリン「そこを私達が狙うの?」

みほ「できたらお願いします」

ダージリン「アッサム」

アッサム「大丈夫です」


西「よーし、前進! 少しずつ、少しずつだぞ!」

福田「ソローリソローリ」

西「ムッ、出てきたな大洗!」

玉田「やるぞ! 狙え!」

福田「ま、まだ狙うには……」

玉田「ならもう少し出ればいい! 前進!」

西「あ、ちょっと待て! チャーチルが狙っている!」


 ダァン!!


アッサム「入れ食いですわ」

玉田「ぐわあぁぁあっ!!」ポシュッ

西「玉田ーー!!」

みほ「よし、アリクイさんはちょっと飛び出してください。 レオポンさんは――」


ケイ「Shit! チハタンズが浮足立ってるわ!」

ナオミ「三式中戦車が飛び出してきた」

アリサ「撃っちゃいなさいよ!」

ナオミ「よし…………ッ!?」

ホシノ「もらったよ」

ナオミ「Jesus……!」


 ダァン! ポシュッ


ナカジマ「ファイアフライ撃破!」

みほ「突撃!」

ダージリン「私達も突撃よ」

ケイ「総崩れね……撤退!」

アリサ「イエスマム!」

ダージリン「サンダースは放ってきなさい。知波単をまずやるわよ」

みほ「いいんですか?」

ダージリン「ええ」

みほ「……分かりました。全車、知波単の車輌を狙ってください!!」


・・・・・・


ケイ「まさかここまでやられるとは思わなかったわね……」

アリサ「どうします? 知波単は全滅。こっちもファイアフライを失って……」

ケイ「まだ私達がいるわ。こうなったら混戦に突っ込んで――」


 ダァン!!


アリサ「ぎゃっ!?」ポシュッ

ケイ「アリサ!? どこから…………ッ、KV-1にBT!!」


 ダァン!!


ミカ「シャーマン2輌の撃破を確認」

ミカ「悪いね、これも賞品のためさ」ポロロン

アキ「きっと戦車くれるよ!」

ミッコ「いや、ご飯食べ放題無料券だろう!!」


・・・・・・


みほ「なんとか勝てましたね」

ダージリン「ええ。皆さんよくやってくれましたわ」

アッサム「ダージリン、ローズヒップから」

ローズヒップ『こちら市街地のクルセイダーですわ!』

ダージリン「どう?」

ローズヒップ『なんかドッカンドッカンやっててすごいですわ! なんかドッカンすごいですわ!!』

ダージリン「どことどこがやっているの?」

ローズヒップ『どうやら黒森峰と……うーん、あれはプラウダですのね』


ダージリン「分かったわ。戻ってきなさいローズヒップ」

ローズヒップ『了解でございますわー! あ、でも今なんかプラウダに見つかって――』


 ダァン! ガガッ、ピーーーーーーー…………


ダージリン「…………市街地で黒森峰とプラウダが激戦……ふぅん」

ダージリン「みほさん、当初の予定通り市街地へ向かいましょう」

みほ「しかし激戦区に行くのは……」

ダージリン「2校の内どちらかを先に倒してしまえば、残った方は私達で十分倒せるわ」

みほ「でも黒森峰とプラウダがどことチームを組んでいるかも分からないですし」

ダージリン「継続とアンツィオ……継続はともかくとして、アンツィオは数に入るかしら?」

みほ「セモベンテの砲は侮れません。黒森峰とプラウダは正面から撃ちあえる戦車を持っていますが、あの2校は――」

ダージリン「…………そうね。ごめんなさい」

みほ「えっ?」

ダージリン「どうやらローズヒップがやられて頭に来ていたみたい。どうにかしてやりかえしてやろうと……」


ダージリン「みほさん、あなたに従うわ」

みほ「そんな、今回はチームで対等ですから……」

ダージリン「……」

みほ「…………分かりました。市街地に行きましょう」

ダージリン「みほさん?」

みほ「元々市街地なら遭遇戦でもやりやすいということでしたし、ダージリンさんがそこまで言うなら、私も……」

ダージリン「……ありがとう、みほさん」

みほ「いいえ。でも相手は重戦車が多くなりますから、建物を利用してうまく立ち回りましょう」


・・・・・・


小梅「隊長、クルセイダーを撃破したとの報告がありました」

まほ「分かった。もう少しこのままここにいるか」

エリカ「隊長、そろそろ……」

まほ「もう少しの辛抱だ」


カチューシャ「ねぇノンナーまだー?」

ノンナ「もう少しですよ」

クラーラ「ノンナ様、黒森峰が砲撃の手を緩めつつあります」(ロシア語)

ノンナ「そうですか……ならこちらも緩めましょう」(ロシア語)

カチューシャ「ちょっと、何話してるかくらいせめて教えてよ!

ノンナ「クラーラの今日のお弁当は助六だそうです」

カチューシャ「渋っ! ってそれわざわざ報告すること!?」


・・・・・・


みほ「市街地に入りましたね……」

沙織「遠くから砲撃音が聞こえるよ」

ダージリン「砲撃音は同じ場所から……つまり、お互い釘付け状態ってことね」

優花里「市街地なのに釘付けってすごいですね。T-34なら回り込む戦法も取れるのに」

華「黒森峰がそうさせていないのでは?」

沙織「お互い3輌しかいないのにすごいね」

みほ「戦車戦は大部隊での戦闘だけじゃないから、黒森峰は少数での戦闘も訓練してるよ。プラウダもそれに精通してるのかも」

麻子「油断はできないということだな」


ダージリン「それでみほさん、どちらから叩こうかしら?」

みほ「黒森峰の火力は恐ろしいですが、プラウダの機動力はこの市街地では脅威です。まずはプラウダを潰しましょう」

ダージリン「了解」

オレンジペコ「あ、あのダージリン様……IS-2の122mmはたとえチャーチルと言えど抜けるのでは……」

ダージリン「当たらなければいいのよ」

オレンジペコ「市街戦でこの車体の長さは……」

ダージリン「相手がおヘボなのを祈りなさい」

みほ「私達が先行するので、グロリアーナの皆さんは後詰をお願いします。プラウダを背後から奇襲します」


沙織「でもみぽりん、砲撃音がするから場所は大体分かるとして、どうやって黒森峰かプラウダかなんて判断するの?」

みほ「砲撃音で大体分かるよ」

優花里「私もです!」

華「流石ですね」

みほ「それじゃあこっち……パンツァーフォー」

ダージリン「楽しみですわね」


・・・・・・


まほ「……そろそろいいだろう。砲撃停止」

エリカ「撃ち方やめぇ!」


ノンナ「黒森峰が砲撃をやめた……」

カチューシャ「ならこっちも砲撃中止よ!」

クラーラ「はい」


 ビリビリ……


ノンナ「地響き……!」

カチューシャ「ええ。いいタイミングよね」ニヤッ


みほ「この先のハズ……!」

ナカジマ「飛び出しと同時に撃つよ!」

ねこにゃー「いくにゃー!」

みほ「よし、この角を曲がった同時に任意発砲!」

麻子「曲がるぞ」グイッ

みほ「T-34とスターリンを視認!」

華「いきます!」

ホシノ「発射!」


ノンナ「同志カチューシャ、背後から大洗の車輌!」

クラーラ「ッ!」

カチューシャ「慌てないで! 前進!」


華「逃げていきます」

ぴよたん「1輌だけでも……!」

みほ「追いましょう。うまくいけばグロリアーナと挟み撃ちにできる」

麻子「どうやらプラウダは赤チームらしいな」

優花里「色的にはお似合いですね」


沙織「ウチらが青チームでサンダースと知波単が黄色チーム……プラウダとどっかが赤なら……黒森峰が黒チーム?」

華「くじ引きの神様ってダジャレがお好きなんでしょうか?」

みほ「市街地で見失ったら回り込まれる可能性があるから……決して見失わないようお願いします」


カチューシャ「追ってくるのは大洗だけかしら?」

ノンナ「はい。3輌のみですね」

クラーラ「建物の向こうにチャーチルとマチルダ!」(ロシア語)

ノンナ「グロリアーナが回り込もうとしているようです」

カチューシャ「ならそいつらでいいかしら」



ダージリン「さて、お芋堀りといきましょうか」

ルクリリ「見えたら撃ちますね!」

ダージリン「ええ…………発射」


 ダァァン!!


ルクリリ「ぎゃっ!?」ポシュッ

ダージリン「ッッ!?」


ダージリン「こちらダージリン、マチルダが撃破されたわ」

みほ「ッ!? 前方のプラウダは発砲してない……!」

ダージリン「プラウダとは違う方向からよ……どうやら、悪い状況みたいね」

ダージリン「マチルダを攻撃したのは88mm……赤い旗のティーガーよ」

沙織「ええっ!? じゃあ今までの砲撃音って……」

みほ「空砲……」


まほ「獲物はかかった」

カチューシャ「すり潰してあげるわ!」

今日はここまで

罠だったのか。でも
>>クラーラ「このファシストの豚共が! 我ら同志の正義の鉄槌を受けよ!!」(ロシア語)
>>エリカ「劣等人種の分際で調子に乗りやがって! そのガラクタから今すぐ引きずりおろしてやる!!」
ここ絶対演技じゃないだろw


ナカジマ「ど、どうする……?」

みほ「黒森峰とプラウダに挟まれてる……なんとか市街路を使って逃げないと」

ノンナ「させません」

ねこにゃー「ヒィ! あ、IS-2が回り込んできた!」

みほ「来た道を!」

クラーラ「後退は許されない! 前進せよ!! 前進! 後退した者は銃殺!!」(ロシア語)

ナカジマ「退路もT-34で塞がれてるよ!」

カチューシャ「フッフーン! どう? 私の考えた大胆なカチューシャ戦術は」

まほ「争っているフリをして他を誘い込むのはよしとしよう。だが仮に他のチームが我々両方の旗の色を見たらどうするつもりだった? 完璧な作戦とは言い難い」

カチューシャ「いちいちうっさいわね! それにアンタ達がちゃんと身を隠してたんだから両方見られるなんてありえないでしょ!」


アッサム「ダージリン」

ダージリン「慌てないの。こんな諺をご存知でしょう? 死中に活あり」

オレンジペコ「しかし、いくら装甲の厚いチャーチルと言えど……」

ダージリン「まあそうよね……みほさん達と合流しましょうか」

まほ「大洗と合流するつもりか……まあいい。4輌まとめて殲滅するぞ」

エリカ・小梅「了解!」

カチューシャ「命令するのは私よ!」


みほ「まだチャーチルは健在です。厳しいですが、完全に詰んだわけではありません」

優花里「しかし包囲されたこの状況では……」

ねこにゃー「ゲームだと一瞬で溶けますぞ!?」

ダージリン「みほさん」

みほ「っ、はい?」

ダージリン「流石に黒森峰には旗色が悪いわ。お任せしてもよろしいかしら?」

みほ「いいですけど、プラウダを1輌で相手するつもりですか?」

ダージリン「122mmにさえ気を付ければ、少しは持ちましてよ」

みほ「分かりました」


まほ「そろそろ頃合いだろう。全車、発砲許可」

カチューシャ「アゴーニ!」

ナカジマ「撃って来たよ!」

みほ「ッ、建物を盾にして!」

ツチヤ「うわっ、もっと隠れなきゃ!」

ナカジマ「砲撃が苛烈だね」

みほ「華さん、狙えますか?」

華「ここからは……建物が邪魔です」

麻子「これ以上出たら多分撃たれるぞ」


カチューシャ「包囲を狭めなさい! じわじわと締め上げてやるのよ!」

まほ「こちらも狭めろ」

優花里「西住殿、そろそろまずいですよ!」

みほ「……打開策も、浮かばない……」

ダージリン「みほさん、こんな諺を知ってる?」

みほ「なんですかこんな時に!」

ダージリン「……ごめんなさい」

みほ「あ、いいです。言ってください」

ダージリン「いいの? なら……ゴホン。順境は友を作り、逆境は友を試す」

麻子「それがどうした」

ダージリン「逆境が私達を試しているのだとしたら、それに合格したらどうなるかしら」

みほ「……?」


ダージリン「逆境の向こうにあるのは、順境よ」


 ダァン!!


クラーラ「なッ!?」シュポッ

カチューシャ「え?」

ノンナ「クラーラ! どこから……」

ダージリン「また茶柱が立ったようね」


まほ「なに? プラウダが?」

エリカ「奴らに反撃の余地は無かったハズ!」

まほ「まさか包囲の外……他のチームか……!」


ミカ「ご覧、あそこに戦車があるよ」

アキ「きっと捨てられたんだよ。再利用しなきゃ!」

ミッコ「戦車置いてけオラァ!!」

ノンナ「BT-42とKV-1! 狙っています!」

みほ「あれは、継続の車輌!!」

カチューシャ「継続高校ォォォォォォォォォォァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ!!」

ミカ「トゥータ」

ノンナ「カチューシャ、危ない!」


 ダァン!! ポシュッ


ダージリン「IS-2の撃破を確認。これでプラウダはディナーの兎ね」

みほ「レオポンさんアリクイさん、前進! 黒森峰に突撃します!!」


エリカ「隊長、プラウダが!」

まほ「イレギュラーか……うまくいかんものだ」

華「これなら狙えます」ダァン!

小梅「きゃぁっ!」ポシュッ

華「敵戦車~撃破です」

優花里「ぉお見事です!」

エリカ「小梅! 大丈夫!?」

小梅「すみませ~ん……」

まほ「大洗が来る。一時退くぞ」


ナカジマ「逃がさないよ! ツチヤ!」

ツチヤ「オッケー! 今度は自爆したりしないよ!!」ポチッ


 ブオオオォォォォォォォッ!!


エリカ「速ッ! ってあれはこの前の!」

ナカジマ「超音速の貴公子MK=Ⅱ! 出力も10%アップ!!」

みほ「アリクイさんはレオポンさんの後ろについて、接近したらティーガーⅡを狙ってください!」

エリカ「チヌ風情がこのキングタイガーをやれると思うなッ!」ダァン

ももがー「オッシャラー!!」ガチャガチャ

エリカ「避けた!? なにあの動き!」

ももがー「これが鍛えた結果ナリよ!!」

ぴよたん「発射!」ダァン!

エリカ「ッ、履帯が!」


ナカジマ「トドメー!」

まほ「させるか!」ダァン!

ナカジマ「うわわっ! ツチヤ停車! 停止!!」

ツチヤ「うおおっ!?」

まほ「チッ、外したか……」

ねこにゃー「後は任せるにゃー! ほい!」ポイッ

ぴよたん「筋肉装填!」パシッ、ガシャン

みほ「真後ろにつけて接射してください!」

ももがー「お任せももんが!」

ぴよたん「これでフィニッシュぞな!」ダァン!

エリカ「おのれぇぇぇ!!」ポシュッ

ねこにゃー「TIGER TANK DESTROOOOOOOOOY!!」


まほ「クッ……!」

ナカジマ「あ、逃げた!」

みほ「背後を取られないよう警戒してください」

華「まさかこの状況をひっくり返せるなんて思いませんでした」

沙織「正直負けると思ったよ……」

麻子「あそこで継続が来なかったら負けてたぞ」

優花里「チームは違っていても敵は共通ですから……でも継続さんがこちらを狙って来たら危なかったですね」

ナカジマ「漁夫の利を得たかったんじゃない? 全部潰したかったんなら強い赤チームを先に削るのがセオリーだし」

スズキ「まさにバトルロイヤルだね」

みほ「そういえばプラウダは……」


カチューシャ「この戦車泥棒が! そのKV-1撃破してあげるから返しなさいよ!!」

ミカ「泥棒なんて人聞きの悪い。それにこのKV-1はそちらが快く貸してくれたものじゃないか。無期限で」

カチューシャ「貸した覚えはないわよ!!」ダァン!

ミカ「おや…………『ウチの』KV-1をよくも撃破してくれたね」

カチューシャ「継続みたいな貧乏校じゃ直せないでしょ! ほら直してあげるから返しなさい!」

ダージリン「ついでにアンツィオのP40も直してあげてね」

カチューシャ「それはアンタが直しなさいよ! って、いつの間に回り込んで!?」

アッサム「ごめんあそばせ」ダァン!


 ポシュッ


ダージリン「プラウダの全滅を確認。あとは逃げた虎さんね……」

みほ「ダージリンさん、BTからの砲撃も注意してください!」

ダージリン「ええそうね。なにせ、あちらは敵さんなわけだから」


ダージリン「なんとか切り抜けられたわね」

みほ「はい。しかしまだ試合は終わっていません……」

ダージリン「継続高校をなんとかしないとね」

みほ「あと今まで遭遇してはいませんけど、アンツィオもセモベンテはそれなりに脅威です」

ダージリン「アンツィオ? ああ、そうね……」フフッ

みほ「?」

ダージリン「いえ。あ、そうそう」

みほ「どうしました?」


 ダァン!! 


ねこにゃー「にゃああっ!!?」ポシュッ

みほ「…………え?」

優花里「ちゃ、チャーチルが……アリクイさんを……!」


ミカ「ほうら、急がば回れだろう?」

アキ「そうだね!」ダァン!

ナカジマ「うわぁっ!?」ポシュッ

みほ「BT!? なんで……!」

ダージリン「今まで頑張ってくれたみほさんに、こんな格言を送るわ」

ダージリン「『狩りは獲物を仕留めた時が一番危ない』」

オレンジペコ「ハンターxハンターですね」

みほ「ッ、まさか今までずっと……!」


ダージリン「さて、そろそろこの青い旗も不要ね」

アッサム「こちらを」

ダージリン「ええ」

華「チャーチルが青い旗から、黒い旗に付け替えてます!」

沙織「ええっ!!? なにそれ反則じゃないの!?」

ダージリン「別にルールの中に『他のチームの旗を奪って差し替えてはならない』という文は無かったわよ?」

ミカ「そういうことさ」

みほ「じゃあ、本当の青チームは……」

ダージリン「アンツィオの皆さんは、今頃どこかしらね?」


・・・・・・

~試合開始直後~


ダージリン「さて、まずは同じ黒チームでも探しましょうか」

アッサム「そうですね」

ローズヒップ「ダージリン様! なんかあっちに戦車ですわ!!」

ダージリン「旗は?」

ローズヒップ「黒ですわ!」

ダージリン「運が良いわね。私達」


ミカ「そちらも黒チームかい」

ダージリン「ええ。最初に同じチームと逢えたのは幸運と言わざるを得ないわね」

ミカ「まったくだね」

ダージリン「他のチームはまだ合流できているところは少ないでしょうから……ひとつずつ潰していきましょうか」

ミカ「賛成だよ」

ローズヒップ『ダージリン様! こちらローズヒップ、西の川付近に青い旗のイタリア戦車発見ですわー! アンツィオ高校でやがりますでございますわ!』

ダージリン「分かったわ。前の決勝戦で大洗が立ち往生しそうになっていた川ね……ローズヒップ、攻撃していいわよ」

ローズヒップ『お任せですわー!!』

ミカ「いいのかい?」

ダージリン「CV33は言わずもがな、セモベンテに注意すればクルセイダー1輌でも十分よ」


ローズヒップ『こちらローズヒップ! 豆戦車撃破ですわ! 自走砲は逃げようとして川に落ちましたわ!!』

ダージリン「十分よ………………あ、ローズヒップ」

ローズヒップ『なんですの?』

ダージリン「撃破した戦車から旗を3本取ってきなさい」

ミカ「旗を取って来てどうするつもりだい?」

ダージリン「うまくいけば青チームのもう片方も労せず倒せるわ」

ミカ「欺く……それは戦車道としていかがなものかな?」

ダージリン「何故戦車同連盟がルールの文に『現時点ではこれがルールの全てである』と書いたのだと思う?」

ミカ「…………敢えて参加校が何かをするときに抜け道を作りやすい……?」

ダージリン「その通りよ。これはプロリーグという観客向けシステムのためのテスト試合……つまり、連盟側は同盟バトルロイヤルにどれだけのエンターテインメント性があるかを見極めようとしているの。見ているお客様が楽しめなければ、お金は落ちないものね」

ミカ「なるほど。道としての矜持も大事だが、莫大な費用がかかる戦車道には大人の思惑も絡む……とても選手が考えてはいけないことだ」

ダージリン「そこでプロリーグには戦車道としての理念を貫くと同時にゲームとしての面白さも求められてくる。私達はこの試合で少しでも、それが実現可能であるという日本戦車道の可能性を連盟側とプロリーグのスポンサーになるであろう企業群に示すことが役目なのよ」

ミカ「どんでん返しやアクシデントがあった方が見ている側が面白い、と?」

ダージリン「ええ。ですから今回は、とりあえず羽目を外して好き勝手やらせてもらうわ」


ダージリン「それにこの試合、私達はなんとしても勝たなくてはならないの」

ミカ「どうしてだい?」

ダージリン「戦車同連盟から出る賞品……それが戦車のパーツ、そう! 17ポンド砲だったりしたらどうなると思う!? ただでさえ堅牢無敵を誇っていたチャーチルに取り付け無敵の盾に無敵の矛を備えた戦車ブラックプリンス――いえダージリン……そう、歩兵戦車スーパーダージリンの完成よ!!」

ミカ「真面目なことを言っておいて……結局物欲かい」

ダージリン「あなた方もそうではなくて?」

ミカ「まぁね」フフッ

ダージリン「それではあなた方にはいざという時の為に身を隠してもらって、時には私達が討ち漏らした敵の排除をお願いするわね」

ミカ「分かったよ」


・・・・・・


ダージリン「そういうわけで」

ミカ「騙して悪いが、試合なんでね。やられてもらうよ」

沙織「全国大会の時のサンダースといい勝負で酷いよ!」

ダージリン「安心して。これが普通の練習試合や公式戦ならこのような手は使わないから。というか無理だし」

麻子「チームカラーは腹の色か」

華「スコープ越しに『アウンさん、よかったね』とか『アンチョビかっこいい!』とか『ついに黒森峰キター!』とかそういう感想を全部吹き飛ばす顔が見えます」

優花里「それでもがんばる女の子の笑顔は美しいと言われていますよ……」


沙織「どうするのみぽりん! ピンチはまさにピンチだよ!!」

みほ「麻子さん、チャーチルにピッタリくっついてください。そうすればBTは撃てないハズ」

麻子「了解」

ダージリン「そうやすやすと接近を許すと思って?」

麻子「チャーチルとBTの砲撃で近付けない……」

ミカ「そろそろ退場してもらおうか。そして食べ放題はいただいていくよ」

ダージリン「アッサム、発砲」

みほ「まずい、避け――」


まほ「よし、今だ!」


 ガァン! キィン!


みほ「えっ、お姉ちゃん!?」

優花里「ティーガーが盾に!?」

まほ「目標、敵自走砲」

ダージリン「履帯を切りなさい」

オレンジペコ「榴弾装填」

アッサム「発射」ダァン!

まほ「クッ、履帯が……だがまだだ! 撃て!!」

ミカ「ッ、トゥータ!」


 ダァン! ダァン!!

 ポシュッ ポシュッ


優花里「ティーガーとBT-42が相打ちです!」

みほ「お姉ちゃん……なんで……」

麻子「チャーチルが来るぞ」

みほ「ッ、ティーガーに寄せて!」

アッサム「……ダージリン、ティーガーが邪魔で狙えません」

ダージリン「そのためにⅣ号の前に躍り出たというの……? まぁいいわ。前進」

みほ「発射!」


 ダァン! カキィン


ダージリン「残念ながら、そんな狙いではこのチャーチルの装甲は貫けないわ」

華「くっ……うまく角度をつけられています」


みほ「優花里さん、榴弾装填!」

優花里「はい!」

華「撃ちます!」ダァン!

ダージリン「前進!」

みほ「なっ、避けられた!?」

ダージリン「今のは榴弾……動いていなければ危なかったわね…………でも」

アッサム「Ⅳ号捉えました」

ダージリン「これでチェックメイトよ」

みほ「次!」


 ダァン!!


みほ「そんな……」ポシュッ

麻子「またグロリアーナに負けた……」

優花里「なかなか勝てませんねぇ」

ダージリン「やった……!」

ダージリン「やったわペコ、これでスーパーダージリンゲットよ!」

オレンジペコ「よ、よかったですね(賞品って本当にそんな豪華なのかなぁ?)」

ダージリン「ふふふ……ついでにATシリーズも貰えたりするかしら」

アッサム「いや、せっかく17ポンド砲を貰うならクロムウェルにとっつけてチャレンジャーにしましょう」

ダージリン「なにを言っているのアッサム。ここはグロリアーナの旗印でもあるこのチャーチルをかっこよくするべきよ」

アッサム「しかし17ポンド砲が1本しかもらえないわけでもないでしょう。景気よく4、5本くれるかもしれません」

オレンジペコ「(か、皮算用が加速していく!)」


ダージリン「あー楽しかった。たまにはこんな試合もいいわね」

オレンジペコ「しかし変ですね。試合終了のジャッジが下りません」

ダージリン「確認に時間がかかっているのではなくて?」


 ダァン!!


ダージリン「ん?」

オレンジペコ「ん?」

アッサム「ん?」


 ポシュッ


アンチョビ「や、やったぞ! 今当てたの私が撃った弾だぞ!!」

ペパロニ「あーはいはいよかったですねぇ総帥」

カルパッチョ「やっと聖グロにやり返せましたね!」

ダージリン「な、な……な、な!」

アンチョビ「いやーたまにはセモベンテもいいものだなぁ」

ペパロニ「開幕CV33がやられて川に落ちかけた時はどうなるかと思いましたねぇ!」

カルパッチョ「上手いこと川に落ちず戻れてよかったです。しかもいつのまにか敵はいなくなってましたしね」


・・・・・・

~試合開始直後~


アンチョビ「よーし、我々は青チームなわけだが……味方はどこなんだろうな。黒森峰とかだったらいいな」

ペパロニ「ウチらが試合でセモベンテに乗るの久しぶりッスねぇ」

カルパッチョ「何で私達3人でこれ動かしてるんですか……」

アンチョビ「CV33は狭かったしたまには3人一緒の戦車でもいいじゃないか!」

「姐さん向こうからなんか来ます!」

アンチョビ「え?」

ローズヒップ「オラオラですわ!!」ダァン!

「ギャーー!!」ポシュッ

アンチョビ「く、クルセイダー!? まずい後退後退!」

ペパロニ「後ろは川ッスよ!」


ローズヒップ「アレも片付けますわよ! 撃て!」ダァン!


 ガキィン!


アンチョビ「は、弾いた!? 弾いたぞ!」

ペパロニ「うわぁあぁぁぁぁ落ちるうう! なんでここだけこんな土手の傾斜キツイんすかー!!?」

カルパッチョ「きゃああぁぁ!」

ローズヒップ「ん? 白旗は見えないけど私達の弾に当たって落ちたってことは撃破したってことですわね! それじゃあダージリン様に報告ですわ!」


アンチョビ「お、落ち…………てない?」

カルパッチョ「ギリギリ助かりました……」

アンチョビ「おのれグロリアーナ! 絶対撃破してやるぞ!! だがまずはさっきやられたCVの乗員がケガをしてないか確認してくる!」


・・・・・・


ダージリン「な、あ、あ……あ、アンツィオ……? 何故? どうして? Why? ローズヒップが誤認した?」

アッサム「それでしょうね……」

アンチョビ「やいダージリン! お前一体どんだけウチの車輌壊せば気が済むんだ!! あのCVだって無料じゃない! エンジンがオシャカになったんだぞ!!」

ダージリン「豆戦車の1輌や2輌潰れたところで! それよりどうしてくださいますの!? 私の17ポンド砲を!!」

アンチョビ「知るか! これで私達アンツィオが新しく戦車を貰ってまた強くなるのだ!!」

みほ「え、チャーチルから白旗が…………セモベンテ!?」

沙織「え!? 開幕爆散したんじゃなかったの!?」

アンチョビ「ああ。確かにいきなりクルセイダーにボコボコにやられたときはどうなるかと思ったが我々の駆るセモベンテは無事だった!」

ペパロニ「ここに来るまで全然敵に会わなかったッス!」

カルパッチョ「それに聖グロのチャーチルから白旗なんて快挙です!」


みほ「ってことは……」

優花里「我々の勝利ですよ! 西住殿!!」

アンチョビ「なに、今ので最後だったのか!?」

まほ「やっと終わったか」カパッ

みほ「お姉ちゃん!」

まほ「今回もみほの勝利だな」

みほ「お姉ちゃん……なんでさっきは助けてくれたの?」

まほ「別に助けた覚えはない。ただやられた場所がⅣ号とチャーチルの間だった……ただそれだけだ」

みほ「そう、なんだ」

まほ「…………まぁ、こんな破天荒な試合だが、あの二枚舌共に譲るくらいなら……とは思わないでも……」


・・・・・・

~仮設本部~


理事長「今回の試合は、残存車輌が青チームのセモベンテということで……大洗女子学園、アンツィオ高校の勝利となりました!」

ナカジマ「やったぁ!」

ねこにゃー「GG!!」

沙織「勝てたよ! これで賞品ゲットだよ!!」

理事長「いやー各校頑張りましたねぇ。見ていてとてもハラハラする試合でした」

亜美「理事長、賞品を」

理事長「そうでした。では……」


ツチヤ「新しいエンジンかな? モーターかな?」

スズキ「いやここはサスとスタビを一新して……」

ねこにゃー「ネトゲのプレアカ……だったりしないよね流石に」

華「食べ放題のチケット100枚だったり?」

ミカ「ほらね!? やっぱり食べ放題じゃないか! ああああ……この試合に勝利は必要だったんだ……」

ダージリン「私の17ポンド砲……」

カチューシャ「どこでも粛清ボタン……」

ケイ「勝ったらパーティーする予定だったのにー」

知波単「まだまだ精進あるのみ……」

エリカ「隊長、残念でしたね……」

まほ「ああ、そうだな」フフッ


理事長「では両校には……これを贈呈しましょう! 超巨大戦車ラーテ!!」

優花里「ら、ラーテぇ!? ウチで運用できるんですか!?」

アンチョビ「やったぁ! そんな強い戦車があれば来年はウチが優勝だぁ!!」

カルパッチョ「でも来年総帥は…………いやなんでもないです」

理事長「――の10分の1スケールのプラモデル!!」バッ


全員「「「「「………………へ?」」」」」


理事長「細部まで精巧に作りこんだディテールに他のプラモとは一線を画した大きさ!、この世にこの2つだけ!! いやぁプレミアですなぁ!!」

麻子「こんなことだろうとは思った」

優花里「で、でもちょっと……いやかなり欲しいですよ……」ウズウズ

アンツィオ「ふざけるなー!! そんなのが認められるかー!!」

ペパロニ「そうだ!! 本物の戦車寄越せー!!」

理事長「ええっ!? でもこれプレミアだよ!? オークションに出せばマニアが飛びつくくらい!」

アンツィオ「それは大洗にやるからウチの戦車をどうにかしてくれぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」ズピー

沙織「2個もいらないよ!?」


ダージリン「………………ほ、ほほほ……分かっていましたわ。こんな茶番になるってことくらい」

ローズヒップ「ダージリン様、手が震えていてお紅茶がこぼれそうですわ!」

ミカ「は、ははは……や、やっぱりね。仮に勝ったとしてアレをネットオークションに流せば1ヶ月くらい豪遊できただけってことで」

アキ「弦が指に食い込んでるよ!? ケガしちゃうよ!」

亜美「だから流石にこれはと言ったんです……」

理事長「ええー!? せ、せっかくメーカーに特注してもらったのに……」

アンチョビ「連盟ならあげてもいい戦車の1輌や2輌あるだろおぉぉ!? 頼みますよおおぉ!!」

みほ「わ、私達は別にこれでも……優花里さんも欲しがってますし」

理事長「むむむ…………流石に戦車はそうホイホイあげられるものではないですが……」

アンチョビ「ならせめてこの試合で壊れたCV33と紅茶に壊されたP40の修理だけでもぉぉぉ!!」

亜美「理事長、それくらいなら」

理事長「それならいいけど……」

アンチョビ「本当か!!? あ、ありがとうございます!!」

亜美「じゃあプラモは大洗に2つあげますね」


沙織「ねぇウチも違うのを要求した方がよくない!?」

華「このノリならⅣ号の主砲を105mmにできますよ!」

みほ「うん……そうしてもいいけど…………なんかすごくガッカリしてるし」

理事長「プラモは今時JKにウケないのだろうか…………」ズーン

みほ「1つは生徒会にあげて、もう1つは優花里さんに」

優花里「い、いいのでありますか!?」

みほ「うん」

優花里「わぁい! 西住殿、ありがとうございますぅ!!」

ナカジマ「まぁウチらはレオポンを直してくれればいいかなぁ」

ホシノ「超音速の貴公子MK=Ⅱはバッチリ動いてくれたしそのテストができただけでも上々だよ」

ねこにゃー「このノリで色々ねだってみる?」

ぴよたん「ちょうどマウスとキーボード新調しようと思ってたし、ちょっと言ってみるっちゃ」

ももがー「この筋肉を見ればきっと首を縦に振るハズナリ!」


・・・・・・

~生徒会室~


桃「ぷ、プラモデルぅぅ!? そんなのを貰ってノコノコ戻ってきたのか!?」

柚子「まぁまぁ桃ちゃん」

杏「十分予想の範囲だったね。干し芋じゃなかったのは残念だったけど」

みほ「というわけで、頑張って作ってくださいね」

桃「にしてもデカすぎるぞ……それに作ったところで部屋に飾るには邪魔すぎる……」

杏「河嶋ぁ、よろしく」

桃「はい!?」

杏「卒業までに戦車ガレージに完成済みラーテプラモを飾ること!」

桃「そんな!?」

柚子「頑張ってね桃ちゃん!」

桃「手伝ってよ柚子ちゃぁ~ん!!」


・・・・・・

~聖グロリアーナ女学院~


ダージリン「はぁ……私の17ポンド砲が…………」

アッサク「そういえばアンツィオからの戦車直せ電話が止みましたね」

ダージリン「戦車同連盟が直してくれたそうよ…………まぁ私達も少しお金出したけど…………はぁ……スーパーダージリン……」

オレンジペコ「げ、元気出してくださいダージリン様! 今日新しい戦車が戦車同連盟から送られてくるじゃないですか!」

アッサム「我々秘密諜報部が裏から連盟に圧力をかけやっとの思いで手に入れた戦車です。きっとセンチュリオンとかそういったものが来ますよ」

ダージリン「そうかしら……」

「すみませーん、今戦車同連盟の人が戦車を置いていきましたー!」

アッサム「ほら!」

ダージリン「見に行きましょう!」


ダージリン「さぁ、私達の新しい戦力となる戦車はどれかしら?」

ローズヒップ「ダージリン様! すっごく大きくて強そうな戦車が来ましたわ!! しかも17ポンド砲ですわ!!」

ダージリン「17ポンド砲!! やったわ!!」

オレンジペコ「人だかりが出来てますね。あれは……」


TOGⅡ「」ヤァ


ダージリン「」ドサッ

オレンジペコ「」ドサッ

アッサム「」ドサッ


 おわり

読んでくださりありがとうございました

WoTでTOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOG再販はよ

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