【モバマスSS】仁奈「ひとりかくれんぼ・・・でごぜーますか?」 (31)

・ホラー表現注意
・仁奈ちゃんは可哀想な目にあいませんのでご安心を
・オカルト知識は適当にでっちあげました


仁奈「ちひろおねーさん、ひとりかくれんぼって知ってやがりますか?」

ちひろ「ひとりかくれんぼ・・・?聞いたことないですねえ」

ちひろ「かくれんぼというからには何かの遊びでしょうか?」

仁奈「学校で上級生のおねーさんたちが話してたのを聞いたでごぜーます」

仁奈「仁奈・・・パパもママもお仕事ばっかりで、おうちでひとりぼっちのときは寂しいです」

仁奈「だからひとりでかくれんぼできるならひとりぼっちでも寂しくないって思ったでごぜーますよ!」

仁奈「でも誰に聞いても知ってる人がいなかったでごぜーますよ・・・」

ちひろ「うーん・・・仁奈ちゃん、ちょっと待っててくださいね」カタカタッターン!

ちひろ「ええと、ありましたねこれがひとりかくれ・・・」

仁奈「ちひろおねーさん?」

ちひろ「・・・仁奈ちゃん、ひとりかくれんぼは仁奈ちゃんがやっても楽しくないと思います」

仁奈「楽しくねーですか?」

ちひろ「はっきり言っちゃうと、怖い話ですね」

仁奈「うわー!怖い話は大嫌いでごぜーます!」

仁奈「おばけの気持ちにはなれねーでごぜーますよ・・・」

ちひろ「ふふっ、お仕事していっぱい遊んで、怖い話は忘れましょう」

仁奈「そうするでごぜーます!」

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ちひろ(でもこれは字面からは想像できないですね・・・降霊術の一種?なのでしょうか)

ちひろ(・・・正直ちょっと興味ありますね)

ちひろ(小さいころにホラー系のマンガ雑誌を半ばトラウマになりつつも読むのをやめられなかったくらいには怖い話は好きですからね)

ちひろ(まあ今まで幽霊なんて見たこともないまるっきり霊感0なんですが)



~夜・ちひろの自宅マンション~

ちひろ(で、ほんとに準備しちゃったわけですけど)

ちひろ(ええと、ぬいぐるみ・・・ぴにゃこら太でいいか、名前は『ぴにゃ』で。)

ちひろ(綿を抜いて、米を詰めて、私の爪を入れて、赤い糸で縫ってぐるぐる巻きに・・・)

ちひろ(買ってきたナイフと、は○たの塩で作った塩水、あとは風呂桶に水を張って)

ちひろ(しかし若い女性が夜中に一人でこんなことやってるって相当痛いですね・・・)

ちひろ(・・・考えないようにしましょう)

~3時間後~

ちひろ(調べてる途中に見つけた洒落怖まとめ、面白いですね・・・)

ちひろ(まだいくつかしか見れてませんけど、いい感じに背筋がゾクゾクしてきました)

ちひろ(時刻は・・・午前3時ですね、始めましょうか)

ちひろ「・・・『最初の鬼は私ね』」

ちひろ(では風呂場に行って・・・風呂桶にぴにゃを沈めて)

ちひろ(電気を全て消して、テレビだけ砂嵐のままでつけて)

ちひろ(目をつむって10数えて・・・ナイフと塩水を持って風呂場に行って)

ちひろ(ナイフをぴにゃに刺して・・・)「『ぴにゃ見つけた』『次はぴにゃが鬼ね』」

ちひろ(塩水を持ったままクローゼットに隠れて、ちょっとだけ開けておく、と)

ちひろ(さて、何か起こるでしょうか?)


~5分後~

ちひろ(うーん、今のところ異常はないですね)


~10分後~

ちひろ(さすがに暇ですね、眠くなってきました)

~15分後~

ちひろ(あれ・・・?テレビの音が消えた・・・?と思ったら戻った?)

ちひろ(いや、何か途切れ途切れになってる感じでしょうか)

ちひろ(っ!・・・何かいる!)

ちひろ(あれは・・・猫・・・?違う!頭が 人 間 だ)

ちひろ(え?ちょっと待って、まさか本当に・・・)

ちひろ(! テレビの音が消えた・・・!)

ちひろ(ダメ!何かわからないけどこのまま続けちゃダメ!)

ちひろ(おっ落ち着いて、とりあえず塩水を口に・・・ええと、手順は・・・)

ちひろ(ゆっくりクローゼットを出て、風呂場に向か


玄関でスーツ姿の男が 首 を 吊 っ て い る


ちひろ(―――っ!!!)

ちひろ(ダメ、気を失っちゃ・・・塩水を含んだままじゃないと・・・)

ちひろ(とにかく早く風呂場に、風呂場に・・・)

ちひろ(風呂場に・・・ぴ に ゃ が い な い)

ちひろ(えっ・・・うそ・・・ぴにゃがいないと・・・終わらせられない・・・!)

ちひろ(どこ・・・?どこに行ったの・・・?)

ちひろ(! ナイフはどこに・・・まさか・・・!)

ちひろ(とにかく、ここに居続けちゃまずい!一度クローゼットに・・・!)


さっきの首を吊っていた男の 向 き が 変 わ っ て い る よ う な


ちひろ(―――顔を見ちゃダメっ!)

ちひろ(ちゃんとは見えなかったけど、体がこっちを向いていた気が・・・)

ちひろ(ク・・・クローゼットに・・・)バタン

ちひろ(ど、どうしよう、このままじゃ、私、)グスッ

ちひろ(あ、クローゼット閉じちゃうと外の様子がわから


コンコンッ


ちひろ(―――そとからノックされ



ちひろ(・・・テレビの音・・・? っ!)

ちひろ(わ、わたし・・・気を失って・・・?)

ちひろ(あれ、床が濡れ・・・あ・・・そ、そんなことより)

ちひろ(ひとりかくれんぼを終わらせてない!)

ちひろ(今・・・6時!?2時間以上経ってる!)

ちひろ(こ、怖いけどとにかく外に!一応もう一回塩水を含んで・・・)

ちひろ(・・・何もいない、つけっぱなしのテレビ、日が昇って室内も明るい)

ちひろ(とりあえずシャワー、ぴにゃを探して、クローゼットを掃除して、出勤の準備をして・・・)

~夕方・事務所~

ちひろ(結局ひとりかくれんぼを終わらせてないですし、どうすれば・・・)

P「ちひろさん」

ちひろ「あっ、は、はい、どうしましたかプロデューサーさん」

P「何があったんですか?」

ちひろ「えっ?」

P「今日は口数も少ないし、何かボーッとしてることが多いですし、普段はしないようなミスを連発するし」

P「どうしたんですか?話せるようなことなら話してみませんか?」

ちひろ「プ・・・プロデューサーさん・・・」

P「どんなことでも言ってみてください、力になりますよ」

ちひろ「プロデューサーさぁん・・・」ポロポロ

P「うぇっ!?」

ちひろ「ぐすっ・・・わ、わたし・・・」ダキッ

P「ど、どうしたんですかちひろさん!?」

まゆ「ただいま戻りまし・・・」

凛「お疲れプロデュー・・・」

ちひろ「うぇえっ・・・ぐすっ・・・」

まゆ「   」

凛「   」

P「いやお前ら待て、こ、これはだな」

ちひろ「・・・というわけで、お恥ずかしいところをお見せして・・・」

凛「うん、まあちひろさんがそういうことをするのはけっこう意外だったかな」

まゆ「でもちひろさんが泣きながらPさんに抱きついてるのを見たときは頭の中が真っ赤、じゃなくて真っ白になっちゃいましたぁ」

P「怖い怖い怖い」

凛「でもそれが事実ならけっこうマズいことになってるんじゃあ」

P「うーん、そうだな・・・ちょっと小梅を呼んできてくれるか?」

まゆ「えっ?プロデューサーさん、どこに向かって」

P「いや、あの子に頼んだ」

ちひろ「えっ」

小梅「プ・・・プロデューサーさん・・・どうしたの・・・?」トテトテ

凛「いや普通に2人の方が怖いからね」

P「小梅、ちひろさんが何かに憑かれてる感じはするか?」

小梅「えーっと・・・そ、そんな感じは・・・しない、よ・・・?」

小梅「あの子・・・も・・・そう言ってる・・・」

P「そうか・・・じゃあ次は、芳乃ー」

芳乃「はいー」ピョコン

まゆ「い、一体どこから?」

P「ちひろさんから何か嫌な感じはするか?」

芳乃「むー、特に何も感じませぬー」

P「だよなあ」

凛「えっ?」

P「それにしても玄関でスーツの男が首吊り、ね・・・、ちひろさん、いくつか確認したいこともあるんで」

P「今晩この2人連れてちひろさんの家に行ってもいいですか?」

凛&まゆ「   」

ちひろ「・・・正直、家に一人で帰るのは怖かったので助かります」

ちひろ「よろしくお願いします、小梅ちゃんと芳乃ちゃんは大丈夫?」

小梅「明日は・・・土曜日だから・・・平気・・・だよ」

芳乃「わたくしも問題ありませぬー」

凛「わ、私も」

まゆ「ま、まゆも」

P「あー、お前らはやめとけ。どう考えても巻き込まれるから」

凛&まゆ「巻き込ま・・・」ゾクッ

P「ってことで仕事が終わったら4人で向かいましょう、小梅と芳乃はそれまで適当に暇つぶししててくれ」

P「あと先に質問がいくつか。ちひろさん、ひとりかくれんぼをしてからどこか掃除とかしました?」

ちひろ「え、ええと、隠れていたクローゼットを。そこ以外は時間が無くて」

P「ほう、でも何でクローゼットを?」

ちひろ「い、いやあの、そ、そう!塩水をこぼしちゃって!」

P「ああなるほど、隠れる時に塩水持ってますもんね」

ちひろ(ほっ・・・)

P「じゃあ次、マンションの名前と場所を何かにメモしてもらえます?」

ちひろ「は、はい、ここです」

P「よし、最後にちひろさん、おそらく解決はできると思いますが今日もたぶん相当怖い目にあうんで覚悟しておいてください」

ちひろ「え、えぇっ!?」

P(さて、後で機材借りてこないとな)

~数時間後・事務所~

P「さーて向かいますか、車用意したんで乗ってください。小梅ー、芳乃ー、行くぞー」

小梅「う・・・うん・・・」

芳乃「はいー」

ちひろ「あのー、後ろの機材はいったい」

P「まあ気にしないでください」



~ちひろの自宅マンション~

P「さて、いきなり押しかけたわけですけど俺このまま入って大丈夫ですかね?」

ちひろ「さすがに少し片付けたいですね・・・」

P「じゃあちょうどいい、俺準備があるんでちょっと出てきます。近くのイ○ンと図書館に」

ちひろ「あれ?プロデューサーさん、この辺詳しいんですか?」

P「さっき少し調べました。地理とかいろいろ」

ちひろ「仕事中ですよ?」

P「そこは勘弁してください」

P「じゃあ小梅と芳乃は先に入っていろいろ見ておいてくれるか?」

P「具体的にはこことここと、あとこことか」

小梅「うん・・・わ、わかった・・・」

芳乃「おまかせあれー」

ちひろ「じゃあ2人とも、ついてきてください・・・この部屋です。ちょっと片付けますんで外で・・・」

ちひろ(そういえば昨日玄関で首吊り・・・)

ちひろ「・・・怖いのでやっぱり一緒に入ってもらえますか?」

小梅「うん・・・じゃあちひろさん・・・か、鍵・・・あけて・・・」

ちひろ「は、はい」ガチャ

小梅「おじゃまします・・・」ガチャリ

ちひろ(躊躇がない!)

小梅「首吊り死体・・・ないね・・・ざ、残念・・・」

芳乃「おじゃまいたしますー」

ちひろ「じゃあ少し片付けますね。2人ともゆっくりしててください、今お茶出しますね」

芳乃「おかまいなくー、少し調べ物もありますゆえー」

小梅「ちょっと・・・いろいろ・・・見させてもらうね・・・」


芳乃「むー、やはり跡が見当たりませぬー」

芳乃「玄関の造りはー、ふむふむー」

小梅「たぶん・・・こ、この辺りに・・・あるはず・・・み、見つけた・・・」

小梅「・・・クローゼットから・・・消臭剤の香り・・・」

小梅(ちひろさん・・・ホラーを楽しむときは・・・トイレ、行っておかないと・・・)

ピリリリリ

ちひろ「あ、プロデューサーさんからですね、もしもし」

P「ちひろさん、そういえば部屋番号聞いてなかったんで教えてもらっていいですか」

ちひろ「ああ、1108号室です。フロントで番号押してもらえればこちらでロック解除しますんで」

P「最上階の角部屋じゃないですか・・・いい部屋住んでんなあ」


ちひろ「どうぞ入ってください」

P「お待たせしました、ちょっと調べ物に時間がかかって遅くなりました」

P「しかしここは『お帰りなさい、あなた』と言うところではないだろうか」

ちひろ「何の冗談ですか」

芳乃「お帰りなさいませー、あなたー」トテテテ

P「なにこの可愛い生き物」ナデナデ

芳乃「ふみゅー、あたまがぐるんぐるんするのでしてー」

小梅「ち、ちひろにする?・・・よしのにする?・・・それとも・・・こ・う・め?」

P「全部頂く」

ちひろ「ご飯にする?ライスにする?それともお・こ・め?」

P「全部米かよチクショウ」

P「あ、それで思い出しましたけど晩飯のこと考えてなかった」

ちひろ「ピザでもとります?私出しますよ?」

P「いいですね、じゃあ俺も半分出すんでサイドメニュー増し増しで」

小梅「ピ、ピザ・・・やったー・・・」

芳乃「ピザですかー、久しぶりでして―」

ちひろ「プロデューサーさん、なんでピザ食べずにサイドメニューばっかり食べてるんですか」

P「いや、ピザ屋のサイドメニューって無性に食べたくなりません?」

P「あとピザ屋のサラダってけっこう当たり多いですよね」

ちひろ「それにしたってこの量は・・・」

小梅「ピザ屋のパスタ・・・頼む人・・・初めて見た・・・」

P「あーポテトうめー加蓮に自慢してやろー」

ちひろ「鬼ですか」

芳乃「ほなたーほなたー、ひーずがひれないのでしてー」ビヨーン

P「なにこの可愛い生き物」ナデナデ

芳乃「ふみゅー、あたまがぐるんぐるんするのでしてー」

P「最後にジェラートあるからなー」

ちひろ「女子ですか」

P「さて、腹ごしらえも済んだところで2人の調査報告を聞こうか」

小梅「ええと・・・ゴニョゴニョ」

芳乃「ゴニョゴニョ・ゴニョラ・ゴニョリーター」

P「なるほど、やはりそういうことらしいな」

ちひろ「ど、どういうことですか?」

P「ええとですね、ちひろさん。説明する前にまず一つ・・・」

P「今日、ちひろさんにはもう一回『ひとりかくれんぼ』をしてもらいます」

ちひろ「・・・え?」

P「あ、イ○ンで必要なものは揃えてきたんで」

ちひろ「えええええええええっ!?ちょ、ちょっと待ってくださいプロデューサーさん」

ちひろ「昨日あれだけ怖い思いをしたばかりなのに今日またやるんですか!?」

P「でないとおそらく納得してもらえないことがあるんですよね・・・」

P「できるだけ昨日に条件を合わせますけど、昨日と違う点が1つ」

P「部屋中に小型のカメラを仕掛けて、俺らがリアルタイムで監視します」

P「まあカメラはどこに仕掛けたかは言いませんが」

P「もし何かあれば俺らが助けに行きますけど、よっぽどのことがない限り行かないと思ってください」

ちひろ「・・・分かりました、やってみます・・・怖いですけど」

P「お願いします。あと監視には2個隣の部屋が空き室だったんで管理人さんにお願いして使わせてもらえることになりました」

P「準備するところから、できるだけ昨日と同じようにやってみてください」

P「あ、あと玄関の鍵預からせてもらっていいですか?」

~翌日3時30分ごろ~

P「ちひろさーん、開けますよー」ガチャガチャ、ガチャン

ちひろ「プ、プロデューサーさん!」

P「あ、まず電気つけますね。えーと、今回は何が見えました?」

ちひろ「か、髪の長い白い服の女の人と、10cmくらいの小さなおじさんと、壁に人の顔が」

ちひろ「あと、ぬいぐるみがまたどこかに・・・」

P「じゃあその辺について説明するので、空き部屋の方に来てもらってもいいですか?」

ちひろ「で、でもまだかくれんぼを終わらせてない・・・」

P「いや終わってますよ、正確にいえば始まってないというか」

ちひろ「えっ?」

~空き部屋~

芳乃「ちひろ殿ー、ご無事で何よりですー」

小梅「ちひろさん・・・見てたよ・・・」

ちひろ「2人とも・・・ごめんね、こんな遅くまで」

P「では結論から言うと、ちひろさんが見たものはだいたい幻覚です」

ちひろ「げ、幻覚?」

P「事務所でも言った通り、ここにいる3人みんながみんな霊的なものを感じなかったんですよね」

P「なので今日やったことは証拠集めみたいな感じですね」

ちひろ「で、でもあれだけのものが幻覚だなんて・・・」

P「人間の脳ってのは、少し普段と違う状況に置かれると正常な働きができなくなるんです」

P「薬物や酒なんかが一番手っ取り早い例ですが、他にも精神状態は脳に相当の影響を与えます」

P「緊張すると体の動きが鈍ったり、急いでる時に注意力が落ちたりするのも典型ですね」

P「さて、今回の『ひとりかくれんぼ』ですが、これまた手順が秀逸ですよね」

P「自分の血肉を分け与えた分身とかくれんぼをして、まず鬼がナイフで分身を刺す」

P「『分身が探しに来るかもしれない』『見つかれば刺されるかもしれない』というダイレクトな恐怖や不安」

P「自分が普段絶対にやらない儀式めいたことをしているという非日常感や、単純に暗いという事実も影響するでしょう」

P「それらが『こんなものが見えたらまずい』『こんな音がしたらまずい』という想像をまるで現実のように見せてしまう」

P「・・・と、ここまで言ってはみたものの、まあすぐには信じられないでしょう」

ちひろ「それはまあ・・・あれだけリアルなものを見てしまえば・・・」

P「さて、ここで小梅に質問。霊が一般人に見えるとなるとどういう理由が考えられる?」

小梅「ええと・・・生きてる人に・・・何か、伝えたいことが・・・ある・・・?」

P「その通り。他にもいくつかあるが、それが一番多い」

P「そして、幽霊ってのは映像や音声に残ることが多いです」

P「もちろんですよね、自分の姿を見せたくて、自分の声を聴いてほしくて出てくるんですから」

P「それをふまえて、この録画映像を見てください」

ちひろ「・・・何も映ってない・・・」

ちひろ「あの足元を走っていたおじさんや、ふらふら歩いていた女の人も・・・」

P「でも、ここまででは『たまたま映像や音声に残らない霊がいた』ってことを否定できないんですが・・・」

P「さっき俺は、ちひろさんが見たものは『だいたい幻覚』って言いましたよね?」

ちひろ「まさか・・・」

P「そう、消えたぬいぐるみの話です」

P「これは幻覚では説明できません。しかし別のことで説明がつきます」

P「録画映像の続きを見ましょうか」

ちひろ「あ、私がかくれんぼを終わらせに風呂場に・・・え?」

P「そう、ちひろさんが風呂場に行った時点で、ぬいぐるみはまだ風呂桶にあるんですよ」

ちひろ「で、でも私・・・えぇっ!?」

ちひろ「私が・・・ぬいぐるみを持って行ってる・・・?」

P「そう、ぬいぐるみを消した犯人はちひろさん本人だったんです」

P「このメチャクチャな精神状態、無意識での行動や記憶の改竄くらい簡単に起こりえます」

ちひろ「しかも風呂場のタオルでくるんで水滴が落ちないように・・・」

P「そのままキッチンのゴミ箱に捨てて、タオルは風呂場に戻してますね」

P「その後ぬいぐるみがないことに対して本気で驚いた反応をしてます」

小梅「昨日の・・・ぴにゃこら太のぬいぐるみと・・・ナイフも・・・同じところから・・・見つけたよ・・・」

ちひろ「プロデューサーさん、カメラを仕掛けたってことは、話を聞いた段階である程度は予想がついてたってことですよね?」

P「おお、正常な判断能力が戻ってきてるんじゃないですか?その通りです。」

P「まあ3人が何も感じなかったってのもありますが、きっかけは首吊り死体です」

ちひろ「えっ、ど、どういうことですか?」

P「首吊り死体の霊ってのは、基本的には死んだ場所から動かないんですよ」

P「そりゃそうですよね、首がロープで繋がれてるんですから」

P「でも出てきたのはマンションの玄関、どう考えたっておかしい」

P「調べたところこのマンションで死亡事故や事件は起きていません」

P「少なくともちひろさんの部屋で首吊りなんかが起きてれば、入居時におそらく説明があったはずなんです」

P「じゃあこのマンションが建つ前に、この11階の高さで誰かが首を吊ったんでしょうか?まあまずありえない」

P「あと昔と違って玄関に梁のある構造なんて珍しいですし、ロープを結ぶところがないんです」

P「ドアノブなんかで吊ってる可能性もありましたが、向きが変わってるように見えたという発言からその可能性は排除」

P「それと『この土地』の『玄関』に縛られてる可能性もあるのでそちらも調べてみました」

P「死体がスーツを着ていた以上、首吊りがあったとしてもおそらく戦後のことでしょう」

P「まあちひろさんからも『古臭い』みたいな感想は出てきていなかったので、現代で通用するようなスーツでしょうね」

P「そしてこのマンションが建つ以前は、相当長い間ただの田んぼでした。少なくとも記録が残ってる間は」

P「なので、まあ首吊り死体の霊が本物ってことはないだろうと」

芳乃「ほー、あの短時間でー、ここまでのことを調べたとー?」

P「なので幻覚だろうってのはだいたいわかってましたけど、現場を見て映像に記録すれば全部説明つくんじゃないかと」

ちひろ「な、なるほど・・・」

ちひろ「あれ?でも凛ちゃんとまゆちゃんに『巻き込まれる』って言ってたのは・・・」

P「あいつらもこういうことに耐性なさそうなんで」

芳乃「彼女らもー、場に飲まれてありもしないものを見る可能性がありましたのでー」

P「ってことで、幻覚を見るレベルの精神状態になるのは最悪命が危ないんで、もう絶対やらないでください」

P「今日まさにやらせた本人が言うのもなんですけど」

ちひろ「は、はい」

P「あとこの『ひとりかくれんぼ』に限らず、都市伝説みたいなのはたまに『本物』を呼ぶんですよ」

ちひろ「    」

P「その時は危険度が跳ね上がりますんで・・・」

P「安全に非日常を体験したければ、小梅や芳乃の他にも何人か得意そうなのがいますので相談すればいいかと」

ちひろ「プ、プロデューサーさんは」

P「えっ?」

ちひろ「どうしてここまで簡単に解決できるんですか?これ、1人でも平気だったんじゃ・・・」

P「俺なんてちょっと霊感と知識があるだけの頭でっかちですよ。特に何かできるわけではありません」

P「万一霊的な何かが相手だった場合、小梅や芳乃みたいな本物がいないと辛いですし、最悪物理攻撃で立ち向かうハメに」

ちひろ「ぶ、物理!?」

P「まあもう平気だと思いますんで、今日は一応小梅と芳乃に泊まってもらえば安心でしょう」

ちひろ「わ、わかりました。みんな、本当に今日はありがとうございました」

小梅「ううん・・・私も・・・面白かったから・・・」

芳乃「困っている人には力を貸しなさいとー、ばばさまが言っておりましたゆえー、気にすることはないのでしてー」

P「不安だったら俺もお泊りしますよ?」

ちひろ「お泊りとか言わないでください」

小梅「みんなで・・・お泊り・・・?」ワクワク

P「あ、ホラーDVD鑑賞会を期待する目だこれ」

ちひろ「私もプロデューサーさんも明日仕事だから・・・」

P「土曜とか関係ないですからねこの仕事」

小梅「そっか・・・残念・・・」

P「じゃあちひろさん、2人と先に戻っててもらえますか?俺はここ片付けますんで」

ちひろ「わかりました、あ、カメラも後で外してくださいね」

P「もっもももちろんですよ」

ちひろ「おいなぜそこで狼狽える」

以上で完結です。ここまで読んでくれた方ありがとうございました。
ほんとはナイフだけ消えててマンション管理人が犯人、みたいなのを考えてたんですがどうしても辻褄があわなくて断念。
いろいろと有名な「ひとりかくれんぼ」ですが、これもやってみるときは自己責任で。

あと前回のあんな闇の深いSSにたくさんの闇の深いコメントありがとうございました。
やっぱ日本始まりすぎて終わってるわ。

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