男「…歩くの早いな」黒亀「早くて悪いか」 (24)

男「」

黒亀「なんだ、どうした、男」

男「シャベッタアアアア」

黒亀「亀がしゃべっちゃいけないのか?」

男「ふつうの亀はしゃべらねえよ」

黒亀「ふつうの亀じゃないといけないのか?」

黒亀「逆に問うがこんな昼間にこんな亀としゃべってていいのか?」

男「いいんだよ、別に」

黒亀「そういうものなのか?」

男「うん」

黒亀「…」

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亀「なあ男よ」

男「なんだよ」

黒亀「腹減った」

男「そこにあるだろ」

黒亀「袋のままじゃ食えないだろ」

黒亀「出してくれ」

男「…」コウラツカム

黒亀「はなせー」バタバタ

男「よいしょ」ミズニハナス

黒亀「だせー」

男「おまえ水の中じゃないと食わないだろ」

黒亀「…」

男「まあいいや、ほら食え」エサマク

黒亀「ガブガブ」

男(食うのヘタクソだな

男「お前ってほんとによく動くよな」

男「ほんとに亀か?」

黒亀「亀だな」

男「動く亀なんてあんまり聞かないけどな」

黒亀「大体の亀は人間が見ていないときよく動くからな」

黒亀「まあ自分から見せに行くときもあるが」

男「なんでだ」

黒亀「個性だな、だぶん」

男「おい」

黒亀「なんだよ」

男「なんか甲羅はがれてね?」

黒亀「ただの脱皮だ、気にすんな」

男「お前も脱皮するのか」

男「皮かどうかは怪しいがな」

黒亀「おまえも家から脱皮しような」

男「…」

黒亀「ジタバタ」

男「どうした」

黒亀「はまった」

男「なにに」

黒亀「見てわかるだろ、石の隙間にはまってんだよ」

男「バカじゃねえの」

黒亀「亀だからな」

男「意味わからん」

黒亀「それよりも、助けてくれないのか?」

男「はいはい、ほらよ」イシドケル

黒亀「ありがとな」

男「今日は動かないのか?」

黒亀「甲羅干ししてんだよ」

男「そうか」

黒亀「お前もいつもそんな暗いところにいないで出て来いよ」

男「…いやだね」

黒亀「まあ少しづつでもいいからさ」

男「考えとく」

男「最近一回りくらい大きくなったか?」

黒亀「カルシウムたっぷりのおかげ」

黒亀「あと甲羅干し」

男「ベランダが南向きでよかった」

男「そういや最近あんまり餌食べないけど大丈夫か?」

黒亀「まあそろそろかな」

男「なにがだよ」

男「寿命とかはやめてくれよ」

男「一人ぼっちはさみしいからさ」

男「もう片手で持てねえや」

男「いやー大きくなったもんだ」

黒亀「やったな」

男「やったぜ」

男「zzz」

_______きろ____________

男「zzz」

____おい_______

男「zzz」

黒亀娘「おきろっつってんだろうがああああ!」

男「わあああなんだ!?」

男「ええええええ誰!?」

黒亀娘「おはよう」

男「ええええええオンナノコ!?誰!?」

黒亀娘「黒亀娘だ」

男「もしや自分の飼ってる黒亀ちゃんでございますか」

黒亀娘「そうだ」

男「ええええええまじか!?」

男「メスだったんですか」

黒亀娘「そうだ」

男「でもなんで…」

黒亀娘「もうすぐ産卵時期なんだよ」

男「そうなのか」

黒亀娘「そのついでにDT卒業させてあげようかと思ってな」

男「ごめんちょっと意味はよくわからないけどありがとう」

黒亀娘「亀はな」

黒亀娘「卵を産むときはな」

黒亀娘「安心できる場所じゃないといけないんだよ」

男「はあ」

黒亀娘「まあ人間の今は安心とか信頼がある人じゃないと…な…」

男「…それで自分ですか」

黒亀娘「なんだ、信頼があるから言ってるんだぞ」

男「そうか…」


男「…」

黒亀「…」

男「って言う感じの夢を見た」

黒亀「よかったな」

男「よくねえよDT卒業できると思ったのに」

黒亀「ざまあ」

男「ちなみに現実の性別は?」

黒亀「メスだ」

男「ほらな、やっぱりオs…ん?」

男「…マジで?」

黒亀「マジでメスだが?」

男「最近餌をあんま食わないのはガチ産卵か」

黒亀「そうだな」

男「じゃあ土とかあったほうがいいか?」

黒亀「まあ無精卵だけどな、頼む」

男「はいよ」

黒亀(外に出てくれるのか)

男(太陽の下はいやだな)

男「夕方から行くか」

黒亀「昼いかないのか?」

男「…」

黒亀「土、ありがと」

男「おう」

黒亀「あとすこし腹減った」

男「キョー○ンのでいいよな?」

黒亀「うむ」

男「よっ」ツカム

黒亀「ジタバタ」

男「あばれんなよ」

黒亀「すまない、つい本能が」

男「そうか」ポチャ

黒亀「食欲はそんなにないな」

男「そうか」

黒亀「おとこー」

男「んー?」

黒亀「お前はいつまで部屋に引きこもるんだ?」

男「…」

黒亀「そんなに外が嫌いか?」

男「…まあ」

黒亀「でも水替え、餌やり、亀のことなら外には出てくれる」

男「うん」

黒亀「何が怖いんだ?」

男「人」

黒亀「?」

男「人が怖い」

黒亀「自分も人なのに?」

男「そうだね」

黒亀「そうか」

黒亀「あまり深いところまでは聞かないよ」

男「ありがとう」

黒亀「でも土は買いに行ってくれた」

男「買いに行ってないよ?」

黒亀「?」

男「天然の土だよ」

男「できるだけ人の少ない深夜にとってきた」

黒亀「…」

黒亀「迷惑かけたな…」

男「いや、ちょっとした運動になったし」

黒亀「うむ」

黒亀「おとこー」

男「?」

黒亀「前に黒亀娘の夢をみた、と言っていたな?」

男「言ったね」

黒亀「あの時は人間大丈夫だったのか?」

男「…別に黒亀には変なことはされないだろうし」

男「まあ安心はするよね。亀だし」

黒亀「そうか」

男「それよりもいきなり夢の話をしてどうした?」

黒亀娘「…これでいいんだな?」

男「」

黒亀娘「どうした、おとこ」

男「夢じゃなかったのか?」

黒亀娘「あれは夢、これは現実」

男「でもなんでいきなり人間(?)に…」

黒亀娘「亀がしゃべる世界だぞ?こんなことがあってもおかしくはないだろ?」

男「それもそうかも」

黒亀娘「外」

男「外?」

黒亀娘「外、これでいけるか?」

男「え」

男「どうしてその話に」

黒亀娘「私がついている」

男「でもな…」

黒亀娘「私は怖いか?」

男「…」

黒亀娘「私は外に出てみたい」

男「!」

黒亀娘「ちいさいベランダの中だけではもう嫌なんだ」

黒亀娘「もっと広い世界をみてみたい、と思ってな」

男「そうか」

黒亀娘「…行ってくれるか?」

男「…わかった、いこうか」

黒亀娘「!…ありがとう、男」

以上、半分くらいが実話のSS終わりです。
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