ノア「トレックと釣りに行くんだ」フィル「釣り……ですか」 (17)

フィル「ノア殿……私も一緒に行ってもいいでしょうか」

ノア「ああ、別に構わないよ。 フィルさんも釣りに興味があるのかい?」

フィル「はい! 釣りも修行の一環になるかと思いまして……」

ノア「修行?」

フィル「はい、釣りをすれば集中力が鍛えられるかと」

ノア「はは、フィルさんらしい動機だな」

ノア「トレックもきっと来てもいいって言ってくれるはずさ。 じゃあ行こう」

フィル「はい!」

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ノア「おはようトレック」

トレック「おー」

ノア「実はフィルさんも一緒に釣りがしたいそうだ。 いいか?」

トレック「うーん……釣りのするしないは自分で決めることだし……俺が決める必要はないんじゃないかなぁ」

ノア「……いいそうだ」

フィル「あ、ありがとうございます」

ノア「フィルさん、ここが今日釣りをする湖だよ」

フィル「うわぁ……綺麗ですね」

トレック「あの雲っておいしいのかなぁ」

フィル「!! 雲って食べれるんですか!?」

ノア「食べれないよフィルさん」

フィル「そ、そうですよね……失礼しました」

ノア「そういえばトレック、釣竿は俺達の分しかないのか?」

トレック「いや、予備のがある」

ノア「よかった。 じゃあフィルさん、これを」

フィル「はい、ありがとうございます」

トレック「あの雲っておいしいのかなぁ」

フィル「!! 雲って食べれるんですか!?」

ノア(まるでコントを見ているようだ)

チャポン

トレック「釣れるかなー」

フィル「1日で大体どのぐらい釣れるんですか?」

トレック「うーん……一匹も釣れない日もあるし……いっぱい釣れる日もあるしなー……」

ノア「その日によるということか」

フィル「……」

フィル(集中……集中……気を散らさないように……)

トレック「zzz……」

フィル「!?」

フィル「ノ、ノア殿!! トレックさんが……」

ノア「ああ、トレックは目を開けながら寝ることができるんだ」

フィル「す、凄い……」

フィル「開眼睡眠……恐らく常人じゃ決してできない技……」

フィル「その域に達するまでトレックさんは一体どれほどの修行を……」

ノア「考え過ぎだよフィルさん」

フィル「! だ、だめでしたでしょうか……?」

ノア「いや、そういう訳じゃないんだけどね」

トレック「……ふああ」

ノア「トレック、竿が動いてるぞ」

トレック「あ、じゃあ引っかかったんだ」

ザバァ!!

トレック「釣れた釣れた」

フィル「おお……」

フィル「なるほど!! つまり開眼睡眠をすれば釣れるわけですね!!」

ノア「違うよフィルさん」

フィル「!! そ、そうなんですか……? でも現にトレックさんは……」

ノア「いや……今のは偶然だよ」

フィル「偶然、ですか……」

トレック「そっかー目を開けながら寝れば釣れるのかー」

ノア「違うぞトレック」

ノア「……」

ノア(今日はいつもより疲れそうな気がする)

フィル「……」

ノア「フィルさん、目を瞑ってるけど……精神統一かい?」

フィル「はい」

ブルル……

フィル「来た!!」

ザバァ!!

フィル「つ、釣れた!!……ノア殿、釣れました!!」

ノア「やったなフィルさん!!」

フィル(褒められた……///)

トレック「赤いなー」

フィル「えっ!? わ、私の顔ですか!?///」

トレック「いや、この魚」

フィル「あ……そ、そっちでしたか……///」

ノア「俺も負けてられないな……」

トレック「うーん」

ノア「どうしたトレック」

トレック「何かを忘れてる気がするけど……なんだろう」

フィル「なんでしょうね……」

ノア「フィルさん、そんな真剣に考えなくてもいいよ。 いつもの事なんだ」

フィル「だ、だけど……大事なことだったら……」

ノア「平気さ、大抵どうでもいいことなんだ」

トレック「もう一人来るんだった」

フィル「……」

ノア「……大事だな」

フィル「誰が来るんですか?」

トレック「えーっと……誰だっけなー……」

ノア「それも忘れたのか」

ゴンザレス「……」

フィル「!!」

ノア「君は……」

ゴンザレス「おれ きた」

トレック「おーそうだ。 お前だお前」

トレック「えーと……確か名前は……」

ゴンザレス「ゴンザレス」

トレック「そーそーゴンザレス」

ゴンザレス「おまえ レック」

トレック「俺? まぁ……そういう名前なのかもなー」

フィル「ノア殿……まさかトレックさんの本名は……」

ノア「一々間に受けてたらキリがないよフィルさん」

トレック「はいこれ、釣竿」

ゴンザレス「どうやってつかう? おれ あたま わるい わからない」

トレック「そっかぁ、使い方知らないのかぁ」

フィル「えっとですねゴンザレスさん、釣竿というのは……」

ゴンザレス「うっ うう」

フィル「?」

ゴンザレス「おれ あたまつかう にがて あたまいたい」

フィル「ゴンザレスさん……」

トレック「そっかぁ……じゃあ釣竿使うのやめるかぁ」

ノア(何の為に彼を誘ったのか分からなくなるな)

ゴンザレス「おれ てでとる」

トレック「おーいいなそれ」

フィル「最早釣りじゃありませんね……」

ノア「ああ……」

ジャバジャバ……

ゴンザレス「とれない」

トレック「もっと深くまで潜らないとなー」

ゴンザレス「おれ およぎかた わからない」

トレック「じゃあ釣りやめるかー」

ゴンザレス「やめる」

ノア「……なんかごめんなフィルさん」

フィル「い、いえ……」

トレック「じゃあ釣った魚を焼いて食べるか」

ゴンザレス「うっ」

ノア「……どうした?」

ゴンザレス「さかな しんじゃう」

フィル「!!」

トレック「お前優しいな〜……じゃあ魚食べるのやめるか、逃がしてあげよう」

ゴンザレス「それがいい」

ノア「……フィルさん、本当にごめん」

フィル「どうして謝るのですか?」

ノア「いや、折角来てくれたのに……特に収穫もなくて……」

フィル「収穫ならあります」

ノア「?」

フィル「たった今、ゴンザレスさんから命の大切さを学びました」

フィル「例え目の前に敵がいたとしても簡単に殺めようとしてはいけない……そういうことをゴンザレスさんは私に伝えたかったんですね!!」

ノア「……」ポカーン

フィル「ノア殿!! 今日はありがとうございました!!」

ノア「……」

ノア(フィルさん可愛いなぁ)

サウル「釣り……ですか」

サウル「実はこう見えても私、釣りの天才でして……」

サウル「それではその腕前、とくとお見せしましょう」

女「……」スタスタ

サウル「!! では早速……」

サウル「……そこの貴女」

女「!」

サウル「おお神よ、貴女のような美しい人と出会えるなんて……」

女「!」ダッ

サウル「……」

ドロシー「逃げちゃいましたよ」

サウル「まあ……そういう日もあります」

〜終わり〜

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