モバP「森久保、趣味を活かそう!」 (41)

~談話室にて~

森久保「な、なんですかいきなり……」

P「お前もいろいろな活動をしてきたけど、まだアイドルとして吹っ切れてないよな?」

森久保「だって…ムリなものはむーりぃー……」

P「そこでだ。お前のプロフィールを読み直してみたんだが…お前の趣味はなんだ?」

森久保「えっと…【ポエム作り】と【少女漫画集め】ですけど……」

P「その【ポエム作り】だよ!」

森久保「は、話がぜんぜん見えないです……」

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P「要するにだ。即興ポエムだ」

森久保「要しすぎぃ……」

P「ステージの上でピンスポットを浴びながら、お前の思いの丈をぶつけるんだ。自分に、観客に、そしてこのイカれた時代にに!」

森久保「ぜったいむーりーぃ!ぜったいぜったいむーりーぃ!」

P「やってみなきゃ分からんだろ!」

森久保「プ、プロデューサーさんは詩のこととか分かるんですか……?」

P「分かるように見えるか?」

森久保「……見えません……」

P「正解だ」

森久保「あぅ……」

P「とりあえずやってみよう。ここには俺とお前しかいないから大丈夫だ」

森久保「大丈夫な要素が一つもないです……」

P「まずはテーマが必要だな。うーん…最初は簡単なテーマが……」ブツブツ

森久保「もりくぼの話を聞いて下さい……」

P「よし!試しに【春】で即興ポエムしてみよう!なっ?」

森久保「もりくぼのポエムは童話っぽくなるんですけど……」

P「いいさ。それがお前の心から生まれたものなら」

森久保「じゃ、じゃあ…即興ポエムしてみます……」

森久保「……」スゥ…

【春】

春のうららの隅田川
うららって何ですか?
もりくぼにもありますか?
無いですか?
あるような無いような
無いと見せかけて実はあるような
あなたはもう持っていますよ、みたいな
そんな春のうらら
ラララ……

P「……」

森久保「……」

P「……」

森久保「……」

P「えっと……」

森久保「はい……」

P「うん、その、あれだ」

森久保「どれ……?」

P「次のテーマを決めよう!」

森久保「これやっぱりむーりーぃ、って思ってますよね、プロデューサーさん……」

P「お、思ってない!実に14歳の女の子らしい即興ポエムだった!」

森久保「ぜったいウソだぁ……」

P「つ、次は…そうだな…【青空】で!」

森久保「分かりました……」

森久保「……」スゥ

【青空】

ブルースカーイ
いいお天気ですね
平年並みの気温ですね
あ、リス!
の形をした雲!
ウソです
ラララ…

P「……」

森久保「……」

P「……」

森久保「……」

P「なんでウソついたの?」

森久保「乙女心……?」

P「あ、そういうヤツか……」

森久保「いちおう……」

P「…次は……」

森久保「もうむーりーぃ……」

P「お前、輝子と仲良かったよな?」

森久保「まぁ……」

P「じゃあ、星輝子の【星】で」

森久保「星…星……」

森久保「……」スゥ…

【星】

キラキラしてますね
休みたくなったりしませんか?
雨が降って見えないときに休んでる感じですか?
そういうときもあると思います
もりくぼはあります
ラララ…

P「……」

森久保「……」

P「俺にもあるよ……」

森久保「でしょうね……」

P「最後のラララ…っていうのは毎回付ける感じなのか?」

森久保「クセ…みたいな……?」

P「クセなら仕方ないな」

森久保「はい……」

P「【遊園地】なんてどうかな?楽しそうな感じで」

森久保「遊園地…やってみます……」

森久保「……」スゥ…

【遊園地】

ベンチはどこですか?
もうベンチでいいです
ベンチフリーパスでお願いします
もりくぼのことは気にせず一人で楽しんできて下さい
それでも心は通い合うから
ルルル…

P「……」

森久保「……」

P「……」

森久保「さ、最後…変えてみました……」

P「あ、うん……」

森久保「ルルル…って……」

P「その心がけは大事だと思う」

森久保「はい……」

P「【お花畑】とか」

森久保「お花畑…ですか。分かりました……」

森久保「……」スゥ…

【お花畑】

あんまり走り回るとお花折れちゃうからもりくぼはここに座ってます
ラララー…

P「……」

森久保「……」

P「……」

森久保「……」

P「『もう、待ってよぉ!キャッキャツ』とかは?」

森久保「むーりーぃ……」

P「そうか、無理か……」

森久保「最後伸ばしてみました…ラララー…って……」

P「ごめん、気付かなかった」

森久保「あぅ……」

P「夢…よし!次は【夢】にしよう!」

森久保「や、やってみます……」

森久保「……」スゥ…

【夢】

そう、君は酔っているのだ
夢という言葉そのものに




P「待て待て待て」

森久保「な、なんですか……?」

P「いきなりリズム変えるのは止めようぜ。こっちにも心の準備があるから」

森久保「ご、ごめんなさい……」

P「菜々が唐突に17歳じゃなくなったら驚くだろ?それと同じだ」

森久保「わ、分かるような分からないような……」

P「頼むぜ」

森久保「は、はい……」

P「じゃあ次は…【海】にしてみよう」

森久保「海…らじゃーです……」

森久保「……」スゥ…

【海】

広いうーみぃー
白いなーみぃー
もうむーりぃー
むーりぃー…
ルールルー……

P「……」

森久保「……」

P「…無理か」

森久保「はい……」

P「そうか。じゃあ次は……」

森久保「あぅ…あうぅ……」

P「【猫】とかどうだ?」

森久保「不安でいっぱいですけど…やってみます……」

森久保「……」スゥ…

【猫】

じゅるるるるるるる
すいませんハンバーグじゃないです…
ハンバーグは昨日食べました…
今日は…
…す、スキあり!
にゃん…
もりくぼでした…
ルルル……?

P「……」

森久保「……」

P「……」

森久保「……」

P「みくにもいろいろあるんだ」

森久保「はい……」

P「分かるな?にゃーん」

森久保「にゃ、にゃーん……」

P「次は…そうだな……」

森久保「やーん……」

P「【恋】で」

森久保「む、難しそうでけど…やってみます……」

森久保「……」スゥ…

【恋】
恋…
来い…
戦者求む…
ラウンドワン、ファイト…
もりくぼ、惨敗です…
恋に…
故意に…
ラララ…


P「……」

森久保「……」

P「悪くない気がした」

森久保「恐縮です……」

P「恋してるのか?」

森久保「そんな大それたことできません……」

P「そっか」

森久保「はい……」

P「【愛」で

森久保「はい…… 」

森久保「……」スゥ…

【愛】

あなたは私の首筋に歯を立てながら
これはボクの愛だと言う



P「待て待て待て」

森久保「な、なんですか……?」

P「だから、いきなりリズム変えるのは止めようぜ」

森久保「む、無意識でした……」

P「菜々が実は千葉出身ですって言ってきたら驚くだろ?そういうことだ」

森久保「な、なんとなく分かります……」

P「よろしい。じゃあ次で最後にするか」

森久保「やっと終わる……」

P「そうだなぁ…最後は……」

森久保「さ、最後は……?」

P「【アイドル】かな」

森久保「アイドル…分かりました……」

森久保「……」スゥ…

【アイドル】

道路の反対側…
線路の向こう側…
もりくぼには関係のない場所…
机の下…
自分の部屋…
もりくぼの居場所だった場所…
いまは少しだけ…
道路を渡りたいって…
線路を渡りたいって…
思います…
すごく怖いけど…
もりくぼの居場所…
自分で作る…
わ、私の…
私のステージ!
私も、アイドルだから!
…たぶん…
ララ…ラ…?

P「……」

森久保「……」

P「……」

森久保「……」

P「私もアイドル…か」

森久保「ちょ、調子にのりましたごめんなさい…あぅ……」

P「なんでだよ。お前もアイドルだろ?」

森久保「……」

P「先は長いぞ?」

森久保「…はい」

P「次はステージで……」

森久保「ステージで……?」

P「森久保乃々っていう詩を語ろう」

森久保「……ふふっ」

P「なんだよ?」

森久保「ちょっとクサい…です……」

P「詩ってそういうもんだろ?」

森久保「そうなの…かな……?」

P「そのためには、まずは今日のダンスレッスンからだな」

森久保「…はい。よ、よろしくお願いします!」

P「行こうか森久保」

森久保「は、はい!」

談話室のドアを開けると、新しい世界が広がっているように思えた
その世界を、これから彼女は生きていくのだろう
ビクビクしながら、オドオドしながら
森久保乃々という詩が、世界中に響きますように
俺は心から、そう祈った
ラララ……
ルールルー……


お し ま い

終わり
さよーなら

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