女騎士「くっ、寿司食いねぇ!」(27)

女騎士「寿司食いねぇ!」

オーク「家に来るなりいきなりなんだよ…それにその格好…」

女騎士「板前だよっ!」

アイヨッ

オーク「まーた何かに影響されたな」

女騎士「握るぜ~超握るぜ~」

ギュッ

オーク「アヒィ!そ、それは私のおいなりさんだ!」

女騎士「寿司食いねぇ!」

オーク「食えと言われても、さっき朝飯を食べたばかりでなぁ」

女騎士「寿司…食わねぇの?」

シュン

オーク「あーもう、そんな顔されちゃ食うしかねぇじゃん。食うよ、寿司食うよ」

女騎士「!」

パァァ

女騎士「寿司食いねぇ!」

オーク「で、酢飯や食材は準備しているのか?」

女騎士「!」

女騎士「わ、忘れていた…寿司、握れぬ…」

ガクッ

女騎士「私の手は…寿司を握れぬ…はは、見て見ろこの手を…数多の魔物を斬り殺したこの手を!」

バンッ

女騎士「赤さ…真っ赤さ…こんな血塗れの手じゃ…ハナから寿司なんて握れっこなかったんだ…はは、これでは…これでは道化だ」

オーク「…」

ガサゴソガサゴソ
シュボッ
プハー

オーク「ふぅー…やれやれ、今更何を言うかと思えば…泣き言かい」

女騎士「なっ…」

オーク「確かにお前の手は血塗れさ。俺の仲間を…家族を…殺した。その事実は変わらない。変えちゃいけない。でも、それでも俺とお前は分かり合えた…分かり合えて、ここにいる」

プハー

オーク「握れよ…その血塗れの手で…怒りや憎しみ、悲しみ…まるごと酢飯に握り込んでみろよ」

女騎士「まるごと…酢飯に握り込む…」

オーク「そうさ。そうすりゃ、ちったぁ何かが見えてくるかもしれねェさ…」

女騎士「…そう、だな」

オーク「そうと決まりゃ、さっそく…極上の酢飯を用意してやンよ」

女騎士「極上の…酢飯…?」

オーク「そうさ、とびきりの酢…とびきりの米…他には何も混ぜない、純粋な酢飯…究極の酢飯さ!」

女騎士「究極の…酢飯…」

オーク「で、だな。こんな事もあろうかと既に準備しているのさ、これがな」

ドンッ

女騎士「さすオク」

※さすがですわオークの略

オーク「究極の酢飯は準備した。あとはネタだ」

女騎士「玉子焼き!甘い玉子焼き!」

オーク「お前は子供だなぁ…やはり通なら…あわびよ!」

ズンッ ムンズッ

女騎士「あっ…そこは…あわ…び…///」

オーク「あ~、聞こえんなぁ~」

オーク「俺はよ、アワビが食いたいんだ。分かるか?」

女騎士「わ…か…る」

ハァハァ

オーク「ん、息が荒いな…どうした?」

ニヤニヤ
サワサワ

女騎士「くっ、こんなの…こんなの…」

ジュンッ

オーク「ンフフフフ…アワビの出汁よ」

女騎士(このままでは寿司を握るどころじゃない…この状況を打開するには…これだ!)

スンッ
ニギッ

オーク「ほぉ、俺のおいなりさんを…で、どうする?」

女騎士「こう…する!」

ブチィッ

オーク「なるほど、おいなりさんを引きちぎるか…だがそれは悪手だな!」

ジュワ…ジュワ…
ジュワ
チンポ フッカツ

!?

女騎士「ナッ…チンポ…チンポサイセイシタ!?」

オーク「ンフフフフ…」

女騎士「アイエエエ、ナンデ、ナンデチンポサイセイシタ!?」

オーク「オークのチンポは再生する…常識だろう?」

女騎士「し、知らねぇ~!」

ビィィィィィン

オーク「しかも再生するたび固く、太くなる…だからお前の行動は状況を悪化させただけなのさ、これがな」

女騎士「まじかよファッキン!」

オーク「さぁ、極上アワビの下ごしらえの続きだ…」

ムンズッ
サワサワ

女騎士「んっ…くっ、はぁ…」

トロォ

オーク「いいぞ、もっとだ」

女騎士「こう、かい…するなよ…」

オーク「ファッツ?」

女騎士「後悔するなよ!」

ブワァッ
バリバリバリ

オーク「ぎゃぁぁぁ!女騎士のアワビから電気が!」

女騎士「痺れ死ぬっちゃ!」

オーク「ラム先生ぃぃぃ!」

ビリビリビリ

女騎士「消し炭になるっちゃ!」

オーク「ぐ、ぐお、お、お、お!」

女騎士(くっ、もう体内電気が尽きる…)

オーク「ぐ、ぬ…くっ、ふぬ…どうし、た…電撃が弱まって、きたぞ…ぐぅっ…」

ビリリ

女騎士(気付かれたか…ここからは我慢比べ…私の電力が尽きるかオークの命が尽きるか…)

ビリリ

オーク「ぐっ、ここが正念場…耐えきってみせる!」

女騎士「くっ、まだか…まだ倒れないか!」

ビリリ

オーク「ふぐっ、このままでは…」

女騎士「倒れろ…倒れろ倒れろ倒れろ倒れろ倒れろ!」

ビリリリリ

オーク「ぐ、ぁぁぁぁぁ!」

バチバチッ
プスプス

オーク「ぐふっ…」

バタリ

女騎士「っはぁっ…はぁ…はぁ…オークの丸焼き、一丁あがりってな…!」

プスプス
プワーン

女騎士「いい匂い…こんがり焼けてるわね…」

ジュルッ

女騎士「ほどよい脂、こげた皮…もしかしたらオークって食べたら美味いかも…」

ジュルッ
ハァハァ

女騎士「ぐ、ふふふ…あ゛…ふふ」

フラフラ

女騎士「せっかく極上の酢飯があるんだ…握るしか…ないよな…」

タターン
サッ ニギッ

女騎士「空気を含ませ、口の中でほどけるように握る…!」

サッサッ

『本手返し!』

※本手返しについてはきららの仕事を読んでね

それは一瞬の出来事だった。
オークの丸焼きが
酢飯に優しく乗った。
酢飯は自身の重みで自然に沈み
あっというまにオークの握りが完成した。

女騎士「握れた…私にも、寿司が…握れた。こんなに嬉しいことはない…!」

オーク寿司「やったじゃねェか…いい顔してるぜ、お前」

女騎士「オーク寿司…ありがとう。これでようやく私も寿司職人として生きていけそうだ」

オーク寿司「あぁ、今日からお前は…女騎士寿司職人だ!」

女騎士寿司職人「そうだ。私は今日から…女騎士寿司職人だ!」

ヘイオマチィ!

ヒュー

オーク寿司「と、突然空から海鮮類が!中トロが、コハダが、アジが!」

女騎士寿司職人「好都合だな…私の寿司力(すしちから)を見せてやる!」

ハチマキ シュルル キュッ

女騎士寿司職人「今日から剣ではなく、包丁で…未来を…切り開く!」

ヘイラッシャイ!

【完】

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