【ガルパン】優花里「世にもタンクな物語です!」 (84)

~秋山理髪店~


優花里「う~~~・・・うう~~~・・・」

好子「38度8分・・・これじゃあ今日はやすまないとね。」

優花里「そんな!!今日は戦車道の校内摸擬戦・・・が・・。」

優花里「この日のために・・・ガハッ!!!!いままで練しゅ・・・ゲホッ!!!」

好子「だからといって毎晩3時までするのはやりすぎですっ!」



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好子「まったく・・・自分の体のことを考えず無理するから病気するのよ?今日のことはあきらめて、おとなしく寝てなさい。」

優花里「でもぉ~~~・・・せんしゃあ~~~・・・うう~~~・・・」

好子「いいかげんになさい!安静にしてないと何日たっても治らないんだから。」

優花里「うあ~~~~~~~~~~~~~~~~」

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優花里(お母さんはああいったけど・・・いくら何でもきょうはやすみたくない・・・)

優花里(けど・・・からだがいうことをきかない・・・)

優花里(ううっ・・・西住殿・・・あんこうチームのみなさん・・・)

優花里(すみません・・・こんなっ・・・・こんなふがいない装填手で・・・)

優花里(ああいますぐとんでいきたい・・・でもくるしい・・・でもいきたい・・・)



優花里(にし・・・ずみ・・・どのぉ・・・)


ガクッ







優花里(・・・・・・・・)

優花里(・・・・・・・・あれっ?苦しくない?)

優花里(あれ?あれれ??熱もないだるさもない!やった!!!これならいける!!!)

優花里(待っててください西住殿!不肖秋山優花里!!ただいままいりま・・・す・・・)

優花里(あれ・・・?体が動かない・・・・?)

優花里(ていうかここウチじゃない!?しかもなんか真っ暗!!??)

ワイワイガヤガヤ

優花里(!)

みほ「え!優花里さん今日はお休みなの?」

沙織「うん、さっき会長から聞いたんだけどね。夜遅くまで練習しすぎて体こわしちゃったんだって。」

優花里(西住殿と武部殿の声?西住殿!わたしはここに・・・)

華「それはお気の毒ですね、あんなに張り切っていらっしゃったのに。」

沙織「人一倍戦車が好きなのにねー。って麻子しっかり肩持って、倒れたらそのまま寝ちゃうんだから。」

麻子「・・・・寝不足は体に悪い・・・秋山さんは身をもって証め・・・zzz」

沙織「あんたはもうじゅんぶん寝たでしょうが!!!」

優花里(五十鈴殿に冷泉殿の声も・・・みなさん!わたしはここにいます!聞こえないのですか!?)

優花里(真っ暗で状況がよくわからない!どこかに明かりは・・・)



ギイイイイイイィィィィィィィィィィ・・・・・



優花里(うおっまぶしっ!?扉?)


沙織「ということはー、今日はゆかりん無しでこの子とドライブするの。」


優花里(目の前にみなさんが・・・って武部殿?この子ってわたしのことですか?)


みほ「そういうことになりますね、代役を頼もうにも今回は校内で模擬戦だし・・・どうしよう。」


華「みほさん、試合までにはまだ時間があります。それまでにみんなでゆっくり考えましょう。きっと名案が浮かびますよ。」


沙織「そうだよみぽりん。それよりすこし流してみない?頭がすっきりするよ。」


みほ「それもそうかも。じゃあみなさんⅣ号に乗ってください。」


沙織「ほら麻子起きて」


麻子「う~」


優花里(さっきからみなさん目の前でなにを言ってるんですか!わたしはここにいます!!)



ドヤドヤ

優花里(わっ!!みなさんわたしに乗らないで!!)


優花里(・・・ってあれ?さっき西住殿はⅣ号に乗れと言って・・・まさか!?)


麻子「エンジン始動。」



グオオオオオオオオオオン!!!!!!!



優花里(間違いない・・・・わたし・・・・)


みほ「それじゃあ、パンツァー・フォー!」



優花里(Ⅳ号戦車になってる!!!!!?????)





ブロロロロロ・・・・


みほ「そのまま下がってのまま・・・ストップ!」



ギギギギ・・・イイ・・・



みほ「ふう、みなさんお疲れさまでした。」


華「どうですみほさん,すっきりできましたか?」


みほ「うん、おかげさまで。でも優花里さんのことはまだ・・・」


沙織「あわてないあわてない。まあ、なんとかなるって。」


麻子「そうだな、名案がでたらおこしてくれ。」


沙織「はいはい、あんたはシャキッとする!」


ワイワイ




優花里(・・・・・・・・・・・・・・)




沙織「じゃあ、しめるよー。」


バタンッ

優花里(これは・・・え?わたしは熱をだして?Ⅳ号になって?え?)


優花里(いやいや、ここは落ち着こう。落ち着きは大事だね、ウン。)


優花里(まずは現状の確認から。わたしが今いるのは戦車を止めておくいつもの車庫。)


優花里(これと言って変わったところはない・・・。時間は・・・)


優花里(さっきのみなさんの様子から察するに授業前かな?)


優花里(そしてわたしはなぜかⅣ号になってて、自力では動けずみなさんと話もできない。・・・か。)

優花里(どうしてこんなことに?いや、これは現実なの?それとも夢?)


優花里(そうだよね!こんなの夢だよね!人間が戦車になるなんて、そんな非科学的でファンタジーな怪奇現象って夢以外にはありえないよね!そうときまればさっさと起きて・・・)



優花里(・・・・・・・・・)



優花里(うわああああああん!!!!!やっぱり夢じゃないよおおおおお!!!!!!!)

優花里(ホントどうしてこうなったの?まさか熱に苦しむわたしはそのまま死んで、試合に参加したいというあまりに強い思いから魂だけがここに?)


優花里(そりゃあ、わたしは戦車が大好きですよ?ほかの誰よりも好きですよ?でも戦車自体になりたいとかそういう方向の好きじゃないんだよ!?)


優花里(確かにこれなら試合には出られるだろうけど!・・・でも・・・でも!!)




優花里(だれかあああああ!!!!!にしずみどのおおおお!!!!たすけてくださいいいいいいい!!!!!!)

~廊下~


みほ「・・・・・!」


沙織「みぽりん、どうかしたの?」


みほ「いま・・・優花里さんの声が聞こえたような気がして・・・ううん、気のせいだよね」

沙織「まだ試合のこと考えてる?校内試合で通信手はあまりすることないからわたしが装填するって決まったじゃん。」


沙織「そりゃ、ゆかりんほどはうまくできないかもだけどさ。」


麻子「心配しなくていい、私たちがそのぶん頑張ればいいことだ。」


華「もしかしたらみほさん、優花里さん自身のことを気にかけているのですか?」

みほ「うん。優花里さん、戦車も好きだけどそれ以上に責任感もつよそうだから、今日休んだことで思いつめてないかなって思ったの。」


華「そういえば、ずっと前にサンダース高へ偵察にいったことがありましたね。高い責任感のなせる技です。」


麻子「とすると、沙織の責任はとても重大だな。」


沙織「えっ、どうゆうこと?」


麻子「考えてもみろ、万が一にも私たちが撃破されたらだ、秋山さんは自分が出なかったせいであんこうチームが負けたと責任を感じるかもしれないだろ?」


華「まあ、そうなると代役をつとめる沙織さんは・・・」


沙織「がっ、がんばります・・・」

エルヴィン「あ、いたいた。」


梓「先輩、こんにちは!」


みほ「澤さんにエルヴィンさん?」


カエサル「わたしたちもいるぞ。」


左衛門佐「おなじくここに。」


おりょう「参上ぜよ」。


桂里奈・優季・あや・あゆみ「「「こんにちはーーー」」」


紗希「――――――――」


みほ「ど、どうしたんですかみなさんいっせいに。」

エルヴィン「実は人伝えにグデーリア・・・秋山さんが休んだと耳に挟んでね、西住さんなら詳しいことを知ってるだろうと思って聞きにきたんだ。」


梓「わたしたちもそうなんです。西住先輩、秋山先輩はどうなっちゃったんですか?あんなに戦車が大好きな人なのに。」


みほ「ええと、たしかからだを壊したとか・・・沙織さんそうでしたよね?」


沙織「うん、そのせいで病気になって、熱もけっこう高いみたい。」


あや「もしかしたら失恋が原因ですか!?」


桂里奈「マジですかあ!!??」


優季「え~あのひとがぁ~?」


沙織「いや違うから!原因は練習のしすぎだから!ていうか、なんでそうなるの!?」


あゆみ「すいません、武部先輩がいうことは何でも恋愛関係だと思っちゃうんです。」


沙織「やだも~、わたしったらそんなふうに見られてるの?」


みほ・華・麻子(自覚なかったの!?)

エルヴィン「志半ばで病に倒れるとは・・・まるでディートリヒ・エッカートのようだ。」


カエサル「いや、ここは軍人皇帝セプティミウス・セウェルスだろう。」


左衛門佐「武田信玄だ!これはゆずれん!」


おりょう「手堅く高杉晋作ぜよ。」


エルヴィン「と、お約束はここまでにして。機会があったらお大事にと伝えてくれる?」


みほ「は・・・はあ・・・」


典子「あっ、西住さん!秋山さんのことでちょっといい?」


ねこにゃー「ボ・・・ボクも。」


ナカジマ「あれ奇遇だね、わたしもそうなんだ。」


みほ「えっ、ええ~~?」

優花里(・・・)ポツーン


優花里(Ⅳ号になってから何時間たったんだろう・・・)


優花里(ぜんぜん疲れないしおなかもすかないし眠くもならない。でも・・・)


優花里(さびしい・・・)



優花里(そういえば、戦車道や西住殿に出会う前は・・・こうしてひとりだった・・・っけ)



優花里(あれ・・・なんだか・・・意識が・・・)

優花里(なるほど、これはいよいよお迎えが近いということかな・・・)


優花里(やっぱりわたしは病気のせいで死んで・・・試合に出たいという願いを・・・神様が最後に・・・)


優花里(もう西住殿やみんなとおしゃべりも食事もできない・・・戦車道ショップで買い物もできない・・・)


優花里(ならば西住殿・・・わたしは戦車として・・・最後のご奉公を・・・)



優花里(あ・・・だめだ・・・もう・・・)ガクッ

~車庫前~



桃「全員整列!これより校内試合を始める!!」


「「「「「「はいっ!!!!!」」」」」」


柚子「それに先立って会長が今回試合を行う主旨を述べられます。」


杏「やーやーみんな、前回の大学選抜との戦いはおつかれさま。」


杏「んで、今日の試合のことだけど、みんなの実力の底上げにつなげたいんだよねー。」

杏「もちろん、みんなの力はすでにかなりのものがあるよ?でも、まだまだ西住ちゃん頼りなところがあると思うんだ。それに今までの勝ちは運による部分も大きいといえなくもないからね。」


杏「そういうわけで、今回はお互いにつぶしあ・・・切磋琢磨してもらって、それぞれの長所や弱点を見つけあおうってわけ。」


桃「会長のおっしゃるとおり、おまえたちにはもっと強くなってもらう必要がある。」


桃「この前の勝利によりわが校は廃校を免れた。しかしだ、役人どもがこのことでわが校の廃校をあきらめるとは限らない!さらなる無理難題をふっかけ、ありとあらゆる手段で我々をつぶしにかかるかもしれないのだ!そしてどんな要求が出されようと乗り越えられる実力をつけることが我々には求められている!!!」


柚子「そのために今回はスペシャルゲストをお招きいたしました。」


沙織(えっ!?だれだれ?イケメン?)

蝶野「久しぶりねあなたたち!陸上自衛隊富士教導隊所属の蝶野亜美よっ!!!」


沙織(ちえーー)


蝶野「ほらほら約一名、あからさまにがっかりしないの。」


蝶野「あら?あんこうチーム秋山さんがいないようだけど、どうしたの?」


みほ「実は昨日の夜からだを壊してしまって、今日は欠席なんです。」


蝶野「それは残念ね、きょうの働きしだいではスカウトも考えていたのに。」


みほ「そ、それはダメです!優秀な装填手ですから!」


蝶野「あっはっはっは!!!ジョーダンジョーダン!!!」


蝶野「さて、それじゃあさっそく始めますか。全員乗車してスタート地点について!!!」

~山の中の道~



ブロロロロロロ・・・・



みほ「・・・」


沙織「ねえ、みぽりん」


みほ「なんですか沙織さん?」


沙織「今日の試合、別の日にできなかったのかな。そうすればゆかりんも参加できたのに。」


みほ「ちょっと無理かな、優花里さんのことは急なはなしだったし。それに蝶野教官も忙しい中で時間を来てくれて作っているだろうから、こちらの都合でいきなり日程を変えるなんてできないよ。」


沙織「そっかー、やっぱ無理かー」


麻子「頼むぞ沙織、今日はしんどい戦いになりそうだからな。」


沙織「わ、わかってるってば。それにちょっとは練習もしてたし・・・」


麻子「それだけじゃない、いまの私たちは明らかに弱体化しているからだ。そうだな西住さん。」


みほ「はい、戦いにおいてはまず弱いところから討つのが鉄則です。とすれば、ほかの人たちはみんな、これ幸いとわたしたちを狙ってくるかもしれません。」


華「加えて隊長車撃破ともなれば大金星もいいところ・・・しかも、今回はその絶好のチャンスといえますからね。」


沙織「つまり・・・実質わたしたち対ほかのみんなってこと?」


みほ「はい、みんな野心的なところが無きにしもあらずですから。だから今回は今まで以上に・・・」


グオオオォォォンンンン!!!!!


みほ「来ました!!!!左です!!!」

ドォン!!!!



みほ(あれは89式・・・!横切りざまに当ててきた!!)


典子(勝負だよ、西住隊長!)



ドンッ!!ドンッ!!


89式「それそれそれーーーー!!!!!」


みほ(すごい・・・木の間をあんな速さで走れるなんて。しかも速度がほとんど落ちない。)


麻子「西住さん、どうする?森に入るか?」


みほ「森に入れば向こうが小回りの利く分、こちらが不利です。この道を外れないように戦いましょう。それにあまり動かないでください。」


沙織「それじゃいつかやられちゃうよ~(泣)」


みほ「向こうは常に移動しているから、こちらも動くと相対的に向こうの速さも増してさらに当てにくくなります。華さん落ち着いて狙ってください。」


華「わかりました。」


みほ(とはいっても、撃破にはかなりの時間と弾丸を消費しそう・・・こうしてるうちに他の人も集まってくるだろうし、なるべく弾丸も残しておきたい・・・ならば!)


みほ「華さん、目標変更です!」

典子「河西、絶対に止まるんじゃないぞ!あと木にぶつからないように!」



ドガアアアアアン!!!!



忍「ひえー!!!他にも色々ぶつかる!」


あけび「このぉ!!!」ドンッ!!


Ⅳ号「」カキーーーン!!


あけび「キャプテンやっぱむりです~!!硬いです~!」


妙子(やることがなーい。)

ドオオオオオン!!!!



忍「うおっ、至近弾!」


典子「落ち着け!向こうの弾丸はほとんど周りの木に当たって・・・」


バキバキバキ・・・・・!!」


典子「木が倒れてくるぞ!回避!」


忍「りょうか・・・ってあれ?」


キキッ!!!



典子「どうした、なぜ止まる!?」

典子(!・・・周りが倒れた木でかこまれてる?)


忍「キャプテン、これじゃ動けません。閉じ込められました!」


典子(まさか、私たちじゃなく周りの木に当てて倒させ、囲い込んだってこと?)


Ⅳ号「」キリキリキリ・・・・・


あけび「キャプテン!Ⅳ号がこっちをむいてます!」


典子「川西、木を押し倒して進めないか?」


忍「無理っぽいですね、どこもしっかり塞がってます。」


典子「そうか・・・」


典子(時間は・・・20分くらいか、おもったより粘れたかな・・・)


典子(これなら・・・!)

~数分前、とある崖の上~


ねこにゃー「い、いた・・・!あんこうチームだ。アヒルさんチームもいる。」


ねこにゃー「よし、作戦通りあひるさんがひきつけて内にⅣ号を撃つよ。」


ぴよたん「ここからならⅣ号の上部が丸見えだってばよ。」


ももがー「一撃必殺なり~」


ねこにゃー「ぴよたんさん、しっかり狙って当ててね。ボクらを信じてくれたアヒルさんチームの期待に応えるんだ・・・」

~再び森の中の道~



典子(むっ?あれはアリクイさんチームの三式・・・いいぞ、隊長はまったく気づいていないようだ。)


典子(西住隊長はわたしたちのことをよく知っている。でもそのせいで、体力バカと名高い私たちが頭脳プレイをしてくるとはかえって考えにくいだろう。)


典子(たのむぞアリクイさんチーム!Ⅳ号を倒して、弱小という汚名を日本戦車から無くすんだ!)


典子「河西、できるだけもがいて当てられないようにしろ!少しでも時間を稼ぐんだ!」

~Ⅳ号車内~



優花里(ううん・・・ここは・・・森の中??)


優花里(そしてあれは89式・・・?そうか、もう試合は始まっていたのか。)


優花里(なるほど、周りの木に弾丸を当ててなぎ倒すことで素早い89式を閉じ込めたのですね、さすが西住殿・・・ん?むこうの崖の上に何かがいる?)


優花里(あれは三式!まさか、Ⅳ号を狙って・・・い・・る?)

優花里(西住殿・・・危険です!よけてくださ・・・い。だめだ、ぜんぜん気づ・・・いていない。)


優花里(そんな・・・コノママジャ西住殿が・・・いやだ・・・そんなのいやだ・・・)


優花里(最後の最ゴで・・・西住殿ノ・・・・)



(負けるトコロヲ見るナンテ・・・ソンナノ・・・!)






プツンッ

ガタッ・・・・ガタタッ・・・!



麻子「な、なに?」



グオオン!!!



沙織「ちょっと麻子!なに勝手にうごいてんの!」


麻子「ち、ちがう!私はなにも・・・」



ドカアアアアアン!!!!



沙織・麻子「ひえっ!?」

華「砲撃!どこから・・・って、うわあ!?」



ウイイイイイイイン・・・



華(砲塔がひとりでに・・・ああダメです、そっちは89とは反対です!)



ドンッ!



ドカーン



「「「ウギャー」」」


パシュ!




みほ(あんなところに三式が!?じゃあ、いままでのアヒルさんはおとりだったの?)


沙織「み、みぽりん・・・たっ・・弾丸が・・・」

弾丸「」フワフワ


みほ・沙織・華「・・・・」ポカーン


麻子「お、おいどうした、いきなりみんなだまって・・・」


弾丸「」フワフワ



ガシャーン・・・!



ウイイイイイイイン・・・・



ドンッ!!


ドガアアアアン!!!!


89式「ウギャーーーー!!!」シュパ!


みほ・沙織・華「・・・・」ポカーン


麻子「おい、本当にどうしたんだ!だまったままなんて怖いぞ!!」

ギギギ・・・ギギ・・・



麻子「操縦桿が・・・こら!勝手に動くな!」


みほ「麻子さん!?」


麻子「くそっ、操縦不能だ・・・!」


華「砲塔も動かせません、というよりひとりでに動きました!」


沙織「なんかもう、いろいろ全自動になってるよ!?」


麻子「まさか、おばけか!?そうなのか!!??」ガクガクブルブル


みほ「き、緊急事態です!全員脱出してくださ・・・」


みほ(あれ・・?いしきが・・・)

ブロロロロロ・・・・!!!



沙織・華・麻子「だっしゅつーーーー!」



どさっ



沙織「あーびっくりした・・・みんな大丈夫?」


華「なんとか、無事です。」


麻子「お、おなじく・・・・あれ、西住さんは?」



Ⅳ号&みほ「」ブオオオオオン・・・・



麻子「逃げ遅れた!?」


華「それに、気を失ってます!」


沙織「追いかけるよ!」

~森の中~



桃「会長、教官からの通信によるとⅣ号によって89式と三式がやられたそうです。」


杏「ふーん、やっぱ西住ちゃんはすごいねー。」


柚子「その一方で、私たちはこんな具合でいいんでしょうか・・・」


桃「私の立てた作戦が不満か?このまま隠れておいて他のやつらをつぶし合わせ、生き残ったチームを万全の状態の我々が最後に討つ!完璧な作戦だろう。」


柚子「でもそれだと試合の趣旨に合わないんじゃ・・・」


桃「知ったことか、勝てばいいのだ勝てば。」


杏「まー、へッツァーはもともと単騎で積極的に攻撃するような戦車じゃないし、いいんじゃない?」

杏「でもこのまま動かないで無気力判定くらってもつまんないし、ぼちぼち動こうか。」


桃「待ってください会長!前方の平原にⅣ号です!」


杏「距離は?」


桃「大丈夫、まだあちらの射程圏外です。このままやりすごしま・・・」



ズガアアアアアアアアンッ!!!!!

杏「やー!らー!れー!たー!」


柚子「桃ちゃん外すのは攻撃だけにしてよ~。」


桃「そんな、たしかに大丈夫なはずだったんだ!信じてよ柚子ちゃん!!」


杏「とはいっても現にひっくり返ってるしねー」


ザザザ・・・ザザ・・・


桃「ぐす・・・通信?こちらカメさんチーム、どうぞ。」


蝶野『あーきこえるー?こちら蝶野。なんかねーⅣ号が暴走してるっぽいのよ。だから、見かけてもむやみに近づかないようにね。』


桃(おそいよ!!!!)


ブロロロロロ・・・・・


優花里(フフフ・・・ワタシガセンシャデアルカギリ・・・ニシズミドノヲ・・・ハイボクサセナイ!)





優花里(アッハハハハハハ!!!!アーーーーーッハハハハハハハ!!!!!!)

~学校~


蝶野「あ~、こちら本部。目標の現状を報告せよ。」


そど子『こちらカモさんチーム、目標に目立った変化なし。速度変わらず依然として進行中、北東方面へ向かうものと思われます、どうぞ。』


蝶野「了解、そのまま監視を続けてちょうだい。なにか変化があればすぐに報告すること。」



ガチャ


蝶野「ふぅ~、これはおもしろ・・・いや、大変なことになったわね。で、さっきの続きだけど現在のⅣ号はひとりでに動いていて、しかも失神した西住さんが乗っていると。」

沙織「そうなんです、それにただ動くだけじゃなくて装填も攻撃も勝手にしてしまうんです。信じられないかもしれないけどホントなんです!」


華「しかもその攻撃はでたらめではありません、かなりの命中率でした。」


麻子「オバケコワイ」ガクガクブルブル


蝶野「う~ん、おばけねえ。にわかには信じがたいけど生徒が捕まってるんじゃほっておけないわね。」


蝶野(さてどうしたものか・・・)

~森の中、とある木の上~



ブオオオオオオオン・・・



梓「本部どうぞ、こちら偵察班、Ⅳ号戦車を発見。西住隊長も見える。」


あゆみ「本当に勝手に動いているのかな?どうも信じれれないけど。」


あゆみ「あれ?砲塔がこっちを・・・」



ドッゴオオオオオオン!!!



メキメキメキメキ・・・・



梓「撃ってきた!?」


あゆみ「た、たおれるー?」


ズズウウウウン・・・・

あゆみ「やっぱりひとりでに動いてる!あんこうチームはあんなことしないもん!」


あゆみ「梓、だいじょうぶ!?」


梓「う、うんだいじょうぶ。」


あゆみ「なめたマネしてくれちゃって。隊長の戦車を乗っ取られて何もできないのはくやしいな。」


梓「今は様子見だよ。向こうは強力で凶暴だし、私たちМ3が勝ってるのは砲塔の数くらい・・・あ。」


あゆみ「どうしたの?どこか痛む?」


梓「ううん、平気。それよりさっきいったこと取り消して。いいこと思いついたかもしれない。」


アハハハハハハハ アハハハハハハッ



エルヴィン「こちらカバさんチーム三突、目標を視認した。」


エルヴィン「しかし、なかなか愉快な作戦を立てるものだな。」


梓『すみません、やっぱり無理がありますか?』


ナカジマ『いやいや、いいんじゃない?私は結構好きだよ。』


そど子『お化けだろうと何だろうと、暴走なんて不良のやることよ。なんとかしなくちゃ。』


梓『みなさんのご協力ありがとうございます。それでいきましょう!』


Ⅳ号(アハハハハハハ!!!!!)



ドガンッ!!!



Ⅳ号(!?)


梓「よし、気付いた。発進!」


桂里奈「あいっ!」



ドゴオオオオン!!!!

優季「こちらウサギさんチーム、食いつきました!でも・・・」



ドガン!!!ドガン!!!ドガン!!!



キィン!!キキィン!!!



優季「やたら撃たれてます!!かすってます!!怒らせちゃいました~!」


あゆみ「なにあの連射!?反則じゃん!」


桂里奈「致命傷になんかさせるかーー!!」ブオオオン!!!


梓「落ち着いてみんな。それと桂里奈、Ⅳ号との距離は一定にね」


桂里奈「あいまむ!!」


紗希「・・・」






エルヴィン「そろそろウサギさんチームが来る、みんな準備は?」


ツチヤ『まっかせといて♪』


ゴモヨ『ОKですー』


М3「」ブオオオン!!!!


Ⅳ号「」ウオオオオオオオオオオ!!!!

ツチヤ(来た!)


ゴモヨ(今だ!!)


おりょう・ツチヤ・ゴモヨ「「「突撃!」」」


Ⅳ号「!」



ズッドオオオオオオオオオンンンン・・・!!!!!


そど子「ぎえっ!」



ルノーB1bis「」シュパッ

エルヴィン(カモさんがやられた・・・だが多砲塔ならいざしらず、いかに強くとも単砲身では1度に一つの目標しかこうげきできまい!)


ナカジマ(まだ2輌残ってるもんね!)


ナカジマ「ツチヤ!Ⅳ号前方をブロック!」


エルヴィン「おりょう、後ろにつっこめ!」


ドガアッ!!!



Ⅳ号「!?」


ツチヤ「どーだ、前と後ろから挟まれて、走れるもんなら走ってみな!」

Ⅳ号「」ウイイイイイイイン



ゴンッ



Ⅳ号「」


エルヴィン「無駄だ、砲身が長すぎて密着されると撃てないだろう?」



ウイイイイイイイン!!!!ウイイイイイイイン!!!!



左衛門佐「おうおう、砲身が暴れている。」


エルヴィン「ウサギさんチーム、出番だ!」


桂里奈「うりゃああああ!!」


グオオオオオオオオオオンッッッッ!!!


ドゴォ!!

Ⅳ号「」ギギギ ・・・ギギギ・・・



梓「こちら澤、砲身の固定に成功しました!!」


カエサル「では、隊長を返してもらうか。」


エルヴィン「Ⅳ号に乗り移るぞ!」

~Ⅳ号車上~



みほ「」グッタリ


エルヴィン「カエサル、そっちの肩を持ってくれ。」


カエサル「よっと。よし、では降りるぞ、イチ・ニのサン!!」


タッ!


エルヴィン「こちらエルヴィン、ただいま隊長を確保した。仕上げを!」


ホシノ『了解!』


スズキ(やっと出れた・・・)

スズキ「よっと、Ⅳ号ちゃん失礼するよ。」


ホシノ「えーと燃料タンクの蓋は・・・っと。あった、これだ」


ホシノ「ぱかっとな。」パカッ


スズキ「そして小石をポチャーっとな。」ポチャー


Ⅳ号「グオオオオオオオオオオ!!!!????」


ブルッ・・ブルルッ・・・プスン・・・


ナカジマ「よし、エンストした!」


梓「作戦成功です!それではみなさん撤収してください!」

~校舎~




華「あ、みなさん帰ってきましたよ。みほさんもいます。」


沙織「うまくいったっぽいね、おーい!」


梓「武部先輩、西住先輩の意識がありません!」


沙織「え、それヤバいやつじゃん!すぐに手当てしなきゃ!」



ドオオオオオン・・・

エルヴィン「何事だ!?」


あや「見て!何か空に吹っ飛んでる!」


スズキ「あれは・・・М3と三突とポルシェティーガーだ!」


Ⅳ号「」ウオオオオオオオオオ!!!!!


ナカジマ「げっⅣ号!なんでうごいてんの!?」


Ⅳ号「」ニシズミドノオオオオオオオォォォォォォォォ!!!!カエセエエエエエエエ!!!!!


沙織「な、なんかすっごく怒ってる・・・?」

杏「いやー、こりゃ大変だね。」


華「会長!?いつの間にいらしたのですか?」


杏「ついさっきね。それよりもうこれは私たちの手に負えないから、あとは本職に任せて避難しようよ。」


沙織「本職?」


蝶野「やっと私の出番ね!最新鋭戦車の力を見せてあげるんだから!!」


麻子「持ってきてたのか・・・10式・・・」



ドカーーーーーーン


ギャーーーー!!! シュパッ


あゆみ「あ、10式やられた!」


優季「ひっくりかえってる~。ていうか10式にもついてるんだアレ。」


あや(珍しいから写真とっとこ。)パシャ


妙子「10式、応答してください!やっと私に回ってきた仕事なんです!」


蝶野『くっそーこのポンコツめー、リコール申請してやるー!』


妙子「普通車の感覚で戦車に乗らないでくださーい!」


典子「最新の戦車ですら歯が立たないなんて・・・」


エルヴィン「万策尽きる・・・か。しかし、このまま人里に出すわけにも・・・」




みほ「う・・・う~ん。」

華「みほさん?」


沙織「みぽりん・・・?ねえ、目が覚めたの?みぽりん!」


みほ「ゆかり・・・さん。」


梓「先輩、しっかりしてください!私がわかりますか?」


みほ「澤さん・・・?みんなも・・・」


みほ「私は・・・気を失って・・・ううっ。」


沙織「無理しちゃだめだよ、ゆっくりして。」








みほ「なるほど、私が失神している間にそんなことがあったんですね。」


みほ「澤さん、私のためにありがとうね。」


梓「そ・・そんな、私なんか・・・///」


桃「起きたはいいが西住、あのⅣ号をこれからどうする?」


みほ「え・・・?どうするといわれても・・・」


桃「あのⅣ号はおまえたちの持ち物だろうが、責任者ならなにか考えるべきだ。私は知らんぞ。」


杏「まあまあかーしま、西住ちゃんもいま起きたばっかりだし・・・」


みほ「・・・・作戦は、あるにはあります。」


杏(あるんか~い。)

Ⅳ号「」ウゴオオオオオオオオオオ!!!!!



梓「先輩、やっぱり危険すぎないですか?」


みほ「大丈夫、だと思う。でもゴメンね、せっかく澤さんたちが作戦をたててたすけてくれたのに・・・」


梓「い、いえそんなこと・・・。先輩、どうかお気をつけて。」


みほ「うん、じゃあいってきます。」

~すこし離れた場所~



桃「ほんとに大丈夫なのか。いくらなんでも直接話して説得するなんて・・・」


杏「まあ超常現象にはさ、普通の方法じゃ通用しないってことで。」


柚子「あ、西住さんが近づいていきます!」


みほ「・・・・・」


Ⅳ号「!」ピタッ


桃(止まった!?)


杏「しっかりね、西住ちゃん。)

みほ(よしよし、いい子だからじっとしててね。)


みほ「よっこいしょ。」


みほ(・・・えーと、乗り込んだのはいいけど、このままじゃお話しできないな。)


みほ(そうだ、もう一回気絶してみよう。えいっ!)


ガンッ!


みほ()ガクッ

~真っ暗な空間~



優花里「ニシズミドノ・・・・ニシズミドノ・・・・」


みほ「あ、いたいた。優花里さーん。」


優花里「西住どノ!?どウしてここに!?」


みほ「ちょっとお話をしにね。でもやっぱり優花里さんだったんだね。気絶している間になんだかそんな気がしたもの。」


みほ「ねえ優花里さん、どうして戦車になっちゃったの?」

優花里「・・・・わかりません、何もわからないんです。どうしてこんなことになっているのか。そしてこれからどうなるのかも。」


優花里「いえ、もう人間には戻れず、ずっとこのままなのでしょう・・・なぜなら、私は死んでしまったのでしょうから。」


優花里「一度はこのまま戦車として生きていこうと決心しました。だから、西住殿がやられそうになるのを見ると居てもたってもいられず、そのまま頭が真っ白になってしまったんです。」


優花里「西住殿、申し訳ございません!自分の身勝手さのせいでみなさんに迷惑を・・・」


みほ「・・・」ギュッ




優花里「え・・・///?」

みほ「ありがとう。優花里さん、そんなにわたしたちのことを考えてくれていたんだね。」


みほ「謝ることなんてなにもないよ、誰だってそんな状況になったらあわてちゃうもの。それに優花里さんが死んだなんて私は認めないよ。」


みほ「たぶん優花里さんがあまりにも試合に出たいと思ったから、魂が体からちょっとだけお出かけしちゃったんだよ。」


優花里「そう・・・なんでしょうか?」


みほ「うん、きっとそう。それなら、今度は戻りたいって強く思えば、元の体に戻れると思う。」


優花里「西住殿・・・わかりました、やってみます!」

Ⅳ号「」パカッ



華「あ、みほさんが出てきましたよ。」


沙織「みぽりん・・・」


みほ「みなさん、お待たせしました。」


杏「おつかれ西住ちゃん。で、説得は?」


みほ「はい、なんとかわかってもらえました。もうⅣ号は大丈夫ですよ。」


沙織「ねえねえみぽりん、Ⅳ号にとりついていたお化けってどんな奴だったの?」


みほ「え・・・?それは、ちょっと・・・」


麻子「お化けのプライバシーも気にするのか、西住さんらしいな。」


蝶野「これにて一件落着ね!」


杏(あなた特になにもしてないけどね。)

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~秋山理容店~



優花里「う・・・あ、にしずみ・・どの・・・」


優花里「はっ!」ガバッ


優花里「ここは、私の部屋・・・?あれ・・・?」


優花里「私は今まで・・・なにを?」



襖「」ガラッ

好子「あら、もう起きて大丈夫なの?」


優花里「お母さん?私・・・」


好子「どれどれ・・・うん、熱が引いてる。これなら、明日には登校できそう。」


優花里「・・・」


好子「おなかすいたでしょ。待ってて、今おかゆ作ってあげるから。」


襖「」ピシャ

優花里(・・・・・・)


優花里(私はいままで・・・ただ寝ていたんじゃなく・・・なにか・・・)


優花里(だめだ、思い出せない。)


~次の日~



優花里「に、西住殿。」


みほ「あ、優花里さんおはよう。」


優花里「あの・・・その・・・」モジモジ


みほ「?」


優花里「きのうの件、まことに申し訳ありません西住殿!わたしの不摂生のせいで試合に参加できず、ご迷惑をおかけしました!」


みほ「・・・・なにも、覚えていないの?」

優花里「西住殿?」


みほ「ううん、なんでもないの。それより試合のことなら大丈夫だよ。」


優花里「へ?」


みほ「実はね、きのうちょっとしたトラブルがあって、校内試合は今日に延期されることになったの。審判は生徒会の人たちがやるんだって。」


優花里「そ、それでは・・・・!」


みほ「うん、だから今日はよろしくね、優花里さんっ♪」


優花里「はいっ!!!!」




~おわり~

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