女「男君のことがやっぱり一番好きなんだよね」 (23)


女「男君は誰よりも私の悩み事の相談聞いてくれるし、優しいし、ビリヤード上手だしさ」

男「さいでっか」

女「そんな男君にまた悩み相談があるんだけど」

男「何?」

女「また好きな人できちゃった」

男「・・・




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女にとの出会いは近所のビリヤードバー

カウンターに座っていた夜の店には似つかわしくないさほど年の変わらない女に同じく夜の店には似つかわしくない僕は近づいていった

初めて対戦してボコボコにされたことを思い出す

ただただ悔しくて、そこから必死に通いだすようになった

ビリヤードを始めて半年が経過したころに女に勝てるようになって

そのころには女に恋心を抱くようになった



女「最近職場に就職した人なんだけど、あんまりかっこよくないんだけどすごいいい人でさ」

男「うん」

女「もう最近そのことで頭いっぱい過ぎてビリヤードに集中できない」

男「うん」

女「どうしたらいいと思う?」

男「どうしたい?」

女「告っちゃいたい」

男「そっか」

女「いけると思う?」

男「どう思う?」

女「自信ない」


女は恋多き女だった

しかも僕にことあるごとに恋愛相談を持ちかけてくる

女「男君って話聞いてくれるからついつい話しちゃうんだよね」

相談に対して具体的な解決法を明示しない僕は女にとって格好の標的だったようだ

今はそれがつらい


男「とりあえずがんばってみたら?」

女「でも失敗したらこれから気まずいし」

男「そっか、じゃあどうしよう」

女「いや、でも好きだし付き合いたいし」

男「そっか」

女「決めた!告白する!この想いはとめられない!」

男「そっか」

女「うん、ありがとう!話し聞いてくれて!」

男「何もしてないけどね」

女「ううん!そんなことないよ!じゃあ近いうちにまた結果言うね!おやすみ!」

男「頑張っておいな、じゃあね、お疲れ様」

女は会計を済ませて店から出て行った

男『うまくいかなければいいのに』



いつも好きな人に特攻しては玉砕する

それがいつもの女のスタンスだ

そんで僕に泣きついて

悔しくなって

ビリヤードに打ち込む

彼女にとってビリヤードは現実逃避のツールだ

ビリヤードを始めたきっかけも

ビリヤードの上手かった彼氏にこっ酷く扱われてこっ酷く振られて

見返してやりたいと思ったのが始まりだったようだ

今回もそんな感じで玉砕するものであろうと思う

そんでまた僕になきついてくるがいいさ

女のことならいくらでも優しく受け止めてあげるよ


女「前に言ってた人と付き合うことになりました」

男「マジで?」

女「マジで。向こうも私のことを気になってたんだって。相思相愛ってやつ?」

男「よかったね」

女「ありがとうね!今度またここにつれてくるね!彼もビリヤード興味あるって言ってくれたし!」

男「そっか、また相手するよ」

女「初心者さんだから手加減してね!男君強いんだし」

男「わかってるよ」




後日女が見せに彼氏を連れてきた

あまり印象に残らない容姿の男だったように思う

女に手取り足取りビリヤードを教えてもらっているその姿にイラつき僕はほどなくして店から出た

女のまわりにポッと現れた奴に女をかっさらわれたイラつきと

臆病にも女に手を出すことのできない自分に対するイラつき

あまりにも情けない自分に苦笑した

男『しばらくビリヤードだけを考えよう』




半年経過し

女と彼氏は順調に交際を続けていた

交際に忙しいのかあまり店に来なくなっていた

一方僕は店でトップクラスの腕前になっていた

客「そろそろプロ試験受けようよ、男君なら絶対合格するから」

趣味のない、交際女性もいない僕はビリヤードしかなかった

上手になるとさまざまな女性が僕に近づくようになったが

夜の店に似合う女性を僕は受け入れることはできなかったし

なにより女を忘れることができなかった



女「もうさ、彼氏と別れたいんだけど」

男「どうしたの?」

久しぶりに店に来た女は僕に寄ってきていきなりそういった

男「上手くいってたじゃん」

女「最近すごい自分勝手で、私にストレスをぶつけてくるようになったし、束縛もひどい。あんな人だとは思わなかった」

男「そっか」

女「でも私がいないと彼氏もっとだめになりそうでほっとけないって気持ちもある」

男「そっか」

女「それに別れを切り出すと殴られそうで怖い」

男「ヤバイね」

女「最近もうどうしていいかわからない」



人間という生き物は悩みを相談するときにはもう方向性を決めているのが常だ

わからないんじゃなくて

後押ししてほしいんでしょ

わかってるよ、僕に何を言ってほしいのか


男「別れよう」

女「・・・」

男「一人が怖いのなら僕もついていくよ」

女「でも、そんなこと悪いし」

男「個人的に女にそんなダメージを負わせた彼氏に僕が腹を立てている。別れを切り出しにくいなら僕を新しい彼氏だって言えばいい」

女「でも・・・」

男「いいから。さっさと別れちゃおう。今からどっかのファミレス呼び出してよ」

女「うん・・・わかった。頑張るね」

男「うん、頑張ろうね」





その後彼氏がファミレスにきて、別れ話を切り出された彼氏は案の定ごねて

新彼氏として登場した僕に逆上し、顔を殴り

彼氏が警察に連れて行かれたところで別れは成立したが、そのへんの細かいところは割愛する



女「ごめんね、ありがとうね、こんなことまでさせちゃって」


先ほどまで号泣していた女は、今は泣き止み僕の頬をそっとなでる

男「いいのいいの、それよりも別れられてよかったね」

女「うん、でも巻き込んじゃってごめんね。またお礼に何かさせて」


何かさせて、じゃあ付き合ってよ

なんて言えたらいいものなんだけど臆病な僕はそんなこと口にはできない


男「気にしなくていいよ。また店に来てくれて僕のビリヤードの相手にしてくれたら俺は満足だから」

女「うん、ありがとうね」






女「やっぱり一番男君が大好きだよ」



翌日ビリヤードに打ち込む女の姿があった

女「しばらくしてなかったから勘を取り戻すのは大変だけどね」

また現実逃避のツールとしてビリヤードを利用している女にすこし苦笑したがそれでも店に来てくれている彼女をみるとうれしかった

女「男君、上手になったね。今の私じゃ私勝てそうにないや」

女「私も頑張らなくちゃね。これからもよろしくね」

女の笑顔をみて、やっぱり好きだなーって思った。






これからも女は僕に恋愛相談を持ちかけてくるのだろう

そのたびに僕は傷ついて、頭がおかしくなるのだろうけど

それでも僕は女を受け止めきってやるさ

女が僕に振り向くその日まで


そんなことを思いながら白玉を思いっきり打ち込んだ





女『馬鹿だなー』

女『私がお前に振り向くわけないのに』

女『これからもいっぱい利用させてね』

女『男君、一番大好きだよ』




おわり


閲覧ありがとうございました

思いつきの乱文をお見せして申し訳ありませんでした

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