村田「賭博に気が付いてるみたいだな」フランシスコ「……ああ、そうだ」 (45)

2015年5月4日 マツダスタジアム

フランシスコ「阪神戦ではヒーローになれたが、気を抜いてはいけないな」

フランシスコ「俺は日本でやっていくと決めたんだ。今日の試合もしっかり備えないと……ん?」

笠原「今日は……」高木京「はい……」

フランシスコ(あれは……カサハラとキョウスケ? どうしてこんな人目の無いところで……)

笠原「ハンデも無いし、今日はウチだろ」

高木京「そうですねw じゃあ僕も巨人に……」

フランシスコ(ハンデ……巨人に……まさか!?)

笠原「今日は間違いないよな、相手も全く勝ててない大瀬良だしw」

高木京「そっすねw 50万くらい賭けちゃいますかw」

フランシスコ(賭ける……間違いない! これは野球賭博じゃないか!)


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フランシスコ(野球賭博はファンを裏切る行為だ! 絶対に許せない……!)

???「ようホアン! こんなとこで何してんだよ!」

フランシスコ「!! お前は……サカモト!」

坂本「そろそろ練習の時間だ! 早く球場に行こうぜ!」ウデヒッパリー

フランシスコ「あ、ああ……」

フランシスコ(く、くそう、止められなかった……)

フランシスコ(いや、待てよ……二人にこれ以上賭博をさせないようにすればいいじゃないか……)

フランシスコ(賭博を止めさせる方法……二人はウチの勝ちに大金を賭けていた……それなら方法は……)

フランシスコ(…………)

実況「さぁ2-2の同点で迎えた9回表、1アウトランナー無しの場面ですが、ここで迎えるバッターは一発のあるフランシスコです!」

実況「しかしフランシスコ、今日はここまでノーヒットの2三振、阪神戦での活躍は鳴りを潜めています!」

実況「ピッチャー大瀬良投げました! 空振りー! フランシスコ今日3つめの三振に倒れましたー!」

フランシスコ(……これでいい……これでいいんだ)

実況「場面変わって9回裏、1アウト満塁とカープサヨナラのチャンス! バッターは代打の切り札小窪です!」

フランシスコ(コクボ……打ってくれ……頼む……)

実況「ピッチャーマシソン投げました!」

小窪(カキーン

実況「あー! 打ち上げたー! これは平凡な内野フライー!」

フランシスコ(ちっ! 下手糞め!)

フランシスコ(俺のところに飛んできたが……インフィールドフライだから落としても仕方がないじゃないか……)

フランシスコ(くそ! どうすればいい!)

村田「俺が捕る!」フランシスコ「!?!?」ポトッ

フランシスコ(くそう! なんだこのデブ! 俺の邪魔しやがって!)ボールヒロイー

野間「ファッ!? 落としてるやんけ! 走らなきゃ(使命感)」

フランシスコ「!?!?!?!?」

フランシスコ(何してんだあの馬鹿! お前タッチされたらダブルプレー……はっ!)

フランシスコ(そうか! ノマはインフィールドフライに気が付いてないんだ! なら俺も気が付いて無いふりをすれば……!)ベースフミー

審判「アウトー!」

琢朗「ゴラァァアアアアアアア何がアウトじゃボケぇぇぇええええええインフィールドフライやろおおおおおおおおお!」緒方「せやせや!」

審判「セ、セーフ!」

新井「やったーサヨナラだー!」ピョーンピョーン

笠原「な!? なんだとぉ!!」

笠原(畜生! あのデブぅ……!)ギリギリ

翌日、試合前

笠原「今日は杉内さんとマエケンか……」

高木京「予想難しいっすね、ハンデはどうなってます?」

笠原「ウチに+2点が付いてる。最近の調子だと1点差でウチが負けるだろうが、+2点されるからウチが勝ったことになる」

高木京「じゃあ今日もウチに賭けますわ」

笠原「おう、俺もそうする」

フランシスコ(なるほど……)

~試合中~

実況「あー! なんとフランシスコ! 平凡なファールフライを落球―!」

鈴木誠也(カキーン!

実況「いったー! 鈴木誠也の2ランだー!」

北別府「先ほどのエラーが無ければこの点数は無いですからねぇ。うまくミスに付け込みましたねぇ」

村田「……!」



うぐいす嬢「試合終了でございます。本日の試合は13-1で広島カープが勝ちました」

村田「ようホアン、この後飯でもどうだ」

フランシスコ「ムラタか……ああ、いいぜ」

~小料理屋~

村田「キミのようなメジャーリーガーがあんなプレーを連発するのはおかしい」

フランシスコ「……何が言いたい?」

村田「賭博に気が付いてるみたいだな」

フランシスコ「……ああ、そうだ」

村田「やっぱりだ。どこで聞いた?」

フランシスコ「カサハラとキョウスケが話してるのを偶然聴いたんだ。その口ぶりだと、お前も知ってるみたいだな」

村田「そうだ……。俺もFA移籍でこのチームに来たんだが、その時からキナ臭かった。そこで探りを入れたらビンゴだ」

フランシスコ「今まで一人で戦ってたのか?」

村田「ああ、そうだ。俺は賭博を止めるために何かできないかと模索し続けていた……そして、ついに賭博の主犯格に目途が付いたんだ」

フランシスコ「!! いったい誰なんだ!」

村田「笠原だ……」

フランシスコ「何だって! カサハラが!?」

村田「悲しいが、これが現実だ。そしてあいつは二軍暮らしが多い、つまり賭博の常習犯達はウチの二軍に居るんだ……」

フランシスコ「キョウスケも二軍暮らしが多かったのか?」

村田「京介は去年怪我でな、二軍に居たことが多かった。恐らくその時、笠原に誘われたんだろう。きっと真面目なあいつは断れなかったんだ……」

フランシスコ「そんな……」

村田「しかし常に一軍に居る俺じゃ、今まで二軍で横行していた賭博を止めようにも止められなかった」

フランシスコ「……」

村田「だけどなホアン、キミの本気で賭博を止めようとする姿勢に胸を打たれたよ……」

フランシスコ「ムラタ……それってつまり……」

村田「ああ、俺も明日から二軍に落としてもらうよう監督に直訴するよ。足に違和感があるとでも言っとくさ」

フランシスコ「待てムラタ! キミはジャイアンツのスーパースターじゃないか、そんなキミが一軍の試合に出ないのは、ファンが悲しむだろう」

村田「ホアン……お前……」

フランシスコ「でも俺は違う、スーパースターじゃない。日本のファンは良く知らない、異国の外国人だ。俺ならば、二軍に落ちても悲しまれない」

村田「ホアン……!」

フランシスコ「任せておけ、俺が必ず止めてみせる! 野球を愛するすべてのファンのために……!」

翌日

実況「あーっとフランシスコが拙守連発ー!」

金本「記録には残らないミスも多いですwwこれはひどいですねぇww」

実況「巨人、広島に3連敗です!」

原「ホアン、お前さんは明日から二軍だ」

フランシスコ「はい……」

フランシスコ(さて、これからだ……)

二軍練習場

松本竜「フランシスコさん! おはようございます!」

フランシスコ「…………」スタスタ

松本竜「……んだよ無視かよ」

笠原「気にすんな、メジャーリーガー様は俺達なんか気にしてないんだよ」

松本竜「あ、笠原さん! おはようございます!」

笠原「おう、それより今日もポーカーやるぞ」

松本竜「はい!」

フランシスコ(周りの音を逃さず聞くために極力声を出さないようにしていたが……)

フランシスコ(今ポーカーと言っていたな、しかも「また」と)

フランシスコ(ポーカーはただのポーカーなのか? だとしても練習中になにしてんんだ)

フランシスコ(調べる必要があるな……カサハラ達はこの部屋か……)

笠原「よっしゃー! 俺の勝ちー!」

松本竜「もー笠原さん強いっすよー!」

福田「ほんとだよ。俺もう3万も負けちったww」

フランシスコ(やっぱり賭けポーカーじゃないか!)

フランシスコ(まずい、俺が思ってる以上に賭博が進行しているかもしれん……)

後藤コーチ「おいフランシスコ! こんなところに居たのか! サボってないで守備練習だ!」

フランシスコ「あ、ああ、すまないコーチ、今いくよ」

笠原(フランシスコの守備練習か……)

笠原「おいみんな、メジャーリーガー様のノックの様子、観に行こうぜ」

松本竜「お! と、いうことは、もしかしてw」

笠原「そう(笑)」

福田「エラー10以上に5万!」

後藤コーチ(カキーン

フランシスコ「うっ」(ポロー

後藤コーチ「こらーフランシスコ! 何こ目のエラーだこの野郎!」

フランシスコ「く、くそ、もう一丁」

フランシスコ(こんなリトルリーグみたいな球場でやってるからイレギュラーしまくるんだよ!)

福田「笠原、今エラー何個目?」

笠原「9個目っすね。後1回で福田さんの勝ちっすよww」

福田「おおw エラーしろ! デブ!」

フランシスコ(……聞こえてるぞ、クソ、ノックまで賭け事になってんのかよ!)

フランシスコ(今日1日やって、わかった)

フランシスコ(このチームの、少なくとも二軍は、もう腐ってる)

フランシスコ(どうすればいいんだ……)

フランシスコ(んん? メールがきてる……ムラタからだ!)

村田『二軍の様子はどうだ? 俺のために二軍落ちまでさせてしまって本当にすまないと思っている』

村田『だけど、キミの正義感に感動したのは本当だ。二人で絶対に賭博をなくしてやろう!』

フランシスコ「ムラタ……」

フランシスコ(そうだ……絶対に賭博を無くしてやる。こんなところで躓いてる場合じゃない!)

翌日、ベンチ内

笠原「ふー……プロの練習はいつやってもキツいぜ」

松本竜「笠原さん! お疲れ様です!」

笠原「おう。そうだ、明日のハンデなんだけどな……」

ブッ!

笠原「ん? 何の音だ……!?」

松本竜「く、くっさー!」

江柄子「き、気絶する……!」

フランシスコ(ふふ……賭博の話はさせないぞ……)

???「ヘイ、ホアン! 何食ったらそんな臭ぇ屁が出るんだよ!」

フランシスコ「あなたは……セペダさん!!」

セペダ「みんな臭すぎてどっかいっちまったぜ! 江柄子なんて気絶してるしよww」

江柄子「」

フランシスコ「OH……すまんエガラシ、関係ないキミを巻き込んでしまった」

セペダ「ところで、何か悩み事でもあるのか? 顔が暗いぜ」

フランシスコ「あ、いや、実は……」

フランシスコ(待てよ、あのキューバの至宝であるセペダさんまで巻き込むわけにはいかない。巨人の二軍は俺が一人で守ってやるんだ)

フランシスコ「いや、なんでもないです」

セペダ「そうか、何かあったら、なんでも相談してくれよ」

フランシスコ「……はい!」(なんて良い人なんだ……)

翌日

フランシスコ「ふぅ、午前の練習も終わりか」

フランシスコ「そろそろあいつらも集まる頃だな……」



笠原「さーて、今日も賭けポーカーとしゃれこみますか」

松本竜「今度こそ負けませんよー! ……ん?」

♪~♪~♪~

笠原「なんだこの音楽? ポーカー部屋からだ」

フランシスコ「♪~♪~」

福田「うわ、デブがスマホから大音量で音楽流してやがる」

松本竜「こ、これじゃあこの部屋が使えない……」

フランシスコ(賭けごとはもうさせない……この部屋には入れさせないぞ……!)

笠原「……」

また翌日

フランシスコ(トランプさえ取り上げれば賭けポーカーはできない)

フランシスコ(昨日は探してる途中にセペダさんが来てしまったから中断したが……この部屋のどこかに隠されてるはずだ)ガサゴソ

フランシスコ(……! あった! あとはこれを捨て「やっぱりか」

フランシスコ「!? お前は……カサハラ!」

笠原「おかしいと思ったぜ。あの広島戦のときからな」

フランシスコ「なんの話だ?」

笠原「とぼけんな! 年俸1億越えのメジャーリーガーが、あんなクソみたいなプレー連発するわけ無いだろ!」

フランシスコ「……」

笠原「まぁ、守備は本当に下手みたいだがな」

フランシスコ「うるせぇ」

笠原「お前、俺達のことに気が付いてるな?」

フランシスコ「俺達のことってなんのことだよ?」

笠原「だからとぼけんなデブ! 野球賭博のことだよ」

フランシスコ「……」

笠原「沈黙は肯定と捉えるぞ……全く、俺達の邪魔ばかりしやがって」

フランシスコ「…………」

笠原「ほーん、そうか……困るんだよなぁ、邪魔されちゃうと!」ゾロゾロ

フランシスコ「!!」

松本竜「へっへ、悪く思わないでくださいね……」金属バットカマエー

福田「全く、お前のせいで大負けだって、京介が泣いてたぜ」

宮國「本当ですよ。あの試合はみんな巨人に賭けてたのに」

江柄子「ほんとほんとww」

フランシスコ(いつもの3人だけじゃない、ミヤグニやエガラシまで……なんてことだ……)

笠原「いいか、これからこのデブは不慮の事故で怪我をするんだ」

松本竜「事故なら仕方ないっすねぇww」

フランシスコ(……)

笠原「お前ら! やっちまえ!」

ガス!ボカ!バキ!ボコ!

フランシスコ「うっ……ぅぅ……」

笠原「いい気味だぜ」

松本竜「こいつずーっと蹲ってましたねwww」

福田「背中じゃなくて、その腹を盾にした方がよっぽど防御になったんじゃねーのかwww」

松本竜「それ言えてますねwwwwwww」

笠原「いいか良く聴けデブ、他言したらこんなんじゃ済まないからな」

笠原「まぁ、その怪我じゃ当分野球はできねぇだろ。国にでも帰って、ゆっくり治してこいw」

松本竜「笠原さんもういいっすよ! それより今日のハンデはどうなってます?」

笠原「まぁ、そうはやまるなよ、場所を変えようぜ」




フランシスコ(…………いったか)

フランシスコ「くそ、痛ってぇ……」

フランシスコ(……でも……『これ』は守ったぞ)ガサゴソ

フランシスコ(腹にしまっておいた、ボイスレコーダー……これにさっきの奴らの会話が入った……)

フランシスコ(動かぬ証拠を掴むことはできた……後はこれをどこにリークすればいいんだ)ズキッ

フランシスコ(くそう、傷が痛む……今日はもう帰って寝よう……)



~翌日の練習場~
後藤コーチ「フランシスコはまたサボりか!」

江藤コーチ「なんか腰が痛いとかで……」

後藤コーチ「ったく、なにしに日本来たんだよあいつ!」

空港

フランシスコ(ほどなくして、俺は怪我の治療のために一時帰国することになった)

フランシスコ「はぁ……結局のこのボイスレコーダーを晒すことはできなかったか……」

???「フランシスコ選手! フランシスコ選手ですよね!」

フランシスコ「そうだけど、キミは?」

文春記者「申し遅れました。私週刊文春の記者と申します!」

フランシスコ「週刊文春……!?」

記者「フランシスコさんの悪行、奇行の数々を取材させてもらいたくてw ちょっとお時間いいっすかww」

フランシスコ「……ああ、構わないよ」

フランシスコ「記者さん、僕の悪行の意味、それが全てわかるものがありますよ」

記者「え、本当ですかぁ?」

フランシスコ「ええ、本当です。ただそれを見せるには僕の名前を出されると困ります」

フランシスコ「ですから、『絶対に名前を出さないこと』を条件に入れてくれれば、お見せします」

記者「ほほー、それは興味深い……いいでしょう。名前は伏せて『球団関係者』くらいにしておきますよ」

フランシスコ「助かります。それでは……(ガサゴソ)……これです」

記者「これは……ボイスレコーダー?」

フランシスコ「聞いてみてください」

記者「(ボイレコ視聴中)……これは!」

フランシスコ「その内容通りです。ジャイアンツは賭博の温床だ……」

記者「これは……世間に明るみになれば大スキャンダルですねぇ……フランシスコさん、詳しくお話を聴いてもよろしいですか?」

フランシスコ「もちろん」

フランシスコは、今まで賭博と戦ってきたことを洗いざらい話した。

記者「……なるほど。ありがとうございました。この件については私達が総力をあげて取材していきます」

フランシスコ「よろしくお願いします」

数か月後、野球界激震のニュースが舞い込んだ。

『巨人軍の選手数名による野球賭博発覚』である。

週刊文春の取材により、とある『球団関係者』が情報をリークしたことによって発覚した事件だった。

笠原、松本、福田の賭博発覚に留まらず、最近では一軍で活躍していた高木京介まで賭博をしていたことが明らかになった。

まだまだ根の深そうな問題であるが、これ以上の被害が無いことを祈るばかりである。



<完>

読んでくださった皆さんありがとうございました。
初めてのSS投稿がまさか深夜テンションのこんな話になるとは思わず、ノリと勢いで適当に書いていたので拙い部分が多いと思います。
まだまだこの問題に終止符が打たれる日が遠くにあるように感じますが、いち早い解決と再発の防止を、一野球ファンとして願っています。

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