男「デスノートを拾った」 幼「……」 (54)

幼「デスノートってジャンプで連載中の漫画よね?」

男「ああ」

幼「久しぶりだってのに、何?」

男「まあまあ。幼だったらどうする?」

幼「書いた名前の人が死ぬってあれ?」

男「それ」

幼「……冗談でしょ?」

男「まあとりあえず幼だったらどうする?」

幼「そうね……」

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幼「漫画では犯罪者を殺してたけど、私だったら怖くて無理だなあ」

幼「たぶん一度も使わないままだと思う」

男「幼らしいな」

幼「そうかな?」

男「うん」

幼「……それで男だったらどんな風に使うの?」

男「僕だったらまあ一つかな」

幼「いや、どんな風に使うのって」

男「気が向いたら教えるよ」

幼「ずるいー」

<翌日>

男「体の調子はどう?」

幼「ばっちしだけど」

男「良かった。それで明日だけど、ショッピング行かない?」

幼「いいよ」

<翌日>

幼「何かすごく注目されてたね」

男「まあ、ティーン向けのファッションショップだったからね」

幼「やっぱり男と一緒にいるのが珍しかったのかな」

男「……そうじゃない?」

幼「まあいいや、そこのカフェで休憩しよ」

男「いいよ」

<翌日>

幼「疲れたー」

男「ぐたーってしてるね」

幼「昨日出歩いたからだー」

男「じゃあ今日は家でのんびりしようか」

幼「たまにはこういう日もいいよね」

<翌日>

幼「ねえ、空ってどうして青いの? 海が反射してるから?」

男「違う、レイリー散乱だ」

幼「……? レイリー散乱って何?」

男「……ごめん、アニメの知識だから分からない」

幼「気になる」

男「今から調べるから」

<翌日>

幼「たまには料理を作ってみた」

男「ごちそうになります」

幼「ほら、男の好きなハンバーグ。あーん」

男「……あーん」

幼「どう、おいしい?」

男「……懐かしいな。おいしいよ」

幼「良かった」

<翌日>

幼「ひとよひとよに?」

男「ひとみごろ」

幼「ひとなみに?」

男「おごれや」

幼「ふじさんろく?」

男「おうむなく」

幼「ふたよしくしく?」

男「……分からない」

幼「よし、勝ち!」

男「いや、勝負だったの?」

<翌日>

幼「たまには一人で過ごす」

幼「男は仕事のようだ」

幼「…………」

幼「…………」

幼「…………」

幼「あー、もう退屈」

幼「早く帰ってこないかなー」

男「ただいまー」

幼「あ、帰ってきた!」

<翌日>

幼「……♪」

男「何か上機嫌だね」

幼「昨日は男とあまり一緒にいれなかったから」

幼「今日は存分に甘えさせてもらうからね」

男「おてやわらかに」

幼「じゃ、ほら、膝かして」

男「はいはい」

幼「……♪」

<翌日>

男「たまには料理を作ってみた」

幼「チャーハンか。男って料理出来たんだー」

男「まあ……そりゃね」

幼「食べていい?」

男「いいよ」

幼「……おいしい!!」

男「良かった」

幼「ちょっと味付け濃いけど」

男「男の料理なんてそんなもんだよ」

<翌日>

男「今日から二泊三日の旅行だ」

幼「温泉かー。楽しみ!!」

男「電車内ではしゃがないの」

幼「えーだって楽しみなんだもん。男は違うの?」

男「……違うと思う?」

幼「思わない」

男「ま、その通りだよ」

<翌日>

幼「そっちの湯加減はどうー?」

男(女湯の方から声がする。恥ずかしい)

幼「ねえ、男ー!」

男「……」

幼「あれ、男聞こえてないのかな。じゃあもっと大きな声で……」

男「ああもう……こっちの湯加減もいいよー!」

幼「あ、聞こえてたんだったら早く返事してよー!」

<翌日>

幼「おみやげは……これ、三十個入りか。ちょうどいいかな」

男「そんなにたくさんかってどうするの? 二人じゃ食べきれないよ」

幼「あ、そっか。じゃあ、こっちで」

男「じゃあ会計して」

幼「……終わったよ」

男「それじゃ帰ろうか」

幼「えーもう帰るのー! あっという間だった」

男「楽しい時間っていうのはあっという間に過ぎるものなの」

幼「また来ようね!」

男「……そうだね」

<翌日>

幼「はぁ……はぁ……」

男(はしゃぎすぎたのか熱が出た幼)

男「大丈夫?」

幼「だい……じょーぶ」

男「タオル変えるからね。ほらゆっくり寝て」

幼「ありがと」

男「…………」

幼「zzz」

<翌日>

幼「ふっかーつ!!」

男「昨日とは打って変わって元気だね」

幼「まあね!」

男「看病したかいがあったよ」

幼「看病……」

男「……ん? どうかしたの、幼?」

幼「男。本当に……ありがとうね」

幼「男だけだよ……こんなに……」

男「どうしたの、また熱がぶりかえした?」

幼「……ひっどーい。私だって普通に礼くらい言えるんだからね!」

<翌日>

幼「ねえ、もしさ。大気中の酸素の割合が40%だったら呼吸って今の二分の一で済むのかな?」

男「いきなりどうしたの?」

幼「いや、ちょっと気になって」

男「……何かで聞いたけど、酸素20%っていうのはそれ以上でも、それ以下でも生命はここまで繁栄しなかったって話のはず」

幼「へえー」

男「いや、自分でした質問にもうちょっと興味を持とうよ……」

<翌日>

幼「今日は男と二人で買い物!」

男「はしゃぐなって」

幼「はい、はーい! 今日のごはんは何にしますか!」

男「そうだな……カレーとかどう?」

幼「カレー作るの!?」

男「まあ頑張ってみるよ」

幼「楽しみ! ……あ、おかし買っても良い?」

男「300円までな」

幼「ケチー」

男「うちにお金の余裕はありません」

幼「まあいいや、選んでくる」

男「行ってらー。……あ、そうだ果物売り場に行かないと」

<翌日>

幼「えー今日もカレー?」

男「昨日はあんなに喜んでたのに……」

幼「そりゃ好きだけど朝昼晩ずっとカレーは……」

男「二日目のカレーおいしいだろ?」

幼「おいしくても、連続は嫌……」

男「……んー、ならカレーうどんにアレンジするか」

幼「それなら大丈夫!」

男「ちょっと待ってて」

幼「分かった!」

<翌日>

幼「やーだー。行かないで!」

男「だから仕方ないだろ。親に呼び出されたんだから。それに日帰りだから、夜には帰ってくるって」

幼「でも……」

男「たまには顔を見せないとな」

幼「…………」

男「……幼も一緒に帰らないか」

男「昔と同じでおまえんち俺の実家の隣だし」

幼「ごめん。……ちょっと無理」

男「……ま、そっか」

男「いい子でお留守番してくれよ」

幼「……分かった」

<翌日>

幼「海だー!!」

男「ご機嫌取りのつもりで連れてきたけど、楽しんでるみたいだな」

幼「ほら、男も泳ごうよ」

男「……そうだな!」

幼「ほら、私を捕まえてみせて!」

男「言ったなあ?」

幼「あ、ちょっと待って、まだスタートって言ってない……!」

男「問答無用!」

幼「きゃっ!」

男「ははっ……どうだ、幼、楽しいか!」

幼「うん、楽しい!」

<翌日>

男「今日は遊園地に来た」

幼「ジェットコースター楽しかった!!」

幼「もう一回乗ろうよ!!」

男「……次で五回目だよ?」

幼「ほら、早く早く!」

男「あんま絶叫系好きじゃないんだけど……」

幼「その後はコーヒーカップにメリーゴーランドに……あ、最後は観覧車に乗るんだからね!」

男「はいはい。幼様の仰せのままに」

<翌日>

幼(今日は夜景の見えるレストランでディナー……)

幼「ね、ねえ、本当にお金大丈夫なの?」

男「心配するなって、この日のためにちゃんと蓄えている」

幼「な、ならいいけど……」

男「落ち着かないか? やっぱりいつも通り家の方が良かったか?」

幼「……ううん。一度はこういう体験してみたかったし」

男「そっか……なら良かった」

幼「ねえ男……私、今幸せだよ」

男「僕も同じだ」

<翌日>

男(翌日……まあレストラン帰りの、まだ0時を回ったばかりの夜なんだけど)

男「ほら、付いたぞ」

幼「おーー、男ぉー。サンキューッ!」

男(酔っぱらった幼を介抱しながら家に着く)

男「ほら、ちゃんと靴脱いで」

幼「んー、やだー。男が脱がしてー」

男「……こんなに酒癖が悪いとは思わなかったな」

男(その後も悪戦苦闘しながら、幼のベッドに寝かせることに成功する)

男「それじゃおやすみ」

幼「……やだ」

男「え……?」

男(幼が服の袖を握っている)

男「どうしたの、幼?」

幼「今日は一緒に寝るの」

男「一緒に……って」

幼「…………」

男「寝れないのか? なら、子守唄でも……」

幼「そういう意味じゃないの!」

男「……」

幼「……だって、今日は……今日は!!」

男「……分かったよ」

男(僕は幼の待つベッドに上がる)

男「ただ、俺も初めてだからな……痛くしたらごめんよ」

幼「……男に痛くされるなら良いよ」

<同日・昼>

チュン、チュンチュン。

男「……ん」

男(日の光に導かれ僕は起きる)

男「これが俗に言う朝チュンってやつか。いや、昼チュン……?」

男「ふわっ……あぁ……」

幼「すぅ……すぅ……」

男(隣には幼が穏やかに寝ている)

男(僕は幼を起こさないように立ち上がって、リビングに向かった)

男(おそらくやつがそこで待っているだろうから)























リューク「くっくっくっ。こういうときは昨晩はお楽しみでしたね、とでも言えばいいのか?」




男「……随分と人間世界の文化に染まったね、リューク」





男「昨日は覗いたりしてないだろうな」

リューク「そんな趣味ねえっての」

リューク「おまえたちの甘ったるい日々を見ているよりアニメだっけか、そっちを見てる方が面白いっての」

男「まあ、君を楽しませるために過ごしてはいないからね」

男(冷蔵庫を開けてリンゴを取り出す)

男「ほら、今日の分」

リューク「お、ありがとな。……にしても今日でこの味ともお別れだと思うと寂しいぜ」

男「僕らよりリンゴの方が気がかりか」

リューク「何だ気にして欲しかったのか?」

男「いや、全然」

男(そう今日が……終わりの日)

男(幼が目覚めてから23日目)

<12年前>

医者『残念ながら幼さんの目は……もう覚めないかと』

<7年前>

幼母『もう私たちにもお金が無いのよ!』

男『だったら僕が代わりに払う!!』

<2年前>

男『幼……起きてくれよ……っ!』

<24日前>

男『デスノート……?』

リューク『くっくっくっ、また奇妙なやつが拾ったもんだ』

男『まさか……本物なのか!?』

リューク「あー、うまかった」

男「……」

リューク「それでこれからどうするんだ?」

男「もちろん幼と過ごすよ」

男「ただ……二言くらい言っておこうと思ってね」

リューク「ほう……」

男「まずは……ありがとう。デスノートを僕の前に落としてくれて」

リューク「死神に礼を言うやつがいるなんてな……」

リューク「……俺は適当に落としただけだ。感謝するならおまえの運の強さにしろ」

男「……そう」

男「じゃあもう一つ。これは言ってみたかったんだ」






男「僕の勝ちだ。リューク」





幼「……ん」

男「起きた?」

幼「あ、男。……おはよう」

男「おはよう」

幼「……って、私、服着てないじゃん!」

幼「わー! わー!! 恥ずかしい、こっち見ないで!」

男「そうは言っても……昨日たっぷり見たし」

幼「それとこれとは話が別なの!!」

幼「ほら、着替えるから、あっち見てて」

男「はいはい」

幼「……」

男「……」

幼「えっとさ……」

男「うん……」

幼「その、いつだっけ……男がデスノートの話したのって?」

男「二十三日前だね」

幼「……ねえ、聞かせてくれる。男はデスノートをどういう風に使うのかを?」

男「……説明する必要ある?」

幼「……そだね。じゃあ一つだけ」

幼「男だったら書く名前は一つ? それとも二つ?」

男「……」

幼「答えて」

男「二つ……かな」

幼「そっか」

男「……」

幼「私に付き合わなくても良かったのに」

男「……幼を一人になんて出来ないよ。危なくて見てられないからね」

幼「もう……子供扱いして」

男「デスノートの話じゃ天国も地獄もないってあったけど」

男「こうやって一緒だったら……」

幼「うん、きっとまた来世でも一緒だよ」

男「そうだね……絶対一緒だ」

幼「……ねえ、手握って」

男「いいよ……」

幼「それじゃ」

男「ああ」



―――――――――――――――――。






植物状態から奇跡的復活を果たし、近しい者と幸せな思い出を作って23日後死亡。




近しい者と幸せな思い出を作って23日後死亡。



リューク「まったく……あんな人間がいるとはな」

――――――――

リューク『デスノートを使った人間は総じて不幸になる』

男『そうか……だったらリューク』

男『君は初めてデスノートを使って幸せになる人間を見れるよ』

――――――――

リューク「……ああ、俺の負けだよ」

リューク「これだから人間はおもしろ……だな」

<FIN>

終わりです。
こんな使い方出来るか厳密には分からないですけど、そこは二次創作ってことで許してください。



>>1の他の作品

葉隠「強くてニューゲーム……って、俺がだべ!?」
葉隠「強くてニューゲーム……って、俺がだべ!?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1402841268/)

感想たくさんあざっす。調子乗って蛇足。
>>1 『連載中』12年前で記憶が止まっている。
>>3 『体の調子』起き上がったばかりの幼の心配。
>>4 『ティーン向けファッション』精神年齢が学生だけど、体が大人だから注目浴びた。
>>5 長年寝ていて体力無い。
>>11 『まあ……そりゃね』幼が知らないだけで長年一人暮らししてたから。
>>14 30個入り。学生気分抜けてないので、クラスのみんなの分を買おうとしている。
>>18 果物売り場。リンゴ買うため。

html出してきます。

幼の両親はお金が無くて延命止めようとした→殺そうとしたも同然→会う気になれない
ってイメージですが、色々思ってそうですしそこらへんは作りこみの甘さです。

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